JP2011233740A - 磁性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ユーザーの要求に応じて磁気特性をきめ細かに制御することが可能で製造が容易な構成の磁性シートを提供すること。
【解決手段】 粘着層2を有し伸縮性を備えた基材3に、フェライト焼結体シートを貼り付けた後、フェライト焼結体シートに切れ目を設けて基材3を伸ばして、フェライト焼結体シートを分割して得られたフェライト焼結体個片1の間隔に樹脂5を介在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信機器に用いられる磁性シートの構造に関する。
近年、電子情報通信分野の発達に伴い、通信機器に対する小型化・軽量化の要求は止まることなく、通信機器の部品である放射ノイズ吸収体や、通信用のアンテナ装置として用いられる磁性シートにおいても、その電磁的特性の向上と同時に、薄型化、低コスト化への要求はますます高まっている。
電磁ノイズ吸収における磁性シートへの要求は、電磁的特性として、電磁ノイズの周波数範囲において大きな比透磁率の虚数成分を持つことが求められている。磁性シートの比透磁率の虚数成分が大きい場合、ノイズ吸収特性が向上するため、磁性シートの厚みを薄くすることができるからである。
また、外部装置(リーダライタ)から無線信号を送り、タグやICカードなどのメモリの記録情報などを読み取るRFID(Radio Frequency IDentification)は、ユビキタス社会に向けた根幹技術として注目されている。日本国内においては、電波法で規定された13.56MHzや2.45GHzなどを搬送波周波数とする無線通信技術が開発されており、RFIDタグや非接触ICカードなどに代表される、RFIDアンテナを用いた近接距離での通信システムが広く普及している。
このRFIDアンテナの薄型化ないし小型化のためには、アンテナ装置の構成部材となる軟磁性材料において、目的に応じて比透磁率および比透磁率の虚数成分を広い範囲でバランス良く調整できることが望ましい。
特に、非接触充電機能や、各規格の無線通信機能が単独、もしくは混在して同一の通信端末に搭載されることに対応し、数十kHzから数GHzの広い周波数範囲で、きめ細かに磁気特性を調整した磁性シートが求められる傾向にある。このような要求を高次元で実現できる軟磁性材料は、フェライト焼結体、もしくは、軟磁性金属粉末と樹脂の混和物である。
このような用途の磁性シートとして軟磁性セラミックであるフェライト焼結体が用いられる場合、フェライト焼結体の割れや破損による脱落を防止するため、薄いフェライト焼結体シートを樹脂製フィルムでラミネートして外部保護層とした上で、各種形状に加工して所定の部品となすことが多い。
特許文献1においては、平板状のフェライトタイルを配列し、隣接するフェライトタイルとの間隙に、軟磁性フェライト粉末と樹脂結合材の混和物を充填し、フェライトタイルの割れや欠けを防止するとともに、電波吸収特性を向上させる技術が開示されている。
特許文献2においては、フェライト焼結体シートを非剛体層を介して積層構造とすることにより、比透磁率の低下を防止して、柔軟性を付与し、加工性を向上する技術が開示されている。
特許文献3においては、フェライト焼結体シート上に溝を設けておき、この溝を起点として分割可能とすることにより、比透磁率の低下を防止して、柔軟性を付与し、フェライト焼結体粉砕粉の脱落を低減する技術が開示されている。
特許文献4では、電波吸収シートの裏面に粘着剤層並びに離型シートを積層して構成した漏洩電波防止シートにおいて、電波吸収シートの表面に分離案内溝を設けておき、任意の場所で分離することにより、複数の搭載機種に応じたサイズのシートを容易に得る技術が開示されている。
特開平6−148364号公報 特開2007−149847号公報 特開2005−015293号公報 実開平5−1293号公報
電子通信機器に搭載される磁性シートにおいては、ユーザーの要求に応じて磁性シートの磁気特性をきめ細かに制御する要求が高まってきている。
軟磁性体の個片を面状に配列してシート形状となす場合には、配列された軟磁性体個片の間隔や、軟磁性体個片の面積により、シート全体としての実効的な比透磁率が変化するため、ユーザーが要求する磁気特性からのばらつきを抑制するためには、軟磁性体個片の間隔や、軟磁性体個片の面積を精度良く制御しなければならない。
フェライト焼結体シートに粉砕または分割を施すと、反磁界の発生により、必然的に磁性シートの比透磁率は減少する。よって、粉砕または分割を施す前の比透磁率を比較的高い値としておく必要がある。
例えば、RFID用アンテナに用いるフェライト焼結体を用いた磁性シートにおいては、比透磁率の実数成分の値と虚数成分の値のバランスをとる観点から、粉砕または分割による反磁界がない状態での比透磁率の実数成分として概ね50から300の範囲が選択されている。
特許文献1で開示されている技術では、フェライトタイルを個別に面状に配列し、隣接するフェライトタイルの空隙に粉末と樹脂の混和物を充填して実現するものである。ここで、隣接するフェライトタイル間の空隙を拡大すれば、比透磁率の低減効果が得られるが、電子部品として用いられる磁性シートを、フェライト焼結体個片を面状に配列して実現しようとすれば、工程の手間が増大するという欠点があった。
また、特許文献2、3に開示された技術においては、磁性シートの比透磁率を低下させるために、粉砕または分割の度合いを強めて、磁性シートの面内に配列されたフェライト焼結体のサイズを減少させようとした場合、フェライト焼結体粉砕粉の脱落が顕著となったり、フェライト焼結体の破断端部により外部保護層が損傷を受けるなどの不具合が生ずる問題があった。
フェライト焼結体シートを樹脂製フィルムでラミネートした上で、各種形状に加工する際には、例えば金型による打抜を行ったとすると、焼結体の粉砕に伴い、粉砕粉や個片脱落が生じて不可避的に異物が発生するが、この異物の発生が過剰となれば、品質の低下原因となるという問題があった。
そこで本発明は、ユーザーの要求に応じて磁気特性をきめ細かに制御することが可能で製造が容易な構成の磁性シートを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は磁性シートの構造を検討してなされたものである。すなわち、本発明によれば粘着層を有し伸縮性を備えた基材に、フェライト焼結体シートを貼り付けた後、前記フェライト焼結体シートに切れ目を設けて、前記基材を伸ばすことにより、前記基材の表面上に前記フェライト焼結体シートが間隔をもって分割されて任意形状のフェライト焼結体個片が配列されていることを特徴とする磁性シートが得られる。
また、本発明によれば、粘着層を有し伸縮性を備えた第1の基材に、切れ目を設けたフェライト焼結体シートを貼り付けた後、前記第1の基材を伸ばすことにより前記第1の基材の表面上に前記フェライト焼結体シートが間隔をもって分割されて任意形状のフェライト焼結体個片が配列された後、前記フェライト焼結体個片上面に、粘着層を有し伸縮性を備えた第2の基材を貼り付けたことを特徴とする磁性シートが得られる。
また、本発明によれば、前記間隔に粉末を介在させたことを特徴とする上記の磁性シートが得られる。
また、本発明によれば、前記間隔に樹脂を介在させたことを特徴とする上記の磁性シートが得られる。
また、本発明によれば、前記間隔に粉末と樹脂を混在させたことを特徴とする上記の磁性シートが得られる。
また、本発明によれば、前記第2の基材は、前記第1の基材よりも大きな引張り強度を備えたことを特徴とする上記の磁性シートが得られる。
本発明によれば粉砕もしくは分割されていないフェライト焼結体シートを、粘着層を介して伸縮性を有する基材に貼り付けた後にフェライト焼結体に切れ目を設けて基材を伸ばして、フェライト焼結体を間隔をもって分割することによって得られたフェライト焼結体個片の間隔を基材の伸縮性を利用した面内応力によって保持し、この間隔に樹脂や粉末を充填することにより、比透磁率の値が広い範囲で制御が可能な磁性シートを提供することが可能となる。
本発明によれば、フェライト焼結体シートを基材に粘着層を介して貼り付けた後でフェライト焼結体に切れ目を設けて基材を伸ばしてフェライト焼結体を分割してフェライト焼結体個片を得るため、フェライト焼結体個片を個別に面状に配列する手間を除くことが可能となる。
また、フェライト焼結体シートを貼り付けた基材の伸縮性を利用して、フェライト磁性体個片間の間隔を制御しているので、フェライト焼結体シートの粉砕もしくは分割の度合いを高めることによる粉砕粉の脱落や外部保護層の損傷を防止することができる。特に、第1の基材にフェライト焼結体を貼り付けて第1の基材を伸ばしてフェライト焼結体を分割したのち、フェライト焼結体個片の上面に第2の機材を貼り付けた構造とすることで、フェライト焼結体個片の脱落を防止することができる。
本発明の磁性シートにおける第1の実施の形態の断面図。 本発明の磁性シートにおける第2の実施の形態の断面図。
本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。図1は、本発明の磁性シートにおける第1の実施の形態の断面図である。図2は、本発明の磁性シートにおける第2の実施の形態の断面図である。
(第1の実施の形態)
まず、本発明による磁性シートにおける第1の実施の形態について説明する。図1において第1の基材3は伸縮性を備え、粘着層2を有している。第1の基材3にフェライト焼結体シートを貼り付けた後、ガラス切り等により切れ目を設けた後に、第1の基材3を伸ばしてフェライト焼結体を分割することにより生じたフェライト焼結体個片1の間隔に樹脂5を介在させて間隔を保持している。
図1に示した本発明の磁性シートにおける第1の実施の形態において、フェライト焼結体の個片1の間隔には粉末を介在させたり、粉末と樹脂を混在させて間隔を保持されていても良い。
ここで、第1の基材はポリエステルフィルム、フェライト焼結体個片1の間隔に介在させる粉末は球状シリカ粉末が望ましく、樹脂5はエポキシ樹脂が望ましい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の磁性シートにおける第2の実施の形態について説明する。図2において第1の基材3は伸縮性を備え、粘着層2を有している。まず、第1の基材3に切れ目が設けられていないフェライト焼結体シートを貼り付けた後、ガラス切り等により切れ目を設けた後に、第1の基材3を伸ばしてフェライト焼結体を分割することにより生じたフェライト焼結体個片1の間隔に粉末6を介在させて間隔を保持している。
次に、フェライト焼結体個片1の上面に第2の基材4を貼り付ける。第2の基材4は、伸縮性を有し、粘着層2を備えている。ここでフェライト焼結体個片1の間隔に樹脂を介在させたり、粉末と樹脂を混在させて保持されていても良い。
ここで、第1の実施の形態と同様に、フェライト焼結体個片1の間隔に介在させる粉末は球状シリカ粉末が望ましく、樹脂はエポキシ樹脂が望ましい。
また第2の基材は、第1の基材と同様にポリエステルフィルムが望ましいが、同一の材質、厚みのポリエステルフィルムを用いると、基材の弾性力が同じなので、反りやたわみが生じてしまう。そこで第2の基材は第1の基材よりも高い弾性を有することが望ましい。具体的には第2の基材は第1の基材と同一の材質の場合には厚いフィルムを用いることが望ましい。または、第2の基材は第1の基材よりも引張り強度が大きいことが望ましい。
本発明の実施例について詳細に説明する。磁性シートの作製のために、磁性粉末としては、組成(mol%)が化学式で22.5NiO−8.0CuO−20.0ZnO−49.5FeであるNi−Cu−Zn系軟磁性フェライト粉末を用いた。平均粒径D50(粒径が小さい側から積算して質量比が50%となる粒径)が1.2μmである磁性粉末を用いた。
上記のフェライト粉末にバインダーとしてポリビニルブチラールを5質量部、溶媒としてエタノールを35質量部、他に少量の可塑剤、増粘剤を添加して100質量部とした。
次にボールミルを用いてこれらの混合物を20時間混練してスラリーを作製した。このスラリーをドクターブレード成型の方法によりポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工して、焼結後の厚さが0.2mmとなる軟磁性フェライトのグリーンシートを得た。
このグリーンシートを1000℃で焼結し、フェライト焼結体シートを作製した。グリーンシート時の寸法を基準とした焼結収縮率は約14.8%であり、1MHzにおける室温での比透磁率の実数成分は150であった。
このフェライト焼結体シート表面にガラス切りを用いて各辺と平行となるように碁盤目状にキズをつけて切れ目を施した。ここで、切れ目なし、切れ目のピッチを1.0mm、1.7mm、2.0mmとして試料を作製した。
フェライト焼結体シートに切れ目を施した面の反対側の面に、基材として粘着層を含む厚さが30μmのポリエステルフィルム(寺岡製作所631S)を貼り付け、曲率半径200mmの円柱に、ポリエステルフィルムの貼り付け面を円柱側としてフェライト焼結体を沿わせるように湾曲させて押し当てることにより基材を伸ばしてフェライト焼結体シートを分割した。
ここでフェライト焼結体シートの分割は、フェライト焼結体シートの一辺が円柱の中心軸と平行になるようにして1回行い、引き続きフェライト焼結体シートの一辺と直交する他の辺が円柱の中心軸と平行になるように、フェライト焼結体シートを面内方向に90度回転させて1回行い、計2回行った。
このようにフェライト焼結体シートを分割して作製した磁性シートにおいて、切れ目のピッチ1.0mmにて作製した試料を試料2とし、切れ目のピッチ2.0mmにて作製した試料を試料4とした。
次に、フェライト焼結体シートを分割して得られたフェライト焼結体個片間に粉末を介在させて間隔を保持させた試料を作製した。上記の切れ目のピッチ2.0mmにて作製した試料について、曲率半径200mmの円柱にフェライト焼結体シートを沿わせるように湾曲させて押し当ててフェライト焼結体シートを分割した状態のまま、上方から、目開き53μmのふるいを用いて、平均粒径D50として0.5μmを有する球状シリカ粉末(アドマテックスSO−E2)を散布した。
この球状シリカ粉末の散布は、計2回の分割の各々の回において実施した。フェライト焼結体個片間に球状シリカ粉末を介在させた後、分割されたフェライト焼結体シートを、貼り付けられたポリエステルフィルムとともに、ポリエステルフィルムが貼り付けられた面を下側にして平板上に静置し、刷毛で余剰の球状シリカ粉末を除去した。
このようにして粉末を介在させてフェライト焼結体個片間の間隔を保持した磁性シートを試料5、7とした。
次に、フェライト焼結体シートを分割して得られたフェライト焼結体個片間に樹脂を介在させて間隔を保持させた試料を作製した。上記の切れ目のピッチ1.7mmと2.0mmにて作製した試料について、フェライト焼結体シートを分割した後、貼り付けられたポリエステルフィルムとともに、ポリエステルフィルムが貼り付けられた面を下側にして平板上に静置し、静置されたフェライト焼結体シートの上面に、シリコン製のへらを用いてエポキシ樹脂(レジナス化成S71)を塗布して、フェライト焼結体個片間にエポキシ樹脂を含浸させた。この後、余剰のエポキシ樹脂は、シリコン製のへらとウエスを用いて除去し、120℃、90分間の条件でエポキシ樹脂を加熱硬化させた。
このようにして樹脂を介在させてフェライト焼結体個片間の間隔を保持した磁性シートについて、切れ目のピッチ1.7mmにて作製した試料を試料3とし、切れ目のピッチ2.0mmにて作製した試料を試料6とした。
ここで、フェライト焼結体シートを分割したフェライト焼結体個片間に球状シリカ粉末を介在させた試料7については、、余剰の球状シリカ粉末を除去した上で、さらにエポキシ樹脂を含浸させて加熱硬化させることにより、粉末と樹脂を混在させて間隔を保持させた。
以上のように、分割が施され、フェライト焼結体個片間に球状シリカ粉末ないしはエポキシ樹脂を介在させたフェライト焼結体シート試料2から7まで作製した。また、比較例として、フェライト焼結体シートに切れ目を設けずに作製した試料を作製した。この試料を試料1とした。
次に、試料1から7それぞれについてポリエステルフィルムが貼り付けられていないフェライト焼結体個片上面を、ウエスで清拭して、目視にて過剰な異物が付着していないことを確認した上で、ポリエステルフィルムを貼り付けた。
ここでフェライト焼結体個片上面に貼り付けるポリエステルフィルムは、すでにフェライト焼結体個片下面に貼り付けられたポリエステルフィルムよりも高い弾性を有するように、下面に貼り付けられた厚さ30μmのポリエステルフィルム(寺岡製作所631S)と同一材質で、厚さが50μmのポリエステルフィルムを用いた。
フェライト焼結体個片上面の厚さ50μmのポリエステルフィルムとフェライト焼結体下面の厚さ30μmのポリエステルフィルムの引張り強度を比較すると、フェライト焼結体個片上面の厚さ50μmのポリエステルフィルムは95.6N/25mm幅で、フェライト焼結体下面の厚さ30μmのポリエステルフィルムは39.2N/25mm幅となり、フェライト焼結体個片上面のフィルムの方が引張り強度が大きな値を有している。
以上のように作製した試料1から7について、比透磁率の実数成分と製造上の不具合について評価を行った。1MHzにおける比透磁率の実数成分については、金型を用いて外径18mm、内径11mmのトロイダル形状となるように磁性シートを打ち抜いた試料を測定対象として、ヒューレットパッカード社製HP4291Aを用いて評価をおこなった。表1に評価結果を示す。比透磁率の実数成分値は、各試料について3個測定を行った値の平均値である。
Figure 2011233740
表1に示したように、比較例として、作製した試料1については、フェライト焼結体シートに切れ目を施してはいないので、分割した場合にフェライト焼結体個片におけるサイズが一定とならず、フェライト焼結体シートを均一に分割することが困難であり、かつ、微細なサイズのフェライト焼結体個片は脱落し、視認できる異物が発生する傾向が顕著であった。
試料1については、フェライト焼結体個片サイズの均一化をはかるため、両面にポリエステルフィルムを貼り付けた上で磁性シート全体を屈曲させて、粗大なサイズのフェライト焼結体個片を微細化することを試みたとしても、粗大なサイズのフェライト焼結体個片においては、その外周角部が鋭利な破断面を有しているため、ポリエステルフィルムに突き刺さるような作用が顕著で、磁性シート外観不良となった。
試料2から4については、試料1と比較して、磁性シート作成上の不具合がなく好ましい。また、分割によって生じたフェライト焼結体個片は、概ね切れ目のピッチと同一となっており、面全体で均一なサイズであった。比透磁率の実数成分値については、102から105の値となっており、ほとんど差が生じなかった。
次に、試料5から7については、シート作成上の不具合がなく、また、分割によって生じたフェライト焼結体個片は、概ね切れ目のピッチと同一となっており、面全体で均一なサイズとなっており好ましい。さらに、比透磁率の実数成分値は、試料2から4と比較して、より小さな値が得られた。
フェライト焼結体個片間に粉末を介在させた試料5と樹脂を介在させた試料6、粉末と樹脂の両方を介在させた試料7はそれぞれ比透磁率の実数成分が、95、85、60となり比透磁率を制御することができた。
本発明によれば、フェライト焼結体シートを粘着層を介して伸縮性を有する基材に貼り付けた後に分割することによってフェライト焼結体個片の間隔を保持して、間隔に粉末や樹脂を介在させことによって、比透磁率の値を広い範囲で制御した磁性シートを得ることができる。フェライト焼結体個片に脱落が発生するなどの不具合もなく、用途に応じて迅速かつきめ細かに比透磁率を制御した磁性シートの提供が容易となる。
本発明による磁性シートは、電磁ノイズ吸収、非接触充電、RFIDアンテナに利用することができる。
1 フェライト焼結体個片
2 粘着層
3 第1の基材
4 第2の基材
5 樹脂
6 粉末

Claims (6)

  1. 粘着層を有し伸縮性を備えた基材に、フェライト焼結体シートを貼り付けた後、前記フェライト焼結体シートに切れ目を設けて、前記基材を伸ばすことにより、前記基材の表面上に前記フェライト焼結体シートが間隔をもって分割されて、任意形状のフェライト焼結体個片が配列されていることを特徴とする磁性シート。
  2. 粘着層を有し伸縮性を備えた第1の基材に、切れ目を設けたフェライト焼結体シートを貼り付けた後、前記第1の基材を伸ばすことにより前記第1の基材の表面上に前記フェライト焼結体シートが間隔をもって分割されて任意形状のフェライト焼結体個片が配列された後、前記フェライト焼結体個片上面に、粘着層を有し伸縮性を備えた第2の基材を貼り付けたことを特徴とする磁性シート。
  3. 前記間隔に粉末を介在させたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁性シート。
  4. 前記間隔に樹脂を介在させたとを特徴とする請求項1または2に記載の磁性シート。
  5. 前記間隔に粉末と樹脂を混在させたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁性シート。
  6. 前記第2の基材は、前記第1の基材よりも大きな引張り強度を備えたことを特徴とする請求項2に記載の磁性シート。
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