以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の定着装置の一実施形態を適用した画像形成装置の主要部を拡大して示す断面図である。この画像形成装置1は、電子写真法に基づくものであり、感光体ドラム2、転写ベルト3、定着装置4等を備えている。感光体ドラム2は、その表面に光感光層を有するものであって、一定の回転速度で矢印Aの方向に回転駆動されている。この感光体ドラム2の回転に伴い、帯電装置(図示せず)により感光体ドラム2の表面が所定の電位に均一に帯電され、露光装置(図示せず)により感光体ドラム2の表面が露光されて、その表面に静電潜像が形成され、現像装置(図示せず)により感光体ドラム2の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
転写ベルト3は、感光体ドラム2の表面速度と同一の速度で矢印Bの方向に周回駆動されており、感光体ドラム2に圧接されて、相互間にニップ域を形成している。このニップ域には、その下方から搬送されて来た記録用紙Pが導入され、このニップ域で記録用紙Pが搬送されつつ、感光体ドラム2表面のトナー像が記録用紙Pに転写される。転写ベルト3には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
この記録用紙Pは、上方に搬送されて、定着装置4へと導かれ、ここで加熱及び加圧されて、記録用紙P上のトナー像が定着される。この記録用紙Pは、搬送経路5を通じて更に上方へと搬送され、排紙トレイ(図示せず)等に排出される。
図2は、本実施形態の定着装置4を示す断面図である。図2に示すように定着装置4は、加圧ローラ11、加熱ローラ12、加熱補助ローラ13、及び加熱ローラ12と加熱補助ローラ13間に架け渡された無端状の定着ベルト14を備えており、加圧ローラ11と加熱ローラ12を定着ベルト14を介して相互に押圧して、定着ベルト14と加圧ローラ11間にニップ域Nを形成している。
加圧ローラ11は、中空軸の外表面に弾性層を設け、この弾性層の外表面に離型層を形成してなる3層構造のローラである。この加圧ローラ11内部(中空軸の内部)には、該ローラ11を加熱する熱源のヒータランプ(ハロゲンランプ)が設けられている。
加熱ローラ12は、中空軸の外表面に弾性層を設けたものであるが、弾性層が十分に厚くされている。
定着ベルト14は、熱伝導が良好な材質からなる無端状のベルトであって、その外周面に離型層を有する。
加熱補助ローラ13は、中空軸の外表面に表層を設けたものであり、加熱補助ローラ13内部(中空軸の内部)には、該ローラ13を加熱する熱源のヒータランプ(ハロゲンランプ)が設けられている。
ここで、加熱ローラ12の弾性層が十分に厚くされていることから、加圧ローラ11と加熱ローラ12が定着ベルト14を介して相互に押圧されると、加熱ローラ12の弾性層が大きく凹んで、定着ベルト14と加熱ローラ12間に広いニップ域Nが形成される。各ローラ11、12、13がそれぞれの矢印の方向に回転されると、加熱補助ローラ13により定着ベルト14が加熱されつつニップ域Nを介して周回移動する。この状態で、記録用紙がニップ域Nを通じて搬送されると、記録用紙が定着ベルト14及び加圧ローラ11により加熱及び加圧され、記録用紙上のトナー像が定着される。
一方、定着装置4は、加圧ローラ11の周面を清掃するクリーニングユニット6を備えている。このクリーニングユニット6は、オイル(シリコンオイル等)を含侵した薄い(100μm厚み前後)布からなるウェブシート21を巻き付けた送り出しローラ22と、ウェブシート21の先端を接続した巻取りローラ23と、送り出しローラ22から送り出されて巻取りローラ23へと巻き取られるウェブシート21を架け渡す複数のテンションローラ24と、送り出しローラ22と巻取りローラ23間でウェブシート21を加圧ローラ11に圧接させる圧接ローラ25とを備えている。圧接ローラ25によりウェブシート21が加圧ローラ11表面に圧接され、ウェブシート21により加圧ローラ11表面に付着している付着トナーが拭きとり除去される。
ウェブシート21は、記録用紙の印刷枚数、印刷処理時間、トナーの消費量に応じて、巻取りローラ23に少しずつ巻き取られて、送り出しローラ22から少しずつ送り出される。これにより、圧接ローラ25と加圧ローラ11間のニップ域におけるウェブシート21の部分が更新されて、ウェブシート21による清掃能力が維持される。
ところで、このような定着装置4において、定着用の加圧ローラ11や加熱ローラ12の駆動源を、ウェブシート21の送り出しローラ22や巻取りローラ23を回転させるためにも兼用することが好ましいが、定着用の各ローラ11、12の回転速度と比較して、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が非常に低いため、大きな減速比が必要となる。
また、後で詳しく述べるように定着用の各ローラ11、12を圧接させた圧接状態と、定着用の各ローラ11、12間の圧力を解除した圧解状態とを切替えて設定するべく、定着用の各ローラ11、12の軸間距離を変更している。そして、この軸間距離の変更に伴い、加熱ローラ12の軸とウェブシート21の各ローラ22、23の軸との位置関係も変化するが、この位置関係が変化しても、各ローラ11、12、22、23を共に回転させる必要がある。例えば、厚手の封書等を印刷するときには、定着用の各ローラ11、12間を圧解状態に設定するが、このときにも加圧ローラ11の周面を清掃するべく、定着用の各ローラ11、12だけではなく、ウェブシート21の各ローラ22、23をも回転させるのが好ましい。
そこで、本実施形態では、画像形成装置の駆動源により定着装置4の定着用の各ローラ11、12を回転駆動し、カム、揺動レバー、及びワンウェイクラッチを用いることにより、定着用の各ローラ11、12の回転を大幅に減速してウェブシート21の各ローラ22、23に伝達し、かつ定着用の各ローラ11、12の軸間距離の変化にかかわらず、定着用の各ローラ11、12及びウェブシート21の各ローラ22、23を共に回転させている。
また、定着用の各ローラ11、12とウェブシート21の各ローラ22、23を連動させた場合は、定着用の各ローラ11、12の回転速度が変更されると、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度も変わる。例えば、カラー画像及びモノクロ画像のいずれを印刷するかによってプロセス速度が変更され、これに伴って定着用の各ローラ11、12の回転速度が変更されることがある。更に、定着用の各ローラ11、12の軸間距離が変わると、カムや揺動レバー等の位置関係が変わり、これによってもウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変わる。
そして、このようにウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変わると、ウェブシート21の適確な巻取り量が維持されなくなる。このため、ウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間と停止期間を切替えることができるようにして、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度を制御している。
次に、そのようなカム、揺動レバー、及びワンウェイクラッチを用いた回転駆動機構を詳しく説明する。
図3は、加圧ローラ11の軸11a、加熱ローラ12の軸12a、加熱補助ローラ13の軸13a、送り出しローラ22の軸22a、巻取りローラ23の軸23a、各テンションローラ24、及び圧接ローラ25の軸25aの位置関係を模式的に示す側面図である。
また、図4は、加圧ローラ11の軸11a、加熱ローラ12の軸12a、送り出しローラ22の軸22a、巻取りローラ23の軸23aに固定されたそれぞれのギア11G、12G、22G、23Gと、各ギア11G、12G、22G、23Gに回転を伝達する他のギア等を模式的に示す側面図である。
ここで、定着装置4の定着用の各ローラ11、12やウェブシート21の各ローラ22、23の駆動源は、画像形成装置1側に設けられており、定着装置4が画像形成装置1に着脱自在に装着されたときに、画像形成装置1側の回転駆動されている出力軸のギア(図示せず)が定着装置4の入力軸の入力ギア31Gに歯合して、入力ギア31Gが回転駆動される。
入力ギア31Gが回転駆動されると、入力ギア31Gに固定の小ギア31gが回転駆動され、小ギア31gに歯合する加圧ローラ11のギア11Gが矢印方向に回転して、加圧ローラ11も同方向に回転する。
また、入力ギア31Gが回転駆動されると、入力ギア31Gに歯合するギヤ32G及び該ギヤ32Gに固定の小ギア32gが回転し、小ギア32gに歯合する加熱ローラ12のギア12Gが矢印方向に回転する。ギア12Gと加熱ローラ12の軸12aとの間にはワンウェイクラッチ(図示せず)が介在している。加圧ローラ11の回転駆動力が定着ベルト14を介して加熱ローラ12に伝達され、加熱ローラ12が従動回転している限りは、ギア12Gからワンウェイクラッチを介して加熱ローラ12の軸12aへと回転トルクが伝達されず、定着ベルト14もしくは加熱ローラ12がスリップして、加熱ローラ12の回転速度が低下したときにだけ、ワンウェイクラッチがロックし、ギア12Gからワンウェイクラッチを介して加熱ローラ12の軸12aへと回転トルクが伝達され、加熱ローラ12の回転遅れが防止される。
また、加圧ローラ11の周面の速度と定着ベルト14の周面の速度とが略同一に設定され、加圧ローラ11と定着ベルト11間のニップ域Nを通じて、記録用紙が上方向に搬送される。
更に、ギヤ32Gに歯合するギア33G及び該ギヤ33Gに固定の小ギア33gが回転し、小ギア33gに歯合するギア34Gが回転し、ギア34Gに歯合するカムギア35Gが回転し、カムギア35Gに固定の偏芯カム(揺動用カム)36が矢印方向に回転する。
揺動レバー37は、バネ38により軸39周りで反時計回り方向に付勢されて、偏芯カム36の周面に当接している。揺動レバー37と軸39との間には、揺動レバー37の時計周り方向の回転のみを軸39に伝達する第1ワンウェイクラッチ41が介在している。
バネ38により揺動レバー37が付勢されて偏芯カム36に当接していることから、偏芯カム36が回転すると、揺動レバー37が矢印Cに示すように揺動(往復回転)し、この揺動に伴い、揺動レバー37の時計回り方向の回転のみが第1ワンウェイクラッチ41を通じて軸39に伝達され、軸39が時計回り方向に間欠回転する。例えば、偏芯カム36が1回転する度に、軸39が7.5°〜15°程度回転する。この偏芯カム36と揺動レバー37の組み合わせにより、大きな減速比が得られている。
軸39の回転は、回転伝達ユニットGUで更に減速されつつ、ギア23Gに伝達され、巻取りローラ23が矢印の方向に微速回転する。これにより、巻取りローラ23にウェブシート21が少しずつ巻き取られ、送り出しローラ22からウェブシート21が少しずつ送り出され、送り出しローラ22が従動回転する。
図5は、回転伝達ユニットGUの構成を模式的に示す正面図である。この回転伝達ユニットGUでは、揺動レバー37と軸39の一端との間に第1ワンウェイクラッチ41が介在している。また、軸39の他端が第2ワンウェイクラッチ42で軸支され、第2ワンウェイクラッチ42が回転伝達ユニットGUのフレームに固定されている。
先に述べたように揺動レバー37の時計回り方向の回転のみが第1ワンウェイクラッチ41を通じて軸39に伝達されるが、このときには第2ワンウェイクラッチ42がフリーとなって、軸39が時計回り方向に回転する。また、揺動レバー37が反時計回り方向に回転して戻るときには、第1ワンウェイクラッチ41がフリーとなるが、反時計回り方向の僅かな回転トルクが第1ワンウェイクラッチ41を介して軸39に伝達されて、反時計回り方向に軸39が回転する可能性があることから、第2ワンウェイクラッチ42により軸39の反時計回り方向の回転を禁止している。従って、第1及び第2ワンウェイクラッチ41、42の組み合わせにより、軸39が時計回り方向に確実に間欠回転するようにされている。
また、軸39には、5個のギア44g、45G、45g、46G、46gが設けられている。小ギア44gは、軸39に固定されて、軸39と共に回転する。ギア45G及び小ギア45gは、相互に固定されて、軸39周りで回転自在に支持されている。ギア46G及び小ギア46gも、相互に固定されて、軸39周りで回転自在に支持されている。
巻取りローラ23の軸23aにも、5個のギア47G、47g、48G、48g、23Gが設けられている。ギア23Gは、巻取りローラ23の軸23aに固定されて、巻取りローラ23の軸23aと共に回転する。ギア47G及び小ギア47gは、相互に固定されて、軸23a周りで回転自在に支持されている。ギア48G及び小ギア48gも、相互に固定されて、軸23a周りで回転自在に支持されている。
軸39の各ギア44g、45G、45g、46G、46gと軸23aの各ギア47G、47g、48G、48g、23Gがそれぞれ歯合している。軸39が時計回り方向に回転すると、軸39に固定の小ギア44gが回転し、この回転がギア47G及び小ギア47g→ギア45G及び小ギア45g→ギア48G及び小ギア48g→ギア46G及び小ギア46g→ギア23Gと伝達されて減速され、ギア23G及び該ギア23Gに固定の軸23aが微速回転し、巻取りローラ23も矢印方向(図3に示す)に微速回転する。
更に、ギア23Gが回転すると、ギア23Gに歯合する小ギア51g及び該小ギア51gに固定のギア51Gが回転し、ギア51Gに歯合する小ギア(図示せず)及び該小ギアに固定のギア52Gが回転し、ギア52Gに歯合するギア22Gが回転する。ギア22Gは、第3ワンウェイクラッチ43と共に矢印方向(図4に示す)に回転する。
この第3ワンウェイクラッチ43は、ギア22Gと送り出しローラ22の軸22aとの間に介在し、送り出しローラ22の軸22a周りで矢印方向(図4に示す)にフリー回転する。このため、ギア22G及び第3ワンウェイクラッチ43が矢印方向に回転しても、ギア22Gから第3ワンウェイクラッチ43を介して送り出しローラ22の軸22aへと矢印方向の回転トルクが伝達されることはなく、送り出しローラ22が回転駆動されることもなく、巻取りローラ23へのウェブシート21の巻取りに追従して、送り出しローラ22からウェブシート21が送り出され、送り出しローラ22が従動回転するだけである。
また、巻取りローラ23におけるウェブシート21の巻径が大きくなって、送り出しローラ22におけるウェブシート21の巻径が細くなると、巻取り速度及び送り出し速度が速くなって、送り出しローラ22の従動回転速度が速くなるので、巻取りローラ23の軸23aから第3ワンウェイクラッチ43までの間で回転速度が増速されている。このため、巻取り速度及び送り出し速度が速くなっても、第3ワンウェイクラッチ43が速く回転し、送り出しローラ22の従動回転が維持される。
第3ワンウェイクラッチ43は、例えばウェブシート21が加圧ローラ11に巻き込まれて、送り出しローラ22が第3ワンウェイクラッチ43よりも速く従動回転したときにロックして、送り出しローラ22からのウェブシート21の過剰な送り出しを防止するために設けられている。
図6(a)は、定着装置4及び回転伝達ユニットGUのフレーム構成を模式的に示す側面図である。図6(a)に示すように定着装置4は、第1フレーム61及び第2フレーム62を有し、また回転伝達ユニットGUは、ユニットフレーム63を有している。
第1フレーム61では、加熱ローラ12の軸12a及び加熱補助ローラ13の軸13aが支持され、また各ギア31G、32G、32g(図4に示す)、33G、33g(図4に示す)、34G、35Gが軸支されている。
第2フレーム62では、加圧ローラ11の軸11aが支持されている。第2フレーム62は、入力ギア31の軸31aの部位で第1フレーム61に連結され、入力ギア31の軸31a周りで矢印Dに示すように往復回転可能である。この往復回転角度は、3.5°程度である。
ユニットフレーム63では、回転伝達ユニットGUが支持されている。ユニットフレーム63は、第2フレーム62の左側壁部に着脱自在に固定される。
ここで、通常は、図6(a)に示すようにバネ(図示せず)により第2フレーム62が入力ギア31の軸31a周りで時計回り方向に付勢され、第2フレーム62側の加圧ローラ11の軸11aが第1フレーム61側の加熱ローラ12の軸12aに接近して、加圧ローラ11と加熱ローラ12が定着ベルト14を介して相互に押圧され、定着ベルト14と加熱ローラ12間にニップ域Nが形成される。この状態が圧接状態である。
この圧接状態は、通常の厚さの記録用紙を定着ベルト14と加熱ローラ12間のニップ域Nに挟み込んで、記録用紙上のトナー像を定着するときに設定される。
また、図6(b)に示すようにバネの付勢力に抗して、第2フレーム62が入力ギア31の軸31a周りで反時計回り方向に回転移動されると、第2フレーム62側の加圧ローラ11の軸11aが第1フレーム61側の加熱ローラ12の軸12aからより離れて、加熱ローラ12と定着ベルト14が僅かに接触する状態となる。この状態が圧解状態である。
圧解状態では、加圧ローラ11の軸11aが加熱ローラ12の軸12aからより離れるだけではなく、加熱ローラ12の軸12aに対して巻取りローラ23の軸23aも変位する。
この圧解状態は、厚手の封書等を印刷するときに設定される。圧解状態であれば、厚手の封書等を定着ベルト14と加熱ローラ12間に挟みこんだときに、封書に適宜な圧力と熱を加えて、封書上のトナー像を良好に定着することができる。
また、圧解状態は、印刷及び定着を行わないときにも設定される。圧接状態では、加圧ローラ11と加熱ローラ12が定着ベルト14を介して相互に押圧され、加熱ローラ12の弾性層が大きく凹むので、このまま加熱ローラ12を長時間放置しておくと、加熱ローラ12が変形して、これが定着不良の原因となる。このため、印刷及び定着を行わないときには、圧解状態を設定して、加熱ローラ12の弾性層に凹みが生じないようにする。
図6(a)、(b)から明らかなように、圧接状態及び圧解状態の切替えに際しては、第2フレーム62が入力ギア31の軸周りで回転移動するだけであるから、この切替えにより入力ギア31と加圧ローラ11のギア11Gとの軸間距離が変化することはなく、入力ギア31とギア11Gとの歯合状態が維持され、また入力ギア31とギア32Gとの軸間距離も変化することはなく、入力ギア31とギア32Gとの歯合状態が維持される。このため、圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかにかかわらず、加圧ローラ11及び加熱ローラ12を回転させることができ、記録用紙や封書の定着処理が可能である。
ただし、接状態及び圧解状態の切替えにより加熱ローラ12の軸12aと巻取りローラ23の軸23aとの位置関係が変化し、偏芯カム36と揺動レバー37との位置関係も変化する。
ところが、圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されても、バネ38により揺動レバー37が軸39周りで反時計回り方向に付勢されて、揺動レバー37が偏芯カム36の周面に当接する。このため、圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかにかかわらず、加圧ローラ11及び加熱ローラ12の回転に伴い、偏芯カム36が回転すると、揺動レバー37が揺動して、巻取りローラ23及び送り出しローラ22が微速回転し、ウェブシート21による加圧ローラ11表面の清掃が可能である。
更に、図6(c)に示すようにユニットフレーム63は、第2フレーム62の左側壁部に対して取外し可能に装着されており、ユニットフレーム63を交換することが可能である。
次に、偏芯カム36及び揺動レバー37の動作について詳しく説明する。図7(a)は、図6(a)に示すよう加圧ローラ11と加熱ローラ12が定着ベルト14を介して相互に押圧された圧接状態での偏芯カム36及び揺動レバー37の周辺機構を模式的に示す側面図である。
図7(a)に示すように揺動レバー37と軸39との間には第1ワンウェイクラッチ41が介在し、バネ38により揺動レバー37が軸39周りで反時計回り方向に付勢されて偏芯カム36の周面に当接している。偏芯カム36が回転すると、揺動レバー37が矢印Cに示すように揺動(往復回転)し、揺動レバー37の時計回り方向の回転のみが第1ワンウェイクラッチ41を通じて軸39に伝達され、軸39が時計回り方向に間欠回転する。
また、L字型の制御レバー71は、ユニットフレーム63における軸71aで回転自在に軸支されており、制御レバー71の一端にピン71bが突設され、このピン71bが揺動レバー37右側の枠部37a内側に差し込まれている。この枠部37aが制御レバー71のピン71bに引っ掛かって、制御レバー71のピン71bにより揺動レバー37の上方への動きが規制されるようになっている。
制御レバー71中央にはフォーク部71cが設けられており、プランジャー72先端を上方から見ると、フォーク部71cの内側にプランジャー72のくびれ部72aが挟み込まれている。プランジャー72は、ソレノイド73中央の孔に挿入されており、ソレノイド73の消勢状態では、バネ74によりプランジャー72が上方に付勢されてソレノイド73から突出し、またソレノイド73の付勢状態では、プランジャー72がバネ74の付勢力に抗してソレノイド73内側に引き込まれる。
ソレノイド73が付勢されて、プランジャー72がソレノイド73内側に引き込まれると、プランジャー72のくびれ部72aを挟み込む制御レバー71のフォーク部71cが引き下げられて、制御レバー71が軸71aを中心にして反時計回りに回転し、制御レバー71のピン71bが上昇する。これにより、揺動レバー37右側の枠部37aがピン71bに突き当たるまで揺動レバー37の反時計周り方向の回転が可能になり、揺動レバー37の揺動が可能になる。
このとき、バネ38の付勢力により揺動レバー37が反時計回りに回転し、揺動レバー37が偏芯カム36の周面に当接する。そして、図7(a)〜図7(d)に示すようにカムギア35G及び偏芯カム36が回転すると、揺動レバー37が偏芯カム36の周面に追従して上下に揺動する。
図6(a)に示すように加圧ローラ11と加熱ローラ12が定着ベルト14を介して相互に押圧された圧接状態では、図8(a)に示すように制御レバー71のピン71bが偏芯カム36に接近して、ピン71bにより規制される揺動レバー37の揺動角度範囲が広くなるため、揺動レバー37の揺動角度θ1が15°と大きくなる。
また、図6(b)に示すような圧解状態では、図8(b)に示すように制御レバー71のピン71bが偏芯カム36から離れて、ピン71bにより規制される揺動レバー37の揺動角度範囲が狭くなり、揺動レバー37の揺動角度θ2が7.5°と小さくなる。
圧接状態及び圧解状態のいずれにおいても、カムギア35G及び偏芯カム36が回転すると、揺動レバー37が偏芯カム36の周面に追従して上下に揺動するため、巻取りローラ23にウェブシート21が巻き取られ、送り出しローラからウェブシート21が送り出される。
また、圧接状態では、偏芯カム36の1回転で揺動レバー37が15°揺動し、また圧解状態では、偏芯カム36の1回転で揺動レバー37が7.5°揺動することから、圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されるかに応じて巻取りローラ23の回転速度が変化する。
また、図9に示すようにソレノイド73が消勢され、プランジャー72がソレノイド73から突出すると、プランジャー72のくびれ部72aを挟み込む制御レバー71のフォーク部71cが押し上げられて、制御レバー71が軸71aを中心にして時計回りに回転し、制御レバー71のピン71bが下方に移動する。このとき、ピン71bは、揺動レバー37右側の枠部37aに引っ掛かって、揺動レバー37右側を引き下げ、バネ38の付勢力に抗して揺動レバー37を時計回りに回転させる。これにより、揺動レバー37が偏芯カム36の周面から離間される。
このように揺動レバー37が偏芯カム36の周面から離間した状態では、偏芯カム36が回転しても、揺動レバー37の停止した状態が維持される。
従って、ソレノイド73を付勢したり消勢して、揺動レバー37を偏芯カム36の周面に当接させたり離間させることにより、揺動レバー37を動作させたり停止させることができ、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させたり停止させることができる。
例えば、画像形成装置1の電源投入時のウォームアップ期間や待機期間においては、定着用の各ローラ11、12を回転させても、ウェブシート21の巻取りや送り出しを行う必要がないため、揺動レバー37を偏芯カム36の周面から離間させて、揺動レバー37を停止させ、ウェブシート21の各ローラ22、23を停止させる。
また、記録用紙の印刷枚数、印刷処理時間、トナーの消費量が多くなるほど、圧接ローラ25と加圧ローラ11間のニップ域におけるウェブシート21の部分が汚れるので、印刷枚数、印刷処理時間、トナーの消費量に応じて所定の動作期間だけソレノイド73を付勢し、揺動レバー37を揺動させて、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させ、ウェブシート21の巻取りや送り出しを行う。例えば、印刷枚数が10枚増加する度に、所定の動作期間だけソレノイド73を付勢して、揺動レバー37を揺動させ、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させて、ウェブシート21を一定量だけ巻取る。
更に、巻取りローラ23におけるウェブシート21の巻径が大きくなって、巻取りローラ23への巻取り速度が速くなると、ウェブシート21の巻取り量が多くなり過ぎるので、ウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間を適宜に短縮して、ウェブシート21の巻取り量を調節する。
また、先に述べたように定着用の各ローラ11、12の回転速度が変更されて、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変わったり、定着用の各ローラ11、12の軸間距離が変わって(圧接状態及び圧解状態が切替えられて)、巻取りローラ23の回転速度が変わると、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変わって、ウェブシート21の適確な巻取り量が維持されなくなるので、ウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間を適宜に変更して、ウェブシート21の巻取り量を調節する。
次に、揺動レバー37並びにウェブシート21の各ローラ22、23の動作及び停止を制御するための構成を詳しく説明する。
図10は、そのような制御を行う制御系を示すブロック図である。図10において、制御部81は、定着装置4に搭載されて、定着装置4を制御するものであり、例えばソレノイド73を付勢したり消勢して、揺動レバー37を偏芯カム36の周面に当接させたり離間させる。
制御部81は、画像形成装置1側の主制御部(図示せず)から電源投入時のウォームアップ期間や待機期間を指示され、これらの期間にはソレノイド73の消勢状態を維持して、揺動レバー37を偏芯カム36の周面から離間させ、揺動レバー37を停止させて、ウェブシート21の各ローラ22、23を停止させ、ウェブシート21の無駄な巻取りや送り出しを行わないようにする。
また、制御部81は、画像形成装置1側の主制御部(図示せず)から記録用紙の印刷枚数、印刷処理時間、トナーの消費量等を入力し、これらに基づき所定の動作期間を設定し、この所定の動作期間だけソレノイド73を付勢して、揺動レバー37を偏芯カム36の周面に当接させ、揺動レバー37を揺動させて、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させ、ウェブシート21の巻取りや送り出しを行う。例えば、印刷枚数が10枚増加する度に、動作期間Tだけソレノイド73を付勢して、揺動レバー37を揺動させ、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させて、ウェブシート21を略一定量だけ巻取る。
また、制御部81は、ウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間Tを積算して、累計動作期間を求め、この累計動作期間に対応するウェブシート21の総巻取り量を求め、この総巻取り量から巻取りローラ23におけるウェブシート21の巻径を求め、この巻径からウェブシート21の巻取り速度の増速分を求め、この増速分に応じて動作期間Tを短縮補正する。実際には、ウェブシート21の各ローラ22、23の累計動作期間と係数α(<1)を対応付けたテーブルを作成しておき、このテーブルを参照して、累計動作期間に対応する係数αを求めて、動作期間Tに係数αを乗じて、この積を補正された動作期間Tとして求める。これにより、巻取りローラ23におけるウェブシート21の巻径が大きくなっても、動作期間Tにおけるウェブシート21の巻取り量が一定に維持される。
また、制御部81は、印刷処理に際し、画像形成装置1側の主制御部(図示せず)からプロセス速度(定着用の各ローラ11、12の回転速度)や、圧接状態及び圧解状態(通常の厚さの記録紙及び厚手の封書等)のいずれが設定されているかを入力し、プロセス速度や圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかに応じて動作期間Tを補正して、補正された動作期間Tを求める。これにより、プロセス速度や圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかにかかわらず、動作期間Tにおけるウェブシート21の各ローラ22、23の回転数を略一定に維持して、ウェブシート21の適宜な巻取り量を維持することができる。
特に、本実施形態の定着装置4では、カム、揺動レバー、及びワンウェイクラッチを用いて、定着用の各ローラ11、12とウェブシート21の各ローラ22、23を連動させていることから、プロセス速度(定着用の各ローラ11、12の回転速度)や圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかによりウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変化する。このため、そのような動作期間Tの補正により、動作期間Tにおけるウェブシート21の各ローラ22、23の回転数を変動を抑えて、ウェブシート21の適宜な巻取り量を維持する必要がある。
次に、図11のフローチャートを参照しつつ、ウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間Tを補正するための手順を説明する。
まず、制御部81は、先に述べたようにウェブシート21の各ローラ22、23の動作期間を積算して、累計動作期間を求め、ウェブシート21の各ローラ22、23の累計動作期間と係数α(<1)を対応付けたテーブルを参照して、累計動作期間に対応する係数αを求め、一定の動作期間Tに係数αを乗じて、この積を補正された動作期間Tとして求める(ステップS101)。
引き続いて、制御部81は、画像形成装置1側の主制御部(図示せず)から第1プロセス速度V1及び第2プロセス速度V2のいずれかを入力する(ステップS102)。例えば、第1プロセス速度V1は、モノクロ画像を印刷するときのプロセス速度であり、また第2プロセス速度V2は、カラー画像を印刷するときのプロセス速度であり、第1プロセス速度V1が第2プロセス速度V2よりも高く設定されている(V1>V2)。
一般に、第1プロセス速度V1が設定される機会が多いことから、ステップS101で求めた動作期間Tは、第1プロセス速度V1で適正な長さとなっている。このため、制御部81は、第1プロセス速度V1を入力したならば(ステップS102で「V1」)、動作期間Tの補正を行わずにステップS104に移行する。
また、制御部81は、第2プロセス速度V2を入力すると(ステップS102で「V2」)、ステップS101で求めた動作期間TにV1/V2を乗じた積(T・V1/V2)を求めて、この積を補正された動作期間Tとして求める(ステップS103)。
第2プロセス速度V2が設定されたときには、第1プロセス速度V1が設定されたときよりも定着用の各ローラ11、12の回転速度が低くなり、これに伴ってウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度も低くなって、ウェブシート21の単位時間当たりの巻取り量が小さくなるが、V1/V2を乗じることにより動作期間Tが長くなるように補正され、動作期間Tにおけるウェブシート21の各ローラ22、23の回転数の変動が抑えられて、ウェブシート21の巻取り量が略一定に維持される。
次に、制御部81は、画像形成装置1側の主制御部(図示せず)から圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかを入力する(ステップS104)。
通常、圧接状態が設定されていることから、ステップS101又はS103で求めた動作期間Tは、圧接状態で適正な長さとなっている。このため、制御部81は、圧接状態を入力したならば(ステップS104で「圧接」)、動作期間Tの補正を行わずにステップS105に移行する。
また、制御部81は、圧解状態を入力すると(ステップS104で「圧解」)、ステップS101又はS103で求めた動作期間Tにθ1/θ2を乗じた積(T・θ1/θ2)を求めて、この積を補正された動作期間Tとして求める(ステップS105)。図8(a)、(b)に示すように揺動レバー37の揺動角度θ1が15°であり、揺動レバー37の揺動角度θ2が7.5°であることから、動作期間Tを2倍にすることになる。
圧解状態が設定されたときには、圧接状態が設定されたときと比較すると、揺動レバー37の揺動角度が1/2になって、ウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度も1/2になるが、動作期間Tが2倍に補正されたことから、動作期間Tにおけるウェブシート21の各ローラ22、23の回転数の変動が抑えられて、ウェブシート21の巻取り量が略一定に維持される。
更に、第1プロセス速度V1が設定された場合は、第1プロセス速度V1のときに偏芯カム31が1回転する時間をt1とすると、ステップS101又はS105で求めた動作期間Tを、動作時間T以上で動作時間Tに最も近くかつ時間t1の整数倍となるような時間に補正する。
あるいは、第2プロセス速度V2が設定された場合は、第2プロセス速度V2のときに偏芯カム31が1回転する時間をt2とすると、ステップS103又はS105で求めた動作期間Tを、動作時間T以上で動作時間Tに最も近くかつ時間t2の整数倍となるような時間に補正する。
これにより、停止時の偏芯カム36の回転角度が一定となり、揺動レバー37が一定角度になったときにウェブシート21の巻取りが停止され、ウェブシート21の巻取り量のバラツキが抑えられる。
こうして動作期間Tの補正が終了すると、制御部81は、動作期間Tだけソレノイド73を付勢して、揺動レバー37を揺動させ、ウェブシート21の各ローラ22、23を回転させて、ウェブシート21を一定量だけ巻取る(ステップS106)。
このような動作期間Tの導出及び動作期間Tにおけるウェブシート21の各ローラ22、23の回転は、印刷枚数が10枚増加する度に行われ、ウェブシート21が一定量ずつ巻き取られる。
このように本実施形態の定着装置4では、偏芯カム36の回転が揺動レバー37の揺動となり、揺動レバー37の揺動が第1ワンウェイクラッチ41を介して一方向の間欠回転となって伝達されるため、大きな減速比を得ることができる。
また、圧解状態及び圧接状態のいずれにおいても、揺動レバー37が偏芯カム36に摺接していることから、偏芯カム36の回転に伴って揺動レバー37が揺動し、偏芯カム36から揺動レバー37へと回転駆動力が伝達されて、巻取りローラ23を回転させることができる。
更に、プロセス速度(定着用の各ローラ11、12の回転速度)や圧接状態及び圧解状態のいずれが設定されているかによりウェブシート21の各ローラ22、23の回転速度が変化しても、各ローラ22、23の動作期間Tの補正により、動作期間Tにおける各ローラ22、23の回転数の変動を抑えて、ウェブシート21の適宜な巻取り量を維持することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
例えば、上記実施形態では、加圧ローラ11と加熱ローラ12を定着ベルト(定着用回転部材)14を介して相互に押圧させているが、加圧ローラ(定着用回転部材もしくはローラ)11と加熱ローラ(定着用回転部材もしくはローラ)12を相互に直接圧接させる構成においても、本発明を適用することができる。