JP2011236873A - 回転構造体及び流体機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転中心軸Pが延びる軸方向の一方に進むに従って径を漸減させる外周部11aを有する回転盤11と、回転盤11の外周部11aにおいて周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼12とを備え、回転盤11と複数の回転翼12との間に、径方向外方側から回転中心軸Pに向かって流入した作動流体を前記軸方向の一方側に流出させる流路14が構成された回転構造体10であって、回転翼12の下流縁12aにおける回転盤側の一端12bから軸方向一方側の他端12cまでの軸方向寸法である回転翼高さをh、回転翼12の下流縁12aにおける一端12bから回転盤12の前記軸方向一方側の先端部11bまでの軸方向寸法である先端部高さをh*とすると、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0≦h*≦0.3h…(1)
【選択図】図3
Description
すなわち、本発明に係る回転構造体は、回転中心軸が延びる軸方向の一方に進むに従って径を漸減させる外周部を有する回転盤と、前記回転盤の外周部において周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼とを備え、前記回転盤と前記複数の回転翼との間に、径方向外方側から前記回転中心軸に向かって流入した作動流体を前記軸方向の一方側に流出させる流路が構成された回転構造体であって、前記回転翼の下流縁における前記回転盤側の一端から前記軸方向一方側の他端までの軸方向寸法である回転翼高さをh、前記回転翼の下流縁における一端から前記回転盤の前記軸方向一方側の先端部までの軸方向寸法である先端部高さをh*とすると、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0≦h*≦0.3h…(1)
この構成によれば、条件式(1)を満足するので、流体出口において作動流体が径方向内方側に流れ易くなり、大流量運転時において径方向の流速分布が均一的になる。これにより、大流量運転時におけるせん断層での混合損失を低減して効率の低下を抑制することができる。
h*≦0.2h…(2)
この構成によれば、条件式(2)を満足するので、流体出口において作動流体が径方向内方側にさらに流れ易くなり、大流量運転時において径方向の流速分布がより均一的になる。これにより、大流量運転時におけるせん断層での混合損失をさらに低減して効率の低下をさらに抑制することができる。
この構成によれば、傾斜部を有するので、外周部と先端部との間において回転盤の表面(外周部および傾斜部)に沿って流れる作動流体に流れの剥離が生じ難くなる。より具体的には、傾斜部を有しない場合に比べて流れ方向に流路が穏やかに拡大するので、外周部および傾斜部において流れの剥離が生じ難くなる。これにより、作動流体の流れの剥離によって引き起こされる効率低下を抑制することができる。
この構成によれば、軸方向に切断した断面において角部が円弧状に形成されているので、外周部と先端部との間において回転盤の表面(外周部および角部)に沿って流れる作動流体に流れの剥離が生じ難くなる。より具体的には、角部を円弧状とすることで流路が滑らかに連続することとなるので、外周部および角部において流れの剥離が生じ難くなる。これにより、作動流体の流れの剥離によって引き起こされる効率低下を抑制することができる。
この構成によれば、回転盤が内部空間を閉塞させる蓋体を備えるので、回転構造体における流量が適正な設計点流量に対して過小である場合において、流体出口よりも下流側に発生する螺旋渦の渦芯の付け根部分に蓋体が位置することとなる。すなわち、蓋体を設けずに内部空間を開放した状態においては、螺旋渦の起点が内部空間の軸方向他方側の奥部となって、螺旋渦の起点から先端部までの長さ分だけ螺旋渦の全長が長くなる。このため、コーン内外の旋回する流れの影響により螺旋渦の起点が不安定となって脈動や振動・騒音が増加すると考えられる。これに対して、蓋体で内部空間を閉塞させた状態においては、蓋体によって螺旋渦の起点が安定するので脈動や振動・騒音を抑制することができる。
この構成によれば、作動流体が設計点流量に対して過小である場合の小流量運転時に収容穴から軸方向一方側にコーンを突出させることにより、作動流体を流路の流体出口からコーンに沿わせて下流側に導くと共に、作動流体が設計点流量に対して過大である場合の大流量運転時には収容穴にコーンを収容することにより、作動流体を流路の流体出口から径方向内方側に流れ易くすることができる。これにより、小流量運転時及び大流量運転時の場合において水車効率を高効率に維持することができ、性能を向上させることができる。
この構成によれば、上記いずれかの回転構造体を具備するので、大流量運転時における効率の低下を抑制することができる。
また、本発明に係る流体機械によれば、大流量運転時における効率の低下を抑制することができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るフランシス水車(流体機械)1の概略構成を示す概略構成断面図である。
フランシス水車1は、図1に示すように、回転中心軸Pを重力方向に向けた回転シャフト2と、回転シャフト2の下端部(端部)に設けられたランナ(回転構造体)10と、ランナ10の径方向外方側に設けられて作動流体である用水Wを送り込むスパイラルケーシング3と、スパイラルケーシング3とランナ10とを接続するスピードリング4と、ランナ10に流入する用水Wの流量を調整するガイドベーン7と、ランナ10の下方に配置されてランナ10から放出された用水Wを放水するドラフトチューブ5とを備えている。
なお、本明細書における説明においては、特に言及しない限り、「物の位置を特定する際の上・下」は「重力方向における上・下」をいうものとする。
スパイラルケーシング3には、外部と接続された図示しない用水取込口が設けられていると共に、径方向内方側において環状に開口してスピードリング4と接続された用水送出口3bが設けられている。すなわち、案内流路3aに流入した用水Wは、スパイラルケーシング3内を一周する間に、用水送出口3bからランナ10(スピードリング4)へ向けて送り出される。
図1及び図2に示すように、ランナ10は、回転盤11と、ランナベーン(回転翼)12と、シュラウド13とを備えている。以下の説明においては、ランナ10の概略構成について説明をした後に、細部の構成について説明をする。
このような回転盤11は、具体的には、上方側に配置されたクラウンと、クラウンの下端部に固定された円錐台状のコーンとで構成されているが、クラウン単体のみでこれを構成しても構わない。
流路14において、用水Wは流体入口14aに流入すると、回転中心軸P側かつ下方側に流れながらランナベーン12に圧力を作用させてランナ10を回転させる。そして、流体出口14bから下方に放出されてドラフトチューブ(図1参照)5へと流入する。
0≦h*≦0.3h…(1)
但し、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
h*≦0.2h…(2)
ランナ60は、ランナ10と同様の構成となっているが、ランナ10がh*=0.198hであるのに対して、ランナ60が図3の破線に示すように、h*=0.433hとなっている。
本模型試験においては、このランナ60をフランシス水車1と同様のフランシス水車50に組み込んだものを比較例としている。
有効落差…57.9m、出力…177.7MW、回転数…94.7rpm、比速度(Ns)…250〔m・kW・rpm〕=94.7・(177700)1/2/(57.95/4)、模型比…0.0541
例えば、古くなった既設水力プラントの改修工事等において、最大流量の見直しを図ると共に既設水車のケーシング等を流用して古いコーンを、変更する又は除去してランナが条件式(1)を満足するようにすることで、最大出力点での効率向上及び最大出力アップが可能となる。
図6に示すように、ランナ60の場合には、大流量運転時において回転盤(11)側に沿った流れが先端部(11b)において下向きに転向されコーン(15)の外側付近の流速が増加、コーン(15)真下の流速が低下して速度分布に偏りができ損失増加(効率低下)が生じた。このため、流体出口(14b)の流れが閉塞傾向となって水車効率ηが低下してしまう。
これに対して、ランナ10の場合には、小型コーン等とすることにより、条件式(1)を満足するので、大流量運転時において回転盤11側近くを流れる用水Wが回転中心軸P側に流れ易くなり半径方向の流速分布が均一化し損失が減少(効率向上)する。
同様に、角部11e´を、軸方向に切断した断面において円弧状に形成してもよい。
なお、この場合には、蓋体25が回転盤11の先端部を構成することとなる。
続いて、本発明に係る第二実施形態について説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係るフランシス水車(流体機械)31の概略構成を示す要部拡大断面図である。なお、図9において、図1から図8と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
コーン41Aは、円錐台状に形成されており、下方に進むに従って外径を漸減させるように回転中心軸P上に配置されている。このコーン41Aの下方側における先端は、ランナ40の先端部41bを構成している。なお、この先端部41bは、上述した回転盤11の先端部11bに相当している。
このコーン41Aは、可動軸32Aの下端部(端部)に固定されて、可動軸32Aと共に回転可能かつ軸方向に変位可能になっている。
このコーン41Aは、中空軸32Bの下端部(端部)に固定されて、中空軸32Bと共に回転可能になっており、コーン41Aと同期回転するようになっている。
なお、設計点流量は、各フランシス水車に応じて適宜最適な値が設定され、この値に基づいて大流量運転時を判断する際の閾値及び小流量運転時を判断する際の閾値が規定される。
小流量運転時である場合には、制御装置31aは、コーン41Aを突出位置X1(下方側)に位置させることにより、流体出口14bにおいてコーン41Aに用水Wを沿わせて下流側に導く(図9において用水Wの流線を二点鎖線で示す。)。
一方、大流量運転時である場合には、制御装置31aは、コーン41Aを軸方向に変位させて収容穴41dに収容し、突出位置X1から収容位置X2(上方側)に位置させる。これにより、死水コア領域とのせん断層における混合損失を低減して用水Wが流路14の流体出口14bにおいて径方向内方側に流し(図9において用水Wの流線を実線で示す。)、径方向の流速分布が均一的になる。
一方、大流量運転時である場合には収容位置X2にコーン41Aを位置させるので、流路14の流体出口14bにおいて径方向内方側に流れ易くなり、径方向の流速分布が均一的になる。これにより、大流量運転時において、せん断層での混合損失を低減して水車効率の低下を抑制することができる。
すなわち、設計点流量に対して用水Wの流量が過小であっても過大であっても、双方の場合において水車効率を維持することができ、性能を向上することができる。
例えば、上述した第一実施形態及び第二実施形態においては、フランシス水車1,31に本発明を適用した場合を説明したが、他のポンプ水車や水車など様々な流体機械に適用可能である。
2,32…回転シャフト
10,40…ランナ(回転構造体)
11,41…回転盤
11a,41a…外周部
11b,41b…先端部
11c…傾斜部
11d,11d´,11e,11e´…角部
12…ランナベーン(回転翼)
12a…下流縁
12b…一端
12c…他端
14…流路
25…蓋体
P…回転中心軸
S…内部空間
W…用水(作動流体)
Claims (7)
- 回転中心軸が延びる軸方向の一方に進むに従って径を漸減させる外周部を有する回転盤と、
前記回転盤の外周部において周方向に間隔を空けて設けられた複数の回転翼とを備え、
前記回転盤と前記複数の回転翼との間に、径方向外方側から前記回転中心軸に向かって流入した作動流体を前記軸方向の一方側に流出させる流路が構成された回転構造体であって、
前記回転翼の下流縁における前記回転盤側の一端から前記軸方向一方側の他端までの軸方向寸法である回転翼高さをh、前記回転翼の下流縁における一端から前記回転盤の前記軸方向一方側の先端部までの軸方向寸法である先端部高さをh*とすると、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする回転構造体。
0≦h*≦0.3h…(1) - 以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の回転構造体。
h*≦0.2h…(2) - 前記回転盤は、前記外周部と前記先端部との間に前記軸方向の一方に進むに従って径方向内方に進む傾斜部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転構造体。
- 前記回転盤は、前記外周部と前記先端部との間に角部を有し、
前記角部は、前記軸方向に切断した断面において円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の回転構造体。 - 前記回転盤は、少なくとも前記先端部側に内部空間が形成され、
該内部空間を閉塞させる蓋体を備えることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の回転構造体。 - 前記回転盤は、前記回転中心軸上に配置されて前記軸方向一方側の先端が前記先端部を構成するコーンと、
前記回転中心軸上に前記コーンを収容可能な収容穴を有すると共に前記回転翼が設けられた外周が前記外周部の少なくとも一部を構成するクラウンとを備え、
前記コーンは、前記軸方向に変位可能に構成され、前記コーンが前記収容穴に収容された場合に条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の回転構造体。 - 請求項1から6のうちいずれか一項に記載の回転構造体と、
該回転構造体が軸方向の一方の端部に設けられた回転シャフトとを具備することを特徴とする流体機械。
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JPS6456970A (en) * | 1987-08-28 | 1989-03-03 | Hitachi Ltd | Guide vane for hydraulic machine |
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