JP2011236967A - すべり軸受構造及び過給機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るすべり軸受構造は、円筒状に成形される浮動ブッシュと、該浮動ブッシュが挿入される孔部S1を有し該孔部S1の内周面61aに形成される流体膜を介して浮動ブッシュの外周面を支持する支持部材61とを備えるすべり軸受構造であって、支持部材61に形成される第2孔部61dの全周に亘って孔部S1に開口する隙間S2をあけて第2孔部61dに挿入され、孔部S1内に突出し、浮動ブッシュの中心軸線周りの回転を規制する回転規制部材64を備える、という構成を採用する。
【選択図】図3
Description
しかしながら、例えば製作誤差により回り止めピンと第2孔部との圧入代が大きくなると、回り止めピンの圧入に伴い嵌め輪の内周面における第2孔部の周囲に、盛り上がり、バリ又は欠け等の変形・損傷が生じる虞があった。嵌め輪の内周面に、上記変形・損傷が生じることで、嵌め輪の内周面と浮動ブッシュの外周面との間隔が変化し、振動に対するすべり軸受構造の減衰性能が低下して回転軸の回転安定性が損なわれる虞があった。
本発明に係るすべり軸受構造は、円筒状に成形される浮動ブッシュと、該浮動ブッシュが挿入される孔部を有し該孔部の内周面に形成される流体膜を介して浮動ブッシュの外周面を支持する支持部材とを備えるすべり軸受構造であって、支持部材に形成される第2孔部の全周に亘って孔部に開口する隙間をあけて第2孔部に挿入され、孔部内に突出し、浮動ブッシュの中心軸線周りの回転を規制する回転規制部材を備える、という構成を採用する。
本発明によれば、支持部材における孔部の内周面において、回転規制部材と第2孔部との間に隙間が形成されている。そのため、回転規制部材を第2孔部に圧入することによって支持部材に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は孔部の内周面と異なる箇所で生じる。
本発明によれば、支持部材における孔部の内周面において、小径部と第2孔部との間に隙間が形成されている。そのため、嵌合部を第2孔部に圧入することによって支持部材に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は孔部の内周面と異なる箇所で生じる。
調質材は例えば窒化処理が施された材料と比べると、高い靱性を有する一方で硬度は低くなっている。そのため、回転規制部材を第2孔部に圧入することにより、支持部材に盛り上がり等の変形が生じる可能性がある。本発明によれば、支持部材が調質材を用いて成形され、回転規制部材を第2孔部に圧入することによって支持部材に変形が生じたとしても、このような変形は孔部の内周面と異なる箇所で生じる。
窒化処理が施された材料はその表面の硬度が高くなるため、応力が加えられることで表面にバリや欠け等の損傷が生じる可能性がある。本発明によれば、支持部材に窒化処理が施され、回転規制部材を第2孔部に圧入することによって支持部材に損傷が生じたとしても、このような損傷は孔部の内周面と異なる箇所で生じる。
本発明によれば、回転規制部材を第2孔部に圧入することによって支持部材に変形や損傷が生じる場合であっても、このような変形や損傷は孔部の内周面と異なる箇所で生じる。そのため、本発明によれば、支持部材の第2孔部に回転規制部材を嵌入させるときの、支持部材の孔部の内周面に生じる変形や損傷を防止できるという効果がある。
図1は、本実施形態における過給機1の構成を示す垂直断面図である。
過給機1は、不図示の内燃機関から排出される燃焼ガスの流動エネルギーを回転駆動力に変換し、この回転駆動力を用いて圧縮された空気を内燃機関に供給することで、内燃機関の性能(出力や燃費等)を向上させるものである。図1に示すように、過給機1は、タービン部2と、軸受部3と、コンプレッサ部4(圧縮部)とを備えている。タービン部2、軸受部3及びコンプレッサ部4は、一方向に並んで連結されている。
図2に示すように、軸受部3に設けられるスラスト軸受構造5は、スラスト板51と、第1スラストカラー52と、第2スラストカラー53とを備えている。
また、嵌め輪61には、嵌め輪給油路61bと、嵌め輪排油路61cとが形成されている。嵌め輪給油路61bは、軸受部3の給油路33に連通する位置に設けられており、孔部S1内に潤滑油を供給するための流路である。なお、嵌め輪給油路61bは、嵌め輪61の中心軸線L方向での両端側に向けてそれぞれ潤滑油を供給できる流路となっている。嵌め輪排油路61cは、軸受部3の排油路34と孔部S1とを互いに連通させる流路であって、径方向に貫通して設けられ、孔部S1内に供給された潤滑油を排出するための流路である。
Cリング63は、嵌め輪61の両開口部の近傍で内周面61aにそれぞれ形成された溝部内に設置され、浮動ブッシュ62と隣接して設けられている。回り止めピン64は、嵌め輪61に径方向で貫通して形成される第2孔部61dに嵌入され、内周面61aから孔部S1内に突出して設けられている。回り止めピン64の孔部S1側の先端部と、回転軸31との間には、回転軸31が径方向に変位しても互いの接触を防止するに十分な隙間が形成されている。
図3に示すように、嵌め輪61における第2孔部61dの内周面61aとの逆側には、座ぐり部61eが形成されている。座ぐり部61eは、内周面61aの逆側に向けて開口し、第2孔部61dよりも大きな内径で形成されている。なお、第2孔部61dは、第2孔部61dと座ぐり部61eとの接続部に形成される面取り部以外では、一定の内径で形成されている。
ピン本体64aは、第2孔部61dに嵌入され、その端部が孔部S1内に突出して設けられる部分である。ピン本体64aは、第2孔部61dに密接して嵌合される嵌合部64cと、嵌合部64cの孔部S1側に接続されるとともに第2孔部61dの内径よりも小さな径で形成されている小径部64dとを備えている。
嵌合部64cは、第2孔部61dに圧入して設けられている。すなわち、嵌合部64cの外径は、第2孔部61dの内径よりも僅かに大きく形成されている。小径部64dは、その一部が孔部S1内に突出して設けられており、小径部64dと第2孔部61dとの間には、第2孔部61dの全周に亘って孔部S1に開口する隙間S2が形成されている。なお、小径部64dの孔部S1内に突出している部分は、浮動ブッシュ62の切欠部62a(図2参照)に配置されている。
嵌合部64cと小径部64dとの接続部64eは、嵌合部64cから小径部64dに向かうに従い漸次縮径する形状となっている。接続部64eは、嵌め輪61の内周面61aよりも座ぐり部61e側に位置している。
小径部64dを第2孔部61d内に挿入して保持した状態で、ピン頭部64bを孔部S1側に押圧して、嵌合部64cを第2孔部61d内に圧入する。なお、小径部64dを第2孔部61d内に挿入することで、一時的に回り止めピン64を嵌め輪61に保持できることから、圧入作業が進めやすくなり作業性が向上する。嵌合部64cの第2孔部61dへの圧入は、ピン頭部64bが座ぐり部61eの底面(孔部S1側の面)に当接することで終了する。
しかしながら、嵌め輪61の内周面61aにおいて、回り止めピン64の小径部64dと第2孔部61dとの間には隙間S2が形成されている。また、接続部64eは、内周面61aよりも座ぐり部61e側に位置している。そのため、嵌合部64cを第2孔部61dに圧入することによって嵌め輪61に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は内周面61aと異なる箇所(より詳細には内周面61aよりも座ぐり部61e側の箇所)で生じる。よって、回り止めピン64の嵌合部64cを第2孔部61dに圧入するときの、嵌め輪61の内周面61aに生じる変形や損傷を防止できる。
嵌め輪61の内周面61aに変形や損傷が生じないことから、浮動ブッシュ62の外周面と内周面61aとの間隔は変化せず、ラジアル軸受構造6における振動の減衰性能や回転軸31の回転安定性が低下しない。
不図示の内燃機関から排出される燃焼ガスがタービン部2のタービンスクロール室22に流入する。燃焼ガスはタービンスクロール室22内を回転軸31の軸線周りで回転しつつタービンインペラ21に流入する。燃焼ガスの流入によってタービンインペラ21は回転し、燃焼ガスはタービン部排出口23を介して過給機1の外部に排出される。
以上で、過給機1の動作が完了する。
本実施形態によれば、嵌合部64cを第2孔部61dに圧入することによって嵌め輪61に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は内周面61aと異なる箇所で生じる。よって、本実施形態によれば、回り止めピン64を第2孔部61dに圧入するときの、嵌め輪61の内周面61aに生じる変形や損傷を防止できるという効果がある。
本実施形態における回り止めピン64Aを、図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態における回り止めピン64A及び第2孔部61dの構成を示す断面図である。なお、図4において、図3に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態における回り止めピン64Aは、第1の実施形態に示す過給機1に設けられるラジアル軸受構造6で使用されるものである。
ピン本体64fは、円柱状に成形されるとともに、第2孔部61dに嵌入され、その端部が孔部S1内に突出して設けられる部分である。ピン本体64fは、一定の外径で成形されている。ピン頭部64bは、ピン本体64fの内周面61aと逆側に接続されている。なお、ピン本体64fの孔部S1内に突出している部分は、浮動ブッシュ62の切欠部62aに配置されている。
ピン本体64fは、嵌合孔部61fに圧入して設けられている。すなわち、嵌合孔部61fの内径は、ピン本体64fの外径よりも僅かに小さく形成されている。大径孔部61gとピン本体64fとの間には、大径孔部61gの全周に亘って孔部S1に開口する隙間S2が形成されている。
嵌合孔部61fと大径孔部61gとの接続部61hは、嵌合孔部61fから大径孔部61gに向かうに従い漸次拡径する形状となっている。接続部61hは、嵌め輪61の内周面61aよりも座ぐり部61e側に位置している。
ピン本体64fが嵌合孔部61fに圧入されると、本実施形態の嵌め輪61が調質材を用いて成形されていることから、嵌め輪61における嵌合孔部61fの近傍に盛り上がりやバリ等の変形・損傷が生じる可能性がある。なお、嵌め輪61における盛り上がりやバリ等の変形・損傷は、接続部61hの近傍で最も顕著に生じる可能性がある。
しかしながら、嵌め輪61の内周面61aにおいて、回り止めピン64Aのピン本体64fと大径孔部61gとの間には隙間S2が形成されている。また、接続部61hは、内周面61aよりも座ぐり部61e側に位置している。そのため、ピン本体64fを嵌合孔部61fに圧入することによって嵌め輪61に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は内周面61aと異なる箇所(より詳細には内周面61aよりも座ぐり部61e側の箇所)で生じる。よって、回り止めピン64Aのピン本体64fを嵌合孔部61fに圧入するときの、嵌め輪61の内周面61aに生じる変形や損傷を防止できる。
嵌め輪61の内周面61aに変形や損傷が生じないことから、浮動ブッシュ62の外周面と内周面61aとの間隔は変化せず、ラジアル軸受構造6における振動の減衰性能や回転軸31の回転安定性が低下しない。
本実施形態によれば、ピン本体64fを嵌合孔部61fに圧入することによって嵌め輪61に変形や損傷が生じたとしても、このような変形や損傷は内周面61aと異なる箇所で生じる。よって、本実施形態によれば、回り止めピン64を嵌合孔部61fに圧入するときの、嵌め輪61の内周面61aに生じる変形や損傷を防止できるという効果がある。
窒化処理が施された材料はその表面の硬度が高くなるため、応力が加えられることで表面にバリや欠け等の損傷が生じる可能性がある。しかしながら、本発明によれば、嵌め輪61に損傷が生じたとしても、このような損傷は内周面61aと異なる箇所で生じる。したがって、このような構成によっても、内周面61aに生じる損傷を防止できるという効果がある。
Claims (5)
- 円筒状に成形される浮動ブッシュと、該浮動ブッシュが挿入される孔部を有し該孔部の内周面に形成される流体膜を介して前記浮動ブッシュの外周面を支持する支持部材とを備えるすべり軸受構造であって、
前記支持部材に形成される第2孔部の全周に亘って前記孔部に開口する隙間をあけて前記第2孔部に挿入され、前記孔部内に突出し、前記浮動ブッシュの中心軸線周りの回転を規制する回転規制部材を備えることを特徴とするすべり軸受構造。 - 請求項1に記載のすべり軸受構造において、
前記回転規制部材は、前記第2孔部に密接して嵌合される嵌合部と、前記第2孔部の内径よりも小さな径を有し前記第2孔部との間に前記隙間を形成するとともに一部が前記孔部内に突出して設けられる小径部とを備えることを特徴とするすべり軸受構造。 - 請求項1又は2に記載のすべり軸受構造において、
前記支持部材は、焼き入れ処理及び焼き戻し処理を施した調質材を用いて成形されることを特徴とするすべり軸受構造。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のすべり軸受構造において、
前記支持部材には、窒化処理が施されていることを特徴とするすべり軸受構造。 - 燃焼ガスの流動エネルギーを回転駆動力に変換するタービン部と、該タービン部の回転駆動力により駆動され気体を圧縮して前記内燃機関に供給する圧縮部と、前記タービン部の回転駆動力を前記圧縮部に伝達する回転軸とを備える過給機であって、
前記回転軸を回転自在に支持する請求項1から4のいずれか一項に記載のすべり軸受構造を備えることを特徴とする過給機。
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