JP2011233412A - 透明導電性積層体およびその製造方法 - Google Patents

透明導電性積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透過率が高く、かつ表面抵抗値が低い透明導電性積層体および該透明導電性積層体を簡便に製造できる方法を提供する。
【解決手段】透明基材10と、透明基材10の上に形成された透明導電性材料からなる透明導電層20とを有する透明導電性積層体1であって、透明基材10が、隣り合う突起12中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起12を表面に有し、透明導電層20が、突起12の上に選択的にかつ透明導電性積層体1の面方向に互いに離間して形成された複数の柱状部22と、柱状部22および柱状部22の間の空隙26を覆うように連続して形成された層状部24とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性積層体およびその製造方法に関する。
透明基材の表面に透明導電層を有する透明導電性積層体は、タッチパネル、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す。)等の基板として用いられ、その有用性がますます注目されている。
透明導電層を構成する代表的な透明導電性材料としては、酸化インジウムスズ(以下、ITOと記す。)が挙げられる。透明導電層は、ガラス、フィルム等からなる透明基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法等によって透明導電性材料を蒸着して形成される。
しかし、ITOの屈折率とガラスやフィルムの屈折率との差が大きいため、透明導電層と透明基材との界面において反射が起こる。そのため、透明導電性積層体の透過率を十分に高くできないという問題がある。
屈折率の異なる2つの物質の界面における反射は、平均間隔が可視光の波長以下の複数の突起からなる微細凹凸構造、いわゆるモスアイ構造を該界面に形成することで低減できることが知られている。
そこで、透明導電層と透明基材との界面における反射が低減された透明導電性積層体および該透明導電性積層体を用いたものとしては、下記のものが提案されている。
(1)モスアイ構造を表面に有する透明基材の表面に透明導電層を形成した、タッチパネル用の導電性透明基材(特許文献1)。
(2)モスアイ構造が表面に形成された透明基材の表面に透明電極、半導体層を順に積層した光電変換素子(特許文献2)。
(3)微細な凹凸を表面に有する透明基板の上に、凹凸の間隙を充填するように高屈折材料層を形成し、高屈折材料層の表面に、透明電極、発光層、背面電極を順に積層した有機EL素子(特許文献3)。
特開2009−271782号公報 特開2008−034687号公報 特開2007−287486号公報
しかし、(1)の導電性透明基材や(2)の光電変換素子のように、透明基材のモスアイ構造の上に透明導電性材料を蒸着して透明導電層を形成した場合、モスアイ構造による反射低減の効果によって透過率は向上するものの、本発明者が追試を繰り返し行ったところ、表面抵抗値を測定できないほど導電性の乏しい透明導電層が形成される場合が多く、表面抵抗値が低い透明導電層を再現性よく安定して形成することができなかった。
(3)の有機EL素子においては、高屈折率材料を凹凸の間隙に塗布し、表面を平坦化して高屈折材料層を形成する必要があるため、工程数が多くなるという問題がある。
本発明は、透過率が高く、かつ表面抵抗値が低い透明導電性積層体および該透明導電性積層体を簡便に製造できる方法を提供する。
本発明者が鋭意検討した結果、透明基材のモスアイ構造の上に透明導電性材料を蒸着して透明導電層を形成した場合、モスアイ構造の突起の先端部に透明導電性材料が優先的に蒸着されて、突起間の空隙を完全に埋めることができないため、透明導電層の表面抵抗値が低くならないことを突きとめた。そして、透明導電層が所定の厚さ以上となるような条件にて、モスアイ構造の上に透明導電性材料を蒸着することによって、突起の上に個々に成長した透明導電性材料からなる柱状部および該柱状部間の空隙を覆うように、透明導電性材料からなる連続した層状部が形成され、該層状部によって表面抵抗値が低くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の透明導電性積層体は、透明基材と、該透明基材の上に形成された、透明導電性材料からなる透明導電層とを有する透明導電性積層体であって、前記透明基材が、隣り合う突起中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起を表面に有し、前記透明導電層が、前記突起の上に選択的に、かつ前記透明導電性積層体の面方向に互いに離間して形成された複数の柱状部と、該柱状部および該柱状部の間の空隙を覆うように連続して形成された層状部とを有することを特徴とする。
前記突起は、高さ方向と直交する方向の断面積が底部から頭頂部に向かうにしたがってしだいに減少する形状を有し、前記突起の表面を被覆する前記柱状部の、前記突起の高さ方向と直交する方向の厚さは、前記突起の底部側よりも頭頂部側が厚くされていることが好ましい。
本発明の透明導電性積層体の製造方法は、下記の工程(I)および工程(II)を有することを特徴とする。
(I)隣り合う突起中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起を表面に有する透明基材を作製する工程。
(II)前記透明基材の突起が形成された側の面に、下記式(1)を満足する条件にて透明導電性材料を蒸着する工程。
H/D≧1.5 ・・・(1)。
式中、Hは、透明導電性材料を平滑な面に蒸着させた場合に形成される蒸着膜の厚さ(nm)であり、Dは、隣り合う突起中心間の平均間隔(nm)である。
本発明の透明導電性積層体は、透過率が高く、かつ表面抵抗値が低い。
本発明の透明導電性積層体の製造方法によれば、透過率が高く、かつ表面抵抗値が低い透明導電性積層体を簡便に製造できる。
本発明の透明導電性積層体の一例を示す断面図である。 本発明の透明導電性積層体の他の例を示す断面図である。 透明基材の突起および透明導電層の柱状部付近の拡大断面図である。 比較例1の積層体を示す断面図である。
本明細書において、透明とは、可視光を透過できることを意味する。また、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<透明導電性積層体>
図1は、本発明の透明導電性積層体の一例を示す断面図であり、図2は、本発明の透明導電性積層体の他の例を示す断面図であり、図3は、透明基材の突起および透明導電層の柱状部付近の拡大断面図である。
透明導電性積層体1は、透明基材10と、透明基材10の上に形成された透明導電層20とを有する。
(透明基材)
透明基材10は、複数の突起12を表面に有する。
透明基材10としては、(i)透明支持体(熱可塑性樹脂、ガラス等)と、透明支持体の表面に形成された、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、後述のモールドの細孔を転写して形成された複数の突起を表面に有する透明硬化樹脂層とを有するもの、(ii)透明支持体(熱可塑性樹脂等)の表面に、後述のモールドの細孔を直接転写して形成された複数の突起を表面に有するもの等が挙げられる。
突起12の形状は、突起12の高さ方向と直交する方向の断面積が突起の底部から頭頂部に向かうにしたがってしだいに減少する形状が好ましい。該形状としては、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状、釣鐘状等が挙げられる。
隣り合う突起12中心間の平均間隔Dは、可視光の波長以下、すなわち400nm以下であり、300nm以下がより好ましく、250nm以下がさらに好ましい。平均間隔Dが400nmより大きいと、光の散乱が起こるため、透明性が低下する。また、連続した透明導電層20を形成するために透明導電層20を厚くする必要があるため、クラック等が発生しやすい。
突起12中心間の平均間隔D間隔は、透明基材10の断面を電子顕微鏡で観察し、図3に示すように、隣接する突起12間の間隔(突起12の中心から隣接する突起12の中心までの距離)を5点測定し、これらの値を平均したものである。
突起12の高さTは、100〜400nmが好ましく、150〜300nmがより好ましく、170〜250nmがさらに好ましい。高さTが100nmより低いと、微細凹凸構造(モスアイ構造)による透過率の向上効果が低減する。高さTが400nmよりも高いと、透明導電層20の厚さが増すため、クラック等が発生しやすい。
突起12の高さTは、透明基材10の断面を電子顕微鏡で観察することによって測定できる。高さTは、図3に示すように、突起12の周囲に形成される凹部の最底部と同一平面(以下、基準面と記す。)から突起12の頭頂部までの高さを5点測定し、これらの値を平均したものである。
高さTと平均間隔Dとで表されるアスペクト比(T/D)は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上がさらに好ましい。該アスペクト比が0.5以上であると、透明導電層20で被覆されても、微細凹凸構造(モスアイ構造)による反射低減の効果が良好に得られ、また、入射角依存性を小さくできる。該アスペクト比の上限は、製造可能な範囲であればよく特に制限されない。
(透明導電層)
透明導電層20は、透明導電性材料からなる層である。
透明導電層20は、突起12の上に選択的に、かつ透明導電性積層体1の面方向に互いに離間して形成された複数の柱状部22と、柱状部22および柱状部22の間の空隙26を覆うように連続して形成された層状部24とを有する。
透明導電性材料としては、ITO、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等が挙げられる。
突起12を含めた柱状部22の見かけ上の形状としては、円柱状、円錐状、円錐台状、角柱状、角錐状、角錐台状、釣鐘状等が挙げられる。
柱状部22中心間の平均間隔は、突起12の平均間隔Dと等しい。
突起12の表面を被覆する柱状部22の、突起12の高さ方向と直交する方向の厚さhは、図3に示すように、突起12の底部側よりも頭頂部側が厚くされていることが好ましい。
柱状部22の高さは、図1に示すように、突起12の高さとほぼ同じであってもよく、図2に示すように、突起12よりも高くてもよい。突起12よりも高い場合、柱状部22の間の空隙26は、層状部24に向かってしだいに狭くなることが好ましい。
柱状部22の間の空隙26の最も広い部分の幅dと突起12の平均間隔Dとの比(d/D)は、0.6D以下が好ましく、0.5D以下がより好ましく0.3D以下がさらに好ましい。
層状部24の、突起12の高さ方向の厚さは、5〜500nmが好ましく、50〜300nmがより好ましく、80〜250nmがさらに好ましい。厚さが5nmより薄いと、表面抵抗値が十分に下がらない。厚さが500nmより厚いと、透明性が低下したり、クラックが発生したりする傾向がある。
(用途)
透明導電性積層体1は、タッチパネル、有機EL素子、太陽電池等の基板として用いることができる。
(作用効果)
以上説明した透明導電性積層体1にあっては、隣り合う突起12中心間の平均間隔が400nm以下である突起12の上に、透明導電層20の柱状部22が形成されているため、透明導電層20(柱状部22)と透明基材10(突起12)との界面における反射が低減され、その結果、透過率が高くなる。また、柱状部22および柱状部22の間の空隙26を覆うように連続して形成された層状部24を有するため、表面抵抗値が低い。
また、突起12が、高さ方向と直交する方向の断面積が底部から頭頂部に向かうにしたがってしだいに減少する形状を有し、かつ突起12の表面を被覆する柱状部22の、突起12の高さ方向と直交する方向の厚さが、突起12の底部側よりも頭頂部側が厚くされているため、透明導電性材料の屈折率と透明基材の材料との屈折率の差による、透明導電層20(柱状部22)と透明基材10(突起12)との界面における反射をさらに低減できる。
<透明導電性積層体の製造方法>
本発明の透明導電性積層体の製造方法は、下記の工程(I)および工程(II)を有する方法である。
(I)隣り合う突起中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起を表面に有する透明基材を作製する工程。
(II)透明基材の突起が形成された側の面に、下記式(1)を満足する条件にて透明導電性材料を蒸着する工程。
H/D≧1.5 ・・・(1)。
式中、Hは、透明導電性材料を平滑な面に蒸着させた場合に形成される蒸着膜の厚さ(nm)であり、Dは、隣り合う突起中心間の平均間隔(nm)である。
(工程(I))
透明基材を作製する方法としては、透明基材の表面の突起に対応する細孔が転写面に形成されたモールドを作製し、該モールドを用いて、モールドの転写面の細孔を透明基材の表面に転写する方法等が挙げられる。
モールドの作製方法としては、(α)モールド基材の表面に、電子ビームリソグラフィー法、レーザー光干渉法フォトリソグラフィ法等によって複数の細孔を形成する方法、(β)アルミニウム基材の表面に、複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成する方法等が挙げられ、モールドの大面積化が可能であり、また、ロール状のモールドを簡便に作製できる点から、(β)の方法が好ましい。
モールドの転写面の細孔を透明基材の表面に転写する方法としては、(i)透明支持体(熱可塑性樹脂、ガラス等)とモールドの転写面との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟持した状態で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させ、モールドの複数の細孔に対応する複数の突起を表面に有する透明硬化樹脂層を形成する方法、(ii)透明支持体(熱可塑性樹脂等)およびモールドの少なくとも一方を加熱した状態で、透明支持体の表面にモールドの転写面を押し付け、モールドの複数の細孔に対応する複数の突起を透明支持体の表面に形成する方法等が挙げられる。
(i)の方法としては、具体的には下記の(A)または(B)の方法が挙げられる。
(A)透明支持体とモールドの転写面との間に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した状態で硬化させた後、離型する方法。
(B)透明支持体の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をコーティングし、該コーティング層にモールドの転写面を圧接して細孔を転写し、離型した後、コーティング層を硬化させる方法。
(A)、(B)のいずれの方法においても、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化は活性エネルギー線の照射または加熱によって行なわれる。
活性エネルギー線の照射は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いて行う。光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
熱硬化を行なう場合は、熱重合開始剤の分解温度に応じた温度、時間、例えば30〜120℃で30秒〜6時間程度加熱することが好ましい。
活性エネルギー線照射と加熱は併用してもよい。また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線の照射および/または加熱により硬化した後、さらに活性エネルギー線を照射したり、熱処理したりしてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
ラジカル重合性結合を有する単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合性結合を有する多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有する。オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、例えば、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR’) ・・・(2)。
ただし、R、R’は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
O[Si(OR)(OR)O] ・・・(3)。
ただし、R〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
アルキルシリケート化合物の具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
重合開始剤は、公知の重合開始剤を用いることができ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いる活性エネルギー線の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
(工程(II))
蒸着法としては、透明導電性材料を蒸発源やターゲットとした、真空蒸着法やスパッタリング法等が挙げられる。
スパッタリング法としては、化合物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、または金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が挙げられる。反応性スパッタリング法における反応性ガスとしては、酸素、窒素、水蒸気等が挙げられる。また、反応性スパッタリング法においては、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。
透明導電性材料の蒸着は、透明基材の突起が形成された側の面に、下記式(1)を満足する条件にて行う。
H/D≧1.5 ・・・(1)。
式中、Hは、透明導電性材料を平滑な面に蒸着させた場合に形成される蒸着膜の厚さ(nm)であり、Dは、隣り合う突起中心間の平均間隔(nm)である。
H/Dは、1.6〜4.0が好ましく、1.8〜3.0がより好ましい。H/Dが1.5未満であると、透明導電層20の層状部24が形成されないため、表面抵抗値が低くならない。
(作用効果)
以上説明した本発明の透明導電性積層体の製造方法にあっては、式(1)を満足する条件、すなわち透明導電層が所定の厚さ以上となるような条件にて、透明基材の突起が形成された側の面に透明導電性材料を蒸着しているため、突起の上に個々に成長した透明導電性材料からなる柱状部および該柱状部間の空隙を覆うように、透明導電性材料からなる連続した層状部が形成され、該層状部によって表面抵抗値が低くされた透明導電性積層体が得られる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(寸法)
透明基材の縦断面または表面に白金を5分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で突起が形成された側を観察し、隣り合う突起中心間の平均間隔D、突起の高さTを5箇所で測定し、平均値を求めた。
また、突起の0.9T、0.5T、0.3Tの高さの位置(図3参照)で、突起の幅w1〜w3を、それぞれ5箇所で測定した。
透明導電性積層体の縦断面または表面に白金を5分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧:3.00kVの条件で透明導電層が形成された側を観察し、図3に示すように、突起12の0.9T、0.5T、0.3Tの高さの位置で、透明基材10の突起12およびこれを覆う透明導電層20の柱状部22の合計幅W1〜W3を、それぞれ5箇所で測定した。
下記式(4−1)〜(4−3)から、突起12の表面を被覆している透明導電層20の柱状部22の、突起12の高さ方向と直交する方向の厚さh1〜h3を、それぞれ5箇所について算出し、平均値を求めた。
h1=(W1−w1)/2 ・・・(4−1)、
h2=(W2−w2)/2 ・・・(4−2)、
h3=(W3−w3)/2 ・・・(4−3)。
また、透明導電層の層状部の、突起12の高さ方向の厚さを5箇所で測定し、平均値を求めた。
(全光線透過率)
透明導電性積層体について、ヘイズメーター(日本電色製NDH2000)を用いて全光線透過率を測定した。
(表面抵抗値)
透明導電性積層体から45mm角のサンプルを切り出し、低抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタ−GP、MCP−T600)にセットした。X:22.5mm、Y:22.5mmの測定位置でASPプローブを用いて表面抵抗値を測定した。
(モールドaの製造)
工程(a):
電解液として0.3Mシュウ酸を用い、陰極および陽極としてそれぞれ厚さ2mmの99.99%アルミニウム板を用い、電圧40V、温度16℃の条件で0.5時間陽極酸化を行った。
工程(b):
酸化皮膜が形成された陽極を、70℃の6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混酸に浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
陽極を純水で洗浄した後、電解液として0.3Mシュウ酸を用い、電圧40V、温度16℃の条件で20秒陽極酸化を行った。
工程(d):
陽極を32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
前記工程(c)および工程(d)を合計で5回繰り返し、細孔間の平均間隔100nm、細孔の深さ161nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドaを得た。
モールドaを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液で処理することにより、フッ素化処理を行った。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの調製)
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)の45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、X−22−1602)の10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の3質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.2質量部
を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを得た。
〔実施例1〕
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを充填し、さらにその上に透明支持体であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、A4300(商品名))を積層し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aがモールドaに接触した状態で、PETフィルムを介して2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。
その後、透明支持体および硬化物からなる透明基材をモールドaから剥離した。得られた透明基材の突起の寸法を測定した。結果を表1に示す。
ついで、真空蒸着装置を用い、透明基材の突起が形成された側の面に、Hが表1に示す値となるような条件にてITOを蒸着して透明導電層を形成し、透明導電性積層体を得た。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
真空蒸着装置を、スパッタリング装置に変更した以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性積層体を得た。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
Hを表1に示す値に変更した以外は、実施例2と同様の方法で積層体を得た。結果を表1に示す。
Figure 2011233412
表1から明らかなように、各実施例は全光線透過率が高く、表面抵抗値が低くなった。
一方、比較例1は、H/Dが式(1)を満足しないため、図4に示すように、透明導電層の層状部が形成されず、表面抵抗値が測定不能になるほど高くなった。
本発明の透明導電性積層体は、タッチパネル、有機EL素子、太陽電池等の基板として有用である。
1 透明導電性積層体
10 透明基材
12 突起
20 透明導電層
22 柱状部
24 層状部
26 空隙

Claims (3)

  1. 透明基材と、
    該透明基材の上に形成された、透明導電性材料からなる透明導電層と
    を有する透明導電性積層体であって、
    前記透明基材が、隣り合う突起中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起を表面に有し、
    前記透明導電層が、前記突起の上に選択的に、かつ前記透明導電性積層体の面方向に互いに離間して形成された複数の柱状部と、該柱状部および該柱状部の間の空隙を覆うように連続して形成された層状部とを有する、透明導電性積層体。
  2. 前記突起が、高さ方向と直交する方向の断面積が底部から頭頂部に向かうにしたがってしだいに減少する形状を有し、
    前記突起の表面を被覆する前記柱状部の、前記突起の高さ方向と直交する方向の厚さが、前記突起の底部側よりも頭頂部側が厚くされた、請求項1に記載の透明導電性積層体。
  3. 請求項1または2に記載の透明導電性積層体を製造する方法であって、
    下記の工程(I)および工程(II)を有する、透明導電性積層体の製造方法。
    (I)隣り合う突起中心間の平均間隔が400nm以下である複数の突起を表面に有する透明基材を作製する工程。
    (II)前記透明基材の突起が形成された側の面に、下記式(1)を満足する条件にて透明導電性材料を蒸着する工程。
    H/D≧1.5 ・・・(1)。
    式中、Hは、透明導電性材料を平滑な面に蒸着させた場合に形成される蒸着膜の厚さ(nm)であり、Dは、隣り合う突起中心間の平均間隔(nm)である。
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