JP2011240307A - 窒素酸化物浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】NOx浄化能に影響を与えることなく、優れたNOx浄化能を実現し得るシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒を備えた、窒素酸化物浄化システムであって、空燃比(A/F)を5またはそれより大きく且つ17またはそれより小さい範囲に制御することを特徴とする、窒素酸化物浄化システム。
【選択図】図5

Description

本発明は、窒素酸化物(以下、NOと略記することもある。)浄化用触媒を備えた窒素酸化物浄化システム、および前記触媒の使用方法に関する。さらに詳しくは空燃比(A/F)を制御して、低温でのNO浄化を可能とするシステムおよび方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、排ガス規制が世界的に年々強化されている。この対応策として、内燃機関においては、排ガス浄化触媒が用いられる。この排ガス浄化触媒において、排ガス中のHC、COおよびNOを効率的に除去するために、触媒成分としてPt、Pd、Rh等の貴金属が使用されている。
この浄化用触媒を用いた自動車、例えばガソリンエンジン車あるいはディーゼルエンジン車では触媒活性とともに燃費の向上を図るために種々のシステムが用いられている。例えば、燃費を上げるために定常運転中では空燃比(A/F)がリーン(酸素過剰)の条件で燃焼させ、触媒活性を向上させるために一時的にストイキ(理論空燃比、A/F=14.7)〜リッチ(燃料過剰)の条件で燃焼させている。
しかし、従来公知のPt、Pd、Rh等の貴金属触媒は低温および酸化条件でのNO浄化性能が低く、浄化性能を高めるために浄化用触媒を高温にすることとHC(ハイドロカーボン)又はCO等を加えることによる還元雰囲気を必要とする。この触媒活性への影響から、定常運転中でも空燃比(A/F)を大きくできず前記貴金属触媒では燃費の向上に限界がある。
このように従来公知の貴金属触媒では、浄化性能を得るために浄化用触媒を高温にするためのエネルギーと浄化用触媒を一時的に還元雰囲気にするための燃料とエンジンでの空燃比(A/F)を低くすることが必要であり、自動車用エンジンを始め内燃機関の燃費を向上するためには低温および/又は酸化雰囲気でNO浄化性能を発揮し得る新たな浄化用触媒が求められている。
一方、前記の貴金属触媒はいずれも資源枯渇の問題を抱えており、他の金属を用いて従来の貴金属触媒と同程度以上の浄化性能を有する触媒又は貴金属の使用量を少なくし得る浄化触媒が求められている。
このため、浄化用触媒について種々の改良の試みがなされている。
例えば、特開平8−257403号公報(特許文献1)には、遷移金属原子の少なくとも1種類と、Al、Siのうち少なくとも1種類の元素を含む複合酸化物より成り、かつ前記遷移金属が表面の一部を形成してなる高耐熱性でNO浄化性能に優れた排ガス浄化触媒が記載されている。
また、特許第3760717号公報(特許文献2)には、金属酸化物又は炭素質材料の担体に高温高圧流体を用いてPt、Pd、Rh、Ru、Ir、Os、Au、Ag、Cu、Fe、Niからなる群から選択される少なくとも一種の金属の超微粒子を担持させた低温有害ガス浄化触媒が記載されている。そして、前記公報には具体例としてPt、Pd、Rh、Ru、Fe、Ni又はAuの1種類を高温高圧法又は超臨界法で担持させた浄化触媒が示されている。
さらに、特開2003−190787号公報(特許文献3)には、主成分の12Cao・7Alに金、銀、鉄、亜鉛、マンガン、セリウム及び白金族元素の中から選ばれた1種又は2種以上を担持したエンジン排ガス浄化用触媒が記載されている。そして、具体例として主成分の12Cao・7Alに金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄、亜鉛、マンガン、セリウム又はロジウムを単独又は銀とロジウム、ルテニウム又は銅との2種類を担持させた浄化用触媒は酸素ラジカルによる微粒子物質(PM)の酸化反応によって燃焼温度を低下させる効果を奏することが示されている。しかし、前記公報には2種類の金属の位置関係については規定されていない。
これら公知の浄化用触媒では低温および酸化雰囲気でNO浄化性能を奏することは不可能であったが、本願発明者らによって、低温および酸化雰囲気でもNO浄化性能を奏し得る新規な触媒が開発された。(特許文献4、特願2009−244704号明細書)
特開平8−257403号公報 特許第3760717号公報 特開2003−190787号公報 特願2009−244704号明細書
本願発明者らが開発した前記の触媒は、低温でNO浄化性能を奏し得るものである。この触媒は、固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒である。このことから、この触媒では、FeAu合金を活性点として使用することによって、450℃程度の低い温度でもNOx浄化すると考えられる。
しかしながら、活性点すなわちFeAu合金の状態が雰囲気に応じて変化し、NOx浄化能に影響を与えることが考えられる。
そこで、本発明の目的は、NOx浄化能に影響を与えることなく、優れたNOx浄化能を実現し得るシステムおよび方法を提供することである。
本発明により次が提供される。
(1)固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒を備えた、窒素酸化物浄化システムであって、空燃比(A/F)を5またはそれより大きく且つ17またはそれより小さい範囲に制御することを特徴とする、窒素酸化物浄化システム。
さらに、本発明により次が提供される。
(2)空燃比(A/F)を10またはそれより大きく且つ12またはそれより小さい範囲に制御することを特徴とする、(1)に記載の窒素酸化物浄化システム。
さらに、本発明により次が提供される。
(3)固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒を、5またはそれより大きく且つ17またはそれより小さい範囲の空燃比(A/F)で、用いることを特徴とする、窒素酸化物を浄化する方法。
さらに、本発明により次が提供される。
(4)空燃比(A/F)を10またはそれより大きく且つ12またはそれより小さい範囲とすることを特徴とする、(3)に記載の方法。
本発明によれば、NOx浄化能に影響を与えることなく、優れたNOx浄化能を実現し得る窒素酸化物浄化システム、および窒素酸化物を浄化する方法を提供することができる。
図1は、本発明で用いられるNO浄化用触媒の模式図である。 図2は、固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態の一例を示す模式図である。 図3は、窒素酸化物浄化システムの制御例を示したフローチャートである。 図4は、本発明の実施例において用いたPLD(Pulsed Laser Deposition)装置の模式図である。 図5は、空燃比(A/F)を約4〜18の範囲で変化させたときの、NO浄化率(%)および表面Fe濃度(at.%)を示したグラフである。 図6は、NO流通下での、異なる表面Fe濃度におけるN1s XPSスペクトルである。 図7は、H還元処理温度に対するAuFe薄膜の表面元素濃度(XPS)のグラフである。
本発明に用いられるNO浄化用触媒は、固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している。
前記の固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態とは、Au原子およびFe原子の一方の原子に接して他方の原子の少なくとも1つが固体、例えばナノ粒子(一次粒子)中又は薄膜中で存在している状態のことをいう。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明に用いられるNO浄化用触媒は、例えば図1の(1)に示すように担体、例えば酸化物担体上でAu原子とFe原子とが均一に分散した完全固溶(合金化)して近接した状態であってもよく、又は図1の(2)に示すように酸化物担体上にAu原子が積層された薄膜上にFe原子が積層されて積層面でAu原子とFe原子とが近接した状態(又はこの逆の構成であってもよい)であってもよく、又は図1の(3)に示すように酸化物担体上にAu原子とFe原子とが各々一部の領域に積層されてその境界でAu原子とFe原子とが近接した不完全固溶状態であってもよい。前記の図1の(2)に示す構成であっても、加熱によって少なくとも近接した両元素の固溶(合金化)が進むと考えられる。また粒子であればコアシェルの構造であってもよい。
本発明に用いられるNO浄化用触媒は、前記のように、固体中、例えばナノ粒子又は薄膜中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している。このため、両原子が近接している部分には両原子と合金化可能な他の金属原子は含まれ得るが、両原子と合金化が不可能な不活性物質、例えば担体材料は両原子が近接した状態を確保し得る範囲でのみ含まれ得る。従って、担体を使用する必要がある場合は、本発明に用いられるNO浄化用触媒は、例えば担体を構成する材料のナノ粒子を核として両金属が近接したナノ粒子を得るか又は担体基板に前記のAu原子とFe原子とを積層、薄膜化することによって得ることができる。
前記のAu原子とFe原子の両原子と合金化可能な他の金属原子としては、例えば合金化によってAuの耐熱性を改善し得るW(タングステン)を挙げることができる。
また、前記の担体材料としては、Al(アルミナ)、ZrO(ジルコニア)、CeO(セリア)、TiO(チタニア)や炭化ケイ素を挙げることが出来る。
そして、本発明に用いられるNO浄化用触媒が薄膜である場合、最外層は図1の(1)、(2)又は(3)のいずれであってもよく、例えば図1の(2)に示すように最外層はFeの薄層又はAuの薄層のいずれでもあってよく、好適にはFeの薄層であってよい。本発明に用いられるNO浄化用触媒は、図1の(2)の態様である場合には、例えば最外層が0.25〜10nm、特に1〜5nmのFe薄層で、最内層は10〜50nmのAu薄層である薄膜、又は最外層が0.25〜10nm、特に1〜5nmのAu薄層で、最内層が10〜100nm程度のFe薄層からなる薄膜であり得る。
前記の薄膜において、Feの堆積量、酸化還元雰囲気、加熱温度および加熱時間を変えることによって最外層における両元素の組成を変えることが可能である。
前記のNO浄化用触媒、例えば薄膜状の触媒は、好適には加熱してAuとFeとを合金化し得る。
前記の加熱は、例えば赤外線レーザーで堆積物を還元雰囲気または真空中で450℃以下の温度、例えば350〜450℃に加熱して行い得る。
また、前記の加熱は、輻射加熱方式や電子線加熱であってもよい。また、加熱の際に、堆積物を置く試料台はよく加熱された履歴を持つものが好適であり、例えば加熱により反応性の高いガスを放出しないものが望ましい。
本発明に用いられるNO浄化用触媒は、固体中のFe又はAuの濃度が両元素の合計量に対して0.2〜99.8atm%であることが好ましく、特にatm比が1/13〜12/13であることが好ましい。
また、本発明に用いられるNO浄化用触媒は、図2に示すように、前記固体がAuとFeとを主成分とする一次粒子又は薄膜であって、固体表面のFeもしくはAuの表面濃度が両元素の合計量に対して原子比として1/7〜6/7であることが好ましい。
本発明に用いられるNO浄化用触媒によれば、NO浄化活性を上げるための加熱温度、例えばヒーターによる加熱温度を従来のように高い温度にする必要がない。したがって、該触媒は450℃以下、350℃以下で使用してもよい。これより高い温度で使用することも可能であるが、該触媒の加熱処理時の温度を超えないことが望ましい。一方、該触媒は200℃以上、250℃以上で使用してもよい。これより低い温度で使用することも可能であるが、使用温度が低すぎると、NO浄化性能が規制値等に対して十分でないことがある。
本発明の窒素浄化システムは、前記のNO浄化用触媒を内燃機関の排ガス通路に配設したものであって、さらに空燃比(A/F)を制御するための手段を備えたものである。
本発明の窒素浄化システムでは、空燃比(A/F)が5またはそれより大きく、7またはそれより大きく、または、10またはそれより大きくなるように制御する。且つ、本発明の窒素浄化システムでは、空燃比(A/F)が17またはそれより小さく、15またはそれより小さく、または、12またはそれより小さくなるように制御する。
空燃比(A/F)をこの範囲に制御することにより、低い温度、例えば450℃以下、でも優れたNOx浄化能が実現される。
図3は、本発明の窒素浄化システムの制御例を示したフローチャートである。システムをスタートし、NO浄化用触媒部に導入される内燃機関の排ガスが200℃以上であることを確認する。次に、空燃比(A/F)が5より小さいかどうかを判断し、5より小さければ導入する空気を増量して空燃比(A/F)が5以上になるように制御する。次に空燃比(A/F)が17より大きいかどうかを判断し、17より大きければ導入する燃料を増量して空燃比(A/F)が17以下になるように制御する。
空燃比(A/F)を制御するための手段は、従来から使用されているものを適宜採用することができ、特に制限されない。例えば、空燃比(A/F)を制御するための手段として、フューエルポンプ、フューエルフィルタ、プレッシャレギュレータ、インジェクタ、エアフロメータ、スロットルボディ、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)、イグニションコイルウィズイグナイタ、スロットルポジションセンサ、Oセンサ、エンジン制御ユニット等、およびこれらの組み合わせを適宜採用することができる。
本発明の窒素浄化システムについて、その構成要素が上述のように説明された。本発明は、窒素浄化システムのみならず、上述の構成要素を有する窒素酸化物を浄化する方法も対象とする。
実施例1
本発明の実施例に用いるNO浄化用触媒を、Al(サファイア)基板上にAu、次いでFeを堆積して薄膜を形成させることにより調製した。さらに、この触媒は加熱処理した。該触媒を調製、加熱する工程の詳細は下記のとおりとした。
NO 浄化用触媒の調製
(1)イオンスパッタ(HITACH E101 Energy 100eV、Ion Current 15mA)でAl(サファイア)基板上に、Auスパッタ膜を作製した。2分間×5回でスパッタを行う(合計10分間)ことにより厚さ約30nmの均一なAu膜を堆積させた。
(2)堆積物を、図4に模式図を示す機構を持つPLD(Pulsed Laser Deposition)装置[分析手段:オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)を備えてある]の真空チャンバーに搬送する。
このPLDと分析手段とはIn−situであるのが理想である。ただし、In−situである必要はなく、以下に示す前処理を分析直前に行えるのであれば、一旦大気中に曝して搬送し得る。
(3)Arスパッタを0.5eV、Cham.Pre.で1.8x10−4Torrの条件で30分間、アニールとして450℃、25分間の条件を2回繰り返して、表面前処理を行う。
(4)図4に示すようにエキシマレーザー(LAMBDA PHYSIC、25〜29kV、1〜10Hz、KrF 3000mbar)をチャンバー中に入射し、Feターゲットに当て第2成分(Fe)を表面組成で100%になるまで堆積する。堆積量はAESで確認する。
NO 浄化用触媒の加熱
(5)堆積物を350℃に赤外線レーザーで加熱してFeとAuを合金化した。この加熱は、堆積物を置く試料台はよく加熱された履歴を持ち加熱により反応性の高いガスを放出しないものを用いた。
350℃加熱後のAESによる表面組成は約60:40(Au:Fe、atm比)であった。
NO浄化率の測定
引き続いて、得られた触媒について、NO浄化率を測定した。測定手順は以下のとおりであった。
図4に模式図を示す機構を持つPLD(Pulsed Laser Deposition)装置は、Ar、NO、O、Nを任意の濃度、流量で供給することができる。PLD装置は、内燃機関の排ガスを模擬したモデルガス、すなわち所定の濃度のNOを含んだガス、をPLD装置内で得られた触媒に供給することができ、モデルガスの空燃比(A/F)を随意に調節することができる。
本実施例では、空燃比(A/F)を約4〜18の範囲で変化させた。触媒の表面温度を放射温度計で測定しながら、赤外線ヒーターを調節して、触媒の表面温度が400℃となるようにした。
NO浄化率は、XPSによる解離吸着特性の分析により評価した。具体的には、XPS(測定装置:Φ ESCA1600、測定条件:Monochlo Al−Ka(1486.7eV)、350W、14.0kV)でN1s、O1s、Fe2p3、Au4f等のピークを測定した。エネルギーピークの分析により、NO吸着状態であるか、N/O解離状態であるか、Oが脱離したか、また反応サイトがFe上であるか等を判断できる。この分析をもとに、空燃比(A/F)を約4〜18の範囲で変化させたときの、NO浄化率を評価した。
空燃比(A/F)を約4〜18の範囲で変化させたときの、NO浄化率(%)を図5に示した。空燃比(A/F)を4から上昇させていくと、空燃比(A/F)が5以上でNO浄化率が上昇しだし、空燃比(A/F)が11のときにNO浄化率が最大となり、その後、空燃比(A/F)が18まではNO浄化率が低下した。
上述のとおり、空燃比(A/F)に応じてNO浄化率が変化した。これは触媒の活性点であるFeAu合金の状態が雰囲気に応じて変化し、NO浄化能に影響したものと考えられる。
表面Fe濃度の測定
触媒の活性点であるFeAu合金の状態が雰囲気に応じて変化していたかどうかを確認するために、表面Fe濃度の測定を行った。表面Fe濃度の測定は、AES(オージェ電子分光分析:Auger Electron Spectroscopy)によって行った。AES(測定装置:KITANO SEIKI KCMA2002、測定条件:Energy 1.5kV、Fil.Cur.1.9A、Emi.Cur.0.9mA)でFeおよびAuのピーク強度の測定し、表面Auと表面Feの合計を100%として、表面Fe濃度を計算した。
空燃比(A/F)を約4〜18の範囲で変化させたときの、表面Fe濃度(at.%)を図5に示した。前記加熱処理後には、表面Fe濃度は40at.%であった。空燃比(A/F)を4から上昇させていくと、空燃比(A/F)が5以上で表面Fe濃度(at.%)が上昇しだし、空燃比(A/F)が18で表面Fe濃度が100at.%に達した。つまり、酸化雰囲気であるほど、表面Fe濃度は高かった。
図5には、空燃比(A/F)、NO浄化率(%)および表面Fe濃度(at.%)の関係を示された。空燃比(A/F)の変化に応じて、NO浄化率が変化し、表面Fe濃度(at.%)も変化した。ある程度までは、表面Fe濃度が上昇するにつれて、NO浄化率も上昇した。しかし、表面Fe濃度が高くなりすぎると、NO浄化率は低下した。これは触媒の活性点であるFeAu合金の状態が雰囲気に応じて変化し、NO浄化能に影響したものと考えられる。
表面Fe濃度とNO吸着解離の関係
上記のとおり、触媒の活性点であるFeAu合金の状態が雰囲気に応じて変化し、NO浄化能に影響を与えたと考えられる。これに関連して、表面組成(Fe:Au、atm比)に応じて、吸着させたNOがどの程度解離するかを測定した。
表面組成(Au:Fe、atm比)が100:0と、60:40のAuFe薄膜を用意し、約1〜10Langmuir(5.0x10−6Pa、44s/1Langmuir 室温)のNOガスをチャンバーに導入して、それぞれのAuFe薄膜にNOガスを吸着させた。
前述のXPSによるNO浄化率の測定と同様にして、N1sのピークを測定した。図6にN1sのピークの測定結果を示す。N1sのピークは、NOが解離したNピークであると考えられる。
図6によれば、表面組成(Au:Fe、atm比)が60:40では、NOが解離したNピークが見られるが、表面組成(Au:Fe、atm比)が100:0では、NOが解離したNピークは見られない。つまり、Fe表面濃度が低すぎると、NOを吸着解離しなかった。このことは、図5に示される、Fe表面濃度が低いときに、NO浄化率が低かったことと合致している。
還元処理とAuFe薄膜の表面元素濃度(XPS)の関係
一方、空燃比(A/F)が高くなるにつれ、表面Fe濃度が上昇し、この表面Fe濃度が高くなりすぎると、NO浄化率は低下した(図5参照)。これは、酸化雰囲気でAuFeのFeが酸素で被毒され、AuFeが合金状態でなくなり、NO分解が促進されなくなったためと考えられる。もし、酸化したFeを還元処理して、AuFe合金の状態に戻すことが可能であれば、優れたNO浄化率を復活させることができると予想される。
これに関連して、一度酸化したAuFe薄膜を、H還元処理をしたときに、AuFe薄膜の表面元素濃度がどのように変化するかを調査した。
空燃比(A/F)18の排ガスに曝したAuFe薄膜(Feが酸化している)を用意し、3×10−8TorrのHガスをチャンバーに導入した。赤外線レーザーで触媒試料を50℃ずつ昇温して加熱し、前述のXPSによるNO浄化率の測定と同様にして、Fe2p3、Au4f、O1sのピークを測定し、それぞれの表面元素濃度を求めた。図7に、H還元処理温度に対するAuFe薄膜の表面元素濃度(XPS)のグラフを示す。
図7によれば、Hガスを流して、温度を200℃〜550℃まで上昇させても、表面組成(Fe、Au、O)に、大きな変化は見られなかった。つまり、一度、酸化したFeが表面に現れると、還元して、AuFe合金に戻すことは困難であると考えられる。したがって、本発明に用いられるNO浄化用触媒は、AuFe合金の状態を保つように、空燃比(A/F)を制御して、使用することが望ましい。

Claims (4)

  1. 固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒を備えた、窒素酸化物浄化システムであって、空燃比(A/F)を5またはそれより大きく且つ17またはそれより小さい範囲に制御することを特徴とする、窒素酸化物浄化システム。
  2. 空燃比(A/F)を10またはそれより大きく且つ12またはそれより小さい範囲に制御することを特徴とする、請求項1に記載の窒素酸化物浄化システム。
  3. 固体中でAu原子とFe原子とが近接した状態で存在している触媒を、5またはそれより大きく且つ17またはそれより小さい範囲の空燃比(A/F)で、用いることを特徴とする、窒素酸化物を浄化する方法。
  4. 空燃比(A/F)を10またはそれより大きく且つ12またはそれより小さい範囲とすることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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