以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。また、本発明の実施の形態の説明及び図面では、上・下・前・後・左・右の用語を用いるが、これらは、方向を説明するために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。さらに、各図では、各構成要素が分かり易くなるように、構成要素の縦横などの寸法の比率が調整されている。
<<実施の形態1>>
本発明の実施の形態1に係る電磁波抑制体100は、電子部品、配線、電子機器などから発生する電磁波を抑制するための部品或いは製品である。電磁波抑制体100は、図1に示すように、電磁波抑制部材101にラミネート加工を施した構造を備えており、可撓性を有する。
ここで、図1は、本実施の形態に係る電磁波抑制体100の構成を示す。図1の(a)は電磁波抑制体100の斜視図であり、(b)は前後方向の概ね中央における上下左右に平行な断面を前方から見た図である。
なお、電磁波抑制体100は、前後方向の概ね中央における上下左右に平行な断面を後方から見た場合も、図1(b)と同様に表れる。また、電磁波抑制体100は、左右方向の概ね中央における上下前後に平行な断面を左方又は右方から見た場合も、図1(b)と同様に表れる。
電磁波抑制体100は、電磁波抑制部材101と、第1両面シート102aと、収容部材103と、第2両面シート104aと、取付用セパレータ105aと、封止シート106aとを備える。
電磁波抑制部材101は、電磁波を抑制する可撓性の部材であり、上下に平行な主面を有するシート状をなす。
電磁波抑制部材101には、例えば、扁平形状の軟磁性粉末が結合剤中に分散された、軟磁性粉末と結合剤との複合体が採用される。電磁波抑制部材101において、扁平形状の軟磁性粉末の殆どが、電磁波抑制部材101の主面と概ね平行になるように向きを揃えて配列している。
軟磁性粉末には、Fe‐Si‐Al合金、Fe‐Si合金、Fe‐Si‐Cr合金、金属酸化物などが好適に採用される。特に、透磁率特性の向上には、磁化が大きい金属合金が望ましい。また、結合剤には、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム、アクリルゴムといった樹脂、ゴム等が採用される。
電磁波抑制部材101の厚さは、例えば0.025mm(ミリメートル)~1mm程度であるが、適宜変更されてもよい。ここで、厚さは、上下方向の長さを意味し、以下においても同様である。
本実施の形態に係る電磁波抑制部材101は、上方から見て、例えば一辺の長さが1~数センチメートルの矩形であるが、その形状及び大きさは適宜変更されてもよい。
第1両面シート102aは、両面に粘着面を有する両面粘着シートであり、可撓性を有する。本実施の形態に係る第1両面シート102aは、第1粘着シートに相当する。
電磁波抑制体100を構成する第1両面シート102aは、上方から見た形状及び大きさが電磁波抑制部材101と同じである。第1両面シート102aの厚さは、例えば0.02mm~0.07mm程度であるが、適宜変更されてもよい。
詳細には、第1両面シート102aは、第1基材107aと、第1上粘着層107bと、第1下粘着層107cとを含む。
第1基材107aは、可撓性を有するシート状の部材である。第1基材107aの材料は例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂である。
第1上粘着層107bと第1下粘着層107cとは、それぞれ、第1基材107aの上面と下面とに取り付けられた粘着性を有する層である。第1上粘着層107bの上面は、第1両面シート102aの一方の粘着面に相当する。第1下粘着層107cの下面は、第1両面シート102aの他方の粘着面に相当する。
第1上粘着層107bの上面は、上方から見て輪郭を揃えて電磁波抑制部材101の下面に貼り付けられている。
収容部材103は、上下に貫通した貫通孔を収容空間として内部に含む枠状の部材である。収容空間は、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101を収容するための空間である。
収容部材103は、例えば樹脂、ゴムなどで作られており、可撓性を有する。本実施の形態に係る収容部材103は、上方から見て、例えば一辺の長さが数センチメートルの矩形である。また、収容部材103の高さは、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101の高さ、すなわち、第1両面シート102aと電磁波抑制部材101とを重ねた高さと同じである。
本実施の形態に係る収容部材103は、収容空間に収容された電磁波抑制部材101の側方周囲を、隙間を空けて囲む。この隙間は、収容空間を形成する内側面と電磁波抑制部材101の外縁との間の前後方向又は左右方向の間隔であって、例えば0.5mm~1mm程度である。
なお、収容部材103の形状及び大きさは適宜変更されてもよい。また、収容空間の形状及び大きさは、電磁波抑制部材101が収まるものであれば、適宜変更されてもよい。
第2両面シート104aは、両面に粘着面を有する両面粘着シートであり、可撓性を有する。本実施の形態に係る第2両面シート104aは、第2粘着シートに相当する。
電磁波抑制体100を構成する第2両面シート104aは、上方から見た形状及び大きさが収容部材103の外形と同じである。第2両面シート104aの厚さは、例えば0.02mm~0.07mm程度であるが、適宜変更されてもよい。
詳細には、第2両面シート104aは、第2基材108aと、第2上粘着層108bと、第2下粘着層108cとを含む。
第2基材108aは、可撓性を有するシート状の部材である。第2基材108aの材料は、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂である。
第2上粘着層108bと第2下粘着層108cとは、それぞれ、第2基材108aの上面と下面とに取り付けられた粘着性を有する層である。第2上粘着層108bの上面は、第2両面シート104aの一方の粘着面に相当する。第2下粘着層108cの下面は、第2両面シート104aの他方の粘着面に相当する。
第2上粘着層108bの上面は、第1下粘着層107cの下面と収容部材103の下端とに貼り付けられている。第2上粘着層108bと収容部材103とは、上方から見て輪郭を揃えて貼り付けられており、これによって、第2両面シート104aが収容部材103の下方の開口を塞いでいる。
取付用セパレータ105aは、例えば表面に剥離加工が施された紙など、粘着層から容易に剥離できるシートである。
取付用セパレータ105aは、上方から見た形状及び大きさが第2両面シート104aと同じである。取付用セパレータ105aは、第2下粘着層108cの下面に、上方から見て第2両面シート104aと輪郭を揃えて貼り付けられている。
封止シート106aは、一面に粘着面を有する片面粘着シートであり、可撓性を有する。本実施の形態に係る封止シート106aは、第3粘着シートに相当する。
封止シート106aは、上方から見た形状及び大きさが収容部材103の外形と同じである。封止シート106aの厚さは、例えば0.02mm~0.07mm程度であるが、適宜変更されてもよい。
詳細には、封止シート106aは、第3基材109aと、第3粘着層109bとを含む。
第3基材109aは、可撓性を有するシート状の部材である。第3基材109aの材料は、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂である。
第3粘着層109bは、第3基材109aの下面に取り付けられた粘着性を有する層である。第3粘着層109bの下面は、封止シート106aの粘着面に相当する。
第3粘着層109bの下面は、電磁波抑制部材101の上面と収容部材103の上端とに貼り付けられている。第3粘着層109bと収容部材103とは、上方から見て輪郭を揃えて貼り付けられており、これによって、封止シート106aが収容部材103の上方の開口を塞いでいる。
(使用方法)
これまで説明した構成を備える電磁波抑制体100は、取付用セパレータ105aを剥がした後に、電磁波抑制体100を取り付ける対象である取付対象に第2両面シート104aの下面を貼り付けることができる。取付対象の例として、電子部品、配線、電子機器などの電磁波発生源、電磁波発生源の近傍に位置する筐体を挙げることができる。
このように、電磁波抑制体100は、第2両面シート104aを備えることによって、取付対象に容易に取り付けることができる。そして、電磁波抑制体100は、第2両面シート104aにより貼り付けられた取付対象から発生する電磁波を抑制する。また、電磁波抑制体100は、電磁波発生源の近傍に第2両面シート104aにより貼り付けることで、電磁波発生源から発生する電磁波を吸収する。これにより、電磁波発生源から発生する電磁波が、取付対象の周囲に配置される他の電子部品、配線、電子機器などに影響することを低減することができる。
なお、電磁波抑制体100には、第2両面シート104aに代えて片面粘着シートが取り付けられてもよい。この場合、電磁波抑制体100は、接着剤などで取付対象に取り付けられるとよい。
本実施の形態に係る電磁波抑制体100では、上述の通り、封止シート106aと第2両面シート104aとのそれぞれによって、収容部材103の上下の開口が塞がれて、電磁波抑制部材101が収容部材103の中に封止されている。
そのため、軟磁性体粉末が電磁波抑制部材101の側面や主面からこぼれ落ちたとしても、それが飛散することは殆どなくなる。従って、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良を殆どなくすことが可能になる。
また、一般的な粘着シートは可撓性を有するので、第1両面シート102a、第2両面シート104a、封止シート106aは通常、可撓性を有する。これに加えて、本実施の形態では、電磁波抑制部材101及び収容部材103も可撓性を有する。これにより、曲面を有する取付対象の曲面に容易に取り付けて、取付対象から発生する電磁波を抑制することができる。
このとき、電磁波抑制部材101が封止された状態で、取付対象の曲面に電磁波抑制体100を張り付けることができる。従って、取付対象の曲面に電磁波抑制体100を取り付けた場合であっても、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良を殆どなくすことが可能になる。
さらに、本実施の形態に係る電磁波抑制体100では、収容部材103の厚みは、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101の高さと同じである。そのため、第2両面シート104aを、段差が殆どない状態で、第1両面シート102aと収容部材103の下端とに貼り付けることができる。また、封止シート106aを、段差が殆どない状態で、電磁波抑制部材101と収容部材103の上端とに貼り付けることができる。
これによって、第1両面シート102aと収容部材103の下端との間や、電磁波抑制部材101と収容部材103の上端との間に段差がある場合よりも、電磁波抑制部材101を強固に封止することができる。従って、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良をより確実になくすことが可能になる。
これまで、本発明の実施の形態1に係る電磁波抑制体100の構成及びその使用方法について説明した。ここから、本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法について説明する。
(製造方法)
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、電磁波抑制体100を製造するための方法である。図2は、本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法に含まれる工程の流れを示す。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、電磁波抑制シート110と、正面図である図3に示すように製造用セパレータ111が貼り付けられた大判の第1両面シート102bとを準備した後に開始される。
ここで準備される電磁波抑制シート110は、電磁波抑制部材101に切り分けられる前の大判のシートである。電磁波抑制シート110は、上方から見た形状及び大きさを除いて、電磁波抑制部材101と同様に構成される。
また、ここで準備される大判の第1両面シート102bは、電磁波抑制体100を構成する第1両面シート102aとは異なり個別化されておらず、上方から見て電磁波抑制シート110と概ね同じ形状及び大きさを有する。
上方から見た形状及び大きさが異なる点を除いて、大判の第1両面シート102bは、図3に示すように、第1両面シート102aと同様の構成を備える。すなわち、第1両面シート102bは、第1基材107a、第1上粘着層107b及び第1下粘着層107cのそれぞれと形状及び大きさが異なる点を除いて同様に構成される第1基材107d、第1上粘着層107e及び第1下粘着層107fを含む。
また、製造用セパレータ111は、取付用セパレータ105aと同様に、例えば表面に剥離加工が施された紙など、粘着層から容易に剥離できるシートである。製造用セパレータ111は、上方から見て大判の第1両面シート102bと概ね同じ形状及び大きさを有し、図3に示すように、第1下粘着層107fの下面に貼り付けられている。
電磁波抑制シート110が、第1両面シート102bに含まれる第1上粘着層107eの上面に、それぞれの外縁を揃えて貼り付けられる(S101;第1の貼付工程)。これにより、正面図である図4に示すように、第1両面シート102bが貼り付けられた電磁波抑制シート110が作製される。
図2に示すように、ステップS101にて作製されたものに、切れ込みHCが設けられる(ステップS102;ハーフカット工程)。
切れ込みHCは、複数の電磁波抑制部材101と当該複数の電磁波抑制部材101の周囲の余剰部112とに電磁波抑制シート110を分離するためのものである。切れ込みHCは、第1下粘着層107fの下面に製造用セパレータ111を取り付けた状態で、電磁波抑制シート110と第1両面シート102aとに設けられる。
なお、電磁波抑制シート110から分離される電磁波抑制部材101の数は、本実施の形態では図5に示すような6個に限られず、適宜変更されてもよい。
図5は、ステップS101にて作製されたものに切れ込みHCが設けられた状態を示す図である。図5の(a)は斜視図であり、(b)は前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図2に示すように、ステップS102にて作製されたものから余剰部112が除去される(ステップS103;余剰除去工程)。
ステップS103では、余剰部112に貼り付けられた第1両面シート102bが製造用セパレータ111から剥がし取られる。これによって、余剰部112は、これに貼り付けられた第1両面シート102bとともに除去される。
ステップS103を行った結果を図6の正面図に示す。図6に示すように、複数の電磁波抑制部材101が製造用セパレータ111の上に残る。そして、複数の電磁波抑制部材101の各々の下面には、上方から見て電磁波抑制部材101と同じ形状及び大きさに個別化した第1両面シート102bが張り付いている。
図2に示すように、ステップS103にて作製されたものに複数の電磁波抑制部材101の各々を囲むように配置された収容部材103が、大判の封止シート106bと製造用セパレータ111との間に挟まれる(ステップS104;封止シート貼付工程)。このとき、複数の収容部材103は、大判の封止シート106bの粘着面に貼り付けられている(図8参照)。
ここで、大判の封止シート106bは、上述の電磁波抑制体100を構成する封止シート106aとは異なり個別化されておらず、上方から見て電磁波抑制シート110と概ね同じ形状及び大きさを有する。
大判の封止シート106bは、上方から見た形状及び大きさが異なる点を除いて、電磁波抑制体100を構成する封止シート106aと同様の構成を備える。すなわち、封止シート106bは、第3基材109a及び第3粘着層109bのそれぞれと形状及び大きさが異なる点を除いて同様に構成される第3基材109c、第3粘着層109dを含む。
封止シート貼付工程(ステップS104)は詳細には、図2に示すように、配置工程(ステップS104a)と固着工程(ステップS104b)とを含む。
配置工程(ステップS104a)では、図7の断面図に示すように、複数の収容部材103が、ステップS103にて作製されたものの製造用セパレータ111の上に配置される。
図7は、ステップS104aにて複数の収容部材103が配置された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
配置工程(ステップS104a)において、複数の収容部材103は、各々の収容空間に電磁波抑制部材101を収容するように配置される。すなわち、複数の収容部材103は、製造用セパレータ111の上に残された複数の電磁波抑制部材101のそれぞれの側方周囲を囲むように位置づけて製造用セパレータ111の上に配置される。
次に、固着工程(ステップS104b)では、図8の断面図に示すように、ステップS104aにて配置された複数の収容部材103に大判の封止シート106bの粘着面が貼り付けられる。
図8は、封止シート106aが複数の収容部材103及び複数の電磁波抑制部材101に貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
固着工程(ステップS104b)において、複数の収容部材103の上端と、複数の収容部材103の各々の中に収容された複数の電磁波抑制部材101の上面とが、第3粘着層109dの粘着面に貼り付けられる。これにより、複数の収容部材103及び複数の電磁波抑制部材101の相対的な位置が固定される。
図2に示すように、ステップS104にて作製されたものから、製造用セパレータ111が剥離される(ステップS105;セパレータ剥離工程)。すなわち、製造用セパレータ111が、ステップS103にて個別化した第1両面シート102bの各々から剥がし取られる。
図9は、ステップS105にて製造用セパレータ111が剥離された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図2に示すように、図10の正面図に示す大判の第2両面シート104bが、ステップS105にて作製されたものに貼り付けられる(ステップS106;第2の貼付工程)。ステップS106にて貼り付けられる第2両面シート104bに含まれる第2下粘着層108fの下面には、大判の取付用セパレータ105bが取り付けられている。
大判の第2両面シート104bは、上述の電磁波抑制体100を構成する第2両面シート104aとは異なり収容部材103に対応付けて個別化されたものではなく、上方から見て電磁波抑制シート110と概ね同じ形状及び大きさを有する。
上方から見た形状及び大きさが異なる点を除いて、大判の第2両面シート104bは、図10に示すように、電磁波抑制体100を構成する第2両面シート104aと同様の構成を備える。すなわち、第2両面シート104bは、第2基材108a、第2上粘着層108b及び第2下粘着層108cのそれぞれと形状及び大きさが異なる点を除いて同様に構成される第2基材108d、第2上粘着層108e及び第2下粘着層108fを含む。
また、大判の取付用セパレータ105bは、上方から見て大判の第2両面シート104bと概ね同じ形状及び大きさを有し、図10に示すように、第2下粘着層108fに貼り付けられている。上方から見た形状及び大きさが異なる点を除いて、大判の取付用セパレータ105bは、取付用セパレータ105aと同様の構成を備える。
第2の貼付工程(ステップS106)では、詳細には図11の断面図に示すように、第2上粘着層108eの上面は、ステップS104aにて配置された収容部材103の各々の下面に貼り付けられる。これと同時に、第2上粘着層108eの上面は、個別化した第1両面シート102bの各々の第1下粘着層107fの下面とに貼り付けられる。
図11は、ステップS106にて大判の第2両面シート104bが貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図2に示すように、ステップS106にて作製されたものが、複数の電磁波抑制体100に個別化される(ステップS107;個別化工程)。詳細には図12に示すように、大判の封止シート106bと大判の第2両面シート104bと大判の取付用セパレータ105bとが、収容部材103の各々の外縁に沿った切断線CLで切り分けられる。図12は、図11と同様の断面図において切断線CLを示す図である。このような製造用法により、複数の電磁波抑制体100が製造される。
本実施の形態によれば、電磁波抑制体100を複数まとめて製造することができる。従って、効率的な生産が可能になる。
本実施の形態に係る収容部材103の各々には、隙間を空けて電磁波抑制部材101の側方周囲を囲むことができる大きさの収容空間が形成されている。そのため、収容部材103を配置する際に、電磁波抑制部材101の外周に隙間なく収容部材103を密着させる場合よりも大きな位置ズレが許容される。従って、収容部材103を配置する際に高い精度が要求されないため、より効率的な生産が可能になる。
本実施の形態に係る電磁波抑制部材101は、可撓性を有するため、電磁波抑制体100が曲げられても割れることが殆どない。そのため、電磁波抑制部材101と収容部材103との間に隙間が空いていても、割れた部分同士が磁気的に分断して透磁率特性が低下することも殆どない。従って、上述の隙間が空いていても、電磁波を十分に抑制することができる。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、封止シート貼付工程(ステップS104)を含む。これにより、上述の通り、複数の収容部材103及び複数の電磁波抑制部材101の相対的な位置が固定される。そのため、封止シート106aを備える複数の電磁波抑制体100を容易にまとめて製造することができる。従って、効率的な生産が容易に可能になる。
<<変形例1>>
実施の形態1では、ステップS104にて複数の収容部材103を製造用セパレータ111の上に配置した後に、大判の封止シート106bが貼り付けられる例を説明した。本変形例では、大判の封止シート106bに複数の収容部材103が配置された後に、それが製造用セパレータ111の上に配置される例を説明する。
本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態1と同様の電磁波抑制体100を製造するための方法である。本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、図13に示すように、実施の形態1に係る封止シート貼付工程(ステップS104)に代わる封止シート貼付工程(ステップS204)を含む。この点を除いて、本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態1に係る電磁波抑制体の製造方法と同様の工程を含む。
詳細には、実施の形態1と同様のステップS101~S103が行われた後に、封止シート貼付工程(ステップS204)が行われる。
封止シート貼付工程(ステップS204)では、ステップS103にて作製されたものに複数の電磁波抑制部材101の各々を囲むように配置された収容部材103が、大判の封止シート106bと製造用セパレータ111との間に挟まれる。このとき、複数の収容部材103は、大判の封止シート106bの粘着面に貼り付けられた状態である(図8参照)。
詳細には図13に示すように、封止シート貼付工程(ステップS204)は、配置工程(ステップS204a)と固着工程(ステップS204b)とを含む。
配置工程(ステップS204a)では、図14の断面図に示すように、複数の収容部材103の各々が大判の封止シート106bの粘着面に貼り付けられる。このとき、複数の収容部材103の各々は、後続するステップS204bにて複数の電磁波抑制部材101の側方周囲を囲む位置に配置できるように予め定められた位置に配置される。
図14は、ステップS204aにて複数の収容部材103が封止シート106bに貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
次に、固着工程(ステップS204b)では、複数の収容部材103が貼り付けられた大判の封止シート106bが、製造用セパレータ111にその上方から重ね合わされる(図8参照)。
詳細には、封止シート106bは、複数の収容部材103を下方に向けて、製造用セパレータ111の上方に配置される。このとき、複数の収容部材103は、それぞれが複数の電磁波抑制部材101の側方周囲を囲むように配置される。
これにより、製造用セパレータ111の上の複数の電磁波抑制部材101の上面が、大判の封止シート106bに貼り付けられる。そのため、複数の収容部材103及び複数の電磁波抑制部材101の相対的な位置が固定される。
その後、実施の形態1と同様のステップS105~S107が行われることによって、実施の形態1と同様の電磁波抑制体100が複数製造される。
本変形例によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
<<変形例2>>
実施の形態1において、例えば図15に示すように、封止シート106aと第2両面シート104aとが入れ替えられてもよい。図15は、本変形例に係る電磁波抑制体300の構成を示す。図15の(a)は電磁波抑制体300の斜視図であり、(b)は前後方向の概ね中央における上下左右に平行な断面を前方から見た図である。
図15に示すように、本変形例に係る封止シート106aは、その粘着面が収容部材103の下端及び第1下粘着層107cの下面に貼り付けられている。本変形例では、片面粘着シートである封止シート106aが第2粘着シートに相当する。
本変形例に係る第2両面シート104aについては、第2下粘着層108cの下面が、電磁波抑制部材101の上面及び収容部材103の上端に貼り付けられている。本変形例では、両面粘着シートである第2両面シート104aが第3粘着シートに相当する。
また、本変形例では、取付用セパレータ105aは、第2上粘着層108bの上面に貼り付けられる。
本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、図16に示すように、実施の形態1に係る封止シート貼付工程(ステップS104)に代わる第2の貼付工程(ステップS304)を含む。また、本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態1に係る第2の貼付工程(ステップS106)に代わる封止シート貼付工程(ステップS306)を含む。
これらの点を除いて、本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態1に係る電磁波抑制体の製造方法と同様である。
詳細には、実施の形態1と同様のステップS101~S103が行われた後に、第2の貼付工程(ステップS304)が行われる。
本変形例に係る第2の貼付工程(ステップS304)では、ステップS103にて作製されたものに複数の電磁波抑制部材101の各々を囲むように配置された収容部材103が、大判の第2両面シート104bと製造用セパレータ111との間に挟まれる。このとき、複数の収容部材103は、大判の第2両面シート104bに貼り付けられた状態である。
詳細には、図16に示すように、第2の貼付工程(ステップS304)は、実施の形態1と同様の配置工程(ステップS104a)と、実施の形態1とは異なる固着工程(ステップS304b)とを含む。
固着工程(ステップS304b)では、ステップS104aにて配置された複数の収容部材103に大判の第2両面シート104bに含まれる第2下粘着層108fの下面が貼り付けられる。
本変形例に係る固着工程(ステップS304b)では、第2下粘着層108fの下面が、複数の収容部材103の上端と複数の電磁波抑制部材101の上面とに貼り付けられる。また、第2上粘着層108eの上面には、大判の取付用セパレータ105bが取り付けられている。
その後、ステップS105にて製造用セパレータ111が剥離された後に、封止シート貼付工程(ステップS306)が行われる。
本変形例に係る封止シート貼付工程(ステップS306)では、大判の封止シート106bが、ステップS105にて作製されたものに貼り付けられる。詳細には、第3粘着層109dの上面が、収容部材103の各々の下端と、個別化した第1両面シート102aの各々に含まれる第1下粘着層107cの下面とに貼り付けられる。
その後、ステップS306にて作製されたものが、実施の形態1と同様の方法で、電磁波抑制体300に個別化される(ステップS107;個別化工程)。これによって、本変形例に係る電磁波抑制体300が複数製造される。
本変形例によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
<<変形例3>>
実施の形態1において、電磁波抑制体100の封止シート106aが設けられていなくてもよい。
ただ、本変形例では、セパレータ剥離工程(ステップS105)の後に、収容部材103と第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101とが、個別に分離してしまう可能性がある。これを防ぐために、セパレータ剥離工程(ステップS105)の前に、適宜の方法で、複数の収容部材103及び第1両面シート102aが貼り付けた電磁波抑制部材101の相対的な位置関係が固定されてもよい。
この固定には、例えば、封止シート106aに代わる仮止めシートが採用されてもよい。仮止めシートは、比較的粘着力が弱く、着脱容易なものであればよい。そして、仮止めシートは、第2の貼付工程(ステップS106)の後に取り外されるとよい。
本変形例においても、電磁波抑制体100を複数まとめて製造することができる。従って、効率的な生産が可能になる。
また、本変形例においても、収容部材103の下方の開口が第2両面シート104aにより塞がれている。そのため、軟磁性体粉末が電磁波抑制部材101の側面や主面からこぼれ落ちたとしても、その軟磁性体粉末が収容部材103の下方から飛散する可能性は低減する。従って、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する電子部品、配線、電子機器などの動作不良を低減することが可能である。
<<変形例4>>
収容部材103が形成する収容空間には、複数の電磁波抑制部材101が配置されてもよい。この場合、収容部材103は、収容空間に収容された複数の電磁波抑制部材101の全体の側方周囲を囲むことになる。
本変形例によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
<<実施の形態2>>
実施の形態1に係る電磁波抑制体の製造方法では、個別化された収容部材103の各々が製造用セパレータ111の上に配置される例を説明した。本実施の形態では、複数の収容部材103を一体化した収容シートを製造用セパレータ111の上に配置した後に、収容シートを複数の収容部材103に個別化する例を説明する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体100は、実施の形態1に係る電磁波抑制体100と同様の構成を備える。本実施の形態と実施の形態1との違いは、その製造方法にある。そのため、本実施の形態では、実施の形態1と同様の電磁波抑制体100を製造するための方法について図を参照して説明する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法では、実施の形態1と同様に、電磁波抑制シート110と、製造用セパレータ111が貼り付けられた大判の第1両面シート102bとが準備される。そして、図17に示すように、実施の形態1と同様の第1の貼付工程(ステップS101)が行われる。
その後、図17に示すように、ステップS101にて作製されたものに、切れ込みHCが設けられる(ステップS402;ハーフカット工程)。図18は、実施の形態2において、ステップS101にて作製されたものに切れ込みHCが設けられた状態を示す斜視図である。
本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、複数の収容部材103を間隔を空けて並べる必要がないため、複数の電磁波抑制部材101の間隔を小さくすることができる。そのため、余剰部112を減らすことができるので、生産コストを軽減することが可能になる。この点を除いて、ハーフカット工程(ステップS402)は、実施の形態1に係るハーフカット工程(ステップS102)と同様である。
図17に示すように、実施の形態1と同様の余剰除去工程(ステップS103)が行われる。本実施の形態にてステップS103を行った結果を図19の正面図に示す。
そして、ステップS103にて作製されたものに配置された収容シート413(詳細後述)が、大判の封止シート106bと製造用セパレータ111との間に挟まれる(ステップS404;封止シート貼付工程)。このとき、収容シート413は、大判の封止シート106bに貼り付けられている。
収容シート413は、図20の斜視図に示すように、複数の収容部材103が一体的に形成されたものである。収容シート413は、図20に示すように、互いに平行な2つの主面を有し、上下方向に貫通する複数の貫通孔を収容空間として含む。
本実施の形態では、収容シート413は、前後方向及び左右方向に平行な主面を有する格子状の部材である。収容シート413では、上方から見て矩形の複数の収容空間が前後及び左右に並べて形成されている。
詳細には、収容シート413に形成された複数の収容空間のそれぞれは、ステップS103にて作製された複数の電磁波抑制部材101を、その側方周囲に隙間を空けて収容できる間隔及び大きさで設けられている。
なお、収容シート413に形成される収容空間の数、大きさ、形状、配置などは、ステップS402にて電磁波抑制シート110から分離される電磁波抑制部材101の数、大きさ、形状、配置などに応じて、適宜変更されるとよい。
詳細には、図17に示すように、封止シート貼付工程(ステップS404)は、配置工程(ステップS404a)と固着工程(ステップS404b)とを含む。
配置工程(ステップS404a)では、収容シート413は、図21に示すように、ステップS103にて作製されたものの製造用セパレータ111の上に配置される。図21は、ステップS404aにて収容シート413が配置された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図21に示すように、配置工程(ステップS404a)において、収容シート413は、複数の電磁波抑制部材101が複数の収容空間のそれぞれに収容されるように、製造用セパレータ111の上の予め定められた位置に配置される。これにより、複数の電磁波抑制部材101の各々の側方周囲が、収容シート413によって隙間を空けて囲まれる。
次に、固着工程(ステップS404b)では、ステップS404aにて配置された収容シート413に大判の封止シート106bの粘着面が貼り付けられる。これにより、図22に示すように、収容シート413の上方の開口が塞がれる。図22は、大判の封止シート106bが収容シート413及び複数の電磁波抑制部材101に貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図17に示すように、ステップS404にて作製されたものから、製造用セパレータ111が剥離される(ステップS405;セパレータ剥離工程)。図23は、ステップS405にて製造用セパレータ111が剥離された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図17に示すように、大判の第2両面シート104bが、ステップS405にて作製されたものに貼り付けられる(ステップS406;第2の貼付工程)。大判の第2両面シート104bには、図24に示すように、大判の取付用セパレータ105bが取り付けられている。図24は、ステップS406にて大判の第2両面シート104bが貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図17に示すように、ステップS406にて作製されたものが、電磁波抑制体100に個別化される(ステップS407;個別化工程)。詳細には図25に示すように、封止シート106bと収容シート413と第2両面シート104bと取付用セパレータ105bとが、切断線CLで切り分けられる。切断線CLは、収容シート413の上方から見た外縁と、複数の収容空間の各々の間とに設定される。
なお、封止シート106bと収容シート413と第2両面シート104bと取付用セパレータ105bとが、上方から見て収容シート413の外縁と揃っている場合、収容シート413の外縁に沿った切断線CLは不要である。
これにより、実施の形態1と同様の構成を備えた電磁波抑制体100が複数製造される。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の構成を備えた電磁波抑制体100を複数まとめて製造することができる。従って、効率的な生産が可能になる。
本実施の形態に係る収容シート413には、実施の形態1と同様に、隙間を空けて電磁波抑制部材101の側方周囲を囲むことができる大きさの収容空間が形成されている。そのため、収容シート413を配置する際に、電磁波抑制部材101の外周に隙間なく収容シート413を密着させる場合よりも大きな位置ズレが許容される。従って、収容シート413を配置する際に高い精度が要求されないため、より効率的な生産が可能になる。
本実施の形態においても、電磁波抑制部材101は可撓性を有する。そのため、実施の形態1と同様に、上述の隙間が空いていても、電磁波を十分に抑制することができる。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、封止シート貼付工程(ステップS404)を含む。これにより、収容シート413及び複数の電磁波抑制部材101の相対的な位置が固定される。そのため、封止シート106aを備える複数の電磁波抑制体100を容易にまとめて製造することができる。従って、効率的な生産が容易に可能になる。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法では、ステップS404aにて収容シート413が配置される。そのため、複数の収容部材103を個別に配置する必要がない。従って、さらに効率的な生産が可能になる。
<<変形例5>>
実施の形態2では、ステップS404にて収容シート413を製造用セパレータ111の上に配置した後に、大判の封止シート106bが貼り付けられる例を説明した。本変形例では、大判の封止シート106bに収容シート413が配置された後に、それが製造用セパレータ111の上に配置される例を説明する。
本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態1と同様の電磁波抑制体100を製造するための方法である。本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法では、図26に示すように、実施の形態2に係る封止シート貼付工程(ステップS404)に代わる封止シート貼付工程(ステップS504)を含む。この点を除いて、本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態2に係る電磁波抑制体の製造方法と同様の工程を含む。
詳細には、実施の形態2と同様にステップS101,S402,S103が行われた後に(図17参照)、封止シート貼付工程(ステップS504)が行われる。
封止シート貼付工程(ステップS504)では、ステップS103にて作製されたものに配置された収容シート413が、大判の封止シート106bと製造用セパレータ111との間に挟まれる。このとき、収容シート413は、大判の封止シート106bに貼り付けられている。
詳細には図26に示すように、封止シート貼付工程(ステップS504)は、配置工程(ステップS504a)と固着工程(ステップS504b)とを含む。
配置工程(ステップS504a)では、収容シート413は、図27の断面図に示すように、大判の封止シート106bの粘着面に貼り付けられる。このとき、収容シート413は、全体が大判の封止シート106bの中に収まる位置に配置される。図27は、ステップS504aにて収容シート413が大判の封止シート106bに貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
次に、固着工程(ステップS504b)では、収容シート413が貼り付けられた大判の封止シート106bが、製造用セパレータ111にその上方から重ね合わされる。
詳細には、封止シート106bは、収容シート413を下方に向けて、製造用セパレータ111の上方に配置される。このとき、収容シート413に形成された複数の収容空間の各々に電磁波抑制部材101が収容される。これにより、複数の電磁波抑制部材101の各々の側方周囲が、収容シート413によって隙間を空けて囲まれる。
固着工程(ステップS504b)が行われることによって、製造用セパレータ111の上の複数の電磁波抑制部材101の上面が、大判の封止シート106bに貼り付けられる。そして、複数の収容部材103及び複数の電磁波抑制部材101の相対的な位置が固定される。
その後、図26に示すように、実施の形態2と同様のステップS405~S407が行われる。これによって、実施の形態2と同様に、図1に示す構成を備えた電磁波抑制体100が複数製造される。
本変形例によっても、実施の形態2と同様の効果を奏する。
<<実施の形態3>>
実施の形態1では、収容部材103が枠状の部材である例を説明した。本実施の形態では、収容部材が、実施の形態1に係る収容部材103と同様の枠状部と、その一方の開口を塞ぐ蓋部とを含むことによって、電磁波抑制部材101及び第1両面シート102aを収容する窪みが収容部材に形成されている例を説明する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体600は、実施の形態1に係る電磁波抑制体100と同様に、電磁波抑制部材101にラミネート加工を施した構造を備え、取り付けられた取付対象から発生する電磁波を抑制する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体600の構成を図28に示す。図28の(a)は電磁波抑制体600の斜視図であり、(b)は前後方向の概ね中央における上下左右に平行な断面を前方から見た図である。
なお、電磁波抑制体600は、前後方向の概ね中央における上下左右に平行な断面を後方から見た場合も、図28(b)と同様に表れる。また、電磁波抑制体600は、左右方向の概ね中央における上下前後に平行な断面を左方又は右方から見た場合も、図28(b)と同様に表れる。
図28に示すように、電磁波抑制体600は、実施の形態1と同様の電磁波抑制部材101、第1両面シート102a、第2両面シート104a及び取付用セパレータ105aを備える。これらの部材101,102a,104a,105aは、実施の形態1と同様であるため、本実施の形態での説明を省略する。
さらに、電磁波抑制体600は、実施の形態1とは異なる収容部材603を備える。
収容部材603は、上方から見て概ね矩形の部材であって、互いに平行な主面である上面及び下面を有する。収容部材603は、例えば樹脂、ゴムなどで作られており、可撓性を有する。
収容部材603は、下面に形成された開口から上方へ延びる概ね直方体の窪みを含む。この窪みは、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101が収容される収容空間に相当する。
本実施の形態に係る収容部材603に含まれる窪みの高さは、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101の高さと同じである。そのため、電磁波抑制部材101の上面は、収容部材603の窪みを形成する内側上面に概ね全体的に接している。ここで、窪みの高さは、窪みの上下方向の長さを意味し、以下においても同様である。
また、本実施の形態に係る収容部材603では、図28(b)に示すように、側方周囲を、隙間を空けて囲む。この隙間は、収容部材603の窪みを形成する内側面と電磁波抑制部材101の外縁との間の前後方向又は左右方向の間隔であって、例えば0.5mm~1mm程度であるが、適宜変更されてもよい。
なお、収容部材603の形状及び大きさは適宜変更されてもよい。また、窪みの形状及び大きさは、電磁波抑制部材101が収まるものであれば、適宜変更されてもよい。
(使用方法)
これまで説明した構成を備える電磁波抑制体600は、実施の形態1に係る電磁波抑制体100と同様に、取付用セパレータ105aを剥がした後に、取付対象に第2両面シート104aを貼り付けることができる。これにより、電磁波抑制体600は、取付対象に容易に取り付けられて、第2両面シート104aにより貼り付けられた取付対象から発生する電磁波を抑制する。
なお、電磁波抑制体600には、第2両面シート104aに代えて片面粘着シートが取り付けられてもよい。この場合、電磁波抑制体600は、接着剤などで取付対象に取り付けられるとよい。
本実施の形態に係る電磁波抑制体600では、第2両面シート104aが、収容部材603の下端に貼り付けられている。これによって、収容部材603の下方の開口が塞がれて、電磁波抑制部材101が収容部材603の中に封止されている。
そのため、実施の形態1に係る電磁波抑制体100と同様に、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良を殆どなくすことが可能になる。
また、本実施の形態に係る電磁波抑制部材101及び収容部材603は可撓性を有する。これにより、実施の形態1に係る電磁波抑制体100と同様に、曲面を有する取付対象の曲面に容易に取り付けて、取付対象から発生する電磁波を抑制することができる。
このとき、電磁波抑制部材101が封止された状態で、取付対象の曲面に電磁波抑制体600を張り付けることができる。従って、取付対象の曲面に電磁波抑制体600を取り付けた場合であっても、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良を殆どなくすことが可能になる。
さらに、本実施の形態に係る電磁波抑制体600では、窪みの高さは、第1両面シート102aが貼り付けられた電磁波抑制部材101の高さと同じである。そのため、第2両面シート104aを、段差が殆どない状態で、第1両面シート102aと収容部材603の下端とに貼り付けることができる。
これによって、第1両面シート102aと収容部材603の下端との間に段差がある場合よりも、電磁波抑制部材101を強固に封止することができる。従って、電磁波抑制部材101からこぼれ落ちた軟磁性体粉末に起因する取付対象の動作不良をより確実になくすことが可能になる。
これまで、本発明の実施の形態3に係る電磁波抑制体600の構成及びその使用方法について説明した。ここから、本実施の形態に係る電磁波抑制体600の製造方法について説明する。
(製造方法)
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、電磁波抑制体600を製造するための方法である。図29は、本実施の形態に係る電磁波抑制体600の製造方法に含まれる工程の流れを示す図である。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法では、実施の形態1と同様に、電磁波抑制シート110と製造用セパレータ111が貼り付けられた大判の第1両面シート102bとが準備される。そして、図29に示すように、実施の形態2と同様に、ステップS101,S402及びS103が行われる。
その後、ステップS103にて作製されたものに、収容シート613が配置される(ステップS604;配置工程)。
収容シート613は、図30の斜視図に示すように、複数の収容部材603が一体的に形成されたものである。収容シート613は、図30に示すように、互いに平行な2つの主面を有し、一方の主面である下面には収容空間としての窪みが複数設けられている。
詳細には、収容シート613では、下面に設けられた複数の開口のそれぞれから上方へ延びる複数の直方体状の窪みが前後及び左右に並べて形成されている。収容シート613に形成された複数の窪みは、ステップS103にて作製された複数の電磁波抑制部材101がそれぞれに隙間を空けて収容される間隔及び大きさで設けられている。
なお、収容シート613に形成される窪みの数、大きさ、形状、配置などは、ステップS402にて電磁波抑制シート110から分離される電磁波抑制部材101の数、大きさ、形状、配置などに応じて、適宜変更されるとよい。
配置工程(ステップS604)では、収容シート613は、図31に示すように、製造用セパレータ111の上に配置される。図31は、ステップS604にて収容シート613が配置された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図31に示すように、配置工程(ステップS604)において、収容シート613は、複数の電磁波抑制部材101が複数の窪みのそれぞれに収容されるように、製造用セパレータ111の上の予め定められた位置に配置される。これにより、複数の電磁波抑制部材101の各々の側方周囲及び上方が、収容シート613によって囲まれる。
図29に示すように、ステップS604にて作製されたものから、製造用セパレータ111が剥離される(ステップS605;セパレータ剥離工程)。図32は、ステップS705にて製造用セパレータ111が剥離された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
なお、電磁波抑制部材101の各々は、ステップS605にて製造用セパレータ111が剥離される時やその後に窪みから飛び出さないように、例えば上面が収容シート613の窪みを形成する内側上面に接着剤などで固定されていてもよい。
図29に示すように、大判の第2両面シート104bが、ステップS605にて作製されたものに貼り付けられる(ステップS606;第2の貼付工程)。図33に示すように、ステップS606にて貼り付けられる第2両面シート104bに含まれる第2下粘着層108fの下面には、大判の取付用セパレータ105bが取り付けられている。図33は、ステップS606にて大判の第2両面シート104bが貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図29に示すように、ステップS606にて作製されたものが、電磁波抑制体600に個別化される(ステップS607;個別化工程)。詳細には図34に示すように、収容シート613と第2両面シート104bと取付用セパレータ105bとが、切断線CLで切り分けられる。切断線CLは、収容シート613の上方から見た外縁と、複数の窪みの各々の間の切断線CLとに設定される。
なお、収容シート613と第2両面シート104bと取付用セパレータ105bとが、上方から見て収容シート613の外縁と揃っている場合、収容シート613の外縁に沿った切断線CLは不要である。
これにより、複数の電磁波抑制体600が製造される。
本実施の形態によれば、電磁波抑制体600を複数まとめて製造することができる。従って、効率的な生産が可能になる。
本実施の形態に係る収容シート613には、隙間を空けて電磁波抑制部材101の側方周囲を囲むことができる大きさの窪みが形成されている。そのため、収容シート613を配置する際に、電磁波抑制部材101の外周に隙間なく収容シート613を密着させる場合よりも大きな位置ズレが許容される。従って、収容シート613を配置する際に高い精度が要求されないため、より効率的な生産が可能になる。
本実施の形態においても、電磁波抑制部材101は可撓性を有する。そのため、実施の形態1と同様に、上述の隙間が空いていても、電磁波を十分に抑制することができる。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法では、ステップS604にて収容シート613が配置される。そのため、複数の収容部材603を個別に配置する必要がない。従って、さらに効率的な生産が可能になる。
<<実施の形態4>>
実施の形態3に係る電磁波抑制体の製造方法では、複数の収容部材603を一体化した収容シート613を製造用セパレータ111の上に配置した後に、収容シート613を複数の収容部材103に個別化する例を説明した。本実施の形態では、個別化された収容部材603の各々が製造用セパレータ111の上に配置される例を説明する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体600は、実施の形態3に係る電磁波抑制体600と同様の構成を備える。本実施の形態と実施の形態3との違いは、その製造方法にある。そのため、本実施の形態では、実施の形態3と同様の電磁波抑制体600を製造するための方法について図を参照して説明する。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法では、実施の形態1と同様に、電磁波抑制シート110と製造用セパレータ111が貼り付けられた大判の第1両面シート102bが準備される。そして、図35に示すように、実施の形態1と同様のステップS101~S103が行われる。
その後、図35に示すように、ステップS103にて作製されたものに配置された複数の収容部材603が、仮止めシート714と製造用セパレータ111との間に挟まれる(ステップS704;仮止めシート貼付工程)。このとき、複数の収容部材603は、仮止めシート714に貼り付けられた状態である(図38参照)。
詳細には、図36に示すように、仮止めシート貼付工程(ステップS704)は、配置工程(ステップS704a)と仮止め工程(ステップS704b)とを含む。
配置工程(ステップS704a)では、図37の断面図に示すように、複数の収容部材603が、各々の窪みに電磁波抑制部材101を収容するように、ステップS103にて作製されたものの製造用セパレータ111の上に配置される。すなわち、複数の収容部材103の各々が、製造用セパレータ111の上に残された複数の電磁波抑制部材101の各々の側方周囲及び上方を囲むように位置づけて製造用セパレータ111の上に配置される。
図37は、ステップS704aにて収容部材603が配置された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
次に、仮止め工程(ステップS704b)では、図38の断面図に示すように、ステップS704aにて配置された複数の収容部材603に仮止めシート714の粘着面が貼り付けられる。これにより、複数の収容部材603の相対的な位置が固定される。
図38は、仮止めシート714が複数の収容部材603に貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
仮止めシート714は、図38に示すように、一面に粘着面を有する片面粘着シートであり、第4基材715aと、第4粘着層715bとを含む。
第4基材715aは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂を材料として作られたシート状の部材である。
第4粘着層715bは、第4基材715aの一面に取り付けられた粘着性を有する層である。第4粘着層715bは、仮止めシート714の粘着面を形成する。第4粘着層715bが形成する粘着面は、複数の収容部材603に着脱容易な比較的弱い粘着力であることが望ましい。
図35に示すように、ステップS704にて作製されたものから、製造用セパレータ111が剥離される(ステップS705;セパレータ剥離工程)。図39は、ステップS705にて製造用セパレータ111が剥離された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
このとき、複数の収容部材603は、仮止めシート714が貼り付けられているため、相対的な位置が固定されている。また、電磁波抑制部材101の各々は、窪みから飛び出さないように、例えば上面が収容シート613に接着剤などで固定されていてもよい。
図35に示すように、大判の第2両面シート104bが、ステップS705にて作製されたものに貼り付けられる(ステップS706;第2の貼付工程)。図40は、ステップS706にて大判の第2両面シート104bが貼り付けられた状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
詳細には第2の貼付工程(ステップS706)では、図40に示すように、第2上粘着層108eの上面が、ステップS704aにて配置された収容部材603の各々の下面と、個別化した第1両面シート102bの各々の下面とに貼り付けられる。ステップS706にて貼り付けられる大判の第2両面シート104bに含まれる第2下粘着層108fの下面には、大判の取付用セパレータ105bが取り付けられている。
図35に示すように、ステップS706にて作製されたものから、仮止めシート714が剥離される(ステップS707;仮止めシート剥離工程)。図41は、ステップS707にて仮止めシート714が剥離された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
図35に示すように、ステップS707にて作製されたものが、複数の電磁波抑制体600に個別化される(ステップS708;個別化工程)。詳細には図42に示すように、大判の第2両面シート104bと大判の取付用セパレータ105bとが、収容部材603の各々の外縁に沿った切断線CLで切り分けられる。図42は、図41と同様の断面図において切断線CLを示す図である。このような製造用法により、複数の電磁波抑制体600が製造される。
本実施の形態によれば、電磁波抑制体600を複数まとめて製造することができる。従って、効率的な生産が可能になる。
本実施の形態に係る収容部材603の各々には、実施の形態3と同様に、隙間を空けて電磁波抑制部材101の側方周囲を囲むことができる大きさの収容空間が形成されている。そのため、収容部材603を配置する際に、電磁波抑制部材101の外周に隙間なく収容部材603を密着させる場合よりも大きな位置ズレが許容される。従って、収容部材603を配置する際に高い精度が要求されないため、より効率的な生産が可能になる。
本実施の形態においても、電磁波抑制部材101は可撓性を有する。そのため、実施の形態1と同様に、上述の隙間が空いていても、電磁波を十分に抑制することができる。
本実施の形態に係る電磁波抑制体の製造方法は、仮止めシート貼付工程(ステップS704)を含む。これにより、上述の通り、複数の収容部材603の相対的な位置が固定される。そのため、複数の電磁波抑制体600を容易にまとめて製造することができる。従って、効率的な生産が容易に可能になる。
<<変形例6>>
実施の形態4では、ステップS704にて複数の収容部材603を製造用セパレータ111の上に配置した後に、仮止めシート714が貼り付けられる例を説明した。本変形例では、仮止めシート714に複数の収容部材103が配置された後に、それが製造用セパレータ111の上に配置される例を説明する。
本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態3と同様の電磁波抑制体600を製造するための方法である。本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法では、図43に示すように、実施の形態4に係る仮止めシート貼付工程(ステップS704)に代わる仮止めシート貼付工程(ステップS804)を含む。この点を除いて、本変形例に係る電磁波抑制体の製造方法は、実施の形態4に係る電磁波抑制体の製造方法と同様の工程を含む。
詳細には、実施の形態3と同様にステップS101~S103が行われた後に、封止シート貼付工程(ステップS804)が行われる。
仮止めシート貼付工程(ステップS804)では、ステップS103にて作製されたものに複数の電磁波抑制部材101の各々を囲むように配置された収容部材603が、仮止めシート714と製造用セパレータ111との間に挟まれる。このとき、複数の収容部材603は、仮止めシート714に貼り付けられた状態である。
詳細には図43に示すように、仮止めシート貼付工程(ステップS804)は、配置工程(ステップS804a)と仮止め工程(ステップS804b)とを含む。
配置工程(ステップS804a)では、図44の断面図に示すように、複数の収容部材603の各々が仮止めシート714の粘着面に貼り付けられる。このとき、複数の収容部材603の各々は、後続するステップS804bにて複数の電磁波抑制部材101の各々が収容空間に収容されるように予め定められた位置に配置される。
図44は、ステップS804aにて複数の収容部材603が配置された状態を、前方から見た上下左右に平行な面における断面図である。
次に、仮止め工程(ステップS804b)では、複数の収容部材603が貼り付けられた仮止めシート714が、製造用セパレータ111にその上方から重ね合わされる(図38参照)。
詳細には、仮止めシート714は、複数の収容部材603を下方に向けて、製造用セパレータ111の上方に配置される。このとき、複数の収容部材603は、それぞれの窪みが複数の電磁波抑制部材101を収容し、電磁波抑制部材101の各々の側方周囲及び上方を囲むように配置される。
その後、実施の形態4と同様のステップS705~S708が行われることによって、実施の形態3と同様の電磁波抑制体600が複数製造される。
本変形例によっても、実施の形態4と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施の形態、変形例などについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明は、例えば、実施の形態に変更を加えた態様、実施の形態と変形例とを適宜組み合わせた態様、これらの態様に適宜変更を加えた態様などを含む。