JP2011241265A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は成形品から発生するガス成分量が大幅に低減した熱可塑性樹脂組成物であって、同時に衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性を全て満足する熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られる芳香族ポリエステル樹脂(A)50〜100重量部と、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるハードセグメント(a)70〜95重量%と、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールから得られるソフトセグメント(b)5〜30重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(B)0〜50重量部とを含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、該熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の設定温度260℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が20g/10min以上であり、かつシャルピー衝撃強度が3.2KJ/m以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形などの成形に用いられる熱可塑性樹脂組成物に関する。詳しくは、成形時に樹脂中から発生する分解物や得られた成形品から発生するガス成分を限りなく低減させることができ、さらに溶出イオン量を抑える事ができる上に、衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性も同時に優れている熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、自動車部品や電気部品などの軽量化が進み、金属から樹脂への代替が進んでいる。その中でも安価でかつ機械物性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリエステル樹脂は、成形加工の容易さ、耐熱性、その他の物理的、化学的特性に優れていることから自動車部品、電気・電子部品、精密機器部品などの分野で広く使用されている。このポリエステル樹脂は射出成形時に溶融されるため、樹脂内部にモノマーやオリゴマー成分さらには、成形温度が高温度になることで樹脂の分解物などを含んでいる。これらが成形品に取り込まれることで、成形品が長時間高温に晒される用途においては、成形品から分解物等(ガス成分)が発生し、電子、電気機器を汚染してしまうことがある。よって、樹脂に含まれるガス成分低減化が要求される。
射出成形などの溶融成形においては、成形時の熱安定性や成形性を向上させるため、添加剤として離型剤、分散剤、防曇剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤などが用いられるが、樹脂からの発生ガス成分の微量な領域では、添加剤自身の分解物も多く検出されるため、周辺部品の汚染に繋がることが多数見られる。
これより、樹脂中のモノマー、オリゴマー、分解物及び添加剤由来分解物のような有機ガスの発生に伴う汚染の問題を解決するため、成形品を真空ベーキングにより脱ガス処理を行った方法などがされている。また、この真空ベーキング時間を短縮するために、前もって揮発成分を少なくするため、特許文献1では、発生ガスの主成分がテトラヒドロフラン(THF)であると推定して、THFの発生を低減すべく末端水酸基濃度の低いポリブチレンテレフタレートを使用することを提案しており、特許文献2では、成形前の樹脂組成物の熱気流下での乾燥時間を延長して揮発成分の発生を低減することを提案している。また、特許文献3では重合時の触媒残量を少なくすることにより揮発性ガスの発生量を低く抑えること、特許文献4では溶融混練時に脱気または、100〜140℃で脱気することで発生ガス量を低減することが提案されているが、いずれの場合も、大幅な低減には至っていない。そして、真空ベーキングによる脱ガス処理方法の場合は、生産性が低く、コストアップに繋がるだけでなく、成形品の靭性が低下し脆くなり、中分子量のものが表面にブリードしたまま固化してしまい、余計に汚染されるような危険性がある。
このように真空ベーキングによる脱ガス処理を施すことで、様々なリスクが生じることから、ベーキング工程を設けることなく、大幅に発生ガス成分量が低減された樹脂組成物が求められている。
特開平6−9858号公報 特開平6−15788号公報 特開2000−72959号公報 特開2004−217898号公報
また、発生ガス成分の低減を目的に、成形体を構成する樹脂の末端水酸基濃度を、末端封鎖剤や添加剤を使用することなく、低くするためには、樹脂の重合度を高くする必要がある。しかし、同時に衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性を全て満足させることは、これまでできていなかった。
本発明は真空ベーキングによる脱ガス処理を施さなくても、成形品から発生するガス成分量が大幅に低減した熱可塑性樹脂組成物であって、同時に衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性を全て満足する熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。そして、この組成物を用いた成形品を提供することにある。
本発明者等は上述の問題を解決するため鋭意研究をかさねた結果、本発明に到達した。本発明は以下の通りである。
[1]ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られる芳香族ポリエステル樹脂(A)50〜100重量部と、
ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるハードセグメント(a)70〜95重量%と、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールから得られるソフトセグメント(b)5〜30重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(B)0〜50重量部とを含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、
該熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の設定温度260℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が20g/10min以上であり、かつシャルピー衝撃強度が3.2KJ/m以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[2]前記芳香族ポリエステル樹脂(A)が、還元粘度0.50〜0.85dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂と、還元粘度0.90〜1.40dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂からなる前記[1]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[3]摩擦係数が0.2以下である前記[1]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[4]OH末端基数が50eq/ton以下である前記[1]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂からなる電気電子部品成形体。
本発明の樹脂組成物は、OH末端基数を低減させ、なお且つ、ナフタレン環骨格をもっているため、ポリブチレンテレフタレート樹脂と比較すると、樹脂中に占めるブタンジオールの割合が非常に少なく、THF発生量が少なくなっている。また、ポリブチレンナフタレート樹脂は結晶構造が特殊であり、結晶化すると平面状にナフタレン環が並ぶため、ガスバリア性に優れていることが、従来より言われているが、この効果により発生ガス成分量も低減されていると考えられる。そして、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)とポリエステルブロック共重合体をポリマーブレンドすること、及びPBN樹脂のみであっても、還元粘度の異なるPBN樹脂を組み合わせて用いることで、物性強度を保持しつつ靭性を兼ね合わせた樹脂材料を開発した。すなわち、本発明の樹脂組成物は、衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性を全て満足する熱可塑性樹脂組成物である。これより、本発明の樹脂組成物は、電気部品、家電製品、自動車内外装部品などの分野で好適な低ガス熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを可能にする。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に用いられる芳香族ポリエステル樹脂(A)とは、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるポリエステルである。ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、炭素数1〜4の脂肪族アルコールとのエステル化合物などが上げられる。1,4−ブタンジオール以外の分子量300以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどが上げられる。1,4−ブタンジオールは、芳香族ポリエステル樹脂を構成する全脂肪族ジオール成分のうち、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A)の好ましい製造方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と低分子量の脂肪族ジオールを触媒及びヒンダートフェノール化合物の存在下にエステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などが挙げられる。主に、溶融重合にてエステル交換法もしくは直接エステル化法であってもよく、還元粘度が0.50〜0.85dl/g好ましくは0.60〜0.85dl/gが望ましい。さらにこのようにして得られた芳香族ポリエステル樹脂(A)はその融点よりも低い温度にて固相重縮合反応を行い、還元粘度が1.00〜1.40dl/gになるまで分子量を上げることが望ましい。固相重縮合反応後の芳香族ポリエステル樹脂の還元粘度は、1.00〜1.40dl/gが、より好ましい。反応に用いる触媒としては、チタン触媒が良好であり、その中でもテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒としては公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A)は、還元粘度0.50〜0.85dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂[A1]と、還元粘度0.90〜1.40dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂[A2]からなる混合物であることが好ましい。特に、本発明の樹脂組成物が芳香族ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、ポリエステルブロック共重合体(B)0重量部からなる場合は、衝撃強度をはじめとする機械物性、耐摩耗性、成形性を全て満足させるためには、還元粘度の異なるPBN樹脂の混合物を用いることが望ましい。
[A1]の還元粘度は、0.60〜0.85dl/gであることが、[A2]の還元粘度は、1.00〜1.40dl/gであることがより好ましい。[A1]と[A2]の還元粘度の差は、0.50〜0.90dl/gであることが好ましく、0.15〜0.80dl/gであることがより好ましい。
[A1]と[A2]の配合比は、重量比で、[A1]/[A2]が10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましい。このとき、[A1]と[A2]の還元粘度から、加重平均で算出した芳香族ポリエステル樹脂(A)の還元粘度は、0.80〜1.10dl/gが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いられるポリエステルブロック共重合体(B)は、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるハードセグメント(a)70〜95重量%と、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールから得られるソフトセグメント(b)5〜30重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体である。
ハードセグメント(a)成分を構成するジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸成分が好ましい。特に2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、炭素数1〜4の脂肪族アルコールとのエステル化合物などが上げられる。
その他、本願発明の効果を損なわない範囲で、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸、もしくはそのアルキルエステル、酸無水物を共重合成分とすることができる。
ハードセグメント(a)成分を構成する1,4−ブタンジオール以外の分子量300以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどが上げられる。1,4−ブタンジオールは、ハードセグメント(a)成分を構成する全脂肪族ジオール成分のうち、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
ソフトセグメント(b)成分を構成するジカルボン酸成分としては、ハードセグメント(a)成分を構成するジカルボン酸成分と同一である。
ソフトセグメント(b)成分を構成する数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体等が上げられる。これらの中で、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが特に好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、800〜1200が好ましい。
ハードセグメント(a)成分は、70〜90重量%が好ましく、70〜80重量%がより好ましい。ソフトセグメント(b)成分は、10〜30重量%が好ましく、20〜30重量%がより好ましい。
ポリエステルブロック共重合体(B)としては、上記したハードセグメント(a)成分とソフトセグメント(b)成分からなる共重合体を、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、もっとも好ましくは100重量%を構成成分とする。
本発明に用いるポリエステルブロック共重合体(B)の好ましい製造方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と低分子量の脂肪族ジオール及び数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールを触媒及びヒンダートフェノール化合物の存在下にエステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などが挙げられる。おもに溶融重合にてエステル交換法もしくは直接エステル化法であってもよく、還元粘度が0.50〜0.85好ましくは0.70〜0.85が望ましい。反応に用いる触媒としては、チタン触媒が良好であり、その中でもテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒としては公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に用いられる芳香族ポリエステル樹脂(A)は50〜100重量%であり、好ましくは80〜100重量%である。ポリエステルブロック共重合体(B)は0〜50重量%であり、好ましくは0〜20重量%である。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、設定温度260℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が20g/10min以上である。MFIは後記する測定法に準拠したものである。MFIは、25g/10min以上がより好ましい。MFIの好ましい上限は、40g/10min以下である。
MFIを20g/10min以上にするためには、上記した組成を適宜調整することにより得られる。中でも、芳香族ポリエステル樹脂(A)の還元粘度が、0.50〜1.10dl/gである事が好ましく、0.50〜0.85dl/gである事がより好ましい。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度が3.2KJ/m以上である。シャルピー衝撃強度は、後記する測定法に準拠したものである。シャルピー衝撃強度は、3.5KJ/m以上が好ましい。シャルピー衝撃強度の好ましい上限は、7.0KJ/m以下である。
シャルピー衝撃強度を3.2KJ/m以上とするには、上記した組成にすることにより達成できる。芳香族ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、ポリエステルブロック共重合体(B)0重量部からなる場合は、還元粘度の異なるPBN樹脂の混合物を用いることが望ましい態様である。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、摩擦係数が0.2以下であることが好ましい。摩擦係数は、後記する測定法に準拠したものである。摩擦係数が0.2以下を達成するためには、上記した組成を適宜調整することにより得られるが、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に用いられる芳香族ポリエステル樹脂(A)90〜100重量%、ポリエステルブロック共重合体(B)は0〜10重量%とすることが好ましい態様である。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、OH末端基数が50eq/ton以下であることが好ましい。OH末端基数は、後記する測定法に準拠したものである。OH末端基数が50eq/ton以下とするためには、上記した組成にすることにより達成できる。
さらに、本発明に用いられる芳香族ポリエステル樹脂(A)、ポリエステルブロック共重合体(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて種々の添加剤を配合して組成物を得ることができる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、芳香族ポリエステル樹脂(A)、ポリエステルブロック共重合体(B)及び、必要に応じてその他の添加剤を単軸もしくは二軸のスクリュー式溶融混錬機、または、ニーダー式加熱機に代表される通常の熱可塑性樹脂の混合機を用いて溶融混錬するか、または、熱可塑性樹脂を有機溶剤、または水を溶媒として容器内で攪拌し、溶液、または分散体とする方法が挙げられる。溶融混錬等による混合の場合、引き続き造粒工程によりペレット化するか、もしくは直接被着材に塗布することが可能である。また、攪拌による溶液、分散体を製造した場合も直接被着体に塗布することができる。このうち最も好ましい製造装置は、二軸スクリュー方式による押出し機である。
本発明は、これら樹脂組成物を用い射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、ブロー成形などにより得られた成形品を含む。なかでも、射出成形への利用が好ましい。射出成形は、樹脂組成物と金型との接触時間が長く、また、成形品がさまざまな環境で使用される可能性が高いためガスによる不良の低減が顕著に現れる。また、得られた射出成形品は高温環境下でもガスの発生が少なく、周辺部材の汚染を防ぐことが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で使用した材料及び評価項目の測定法は以下の通りである。実施例中の部、及び%は特に記載がない場合は質量基準である。
(1)曲げ強度:
ASTM D790に準拠した。
(2)樹脂組成物からの発生ガス(アウトガス)分析の測定方法:
ガスクロマトグラフィー/質量分析装置(GC/MS)より求めた。条件は以下の通りで行った。tenax管(内径4mm:GLサイエンス社製)に、加熱発生ガス濃縮導入装置(TCT CP−4020:GLサイエンス社製)をセットした。tenax管に試料を入れ、150℃、20分間加熱し、Heパージにて発生ガスをGC/MS(HP−6890/HP−5973:Agilent社製)へ導入した。検出成分は全てトルエン換算にて定量を行った。
(3)酸価:
測定試料0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、試料1ton中の当量(当量/トン)より求めた。
(4)還元粘度:
測定試料0.02gを混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)10mlに溶解させ、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。単位は、dl/gである。
(5)OH末端基数:
試料15mgを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP−d2)+重水素化クロロホルムCDCl(1+1) 0.1mlに溶解し、0.0125Mのトリエチルアミン(TEA)を含む0.42mlのCDClで希釈させ、重ピリジン30μlを添加し、下記に記載したと同様の方法でH−NMRを測定した。
〔NMR測定〕
装置 : フーリエ変換核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 : 重水素化クロロホルム
試料溶液濃度 : 3〜5vol%
H共鳴周波数: 500.13MHz
検出パルスのフリップ角: 45°
データ取り込み時間: 4秒
遅延時間 : 1秒
積算回数 : 50〜200回
測定温度 : 室温
(6)シャルピー衝撃強度:
JIS K7111に準拠した。破壊できなかった場合は、「NB」と記す。
(7)メルトフローインデックス(MFI):
ASTM D1238に準拠し、設定温度は260℃、荷重2160gで実施した。十分流動せず測定できなかった場合は、「ND」と記す。
(8)摩擦係数:
JIS K7218のA法に準拠して動摩擦係数を測定した。相手材料はS45C、試験速度30cm/秒、荷重98N(10kg)、滑り距離500m(50min)である。
(9)溶出イオン:
イオン交換水に、ペレットを50℃、1時間の条件にて浸漬後、イオンクロマトグラフィー装置にて塩素イオン含有量(ストッパー成形品の質量に対する塩素としての質量)を測定した。
(実施例1〜8、比較例1〜7)
予備乾燥した成分を表1に示した配合比(質量比)に従い計量して、二軸押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM30)でシリンダー温度260℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でシリンダー温度260℃、金型温度80℃にて各種試験用テストピースを成形して評価に供した。評価結果を表1に示した。
Figure 2011241265
*1)成分A−1:2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ブタンジオールから、ポリブチレンナフタレート樹脂を溶融重合にて製造した。
還元粘度は0.75dl/gであった。
*2)成分A−2:成分A−1を220℃×30hrにて固相重合したポリブチレンナフタレート樹脂を製造した。
還元粘度は1.30dl/gであった。
*3)成分A−3:成分A−1を220℃×10hrにて固相重合したポリブチレンナフタレート樹脂を製造した。
還元粘度は1.00dl/gであった。
*4)PBT:テレフタル酸、1,4−ブタンジオールから、ポリブチレンテレフタレート樹脂を溶融重合にて製造した。
還元粘度は0.70dl/gであった。
*5)成分B−1:2,6−ナフタレンジカルボン酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)が、ハードセグメント/ソフトセグメント=80/20wt%のポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体を製造した。
*6)成分B−2:2,6−ナフタレンジカルボン酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量1000)が、ハードセグメント/ソフトセグメント=70/30wt%のポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体を製造した。
成分(A−1)、(A−3)のみではシャルピー衝撃強度が低く(比較例1、3)、成分(A−2)のみでは物性、アウトガス量は良好であるが、非常に高粘度であるため、流動性が低く成形性が悪かった(比較例2)。
実施例1,2では低粘度、高粘度PBN樹脂を組み合わせることでバランスのとれた材料になった。また、実施例3〜8は、PBN樹脂とポリエステルブロック共重合体(B−2)のポリマーブレンドであり、曲げ強度が少し低下するが、衝撃強度、耐摩耗性、成形性(MFI)及び、アウトガス量においてバランスの取れた材料になった。
また、PBTを評価した比較例4では、アウトガス量が非常に多かった。比較例5、6では柔軟化しすぎて物性が不十分であった。比較例7では、PBN樹脂の粘度が高いため、成形性(MFI)が悪かった。
本発明により、分解物を限りなく低減させ、さらには溶出イオン量も低減させた非常にクリーン性に優れており、さらには機械物性、耐摩耗性、摺動性、適度なクッション性が良好であるため、電気部品、家電製品、自動車内外装部品、クリーン性を求められているのに好適な成形品を提供できる。

Claims (5)

  1. ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られる芳香族ポリエステル樹脂(A)50〜100重量部と、
    ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とする分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるハードセグメント(a)70〜95重量%と、ナフタレン環を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、数平均分子量500〜1500のポリアルキレングリコールから得られるソフトセグメント(b)5〜30重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(B)0〜50重量部とを含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、
    該熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の設定温度260℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が20g/10min以上であり、かつシャルピー衝撃強度が3.2KJ/m以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記芳香族ポリエステル樹脂(A)が、還元粘度0.50〜0.85dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂と、還元粘度0.90〜1.40dl/gであるポリブチレンナフタレート樹脂からなる請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 摩擦係数が0.2以下である請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  4. OH末端基数が50eq/ton以下である請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂からなる電気電子部品成形体。
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