JP2011232377A - 光ケーブル用スペーサ、その製造方法、および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】要求される強度等の機械的性能と表面平滑性等の品質を維持(又は向上)しつつ、スペーサの原材料コストを低下させた光ケーブル用スペーサ、その製造方法、製造装置を提供すること。
【解決手段】中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、ことを特徴とする光ケーブル用スペーサである。
【選択図】図1
【解決手段】中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、ことを特徴とする光ケーブル用スペーサである。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバ心線、光ファイバテープ心線を収納担持するための光ケーブル用スペーサ、その製造方法、および製造装置に関するものである。
光ファイバケーブルは、光ファイバ心線を保護担持するための光ケーブル用スペーサが用いられている。高密度細径化のため多数のテープ心線を収納できる矩形溝状あるいはU字状の収納溝を有する光ケーブル用スペーサが用いられている。光ケーブル用スペーサには、機械的特性及び耐低温衝撃性、成形のし易さ及び原料コスト等から主としてポリエチレンが使用されている。
この種の光ケーブル用スペーサにおいては、その用途から、収納溝の表面平滑性が良好であること、および各リブの強度が高いことが求められている。このため、これを満たすには強度と表面平滑性のバランスをとることのできる専用の樹脂グレードが開発されており、特に成形時のゲル発生を抑制するための処方等が施されているため、一般的な樹脂に比べてかなり高価であり、スペーサ価格を低下させる上において限界があった。
この種の光ケーブル用スペーサにおいては、その用途から、収納溝の表面平滑性が良好であること、および各リブの強度が高いことが求められている。このため、これを満たすには強度と表面平滑性のバランスをとることのできる専用の樹脂グレードが開発されており、特に成形時のゲル発生を抑制するための処方等が施されているため、一般的な樹脂に比べてかなり高価であり、スペーサ価格を低下させる上において限界があった。
一方、特許文献1には、機械的強度、形状安定性が要求される内層と、表面の平滑性が要求される表面層で、それぞれに好適な樹脂を選択することにより、スペーサ本体の平滑性、リブの機械的強度、断面形状の安定性を向上させることができる光ファイバ用スペーサの製造方法が提案されている。
また、スペーサに異なる樹脂を併用する方法として、特許文献2には、予備被覆させた抗張力線を押出機に挿通し、その外周に本体用熱可塑性樹脂を付着させてスペーサを形成させ、二層構造ダイリップ先端側のランド途中で着色用樹脂を合流させる事で識別用着色部を付与し、収納溝の識別を可能にしたスペーサの製造方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、識別用着色部として、光ファイバ心線収納用半円状溝の特定の溝に識別用着色部を施したスペーサ形光ファイバケーブルが提案されている。
また、スペーサに異なる樹脂を併用する方法として、特許文献2には、予備被覆させた抗張力線を押出機に挿通し、その外周に本体用熱可塑性樹脂を付着させてスペーサを形成させ、二層構造ダイリップ先端側のランド途中で着色用樹脂を合流させる事で識別用着色部を付与し、収納溝の識別を可能にしたスペーサの製造方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、識別用着色部として、光ファイバ心線収納用半円状溝の特定の溝に識別用着色部を施したスペーサ形光ファイバケーブルが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法は、予備被覆された抗張力線を押出機に一定速度で供給しながら、押出機内にある内層用樹脂供給路と表面層樹脂供給路にそれぞれ内層用樹脂、表面層用樹脂を供給し、形状を形成するダイリップの切り欠きに入る前にこれらの樹脂を一体化し、その後ダイリップの切り欠き(開口部)を通過して押し出すことでスペーサが形成されている。ところがこの場合、ダイリップの切り欠きに導入される前は、円筒状の内層樹脂とその外周に沿ってほぼ一定厚みの表面層が二層目となっている。これが切り欠きに導入され収納溝を形成させると、二層目の表面層の外周長さは、収納溝形成前に比べて長くなるため表面層樹脂の絶対量が不足し、収納溝底部、収納溝側面の表面層厚みが非常に薄くなり、スペーサの性能として要求されている、平均表面粗さRaが収納溝底で0.5未満、収納溝側面で1.0未満という基準に到達せず、表面平滑性が十分に発現しない場合があった。その一方、収納溝部の表面層を厚くするために表面層の樹脂を多量に吐出すると、スペーサリブの頂部にも表面層樹脂が十二分に厚く形成されるが、この部分はもともと平滑性が必要とされず、高価な表面層樹脂を効率良く使用しておらず、少ない表面層樹脂でスペーサの性能を確保し、価格を低下させるという点では未だ課題があった。
また、特許文献2に記載の識別部を有するスペーサの製造方法では、一度本体用の樹脂(内層樹脂)でスペーサ形状を形成した後に、着色用樹脂が二層構造ダイリップの側面から供給され、これが二層構造ダイリップ先端に存在する供給路を通り、二層構造ダイリップのランド途中でスペーサリブに付着一体化し、着色した線条がスペーサリブに形成されており、二層構造ダイリップが特定のスペーサリブの頂部の一点に着色用樹脂が供給される様な構造で存在している。しかしながら、これと同様に収納溝底および収納溝側面に表面層樹脂が供給出来る様、樹脂供給路を設けて樹脂を押し出したところ、十分な厚みの表面層を形成させることは困難であった。
さらに、特許文献3には、識別用着色部として、光ファイバ心線収納用半円状溝の特定の溝に識別用着色部を施したスペーサ形光ファイバケーブルが提案されているが、均一な厚みでなく当該識別用樹脂をどのように供給するかについての具体的な提案はなく、内層樹脂で形成された矩形状溝の底部及び側面を均一に表面層樹脂で一体に成形することについての示唆乃至教示はない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、光ケーブル用スペーサの光テープ心線収納溝の底部及び側面のみに薄く表面層を形成させ、表面層には平滑性の良好な樹脂原料を用いる一方、スペーサ本体には、強度は高いが表面平滑性の観点から本来的に光ケーブル用スペーサ用には適しない樹脂を使用することで、要求される強度等の機械的性能と表面平滑性等の品質を維持(又は向上)しつつ、スペーサの原材料コストを低下させた光ケーブル用スペーサ、その製造方法、製造装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明では、スペーサの収納溝の底部及び側面を、平滑性を有する表面層樹脂で被覆一体化されたスペーサを鋭意検討した結果、二層構造ダイリップとし、該二層構造ダイリップの間隙から流出側ダイリップの突部の外周に沿って表面層樹脂を供給して本体樹脂と一体化させ、収納溝の溝底および側面の表面層を厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下とすることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、
該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、
ことを特徴とする光ケーブル用スペーサ。
(2)二層一体の成形が、ダイリップを本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20とし、該二層構造ダイリップ20の間隙Gから流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して本体樹脂と一体化させ、スペーサの長手方向と直交する断面において、矩形状又はU字状の溝部に表面層樹脂による表面層を有している前記(1)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(3)本体樹脂がメルトインデックス(MI)0.3g/10分以下の高密度ポリエチレンであり、表面層がメルトインデックス(MI)0.1〜20g/10分の高密度ポリエチレンである前記(1)又は(2)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(4)本体樹脂が、単層で光ケーブル用スペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を備え、表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンである前記(3)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(5)中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形する光ケーブル用スペーサの製造方法であって、本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20を用い、流入側ダイリップ上方より本体樹脂Aを供給させ内層を成形させつつ、溝底部および溝側部の内層の表面に、該二層構造ダイリップの間隙Gに導入された表面層樹脂Bを流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って供給して、内層の本体樹脂と一体化させ、該収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
(6)二層構造ダイリップ20は、形成する表面層の厚みに対応して流出側ダイリップの突部202cの長さおよび幅を流入側ダイリップの突部201cのそれよりも微小な寸法とし、流入側ダイリップの下面および流出側ダイリップの上面には表面層樹脂を導入する溝状流路201d、202dを形成し、
(i)矩形状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙Gを、溝底部に対応する先端突起部の開口断面積(A)mm2と溝側面に対応するダイリップ先端突起部の両側部の開口部断面積の和(B)mm2との比A/Bを、
0.4≦ A/B ≦7.0とし、
(ii) U字状の収納溝を形成する場合は二層構造ダイリップの間隙Gにおいて半円状の溝底に対応する先端突起部の半円状開口部の周面積(C)と収納溝の直線状両側面に対応する開口断面積の和(D)の比をC/Dを、
1.5≦ C/D ≦22.1として、
収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形する前記(5)に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
(7)抗張力線を挿通可能な固定側ダイ101と、この固定側ダイの先端側に配置され該固定側ダイに対し回転可能で、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202との組立て面Lに表面層樹脂Bを供給するための間隙Gを有する二層構造ダイリップ20とを含むクロスヘッドダイ10を備えた光ケーブル用スペーサの製造装置であって、
(i)前記固定側ダイ101は、前記抗張力線の挿通方向に沿って形成され、かつ前記流入側ダイリップの内周部201aとの間から該抗張力線の外周に向けてスペーサ本体用の本体樹脂Aを供給する第1の樹脂供給路107を有し、
(ii)前記流出側ダイリップの内周部の突部202cの長さおよび幅は、形成する表面層の厚みに対応して流入側ダイリップの突部201cのそれらよりも微小な寸法であり、
(iii)前記流入側ダイリップ201の下面および流出側ダイリップ202の上面には表面層樹脂Bを導入する溝状流路201d、202dを有し、
(iv)前記溝状流路201d、202dから導入された表面層樹脂Bが流入側ダイリップ下端側の前記間隙Gで流出側ダイリップの突部202cの外周に添って供給され、前記流入側ダイリップ201上方から供給された本体樹脂Aと前記流出側ダイリップの突部202cのランド途中で一体化成形が可能、
なことを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造装置。
(1)中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、
該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、
ことを特徴とする光ケーブル用スペーサ。
(2)二層一体の成形が、ダイリップを本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20とし、該二層構造ダイリップ20の間隙Gから流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して本体樹脂と一体化させ、スペーサの長手方向と直交する断面において、矩形状又はU字状の溝部に表面層樹脂による表面層を有している前記(1)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(3)本体樹脂がメルトインデックス(MI)0.3g/10分以下の高密度ポリエチレンであり、表面層がメルトインデックス(MI)0.1〜20g/10分の高密度ポリエチレンである前記(1)又は(2)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(4)本体樹脂が、単層で光ケーブル用スペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を備え、表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンである前記(3)に記載の光ケーブル用スペーサ。
(5)中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形する光ケーブル用スペーサの製造方法であって、本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20を用い、流入側ダイリップ上方より本体樹脂Aを供給させ内層を成形させつつ、溝底部および溝側部の内層の表面に、該二層構造ダイリップの間隙Gに導入された表面層樹脂Bを流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って供給して、内層の本体樹脂と一体化させ、該収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
(6)二層構造ダイリップ20は、形成する表面層の厚みに対応して流出側ダイリップの突部202cの長さおよび幅を流入側ダイリップの突部201cのそれよりも微小な寸法とし、流入側ダイリップの下面および流出側ダイリップの上面には表面層樹脂を導入する溝状流路201d、202dを形成し、
(i)矩形状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙Gを、溝底部に対応する先端突起部の開口断面積(A)mm2と溝側面に対応するダイリップ先端突起部の両側部の開口部断面積の和(B)mm2との比A/Bを、
0.4≦ A/B ≦7.0とし、
(ii) U字状の収納溝を形成する場合は二層構造ダイリップの間隙Gにおいて半円状の溝底に対応する先端突起部の半円状開口部の周面積(C)と収納溝の直線状両側面に対応する開口断面積の和(D)の比をC/Dを、
1.5≦ C/D ≦22.1として、
収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形する前記(5)に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
(7)抗張力線を挿通可能な固定側ダイ101と、この固定側ダイの先端側に配置され該固定側ダイに対し回転可能で、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202との組立て面Lに表面層樹脂Bを供給するための間隙Gを有する二層構造ダイリップ20とを含むクロスヘッドダイ10を備えた光ケーブル用スペーサの製造装置であって、
(i)前記固定側ダイ101は、前記抗張力線の挿通方向に沿って形成され、かつ前記流入側ダイリップの内周部201aとの間から該抗張力線の外周に向けてスペーサ本体用の本体樹脂Aを供給する第1の樹脂供給路107を有し、
(ii)前記流出側ダイリップの内周部の突部202cの長さおよび幅は、形成する表面層の厚みに対応して流入側ダイリップの突部201cのそれらよりも微小な寸法であり、
(iii)前記流入側ダイリップ201の下面および流出側ダイリップ202の上面には表面層樹脂Bを導入する溝状流路201d、202dを有し、
(iv)前記溝状流路201d、202dから導入された表面層樹脂Bが流入側ダイリップ下端側の前記間隙Gで流出側ダイリップの突部202cの外周に添って供給され、前記流入側ダイリップ201上方から供給された本体樹脂Aと前記流出側ダイリップの突部202cのランド途中で一体化成形が可能、
なことを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造装置。
本発明の光ケーブル用スペーサによれば、光テープ心線収納溝の底部及び両側面のみに薄く表面層を形成させ、表面層には平滑性の良好な樹脂原料を用いる一方、スペーサ本体には強度の高い汎用樹脂を使用することが可能なので、要求される強度等の機械的性能と表面平滑性等の品質を維持(又は向上)しつつ、スペーサの原材料コストを低下させることができる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、前記の効果を有するスペーサを再現性よく製造する方法を提供でき、製造装置の発明は、前記製造方法に好適に用いることができる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、前記の効果を有するスペーサを再現性よく製造する方法を提供でき、製造装置の発明は、前記製造方法に好適に用いることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明の光ケーブル用スペーサは、中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が積層して収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、ことを特徴とする。
中央に配される抗張力線は、単鋼線、撚鋼線、繊維強化樹脂線状物単線(FRP単線)、繊維強化樹脂線状物撚り線(FRP撚線)、ポリオキシメチレンのロッドやサーモプラスチック液晶のロッド等から、光ケーブルに要求される抗張力性や電磁波無誘導性等に応じて適宜選択され、従来において光ケーブル用スペーサの抗張力線として採用されている公知のものを用いることができる。
また、抗張力線は、単鋼線の場合接着性樹脂で被覆し、当該接着性樹脂層の外周に、さらに、本出願人に係わる特公平4−81763に開示されているように、スペーサの断面において溝底間で形成される内接円(溝部のみなし外径)に対して所定の比の外径となるように予備被覆層を形成すれば、得られるスペーサの溝倒れ等の形状不良を回避できる。なお、予備被覆層は、溝底部を含むスペーサ形成樹脂と相溶性を有している樹脂からなることが特に望ましい。
また、抗張力線は、単鋼線の場合接着性樹脂で被覆し、当該接着性樹脂層の外周に、さらに、本出願人に係わる特公平4−81763に開示されているように、スペーサの断面において溝底間で形成される内接円(溝部のみなし外径)に対して所定の比の外径となるように予備被覆層を形成すれば、得られるスペーサの溝倒れ等の形状不良を回避できる。なお、予備被覆層は、溝底部を含むスペーサ形成樹脂と相溶性を有している樹脂からなることが特に望ましい。
本発明の光ケーブル用スペーサは、収納密度を上げるため多数の光ファイバテープ心線を収納するための矩形状又はU字状の複数本の収納溝を有している。
収納溝は抗張力線の長手方向に対して、Z方向又はS方向の螺旋撚り、或いはS方向とZ方向が交互の撚り方向のいわゆるSZ方向の螺旋撚りを有している。
溝幅は、収納するテープ心線により、溝深さは、一溝に積層収納するテープ心線数により決定される。1枚のテープ心線の厚みは通常0.25〜0.45mmであり、テープ心線の幅は4心のものが1.0〜1.2mm、8心のものが2.0〜2.3mmである。
溝の断面形状は、高密度光ケーブルにおいて主に採用されている矩形状(角溝)が一般的であるが、U字状であってもよい。U字状溝は、SZの様に溝の撚り方が反転するものでは主流であり、高密度による溝数の増加によって、矩形状溝においては溝底における隣接溝との間隔いわゆるリブ厚が狭くなって強度低下が懸念されることから、例えば特開2000−241686号公報で提案されている。さらに、U字状の溝として、溝底部に防水テープを収納しその上部にテープ心線を収納するケーブル設計もあり、本発明の光ケーブル用スペーサの溝形状は矩形状、U字状のいずれであってもよい。
収納溝は抗張力線の長手方向に対して、Z方向又はS方向の螺旋撚り、或いはS方向とZ方向が交互の撚り方向のいわゆるSZ方向の螺旋撚りを有している。
溝幅は、収納するテープ心線により、溝深さは、一溝に積層収納するテープ心線数により決定される。1枚のテープ心線の厚みは通常0.25〜0.45mmであり、テープ心線の幅は4心のものが1.0〜1.2mm、8心のものが2.0〜2.3mmである。
溝の断面形状は、高密度光ケーブルにおいて主に採用されている矩形状(角溝)が一般的であるが、U字状であってもよい。U字状溝は、SZの様に溝の撚り方が反転するものでは主流であり、高密度による溝数の増加によって、矩形状溝においては溝底における隣接溝との間隔いわゆるリブ厚が狭くなって強度低下が懸念されることから、例えば特開2000−241686号公報で提案されている。さらに、U字状の溝として、溝底部に防水テープを収納しその上部にテープ心線を収納するケーブル設計もあり、本発明の光ケーブル用スペーサの溝形状は矩形状、U字状のいずれであってもよい。
本発明の光ケーブル用スペーサは、収納溝の底部および側面が、内層および表面層からなり、これらの層が二層一体に成形されている。二層一体に成形とは、得ようとする光ケーブル用スペーサの形状に対応した孔部(切り欠き)を有するダイリップに抗張力線を挿通して、その外周に溶融状のポリエチレン樹脂を押出しつつダイリップを回転して螺旋状溝を有する光ケーブル用スペーサを成形するに際して、溝部において本体樹脂と表面層樹脂を複層に押出して溶融一体化された状態で成形されていることをいう。本発明において抗張力線とは、その外周にスペーサ本体樹脂との密着性を考慮して接着性樹脂の被覆や、リブ倒れ等を防止するために行う本体樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂による予備被覆層を有するものも含むものとする。
本発明の光ケーブル用スペーサにおいて、収納溝の表面層の厚みは、30〜100μmであることが必要である。30μm未満では、内層の表面粗さの影響を受けて平滑性の向上効果が薄れ、100μmを超えると樹脂のコストダウンの効果が薄れ高価になる。
表面層の平均表面粗さRaは、収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である必要があり、これらの値は、テープ心線構造の光ファイバをケーブル化した場合の伝送損失の低下を防ぐために規格化されているものである。
表面層の平均表面粗さRaは、収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である必要があり、これらの値は、テープ心線構造の光ファイバをケーブル化した場合の伝送損失の低下を防ぐために規格化されているものである。
本発明の光ケーブル用スペーサでは、二層一体の成形が、ダイリップを本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20とし、該二層構造ダイリップ20の間隙Gから流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して本体樹脂Aと一体化させ、スペーサの長手方向と直交する断面において、矩形状又はU字状の溝部に表面層樹脂によって表面層を形成したものとすることができる。
より具体的には、二層構造ダイリップの1突起部についての要部を拡大して図8に斜視図として示すように、流入側ダイリップの突部201c間の孔部に流入した本体樹脂Aによる内層の表面を、流入側ダイリップと流出側ダイリップを組み合わせて形成される間隙Gに導かれ突部202cの周囲から供給される表面層樹脂Bによって表面層を形成して被覆一体化されるようにすることによって達成できる。
本発明の光ケーブル用スペーサにおいて、本体樹脂としては、メルトインデックス(以下、「MI」という場合がある。)0.3g/10分以下の高密度ポリエチレン樹脂を用いるのが好ましい。本体樹脂のMIが0.3g/10分を超えるとスペーサの形状が不安定になる。一方、表面層樹脂は、MIが0.1〜20g/10分の高密度ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。表面層樹脂のMIが0.1g/10分未満では、流動性が不足して表面層樹脂が二層構造ダイリップの突起の間隙から押し出され難くなり、20g/10分を超えると流動性が高すぎて内層側の本体樹脂の圧力に負けて、押し出され難くなり表面層が形成され難い。
本体樹脂、表面層樹脂共に、高融点であることおよび耐低温性、機械的物性、経済性から高密度ポリエチレンが好ましい。
本体樹脂、表面層樹脂共に、高融点であることおよび耐低温性、機械的物性、経済性から高密度ポリエチレンが好ましい。
本体樹脂としては、単層で光ケーブル用スペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を備え、表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンを用いることができる。
表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンとは、本来光ケーブル用スペーサには、要求される表面平滑性や耐ゲル性等の観点から厳格に品質管理されたスペーサ用のいわゆる専用グレードが使用されるが、本発明の本体樹脂には、このような専用グレードではないもの、いわゆる工業用パイプ等の汎用のものを意味する。しかしながら、当該本体樹脂のみでスペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を有する樹脂であることが好ましい。
単層で成形した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を有する高密度ポリエチレン樹脂であれば、これを内層樹脂として用い、表面層樹脂に特定の高密度ポリエチレン樹脂を用いれば、表面層の厚み30〜100μmと相俟って、平均表面粗さRaを収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下の表面平滑性を達成することができ、光ケーブル用スペーサとしての規格を満たすことができる。
表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンとは、本来光ケーブル用スペーサには、要求される表面平滑性や耐ゲル性等の観点から厳格に品質管理されたスペーサ用のいわゆる専用グレードが使用されるが、本発明の本体樹脂には、このような専用グレードではないもの、いわゆる工業用パイプ等の汎用のものを意味する。しかしながら、当該本体樹脂のみでスペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を有する樹脂であることが好ましい。
単層で成形した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を有する高密度ポリエチレン樹脂であれば、これを内層樹脂として用い、表面層樹脂に特定の高密度ポリエチレン樹脂を用いれば、表面層の厚み30〜100μmと相俟って、平均表面粗さRaを収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下の表面平滑性を達成することができ、光ケーブル用スペーサとしての規格を満たすことができる。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形する光ケーブル用スペーサの製造方法であって、本体樹脂Aの流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを備えた二層構造ダイリップ20を用い、流入側ダイリップ上方より本体樹脂Bを供給させ内層を成形させつつ、溝底部および溝側部の内層の表面に、該二層構造ダイリップの間隙Gに導入された表面層樹脂Bを流出側ダイリップの突部202cの外周に沿って供給して、内層の本体樹脂Aと一体化させ、該収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形することを特徴としている。具体的な方法については、本発明の装置についての説明と共に後述する。
本発明の製造方法は、二層構造ダイリップ20は、形成する表面層の厚みに対応して流出側ダイリップの突部202cの長さおよび幅を流入側ダイリップの突部201cのそれよりも微小な寸法とし、流入側ダイリップ201の下面および流出側ダイリップ202の上面には表面層樹脂Bを導入する溝状流路201d、202dを形成する。そして、(i)矩形状の収納溝を形成する場合は、図9(A)に示すように、二層構造ダイリップの間隙Gを、溝底部に対応する先端突起部の開口断面積(A)mm2と溝側面に対応するダイリップ先端突起部の両側部の開口部断面積の和(B)mm2との比A/Bを、
0.4≦ A/B ≦7.0 とする。
A/Bが0.4未満となると収納溝底部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝底部に形成される表面層の厚みが薄くなる。一方、A/Bが7.0を越えると、収納溝側面部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝側面部の表面層が薄くなる。
(ii)U字状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙Gにおいて半円状の溝底に対応する先端突起部の半円状開口の周面積(C)と収納溝の直線状両側面に対応する開口断面積の和(D)の比をC/Dを、1.5≦ C/D ≦22.1とする。
C/Dが1.2未満となると収納溝底部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝底部に形成される表面層の厚みが薄くなる。一方、C/Dが22.1を越えると、収納溝側面部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝側面部の表面層が薄くなる。
このような関係を満足する二層構造ダイリップの間隙として、収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形する。
0.4≦ A/B ≦7.0 とする。
A/Bが0.4未満となると収納溝底部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝底部に形成される表面層の厚みが薄くなる。一方、A/Bが7.0を越えると、収納溝側面部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝側面部の表面層が薄くなる。
(ii)U字状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙Gにおいて半円状の溝底に対応する先端突起部の半円状開口の周面積(C)と収納溝の直線状両側面に対応する開口断面積の和(D)の比をC/Dを、1.5≦ C/D ≦22.1とする。
C/Dが1.2未満となると収納溝底部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝底部に形成される表面層の厚みが薄くなる。一方、C/Dが22.1を越えると、収納溝側面部に供給される表面層樹脂が少なくなり、収納溝側面部の表面層が薄くなる。
このような関係を満足する二層構造ダイリップの間隙として、収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形する。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造装置は、本発明の光ケーブル用スペーサおよび製造方法の具体化するのに密接な装置である。以下、具体例について、図2を参照して説明する。本発明の光ケーブル用スペーサの製造装置は、予備被覆抗張力線3を挿通可能な固定側ダイ108と、この固定側ダイの先端側に配置され該固定側ダイに対し回転可能で、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202との組立て面に表面層樹脂を供給するための間隙を有する二層構造ダイリップ20とを含むクロスヘッドダイ10を備えている。
上記クロスヘッドダイ10は、略凸形に形成された固定側ダイ101と、この固定側ダイ101の凸部外周に回転可能に嵌着された中空筒状のダイ回転ブロック102と、ダイ回転ブロック102の外周に耐熱性のベアリング103を介して配置された固定ブロック104とから概略構成されており、固定側ダイ101は固定ブロック104に固定されている。
固定側ダイ101の中心軸上には、先端側に抗張力線3のガイド孔105aを備え、固定側ダイ101の先端面から縮径部105bを突出させた先細状のニップル(サヤ芯)105が装着され、ニップル105の後端には抗張力線2をガイド孔105aに向けて案内するガイド106が嵌着されている。
固定側ダイ101の中心軸上には、先端側に抗張力線3のガイド孔105aを備え、固定側ダイ101の先端面から縮径部105bを突出させた先細状のニップル(サヤ芯)105が装着され、ニップル105の後端には抗張力線2をガイド孔105aに向けて案内するガイド106が嵌着されている。
ダイ回転ブロック102は、円筒状の本体部102aと、本体部102aの後方に固設され、歯車が刻設されたフランジ部102bと、本体部102aの前方に固設された凹形断面のダイリップアダプター102cと、ダイリップアダプター102cの凹部に嵌着された流入側ダイリップ201と、流出側ダイリップ202とを組み合わせた二層構造ダイリップ20とから構成されている。
固定側ダイ101の内部には、本体樹脂Aの第1の供給路107と、表面層樹脂Bの第2の供給路108とが分離して形成され、第1の供給路107はニップル105の外周に沿って形成され、円筒状流路107aと、この流路107aに連続し、ニップル105の縮径部105bと二層構造ダイリップ20との間に形成された円錘状流路107bとから構成されている。
一方、第2の供給路108は、円筒状流路107aの外方にあって、その固定側ダイ101の先端面の開口部がダイリップアダプター102cの側面に凹設された環状流路109に連通している。
固定側ダイ101の内部には、本体樹脂Aの第1の供給路107と、表面層樹脂Bの第2の供給路108とが分離して形成され、第1の供給路107はニップル105の外周に沿って形成され、円筒状流路107aと、この流路107aに連続し、ニップル105の縮径部105bと二層構造ダイリップ20との間に形成された円錘状流路107bとから構成されている。
一方、第2の供給路108は、円筒状流路107aの外方にあって、その固定側ダイ101の先端面の開口部がダイリップアダプター102cの側面に凹設された環状流路109に連通している。
そして、環状流路109には、その所定位置に、ダイリップアダプター102cの軸方向に貫通した貫通流路121が設けられ、貫通流路121は、流入側ダイリップ201に設けられたL字形流路110に連通し、L字形流路110が流入側ダイリップ201の先端面で、流出側ダイリップ202とで形成される間隙に通じている。
また、ダイ回転ブロック102のフランジ部102bには、これを回転させるための駆動ギヤ112が噛合している。
さらに、流入側ダイリップ201および流出側ダイリップ202からなる二層構造ダイリップ20には、図3および図4に示すように、得ようとするスペ−サ1の断面形状に対応した形状の透孔201b、202bが形成され、上記L字形流路110の先端は、スペ−サ1の溝部を形成する突部201c、202cにおいて、流入側ダイリップと流出側ダイリップの間隙に開口しており、流出側ダイリップ202の突部の外周に沿って表面層6および7を形成可能に構成されている。
また、ダイ回転ブロック102のフランジ部102bには、これを回転させるための駆動ギヤ112が噛合している。
さらに、流入側ダイリップ201および流出側ダイリップ202からなる二層構造ダイリップ20には、図3および図4に示すように、得ようとするスペ−サ1の断面形状に対応した形状の透孔201b、202bが形成され、上記L字形流路110の先端は、スペ−サ1の溝部を形成する突部201c、202cにおいて、流入側ダイリップと流出側ダイリップの間隙に開口しており、流出側ダイリップ202の突部の外周に沿って表面層6および7を形成可能に構成されている。
組み立てられた二層構造ダイリップにおいて流入側ダイリップと流出側ダイリップで形成される表面層樹脂を供給するための間隙は、図4(A)に矩形溝の場合を示すように、流出側ダイリップ202の内周部202aの突部202cの長さl2および幅w2は、形成する表面層の厚みに対応して図3(A)に示す流入側ダイリップ201の突部201cのl1および幅w1よりも微小な寸法であり、例えばl1−l2およびw1−w2がそれぞれ0.01〜0.50mm程度小さな寸法にされる。U字状溝の場合も同様に、図5および図6に示す突部201c、202cのl3−l4およびw3−w4がそれぞれ0.01〜0.50mm程度となる寸法とされる。
なお、図3および図4においてダイリップの突部201cおよび202cの平面視形状は内周部201aおよび202a側が狭く、溝底に対応する先端側が広い略台形状としているが、これは、スペーサをポリエチレンの溶融押出成形により得る場合、螺旋状溝を形成するためダイリップを回転しながら成形することとも相俟って、粘弾性を考慮して経験的に得られた形状を模式的に示しているものであり、さらに突部の幅方向の内側に湾曲した形状のダイリップとする場合もある。U字状溝に対応した図5および図6も同様に内周部201aおよび202a側が狭くなっているが、矩形状溝と同様の理由による。
なお、図3および図4においてダイリップの突部201cおよび202cの平面視形状は内周部201aおよび202a側が狭く、溝底に対応する先端側が広い略台形状としているが、これは、スペーサをポリエチレンの溶融押出成形により得る場合、螺旋状溝を形成するためダイリップを回転しながら成形することとも相俟って、粘弾性を考慮して経験的に得られた形状を模式的に示しているものであり、さらに突部の幅方向の内側に湾曲した形状のダイリップとする場合もある。U字状溝に対応した図5および図6も同様に内周部201aおよび202a側が狭くなっているが、矩形状溝と同様の理由による。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造装置は、図3および図4に示すように、流入側ダイリップ201の下面および流出側ダイリップ202の上面には表面層樹脂を導入する溝状流路201dおよび202dを有している。溝状流路201dおよび202dは、隔壁201eおよび202eにより画成されて形成されており、樹脂が流れる方向を調整するためのものである。また、流出側ダイリップの溝状流路202dは、溝底側の開口部が、表面層樹脂の溜まり部(マニホールド)の機能も有するように段状の溝状流路となっている。このような構成とすることによって、表面層樹脂の供給圧力を平準化し均一な厚みで表面層を形成し易くすることができる。
また、図3(B)に示す201fは、流出側ダイリップ202との組み合わせ(擦り合わせ)面となるブロック部であり、このブロック部の間を通って表面層樹脂Bが溝状流路201dに導かれる。前記L字形流路110には201gとして示す環状溝にも連通しており、複数の溝状流路201dに均等に表面層樹脂が分配されるように配慮されている。
また、図3(B)に示す201fは、流出側ダイリップ202との組み合わせ(擦り合わせ)面となるブロック部であり、このブロック部の間を通って表面層樹脂Bが溝状流路201dに導かれる。前記L字形流路110には201gとして示す環状溝にも連通しており、複数の溝状流路201dに均等に表面層樹脂が分配されるように配慮されている。
本発明の光ケーブル用スペーサの製造装置は、図7(A)に、図3(B)および図4(A)に示すダイリップのX−X'断面において、溝底部の表面層を形成する状態を拡大模式図として示すように、前記溝状流路201dおよび202dから導入された表面層樹脂Bが流入側ダイリップ201の下端側の前記間隙で流出側ダイリップ202の突部202cの外周に添って供給され、前記流入側ダイリップ201の上方から供給された本体樹脂Aと前記流出側ダイリップ202の突部202cのランド途中で一体化して、収納溝底部および両側面部の表面を表面層樹脂Bで一体的に被覆することが可能である。
図7(B)は、流出側ダイリップの上面における樹脂A,Bの一体化状況を模式的に示すものである。リブの主体を形成する本体樹脂Aが流入側ダイリップ201の孔部201bを通過して溶融状の本体樹脂Aからなるリブ4'および溝底部の内層を形成した状態で、ダイリップの間隙から供給された表面層樹脂と遭遇し、流入側ダイリップの突部201cよりも微小な寸法の202cとにより形成される隙間に、表面層樹脂が充填され、溝底部および溝両側面部に表面層が形成される。なお、図7(B)の矢印は樹脂Bの流れの方向を模式的に示すものである。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において(1)メルトインデックス(MI)、(2)表面粗さ、(3)表面層の厚みは以下に記載する方法で測定した。
(1)メルトインデックス
JIS K6922−1に規定された方法に準じて、荷重21.18N、測定温度190℃で測定した。
(2)表面粗さ
スペーサの収納溝底部および収納溝側面の表面粗さは、JIS B 0601に準じ、5μmRのダイヤモンド触針にて、測定速度0.5mm/秒、カットオフ0.8mm、測定長2.4mm、縦倍率2000倍の条件で算術平均表面粗さ(Ra;単位μm)を測定した。収納溝底部および収納溝側面を各3点ずつ測定し、平均値を算出した。
また、最大表面粗さRmaxは、収納溝底部および収納溝側面を各3点ずつ測定し、それぞれの最大値を値として採用した。
(3)表面層の厚み
キーエンス社製マイクロスコープを用い100倍で観察して算出した。測定箇所は収納溝底部と側面として、それぞれ9点ずつ測定し、平均値を算出した。
JIS K6922−1に規定された方法に準じて、荷重21.18N、測定温度190℃で測定した。
(2)表面粗さ
スペーサの収納溝底部および収納溝側面の表面粗さは、JIS B 0601に準じ、5μmRのダイヤモンド触針にて、測定速度0.5mm/秒、カットオフ0.8mm、測定長2.4mm、縦倍率2000倍の条件で算術平均表面粗さ(Ra;単位μm)を測定した。収納溝底部および収納溝側面を各3点ずつ測定し、平均値を算出した。
また、最大表面粗さRmaxは、収納溝底部および収納溝側面を各3点ずつ測定し、それぞれの最大値を値として採用した。
(3)表面層の厚み
キーエンス社製マイクロスコープを用い100倍で観察して算出した。測定箇所は収納溝底部と側面として、それぞれ9点ずつ測定し、平均値を算出した。
実施例1
2.3mmΦの鋼線に対して、MIが1.0g/10分の接着性ポリエチレン(日本ユニカー製:GA006)とMIが1.3g/10分の低密度直鎖状ポリエチレン(LLDPE:日本ユニカー製、商品名;NUG5350)を押し出して、2層被覆し、外径4.75mmの予備被覆抗張力線を得た。この予備被覆抗張力線3をリブがらせん状になる様、図2中に示す二層構造ダイリップ20を回転させながら導入し、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)を本体樹脂(内層樹脂)Aとして押出被覆し、これに図7に示す様に二層構造ダイリップ20のランド部の途中である、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを組み合わせて形成される間隙に、表面層樹脂Bとして平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を供給した。供給された表面層樹脂Bは、図7(B)に流出側ダイリップの上面を示す様に溝底部の表面層6および溝の両側面の表面層7が形成されるように突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して表面層を形成した。これより6個の収納溝に表面層を有するリブの外径が8.2mmのスペーサを得た。なお図9に示す二層構造ダイリップの1つの突部における溝底部に対応する突起部先端の開口断面積(A)mm2と、溝側面に対応するダイリップ突起部の両側部の開口断面積の和(B)は、それぞれ3.12mm2と2.26mm2であり、比A/Bは1.38であった。
なお、組み合わせて二層構造ダイリップとするダイリップの突部において、図3におけるw1が1.89mm、図4のw2が1.85mmであり、w1−w2=0.04mm、同様にl1が1.95mm、l2が1.90mmで、l1−l2=0.05mmであり、流出側ダイリップ202の方が、突部の幅が0.04mm、長さが0.05mm小さな寸法とした。これらの寸法については、図9(A)にも示している。
2.3mmΦの鋼線に対して、MIが1.0g/10分の接着性ポリエチレン(日本ユニカー製:GA006)とMIが1.3g/10分の低密度直鎖状ポリエチレン(LLDPE:日本ユニカー製、商品名;NUG5350)を押し出して、2層被覆し、外径4.75mmの予備被覆抗張力線を得た。この予備被覆抗張力線3をリブがらせん状になる様、図2中に示す二層構造ダイリップ20を回転させながら導入し、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)を本体樹脂(内層樹脂)Aとして押出被覆し、これに図7に示す様に二層構造ダイリップ20のランド部の途中である、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを組み合わせて形成される間隙に、表面層樹脂Bとして平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を供給した。供給された表面層樹脂Bは、図7(B)に流出側ダイリップの上面を示す様に溝底部の表面層6および溝の両側面の表面層7が形成されるように突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して表面層を形成した。これより6個の収納溝に表面層を有するリブの外径が8.2mmのスペーサを得た。なお図9に示す二層構造ダイリップの1つの突部における溝底部に対応する突起部先端の開口断面積(A)mm2と、溝側面に対応するダイリップ突起部の両側部の開口断面積の和(B)は、それぞれ3.12mm2と2.26mm2であり、比A/Bは1.38であった。
なお、組み合わせて二層構造ダイリップとするダイリップの突部において、図3におけるw1が1.89mm、図4のw2が1.85mmであり、w1−w2=0.04mm、同様にl1が1.95mm、l2が1.90mmで、l1−l2=0.05mmであり、流出側ダイリップ202の方が、突部の幅が0.04mm、長さが0.05mm小さな寸法とした。これらの寸法については、図9(A)にも示している。
得られた光ケーブル用スペーサの収納溝は、長手方向に対して500mmピッチでZ撚りされた螺旋状の6つの収納溝を有し、溝幅が1.45mm、溝深さが1.5mmでほぼ矩形状に形成され、表面層の厚さは収納溝の底部で60〜70μm、側面部で70〜90μmであった。このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは底部で0.3μm、側面部で0.5μmであり、最大表面粗度Rmaxは溝底部で2.9μm、溝側面部で6.4μmであり、光ケーブル用スペーサとしての実用に適する表面平滑性を備えていた。
実施例2
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、これをリブがらせん状になる様、図2中に示すU溝タイプの二層構造ダイリップを回転させながら導入し、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)を本体樹脂(内層樹脂)Aとして押出被覆し、これに図8に矩形溝の場合を例示する様に二層構造ダイリップ20のランド部の途中である、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを組み合わせて形成される間隙に、表面層樹脂Bとして平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を供給した。供給された表面層樹脂Bは、図7(B)に矩形溝の場合として、流出側ダイリップの上面を示す様に溝底部の表面層6および溝の両側面の表面層7が形成されるように突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して表面層を形成した。これより6個のU字状収納溝に表面層を有するリブの外径が8.2mmのスペーサを得た。なお二層構造ダイリップの1つの突部において、収納溝底部に対応する半円状突部先端に開口する収納溝底部の周面積(C)は5.34mm2であり、直線状を呈する収納溝側面に対応する側面部開口断面積の和(D)は1.21mm2であり、比C/Dは4.41であった。
なお、組み合わせて二層構造ダイリップとするダイリップの突部において、図5(B)及び図11の流入側におけるw3が1.89mm、図6(A)及び図11の流出側におけるw4が1.85mmであり、w3−w4=0.04mm、同様にl3が1.95mm、l4が1.90mmで、l3−l4=0.05mmであり、流出側ダイリップ202の方が、突部の幅が0.04mm、長さが0.05mm小さな寸法とした。これらの寸法については、図11に詳しく示している。
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、これをリブがらせん状になる様、図2中に示すU溝タイプの二層構造ダイリップを回転させながら導入し、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)を本体樹脂(内層樹脂)Aとして押出被覆し、これに図8に矩形溝の場合を例示する様に二層構造ダイリップ20のランド部の途中である、流入側ダイリップ201と流出側ダイリップ202とを組み合わせて形成される間隙に、表面層樹脂Bとして平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を供給した。供給された表面層樹脂Bは、図7(B)に矩形溝の場合として、流出側ダイリップの上面を示す様に溝底部の表面層6および溝の両側面の表面層7が形成されるように突部202cの外周に沿って表面層樹脂Bを供給して表面層を形成した。これより6個のU字状収納溝に表面層を有するリブの外径が8.2mmのスペーサを得た。なお二層構造ダイリップの1つの突部において、収納溝底部に対応する半円状突部先端に開口する収納溝底部の周面積(C)は5.34mm2であり、直線状を呈する収納溝側面に対応する側面部開口断面積の和(D)は1.21mm2であり、比C/Dは4.41であった。
なお、組み合わせて二層構造ダイリップとするダイリップの突部において、図5(B)及び図11の流入側におけるw3が1.89mm、図6(A)及び図11の流出側におけるw4が1.85mmであり、w3−w4=0.04mm、同様にl3が1.95mm、l4が1.90mmで、l3−l4=0.05mmであり、流出側ダイリップ202の方が、突部の幅が0.04mm、長さが0.05mm小さな寸法とした。これらの寸法については、図11に詳しく示している。
得られた光ケーブル用スペーサの収納溝は、長手方向に対して500mmピッチでZ撚りされた螺旋状の6つの収納溝を有し、溝幅が1.45mm、溝深さが1.50mmでU字状に形成され、表面層の厚さは収納溝の底部はU字状に沿って65〜75μm、側面部で70〜95μmであった。このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは底部で0.4μm、側面部で0.6μmであり、最大表面粗度Rmaxは溝底部で3.8μm、溝側面部で7.0μmであり、光ケーブル用スペーサとしての実用に適する表面平滑性を備えていた。
比較例1
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、実施例1の二層構造ダイリップに換えて、従来同様に1層構造のダイリップを回転させながら導入し、実施例1で本体樹脂(内層樹脂)として使用した、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)で押出被覆した。即ち実施例1において収納溝に表面層6,7が無い6個の収納溝を有する外径8.2mmのらせんスペーサを得た。
このスペーサの収納溝は、幅が1.5mm、深さが1.6mmに形成されたもので、このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは底部で1.4μm、側面部で1.3μmであり、最大表面粗度Rmaxは底部で11.8μm、側面部で11.2μmであった。
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、実施例1の二層構造ダイリップに換えて、従来同様に1層構造のダイリップを回転させながら導入し、実施例1で本体樹脂(内層樹脂)として使用した、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)で押出被覆した。即ち実施例1において収納溝に表面層6,7が無い6個の収納溝を有する外径8.2mmのらせんスペーサを得た。
このスペーサの収納溝は、幅が1.5mm、深さが1.6mmに形成されたもので、このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは底部で1.4μm、側面部で1.3μmであり、最大表面粗度Rmaxは底部で11.8μm、側面部で11.2μmであった。
比較例2
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、一層構造のダイリップを用いて、この予備被覆抗張力線をリブがらせん状になる様に一層構造ダイリップを回転させながら導入し、実施例1で本体樹脂(内層樹脂)として使用した、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)と、これも実施例1に使用した平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を図12における一(単)層構造ダイリップ203の入り口近傍の合流部で、内層に本体樹脂、外層に表面層樹脂からなる円筒状複層樹脂層が形成される様にして一層構造ダイリップに入る前に、ダイリップのランドの手前で二層の樹脂を一体化させて、内層全周に渡って表面層を形成させた。これを、従来同様に一層構造ダイリップを回転させながら導入して成型し、6個の収納溝を有する外径8.2mmのスペーサを得た。
このスペーサの収納溝は幅が1.5mm、深さが1.6mmに形成されており、表面層の厚さは収納溝の底部で5〜40μm、側面部で40〜80μm、リブの頭(頂部)で90〜130μmであった。
このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは溝底部で0.9μm、溝側面部で0.9μmであり、最大表面粗度Rmaxは溝底部で13.2μm、溝側面部で8.6μmであった。また、特に収納溝底、収納溝側面については、表面層が断面の一部で極めて薄い部分が存在し、また長手方向においても極めて薄い部分が発生し、安定して表面層が形成されていなかった。
実施例1と同様に予備被覆抗張力線3を作成し、一層構造のダイリップを用いて、この予備被覆抗張力線をリブがらせん状になる様に一層構造ダイリップを回転させながら導入し、実施例1で本体樹脂(内層樹脂)として使用した、MIが0.13g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名540E、工業用パイプ用途)と、これも実施例1に使用した平滑性が良くMIが0.80g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE、プライムポリマー製;商品名;5305E、通信ケーブル用途)を図12における一(単)層構造ダイリップ203の入り口近傍の合流部で、内層に本体樹脂、外層に表面層樹脂からなる円筒状複層樹脂層が形成される様にして一層構造ダイリップに入る前に、ダイリップのランドの手前で二層の樹脂を一体化させて、内層全周に渡って表面層を形成させた。これを、従来同様に一層構造ダイリップを回転させながら導入して成型し、6個の収納溝を有する外径8.2mmのスペーサを得た。
このスペーサの収納溝は幅が1.5mm、深さが1.6mmに形成されており、表面層の厚さは収納溝の底部で5〜40μm、側面部で40〜80μm、リブの頭(頂部)で90〜130μmであった。
このスペーサ収納溝の表面粗さを測定したところ、平均表面粗さRaは溝底部で0.9μm、溝側面部で0.9μmであり、最大表面粗度Rmaxは溝底部で13.2μm、溝側面部で8.6μmであった。また、特に収納溝底、収納溝側面については、表面層が断面の一部で極めて薄い部分が存在し、また長手方向においても極めて薄い部分が発生し、安定して表面層が形成されていなかった。
以上、実施例、比較例の結果をまとめて表1に示す。
本発明の光ケーブル用スペーサは、光テープ心線収納溝の底部及び両側面のみに平滑性の良好な樹脂原料を用いる一方、スペーサ本体には強度の高い汎用樹脂を使用しているので、スペーサ本体に要求される耐圧縮性等の機械的性能と、収納溝に要求される表面平滑性等の品質を維持しつつ、スペーサの原材料コストを低下させることができ、経済的な光ケーブル用スペーサとして利用できる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、前記の効果を有するスペーサを再現性よく製造する方法として利用できる。
さらに、本発明の製造装置の発明は、前記製造方法に好適に用いることができる装置として利用できる。
また、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、前記の効果を有するスペーサを再現性よく製造する方法として利用できる。
さらに、本発明の製造装置の発明は、前記製造方法に好適に用いることができる装置として利用できる。
1 光ケーブル用スペーサ
2 抗張力線
3 予備被覆層
4 内層(リブ内層)
5 収納溝
6 溝底表面層
7 溝側面表面層
8 リブ頂部
10 クロスヘッドダイ
20 二層構造ダイリップ
101 固定側ダイ
102 ダイ回転ブロック
103 耐熱性ベアリング
104 固定ブロック
105 ニップル
106 ガイド
107 第1の樹脂供給路(本体樹脂の供給路)
108 第2の樹脂供給路(表面層樹脂の供給路)
109 環状流路
110 L字型流路
121 貫通流路
201 流入側ダイリップ
201a 流入側ダイリップ内周部
201b 流入側ダイリップ透孔
201c 流入側ダイリップ突部
201d 溝状流路
202 流出側ダイリップ
202a 流出側ダイリップ内周部
202b 流出側ダイリップ透孔
202c 流出側ダイリップ突部
202d 溝状流路
203 一層ダイリップ
A 本体樹脂
B 表面層樹脂
L 二層構造ダイリップの組立面(摺り合わせ面)
G 間隙
2 抗張力線
3 予備被覆層
4 内層(リブ内層)
5 収納溝
6 溝底表面層
7 溝側面表面層
8 リブ頂部
10 クロスヘッドダイ
20 二層構造ダイリップ
101 固定側ダイ
102 ダイ回転ブロック
103 耐熱性ベアリング
104 固定ブロック
105 ニップル
106 ガイド
107 第1の樹脂供給路(本体樹脂の供給路)
108 第2の樹脂供給路(表面層樹脂の供給路)
109 環状流路
110 L字型流路
121 貫通流路
201 流入側ダイリップ
201a 流入側ダイリップ内周部
201b 流入側ダイリップ透孔
201c 流入側ダイリップ突部
201d 溝状流路
202 流出側ダイリップ
202a 流出側ダイリップ内周部
202b 流出側ダイリップ透孔
202c 流出側ダイリップ突部
202d 溝状流路
203 一層ダイリップ
A 本体樹脂
B 表面層樹脂
L 二層構造ダイリップの組立面(摺り合わせ面)
G 間隙
Claims (7)
- 中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形してなる光ケーブル用スペーサであって、該収納溝が内層を形成する本体樹脂と表面層を形成する表面層樹脂により、底部および両側面が内層および表面層の二層一体に成形されており、
該表面層は、厚み30〜100μm、かつ、平均表面粗さRaが収納溝底部で0.5μm以下、収納溝側面で1.0μm以下である、
ことを特徴とする光ケーブル用スペーサ。 - 二層一体の成形が、ダイリップを本体樹脂の流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップと流出側ダイリップとを備えた二層構造ダイリップとし、該二層構造ダイリップの間隙から流出側ダイリップの突部の外周に沿って表面層樹脂を供給して本体樹脂と一体化させ、スペーサの長手方向と直交する断面において、矩形状又はU字状の溝部に表面層樹脂による表面層を有している請求項1に記載の光ケーブル用スペーサ。
- 本体樹脂がメルトインデックス(MI)0.3g/10分以下の高密度ポリエチレンであり、表面層がメルトインデックス(MI)0.1〜20g/10分の高密度ポリエチレンである請求項1又は2に記載の光ケーブル用スペーサ。
- 本体樹脂が、単層で光ケーブル用スペーサを製造した場合において、溝部の平均表面粗さRaが0.5〜3μm、最大表面粗さRmaxが10〜40μmの表面平滑性を備え、表面平滑性においては光ケーブル用スペーサ用途には適しない高密度ポリエチレンである請求項3に記載の光ケーブル用スペーサ。
- 中央に抗張力線を配し、この抗張力線の周囲に複数の光ファイバテープ心線が収納される複数本の矩形状又はU字状の収納溝を備えたポリエチレン製のスペーサ本体を押出成形する光ケーブル用スペーサの製造方法であって、本体樹脂の流入側と流出側の方向において、流入側ダイリップと流出側ダイリップとを備えた二層構造ダイリップを用い、流入側ダイリップ上方より本体樹脂を供給させ内層を成形させつつ、溝底部および溝側部の内層の表面に、該二層構造ダイリップの間隙に導入された表面層樹脂を流出側ダイリップの突部の外周に沿って供給して、内層の本体樹脂と一体化させ、該収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
- 二層構造ダイリップは、形成する表面層の厚みに対応して流出側ダイリップの突部の長さおよび幅を流入側ダイリップの突部のそれよりも微小な寸法とし、流入側ダイリップの下面および流出側ダイリップの上面には表面層樹脂を導入する溝状流路を形成し、
(i)矩形状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙を、溝底部に対応する先端突起部の開口断面積(A)mm2と溝側面に対応するダイリップ先端突起部の両側部の開口部断面積の和(B)mm2との比A/Bを、
0.4≦ A/B ≦7.0 とし、
(ii)U字状の収納溝を形成する場合は、二層構造ダイリップの間隙Gにおいて半円状の溝底に対応する先端突起部の半円状開口部の周面積(C)と収納溝の直線状両側面に対応する開口断面積の和(D)の比をC/Dを、
1.5≦ C/D ≦22.1として、
収納溝の底部および両側面を内層および表面層の二層一体に成形する請求項5に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。 - 抗張力線を挿通可能な固定側ダイと、この固定側ダイの先端側に配置され該固定側ダイに対し回転可能で、流入側ダイリップと流出側ダイリップとの組立て面に表面層樹脂を供給するための間隙を有する二層構造ダイリップとを含むクロスヘッドダイを備えた光ケーブル用スペーサの製造装置であって、
(i)前記固定側ダイは、前記抗張力線の挿通方向に沿って形成され、かつ前記流入側ダイリップの内周部との間から該抗張力線の外周に向けてスペーサ本体用の本体樹脂を供給する第1の樹脂供給路を有し、
(ii)前記流出側ダイリップの内周部の突部の長さおよび幅は、形成する表面層の厚みに対応して流入側ダイリップの突部のそれらよりも微小な寸法であり、
(iii)前記流入側ダイリップの下面および流出側ダイリップの上面には表面層樹脂を導入する溝状流路を有し、
(iv)前記溝状流路から導入された表面層樹脂が流入側ダイリップ下端側の前記間隙で流出側ダイリップの突部外周に添って供給され、前記流入側ダイリップ上方から供給された本体樹脂と前記流出側ダイリップの突部のランド途中で一体化成形が可能、
なことを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010099775A JP2011232377A (ja) | 2010-04-23 | 2010-04-23 | 光ケーブル用スペーサ、その製造方法、および製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010099775A JP2011232377A (ja) | 2010-04-23 | 2010-04-23 | 光ケーブル用スペーサ、その製造方法、および製造装置 |
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JP2011232377A true JP2011232377A (ja) | 2011-11-17 |
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ID=45321776
Family Applications (1)
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JP2010099775A Pending JP2011232377A (ja) | 2010-04-23 | 2010-04-23 | 光ケーブル用スペーサ、その製造方法、および製造装置 |
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JP (1) | JP2011232377A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016020990A (ja) * | 2014-07-15 | 2016-02-04 | 住友電気工業株式会社 | 光ケーブル用のスロットロッド及び光ケーブル |
Citations (4)
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JPH1090568A (ja) * | 1996-07-24 | 1998-04-10 | Ube Nitto Kasei Co Ltd | 光ファイバケーブル用スペーサおよびその製造方法、製造装置 |
JP2001091801A (ja) * | 1999-08-27 | 2001-04-06 | Scc Special Communication Cables Gmbh & Co Kg | 光導波路ケーブル |
JP2004184917A (ja) * | 2002-12-06 | 2004-07-02 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ用スペーサの製造方法および光ファイバ用スペーサ |
-
2010
- 2010-04-23 JP JP2010099775A patent/JP2011232377A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016020990A (ja) * | 2014-07-15 | 2016-02-04 | 住友電気工業株式会社 | 光ケーブル用のスロットロッド及び光ケーブル |
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