JP2011232030A - ディーゼルパティキュレートフィルタの評価方法及び評価装置 - Google Patents

ディーゼルパティキュレートフィルタの評価方法及び評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】極めて微小なPMの漏出を検出することができ、ディーゼルパティキュレートフィルタのPM捕集性能や欠陥の有無を、高精度かつ簡易に評価することができるディーゼルパティキュレートフィルタの評価装置を提供する。
【解決手段】評価装置1は、ディーゼルパティキュレートフィルタ100の上流側端面101に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入するガス導入装置10と、ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側端面102と平行な線状にレーザ光Lを照射するレーザ光照射装置20と、下流側端面から排出されたガスに含有される炭素質粒子が、レーザ光の照射を受けて放出するレーザ光の波長とは異なる波長の誘起赤熱発光を検出する検出装置30とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルパティキュレートフィルタの性能や欠陥の有無を評価する評価方法、及び、該評価方法に使用される評価装置に関するものである。
ディーゼルエンジンから排出されるガスには、粒子状物質(Particulate Matter。以下、「PM」と称することがある)が含まれるため、ディーゼルエンジンからの排気経路にはPMを除去するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」と称することがある)が取り付けられる。
一般的なDPFはセラミックスの多孔質体であり、ディーゼルエンジンからの排気が多孔質体を通過する際に、多孔質体中の気孔によってPMが捕集される。そこで、DPFの製造にあたっては、多孔質体の気孔径及び気孔径分布が高度に制御される。ところが、気孔径や気孔径分布がいかに高度に制御されていたとしても、多孔質体に亀裂や割れ等の欠陥が生じると、PMはこの欠陥を介して外部に漏出してしまう。そのため、DPFについては、欠陥の有無を検査することが要請される。
従来、DPFの欠陥の検出方法及び検出装置として、DPFの一方の端面から微粒子を導入し、排出側の端面に平行にレーザ光を照射することにより、DPFの欠陥を検出する方法及び装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。これらの技術は何れも、DPFに水の微粒子を導入し、欠陥を介してDPFの端面から排出される微粒子によって反射(散乱)されるレーザ光により、欠陥の有無及び位置を検出するものである。
しかしながら、レーザ光は指向性が高いとはいえ、DPFの端面にもレーザ光の一部が照射される。そのため、上記の従来技術では、フィルタ端面からの反射光と微粒子からの反射光とを区別することが必要となる。そこで、特許文献1の技術では、フィルタ端面の近くで縦波を発生させ、空気を振動させることによって微粒子を移動させている。これは、反射光による輝点が移動するか否かで、フィルタ端面からの反射光と微粒子からの反射光とを判別するためである。従って、特許文献1の技術では縦波を発生させて空気を振動させる装置が必要であり、構成が複雑であった。また、輝点の動きも含めて反射光を解析するため、処理が複雑であった。加えて、欠陥を介して漏出した微粒子を移動させてしまうため、欠陥の位置の特定が不正確となるおそれがあった。
一方、特許文献2の技術では、フィルタ端面を覆うように、格子状の反射防止部材を配置している。これは、フィルタ端面へのレーザ光の照射を反射防止部材によって妨げ、反射防止部材を通過した微粒子による反射光を検知するためである。従って、特許文献2では反射防止部材が必要であり、構成が複雑であった。また、反射防止部材は格子状であるため、微粒子の通過が部分的に妨げられることに加えて、フィルタ端面へのレーザ光の照射及びフィルタ端面からの反射光を、格子状の部材で完全に防ぐことはできない。そのため、欠陥を高精度で検出することは困難であった。
また、特許文献1及び特許文献2の技術でDPFに導入している水の微粒子は、0.3μm以上200μm以下、好ましくは1μm以上10μm以下という大径のものである。そのため、大きな欠陥でなければ検出することはできない。これに対して、PMの主な成分であるすす(Soot)の粒子径は30nm〜80nm程度であり、すすが凝集して形成され、或いは、すすに他の成分が付着して形成されたPMの平均粒子径は、一般的に100nm以下である。そのため、上記のサイズの水の微粒子によっては検出できない微細な欠陥であっても、PMが漏出する原因となる。
ここで、ディーゼルエンジンからの排気中のPM濃度については、法律によって規制値が定められているところ、近年この規制値は非常に厳しいものとなってきており、DPFには高度のPM捕集性能が求められている。そのため、微細な欠陥に起因するPMの漏出も、高精度に検出できなくてはならない。
加えて、現在実施されているDPFでは、欠陥に起因することなく、微小なPMが通り抜けてしまう捕集漏れの問題が残存しており、法規制がより厳しさを増す中で、更なる改善が強く望まれている。特に、DPFの使用初期における微小なPMの捕集漏れが、問題視されている。従って、DPFのPM捕集性能を高精度で評価するためには、微小なPMの漏出をも検出することができる評価方法及び評価装置が要請される。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、微小なPMであっても漏出を検出することができ、ディーゼルパティキュレートフィルタのPM捕集性能や欠陥の有無を、高精度かつ簡易に評価することができるディーゼルパティキュレートフィルタの評価方法、及び、該評価方法を使用する評価装置の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるディーゼルパティキュレートフィルタの評価方法は、「ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側端面に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入し、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側端面と平行な線状または面状にレーザ光を照射することにより、前記下流側端面から排出されたガスに含有される前記炭素質粒子を、前記レーザ光の波長とは異なる波長に誘起赤熱発光させて検出する」ものである。
レーザ光が炭素質粒子に照射されると、炭素質粒子は急激に加熱され、誘起赤熱発光による輻射光を放出する。従って、この輻射光を検出することにより、DPFから漏出した炭素質粒子を検出することができる。また、輻射光の位置から、炭素質粒子が漏出した位置をDPF上で特定することができる。
上記の従来技術(特許文献1及び特許文献2)では、微粒子によって反射された光、すなわち、照射したレーザ光自体を検出している。従って、微粒子によって反射される光とフィルタ端面から反射される光は、波長が同一である。そのため、両者を判別するための複雑な構成が必要となることに加え、上述のように完全な判別は困難であった。これに対し、本発明では、検出する対象は炭素質粒子による誘起赤熱発光であり、照射したレーザ光とは波長が異なる。これにより、仮にレーザ光の一部がフィルタ端面に当たり反射されたとしても、炭素質粒子の誘起赤熱発光とレーザ光の反射光とは光学的に区別することができる。従って、本発明によれば、フィルタ端面からの反射光と区別するための特別な構成を要することなく、簡易な構成で容易に、炭素質粒子を検出することができる。
加えて、炭素質粒子の粒子径は非常に微小であるため、微細な欠陥の存在や、欠陥に起因することなく生じる微小な炭素質粒子の捕集漏れを、高精度で検出することができる。
ここで、DPFの上流側端面に導入するガスを「粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガス」としているのは、上述のように、導入する粒子径が大き過ぎればDPFの大きな欠陥しか検出できないためである。また、実際のDPFで捕集漏れが問題視されるPMの粒子径の範囲は、図5に示すような範囲であり、粒子径10nm〜200nmとすればこの範囲をカバーすることができるためである。なお、図5は、ディーゼルエンジンからの排気経路に炭化珪素質セラミックスのハニカム構造のDPFを取り付け、DPFから排出されたガスについて、含まれるPMの粒子径及び個数を粒子計測装置で計測した結果である。ここでは、特に、DPFの使用初期におけるPMの粒度分布の時間経過に伴う変化を示している。なお、図5に示した測定では、使用初期におけるPMの捕集漏れの改善が望まれている従来のDPFを使用している。また、本発明者らは、炭素質粒子の粒子径が少なくとも10nmあれば、誘起赤熱発光を十分に検出できることを確認している。
従来技術(特許文献1及び特許文献2)では、微粒子による反射光を可視化するため、照射するレーザ光は可視光でなければならない。これに対し、炭素質粒子の誘起赤熱発光は、照射するレーザ光の波長に依存しない。そのため、本発明では、照射するレーザ光は可視光に限定されず、使用可能なレーザ光源の自由度が高いという利点も有している。
レーザ光を面状に照射する場合は、レンズを用いてレーザ光を面状に拡散させてシート光とする。これにより、DPFから漏出した炭素質粒子の分布を二次元的に検出することができる。
一方、レーザ光を線状のビーム光として照射する場合は、レーザ光源をシート光として照射する場合ほど高出力とする必要がないため、DPFの評価方法としてより簡易である。なお、レーザ光を線状に照射する場合は、レーザ光を照射する方向を回転させることにより、DPFから漏出した炭素質粒子の分布を二次元的に把握することができる。
本発明にかかるディーゼルパティキュレートフィルタの評価装置は、「ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側端面に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入するガス導入装置と、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側端面と平行な線状または面状にレーザ光を照射するレーザ光照射装置と、前記下流側端面から排出されたガスに含有される前記炭素質粒子が、前記レーザ光の照射を受けて放出する前記レーザ光の波長とは異なる波長の誘起赤熱発光を検出する検出装置とを具備する」ものである。
上記構成の評価装置によれば、フィルタ端面からの反射光と区別するための特別な構成を要することなく、上述の評価方法を使用して、DPFのPM捕集性能や欠陥の有無を、高精度に評価することができる。
以上のように、本発明の効果として、微小なPMであっても漏出を検出することができ、DPFのPM捕集性能や欠陥の有無を、高精度かつ簡易に評価することができるDPFの評価方法、及び、該評価方法を使用する評価装置を提供することができる。
本発明の一実施形態のDPFの評価装置の概略構成図である。 DPF−1の未使用時と条件1での使用後について、排出されたガスにレーザ光を照射した場合の所定時間における励起赤熱発光の強度の平均値を、誘起赤熱発光が検出された位置との関係で示したグラフである。 条件1における使用後のDPF−1から排出されたガスについて、検出された励起赤熱発光強度の時間経過に伴う変化を、誘起赤熱発光が検出された位置との関係で示したグラフである。 DPF−F及びDPF−Vから排出されたガスについて、検出された誘起赤熱発光の時間経過に伴う変化を示したグラフである。 PMの粒度分布図である。
以下、本発明の一実施形態のDPFの評価方法(以下、単に「評価方法」と称する)、及び、該評価方法を使用するDPFの評価装置1(以下、単に「評価装置1」と称する)について説明する。
本実施形態の評価方法は、DPFの上流側端面に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入し、DPFの下流側端面と平行な線状にレーザ光を照射することにより、下流側端面から排出されたガスに含有される炭素質粒子を、レーザ光の波長とは異なる波長に誘起赤熱発光させて検出するものである。また、本実施形態の評価方法は、線状のレーザ光をDPFの軸心線に直交する方向に照射すると共に、レーザ光を照射する方向を軸心線周りに所定角度回転させて誘起赤熱発光の検出を行うものである。
また、図1に示すように、評価装置1は、DPF100の上流側端面101に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入するガス導入装置10と、DPF100の下流側端面102と平行な線状にレーザ光Lを照射するレーザ光照射装置20と、下流側端面102から排出されたガスに含有される炭素質粒子が、レーザ光Lの照射を受けて放出するレーザ光Lの波長とは異なる波長の誘起赤熱発光を検出する検出装置30とを具備している。加えて、レーザ光照射装置20は、DPF100の軸心線Zを通り且つ軸心線Zに直交する方向に、線状のレーザ光Lを照射するものである。また、評価装置1は、DPF100を軸心線Z周りに回転させる回転装置(図示しない)を、更に具備している。
より詳細には、ガス導入装置10は粒子径10nm〜200nmのPMを含有するガスを発生させるディーゼルエンジン10a、ディーゼルエンジン10aからDPF100へガスを供給するガス供給管10b、及び、ガス供給管10bを介して供給されたガスがDPF100の上流側端面101の全体から導入されるようガスを拡散させるガスプール部10cを具備している。なお、ガスプール部10cとガス供給管10bとの間には、ガス供給管10bやディーゼルエンジン10aを変位させることなくDPF100を回転させるために、ロータリージョイント部10dが設けられている。
また、本実施形態の検出装置30は、CCDカメラ31とコンピュータ32とを主に具備している。ここで、コンピュータ32には、CCDカメラ31によって撮像された画像データを解析し、PMの励起赤熱発光の強度と励起赤熱発光が検出された位置との関係等を、モニタやプリンタ等の出力装置(図示しない)に出力する画像解析手段としてコンピュータ32を機能させるプログラムが記憶されている。一方、CCDカメラ31は、レーザ光Lの照射方向に直交すると共にDPF100の軸心線Zに直交する方向に、撮像方向を向けて設置される。
上記構成により、DPF100の下流側端面102から排出されたガスにレーザ光Lを照射し、CCDカメラ31で撮像し、得られた画像データを解析することにより、DPF100から漏出したPMの分布を、DPF100の断面における直径に沿って検出することができる。そして、DPF100を軸心線Z周りに所定角度回転させてから、再びレーザ光Lを照射してCCDカメラ31で撮像するという処理を繰り返すことにより、DPF100から漏出するPMの分布を二次元的に把握することができる。
炭化珪素質セラミックスのハニカム構造体のDPF(以下、「DPF−1」と称する)を、炭化珪素、窒化珪素、及び、カーボンの粉末を下記の割合で配合した混合粉末を原料として製造した。
SiC(平均粒子直径 12μm) 75重量%
Si(平均粒子直径 10μm) 20重量%
C(平均粒子直径 15μm) 5重量%
DPF−1の具体的な製造方法を以下に示す。まず、原料の混合粉末を有機バインダーとしてのメチルセルロース、及び水と混合・混練し、所定の粘度の混練物とした。この混練物を押出成形し、単一の軸方向に延びる複数のセルが列設されたハニカム構造の角柱状に成形し、乾燥した後、同組成の混練物でセルの端部を交互に封止した。この成形体を2300℃の非酸化性雰囲気下で焼成した。なお、セル密度は300セル/平方インチ、隔壁の厚さは0.25mmとした。焼成体の複数を接着剤を用いて接合し、乾燥後に、直径5.66インチ×長さ6.00インチの円筒状に研削加工した。更に、外周面に外周材を塗布し熱処理をして得られたハニカム構造体を、セラミック繊維からなる保護材で外周面を被覆した状態で、ケーシング内に圧入しDPFとした。
DPF−1について、未使用のとき、及び、過酷な条件下(以下、「条件1」と称する)で使用した後のそれぞれについて、上記の評価装置1内にDPF100として配置し、上記の評価方法による評価を行った。ここで、レーザ光照射装置20としては、Nd:YAGレーザの第2高調波(波長532nm)を光源とする装置を用いた。
また、条件1は以下のような使用条件である。ディーゼルエンジン(日産自動車製QD32型,排気量3163L)からの排ガスの流通経路にDPF−1を設置し、エンジン回転数1400rpm、トルク200Nmの運転条件でディーゼルエンジンを稼動させ、14g/LのPMをDPF−1に堆積させた。次に、エンジンの回転数を3000rpmに上げ、温度が680℃に達した状態で一気にアイドリング状態とすることにより、PMを燃焼させる再生処理を行った。再生処理時の内部温度は1300℃という高温に達した。
未使用のDPF−1、及び、条件1における使用後のDPF−1について、それぞれの下流側端面から排出されたガスにレーザ光Lを照射し、CCDカメラ31により0.5秒に1枚の割合で撮像した。撮像された各画像データから誘起赤熱発光の強度を取得した。撮像開始後の最初の50秒間における誘起赤熱発光強度の平均値を、誘起赤熱発光が検出された位置(DPFの中心から距離)との関係で示したグラフを図2に示す。
図2から明らかなように、未使用のDPF−1からの排気には、誘起赤熱発光はほとんど検出されなかった。この結果から、ディーゼルエンジンからの排気中のPMはDPF−1内で捕集され、ほとんど漏出していないと評価することができる。一方、条件1で使用した後のDPF−1からの排気については、誘起赤熱発光が検出され、過酷な条件下での使用によってPMを漏出させるサイズの欠陥が、DPFの内部に発生したと評価することができる。
また、誘起赤熱発光の強度は、PMの体積分率に比例する。すなわち、PMの粒子径が大きいほど、また、PMの粒子濃度が高いほど、誘起赤熱発光の強度が大きくなることから、誘起赤熱発光の強度の分布は、漏出したPMの体積分布と考えることができる。そして、DPF−1を軸心線Z周りに回転させて上記の処理を複数回行い、それぞれについて図2のような分布を得ることにより、それらを総合して二次元的な分布を得ることができる。
次に、条件1における使用後のDPF−1から排出されたガスについて、検出された誘起赤熱発光の時間経過に伴う変化と、誘起赤熱発光が検出された位置との関係を図3に示す。ここでは、0.5秒に1枚の割合で撮像した画像データからそれぞれ取得された誘起赤熱発光の強度から、撮像開始後の最初の50秒間(0秒〜50秒)の平均値、100秒〜150秒の平均値、200秒〜250秒の平均値を算出し、その結果を示している。
図3から、時間の経過に伴ってDPFから漏出するPMが減少していること、すなわち、DPFの内部で一旦は発生した欠陥が、その後に導入されてDPF内に捕集されたPMによって塞がれていくことが分かる。換言すれば、本実施形態の評価方法及び評価装置によれば、PMの捕集によって塞がれる程度の微細な欠陥であっても、その発生を検出できることが分かる。
次に、本実施形態の評価方法及び評価装置によれば、欠陥に起因しない微小なPMの捕集漏れを評価可能であることを示すために、見掛け気孔率の異なる二種類のDPF(以下、「DPF−F」及び「DPF−V」と称する)を用いて検討した結果を示す。DPF−F及びDPF−Vそれぞれの見掛け気孔率及び平均気孔径を、以下に示す。
DPF−F:見掛け気孔率42%,平均気孔径12μm
DPF−V:見掛け気孔率58%,平均気孔径20μm
ここで、平均気孔径は、水銀ポロシメータ(micromeritics社製,オートポアIV9500)を使用し、水銀圧入法により測定した気孔径分布から再頻度径(直径)として求めた。また、見掛け気孔率は、水銀圧入法による平均気孔径の測定に際し、試料に圧入された水銀体積と試料体積とから算出した。
ここで、DPF−Fは、セル密度が100セル/平方インチ、隔壁の厚さが0.4mmであることを除き、上述のDPF−1と同一の製造方法で製造した。
一方、DPF−Vは、炭化珪素、窒化珪素、及び、カーボンの粉末を下記の割合で配合した混合粉末を原料として製造した。
SiC(平均粒子直径 9.5μm) 50重量%
Si(平均粒子直径 10μm) 40重量%
C(平均粒子直径 15μm) 10重量%
DPF−Vの製造方法を以下に示す。まず、原料の混合粉末を有機バインダーとしてのメチルセルロース、水、及び造孔剤としてのデンプンと混合・混練し、所定の粘度の混練物とした。この混練物を押出成形によりハニカム構造の角柱状に成形し、乾燥した後、同組成の混練物でセルの端部を交互に封止した。この成形体を2300℃の非酸化性雰囲気下で焼成した。なお、セル密度は225セル/平方インチ、隔壁の厚さは0.4mmとした。焼成体の複数を接着剤を用いて接合し、乾燥後に、直径5.66インチ×長さ6.00インチの円筒状に研削加工した。更に、外周面に外周材を塗布し熱処理をして得られたハニカム構造体を、セラミック繊維からなる保護材で外周面を被覆した状態で、ケーシング内に圧入しDPFとした。
DPF−F及びDPF−Vから排出されたガスについて、検出された誘起赤熱発光の時間経過に伴う変化を図4に示す。ここでは、0.5秒に1枚の割合で撮像した画像データから、線状のレーザ光の全長に亘り誘起赤熱発光の強度を積算した結果を、時間の経過に伴いプロットしている。なお、図中、一点鎖線T1はエンジンの始動時であり、T2はエンジンの停止時である。
図4から明らかなように、DPF−FとDPF−Vとを比較すると、エンジンの始動後の約3分間という使用初期における誘起赤熱発光の強度は、DPF−Fの方が少ない。すなわち、使用初期におけるPMの捕集漏れは、見掛け気孔率が低く平均気孔径の小さいDPF−Fの方が、見掛け気孔率が高く平均気孔径の大きいDPF−Vより少ない。そして、DPF−Fではエンジン始動後約60秒間で、PMの捕集漏れは速やかに減少し、捕集漏れがほとんどない状態に至っている。このことから、DPF−Fでは、使用初期に僅かなPM捕集漏れがみられるものの、使用開始直後に捕集されたPMによって極めて早期にPMの層が形成され、このPM層によって後から流入するPMが有効に捕集されていると考えられる。
一方、見掛け気孔率が高く平均気孔径の大きいDPF−Vでは、使用初期におけるPMの捕集漏れが多い。そして、PMの捕集漏れは時間の経過に伴って徐々に減少しているが、エンジン始動後3分間経過しても、誘起赤熱発光の強度はエンジン始動時の値まで低下しておらず、僅かながらPMの捕集漏れが生じている。このことから、先に捕集されたPMによりPM層が形成され、後に流入するPMに対するフィルタリング作用を奏するまでの時間は、DPFの見掛け気孔率や平均気孔径によって異なることが分かる。すなわち、本実施形態の評価方法及び評価装置によれば、欠陥に起因しない微小なPMの捕集漏れ、特に、使用初期のPMの捕集漏れ及びPM層の形成速度について、高精度に評価することが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、DPFから排出されるガスにレーザ光を照射し、PMから放出される誘起赤熱発光をCCDカメラを介して検出するという簡易な評価方法及び評価装置により、DPFの欠陥の有無、欠陥の位置、及び欠陥には起因しない微小なPMの捕集漏れを、高精度に検出することができる。
また、レーザ光を線状のビーム光として照射しているため、レーザ光を高出力とする必要がなく、簡易なレーザ光照射装置で評価装置を構成させることができる。更に、レーザ光が線状であるため、レーザ光の照射方向及びDPFの軸心線に共に直交する方向から撮像することができる。これにより、CCDカメラのレンズがDPFの下流側端面、すなわち、PMを含むガスが排出される面に対面することなく、汚染されにくいという利点を有している。
加えて、本実施形態の評価装置は、DPFを回転させる手段を具備しているため、レーザ光が線状であっても、DPFを回転させることによって、漏出するPMの分布を二次元的に把握することが可能である。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の評価装置では、DPFに対して線状のレーザ光を照射する角度を変更するために、DPFを軸心線周りに回転させる構成を例示したが、これに限定されず、DPFは回転させることなく、レーザ光照射装置及びCCDカメラをDPFの軸心線周りに回転させる構成とすることもできる。
また、上記の評価方法及び評価装置では、レーザ光を線状に照射する場合を例示したが、レーザ光を面状に照射することもできる。例えば、シリンドリカルレンズを二つ用いることにより、或いは、シリンドリカルレンズと凸レンズとの組み合わせにより、線状のレーザ光を面状に拡げることができる。そして、レーザ光を面状とすることにより、DPFを回転させることなく、或いは、レーザ光照射装置及び検出装置を変位させることなく、DPFから漏出するPMの分布を二次元的に検出することができる。なお、この場合は、CCDカメラによる撮像方向をレーザ光が照射される面に対面する方向とすることが望ましい。そのため、PMを含むガスによるカメラレンズの汚染を防止するために、石英ガラスなど透明性の高い保護材料で、カメラレンズの前方を覆うことが望ましい。
更に、励起赤熱発光の波長を選択的に検出するフィルタを、CCDカメラのレンズに取り付ける簡易な手段により、励起赤熱発光の検出精度をより高めることができる。例えば、透過中心波長450nm、半値幅50nmのバンドパスフィルタを、CCDカメラのレンズに取り付けることができる。
1 評価装置(ディーゼルパティキュレートフィルタの評価装置)
10 ガス導入装置
10a ディーゼルエンジン(ガス導入装置)
10b ガス供給管(ガス導入装置)
10c ガスプール部(ガス導入装置)
10d ロータリージョイント部(ガス導入装置)
20 レーザ光照射装置
30 検出装置
31 CCDカメラ(検出装置)
32 コンピュータ(検出装置)
特開2009−115655号公報 特開2009−92480号公報

Claims (2)

  1. ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側端面に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入し、
    前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側端面と平行な線状または面状にレーザ光を照射することにより、前記下流側端面から排出されたガスに含有される前記炭素質粒子を、前記レーザ光の波長とは異なる波長に誘起赤熱発光させて検出する
    ことを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタの評価方法。
  2. ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側端面に粒子径10nm〜200nmの炭素質粒子を含有するガスを導入するガス導入装置と、
    前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側端面と平行な線状または面状にレーザ光を照射するレーザ光照射装置と、
    前記下流側端面から排出されたガスに含有される前記炭素質粒子が、前記レーザ光の照射を受けて放出する前記レーザ光の波長とは異なる波長の誘起赤熱発光を検出する検出装置と
    を具備することを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタの評価装置。
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