JP2011229542A - 遺伝子のサイレンシング - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、動物細胞または該細胞を含む動物を含む動物細胞群の、表現型における変化を誘導し、促進し、またはそうでなければ容易にする方法を提供する。
【解決手段】表現型発現の調節は、タンパク質産物への転写物の翻訳を減少させるような手段による、遺伝子型操作によって都合よく行われる。発現可能な遺伝子配列のサイレンシングを誘導し、促進し、またはそうでなければ容易にする能力により、例えば、医学、獣医学、および養畜産業において表現型を調節する手段が提供される。特定の動物細胞に通常存在する遺伝子(すなわち、固有の遺伝子)のみならず、組換え手段によってまたはウイルスのような病原性物質による感染によって導入された遺伝子を含む、発現可能な遺伝子配列が本発明によって考慮される。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は全般的に、動物の細胞または細胞を含む動物を含む動物細胞の群の表現型の変化を誘導し、促進し、またはそうでなければ容易にする方法に関する。表現型発現の調節は、転写物のタンパク質産物への翻訳を減少させるような手段による遺伝子型操作によって都合よく行われる。発現可能な遺伝子配列のサイレンシングの誘導能、促進能、またはそうでなければ容易にする能力は、例えば、医学、獣医学、および家畜産業において表現型を調節する手段を提供する。特定の動物細胞に通常存在する遺伝子(すなわち、固有の遺伝子)のみならず、組換え手段によってまたはウイルスのような病原体による感染を通して導入された遺伝子を含む、発現可能な遺伝子配列が本発明によって考慮される。
発明の背景
本明細書においていかなる先行技術に対する参考文献も、この先行技術がオーストラリアまたは他の国における共通の一般的知識の一部を形成するとは認めておらず、またはいかなる形の示唆もしておらず、そのように解釈してはならない。
本明細書において著者によって言及される刊行物の引用文献の詳細は、説明の最後にまとめて記載する。
ますます精巧となる組換えDNA技術は、医学および獣医学産業における研究開発を大きく促進する。組換えDNA技術の一つの重要な局面は、遺伝子材料の発現を調節することによって遺伝子型を変化させる手段の開発である。無数の望ましい表現型形質が、遺伝子発現の選択的な不活化後に得られる可能性がある。
遺伝子の不活化、すなわち、遺伝子発現の不活化は、シスまたはトランスで起こる可能性がある。シス不活化の場合、標的遺伝子のみが不活化されて、ゲノム全体に分散しているその他の類似の遺伝子は影響を受けない。対照的に、トランス不活化は、ゲノム全体に散在して特定の標的配列と相同性を共有する一つまたは複数の遺伝子が同様に不活化される場合に起こる。文献では、「遺伝子のサイレンシング」という用語がしばしば用いられる。しかし、これは遺伝子のサイレンシング事象がトランスまたはシスで作用することができるかを認識することなく一般的に行われる。これは、シス不活化事象がトランスの事象より有用でないために、遺伝子サイレンシング技術の商業的利用に関連している。例えば、シス不活化を促進する技術を用いて内因性遺伝子(例えば、植物遺伝子)または外因性遺伝子(例えば病原体からの遺伝子)をターゲティングしても、成功する見込みは低い。さらに、マーカー遺伝子を用いて遺伝子不活化をモニターする場合、しばしばシスとトランス不活化事象とを区別することができない。したがって、遺伝子不活化の正確な分子機構に関して文献に混乱が生じている(Garrickら、1998;Pal-Bahdraら、1997;BahramianおよびZarbl、1999)。
これまでの文献は、遺伝子の不活化または遺伝子のサイレンシングの機構に関して極めて混乱している。例えば、「アンチセンス」という用語は、その目的がその特定のRNAの発現を減少させることである、アンチセンスRNAを発現するように設計された遺伝子構築物が細胞に導入される状況を記述するために用いられる。この戦略は、実験的応用および実際の応用において広く用いられている。それによってアンチセンスRNAが機能する機構は、一般的に内因性のセンスRNAとアンチセンス配列との二本鎖形成を伴い、これが翻訳を阻害すると考えられている。しかし、この機構が高等真核細胞系の全てにおいて起こるという明白な証拠はない。
「遺伝子のサイレンシング」という用語は、真核細胞における導入遺伝子発現の不活化を記述するためにしばしば用いられる。それによってこれが起こる機構に関しては文献において多くの混乱があるが、一般的に転写不活化が原因で起こると考えられている。遺伝子そのものの発現が不活化されるため、すなわち、他の遺伝子のトランス不活化が存在しないため、この特定の機構が何らかの大きい実用的な有用性を有するか否かは不明である。
植物において、「共抑制」という用語は、導入遺伝子がゲノムに安定に導入されて、センスRNAとして発現される状況を正確に記述するために用いられる。意外にも、そのような導入遺伝子配列の発現によって、相同遺伝子の不活化、すなわち遺伝子発現の配列特異的トランス不活化が起こる(Napoliら、1990;van der Krolら、1990)。これが起こる細胞の分子表現型は、植物系において十分に記載されている:ある遺伝子は前駆体mRNAとして転写されるが、翻訳されない。共抑制を記述するために用いられるもう一つの用語は、転写後の遺伝子不活化である。mRNA配列の消滅は、配列特異的RNA分解系が活性化された結果として起こると考えられている(Lindboら、1993;Waterhouseら、1999)。「共抑制」という用語に関する動物の文献にはかなりの混乱が生じている(Bingham、1997)。
翻訳を伴わない遺伝子転写の特異的分子表現型として定義される共抑制は、哺乳類系では起こらないとこれまで考えられてきた。これは植物系および下等真核生物であるニューロスペラ(Neurospera)(Cogoniら、1996;CogoniおよびMacino、1997)に限って起こると記述されてきた。
本発明に至るまでの研究において、本発明者らは、動物細胞において遺伝子サイレンシングを誘導するために遺伝子操作技術を用いた。遺伝子操作技術は、転写後の不活化事象の誘導を伴う。本発明者らは、それによって動物細胞における共抑制手段を提供する。動物細胞における共抑制の誘導によって、動物における幅広い表現型を操作することができる。
本明細書全体を通じて、文脈が特に必要としていない限り、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変化形は、記載の要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群を含むが、他のいかなる要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群も排除しないことを意味すると理解される。
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、配列同定番号(配列番号:)によって示す。配列番号:は、配列同定子<400>1、<400>2等に数値で対応する。配列表は特許請求の範囲の後に提供する。
本発明の一つの局面は、遺伝子構築物を動物細胞に導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物がタンパク質産物への翻訳能の変化を示す、脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列を含む、遺伝子構築物を提供する。
本発明のもう一つの局面は、以下を含む遺伝子構築物を提供する:
(i)脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列;
(ii)(i)において定義される標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に相補的な単一のヌクレオチド配列;
(iii)(i)および(ii)のヌクレオチド配列を隔てるイントロンヌクレオチド配列;
この場合、動物細胞に構築物を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、転写能の変化を示す。
本発明のさらなる局面は以下を含む遺伝子構築物を提供する:
(i)脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列;
(ii)(i)において定義される標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に相補的なヌクレオチド配列;
(iii)(i)および(ii)のヌクレオチド配列を隔てるイントロンヌクレオチド配列;
この場合、動物細胞に構築物を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物は、タンパク質産物への翻訳能の変化を示し、内因性標的配列を含む遺伝子の転写レベルは実質的に減少せず、かつ/または内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子から転写される総RNAレベルは実質的に減少しない。
本発明のさらにもう一つの局面は、細胞が以下であることを特徴とする、遺伝的に改変された脊椎動物細胞を提供する:
(i)細胞またはその親細胞に導入される標的内因性ヌクレオチド配列のセンスコピーを含み;
(ii)同じ細胞の遺伝的に改変されていない型と比較して、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子によってコードされるタンパク質産物を実質的に含まず;かつ
(iii)同じ細胞の遺伝的に改変されていない型と比較して、定常状態の総RNAレベルに実質的な減少を含まない。
本発明のもう一つの局面は、表現型が内因性遺伝子の発現によって付与される、またはそうでなければ促進される、脊椎動物細胞の表現型を変化させる方法であって、遺伝子構築物が内因性遺伝子またはその一部を含むヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含み、転写物が、遺伝子構築物を導入していない細胞と比較してタンパク質産物への翻訳能の変化を示す、細胞または細胞の親に遺伝子構築物を導入する段階を含む方法を提供する。
本発明のさらにもう一つの局面は、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示す、マウス動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む、遺伝的に改変されたマウス動物を提供する。
本発明のなおさらなる局面は、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示す、脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を、動物細胞の作製に用いることに向けられる。
本発明のもう一つの局面は、ヌクレオチド配列を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示すように、動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む動物細胞に導入する段階を含む、脊椎動物における遺伝子治療の方法を意図する。
プラスミドpEGFP-N1の図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例1を参照のこと。 プラスミドpCMV.cassの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例11を参照のこと。 プラスミドpCMV.BGI2.cassの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例11を参照のこと。 プラスミドpCMV.GFP.BGI2.PFGの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例12を参照のこと。 プラスミドpCMV.EGFPの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例12を参照のこと。 プラスミドpCMVpur.BGI2.cassの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例12を参照のこと。 プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFGの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例12を参照のこと。 推定のトランスジェニック細胞株、この場合は構築物pCMV.EGFPによって形質転換したブタ腎細胞(PK)、のサザンブロット分析の例を示す。ゲノムDNAをPK-1細胞および形質転換株から単離して、制限エンドヌクレアーゼBamHIによって消化して、32P-dCTP標識EGFP DNA断片をプローブとして調べた。レーンAは分子量マーカーであり、各断片の大きさはキロベース(kb)で示す;レーンBは親細胞株PK-1である;レーンCはA4、トランスジェニックEGFP発現PK-1細胞株である;レーンDはC9、トランスジェニック非発現PK-1細胞株である。 GFPを検出するように設計された通常光と蛍光条件で見た、pCMV.EGFPによって形質転換したPK-1細胞株の顕微鏡写真を示す。A:通常光下でのPK EGFP2.11細胞;B:蛍光条件でのPK EGFP 2.11細胞;C:通常光下でのPK EGFP 2.18細胞;D:蛍光条件でのPK EGFP 2.18細胞。 プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEBの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例13を参照のこと。 プラスミドpCMV.BEV.EGFP.VEBの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例13を参照のこと。 BEVの同一の力価による感染前および感染後48時間でのCRIB-1細胞とCRIB-1形質転換株[CRIB-1 BGI2#19(tol)]の顕微鏡写真を示す。A:BEV感染前のCRIB-1細胞;B:BEV感染48時間後のCRIB-1細胞;C:BEV感染前のCRIB-1 BGI2#19(tol)細胞;D:BEV感染48時間後のCRIB-1 BGI2#19(tol)。さらなる詳細に関しては、実施例13を参照のこと。 プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYTの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例14を参照のこと。 プラスミドpCMV.TYRの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例14を参照のこと。 プラスミドpCMV.TYR.TYRの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例14を参照のこと。 B16細胞およびプラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYTによって形質転換したB16細胞における色素沈着レベルを示す。細胞は、左から右へ:B16、B16 2.1.6、B16 2.1.11、B16 3.1.4、B16 3.1.15、B16 4.12.2およびB16 4.12.3である。さらなる詳細に関しては、実施例14を参照のこと。 プラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAGの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例16を参照のこと。 プラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTMの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例17を参照のこと。 プラスミドHER2.BGI2.2REHの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例18を参照のこと。 MDA-MB-468細胞、およびpCMV.HER2.BGI2.2REHによって形質転換したMDA-MB-468細胞のHER-2に関して染色した免疫蛍光顕微鏡写真を示す。A:MDA-MB-468細胞;B:二次抗体のみによって染色したMDA-MB-468細胞;C:HER-2に関して染色したMDA-MB-468 1.4細胞;D:HER-2に関して染色したMDA-MB-468 1.10細胞。さらなる詳細に関しては、実施例18を参照のこと。 MDA-MB-468細胞におけるHER-2発現のFACS分析を示す。さらなる詳細に関しては、実施例18を参照のこと。 MDA-MB-468 1.4細胞におけるHER-2発現のFACS分析を示す。さらなる詳細に関しては、実施例18を参照のこと。 MDA-MB-468 1.10細胞におけるHER-2発現のFACS分析を示す。さらなる詳細に関しては、実施例18を参照のこと。 プラスミドpCMV.BRN2.BGI2.2NRBの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例19を参照のこと。 プラスミドpCMV.YB1.BGI2.1BYの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例20を参照のこと。 プラスミドpCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BYの図式表示である。さらなる詳細に関しては実施例20を参照のこと。 YB-1関連遺伝子構築物およびオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション後の、生存細胞数を示すヒストグラフである。生存細胞は、トリパンブルーによる染色後に血球計数盤によって同じ試料4通を計数した。棒グラフの高さは2つの独立したトランスフェクション実験の平均細胞数を示し、垂直のバーは標準偏差を示す。遺伝子構築物によるトランスフェクション72時間後の生存B10.2細胞数:(i)対照:pCMV.EGFP;(ii)pCMV.YB1.BGI2.1BY;(iii)pCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BY。用いた材料および方法は全て、実施例20の本文に記載している。 YB-1関連遺伝子構築物およびオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション後の、生存細胞数を示すヒストグラフである。生存細胞は、トリパンブルーによる染色後に血球計数盤によって同じ試料4通を計数した。棒グラフの高さは2つの独立したトランスフェクション実験の平均細胞数を示し、垂直のバーは標準偏差を示す。遺伝子構築物によるトランスフェクション72時間後の生存Pam 212細胞数:(i)対照:pCMV.EGFP;(ii)pCMV.YB1.BGI2.1BY;(iii)pCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BY。用いた材料および方法は全て実施例20の本文に記載している。 YB-1関連遺伝子構築物およびオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション後の、生存細胞数を示すヒストグラフである。生存細胞は、トリパンブルーによる染色後に血球計数盤によって同じ試料4通を計数した。棒グラフの高さは2つの独立したトランスフェクション実験の平均細胞数を示し、垂直のバーは標準偏差を示す。オリゴヌクレオチドによるトランスフェクション18時間後の生存B10.2細胞数:(i)対照:リポフェクチン(商標)のみ;(ii)対照:非特異的オリゴヌクレオチド;(iii)偽Yボックスオリゴヌクレオチド。用いた材料および方法は全て実施例20の本文に記載している。 YB-1関連遺伝子構築物およびオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション後の、生存細胞数を示すヒストグラフである。生存細胞は、トリパンブルーによる染色後に血球計数盤によって同じ試料4通を計数した。棒グラフの高さは2つの独立したトランスフェクション実験の平均細胞数を示し、垂直のバーは標準偏差を示す。オリゴヌクレオチドによるトランスフェクション18時間後の生存Pam 212細胞数:(i)対照:リポフェクチン(商標)のみ;(ii)対照:非特異的オリゴヌクレオチド;(iii)偽Yボックスオリゴヌクレオチド。用いた材料および方法は全て実施例20の本文に記載している。
本発明は一部、内因性ヌクレオチド配列を含む遺伝子の発現を下方制御するために、脊椎動物細胞における内因性ヌクレオチド配列に対するセンスヌクレオチド配列を用いることについて述べる。内因性ヌクレオチド配列は、遺伝子の全てまたは一部を含んでもよく、細胞にとって固有であっても固有でなくてもよい。非固有遺伝子には、例えば、ウイルス感染または組換えDNA技術によって動物細胞に導入された遺伝子が含まれる。固有の遺伝子には、動物細胞に本来存在すると考えられる遺伝子が含まれる。標的内因性遺伝子の下方制御には、その特定の細胞またはその細胞の親にセンスヌクレオチド配列を導入することが含まれる。
したがって、本発明の一つの局面は、動物細胞に遺伝子構築物を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示す、脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列を含む、遺伝子構築物を提供する。
「能力の変化」とは、好ましくは、遺伝的に改変されていない細胞と比較して約10%〜約100%、より好ましくは約20%〜約90%のような翻訳レベルの減少が含まれる。特に好ましい態様において、標的内因性配列に対応する遺伝子は、タンパク質産物に実質的に翻訳されない。都合のよいことに、翻訳能の変化は、遺伝的に改変されていない細胞における表現型が内因性遺伝子の発現によって促進される、表現型の任意の変化によって決定される。
好ましくは、脊椎動物細胞は哺乳類、鳥類、魚類、または爬虫類に由来する。好ましくは、脊椎動物細胞は哺乳類に由来する。哺乳類細胞は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ロバ、ウマ)、実験動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター)、伴侶動物(companion animal)(例えば、イヌ、ネコ)、または捕獲された野生動物に由来してもよい。特に好ましい哺乳類細胞はヒトおよびマウス動物に由来する。
脊椎動物細胞のゲノムにおけるヌクレオチド配列は、「ゲノム」ヌクレオチド配列と呼ばれ、好ましくは、動物細胞、動物細胞群、および/または細胞を含む動物に対して、特定の表現型を付与する産物をコードする遺伝子に対応する。上記のように、内因性遺伝子は動物細胞に固有であってもよく、またはウイルス、細胞内寄生虫のような外因性起源に由来してもよく、または組換え手段もしくは他の物理的手段によって導入してもよい。したがって、「ゲノム」または「ゲノミック」という用語には、染色体遺伝子材料のみならず、組み入れられていないウイルスに由来するような染色体外遺伝子材料も含まれる。「実質的に同一な」ヌクレオチド配列はまた、実質的な相同性および実質的な類似性を含む用語でも言及される。
本明細書において「遺伝子」という用語はその最も広い意味で解釈され、以下が含まれる:
(i)転写および/または翻訳調節配列および/またはコード領域および/または非翻訳配列(すなわち、イントロン、5'および3'非翻訳配列)からなる古典的なゲノム遺伝子;
(ii)それに結合した5'および3'非翻訳配列を選択的に含むコード領域(すなわち、エキソン)に対応する、mRNAもしくはcDNA;または
(iii)インビトロで産生され、コード領域および/またはそれに結合した5'または3'非翻訳配列の全てまたは一部を含む、増幅されたDNA断片または他の組換え核酸分子。
動物細胞ゲノムにおける遺伝子もまた、標的遺伝子または標的配列と呼ばれ、上記のように、ゲノムに本来存在してもよく、または組換え技術もしくは他の手段、例えばウイルス感染によって導入されてもよい。「遺伝子」という用語は、標的配列をいかなる特定の構造、大きさ、または組成物にも制限しないと解釈される。
標的配列または遺伝子は、発現されてmRNAおよび/またはタンパク質産物を形成することができる任意のヌクレオチド配列である。「発現される」という用語および「発現」のようなその関連用語には、転写および/または翻訳の一つまたは双方の段階が含まれる。
好ましい態様において、遺伝子構築物におけるヌクレオチド配列は、標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列をさらに含む。
したがって、本発明のもう一つの局面は以下を含む遺伝子構築物を提供する:
(i)脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列;
(ii)(i)において定義される標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に相補的な単一のヌクレオチド配列;
(iii)(i)および(ii)のヌクレオチド配列を隔てるイントロンヌクレオチド配列;
この場合、動物細胞に構築物を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、転写能の変化を示す。
好ましくは、同一の配列および相補的配列はイントロン配列によって隔てられる。適したイントロン配列の例には、ヒトβグロビンイントロン2のようなβグロビンをコードする遺伝子のイントロンの全てまたは一部が含まれるが、これらに限定されない。
タンパク質産物の喪失、表現型特性の変化(例えば、喪失)または遺伝子型特性の変化によって都合よく認められる。
標的遺伝子は、構造タンパク質または調節タンパク質をコードしてもよい。「調節タンパク質」には、転写因子、熱ショックタンパク質、またはDNA/RNA複製、転写および/または翻訳に関係するタンパク質が含まれる。標的遺伝子はまた、動物のゲノムに組み入れられるウイルスゲノムに存在してもよく、または染色体外エレメントとして存在する。例えば、標的遺伝子はHIVゲノム上の遺伝子であってもよい。この場合、遺伝子構築物は哺乳類細胞におけるHIV遺伝子の翻訳を不活化するために有用である。
標的遺伝子がウイルス遺伝子の場合、ウイルス遺伝子は、中でもDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼ遺伝子、またはウイルス外膜タンパク質のような、ウイルスの複製または再生にとって必須である機能をコードすることが特に好ましい。特に好ましい態様において、標的遺伝子は、ウシエンテロウイルス(BEV)、シンビスαウイルス、もしくは免疫不全ウイルス(例えばHIV-1)のような、しかしこれに限定されないレンチウイルスのような、一本鎖(+)RNAウイルスに由来するRNAポリメラーゼ遺伝子、またはとりわけウシヘルペスウイルスもしくはI型単純ヘルペスウイルス(HSVI)のような二本鎖DNAウイルスに由来するDNAポリメラーゼを含む。
特に好ましい態様において、翻訳後の不活化は、好ましくはトランス不活化を含む機構によって行われる。
本発明の遺伝子構築物は一般的に、合成遺伝子を含むがこれに限定されない。「合成遺伝子」は、動物細胞内で発現されると、動物細胞にとって内因性である相同遺伝子、またはそこに存在する組み入れられたウイルス遺伝子の発現を下方制御するヌクレオチド配列を含む。
本発明の合成遺伝子は、標準的な組換え技術によって自然界に存在する遺伝子に由来してもよく、その唯一の要件は合成遺伝子が、その発現が改変される標的遺伝子の少なくとも一部とヌクレオチド配列レベルで実質的に同一であるか、そうでなければ類似であることである。「実質的に同一」とは、合成遺伝子の構造遺伝子配列が標的遺伝子の30もしくはそれより多くの連続ヌクレオチドと少なくとも約80〜90%同一であること、より好ましくは標的遺伝子の30もしくはそれより多くの連続ヌクレオチドと少なくとも約90〜95%同一であること、またはさらにより好ましくは標的遺伝子の30もしくはそれより多くの連続ヌクレオチドと少なくとも約95〜99%同一であるか、または絶対的に同一であることを意味する。または、遺伝子は、低い、好ましくは中等度の、またはより好ましくは高いストリンジェンシー条件で標的遺伝子配列とハイブリダイズすることができる。
本明細書において低ストリンジェンシーという用語は、ハイブリダイゼーションに関して少なくとも約0%〜少なくとも約15%v/vホルムアミドと、少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩、洗浄条件に関して少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩を含み、包含する。一般的に、低ストリンジェンシーは、約25〜30℃から約42℃である。温度は変更してもよく、ホルムアミドを置換するため、および/または別のストリンジェンシー条件を得るためにはより高い温度を用いる。必要であれば、ハイブリダイゼーションに関して少なくとも約16%v/v〜少なくとも約30%v/vホルムアミドと少なくとも約0.5 M〜少なくとも約0.9 Mの塩、かつ洗浄条件に関して少なくとも約0.5 M〜少なくとも約0.9 Mの塩を含み、これらを包含する中等度のストリンジェンシー、またはハイブリダイゼーションに関して少なくとも約31%v/v〜少なくとも約50%v/vホルムアミドと少なくとも約0.01 M〜少なくとも約0.15 Mの塩、かつ洗浄条件に関して少なくとも約0.01 M〜少なくとも約0.15 Mの塩を含み、それらを包含する高ストリンジェンシーのような、別のストリンジェンシー条件を適用してもよい。一般的に、洗浄はTm=69.3+0.41(G+C)%(MarmurおよびDoty、1962)で行う。しかし、二本鎖DNAのTmは、ミスマッチ塩基対の数が1%増加する毎に1℃減少する(BonnerおよびLaskey、1974)。ホルムアミドはこれらのハイブリダイゼーション条件において最適である。したがって、特に好ましいストリンジェンシーレベルは以下のように定義される:低ストリンジェンシーは6×SSC緩衝液、0.1%w/v SDSで25〜42℃;中等度のストリンジェンシーは2×SSC緩衝液、0.1%w/v SDSで温度範囲20〜65℃;高ストリンジェンシーは0.1×SSC緩衝液、0.1%w/v SDSで温度少なくとも65℃である。
一般的に、本発明の合成遺伝子には、標的遺伝子発現の改変能に影響を及ぼすことなく、単一または複数のヌクレオチド置換、欠失、および/または付加を生じるように変異誘発を行ってもよい。本発明の合成遺伝子のヌクレオチド挿入誘導体には、単一または多数のヌクレオチドの配列内挿入と共に5'および3'末端融合体が含まれる。挿入ヌクレオチド配列変種は、一つまたは複数のヌクレオチドがヌクレオチド配列における既定の部位に導入される変種であるが、得られた産物の適したスクリーニングによるランダム挿入も同様に可能である。欠失変種は、配列から一つまたは複数のヌクレオチドが除去されることを特徴とする。置換ヌクレオチド変種は、配列における少なくとも一つのヌクレオチドが除去されて、異なるヌクレオチドがその場所に挿入される変種である。そのような置換は、置換が、コドンにより定義されるアミノ酸を変化させないという点において「サイレント」であってもよい。または、置換基は、一つのアミノ酸を別の類似に作用するアミノ酸、または同様の荷電、極性、もしくは疎水性を有するアミノ酸に変更するように設計される。
したがって、本発明は、本明細書に記載の合成遺伝子の相同体、類似体、および誘導体に及ぶ。
本発明の目的に関して、先に定義した遺伝子、またはヌクレオチド配列の「相同体」は、配列内における一つまたは複数のヌクレオチド置換、挿入、欠失、または再配列の存在にもかかわらず、本発明の核酸分子、またはその相補的ヌクレオチド配列と実質的に同じである、単離された核酸分子を意味すると解釈すべきである。
先に定義した遺伝子または本明細書において述べたヌクレオチド配列の「類似体」は、単離された核酸分子に通常存在しない、任意の非ヌクレオチド構成成分、例えばとりわけ糖質、放射性核種を含む放射性化学物質、DIG、アルカリホスファターゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼのような、しかしこれらに限定されないレポーター分子の存在にもかかわらず、本発明の核酸分子またはその相補的ヌクレオチド配列と実質的に同じである、単離された核酸分子を意味すると解釈される。
先に定義した遺伝子または本明細書に記載のヌクレオチド配列の「誘導体」は、配列またはその一部に対して有意な配列類似性を含む、任意の単離された核酸分子も意味すると解釈すべきである。
したがって、合成遺伝子の構造遺伝子成分は、動物細胞に存在する内因性標的遺伝子、外来標的遺伝子もしくはウイルス標的遺伝子、またはその相同体、類似体、誘導体、またはその相補的配列の少なくとも約30連続ヌクレオチドと、少なくとも約80%同一または相同である、ヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の遺伝子構築物は一般的に、プロモーター配列に機能的に結合した合成遺伝子の形でのようにヌクレオチド配列を含むがこれに限定されない。遺伝子構築物の他の成分には、調節領域、転写開始または改変部位、およびレポーター遺伝子をコードする一つまたは複数の遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子構築物に含めることができるさらなる成分は、ウイルスDNAポリメラーゼおよび/またはRNAポリメラーゼのようなウイルス成分に及ぶ。非ウイルス成分には、RNA依存的DNAポリメラーゼが含まれる。合成遺伝子の構造部分は、翻訳開始部位または5'および3'非翻訳領域を含んでも含まなくてもよく、対応する内因性哺乳類遺伝子によって産生される完全長のタンパク質をコードしてもコードしなくてもよい。
本発明のもう一つの局面は、遺伝子構築物が動物細胞に導入されると、遺伝子構築物上のヌクレオチド配列と相同性を有する内因性ヌクレオチド配列の発現が、転写後の修飾を含む過程によって阻害、減少またはそうでなければ下方制御される、最初に述べたヌクレオチド配列がプロモーターに機能的に結合し、遺伝子構築物が選択的に一つまたは複数の調節配列および/またはレポーター分子をコードする遺伝子をさらに含む、哺乳類細胞のゲノムにおけるヌクレオチド配列と実質的に相同なヌクレオチド配列を含む、遺伝子構築物を提供する。
本明細書において「プロモーター」という用語はその最も広い意味で使用され、CCAATボックス配列および付加的な調節エレメント(すなわち上流の活性化配列、エンハンサー、およびサイレンサー)を含む、または含まない、真核細胞における正確な転写開始にとって必要なTATAボックスを含む、古典的なゲノム遺伝子の転写調節配列を含む。
プロモーターは通常、その発現をそれが調節する本発明の合成遺伝子の構造遺伝子成分の上流または5'に存在するが、必ずしもその必要はない。さらに、プロモーターを含む調節エレメントは通常、構造遺伝子の転写開始部位の2kb以内に存在する。
本発明の意味において、「プロモーター」という用語はまた、哺乳類細胞における単離された核酸分子の発現を付与する、活性化する、または増強する、合成分子もしくは融合分子または誘導体を記述するために用いられる。また、植物、動物、昆虫、真菌、酵母、または細菌細胞において機能するために、別のまたは同じプロモーターを必要としてもよい。好ましいプロモーターは、構造遺伝子の発現をさらに増強するために一つまたは複数の特異的調節エレメントのさらなるコピーを含んでもよく、これが今度は遺伝子の空間的発現および/または時間的発現を調節および/または変化させる。例えば、構造遺伝子の発現に対して誘導性を付与する調節エレメントを、核酸分子の発現を駆動する異種プロモーター配列に隣接して配置してもよい。
プロモーター配列の調節制御下に構造遺伝子を置くことは、発現がプロモーター配列によって制御されるように分子を配置することを意味する。プロモーターは、それらが制御する遺伝子の5'(上流)に置く。異種プロモーター/構造遺伝子の組み合わせの構築において、プロモーターと、天然の状況でそれが制御する遺伝子、すなわちプロモーターが由来する遺伝子との間の距離と同じ、遺伝子転写開始部位からの距離に、プロモーターを配置することが一般的に好ましい。当技術分野で既知であるように、この距離に何らかの変動が起こってもプロモーター機能を失うことなく適応させることができる。同様に、その制御下に置かれる異種遺伝子に関して調節配列エレメントの好ましい配置は、その天然の状況、すなわちそれが由来する遺伝子でのエレメントの配置によって定義される。この場合も、当技術分野で既知であるように、この距離に何らかの変動が起こりうる。
プロモーターは、発現が起こる細胞、組織、もしくは臓器に関して、発現が起こる発達段階に関して、またはとりわけ生理的ストレス、調節タンパク質、ホルモン、病原体もしくは金属イオンのような刺激に反応して、構成的または異なるように構造遺伝子成分の発現を調節してもよい。
好ましくは、プロモーターは、少なくとも標的遺伝子がそこにおいて発現される期間にわたって、より好ましくは細胞における標的遺伝子の検出可能な発現の開始直前に、哺乳類細胞において核酸分子の発現を調節することができる。プロモーターは、構成型、誘導型であってもよく、または発生上調節されてもよい。
本発明の意味において、「機能的に結合している」、または「機能的に制御下にある」という用語、または類似の用語は、構造遺伝子の発現がそれが細胞において空間的に結合しているプロモーター配列の制御下にあることを示すと解釈すべきである。
本発明の遺伝子構築物はまた、それぞれが選択的に一つまたは複数のプロモーターに機能的に結合して、それぞれが動物細胞内で標的遺伝子に向けられる複数のヌクレオチド配列を含んでもよい。
複数のヌクレオチド配列は、唯一の要件が、そこに含まれるヌクレオチド配列のそれぞれが標的遺伝子配列またはその相補的配列と実質的に同一であるという点である、二つもしくはそれ以上の同一のヌクレオチド配列の縦列反復配列もしくはコンカテマー、または同一でないヌクレオチド配列の縦列アレイもしくはコンカテマーを含んでもよい。この点において、当業者は、それがゲノム標的遺伝子に由来するエキソン配列の縦列アレイまたはコンカテマーを含む限り、cDNA分子を本発明の文脈における複数の構造遺伝子配列として見なしてもよいことに気づくと考えられる。したがって、cDNA分子、およびエキソン配列の任意の縦列アレイ、縦列反復配列、もしくはコンカテマー、および/またはイントロン配列および/または5'非翻訳および/もしくは3'非翻訳配列は、本発明のこの態様に明らかに含まれる。
好ましくは多数のヌクレオチド配列は、個々の構造遺伝子配列を少なくとも2〜8個、より好ましくは個々の構造遺伝子配列を少なくとも約2〜6個、およびより好ましくは個々の構造遺伝子配列を少なくとも約2〜4個を含む。
本発明の合成遺伝子に含まれてもよい構造遺伝子配列の最適な数は、構造遺伝子配列のそれぞれの長さ、その方向および互いの同一性の程度に応じてかなり変動する。例えば、当業者は、インビボでの回文ヌクレオチド配列の固有の不安定性、および逆方向反復ヌクレオチド配列を含む長い合成遺伝子の構築に関連した困難さに気づくが、その理由は、そのような配列がインビボでヘアピンループを形成して組換えを行う傾向があるためである。そのような困難さにもかかわらず、本発明の合成遺伝子に含まれる構造遺伝子配列の最適な数は、いかなる過度の実験も行わずに、当業者が経験的に決定してもよく、またはリコンビナーゼ欠損細胞株を用いる本発明の合成遺伝子の構築のような標準的な技法に従って、組換え事象を消失または最小限にするレベルまで反復配列の数を減少させ、かつ複数の構造遺伝子配列の全長を許容される限度、好ましくはわずか5〜10 kb以下、より好ましくはわずか2〜5kb以下、およびさらにより好ましくは長さがわずか0.5〜2.0 kb以下に維持することによって決定してもよい。
一つの態様において、センスヌクレオチド配列を含む合成遺伝子を含む遺伝子構築物の作用は、タンパク質産物への転写物の翻訳を減少させるが、標的遺伝子の転写レベルを実質的に減少させない。またはもしくはさらに、合成遺伝子を含む遺伝子構築物によって、総RNAの定常状態レベルは実質的に減少しない。
したがって、本発明の特に好ましい態様は、以下を含む遺伝子構築物を提供する:
(i)脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列;
(ii)(i)において定義される標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に相補的なヌクレオチド配列;
(iii)(i)および(ii)のヌクレオチド配列を隔てるイントロンヌクレオチド配列;
この場合、動物細胞に構築物を導入すると、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物は、タンパク質産物への翻訳能の変化を示し、内因性標的配列を含む遺伝子の転写レベルは実質的に減少せず、かつ/または内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子から転写される総RNAレベルは、実質的に減少しない。
好ましくは動物細胞は、ヒトまたはマウス動物細胞のような哺乳類細胞である。
本発明はさらに、細胞が以下であることを特徴とする、遺伝的に改変された脊椎動物細胞に及ぶ:
(i)細胞またはその親細胞に導入される標的内因性ヌクレオチド配列のセンスコピーを含み;かつ
(ii)同じ細胞の遺伝的に改変されていない型と比較して、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子によってコードされるタンパク質産物を実質的に含まない;
この態様に従う脊椎動物細胞は、好ましくは哺乳類、鳥類、魚類、または爬虫類に由来する。より好ましくは、動物細胞はヒト、霊長類、家畜動物、または実験動物のような哺乳類起源に由来する。特に好ましい動物細胞はヒトおよびマウス種に由来する。
標的内因性ヌクレオチド配列のセンスコピーを含むヌクレオチド配列は、標的配列と相補的なヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。好ましくは、同一の配列および相補的配列は、例えばβグロビンをコードする遺伝子(例えば、ヒトβグロビンイントロン2)に由来するような、イントロン配列によって隔てられている。
さらに、一つの態様において、標的配列のセンスコピーを含むヌクレオチド配列の導入の結果として、定常状態の総RNAレベルは実質的な減少しない。
したがって、本発明は、細胞が以下であることを特徴とする、遺伝的に改変された脊椎動物細胞を提供する:
(i)細胞またはその親細胞に導入される標的内因性ヌクレオチド配列のセンスコピーを含み;
(ii)同じ細胞の遺伝的に改変されていない型と比較して、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子によってコードされるタンパク質産物を実質的に含まず;かつ
(iii)同じ細胞の遺伝的に改変されていない型と比較して、定常状態の総RNAレベルに実質的な減少を含まない。
本発明はさらに、転写後に調節された遺伝子配列を特徴とする、改変された表現型を示す遺伝的に改変された動物細胞および細胞株を含む、トランスジェニックに及ぶ。
したがって、本発明のもう一つの局面は、細胞またはその動物宿主が遺伝子操作前の細胞または動物と比較して少なくとも一つの表現型の変化を示し、遺伝子操作が、動物細胞のゲノム内に標的ヌクレオチド配列と実質的な相同性を有するヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を動物細胞に導入する段階を含み、標的ヌクレオチド配列の発現が転写後レベルで調節される、単離型もしくはインビトロ培養条件で維持された動物細胞、またはその細胞を含む動物に向けられる。
好ましくは、遺伝子構築物上のヌクレオチド配列はプロモーターに機能的に結合している。
選択的に、遺伝子構築物は、それぞれが一つまたは複数のプロモーターに機能的に結合し、それぞれが内因性の哺乳類ヌクレオチド配列に対して相同性を有する、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明は、実質的に転写されるが翻訳されず、その結果遺伝子操作前の動物または動物の細胞と比較して表現型の修飾が起こる、一つまたは複数の細胞を含む、哺乳類のような遺伝的に改変された動物に及ぶ。
本発明のもう一つの局面は、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への改変された翻訳能を示す、マウス動物の細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列を含む、遺伝的に改変されたマウス動物を提供する。
好ましいマウス動物はマウスであり、これらは治療プロトコールを調べるため、および治療物質をスクリーニングするために、とりわけ実験動物モデルとして有用である。
好ましい態様において、遺伝的に改変されたマウス動物は、標的内因性配列と相補的な配列をさらに含む。一般的に同一の配列および相補的配列は、先に述べたようにイントロン配列によって隔てられていてもよい。
本発明はさらに、内因性遺伝子の発現によって表現型が付与される、またはそうでなければ促進される、脊椎動物細胞の表現型を変化させる方法であって、遺伝子構築物が内因性遺伝子またはその一部を含むヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含み、転写物が、遺伝子構築物が導入されていない細胞と比較してタンパク質産物への翻訳能の変化を示す、細胞または細胞の親に遺伝子構築物を導入する段階を含む方法を意図する。
本明細書において相同性という用語には、実質的な相同性、特に実質的なヌクレオチド類似性、およびより好ましくはヌクレオチド同一性が含まれる。
本明細書において用いられる「類似性」という用語には、ヌクレオチドレベルで比較した配列間の正確な同一性が含まれる。ヌクレオチドレベルで同一性が存在しない場合、「類似性」には、異なるアミノ酸が生じる配列間の差が含まれるが、それにもかかわらず構造、機能、生化学、および/またはコンフォメーションレベルで互いに関連している差が含まれる。特に好ましい態様において、ヌクレオチド配列比較は類似性よりむしろ同一性レベルで行う。
二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド間の配列関係を説明するために用いられる用語には、「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列類似性」、「配列同一性」、「配列類似性の割合」、「配列同一性の割合」、「実質的に類似」および「実質的に同一」が含まれる。「参照配列」は、ヌクレオチドを含む長さで少なくとも12モノマー単位、しかししばしば15〜18、およびしばしば30モノマー単位のような、少なくとも25モノマー単位またはそれを上回る。二つのポリヌクレオチドは、それぞれ(1)二つのポリヌクレオチドの間で類似である配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部のみ)、および(2)二つのポリヌクレオチドの間で異なる配列を含んでもよいため、二つ(またはそれ以上)のポリヌクレオチドの間の配列比較は、一般的に、配列類似性の局所領域を同定および比較するために「比較ウィンドウ」上で二つのポリヌクレオチドの配列を比較することによって行う。「比較ウィンドウ」は、参照配列と比較して一般的に12連続残基の概念的セグメントを意味する。比較ウィンドウは、二つの配列の最適なアラインメントを得るために参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して約20%またはそれ未満の付加、または欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。比較ウィンドウを配置するための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズムのコンピューターによる実行によって(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA 、ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェアパッケージ7.0版、ジェネティクスコンピューターグループ、575サイエンスドライブ、マディソン、ウィスコンシン州、アメリカ)、または選択した様々な方法によって作製された最善のアラインメント(すなわち、比較ウインドウに対する最高の相同性の割合%が得られる)の検分によって行ってもよい。例えば、アルトシュル(Altschul)ら(1997)によって開示されたBLASTプログラムファミリーを参照してもよい。配列分析の詳細な考察は、アウスユベール(Ausubel)ら(1998)の第19.3章に見出される。
本明細書において用いられるように、「配列類似性」および「配列同一性」という用語は、比較ウィンドウ上で配列がヌクレオチド毎に同一、または機能的もしくは構造的に類似である程度を意味する。このように、例えば「配列同一性の割合」は、比較ウィンドウに対して2つの最適に配置された配列を比較する段階、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)が双方の配列において生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得る段階、比較ウィンドウにおける位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)でマッチした位置の数を除する段階と、および結果に100を乗じて配列同一性の割合を得る段階によって、計算する。本発明の目的に関して、「配列同一性」は、ソフトウェアに添付の参照マニュアルにおいて用いられる標準的なデフォルト値を用いて、DNASISコンピュータープログラム(ウィンドウズ(登録商標)用バージョン2.5;日立ソフトウェアエンジニアリング、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ)によって計算した「マッチした割合%」を意味すると理解される。類似のコメントは配列類似性に関して当てはまる。
本発明はさらに、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示す、脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を動物細胞の作製に用いることに向けられる。
好ましくは、脊椎動物細胞は通りであり、最も好ましくはヒトまたはマウス種である。
構築物はさらに、標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を含んでもよく、標的内因性ヌクレオチド配列に対して同一のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列との間に、ようなイントロン配列が存在してもよい。
一つの態様において、内因性標的配列を含む遺伝子の転写レベルは減少せず、かつ/または定常状態の総RNAレベルは実質的に減少しない。
本発明のなおさらなる局面は、ヌクレオチド配列の導入時に、内因性標的ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の変化を示すように、動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列を含む動物細胞に導入する段階を含む、脊椎動物における遺伝子治療の方法を意図する。
本明細書において、「遺伝子治療」という用語には遺伝子治療が含まれる。本発明によって意図される遺伝子治療にはさらに、それによって細胞が除去され、遺伝的に改変され、かつ個体中に置換される、体細胞遺伝子治療が含まれる。
好ましくは動物はヒトである。
本発明を、以下の非制限的な実施例によってさらに説明する。
実施例1
組織培養操作
GFP発現細胞株を作製するために、PK-1(ブタ腎上皮細胞由来)細胞を、GFPを発現するように設計された構築物、すなわちpEGFP-N1(クロンテック(Clontech)カタログ番号:6085-1;図1参照)によって形質転換した。
PK-1細胞は、10%v/vウシ胎児血清(FBS;トレース・バイオサイエンシズ(TRACE Biosciences)またはライフテクノロジーズ(Life Technologies))を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;ライフテクノロジーズ)を用いて接着単層として増殖させた。細胞は5%v/v CO2を含む大気中で37℃のインキュベータ内で常に増殖させた。細胞は実験の必要性に応じて様々な組織培養容器中で増殖させた。用いた容器は:96ウェル組織培養プレート(それぞれが直径約0.7 cmの96個に分かれた組織培養ウェルを含む容器;コスター(Costar));48ウェル組織培養プレート(それぞれが直径約1.2 cmの48個に分かれた組織培養ウェルを含む容器;コスター);6ウェル組織培養プレート(それぞれが直径約3.8 cmの6個に分かれたウェルを含む容器;ヌンク(Nunc));またはより大きいT25およびT75培養フラスコ(ヌンク)。pEGFP-N1によって形質転換した細胞に関しては、10%(v/v)FBSを含むDMEM培地に、ジェネテシン(ライフテクノロジーズ)をさらに加えた;形質転換細胞を初回選択する場合、1.5 mg/Lジェネテシンを用いた。形質転換細胞を日常的に維持する場合には、1.0 mg/Lジェネテシンを用いた。
全ての場合において、培地を48〜72時間間隔で交換した。これは、消費された培地を除去して、組織培養容器中の細胞単層をリン酸緩衝生理食塩液(1×PBS;シグマ(Sigma))を加えることによって洗浄し、培養容器を軽く揺り動かして、1×PBSを除去し、新しい培地を加えることによって行う。これらの操作において用いられる1×PBSの容量は一般的に、96ウェル、48ウェル、6ウェル、T25およびT75容器に関してそれぞれ、100μl、400μl、1ml、2mlおよび5mlであった。組織培養培地の容量は一般的に、96ウェル組織培養プレートに関して200μl、48ウェル組織培養プレートに関して0.4 ml、6ウェル組織培養プレートに関して4ml、T25に関して11 ml、およびT75組織培養容器に関して40 mlであった。
これらの実験の間、しばしば培養容器を変更する必要があった。これを行うため、単層を1×PBSによって2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(ライフテクノロジーズ)によって37℃で5分間処理した。これらの条件において、細胞は接着性を失い、粉砕することによって再懸濁し、10%v/v FBSを含むDMEMに移すことができ、ここでトリプシン-EDTAの反応は停止する。洗浄のために用いた1×PBSおよびそのような操作のために用いたトリプシン-EDTAの容量は、一般的に96ウェル、48ウェル、6ウェル、T25およびT75容器に関してそれぞれ、100μl、400μl、1ml、2mlおよび5mlであった。
さらに時々、特に形質転換細胞株を生物学的にクローニングする場合、再懸濁した細胞の数を計数する必要がある。これを行うためには、細胞を適当量の10%v/v FBSを含むDMEM、一般的に100 μlに再懸濁し、血球計数盤(ホクスレー(Hawksley))に移して、細胞数を顕微鏡下で計数した。
細胞凍結に関するプロトコール
実験の過程において、PK-1細胞株を後に使用するためにしばしば保存する必要があった。これを行うため、単層を1×PBSによって2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(ライフテクノロジーズ)によって37℃で5分間処理した。粉砕することによってPK-1細胞を再懸濁し、DMEM、20%v/v FBSおよび10%v/vジメチルスルホキシド(シグマ)からなる保存培地に移した。PK-1細胞の濃度は血球計数盤による計数によって決定して、細胞105個/mlとなるようにさらに希釈した。PK-1細胞の少量を1.5 ml凍結用チューブ(ヌンク)に移した。PK-1細胞のチューブを、プロパン-2-オール(BDH)を含むクリオ1℃凍結容器(ナルゲン(Nalgene))に入れて、-70℃まで徐々に冷却した。次に、PK-1細胞のチューブを-70℃で保存した。保存したPK-1細胞の蘇生は、細胞を氷中で0℃に加温することによって行った。次に、細胞をDMEMおよび20%v/v FBSを含むT25フラスコに移し、5%v/v CO2の大気中で37℃でインキュベートした。
培地成分のリスト
(a)ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)
DMEMの2つの市販の調合物を用い、いずれもライフテクノロジーズから購入した。最初は液体調合物(カタログ番号11995)であり、次は粉末調合物で、製造元の説明書に従って調製した(カタログ番号23700)。いずれの調合物もこれらの実験において用い、軽微な改変があるものの同等であると見なされた。液体調合物(11995)は、以下の通りであった:
D-グルコース 4,500 mg/L
フェノールレッド 15 mg/L
ピルビン酸ナトリウム 110 mg/L

L-アルギニン一塩酸 84 mg/L
L-システイン二塩酸 63 mg/L
L-グルタミン 584 mg/L
グリシン 30 mg/L
L-ヒスチジン一塩酸水和物 42 mg/L
L-イソロイシン 105 mg/L
L-ロイシン 105 mg/L
L-リジン一塩酸 146 mg/L
L-メチオニン 30 mg/L
L-フェニルアラニン 66 mg/L
L-セリン 42 mg/L
L-トレオニン 95 mg/L
L-トリプトファン 16 mg/L
L-チロシン二ナトリウム塩二水和物 104 mg/L
L-バリン 94 mg/L
CaCl2 200 mg/L
Fe(NO3)3九水和物 0.1 mg/L
KCl 400 mg/L
MgSO4 97.67 mg/L
NaCl 6,400 mg/L
NaHCO3 3,700 mg/L
NaH2PO4一水和物 125 mg/L

D-パントテン酸カルシウム 4mg/L
塩酸コリン 4mg/L
葉酸 4mg/L
i-イノシトール 7.2 mg/L
ナイアシンアミド 4mg/L
リボフラビン 0.4 mg/L
塩酸チアミン 4mg/L
塩酸ピリドキシン 4mg/L
溶解すると、粉末調合物(23700)は、以下を除いては、上記と同一であった:HEPES 4,750 mgを含み;ピルビン酸ナトリウムとNaHCO3とを含まず、NaClを6,400 mg/Lではなく4,750 mg/Lを用いた。
(b)OPTI-MEM I(登録商標)血清減少培地
これは、血清不含培地中で細胞が増殖できるように設計された市販のMEMの改変(ライフテクノロジーズ、カタログ番号31985)である。そのような血清不含培地は、より高いトランスフェクション頻度が得られることから、ジーンポーター2(GenePORTER 2)(商標)またはリポフェクトアミン(LIPOFECTAMINE)(商標)のような陽イオン脂質トランスフェクタントを用いる実験において、一般的に用いられる。
(c)リン酸緩衝生理食塩液(PBS)
リン酸緩衝生理食塩液は、製造元の説明書に従って市販の粉末混合物(シグマ、カタログ番号P-3813)から調製した。1×PBS溶液(pH 7.4)は以下からなる:
Na2HPO4 10 mM
KH2PO4 1.8 mM
NaCl 138 mM
KCl 2.7 mM
(d)トリプシン-EDTA
トリプシン-EDTAは、継代を行うために接着細胞を剥がすために一般的に用いられる。これらの実験において、市販の調製物(ライフテクノロジーズ、カタログ番号15400)を用いた。これは以下からなる10×保存液である:
トリプシン 5g/L
EDTA4Na 2g/L
NaCl 8.5 g/L
作業用保存液を調製するために、溶液を1×PBSの9容量を用いて希釈した。
実施例2
安定なEGFP形質転換細胞株の作製
形質転換は6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、10%v/v FBSを含むDMEM2ml中にPK-1細胞1×103個を播種して、単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に24〜48時間インキュベートした。
プレート1枚(6ウェル)を形質転換するために、プラスミドpEGFP-N1 12μg、およびジーンポーター2(商標)(ジーンセラピーシステムズ(Gene Therapy Systems))108μlをOpti-MEM I(登録商標)培地に希釈して、最終容量6mlを得て、室温で45分間インキュベートした。
組織増殖培地を各ウェルから除去して、上記のように各ウェルを1×PBS1mlによって洗浄した。単層に各ウェルあたりプラスミドDNA/ジーンポーター結合物1mlを重層して、37℃、5%v/v CO2で4.5時間インキュベートした。
20%v/v FBSを添加したOpti-MEM I(登録商標)1mlを各ウェルに加えて、容器をさらに24時間インキュベートして、その後細胞を1×PBSによって洗浄し、培地を10%v/v FBSを含む新しいDMEM2mlに交換した。この段階で、蛍光顕微鏡を用いて一過性のGFP発現に関して単層を調べた。
トランスフェクションの48時間後、培地を除去して、細胞を上記のようにPBSによって洗浄し、1.5 mg/Lジェネテシンを添加した10%v/v FBSを含む、新しいDMEM4mlを各ウェルに加えた;ジェネテシンは、安定な形質転換細胞株を選択するために培地に含めた。DMEM、10%v/v FBS、1.5 mg/Lジェネテシン培地は48〜72時間毎に交換した。選択の21日後、形質転換されたと思われるコロニーが現れた。この段階で、細胞を増殖、維持、および生物学的クローニングのためにより大きい培養容器に移した。
形質転換コロニーを採取するために、細胞を実施例1において上記のようにトリプシン-EDTAによって処理して、DMEM、10%v/v FBS、1.5 mg/Lジェネテシン培地11 mlに移して、T25培養容器において37℃、5%v/v CO2でインキュベートした。これらの単層が約90%の集密になれば、トリプシン-EDTAを用いて細胞を再懸濁し、DMEM、10%v/v FBS、1.5 mg/Lジェネテシンの新鮮な培地40 mlに移した。容器を37℃、5%v/v CO2でインキュベートした。単層が集密になれば、上記のように細胞をトリプシン-EDTAによって処理して、細胞の10分の1をDMEM、10%v/v FBS、1.5 mg/Lジェネテシン培地40 mlに希釈することによって、48〜72時間毎に継代した。この時点で、いくつかの細胞を長期維持のために凍結した。これらの培養物は形質転換細胞株の混合物を含んだ。
実施例3
形質転換細胞株の希釈クローニング
形質転換細胞は、希釈法を用いて生物学的にクローニングし、それによって単一の細胞からコロニーを確立した。単一のコロニーの増殖を支持するために、「条件培地」を用いた。条件培地は、T75容器中で増殖させたPK-1細胞の20〜30%の集密単層に、10%v/v FBSを含むDMEM 40 mlを重層することによって調製した。容器を37℃、5%v/v CO2で24時間インキュベートした後、増殖培地を50 ml滅菌試験管(ファルコン(Falcon))に移して、500×gで遠心分離した。増殖培地を0.45 μmフィルターに通過させて、新しい滅菌管にデカントし、これを「条件培地」として用いた。
形質転換PK-1細胞株の混合コロニーを20〜30%の集密度(confluency)で含む、T75容器を1×PBSによって2回洗浄し、上記のようにトリプシン処理によって細胞を分離させ、DMEM、10%v/v FBS培地10 mlに希釈した。細胞濃度は、血球計数盤スライドガラスを用いて顕微鏡下で決定し、細胞を条件培地によって10個/mlまで希釈した。96ウェル組織培養容器の一つのウェルに条件培地によって希釈した細胞200 μlを播種して、細胞を37℃、5%v/v CO2で48時間インキュベートした。ウェルを顕微鏡下で観察して、単一の細胞から生じた単一のコロニーを含むウェルをクローン細胞株であると定義した。最初の条件培地を除去して、新鮮な条件培地200 μlと交換して、細胞を37℃、5%v/v CO2で48時間インキュベートした。この後、条件培地をDMEM、10%v/v FBS、および1.5 mg/Lジェネテシンを含む培地200μlに交換して、細胞を再度37℃、5%v/v CO2でインキュベートした。コロニーを増殖させて、培地を48時間毎に交換した。
個々のウェルにおける単層が約90%の集密となった場合に、細胞を1×PBS 100 μlによって2回洗浄して、上記のように1×PBS/1×トリプシン-EDTA 20 μlによる処理によって剥がした。一つのウェル中の細胞を、DMEM 、10%v/v FBS 、および1.5 μg/mlジェネテシンを含む培地500μlを含む、48ウェル培養容器のウェル一つずつに移した。培地は、先に記述したように48〜72時間毎に交換した。
48ウェル培養容器の個々のウェルにおける単層が約90%の集密となった場合に、細胞を、上記のようにトリプシン-EDTA処理を用いて6ウェル組織培養容器に移した。分離した細胞を、DMEM 、10%v/v FBS 、および1.5 μg/mlジェネテシンを含む培地4mlに移して、6ウェル培養容器のウェル一つずつに移した。細胞を37℃、5%v/v CO2で増殖させ、コロニーを増殖させた。培地は48時間毎に交換した。
6ウェル培養容器中での単層が約90%の集密になった場合に、上記のようにトリプシン-EDTAを用いて細胞をT25容器に移した。これらの単層が約90%の集密になった場合に、先に記述したように細胞をT75培養容器に移した。個々の細胞株がT75容器において確立されれば、それらは10倍希釈を用いて48〜72時間毎に継代することによって維持するか、または凍結保存液として維持した。
実施例4
転写ランオンアッセイのための核の調製
クローニングした形質転換細胞株における個々の遺伝子の転写状態を分析するために、核ランオンアッセイを行った。形質転換したPK-1細胞4×106個をDMEM 、10%v/v FBS を含む培地40ml中でT75培養容器に播種することによって細胞の単層を確立して、単層が約90%の集密になるまで細胞をインキュベートした。単層を1×PBS5mlによって2回洗浄し、2mlのトリプシン-EDTAによる処理を行って、10%v/v FBSを含むDMEM2mlに移した。
これらの細胞を10 mlのキャップ付きチューブに移して、氷冷1×PBS3mlを加えて、チューブを反転させて内容物を混合した。形質転換したPK-1細胞を500×g、4℃で10分間遠心分離することによって回収し、上清を捨て、細胞を軽く攪拌することによって氷冷1×PBS3mlに再懸濁した。血球計数盤を用いて総細胞数を決定し;最大で細胞2×108個をその後の分析に用いた。
形質転換したPK-1細胞を500×g、4℃で10分間の遠心分離によって回収し、ショ糖緩衝液(0.3 Mショ糖、3mM塩化カルシウム、2mM酢酸マグネシウム、0.1 mM EDTA、10 mMトリス塩酸(pH 8.0)、1mMジチオスレイトール(DTT)、0.5%v/vアイゲパル(Igepal)CA-630(シグマ))4ml中に再懸濁した。細胞を4℃で5分間インキュベートして、それらを溶解させた後、少量を位相差顕微鏡によって調べた。これらの条件下で、溶解を可視化することができる。ホモジネートを氷冷ショ糖緩衝液2(1.8 Mショ糖、5mM酢酸マグネシウム、0.1 mM EDTA、10 mMトリス塩酸(pH 8.0)、1mM DTT)4mlを含む50 ml試験管に移した。
効率のよい転写ランオンアッセイを得るためには、他の細胞塊から核を精製しなければならない。このための一つの方法は、ショ糖パッドを通しての超遠心によって核を精製することである。細胞ホモジネート中のショ糖の最終濃度は、ホモジネートとショ糖のクッションの間の界面で大きい屑が形成されるのを防止するために十分でなければならない。したがって、初回細胞ホモジネートに加えるショ糖緩衝液2の量は場合によって変更した。
ショ糖パッドを調製するために、4.4 mlの氷冷ショ糖緩衝液2をポリアロマーSW41チューブ(ベックマン(Beckman))に移した。核調製物をショ糖パッド上に注意深く載せて、30,000×gで4℃で45分間遠心分離した(SW41ローター中で13,300 rpm)。上清を除去して、沈殿した核を5秒間軽く攪拌して懸濁した。核5×107個あたり氷冷グリセロール保存緩衝液(50 mMトリス塩酸(pH 8.3)、40%v/vグリセロール、5mM塩化マグネシウム、0.1 mM EDTA)200 μlに粉砕することによって、核を再懸濁した。この懸濁液100 μl(核約2.5×107個)を冷却した微量遠心管に分注してRNアシン(RNasin)(プロメガ(Promega))1μl(40U)を加えた。通常、そのような抽出物は転写ランオンアッセイのために直ちに用いるが、後で使用する場合には、それらをドライアイスによって凍結して-70℃で保存するか、または液体窒素中で保存することができる。
実施例5
核転写ランオンアッセイ
NTPは全てロシュ(ロシュ)から入手した。核ランオン反応は、1mM ATP、1mM CTP、1mM GTP、5mM DTT を100 μlおよび[α32P]-UTP(ジーンワークス(GeneWorks))5μl(50 μCi)を、先に記述したように調製した単離された核100 μlに加えることによって開始した。反応混合物を振とうさせながら30℃で30分間インキュベートして、4Mグアニジンチオシアネート、25 mMクエン酸ナトリウム(pH 7.0)、100 mM 2-メルカプトエタノールおよび0.5% v/v N-ラウリルサルコシン(溶液D)400 μlを加えることによって終了させた。インビトロで合成されたRNAを精製するために、2M酢酸ナトリウム(pH 4.0)60 μl、および水飽和フェノール600 μlを加えて、混合物を攪拌した;さらにクロロホルム/イソアミルアルコール(49:1)120 μlを加えて、混合物を攪拌して遠心分離によって相を分離した。
水相を新しいチューブにデカントして、tRNA 20 μgを担体として加えた。イソプロパノール650 μlを加えてRNAを沈殿させ、-20℃で10分間インキュベートした。4℃、12,000 rpmで20分間遠心分離することによってRNAを回収し、ペレットを冷70%v/vエタノールですすいだ。ペレットをTE pH 7.3(10 mMトリス塩酸、1mM EDTA)30μlに溶解して、攪拌してペレットを再懸濁した。溶液D 400 μlを加えて、混合物を攪拌した。イソプロパノール430 μlを加えてRNAを沈殿させ、-20℃で10分間インキュベートして、4℃、10,000 gで20分間遠心分離した。上清を除去して、RNAペレットを70%v/vエタノールによって洗浄した。ペレットを10 mMトリス(pH 7.3)、1mM EDTA 200 μlに再懸濁し、取り込みを手動式のガイガーカウンターによって推定した。
ハイブリダイゼーションのために放射活性RNAを調製するために、20 μlの3M酢酸ナトリウムpH 5.2、500 μlのエタノールを加えて試料を沈殿させ、4℃、12,000×gで20分遠心分離することによって回収した。上清を除去し、ペレットをハイブリダイゼーション緩衝液(MRC#HS 114F、モレキュラーリサーチセンター・インク(Molecular Reseach Centre Inc.))1.5 mlに再懸濁した。
実施例6
ドットブロットフィルターの調製
ドットブロットフィルターは、先に記述したように調製した32P-標識新生mRNA転写物を検出するために調製した。分析するそれぞれのPK-1細胞株についてハイボンドNX(Hybond NX)フィルター(アマシャム(Amersham))を調製した。調製した各フィルターは、4連続で5倍希釈した4つのプラスミドを含んだ。プラスミドはpBluescript(登録商標)II SK+(ストラタジーン(Stratagene))、pGEM.Actin(クイーンズランド大学微生物寄生虫学科)、pCMV.Galt、およびpBluescript.EGFPであった。
プラスミドpCMV.Galtは、pEGFP-N1(クロンテック)のEGFPオープンリーディングフレームをブタのα-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)構造遺伝子配列で置換することによって構築した。プラスミドpEGFP-N1を、PinAIおよびNotIによって消化して、PfuIポリメラーゼを用いて平滑末端にした後、再ライゲーションしてプラスミドpCMV.cassを作製した。GalT構造遺伝子をpCDNA3.GalT(Bresagen)からEcoRI断片として切除して、pCMV.cassのEcoRI部位にライゲーションした。
プラスミドpBluescript.EGFPは、pEGFP-N1のEGFPオープンリーディングフレームを切除して、この断片をプラスミドpBluescript(登録商標)II SK+にライゲーションすることによって構築した。プラスミドpEGFP-N1をNotIおよびXhoIによって消化して、断片NotI-EGFP-XhoをpBleuscript II SK+のNotIおよびXhoI部位にライゲーションした。
各構築物に関してプラスミドDNA 10μgを200 μl容量中でEcoRIにより消化した。混合物をフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールによって抽出した後、クロロホルム/イソアミルアルコール抽出を行い、エタノール沈殿させた。プラスミドDNAペレットを6×SSC(0.9 M塩化ナトリウム、90 mMクエン酸ナトリウム;pH 7.0)500 μlに再懸濁した後、6×SSC中で1μg/50μl、200 ng/50μl、40 ng/50μl、および8ng/50 μlの濃度に希釈した。プラスミドを100℃で10分間加熱した後、氷中で冷却した。
ハイボンドNXフィルターの8×11.5 cm片を6×SSC中で30分間浸漬した。次に、フィルターを96ウェル(3mm)ドットブロット装置(ライフテクノロジーズ)に置いて真空ロックした。スロットあたり6×SSC 500 μlを載せて真空を適用した。真空を維持しながら、各プラスミドに関して各プラスミドDNA濃縮物50 μlを4×4の行列としてフィルター上に載せた。これをフィルター全体に6回繰り返した。真空を維持しながらスロットあたり6×SSC 250 μlを載せた。次に真空を解放した。変性溶液(1.5 M塩化ナトリウム、0.5 M水酸化ナトリウム)に浸したブロッティングペーパー上にフィルターを10分間置いた(DNA面が上)。フィルターを中和溶液に浸したブロッティングペーパーに移して1M塩化ナトリウム、0.5 Mトリス塩酸(pH 7.0)中に5分間浸した。
フィルターをGSジーンリンカー(Gene Linker)(バイオラッド(BioRad))に置いて、150 mJのエネルギーを適用してプラスミドDNAをフィルターにクロスリンクさせた。フィルターを滅菌水ですすいだ。ブロッティング技法の成否を調べるために、フィルターを300 mM酢酸ナトリウム(pH 5.2)の0.4%v/vメチレンブルー溶液で5分間染色した。フィルターを滅菌水で2回すすぎ、40%v/vエタノール中で脱色した。次にフィルターを滅菌水ですすいで、エタノールを除去し、4つのプラスミド/濃縮物行列の複製6個に切断した。
実施例7
核転写物のフィルターハイブリダイゼーション
ドットブロットまたはサザンブロットフィルターを10 mlのマッカートニー(MacCartney)ボトル(モレキュラーリサーチセンター・インク、#WP 117)に移し、プレハイブリダイゼーション溶液2mlを各ボトルに加えた。フィルターをインキュベーションオーブン内でゆっくり回転させながら(ハイバイド)42℃で一晩インキュベートした。
プレハイブリダイゼーション緩衝液を除去して、実施例5および6に記載のように、32P-標識新生RNAを含むハイブリダイゼーション緩衝液(MRC#HS 114F、モレキュラーリサーチセンター・インク)1.5 mlに交換し、このプローブを42℃で48時間フィルターにハイブリダイズさせた。
ハイブリダイゼーション後、放射活性標識したハイブリダイゼーション緩衝液を除去して、フィルターを洗浄液中で洗浄した(MRC #WP 117)。洗浄液を計5回交換してフィルターを洗浄し、毎回の交換は2mlであった。洗浄はハイブリダイゼーションオーブンで行い;最初の3回の洗浄は30℃で行い、最後の2回の洗浄は50℃で行った。
ストリンジェンシーをさらに増大させて、バックグラウンドを減少させるため、フィルターをRNA分解酵素Aによって処理した。フィルターを5mlの10 μg/ml RNA分解酵素A(シグマ)、10 mMトリス(pH 7.5)、50 mM NaCl中に入れて、37℃で5分間インキュベートした。
次にフィルターをプラスチックラップでくるみ、X線フィルムに露光した。
実施例8
哺乳類細胞における共抑制:EGFP
PK-1細胞株6個をこれまでに調べた。これらの6個の株は、非形質転換対照株(野生型)および構築物pCMV.EGFPによって形質転換した株5個(実施例1を参照)からなる。これらの株5個中2個は、UV光の下で顕微鏡検査によって可視化すると、EGFP発現に関して陽性である。株A4gからの単層の細胞は全てEGFP陽性であるが、株A7gからの単層細胞では約0.1%がEGFP陽性であった。残りの株C3、C8、およびC10は、EGFP発現に関して視覚的に陰性である。
実施例4〜7に記載のように、各転写ランオンアッセイを行った。標識産物のフィルターハイブリダイゼーション分析において、プラスミド4個を4つの濃度で含むことは2つの目的にかなう。4つの濃度は特に、標的mRNA転写物を検出するために必要な標的プラスミドの最小濃度を示す。4つのプラスミドは特異的標的および実験の対照として役立つ。プラスミドは以下の機能を果たす。
pBluescript II SK+
このプラスミドは、用いた全ての標的構築物にとって共通のプラスミド骨格に対する、合成核RNAの非特異的ハイブリダイゼーションを調べるためにある。
pBluescript EGFP
このプラスミドは32P-標識核EGFP RNAの標的である。このプラスミドに対するハイブリダイゼーションは、EGFP RNAの活性な転写を意味する。これは、株A4g、A7g、C3およびC8において明確であったが、株C10では明確ではなかった。
pCMV.GalT
GalT(α-1,3-ガラクトシジルトランスフェラーゼ)は、内因性のブタ遺伝子である。このプラスミドはこのように、内因性のブタ遺伝子の陽性対照標的として役立つ。
pGem.Actin
βアクチンは、真核生物に広く存在する遺伝子で。共通のmRNA種である。ニワトリのβアクチンcDNA配列を含むこのプラスミドは、さらなる陽性対照として役立つ。
これらの実験の結果から以下の結論を得ることができる:
(1)これらの構築物のプラスミド骨格に対する非特異的ハイブリダイゼーションは起こらなかった。GalT陽性対照に対するハイブリダイゼーションは全ての株について起こらず、この遺伝子のmRNAが豊富に存在しないことから予想と一致した。
(2)βアクチン遺伝子陽性対照とのハイブリダイゼーションは、この遺伝子のmRNAが豊富に存在する場合、予想と一致して全ての株について起こった。
(3)株A4gおよびA7gに関して新生RNAによるEGFP遺伝子とのハイブリダイゼーションは、これらの株におけるEGFP発現の視覚的知見に基づいて予想通りであった。
(4)サイレンシング株C3およびC8に関して新生RNAによるEGFP遺伝子とのハイブリダイゼーションは、これらの株に関する通常の増殖条件でEGFP転写物が共抑制されることを示している。
(5)株C10における共抑制活性は、この実験において証明されていない。
表1には、プラスミドに対する32P-標識核RNAのハイブリダイゼーションに関して、予想された結果と認められた結果とをまとめる。表1はまた、それに対する特異的核RNAのハイブリダイゼーションが認められる、標的プラスミドDNAの最小濃度を示す。
Figure 2011229542
EGFP−EGFP発現
Exp=PTGSに関して予想された結果
Obs=認められた結果
Hyb'n=ハイブリダイゼーション
実施例9
遺伝子の共抑制
本発明者らは、培養ブタ腎細胞における、導入遺伝子、増強した緑色蛍光タンパク質(EGFP)の共抑制を証明する。本発明者らはさらに、異なる細胞型における広範囲の内因性遺伝子、ならびにウイルス、癌および移植抗原のような物質との共抑制をさらに示す。特定の標的には以下が含まれる:
(a)ウシエンテロウイルス(BEV)。BEV形質転換細胞の凍結株を再生させて、数週間/数ヶ月間にわたって多くの世代を増殖させてからBEVで攻撃した。有効に共抑制される細胞は、ウイルスによって直ちに殺されない。このウイルス耐性表現型は有用性の証明となる。
(b)チロシナーゼ、皮膚におけるメラニン(黒色)色素形成にとって必須の遺伝子産物。チロシナーゼ遺伝子のサイレンシングは、培養マウスメラノサイトにおいて容易に検出され、その後マウスの黒色系統に検出される。
(c)ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)。GalT遺伝子のサイレンシングは細胞死と平行して起こるが、GalT自身は細胞の生存にとって必須ではない。本発明者らは、GalTが、ファミリーメンバーが機能(糖残基の転移)の類似性を反映する類似のDNA配列(複数)を共有する遺伝子ファミリーのメンバーであることから、細胞死が起こると仮定する。これらの遺伝子のいくつかは細胞の生存にとって必須である可能性がある。本発明者らは、分解に関してGalTに固有のセグメントをターゲティングするために、遺伝子全体ではなくGalT遺伝子の3'非翻訳領域(3'-UTR)によってブタ細胞を形質転換し、したがってGalTのみをサイレントにした。
(d)チミジンキナーゼ(TK)は、チミジンをチミジン一リン酸に変換する。薬物5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)は、TKを失った細胞を選択する。TKを機能させる細胞において、酵素は薬物類似体を対応する5'一リン酸に変換し、これは一度DNAに組み入れられると致死的となる。NIH/3T3細胞はTK遺伝子を含む構築物によって形質転換する。効率よく共抑制される細胞は、増殖培地にBrdUを加えても耐性を示し、複製し続ける。
(e)HER-2またはBrn-2のような細胞腫瘍遺伝子は、正常細胞の癌細胞への形質転換に関連している。
(f)ヒトおよび/またはマウス造血(「血液形成」)細胞株上の細胞表面抗原。これらの細胞は、免疫に関与する白血球の前駆体である;それらはその免疫機能にとって必須である特異的表面抗原を特徴とする。この系の特に長所は、細胞が懸濁培養で増殖する(培養容器および互いに接着するより)点であり、そのため顕微鏡で容易に調べ、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって容易に定量される点である。さらに、特異的抗原を同定するための広範囲の試薬が入手可能である。
(g)チロシナーゼ、マウスのメラノサイトにおけるメラニン(黒色)色素産生にとって必須である産物。トランスジェニックマウスにおいて、内因性チロシナーゼの不活化は、メラニンを通常産生する株における動物の外皮の色の変化として容易に検出することができる。そのような表現型は、トランスジェニック動物における有用性の証明となる。
(h)ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)は、細胞表面タンパク質へのガラクトシル残基の付加を触媒する。トランスジェニックマウスにおけるGalTの不活化は、トランスジェニック動物の組織をガラクトシル残基の喪失に関してアッセイすることによって容易に検出することができ、トランスジェニック動物における有用性の証明となる。
(i)YB-1(YボックスDNA/RNA結合因子1)は、中でもp53遺伝子のプロモーター領域に結合する転写因子であり、そのように結合して、その発現を抑制する。正常なp53タンパク質を正常レベルで発現する癌細胞において(全てのヒト癌の約50%)、p53の発現はYB-1の制御下にあり、YB-1のサイレンシングによってp53タンパク質のレベルが増加して、その後にアポトーシスが起こる。
実施例10
一般技術
1.組織培養操作
(a)接着細胞株
接着細胞単層は実施例1に記載のように増殖、維持、および計数した。増殖培地は、10%v/v FBSを添加したDMEMまたは10%v/v FBSを添加したRPMI 1640培地(ライフテクノロジーズ)からなった。細胞は、5%v/v CO2 を含む大気中で37℃のインキュベータ内で常に増殖させた。
これらの実験の間に、しばしば細胞単層を継代する必要があった。これを行うために、単層を1×PBSによって2回洗浄し、次にトリプシン-EDTAによって37℃で5分間処置した。そのような操作のために用いたトリプシン-EDTAの容量は一般的に、96ウェル、48ウェル、6ウェル、T25およびT75容器に関してそれぞれ、20 μl、100 μl、500 μl、1mlおよび2mlであった。トリプシン-EDTAの作用は等量の増殖培地によって停止させた。細胞は粉砕して懸濁した。細胞懸濁液の1/5容量を、増殖培地を含む新しい容器に移した。組織培養培地の容量は一般的に、96ウェル組織培養プレートに関して192 μl、48ウェル組織培養プレートに関して360 μl、6ウェル組織培養プレートに関して3.8 ml、T25に関して9.6 ml、およびT75組織培養容器に関して39.2 mlであった。
細胞懸濁液は実施例1に記載のように計数した。
(b)非接着細胞
非接着細胞は、接着細胞と類似の増殖培地において増殖させた。
接着単層の場合と同様に、組織培養容器の頻繁な交換が必要であった。T25およびT75容器に関して、細胞懸濁液を50 ml滅菌プラスチックチューブ(ファルコン)に採取して、500×g、4℃で5分間遠心分離した。上清を捨てて、細胞ペレットを増殖培地に懸濁した。細胞懸濁液を新しい組織培養容器に入れた。96ウェル、48ウェル、および6ウェル容器に関しては、容器を500×g、4℃で5分間遠心分離した。細胞ペレットから上清を吸引して、細胞を増殖培地に懸濁した。次に細胞を新しい組織培養容器に移した。組織培養培地の容積は一般的に、96ウェル組織培養プレートに関して200 μl、48ウェル組織培養プレートに関して400 μl、6ウェル組織培養プレートに関して4 ml、T25に関して11 ml、およびT75組織培養容器に関して40 mlであった。
細胞懸濁液の継代は以下のように行った。細胞を500×g、4℃で5分間遠心分離し、増殖培地5mlに懸濁した。次に、細胞懸濁液0.5 ml(T25)または1.0 ml(T75)を増殖培地を含む新しい容器に移した。96ウェル、48ウェル、および6ウェル容器の細胞に関しては、細胞の1/5容量を、増殖培地4/5容量を含む新しい容器の対応するウェルに移した。
細胞は接着細胞に関して記述したように計数した。
2.細胞の凍結に関するプロトコール
後に使用するために保存した細胞は、実施例1に概要したプロトコールに従って凍結した。接着単層は1×PBSによって2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(ライフテクノロジーズ)によって37℃で5分間処理した。非接着細胞は、500×g、4℃で5分間遠心分離した。細胞を粉砕して懸濁し、20%v/v FBSおよび10%v/vジメチルスルホキシド(シグマ)を添加したDMEM、RPMI 1640からなる保存培地に移した。
3.細胞株のクローニング
接着細胞と非接着哺乳類細胞型に、関係する特異的遺伝子をターゲティングするために、発現構築物を有する特異的プラスミドベクターをトランスフェクトした。安定な形質転換細胞コロニーを、ジェネチシンまたはピューロマイシンを添加した細胞増殖培地(DMEM、10%v/v FBS、またはRPMI 1640、10%v/v FBSのいずれか)を用いて2〜3週間選択した。個々のコロニーをクローニングして、新しいトランスフェクト細胞株を確立した。
(a)接着細胞
実施例3に概要した希釈クローニング方法とは対照的に、接着細胞を用いるさらなる実施例において、個々の株を以下のように独立したコロニーからクローニングした。最初に、培地を6ウェル組織培養容器の個々のウェルから採取して、細胞コロニーを1×PBS2mlで2回洗浄した。次に、個々のコロニーを滅菌プラスチックピペットチップによってプラスチック培養容器から剥がし、ジェネチシンまたはピューロマイシンのいずれかを添加した条件培地(実施例1参照)200 μlを含む96ウェルプレートに移した。容器を37℃、5%v/v CO2で約72時間インキュベートした。個々のウェルを、コロニーの増殖に関して顕微鏡下で調べ、培地を新しい増殖培地に交換した。各細胞株の単層が約90%の集密度に達すると、安定な形質転換株がT25組織培養容器に入れられるまで、先に記述したように連続段階で移した。この時点で、それぞれの安定な細胞株のアリコットを長期間維持するために凍結した。
(b)非接着細胞
非接着細胞は、実施例3に記載の希釈クローニング法によってクローニングした。
4.細胞核単離プロトコール
(a)接着細胞
10%v/v FBSを含む増殖培地(DMEMまたはRPMI 1640)30 mlを含む100 mmペトリ皿(コスター)、またはT75フラスコに細胞4×106個を播種して、37℃、5%v/v CO2で、単層が約90%の集密(一晩)になるまでインキュベートした。単層を含むペトリ皿を氷中に入れて、処理するまで冷却した。培地をデカントして、1×PBS(氷冷)8mlをペトリ皿に加えて、皿を軽く揺り動かして組織単層を洗浄した。PBSを再度デカントして洗浄を繰り返した。
組織単層に氷冷ショ糖緩衝液A[0.32 Mショ糖;0.1 mM EDTA;0.1%v/vアイゲパル;1.0 mM DTT;10 mMトリス塩酸、pH 8.0;0.1 mM PMSF;1.0 mM EGTA;1.0 mMスペルミジン]4mlを上層して、それらを氷中で2分間インキュベートすることによって溶解した。細胞スクレイパーを用いて、接着細胞を剥がして、細胞の少量を位相差顕微鏡によって調べた。細胞が溶解していなければ、それらを氷冷ダウンス(dounce)ホモジナイザー(ブラウン(Braun))に移してS型の乳棒を5〜10回上下させて破壊した。時にさらに上下する必要があった。次に細胞を顕微鏡で調べて、核が細胞質破片を含まないことを確認した。氷冷ショ糖緩衝液B[1.7 Mショ糖;5.0 mM酢酸マグネシウム;0.1 mM EDTA;1.0 mM DTT;10 mMトリス塩酸、pH 8.0;0.1 mM PMSF](4ml)をペトリ皿に加えて、細胞スクレイパーによって軽く攪拌することによって緩衝液を混合した。細胞ホモジネート中のショ糖の最終濃度は、ホモジネートとショ糖のクッションの間の界面に大きい屑が形成されないように十分でなければならない。細胞ホモジネートに加えるショ糖緩衝液2の容量は、それにしたがって調節する必要があるかもしれない。
(b)非接着細胞
10%v/v FBSを含む増殖培地(DMEMまたはRPMI 1640)30 mlを含む、T75組織培養容器に細胞4×106個を播種して、37℃、5%v/v CO2で一晩インキュベートした。
T75フラスコの内容物を、処理する前に氷中に入れて冷却した50 mlスクリューキャップチューブ(ファルコン)に移した。チューブを冷蔵遠心分離器中で500×gで5分間遠心分離して細胞を沈殿させた。培地をデカントして、1×PBS(氷冷)10 mlをチューブに加えて、軽く粉砕して細胞を懸濁した。PBSを再度デカントして洗浄を繰り返した。
細胞を氷冷ショ糖緩衝液A4mlに懸濁して、氷中で2分間インキュベートすることによって、かつ選択的に接着細胞株に関して先に記述したように、ダウンスホモジナイゼーションによって溶解した。
(c)単離プロトコール
核は、ショ糖緩衝液1および2をショ糖緩衝液AおよびBにそれぞれ交換したことを除いては、実施例4に記載したプロトコールに従ってショ糖パッド遠心分離によって細胞の破片から単離した。
5.核転写ランオンプロトコール
実施例5は、フィルターハイブリダイゼーションによって遺伝子特異的検出を行うために、[α-32P]-UTP標識新生RNA転写物を調製するための核転写ランオンプロトコールによる方法を提供する(実施例6、7および8)。遺伝子特異的転写ランオン産物を検出するために、フィルターハイブリダイゼーションに対するもう一つのアプローチはリボヌクレアーゼ保護アッセイである。鎖特異的遺伝子特異的非標識RNAプローブは、標準的な技術を用いて調製する。これらを、転写ランオン実験から単離した32P-標識RNAにアニーリングする。二本鎖RNAを検出するために、アニーリング反応産物を一本鎖特異的RNA分解酵素の混合物によって処理して、反応産物をPAGEを用いて調べた。この技術は当業者に周知であり、RPA III(商標)手引き「リボヌクレアーゼ保護アッセイ法(Ribonuclease Protection Assay)」(カタログ番号1414、1415、Ambion Inc.)に記載されている。
リアルタイムPCRアッセイによる遺伝子特異的検出を行うために、ビオチン標識新生RNA転写物(パトロン(Patrone)ら、2000)の調製のためにさらなる方法を用いた。無傷の核を接着および非接着細胞型から単離して(実施例12〜19、下記)から単離して、グリセロール保存緩衝液[50 mMトリス塩酸、pH 8.3;40%v/vグリセロール、5mM MgCl2、および0.1 mM EDTA]中で1×108個/mlの濃度で-70℃で保存した。
グリセロール保存緩衝液において核(107個)100 μlを、ヌクレオチドを添加した氷冷反応緩衝液[200 mM KCl、20 mMトリス塩酸、pH 8.0、5mM MgCl2、4mMジチオスレイトール(DTT)、ATP、GTP、およびCTPを各4mM、200 mMショ糖ならびに20%v/vグリセロール]100 μlに加えた。ビオチン-16-UTP(10 mMテトラリチウム塩;シグマ)を混合物に供給し、これを29℃で30分間インキュベートした。反応を停止させて、核を溶解し、20 mM塩化カルシウム(シグマ)20 μlおよび10 mg/ml RNA分解酵素不含DNA分解酵素I (ロシュ)10 μlを加えてDNAの消化を開始した。反応は29℃で10分間インキュベートした。
核ランオンおよび細胞質RNAを含む総RNAの単離は、製造元の説明書に従って、トリゾール(TRIzol)(登録商標)試薬(ライフテクノロジーズ)を用いて行った。RNAはRNA分解酵素不含水50 μlに懸濁した。新生ビオチン-16-UTP標識ランオン転写物を、ストレプトアビジンビーズ(ダイナビーズ(登録商標)キロベースバインダー(商標)キット、Dynal)を用いて製造元の説明に従って総RNAから精製する。
これらのランオン実験から遺伝子転写速度を定量するためにリアルタイムPCR反応を行う。リアルタイムPCR化学は当業者に既知である。導入遺伝子、内因性遺伝子、および広汎に発現される対照配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーのセットを設計する。プライマーエクスプレスソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて、オリゴヌクレオチド増幅およびレポータープライマーを設計する。転写物の相対レベルを、ロータージーン(Rotor-Gene)RG-2000システム(Corbett Research)を用いて定量する。
6.mRNAの検出
非標識mRNAを32P-標識プローブにアニーリングする方法を用いるリボヌクレアーゼ保護アッセイ法を用いて、細胞質における内因性遺伝子と導入遺伝子の転写物を検出してもよい。反応産物はPAGEを用いて調べる。内因性遺伝子および導入遺伝子のRNA産物の定常状態レベルは、ノーザン分析によって評価する。
または、特異的導入遺伝子、内因性遺伝子、および広く発現される対照遺伝子に関してプライマーエクスプレスソフトウェアを用いて設計した増幅およびレポーターオリゴヌクレオチドを用いるロータージーンRG-2000系によるリアルタイムPCRを用いて相対的mRNAレベルを定量する。
7.哺乳類ゲノムDNAのサザンブロット分析
その後の全ての実施例に関して、ゲノムDNAのサザンブロット分析は以下のプロトコールに従って実施した。DMEMまたはRPMI 1640、10%v/v FBS 40 mlを含むT75組織培養容器に、細胞4×106個を播種して、37℃、5%v/v CO2で24時間インキュベートした。
(a)接着細胞
接着細胞に関しては以下のように行う:培地をデカントして、1×PBS5mlをT75フラスコに加えて、軽く揺り動かして組織単層を洗浄する。PBSをデカントして、組織単層の1×PBSによる洗浄を繰り返す。PBSをデカントする。単層に1×PBS/1×トリプシン-EDTA2mlを上層する。フラスコを軽く揺り動かして組織単層の表面を均一に覆う。T75フラスコを、組織単層がフラスコから離れるまで37℃、5%v/v CO2でインキュベートする。10%v/v FBSを含む培地2mlをフラスコに加える。顕微鏡によって調べると、細胞はこの時点で単一であり丸いはずである。細胞を10 mlのキャップつきチューブに移して、氷冷1×PBS3mlを加える。チューブを数回反転させて混合する。冷蔵遠心分離器(4℃)で500×gで10分間遠心分離することによって細胞を沈降させる。上清をデカントして氷冷1×PBS5mlをキャップ付きチューブに加える。軽く攪拌して細胞を懸濁する。血球計数盤スライドガラスを用いて総細胞数を決定する。細胞数は2×108個を超えるべきではない。冷蔵遠心分離器(4℃)で500×gで10分間遠心分離することによって細胞を沈降させる。上清をデカントする。
(b)非接着細胞
非接着細胞に関しては以下のように進める:細胞懸濁液を50 mlファルコンチューブにデカントして、冷蔵遠心分離器(4℃)において500×gで10分間遠心分離する。上清を捨てて、氷冷1×PBS5mlを細胞に加えて、軽く攪拌して細胞を懸濁し、冷蔵遠心分離器(4℃)において500×gで10分間遠心分離することによって細胞を沈降させる。上清をデカントして、氷冷1×PBS5mlをファルコンチューブに加える。軽く攪拌して細胞を懸濁する。血球計数盤スライドガラスを用いて総細胞数を決定する。細胞数は2×108個を超えてはならない。冷蔵遠心分離器(4℃)において500×gで10分間遠心分離することによって細胞を沈降させる。上清をデカントする。
(c)DNA抽出と分析
接着および非接着細胞株の双方のゲノムDNAを、キアゲンゲノムDNA抽出キット(カタログ番号10243)を用いて製造元の説明書に従って抽出した。回収したゲノムDNAの濃度は、ベックマンモデルDU64分光光度計を用いて波長260 nmで測定した。
ゲノムDNA(10 μg)を200 μl容量中の適当な制限エンドヌクレアーゼおよび緩衝液によって37℃で約16時間消化した。消化後、20 μlの3M酢酸ナトリウムpH 5.2および無水エタノール500 μlを消化物に加えて、溶液を攪拌して混合した。混合物を-20℃で2時間インキュベートして消化されたゲノムDNAを沈殿させた。DNAを4℃、10,000×gで30分間遠心分離して沈降させた。上清を捨てて、DNAペレットを70%v/vエタノール500 μlによって洗浄した。70%v/vエタノールを除去してペレットを自然乾燥させ、DNAを水20 μlに懸濁した。
ゲル添加色素(0.25%w/vブロモフェノールブルー(シグマ);0.25%w/vキシレンシアノールFF(シグマ);15%w/vフィコールタイプ400(ファルマシア(Pharmacia))(5μl)を再懸濁したDNAに加えて、混合物を、0.5 μg/ml臭化エチジウムを含む0.7%w/vアガロース/TAEゲルのウェルに移した。消化したゲノムDNAを14ボルトで約16時間ゲルの中を電気泳動させた。適当なDNAサイズマーカーを平行するレーンに含めた。
次に、消化されたゲノムDNAをゲルにおいて変性させて(1.5 M NaCl、0.5 M NaOH)、ゲルを中和した(1.5 M NaCl、0.5 Mトリス塩酸、pH 7.0)。電気泳動したDNA断片をハイボンドNX(アマシャム)膜にキャピラリーブロットしてUVクロスリンクによって固定した(バイオラッドGSジーンリンカー)。
クロスリンクした消化ゲノムDNAを含む膜を滅菌水中ですすいだ。次に、膜を0.4%v/vメチレンブルーの300 mM酢酸ナトリウム溶液(pH 5.2)中で5分間染色して、転写したゲノムDNAを可視化した。膜を滅菌水で2回すすいで、40%v/vエタノール中で脱色した。次に、膜を滅菌水ですすいでエタノールを除去した。
膜をハイバイドボトルに入れて、プレハイブリダイゼーション溶液(6×SSPE、5×デンハート試薬、0.5%w/v SDS、100 μg/ml変性断片化ニシン精子DNA)5mlを加えた。ハイブリダイゼーションオーブンにおいて膜を絶えず回転させながら(6rpm)60℃でプレハイブリダイズさせた。
メガプライムDNA標識系を用いて製造元の説明書に従って(アマシャム、カタログ番号RPN1606)、プローブ(25 ng)を[α-32P](比活性3000 Ci/mmol)によって標識した。標識プローブは、製造元の説明書に従って、G50セファデックスクイックスピン(商標)カラム(ロシュ、カタログ番号1273973)を通過させて、組み入れられていないヌクレオチドを除去した。
熱変性標識プローブを、予め60℃に加温したハイブリダイゼーション緩衝液(6×SSPE、0.5%w/v SDS、100 μg/ml変性断片化ニシン精子DNA)2mlに加えた。プレハイブリダイゼーション緩衝液をデカントして、標識プローブを含む予め加温したハイブリダイゼーション緩衝液2mlと交換した。ハイブリダイゼーションオーブンにおいて膜を絶えず回転させながら(6rpm)60℃で約16時間ハイブリダイズさせた。
プローブを含むハイブリダイゼーション緩衝液をデカントして膜を数回洗浄した:
2×SSC、0.5%w/v SDSで室温で5分;
2×SSC、0.1%w/v SDSで室温で15分;
0.1×SSC、0.5%w/v SDSで37℃で軽く攪拌しながら30分;
0.1×SSC、0.5%w/v SDSで68℃で軽く攪拌しながら1時間;および
0.1×SSCで室温で軽く攪拌しながら5分;
68℃の洗浄期間は、手動式のガイガーカウンターによって検出される放射活性の量に基づいて変更した。
湿った膜をプラスチックラップにくるみ、X線フィルム(キュリックスブルーHC-Sプラス、AGFA)に24〜48時間露光し、フィルムを現像してゲノムDNAにハイブリダイズしたプローブのバンドを可視化した。
8.培養細胞の免疫蛍光標識
顕微鏡用カバーガラス(12 mm×12 mm)をエタノールによって火に当てて、6ウェルプレートにおいてウェルあたり2個ずつ増殖培地2mlに浸した。培地1〜2mlを含むウェルに、16時間の増殖後に細胞が単離されたままであるような細胞密度を生じるように、細胞を加えた(細胞の大きさおよび増殖速度に応じて200,000〜500,000個/ウェル)。ウェルからカバーガラスを取り出さずに、培地を吸引して、細胞をPBSによって洗浄した。固定するため、細胞を4%w/vパラホルムアルデヒド(シグマ)のPBS溶液によって1時間処理した後、PBSによって3回洗浄した。固定した細胞を0.1%v/vトリトンX-100(シグマ)のPBS溶液によって5分間透過性にした後、PBSによって3回洗浄した。カバーガラス上の細胞を、0.5%w/vウシ血清アルブミンV分画(BSA、シグマ)1滴(約100 μl)によって10分間ブロッキングした。カバーガラスを0.5%v/v BSAのPBS溶液で100倍希釈した一次マウスモノクローナル抗体25 μlの水滴上に少なくとも1時間載せた。カバーガラス上の細胞を0.5%v/v BSAのPBS溶液100 μlによって各約3分間3回洗浄してから、0.5%v/v BSAのPBS溶液で100倍希釈したアレキサフルオロ(登録商標)488ヤギ抗マウスIgG結合(モレキュラープローブズ(Molecular Probes))二次抗体25 μl上に30分から1時間放置した。カバーガラス上の細胞をPBSによって3回洗浄した。グリセロール/DABCO[25 mg/ml DABCO(1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(シグマ D 2522))の80%v/vグリセロールPBS溶液]においてカバーガラスを顕微鏡用スライドガラスに載せて、500〜550 nmでのUV照明下で100×油浸対物レンズによって調べた。
9.実験プロトコールにおいて用いられる培地の組成
用いたDMEM、Opti-MEM I(登録商標)血清減少培地、PBSおよびトリプシン-EDTAの組成は実施例1に記載する。
(a)RPMI 1640培地
ROMI 1640培地(カタログ番号21870)の市販の調合物を用い、これはライフテクノロジーズ(ライフテクノロジーズ)から入手した。液体調合物は以下の通りであった:
Ca(NO3)24水和物 100 mg/L
KCl 400 mg/L
MgSO4(無水) 48.84 mg/L
NaCl 6,000 mg/L
NaHCO3 2,000 mg/L
NaH2PO4(無水) 800 mg/L
D-グルコース 2,000 mg/L
グルタチオン(還元型) 1.0 mg/L
フェノールレッド 5mg/L
L-アルギニン 200 mg/L
L-アスパラギン(遊離の塩基) 50 mg/L
L-アスコルビン酸 20 mg/L
L-システイン二塩酸 65 mg/L
L-グルタミン酸 20 mg/L
グリシン 10 mg/L
L-ヒスチジン(遊離の塩基) 15 mg/L
L-ヒドロキシプロリン 20 mg/L
L-イソロイシン 50 mg/L
L-ロイシン 50 mg/L
L-リジン塩酸 40 mg/L
L-メチオニン 15 mg/L
L-フェニルアラニン 15 mg/L
L-プロリン 20 mg/L
L-セリン 30 mg/L
L-トレオニン 20 mg/L
L-トリプトファン 5 mg/L
L-チロシン二ナトリウム塩二水和物 29 mg/L
L-バリン 20 mg/L
ビオチン 0.2 mg/L
D-パントテン酸カルシウム 0.25 mg/L
塩化コリン 3 mg/L
葉酸 1 mg/L
i-イノシトール 35 mg/L
ナイアシンアミド 1 mg/L
パラアミノ安息香酸 1 mg/L
塩酸ピリドキシン 1 mg/L
リボフラビン 0.2 mg/L
塩酸チアミン 1 mg/L
ビタミンB12 0.005 mg/L
実施例11
共抑制を得るために用いられるプラスミド構築物カセットの調製
1.一般的なRNA単離、cDNA合成、およびPCRプロトコール
総RNAは製造元のプロトコール(キアゲン(Qiagen))に従ってRNイージーミニキットを用いて表記の細胞株から精製した。cDNAを調製するために、このRNAをオムニスクリプト逆転写酵素(キアゲン)を用いて逆転写した。総RNA2μgを、製造元のプロトコール(キアゲン)に従って、反応液20 μlにおいて1μMオリゴdT(シグマ)をプライマーとして用いて逆転写した。
特定の産物を増幅するために、この混合物2μlをPCR増幅のための基質として用い、PCR増幅を製造元のプロトコール(キアゲン)に従ってホットスターTaq DNAポリメラーゼを用いて実施した。PCR増幅条件は、95℃で15分間の初回活性化段階の後94℃で30秒、60℃で30秒、および72℃で60秒の35増幅サイクルを含み、72℃で4分間の最終伸長段階を含んだ。
クローニングすべきPCR産物は通常、キアクイックPCR精製キット(キアゲン)を用いて精製した;多数の断片がPCRによって作製された場合、正しい大きさの断片を、キアクイックゲル精製キット(キアゲン)を用いて、製造元のプロトコールに従ってアガロースゲルから精製した。
次に増幅産物を、製造元のプロトコールに従ってpCR(登録商標)2.1-TOPO(インビトロゲン(Invitrogen))にクローニングした。
2.一般的なクローニング技術
下記の構築物を調製するために、制限酵素を用いて製造元のプロトコール(ロシュ)に従って、インサート断片を中間ベクターから切除して、QIAクイックゲル精製キットを用いて製造元のプロトコールに従ってアガロースゲルから断片を精製した。ベクターは通常、制限消化によって調製して、製造元のプロトコール(アマシャム)に従って、エビのアルカリホスファターゼによって処理した。ベクターおよびインサートは、T4 DNAリガーゼを用いて製造元のプロトコール(ロシュ)に従ってライゲーションして、標準的な技法(Sambrookら、1984)を用いてコンピテント大腸菌株DH5αに形質転換した。
3.構築物
(a)市販のプラスミド
プラスミドpEGFP-N1
プラスミドpEGFP-N1(図1、クロンテック)は、より明るい蛍光を発するように最適化された野生型GFPの赤色シフト変種をコードするオープンリーディングフレームに機能的に結合したCMV IEプロモーターを含む。pEGFP-N1によってコードされる特異的GFP変種は、コルマックら(Cormack、1996)によって開示されている。プラスミドpEGFP-N1は、BglIIおよびBamHI部位を含む複合クローニング部位、ならびにCMV IEプロモーターとEGFPオープンリーディングフレームとの間に存在する他の多くの制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む。プラスミドpEGFP-N1は、哺乳類細胞においてEGFPタンパク質を発現する。さらに、複合クローニング部位にクローニングされる構造遺伝子は、それらがEGFPコード配列とインフレームで、機能的な翻訳停止コドンを欠損すれば、EGFP融合ポリペプチドとして発現されると考えられる。プラスミドはさらに、CMV IEプロモーター配列(SV40 pA)から転写されるmRNAの3'末端の適切なプロセシングを指示するために、EGFPオープンリーディングフレームの下流にSV40ポリアデニル化シグナルを含む。プラスミドはさらに、動物細胞において機能的なSV40複製開始点;カナマイシン、ネオマイシン、またはジェネチシンに関して形質転換細胞を選択するために、Tn5(図1のKan/Neo)に由来するネオマイシン/カナマイシン耐性遺伝子に機能的に結合したSV40初期プロモーター(図1におけるSV40-E)ネオマイシン耐性遺伝子、およびHSVチミジンキナーゼポリアデニル化シグナル;細菌細胞において機能的であるpUC19複製開始点および一本鎖DNA産生のためのfl複製開始点を含む。
プラスミドpBluescript II SK+
プラスミドpBluescript II SK+は、ストラタジーンから販売されており、lacZプロモーター配列およびlacZ-α転写ターミネーターを含み、その間に多数の制限エンドヌクレアーゼクローニング部位が存在する。プラスミドpBluescript II SK+は、多数の制限エンドヌクレアーゼクローニング部位のために核酸断片をクローニングするように設計される。プラスミドはさらに、ColE1およびfl複製開始点およびアンピシリン耐性遺伝子を含む。
プラスミドpCR(登録商標)2.1
プラスミドpCR2.1は、インビトロゲンから販売されているT付加ベクターであり、lacZプロモーター配列およびlacZ-α転写ターミネーターとを含み、その間に構造遺伝子配列を挿入するためのクローニング部位が存在する。プラスミドpCR(登録商標)2.1は、ポリメラーゼ連鎖反応の間にTaqポリメラーゼによってしばしば合成されるA突出のために核酸断片をクローニングするように設計される。プラスミドはさらに、ColE1およびfl複製開始点ならびにカナマイシン耐性およびアンピシリン耐性遺伝子を含む。
プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPO
プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOは、インビトロゲンから販売されているT付加ベクターであり、lacZプロモーター配列およびlacZ-α転写ターミネーターとを含み、その間に多制限エンドヌクレアーゼクローニング部位が存在する。プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOは、迅速なクローニングのために共有結合したトポイソメラーゼI酵素を有する。プラスミドはさらに、ColE1およびfl複製開始点ならびにカナマイシン耐性およびアンピシリン耐性遺伝子を含む。
プラスミドpPUR
プラスミドpPURは、クロンテックから販売されており、ストレプトミセス・アルボニゲル(Streptomyces alboniger)のピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(pac)遺伝子(de la LunaおよびOrtin、1992)をコードする、オープンリーディングフレームに機能的に結合したSV40初期プロモーターを含む。プラスミドはさらに、SV40 Eプロモーター配列から転写されるmRNAの3'末端の適切なプロセシングを指示するためにpacオープンリーディングフレームの下流にSV40ポリアデニル化シグナルを含む。プラスミドはさらに、大腸菌において増殖させるために、細菌複製開始点およびアンピシリン耐性(β-ラクタマーゼ)遺伝子を含む。
(b)中間カセット
プラスミドTOPO.BGI2
プラスミドTOPO.BGI2は、プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOの複合クローニング領域に存在する、ヒトβグロビンイントロンナンバー2(BGI2)を含む。このプラスミドを作製するために、ヒトβグロビンイントロンナンバー2を、以下の増幅プライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いてヒトゲノムDNAから増幅し、プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.BGI2を作製した。BGI2は、哺乳類細胞においてそれを含むRNA転写物から転写後に切断されうる機能的イントロン配列である。
プラスミドTOPO.PUR
プラスミドTOPO.PURは、プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOの複合クローニング領域に配置されたプラスミドpPURからのSV40 Eプロモーター、ピューロマイシン-N-アセチル-トランスフェラーゼ遺伝子、およびSV40ポリアデニル化シグナル配列を含む。このプラスミドを作製するために、SV40 Eプロモーター、ピューロマイシン-N-アセチル-トランスフェラーゼ遺伝子およびSV40ポリアデニル化シグナル配列を含むプラスミドpPURの領域を、以下の増幅プライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いてプラスミドpPURから増幅し、プラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.PURを作製した。
(c)プラスミドカセット
プラスミドpCMV.cass
プラスミドpCMV.cass(図2)はCMV-IEプロモーター配列の制御下で構造遺伝子配列の発現を駆動するための発現カセットである。プラスミドpCMV.cassは、EGFPオープンリーディングフレームを以下のように欠失させることによってpEGFP-N1(図1)から誘導した:プラスミドpEGFP-N1をPinAIおよびNotIによって消化して、PfuI DNAポリメラーゼを用いて平滑末端にした後、再度ライゲーションした。構造遺伝子配列を複合クローニング部位を用いてpCMV.cassにクローニングし、これはPinAI部位を欠損することを除いてはpEGFP-N1の複合クローニング部位と同一である。
プラスミドpCMV.BGI2.cass
pCMV.BGI2.cass(図3)を作製するために、ヒトβグロビンイントロン配列をTOPO.BGI2のSacI/PstI断片から単離して、pCMV.cassのSacIとPstI部位の間にクローニングした。pCMV.BGI2.cassにおいて、CMVプロモーターから転写した任意のRNAも、ヒトβグロビンイントロン2配列を含むと考えられる;イントロン配列には、正常なイントロンのプロセシングにとって必要なスプライス供与体とスプライス受容体配列の双方が含まれるために、これらのイントロン配列はおそらく、正常なイントロンプロセシング機構の一部として転写物から切除されると考えられる。
実施例12
インビトロでの1型ブタ腎細胞における緑色蛍光タンパク質の共抑制
1.細胞株の培養
PK-1細胞(ブタ腎上皮細胞由来)は、実施例10に記載のように、10%v/v FBSを添加したDMEMを用いて接着単層として増殖させた。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドpBleuscript EGFP
プラスミドpBluescript.EGFPは、プラスミドpBluescript II SK+の複合クローニング領域に配置されたプラスミドpEGFP-N1(図1、実施例11を参照のこと)に由来するEGFPオープンリーディングフレームを含む。このプラスミドを作製するために、酵素NotIおよびXhoIを用いる制限エンドヌクレアーゼ消化によって、EGFPオープンリーディングフレームをプラスミドEGFP-N1から切除して、NotI/XhoI消化pBluescript II SK+にライゲーションした。
プラスミドpCR.Bgl-GFP-Bam
プラスミドpCR.Bgl-GFP-Bamは、プラスミドpCR2.1(インビトロゲン、実施例11を参照のこと)の複合クローニング領域に配置されたプラスミドpEGFP-N1(図1)に由来する、EGFPオープンリーディングフレームの内部領域を含む。このプラスミドを作製するために、EGFPオープンリーディングフレーム領域を以下の増幅プライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いてpEGFP-N1から増幅し、製造元の指示(インビトロゲン)に従ってプラスミドpCR2.1にクローニングした。プラスミドpCR.Bgl-GFP-Bamにおける内部EGFPコード領域は、機能的翻訳開始および停止コドンを欠損する。
プラスミドpCMV.GFP.BGI2.PFG
プラスミドpCMV.GFP.BGI2.PFG(図4)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されているEGFPオープンリーディングフレームの内部領域の逆方向反復または回文を含む。プラスミドpCMV.GFP.BGI2.PFGは、一連の段階によって構築した:(i)プラスミドpCR.Bgl-GFP-Bam由来のGFP配列を、BglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2.cass(図3、実施例11を参照のこと)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.GFP.BGI2を作製し、および(ii)プラスミドpCR.Bgl-GFP-Bam由来のGFP配列を、BglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.GFP.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.GFP.BGI2.PFGを作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.EGFP
プラスミドpCMV.EGFP(図5)は、CMV-IEプロモーター配列の制御下で完全なEGFPオープンリーディングフレームを発現することができる。pCMV.EGFPを作製するために、pBluescript.EGFP由来のEGFP配列をBamHIからSacIへの断片としてBglII/SacI消化pCMV.cass(図2、実施例11を参照のこと)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.EGFPを作製した。
プラスミドpCMVpur.BGI2.cass
プラスミドpCMVpur.BGI2.cass(図6)は、pCMV.BGI2.cass(図3)においてピューロマイシン耐性選択マーカー遺伝子を含み、これをこれらの実験の対照として用いる。pCMVpur.BGI2.cassを作製するために、TOPO.PUR(実施例10)由来のピューロマイシン耐性遺伝子をAflII断片としてAflII-消化pCMV.BGI2.cassにクローニングした。
プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFG
プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFG(図7)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されているEGFPオープンリーディングフレームの内部領域の逆方向反復または回文、およびピューロマイシン耐性選択マーカー遺伝子を含む。プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFGは、TOPO.PUR(実施例10)由来のピューロマイシン耐性遺伝子を、AflII断片としてAflII-消化pCMV.GFP.BGI2.PFGにクローニングすることによって構築した。
3.共抑制表現型の検出
(a)EGFP発現導入遺伝子のPK-1細胞への挿入
形質転換は6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、DMEM、10%v/v FBS2ml中にPK-1細胞4×104個を播種して、単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間、37℃、5%v/vCO2でインキュベートした。
プレート1枚(6ウェル)を形質転換するために、pCMV.EGFP(図5)プラスミドDNA 12 μgおよびジーンポーター2(商標)(ジーンセラピーシステムズ)108 μlをOpti-MEM-I(登録商標)に希釈して、最終容量6mlを得て、室温で45分間インキュベートした。
組織増殖培地を各ウェルから除去して、その中の単層を1×PBS1mlによって洗浄した。各ウェルの単層にプラスミドDNA/ジーンポーター2(商標)結合体1mlを重層して、37℃、5%v/v CO2で4.5時間インキュベートした。
20%v/v FBSを添加したOpti-MEM-I(登録商標)(1ml)を各ウェルに加えて、容器をさらに24時間インキュベートし、その時点で単層を1×PBSによって洗浄して、培地を10%v/v FBSを含む新鮮なDMEM2mlに交換した。pCMV.EGFPによって形質転換した細胞を、24〜48時間後に波長500〜550 nmで蛍光顕微鏡を用いて一過性のEGFP発現に関して調べた。
トランスフェクションの48時間後に、培地を除去して、細胞単層を1×PBSによって洗浄し、1.5 mg/mlジェネテシン(ライフテクノロジーズ)を添加した10%v/v FBSを含む新鮮なDMEM4mlを各ウェルに加えた。ジェネテシンは安定に形質転換した細胞株を選択するために培地に含めた。DMEM、10%v/v FBS、1.5 mg/mlジェネテシン培地を48〜72時間毎に交換した。選択の21日後、安定なEGFP発現PK-1コロニーが出現した。
安定にトランスフェクトしたPK-1細胞の個々のコロニーは、先の実施例10の一般技術に記載したようにクローニング、維持、および保存した。
多くの親細胞株をpCMV.EGFPによって形質転換した。これらの多くにおいて、GFP発現は、表2に記載のように、かつ図9A、9B、9C、および9Dに示すように、極めて低いかまたは完全に検出不可能であった。
Figure 2011229542
これらのデータは、GFPの不活化が、異なる3つの種から確立された異なる型の細胞株においてしばしば起こることを示した。
(b)PK-1細胞におけるEGFP発現導入遺伝子の転写後のサイレンシング
EGFP発現導入遺伝子の転写後のサイレンシングの開始を調べるために、安定なEGFP発現PK-1細胞株(PK-1/EGFP)12個に由来する細胞に、構築物プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFG(図7)をトランスフェクトした。二つの対照を含めた。第一の対照は、プラスミドpCMVpur.BGI2.cass(図6)で形質転換した、安定な各株の複製であった。第二の対照はトランスフェクトしていないPK-1/EGFP株の複製であった。
プラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFGおよびプラスミドpCMVpur.BGI2.cassによるPK-1細胞の形質転換は、(a)と同じ方法を用いて、6ウェル組織培養容器において同じものを3通行った。
トランスフェクションの48時間後に培地を除去して、細胞単層をPBSによって洗浄し(上記のように)、10%v/v FBSおよび1mg/mlジェネチシン(GGM)を含む新鮮なDMEM4mlを細胞の各ウェルに加えた。さらに、細胞にpCMVpur.BGI2.cassまたはpCMVpur.GFP.BGI2.PFGのいずれかをトランスフェクトする場合、GGMに1.0 μg/mlピューロマイシンをさらに添加し;ピューロマイシンは安定に形質転換した細胞株を選択するために培地に含めた。選択の21日後、共形質転換したサイレンシングコロニーが出現した。トランスフェクション後、EGFP発現表現型が存在しないことによって示されるPTGSの存在に関して全ての細胞を顕微鏡下で調べたところ、pCMVpur.GFP.BGI2.PFGによって形質転換した細胞ではPTGSを認め、pCMVpur.BGI2.cassによって形質転換した細胞またはトランスフェクトした同じ対照では認めなかった。
3.核転写ランオンアッセイ法による分析
PK-1細胞の核における導入遺伝子RNAの転写を検出するために、活発に分裂する細胞から単離した細胞不含核について核転写ランオンアッセイを行う。核は実施例10に述べた細胞核単離プロトコールに従って得る。
トランスフェクトしたプラスミドpCMV.EGFP由来の導入遺伝子EGFPおよび共トランスフェクトしたプラスミドpCMVpur.GFP.BGI2.PFG由来の導入遺伝子GFP.BGI2.PFGの核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載した核転写ランオンアッセイ法に従って実施する。
分析した全てのPK-1細胞の核における転写速度は、プラスミドpCMV.EGFPでまたは導入遺伝子GFP.BGI2.PFGでトランスフェクトしても、非トランスフェクトPK-1/EGFP対照株またはプラスミドpCMVpur.BGI2.cassで形質転換した対照株のいずれかの核において認められる速度と実質的に差がない。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
プラスミドpCMV.EGFP由来のEGFPのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子GFP.BGI2.PFGから転写したRNAは、先の実施例10に記載したプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックPK-1細胞株(トランスフェクトおよび共トランスフェクト)をサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認して、そのコピー数を決定する。方法は、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。例は図8で例示する。
実施例13
インビトロでのメイディン・ダービー・ウシ腎型CRIB-1細胞におけるウシエンテロウイルスの共抑制
1.細胞株の培養
CRIB-1細胞(ウシ腎上皮細胞由来)は、先の実施例10に記載のように、10%v/vドナー仔ウシ血清(DCS;ライフテクノロジーズ)を添加したDMEMを用いて接着単層として増殖した。細胞は常に、5%v/v CO2を含む大気中で37℃のインキュベータ内で増殖させた。
2.遺伝子構築物の調製
(a) 暫定プラスミド
プラスミドpCR.BEV2
完全なウシエンテロウイルス(BEV)RNAポリメラーゼコード領域は、以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いて、これをコードする完全長のcDNAクローンから増幅した。プライマーBEV-1は、4〜9位までの位置でBglII制限エンドヌクレアーゼ部位および16〜18位までの位置でATG開始部位を含む。プライマーBEV-3は、5〜10位までの位置でBamHI制限酵素部位を含み、11〜13位までの位置でTAA翻訳停止シグナルの相補を含む。その結果、翻訳開始シグナルおよび翻訳停止シグナルを含むオープンリーディングフレームは、BglIIとBamHI制限部位の間に含まれる。増幅された断片をpCR2.1にクローニングして、プラスミドpCR.BEV2を作製した。
プラスミドpBS.PFGE
プラスミドpBS.PFGEは、pBluescript II SK+のポリリンカーにクローニングしたpEGFP-N1由来のEGFPコード配列を含む。このプラスミドを作製するために、pEGFP-N1由来のEGFPコード配列を、NotIからSacIへの断片としてNotI/SacI-消化pBluescript II SK+にクローニングした。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.EGFP
プラスミドpCMV.EGFP(図5)は、完全なEGFPオープンリーディングフレームを発現することができ、陽性トランスフェクション対照として本実施例および後の実施例において用いる(実施例12、2(b)を参照のこと)。
プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEB
プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEB(図10)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されている、BEVポリメラーゼコード領域の逆方向反復配列または回文を含む。プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEBは、一連の段階によって構築した:(i)プラスミドpCR.BEV2由来のBEV2配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2.cass(実施例11)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BEV2.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドpCR.BEV2由来のBEV2配列を、BglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.BEV2.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEBを作製した。
プラスミドpCMV.BEV.EGFP.VEB
プラスミドpCMV.BEV.EGFP.VEB(図11)は、スタッファー断片として作用するEGFPコード配列によって中断されているBEVポリメラーゼコード領域の逆方向反復配列または回文を含む。このプラスミドを作製するために、pBS.PFGE由来のEGFPコード配列をEcoRI断片として単離して、CMVプロモーターに対してセンス方向にEcoRI消化pCMV.cass.にクローニングして、pCMV.EGFP.cassを作製した。プラスミドpCMV.BEV.EGFP.VEBは、一連の段階によって構築した:(i)プラスミドpCR.BEV2由来のBEVポリメラーゼ配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.EGFP.cassにセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BEV.EGFPを作製し、かつ(ii)プラスミドpCR.BEV2由来のBEVポリメラーゼ配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.BEV.EGFPにアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BEV.EGFP.VEBを作製した。
3.共抑制表現型の検出
(a)CRIB-1細胞へのウシエンテロウイルスRNAポリメラーゼ発現導入遺伝子の挿入
形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、2mlのDMEM、10%v/v DCS中のCRIB-1細胞2×105個を播種して、37℃、5%v/v CO2において単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間インキュベートした。
以下の溶液を10 ml滅菌試験管において調製した:
溶液A:各トランスフェクションに関して、DNA(pCMV.BEV2.BGI2.2VEBまたはpCMV.EGFP-トランスフェクション対照)1μgをOpti-MEM-I(登録商標)血清減少培地(血清不含培地)100 μlに希釈した;および
溶液B:各トランスフェクションに関して、リポフェクトアミン(商標)試薬10μlをOpti-MEM-I(登録商標)血清減少培地(血清不含培地)100 μlに希釈した。
2つの溶液を合わせて、軽く混合し、室温で45分インキュベートして、DNA-リポソーム複合体を形成させた。複合体が形成する間に、CRIB-1細胞をOpti-MEM-I(登録商標)血清減少培地2mlで1回すすいだ。
各トランスフェクションに関して、Opti-MEM-I(登録商標)血清減少培地0.8 mlを、複合体を含む試験管に加えて、試験管を軽く混合し、希釈した複合体溶液をすすいだCRIB-1細胞に重層した。次に、細胞を37℃、5%v/v CO2で16〜24時間インキュベートした。
トランスフェクション混合物を除去して、CRIB-1単層に2mlのDMEM、10%v/v DCSを重層した。細胞を37℃、5%v/v CO2で約48時間インキュベートした。安定な形質転換体を選択するために、培地を72時間毎に4mlのDMEM、10%v/v DCS、0.6 mg/mlジェネチシン培地と交換した。トランスフェクション対照pCMV.EGFPによって形質転換した細胞を、蛍光顕微鏡を用いて波長500〜550 nmで一過性のEGFP発現に関して24〜48時間後に調べた。選択の21日後、安定に形質転換したCRIB-1コロニーが出現した。
安定にトランスフェクトしたCRIB-1細胞の個々のコロニーは、先の実施例10の一般技術に記載のようにクローニング、維持、および保存した。
(b)ウシエンテロウイルス力価の測定
これらの実験において用いたBEV単離体は、クローニング単離体K2577であった。この最初のウイルス保存液の力価は不明であった。この保存液からBEVウイルスを増幅するために、細胞に1ウェルあたりウイルス保存液5μlを感染させ、ウイルスを下記のように48時間複製させた。培養培地をこの時点で採取して、スクリューキャップのついた試験管に移した。死細胞および破片を、シグマ3K18遠心分離機において3,500 rpm、4℃で15分間の遠心分離によって除去した。上清を新しい試験管にデカントして、ベックマンJ2-M1遠心分離機において20,000 rpm、4℃で30分間遠心分離して残っている屑を除去した。上清をデカントして、この新しいBEV保存液の力価を下記のように決定して、4℃で保存した。
絶対値:
6ウェル組織培養プレートにおいて、1ウェルあたり2mlのDMEM、10%v/v DCS培地中のCRIB-1細胞2.5×105個を播種する。細胞を5%v/v CO2を含む大気中で、37℃で、細胞が90〜100%の集密に達するまでインキュベートする。
BEVを血清不含培地DMEMにおいて10-1〜10-9の希釈で希釈する。CRIB-1単層から培地を吸引する。単層に1×PBS2mlを上層して、組織培養容器を軽く揺り動かして単層を洗浄する。単層からPBSを吸引して、1回以上洗浄を繰り返す。
希釈したウイルス溶液(10-4〜10-9)1mlを、すすいだCRIB-1細胞に1つのウェルに1希釈液を1試料あたり2通用いて、直ちに直接加える。CRIB-1細胞をBEVと共に軽く攪拌しながら37℃、5%v/v CO2で1時間インキュベートする。ウイルス接種物を吸引して、感染細胞に栄養寒天(DMEM中の1%ノーブルアガー)3mlを重層する。ノーブルアガーは、2%w/v滅菌蒸留水で構成され、DMEMは2×DMEMである。ノーブルアガーを50℃の水浴中で融解して1時間平衡化する。2×DMEMを37℃の水浴中で15分間平衡化してから使用する。2つの溶液を1:1で混合して、これを用いて感染細胞に重層する。
栄養寒天の重層を凝固させ、反転させて37℃で5%v/v CO2で18〜24時間インキュベートする。インキュベーション後、各ウェルにニュートラルレッドアガー(ニュートラルレッド溶液1.7 ml(ライフテクノロジーズ/100 ml栄養寒天))3mlを感染細胞に重層する。ニュートラルレッドアガー重層を凝固させて、6ウェルプレートにおき、反転させた位置で暗所で37℃、5%v/v CO2で18〜24時間インキュベートする。ニュートラルレッドアガーの添加から24時間後のプラーク数を計数して、BEVウイルス保存液の力価を決定する。
経験値:
24ウェル組織培養プレートにおいて、1ウェルあたりDMEM、10%v/v DCS 800 μl中でCRIB-1細胞4×104個を播種した。細胞を37℃で5%v/v CO2を含む大気中で90〜100%の集密になるまでインキュベートした。
濃縮したBEVウイルス保存液から、BEVを10-1〜10-9の希釈で血清不含DMEMにおいて希釈した。培地をCRIB-1単層から吸引して、単層に1×PBS 800 μlを重層して、組織培養容器を軽く揺り動かして洗浄した。PBSを単層から吸引して洗浄を繰り返した。
希釈したウイルス溶液(10-3〜10-9)200 μlを、1ウェルあたり1希釈液を2通用いて、すすいだCRIB-1細胞に直ちに直接加えた。CRIB-1細胞をBEVと共に、37℃、5%v/v CO2で24時間インキュベートして、各ウェルを細胞溶解に関して顕微鏡下で調べた。さらに600 μlの血清不含DMEMを各ウェルに加えた。さらに24時間後、各ウェルを細胞溶解に関して顕微鏡下で調べた。正しい希釈は、24時間後にCRIB-1細胞のほとんどを殺し、48時間後に全ての細胞を殺す最小ウイルス濃度である。
(c)プラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEBによって形質転換したCRIB-1細胞のウシ
エンテロウイルス攻撃
24ウェル組織培養プレートにおいて、1ウェルあたり800 μlのDMEM、10%v/v DCS 中のCRIB-1細胞4×104個を3通播種した。細胞を5%v/v CO2を含む大気中で37℃で90〜100%の集密になるまでインキュベートした。
濃縮したBEVウイルス保存液から、BEVウイルスを、絶対的または経験的な測定によって決定した正しい希釈で血清不含DMEMに希釈した。さらに、BEVウイルス保存液を、正しい希釈倍数(経験的に10-4〜10-6)より1対数上または下に希釈した。培地をCRIB-1単層から吸引して、単層に1×PBS 800 μlを重層して、組織培養容器を軽く揺り動かして洗浄した。PBSを単層から吸引して、洗浄を繰り返した。
希釈したウイルス溶液(1複製あたり1希釈液)200 μlを、すすいだCRIB-1細胞に直ちに直接加えた。細胞をBEVと共に、37℃、5%v/v CO2で24時間インキュベートして、各ウェルを細胞溶解に関して顕微鏡下で調べた。血清不含DMEM 600 μlをさらに各ウェルに加えた。さらに24時間後、各ウェルを細胞溶解に関して顕微鏡下で調べた。
導入遺伝子(BEV2.BGI2.2VEB)の転写は、ウイルス複製にとって必要なBEV RNAポリメラーゼ遺伝子の転写後の遺伝子サイレンシングを誘導した。BEV-RNAポリメラーゼ遺伝子のサイレンシングは、ウシエンテロウイルスによる感染症に対する耐性を誘導する。これらの細胞株は、ウイルスの存在下でも絶えず分裂して増殖し続けるのに対し、対照細胞は48時間以内に死滅する。ウイルス耐性細胞をさらなる分析のために用いる。
(d)CRIB-1ウイルス耐性細胞株の作製
pCMV.BEV.EGFP.VEBまたはpCMV.BEV2.BGI2.2VEBによって形質転換した細胞が、BEV感染症に対して耐性であるか否かを決定するために、形質転換細胞株をBEVの希釈液で攻撃して、生存をモニターした。これらのアッセイにおける固有の変動を克服するために、多数回の攻撃を行い、一貫してウイルス耐性を示す株をさらなる試験のために単離した。これらの実験結果を、下記の表3および4に示す。
pCMV.BEV.EGFP.VEBをトランスフェクトしたCRIB-1細胞(CRIB-1 EGFP)
Figure 2011229542
-:生存細胞なし
+:細胞の1〜10%が生存
++:細胞の10〜90%が生存
+++:細胞の90%より多くが生存
nd:実施していない
pCMV.BEV2.BGI2.2VEBをトランスフェクトしたCRIB-1細胞(CRIB-1 BGI2)
Figure 2011229542
-:生存細胞なし
+:細胞の1〜10%が生存
++:細胞の10〜90%が生存
+++:細胞の90%より多くが生存
nd:実施していない
これらのデータはウイルス耐性細胞株がこのように定義されうることを示した。さらに、このウイルス攻撃で生き残った細胞はさらなる分析のために増殖させることができる。
そのような細胞株におけるウイルス耐性の程度をさらに決定するために、細胞株CRIB-1 BGI2 #19および初回の攻撃から生き残った細胞から増殖したウイルス耐性細胞(株CRIB-1 BGI2 #19(tol))を、BEVのより細かい割合の連続希釈を用いてさらに分析した。BEVの3倍連続希釈を用いて、第3章(c)に概要した手順を用いて、同じもの3通の細胞株を感染させた。これらの実験結果を表5に示す。
Figure 2011229542
-:感染後48時間で生存細胞なし
+:感染後48時間で細胞の1〜10%が生存
++:感染後48時間で細胞の10〜90%が生存
+++:感染後48時間で細胞の90%より多くが生存
これらのデータは、細胞株CRIB-1 BGI2 #19およびCRIB-1 BGI2 #19(tol)が、親のCRIB-1細胞株よりもBEVのより高い力価に対して耐性であることを示した。図12A、12B、および12Cは、BEV感染の前と48時間後にCRIB-1とCRIB-1 BGI2 #19(tol)細胞を比較する顕微鏡写真を示す。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
CRIB-1細胞の核における導入遺伝子の転写を検出するために、活発に分裂している細胞から単離した細胞不含核について核転写ランオンアッセイを行う。核は、先の実施例10に記載した細胞株単離プロトコールに従って得る。
トランスフェクトしたプラスミドpCMV.BEV2.BGI2.2VEB由来の導入遺伝子BEV2.BGI2.2VEBの核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載した核転写ランオンプロトコールに従って実施する。
5.非形質転換および共抑制細胞株におけるmRNAの比較
BEV RNAポリメラーゼのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子BEV2.BGI2.2VEBから転写したRNAは、先の実施例10に記載したプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックCRIB-1細胞株をサザンブロット分析によって分析して導入遺伝子が組み入れられていることを確認して、そのコピー数を決定する。手順は先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
実施例14
インビトロでのマウスB16型細胞におけるチロシナーゼの共抑制
1.細胞株の培養
マウス黒色種(ATCC CRL-6322)に由来するB16細胞を、先の実施例10に記載したように10%v/v FBSを添加したRPMI 1640を用いて接着単層として増殖させた。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドTOPO.TYR
総RNAを培養マウスB16黒色種細胞から精製して、cDNAを実施例11に記載のように調製した。
マウスチロシナーゼ遺伝子の領域を増幅するために、この混合物2μlを以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いるPCR増幅のための基質として用いた。PCR増幅は、ホットスターTaq DNAポリメラーゼを製造元のプロトコール(キアゲン)に従って用いて実施した。PCR増幅条件は、95℃で15分の初回活性化段階の後、94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で60秒を35増幅サイクル、および72℃で4分間の最終伸長段階を含んだ。
チロシナーゼのPCR増幅領域をカラム精製して(PCR精製カラム、キアゲン)、その後製造元の説明書(インビトロゲン)に従って、pCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.TYRを作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.EGFP
プラスミドpCMV.EGFP(図5)は、完全なEGFPオープンリーディングフレームを発現することができ、陽性トランスフェクション対照として本実施例およびその後の実施例において用いる(実施例12、2(b)を参照のこと)。
プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYT
プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYT(図13)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されている、マウスチロシナーゼ遺伝子領域の逆方向反復配列または回文を含む。プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYTは、一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOYO.TYR由来のTYR配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.TYR.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOYO.TYR由来のTYR配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.TYR.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYTを作製した。
プラスミドpCMV.TYR
プラスミドpCMV.TYR(図14)は、その発現がCMVプロモーターによって駆動されるマウスチロシナーゼcDNA配列の単一のコピーを含む。プラスミドpCMV.TYRは、プラスミドTOPO.TYR由来のTYR配列をBamHI-to-BglII断片としてBamHI-消化pCMV.cassにクローニングして、CMVプロモーターに対してセンス方向にTYR配列を含むプラスミドを選択することによって構築した。
プラスミドpCMV.TYR.TYR
プラスミドpCMV.TYR.TYR(図15)は、その発現がCMVプロモーターによって駆動される、マウスチロシナーゼcDNA配列の直接反復配列を含む。プラスミドpCMV.TYR.TYRは、プラスミドTOPO.TYR由来のTYR配列をBamHI-to-BglII断片としてBamHI-消化pCMV.CYRにクローニングして、CMVプロモーターに対してセンス方向に第二のTYR配列を含むプラスミドを選択することによって構築した。
3.共抑制表現型の検出
(a)マウス黒色腫B16細胞へのチロシナーゼ遺伝子領域の挿入による、チロシナーゼのPTGSを介するメラニン色素沈着の減少
チロシナーゼは、哺乳類における色素沈着を制御する主な酵素である。遺伝子が不活化されると、メラニンは色素沈着B16黒色腫細胞によってもはや産生されない。これは、アルビノ動物に起こるのと本質的に同じ過程である。
形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに2mlのRPMI 1640、10%v/v FBS中の細胞1×105個を播種して、37℃、5%v/v CO2で単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間インキュベートした。
その後の手順は、B16細胞をDNAリポソーム複合体と共に37℃、5%v/v CO2で3〜4時間のみインキュベートしたことを除いては、実施例13、3(a)に記載通りであった。
安定にトランスフェクトしたB16細胞の個々のコロニーは、先の実施例10に記載したようにクローニングし、維持し、かつ保存した。
pCMV.TYR.BGI2.RYTによって安定に形質転換されたクローン36個、pCMV.TYRによって安定に形質転換されたクローン34個、およびpCMV.TYR.TYRによって安定に形質転換したクローン37個をその後の分析のために選択した。
内因性チロシナーゼ遺伝子が転写後にサイレントにする場合、B16細胞におけるメラニン産生は減少する。通常暗褐色の色素を含むように思われるB16細胞は、この時点では軽度の色素沈着または色素沈着のように見えると考えられる。
(b)形質転換B16細胞株におけるメラニン産生の視覚的モニタリング
形質転換細胞株のメラニン含有量をモニターするために、細胞をトリプシン処理して、トリプシン活性を阻害するためにFBSを含む培地に移した。次に細胞を血球計数盤によって計数して、細胞2×106個を微量遠心管に移した。細胞を、2,500 rpmでの室温で3分間の遠心分離によって回収し、ペレットを肉眼で調べた。
pCMV.TYR.BGI2.RYTによって形質転換したクローン5個、すなわちB16.2 1.11、B16 3.1.4、B16 3.1.15、B16.4.12.2、およびB16.4.12.3は、B16対照よりかなり色が薄かった(図16)。pCMV.TYRによって形質転換したクローン4個(B16+Tyr 2.3、B16+Tyr 2.9、B16+Tyr 3.3、B16+Tyr 3.7、およびB16+Tyr 4.10)、およびpCMV.TYR.TYRによって形質転換したクローン5個(B16+TyrTyr 1.1、B16+TyrTyr 2.9、B16+TyrTYr 3.7、B16+TyrTyr 3.13、およびB16+TyrTyr 4.4)も同様にB16対照より有意に色が薄かった。
(c)シュモルルに従う染色によるメラニンの同定
細胞メラニンの存在に関する特異的診断は、改変シュモルルメラニン染色法(Koss, L.G.、1979、Diagnostic Cytology J.B. リッピンコット、フィラデルフィア)を用いて行うことができる。この方法を用いて、細胞におけるメラニンの存在は、メラニンを緑がかった黒色色素に変換する特異的染色技法によって検出する。
染色すべき細胞集団は、RPMI 1640培地1mlあたり細胞500,000個の濃度で再懸濁した。容量200 μlを、表面を滅菌した顕微鏡スライドガラス上に滴下して、スライドガラスを100 mm TC皿において湿潤大気中で37℃で、細胞が堅固に接着するまでインキュベートした。培地を除去して、細胞を、加熱ブロック上で37℃で30分間風乾させて固定した後、4%w/vパラホルムアルデヒド(シグマ)のPBS溶液によって1時間後固定した。96%v/vエタノールの蒸留水溶液、70%v/vエタノール、50%v/vエタノールの後に蒸留水に固定細胞を浸すことによって水和した。接着細胞を有するスライドガラスを硫酸第一鉄溶液[2.5%w/v硫酸第一鉄水溶液]において1時間放置した後、蒸留水を4回交換して各1分間すすいだ。スライドガラスを、フェリシアン化カリウム[1%(w/v)フェリシアン化カリウムの1(v/v)酢酸の蒸留水溶液]溶液中で30分放置した。スライドガラスを1%v/v酢酸(15回浸す)に浸した後、蒸留水に浸した(15回浸す)。
細胞を核ファストレッド(Nuclear Fast Red)調製物において1〜2分間染色した[5%w/v硫酸アンモニウム水溶液において加熱して溶解した、0.1%w/v核ファストレッド(C.I. 60760シグマ N 8002)]。スライドガラス上の固定および染色細胞は、蒸留水に浸すことによって洗浄した(15回浸す)。カバーガラスをグリセロール/DABCO[25 mg/ml DABCO(1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(シグマ D 2522))の80%v/vグリセロールPBS溶液]中でスライドガラスに載せた。細胞を100倍の油浸対物レンズを用いて明視野顕微鏡によって調べた。
シュモルル染色による染色の結果は、全ての細胞株に関して図16に示す単純な視覚データと相関した。B16細胞を技法によって染色すると、メラニンはほとんどの細胞において明白であった。対照的に、形質転換株B16 2.1.11、B16 3.1.4、B16 3.1.15、B16 4.12.2、B16 4.12.3、B16 Tyr2.3、B16 Tyr 2.9、B16 Tyr 4.10、B16 TyrTyr 1.1、B16 TyrTyr 2.9、およびB16 TyrTyr 3.7ではメラニンに関して染色された細胞はより少なく、これらの細胞株において認められた総チロシナーゼ活性の減少と一致した。
(d)形質転換細胞株におけるチロシナーゼ酵素活性をアッセイする
チロシナーゼは、メラニン合成の最初の2つの段階を触媒する:チロシンのドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)へのヒドロキシル化、およびドーパからドーパキノンへの酸化。チロシナーゼは、そのドーパオキシダーゼ活性として測定することができる。このアッセイは、ベストーン(Besthorn)のヒドラゾン(塩酸3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン、MBTH)を用いて、L-ドーパの酸化によって形成されたドーパキノンを捕獲する。アッセイ混合物にN,N'-ジメチルホルムアミドが低濃度で存在すれば、MBTHが可溶性となり、この方法を、pH値の範囲にわたって用いることができる。MBTHはミカエル付加反応によってドーパキノンと反応し、暗ピンク色の産物を形成し、その存在は、分光光度計またはプレートリーダーを用いてモニターされる。MBTHとドーパキノロンとの反応は、L-ドーパの酵素触媒酸化と比較して非常に迅速であると仮定される。ピンク色素の産生速度は、酵素活性の定量的測定として用いることができる(WinderおよびHarris)、1991;Dutkiewiczら、2000)。
B16細胞および形質転換B16細胞株を、96ウェルプレートの個々のウェルに同じもの3通で播種した。一定数の細胞(25,000個)を個々のウェルに移し、細胞を一晩インキュベートした。チロシナーゼアッセイは、24または48時間インキュベーションのいずれかの後に下記のように実施した。
個々のウェルをPBS 200 μlおよび0.5%v/vトリトンX-100の50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.9)20 μlを各ウェルに加えた。細胞溶解および可溶化は、-70℃で30分間プレートを凍結融解した後、室温で25分および37℃で5分インキュベートすることによって行った。
チロシナーゼ活性は、新しく調製したアッセイ緩衝液(6.3 mM MBTH、1.1 mM L-ドーパ、4%v/v N,N'-ジメチルホルムアミドの48 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.1))190 μlを各ウェルに加えることによってアッセイした。色の形成は、テカンプレートリーダーにおいて505 nmでモニターし、X/スキャンソフトウェアを用いてデータを収集した。読みとりは一定の時間間隔で行い、反応は室温、一般的に22℃でモニターした。結果を、同じ試料3通で測定した酵素活性の平均値として計算した。データを分析して、産物の形成が直線である初期の時点、一般的に2〜12分でチロシナーゼ活性を推定した。これらの実験からの結果を下記の表6および7に示す。
Figure 2011229542
Figure 2011229542
これらのデータは、チロシナーゼ酵素活性が構築物pCMV.TYR.BGI2.RYT、pCMV.TYRおよびpCMV.TYR.TYRによって形質転換した株において阻害されたことを示した。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
B16細胞の核における導入遺伝子RNAの転写を検出するために、活発に分裂しつつある細胞から単離した核について核転写ランオンアッセイを行った。核は、先の実施例10に記載した細胞核単離プロトコールに従って得た。
トランスフェクトしたプラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYT由来の導入遺伝子TYR.BGI2.RYTおよび内因性チロシナーゼ遺伝子の核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載の核転写ランオンプロトコールに従って行う。
B16細胞ならびに形質転換株B16 3.1.4およびB16 TyrTyr1.1における内因性チロシナーゼ遺伝子の転写速度を推定するために、核転写ランオンアッセイを、活発に分裂する細胞から単離した核について行った。核は、先の実施例10に記載した細胞核単離プロトコールに従って得て、ランオン転写物は、実施例10に概要するようにビオチンによって標識して、ストレプトアビジン捕獲を用いて精製した。
細胞株における内因性チロシナーゼ遺伝子の転写速度を決定するために、核ランオンアッセイから単離したビオチン標識チロシナーゼ転写物の量を、リアルタイムPCR反応を用いて定量した。内因性チロシナーゼ遺伝子の相対的転写速度は、ビオチン標識チロシナーゼRNAのレベルを、広汎に発現される内因性転写物、すなわちマウスグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のレベルと比較することによって推定した。
内因性チロシナーゼとマウスGAPDH遺伝子の双方の発現レベルは、二本鎖PCR反応において決定した。これらのデータの定量的解釈を行うために、B16細胞から単離したオリゴdT-精製RNAを用いて標準曲線を作製した。ダイナビーズmRNA DIRECTマイクロキットを用いて製造元の説明書(Dynal)に従ってオリゴdT-精製を行った。これらの分析の結果を表8に示す。
Figure 2011229542
これらのデータは、pCMV.TYR.BGI2.RYTおよびpCMV.TYR.TYRによってそれぞれ形質転換した、2つのサイレンシングB16細胞株B16 3.1.4およびB16 TyrTyr 1.1の核における内因性チロシナーゼ遺伝子からの転写速度が、非形質転換B16細胞の核におけるチロシナーゼ遺伝子の転写速度とは有意差を示さないことを明らかに示している。
5.非形質転換および共抑制細胞株におけるmRNAの比較
内因性チロシナーゼのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子TYR.BGI2.RYTから転写されるRNAを、先の実施例10に記載のプロトコールに従って分析する。
B16および形質転換株におけるチロシナーゼmRNAレベルの正確な推定値を得るために、リアルタイムPCR反応を用いた。これらの分析からの結果を表9に示す。
Figure 2011229542
これらのデータは、pCMV.TYR.BGI2.RYTおよびpCMV.TYR.TYRによってそれぞれ形質転換した2つのサイレンシングB16細胞株B16 3.1.4およびB16 TyrTyr 1.1におけるチロシナーゼmRNA(ポリ(A)RNAとして)レベルが、非形質転換B16細胞におけるチロシナーゼmRNAレベルとは有意差を示さないことを明らかに示している。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックB16細胞株をサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認して、そのコピー数を決定する。手順は、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
実施例15
インビボでのハツカネズミ(Mus musculus)株C57BL/6およびC57BL/6×DB1ハイブリッドにおけるチロシナーゼの共抑制
1.構築物の調製
暫定プラスミドTOPO.TYRおよび試験プラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYTは、先の実施例14に記載のように調製した。
2.トランスジェニックマウスの作製
トランスジェニックマウスは、受精卵の前核の遺伝子改変によって作製した。卵管から単離した後、受精卵を注入顕微鏡に載せて、精製DNA溶液の形での導入遺伝子を最もよく認識できる前核に注入した(米国特許第4,873,191号)。
妊娠を模倣するホルモン段階に誘導することによって、「レシピエント母親」として働く偽妊娠雌性マウスを作製した。次に、注入した受精卵を、生存率を評価するために一晩培養するか、または偽妊娠レシピエントの卵管に直ちに戻した。注入した受精卵421個中、255個を移した。これらの注入によって得られたトランスジェニック子孫は、「創始動物(founder)」と呼ばれる。導入遺伝子がマウスゲノムに組み入れられていることを決定するために、離乳後に子孫の遺伝子型を決定する。遺伝子タイピングは、尾の生検から精製したゲノムDNAのPCRおよび/またはサザンブロット分析によって行った。
次に創始動物を交配させて、トランスジェニック株の確立を開始する。各血統は、導入遺伝子のコピー数および/または染色体の位置が異なるために、創始動物およびその子孫は異なる血統として維持する。したがって、前核注入によって作製したトランスジェニックマウスはそれぞれが、新しい株の創始動物である。創始動物が雌である場合、最初の同腹子のいくつかの仔を、導入遺伝子の伝幡に関して分析する。
3.共抑制表現型の検出
成功したトランスジェニックマウスの認識できる表示は、外皮の色の変化である。皮膚細胞生検は、トランスジェニックマウスから採取して、標準的な方法によってメラノサイトの初代培養として培養する(Bennettら、1989;Spanakisら、1992;Sviderskayaら、1995)。
成体マウスの生検領域の毛を刈って、皮膚表面を70%v/vエタノールによって滅菌し、PBSによってすすいだ。皮膚生検は、滅菌条件で採取する。新生児マウスからの皮膚の採取は、動物の屠殺後に行い、これを70%v/vエタノール中で滅菌してPBS中ですすぐ。皮膚試料を滅菌条件で解剖する。
生検は全て6ウェルプレートにおいてPBS中に保存する。単細胞懸濁液を得るために、PBSをピペットで除去して、皮膚生検を2本のメスで小片(2×5mm)に切断して、2×トリプシン(5mg/ml)のPBS溶液中で37℃で、新生児試料に関しては約1時間、そして成体皮膚の試料(2.5 ml中に0.5 g)に関しては1×トリプシン(2.5 mg/ml)中で4℃で最長15時間インキュベートする。この消化によって真皮から表皮が分離する。トリプシンをRPMI 1640培地に交換して酵素活性を停止させる。各小片の表皮を細い鉗子(滅菌)によって分離し、単離した表皮試料を回収して1×トリプシンのPBS溶液にプールする。単細胞懸濁液をピペッティングによって調製して、分離した細胞をRPMI 1640培地に回収する。表皮試料のトリプシン処理は繰り返すことができる。プールした表皮細胞を軽く遠心分離して(1000 rpmで3分間)濃縮し、増殖培地[5%v/v FBS、2mM L-グルタミン、20単位/mlペニシリン、20 μg/mlストレプトマイシン+ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)10 ng/ml(16 nM)およびコレラ毒素(CTX)20 ng/ml(1.8 nM)を加えた、RPMI 1640]に再懸濁する。懸濁液をT25フラスコに移して、静かに48時間インキュベートする。培地を交換して、非接着細胞を48時間で除去した。さらに48〜72時間インキュベートした後、培地を捨てて、接着細胞をPBSによって洗浄して、1×トリプシンPBS溶液によって処理する。メラノサイトは、この処置後好ましくは剥がれ、剥がれた細胞を新しいフラスコの新しい培地に移す。
組織培養中のメラノサイトは、その形態からケラチノサイトとは容易に区別される。ケラチノサイトは、丸または多角形の形状を有する;メラノサイトは双極性、または多数の樹状のように見える。メラノサイトは、メラニン顆粒を検出するためにシュモルル法(先の実施例14を参照のこと)によって染色してもよい。さらに、カバーガラス上で増殖した培養試料を、メラノソームに認められる抗原であるMART-1(ネオマーカーMS-614)に対する一次マウスモノクローナル抗体による免疫蛍光標識(先の実施例10参照)によって調べる。この抗体は、上皮、リンパ様、または間葉細胞起源の細胞と交叉反応しない。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
初代培養メラノサイトの核におけるチロシナーゼ内因性遺伝子および導入遺伝子RNAの転写を検出するために、核転写ランオンアッセイを、先の実施例10に述べた細胞株単離プロトコールに従って活発に分裂する細胞から単離した細胞不含核について行う。
チロシナーゼ内因性遺伝子とトランスフェクトしたプラスミドpCMV.TYR.BGI2.RYT由来の導入遺伝子の核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載した核転写ランオンプロトコールに従って行う。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
内因性チロシナーゼのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子TYR.BGI2.RYTから転写したRNAを、先の実施例10に記載のプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
初代培養メラノサイトをサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認して、そのコピー数を決定する。これは、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
実施例16
インビボでのハツカネズミ株C57BL/6におけるα-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)の共抑制
1.遺伝子構築物の調製
(a)プラスミドTOPO.GALT
培養マウス2.3D17神経細胞から総RNAを精製して、cDNAを実施例11に記載のように調製した。
マウスα-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)遺伝子の3'-UTRを増幅するために、この混合物2μlを、以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いるPCR増幅のための基質として用いた。PCR増幅は、製造元のプロトコール(キアゲン)に従って、ホットスターTaq DNAポリメラーゼを用いて行った。PCR増幅条件は、95℃で15分間の初回活性化段階の後、94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で60秒の増幅サイクル35回を行い、最終伸長段階を72℃で4分間行う。
GalTのPCR増幅領域をカラム精製して(PCR精製カラム、キアゲン)、製造元の説明書(インビトロゲン)に従ってpCR2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.GALTを作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAG
プラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAG(図17)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されている、マウス3' UTR GalT遺伝子領域の逆方向反復または回文を含む。プラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAGは、一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.GALT由来のGALT配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.GALT.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.GALT由来のGALT配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.GALT.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAGを作製した。
2.トランスジェニックマウスの作製
トランスジェニックマウスは、受精卵の前核の遺伝子改変によって作製した。卵管から単離した後、受精卵を注入用顕微鏡に載せて、精製DNA溶液の形での導入遺伝子を最もよく認識できる前核に注入した(米国特許第4,873,191号)。
妊娠を模倣するホルモン段階に誘導することによって、「レシピエント母親」としての役割を果たす偽妊娠雌性マウスを作製した。次に、注入した受精卵を、生存率を評価するために一晩培養するか、または偽妊娠レシピエントの卵管に直ちに戻した。注入した受精卵99個中、25個を移した。これらの注入によって得られたトランスジェニック子孫は、「創始動物」と呼ばれる。導入遺伝子がマウスゲノムに組み入れられていることを決定するために、離乳後に子孫の遺伝子型を決定する。遺伝子タイピングは、尾の生検から精製したゲノムDNAのPCRおよび/またはサザンブロット分析によって行った。
次に創始動物を交配させて、トランスジェニック株の確立を開始する。創始動物およびその子孫は、各血統の導入遺伝子のコピー数および/または染色体の位置が異なるために、異なる血統として維持する。したがって、前核注入によって作製したトランスジェニックマウスはそれぞれが、新しい株の創始動物である。創始動物が雌である場合、最初の同腹子のいくつかの仔を、導入遺伝子の伝幡に関して分析する。
3.共抑制表現型の検出
酵素α-1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)は、ヒトおよび他の霊長類を除く全ての哺乳類の細胞において細胞表面タンパク質へのガラクトシル糖残基の付加を触媒する。GalTの作用によって可能となるエピトープは、ヒトにおける異種移植片の拒絶の原因である主要な抗原である。FACSを用いた末梢血白血球(PBL)および脾細胞におけるGalT発現レベルの細胞学分析により、遺伝子活性の下方制御が確認される。
トランスジェニックマウス由来の末梢血白血球および脾細胞のFACSによる分析
GalT構築物によって形質転換したトランスジェニックマウスからの細胞を分析するために、末梢血白血球(PBL)および脾細胞に関するFACSアッセイを行う。白血球は、分析にとって最も簡便な組織源であり、これらはPBLまたは脾細胞のいずれかから単離することができる。PBLを単離するために、マウスの眼から採血して血液50〜100 μlをヘパリン加試験管に採取する。NH4Cl緩衝液(0.168 M)による処理によって赤血球(RBC)を溶解してPBLを回収する。
脾細胞を得るため、動物を安楽死させて、脾臓を摘出して、冷浸して上記のようにRBCを溶解する。作製した脾細胞をインターロイキン-2(IL-2、シグマ)
の存在下でインビトロで培養して、短期間T細胞培養を作製する。次に、細胞を4%w/v PFAのPBS溶液において固定する。全ての段階は氷中で行う。GalT活性は、細胞表面タンパク質上のガラクトシル残基に特異的に結合する植物レシチン(IB4;シグマ)を用いて最も都合よく行うことができる。GalTは、ビオチンに結合したIB4を結合させることによって細胞表面上で検出される。次に、白血球をCy5蛍光体に結合したストレプトアビジンによって処理する。もう一つの細胞マーカーであるT細胞特異的糖タンパク質Thy-1は、フルオレセインイソチオシアネート結合抗体(FITC;シグマ)によって標識する。白血球を試薬混合物中で30分間インキュベートして細胞を標識する。洗浄後、細胞をFACSキャン上で分析する(Tearle, R.G.ら、1996)。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
脾細胞の核における導入遺伝子RNAの転写を検出するために、活発に分裂する細胞から単離した細胞不含核について核転写ランオンアッセイを行う。IL-2の存在下で脾細胞をインビトロ培養すると、短期間のT細胞培養物を生じる。核は、実施例10に記載の懸濁細胞培養に関する細胞核単離プロトコールに従って得る。
GalT内因性遺伝子およびトランスフェクトしたプラスミドpCMV.GALT.BGI2.TLAG由来の導入遺伝子の核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載した核転写ランオンプロトコールに従って行う。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
内因性GalTのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子.GALT.BGI2.TLAGから転写されるRNAは、先の実施例10に記載のプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
個々のトランスジェニック脾細胞株をサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認し、そのコピー数を決定する。これは、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
実施例17
インビトロでのNIH/3T3細胞におけるマウスチミジンキナーゼの共抑制
細胞は、2つの経路、すなわち新生合成またはサルベージ合成によってリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを産生する。新生合成はアミノ酸、糖、CO2、およびNH3のような単純な化合物からヌクレオチドを組み立てたものである。プリンおよびピリミジンヌクレオチド、イノシン5'一リン酸(IMP)ならびにウリジン5'-一リン酸(UMP)の前駆体はそれぞれ、この経路によって最初に産生される。IMPおよびチミジン5'-一リン酸の新生合成は、補助因子としてテトラヒドロ葉酸誘導体を必要とし、これらのヌクレオチドの新生合成は、ジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害する葉酸拮抗剤アミノプテリンによって遮断される。サルベージ合成は、遊離の予め合成されたプリン塩基またはチミジンをその対応するヌクレオチド一リン酸(NMP)に変換する酵素反応を意味する。新生合成が遮断されると、サルベージ酵素は細胞を生存させることができるが、予め形成された塩基は培地中に存在する。
哺乳類細胞は通常、チミジンをTMPに変換するチミジンキナーゼ(TK)を含むいくつかのサルベージ酵素を発現する。薬物5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU;シグマ)は、TKを欠損する細胞を選択する。機能的TKを有する細胞では、酵素は、薬物類似体をその対応する5'-一リン酸に変換するが、これはDNAに組み入れられると致死的となる。逆に、TK発現を欠損する細胞は、アミノプテリンとチミジンの双方を含むHAT培地(ライフテクノロジーズ)において増殖することができない。添加剤中の第一の因子は、NMPsの新生合成を遮断し、第二の因子はTKサルベージ経路の基質を提供し、その経路を無傷で有する細胞が生存できるようにする。
1.NIH/3T3細胞株の培養
マウス繊維芽細胞様株NIH/3T3(ATCC CRL-1658)細胞は、先の実施例10に記載したように、10%v/v FBSおよび2mM L-グルタミンを含むDMEMにおいて接着細胞として増殖した。細胞は日常的に、5%v/v CO2を含む大気中で37℃のインキュベータ内で増殖した。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドTOPO.MTK
マウスチミジンキナーゼ遺伝子の領域をマウスcDNAを鋳型として用いてPCRによって増幅した。cDNAはマウス黒色腫株B16から単離した総RNAから調製した。総RNAは先の実施例14に記載のように精製した。マウスチミジンキナーゼ配列は以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いて増幅した。増幅産物をpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして中間体クローンTOPO.MTKを作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTM
プラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTM(図18)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されているマウスチミジンキナーゼの逆方向反復配列または回文を含む。プラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTMは、一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.MTK由来のMTK配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2.cass(実施例11)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.MTK.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.MTK由来のMTK配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.MTK.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTMを作製した。
3.共抑制表現型の検出
(a)NIH/3T3細胞へのTK発現導入遺伝子の挿入
形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに2mlのDMEM、10%v/v FBS中の細胞1×105個を播種して、37℃、5%v/v CO2で単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間インキュベートした。
その後の手順は、NIH/3T3細胞をDNAリポソーム複合体と共に37℃、5%v/v CO2で3〜4時間のみインキュベートしたことを除いては、先の実施例13、3(a)に記載した通りであった。
(b)NIH/3T3細胞におけるマウスTK遺伝子の転写後のサイレンシング
TKのPTGSを有するNIH3T3細胞は、その通常の増殖培地へのBrdU(ネオマーカーズ(NeoMarkers))の100 μg/mlレベルでの付加に耐えることができ、この状態でも複製し続ける。類似に処理した対照NIH/3T3細胞集団は、複製をやめて、細胞数はBrdU含有培地の7日間培養後も増加しない。対照NIH/3T3細胞は、1×HAT添加剤を含む増殖培地では複製することができるが、TKのPTGSを有する細胞はこれらの条件では増殖することができない。TKのPTGSのさらなる証拠は、BrdUに対するモノクローナル抗体を用いる細胞の免疫蛍光染色(先の実施例10を参照)によって、核におけるBrdUの取り込みをモニターすることによって得られる。全ての基準、すなわち(i)BrdUの致死作用に対する耐性;(ii)ヌクレオチドサルベージ経路の喪失;および(iii)核におけるBrdU組み込みの欠損、を満たすクローンに、核転写ランオンアッセイによるPTGSの直接試験を行う。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
NIH/3T3細胞の核における導入遺伝子RNAの転写を検出するために、活発に分裂する細胞から単離した細胞不含核について核転写ランオンアッセイを行う。核は、先の実施例10に記載の細胞核単離プロトコールに従って得る。
トランスフェクトしたプラスミドpCMV.MTK.BGI2.KTM由来の導入遺伝子MTK.BGI2.KTMおよび内因性TK遺伝子の核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載した核転写ランオンプロトコールに従って行う。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
内因性TKのメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子MTK.BGI2.KTMから転写されるRNAは、先の実施例10に記載したプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックNIH/3T3細胞株をサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認し、そのコピー数を決定する。手順は、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
実施例18
インビトロでのMDA-MB-468細胞におけるHER-2の共抑制
HER-2(neuおよびerb-2とも呼ばれる)は、低レベルで構成的に活性化され、過剰発現されると強力な腫瘍形成活性を示す、185 kDaの膜貫通受容体チロシンキナーゼをコードする。HER-2タンパク質の過剰発現は、浸潤性ヒト乳癌の約30%に起こる。HER-2の生物学的機能は、十分に理解されていない。これは、上皮細胞増殖因子受容体ファミリーの他のメンバーと共通の構造的構築を有し、類似のシグナル伝達経路に関係して、細胞骨格の再構築、細胞の運動性、プロテアーゼ発現および細胞接着の変化に至る可能性がある。乳癌細胞におけるHER-2の過剰発現は、腫瘍発生性、浸潤性、および転移能の増加に至る(Slamonら、1987)。
1.細胞株の培養
ヒトMDA-MB-468細胞は、10%v/v FBSを添加したRPMI 1640において培養した。細胞は、先の実施例10に記載したように、トリプシンによる処理によって細胞を剥離させ、培養物の一部を新しい培地に移すことによって、1週間に2回継代した。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドTOPO.HER-2
ヒトHER-2遺伝子の領域を、ヒトcDNAを鋳型として用いるPCRによって増幅した。cDNAは、ヒト乳腺腫瘍株、SK-BR-3から単離した総RNAから調製した。総RNAは、先の実施例14に記載のように精製した。ヒトHER-2配列は以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いて増幅した。増幅産物を、pCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、中間体クローンTOPO.HER-2を作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.HER2.BGI2.2REH
プラスミドpCMV.HER2.BGI2.2REH(図19)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されている、HER-2コード領域の逆方向反復配列または回文を含む。プラスミドpCMV.HER2.BGI2.2REHは、一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.HER2由来のHER2配列をSalI/XhoI断片としてSalI-消化pCMV.BGI2.cass(実施例11)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.HER2.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.HER2由来のHER2配列をSalI/XhoI断片としてXhoI-消化pCMV.HER2.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.HER2.BGI2.2REHを作製した。
3.共抑制の開始の測定
(a)HER-2構築物のトランスフェクション
形質転換は6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、2mlのRPMI 1640、10%v/v FBS中のMDA-MB-468細胞4×105個を播種して、37℃、5%v/v CO2で単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間インキュベートした。
その後の手順は、MDA-MD-468細胞をDNAリポソーム複合体と共に37℃、5%v/v CO2で3〜4時間のみインキュベートすることを除いて、先の実施例13、3(a)に記載したとおりであった。形質転換細胞株36個をその後の分析のために単離した。
(b)MDA-MB-468細胞におけるHER-2の転写後のサイレンシング
MDA-MB-468細胞はHER-2を過剰発現し、この細胞株に由来するジェネチシン選択クローンにおける遺伝子のPTGSは、HER-2タンパク質(トランスダクションラボラトリーズ(Transduction Laboratories)およびネオマーカーズ)の細胞外ドメインに対する一次マウスモノクローナル抗体によるクローン(実施例10を参照のこと)の免疫蛍光標識によって、主に試験する。(i)MDA-MB-468細胞;(ii)遺伝子のPTGSの証拠を示すクローン;および(iii)対照ヒト細胞株、におけるHER-2タンパク質レベルの比較は、抗HER-2抗体によるウェスタンブロット分析(下記参照)によって行う。HER-2タンパク質発現の非存在の基準を満たすクローンに、核転写ランオンアッセイによるPTGSの直接試験を行う。
MDA-MB-468細胞および形質転換株におけるHER-2発現を分析するために、実施例10に記載した免疫蛍光標識を用いて細胞を調べた。一次抗体は、400倍希釈で用いたマウス抗erb-B2モノクローナル抗体(トランスダクションラボラトリーズ、カタログ番号E19420、IgG2bアイソタイプ);二次抗体は、100倍希釈で用いたアレクサフルオロ488ヤギ抗マウスIgG(H+L)結合体(モレキュラープローブズ、カタログ番号A-11001)であった。陰性対照として、MDA-MB-468細胞(親および形質転換株)を、アレクサフルオロ488ヤギ抗マウスIgG(H+L)結合体のみをプローブとして調べた。
プラスミドpCMV.HER2.BGI2.2REHによって形質転換したいくつかのMDA-MB-468細胞株は、免疫蛍光の減少を示すことが判明し、その例を図20A、20B、20C、および20Dに示す。
(c)Her-2発現の減少を示す細胞株を定義するためのFACS分析
形質転換細胞株におけるHER-2の発現レベルを決定するために、6ウェルプレートにおいて増殖させた細胞約500,000個を1×PBSによって2回洗浄した後、製造元の説明書(シグマ)に従って細胞解離溶液(シグマ C 5789)500 μlで解離した。細胞を微量遠心管中の培地に移し、2,500 rpmで3分間の遠心分離によって回収した。上清を除去して、1×PBS1mlに再懸濁した。
固定するために、細胞を上記のように遠心分離によって回収して、PBA (1×PBS、0.1%w/v BSA分画V(トレース)および0.1%w/vアジ化ナトリウム)50μlに懸濁した後、4%w/vパラホルムアルデヒドの1×PBS溶液250 μlを加えて、4℃で10分間インキュベートした。細胞を可溶化するために、細胞を10,000 rpmで30秒間遠心分離して回収し、上清を除去して、細胞を0.25%w/vサポニン(シグマ S 4521)のPBA溶液50 μlに懸濁して、4℃で10分間インキュベートした。細胞をブロックするために、細胞を10,000 rpmで30秒間遠心分離して集め、上清を除去し、細胞をPBA 、1%v/v FBS 50 μlに懸濁して、4℃で10分間インキュベートした。
HER-2タンパク質を定量するために、固定して可溶化した細胞を100倍希釈した抗erb-B2モノクローナル抗体(トランスダクションラボラトリーズ)の後に、100倍希釈したアレクサフルオロ488ヤギ抗マウスIgG結合体(モレキュラープローブズ)をプローブとして調べた。次に、ベクトン・ディッキンソンFACSキャリバーおよびセルクエストソフトウェア(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))を用いて、細胞をFACSによって分析した。真のバックグラウンド蛍光値を推定するために、染色していないMDA-MB-468細胞を、いずれも100倍希釈した無関係な一次抗体(MART-1、IgG2b抗体(ネオマーカーズ)およびアレクサフルオロ488二次抗体をプローブとして調べた。FACSデータの例を図21A、21B、および21Cに示す。全ての細胞株の分析結果を表10に作製する。
Figure 2011229542
「MDA-MB-468対照1」は、一次抗体によっても二次抗体によっても染色していないMDA-MB-468細胞である。「MDA-MB-468対照2」は、無関係な一次抗体MART-1およびアレクサフルオロ488二次抗体によって染色したMDA-MB-468細胞である。記述のように、他の全ての細胞は、抗erbB2一次抗体およびアレクサフルオロ488二次抗体によって染色した。
これらのデータは、pCMV.HER2.BGI2.2REHによって形質転換したMDA-MB-468細胞では、HER-2タンパク質の発現が有意に減少していることを示した。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
MDA-MB-468細胞の核における導入遺伝子RNAの転写を検出するために、活発に分裂する細胞から単離した細胞不含核について核転写ランオンアッセイを実施する。核は、先の実施例10に記載した細胞核単離プロトコールに従って得る。
導入遺伝子HER2.BGI2.2REHおよび内因性HER-2遺伝子の核RNA転写物の分析は、先の実施例10に記載の核転写ランオンプロトコールに従って行う。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
内因性HER-2遺伝子のメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子HER2.BGI2.2REHから転写されるRNAは、先の実施例10に記載のプロトコールに従って分析する。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックNIH/3T3細胞株を、サザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認し、そのコピー数を決定する。手順は、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
7.ウェスタンブロット分析
選択したクローンおよび対照MDA-MB-468細胞を100 mm TCプレート上でほぼ集密(細胞107個)になるまで一晩培養した。プレート上の細胞をホスファターゼ阻害剤を含む緩衝液(50 mMトリス塩酸、pH 6.8、1mM Na4P2O7、10 mM NaF、20 μM Na2MoO4、1mM Na3VO4)によってまず洗浄した後、100℃に加熱しておいた溶解緩衝液(50 mMトリス塩酸、pH 6.8、1mM Na4P2O7、10 mM NaF、20 μM Na2MoO4、1mM Na3VO4、2%w/v SDS)600 μl中でプレートから剥がした。懸濁液をスクリューキャップ付き試験管において100℃で15分間インキュベートする。溶解した細胞を含む試験管を13,000 rpmで10分間遠心分離して、上清抽出物を除去して-20℃で保存する。
SDS-PAGE 10%v/v分離および5%v/v濃縮用ゲル(0.75 mm)を、29:1のアクリルアミド:ビスアクリルアミド(バイオラッド)ならびにそれぞれpH 8.8および6.8のトリス塩酸緩衝液を用いて、プロティーン装置(バイオラッド)において調製した。抽出物からの60 μl容量を4×添加緩衝液(50 mMトリス塩酸、pH 6.8、2%w/v SDS、40%v/vグリセロール、ブロモフェノールブルー、および400 mMジチオスレイトールを使用直前に加える)20 μlと混合して100℃で5分間加熱し、冷却した後ウェルに載せてから、ゲルを低温室で120 Vでタンパク質試料が分離ゲルに入るまで泳動させた後、240 Vで泳動させた。分離したタンパク質をエレクトロブロッター(バイオラッド)を用いて製造元の説明書に従って、ハイボンド-ECLニトロセルロース膜(アマシャム)に転写する。
膜をTBST緩衝液(10 mMトリス塩酸、pH 8.0、150 mM NaCl、0.05%v/vツイーン20)においてすすいだ後、5%w/vスキムミルク粉末+ホスファターゼ阻害剤(1mM Na4P2O7、10 mM NaF、20 μM Na2MoO4、1mM Na3VO4)を含むTBSTを入れた皿においてブロックする。膜は、4000倍希釈したHER-2のECDに対するマウスモノクローナル抗体(トランスダクションラボラトリーズ、ネオマーカース)を含む、2.5%w/vスキムミルク粉末+ホスファターゼ阻害剤を含む少量のTBST中でインキュベートする。膜は2.5%w/vスキムミルク粉末+ホスファターゼ阻害剤を含むTBST中で10分間3回洗浄する。膜は、1000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体を含む、2.5%w/vスキムミルク粉末+ホスファターゼ阻害剤を含む少量のTBST中でインキュベートする。膜を2.5%w/vスキムミルク粉末+ホスファターゼ阻害剤を含むTBST中で10分間3回洗浄する。
HER-2タンパク質の存在は、ECLルミノールに基づく系(アマシャム)を用いて製造元の説明書に従って検出する。第二の対照タンパク質を検出するための膜の剥離は、膜を剥離緩衝液(62 mMトリス塩酸、pH 6.7、2%w/v SDS、新しく調製した100 mM 2-メルカプトエタノール)100 ml中で、55℃で30分間インキュベートすることによって行う。
実施例19
インビトロでのMM96L黒色腫細胞におけるBrn-2の共抑制
Brn-2転写因子は、Oct因子と呼ばれるDNA結合タンパク質のクラスに属し、これらは八量体制御配列ATGCAAATと特異的に相互作用する。Oct因子は全て、POUドメインと呼ばれる配列特異的高親和性DNA結合にとって必須の、保存された領域に基づいて当初分類されたタンパク質ファミリーに属する。POUドメインは、3つの哺乳類転写因子、Pit-1、Oct-1、およびOct-2に存在し、C. エレガンス(C. elegans)における発生制御遺伝子unc-86に存在する。多くの種において、さらなるPOUタンパク質が記載されており、これらは細胞系列特異的に発現される。brn-2遺伝子は、胚における神経経路の発達に関係するとみられ、Brn-2タンパク質は成人脳に存在する。培養マウスニューロンおよび神経堤起源の腫瘍に由来する核抽出物の電気的移動度シフトアッセイ(EMSAs)により、多くのOct因子タンパク質が検出された。これらには、N-Oct-2、N-Oct-3、N-Oct-4、およびN-Oct-5が含まれる。N-Oct-2、N-Oct-3およびN-Oct-5はまた、全て神経堤系列に由来するヒトメラノサイト、黒色腫組織および黒色腫細胞株においても特異に発現されている。brn-2ゲノム座は、N-Oct-3およびN-Oct-5 DNA結合活性をコードすることが知られている。N-Oct-3は、これらの実験において用いたMM96L株を含む、これまで調べた全ての黒色腫細胞に存在する。Brn-2タンパク質の発現が阻害されると、N-Oct-3 DNA結合活性が失われ、細胞形態の変化、黒色腫発生/色素沈着経路の要素の発現の喪失、ならびに神経堤マーカーおよびその他のメラノサイト系列のマーカーの喪失を含むさらなる下流の作用が起こる。Brn-2を有しない黒色腫細胞は、免疫不全マウスにおいてもはや腫瘍を形成しない(Thompsonら、1995)。
1.細胞株の培養
ヒト黒色腫に由来するMM96L細胞株の細胞は、先の実施例10に記載したように、10%v/v FBSおよび2mM L-グルタミンを含むRPMI 1640培地において接着単層として増殖した。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドTOPO.BRN-2
ヒトbrn-2遺伝子の領域を、以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いて、ヒトBrn-2ゲノムクローンを用いるPCRによって増幅した。増幅産物をpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、中間体クローンTOPO.BRN-2を作製した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.BRN2.BGI2.2NRB
プラスミドpCMV.BRN2.BGI2.2NRB(図22)は、ヒトβグロビンイントロン2配列の挿入によって中断されているBRN-2コード領域の逆方向反復配列または回文を含む。プラスミドpCMV.BRN2.BGI2.2NRBは、一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.BRN2由来のBRN2配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2.cass(実施例11)にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BRN2.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.BRN2由来のBRN2配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.BRN2.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.BRN2.BGI2.2NRBを作製した。
3.共抑制表現型の検出
(a)Brn-2構築物のトランスフェクション:Brn-2発現導入遺伝子のMM96L細胞への挿入
形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、2mlのRPMI 1640、10%v/v FBS中のMM96L細胞1×105個を播種して、37℃、5%v/v CO2で単層が60〜90%の集密になるまで、一般的に16〜24時間インキュベートした。
その後の手順は、MM96L細胞をDNAリポソーム複合体と共に37℃、5%v/v CO2で3〜4時間のみインキュベートすることを除いて、先の実施例13、3(a)に記載したとおりであった。
構築物pCMV.BRN2.BGI2.2NRBによって形質転換した、計36個の株をその後の分析のために選択した。
(b)MM96L細胞におけるBrn-2発現導入遺伝子の転写後のサイレンシング
構築物を安定にトランスフェクトしたMM96L細胞に由来するBrn-2のPTGSの特徴を有するクローンは、メラノサイトに共通の、位相が明るい双極性の多数の樹状細胞型から、明確で容易に同定される位相が低い(LC)丸みを帯びた形状への、形態学的変化に基づいて選択する。そのようなLCクローンから生じた細胞に、電気移動度シフトアッセイ法(EMSA、下記参照)による分析を行って、N-Oct-3活性の有無を同定する。さらなる試験は、色素沈着の喪失に基づく。LCクローンの細胞は、先の実施例14に記載のように、色素バイオポリマーの染色に関する改変シュモルル法を用いてメラニンの存在に関して染色する。以下の基準(i)LC形態;(ii)N-Oct-3 DNA結合活性の欠如、および(iii)色素沈着の喪失、を全て示すクローンに、核転写ランオンアッセイによるPTGSの直接試験を行う。
さらに分析するための株を単離するために、親クローンを低密度で播種して、先に概要した技術を用いて形態の変化を示すクローンを採取することによって、形態の変化を示す株を選択して、これらの株のサブクローンを得る(実施例10を参照のこと)。さらなる分析のために選択したサブクローンは、MM96L 2.1.1およびMM96L 3.19.1であった。
4.核転写ランオンアッセイによる分析
MM96L細胞ならびに形質転換株MM96L 2.1.1およびMM96L 3.19.1における内因性BRN-2遺伝子の転写速度を推定するために、活発に分裂する細胞から単離した核について核転写ランオンアッセイを行う。核は、先の実施例10に記載した細胞核単離プロトコールに従って得て、転写ランオン転写物をビオチンによって標識して、実施例10に概要したようにストレプトアビジン捕捉を用いて精製する。
細胞株における内因性BRN-2遺伝子の転写速度を決定するために、核ランオンアッセイから単離したビオチン標識BRN-2転写物の量を、リアルタイムPCR反応を用いて定量する。内因性BRN-2遺伝子の相対的転写速度は、ビオチン標識BRN-2 RNAのレベルを、広汎に発現される内因性転写物、すなわちヒトグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のレベルと比較することによって推定する。
内因性BRN-2とヒトGAPDH遺伝子の発現レベルは、二本鎖PCR反応において決定する。
5.非形質転換および共抑制株におけるmRNAの比較
内因性Brn-2遺伝子のメッセンジャーRNAおよび導入遺伝子pCMV.BRN2.BGI2.2NRBから転写されるRNAを、先の実施例10に記載のプロトコールに従って分析する。
MM96Lおよび形質転換株におけるBRN-2 mRNAレベルの正確な推定値を得るために、リアルタイムPCR反応を用いた。これらの分析からの結果を表11に示す。
Figure 2011229542
これらのデータは、復帰変異表現型を有する2つの形質転換株、MM96L 2.1.1およびMM96L 3.19.1におけるBRN-2 mRNA(ポリ(A)RNAとして)のレベルが、非形質転換MM96L細胞におけるBRN-2 mRNAのレベルとは有意差がないことを示している。
6.サザン分析
個々のトランスジェニックMM96L細胞株をサザンブロット分析によって分析して、導入遺伝子が組み入れられていることを確認し、そのコピー数を決定する。手順は、先の実施例10に記載のプロトコールに従って行う。
7.電気移動度シフトアッセイ(EMSA)
核および細胞質抽出物を調製するために、細胞2×107個を100 mm TC皿に播種する。細胞を回収する前に、TC皿を氷中に入れて、培地を完全に吸引して、細胞を氷冷PBSによって2回洗浄する。容量700 μlのPBSを加えて、細胞をプレートから剥がして、懸濁液を1.5 ml微量遠心管に移す。プレートを氷冷PBS 400 μlですすぎ、これを試験管に加える。その後の作業は全て4℃で行う。細胞懸濁液を2,500 rpmで5分間遠心分離して、上清を除去する。容量150 μlのHWB溶液[10 mM HEPES、pH 7.4、1.5 mM MgCl2、10 mM KCl、プロテアーゼ阻害剤(ロシュ)、1mMオルトバナジン酸ナトリウムおよび10 mM NaF、15 mM Na2MoO4および100 μM Na3VO4を含むホスファターゼ阻害剤]をペレットに加えて、細胞をピペットによって再懸濁する。細胞の膨張をこの時点で調べる。容量300 μlのLB溶液[10 mM HEPES、pH 7.4、1.5 mM MgCl2、10 mM KCl、プロテアーゼ阻害剤(ロシュ)、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、およびホスファターゼ阻害剤、および0.1%NP-40]を加えて、細胞を氷中で5分間放置した。この時点で細胞の溶解を調べる。試験管を2500 rpmで5分間遠心分離して、上清を新しい試験管に移す。細胞核を含むペレットを残す。
核をHWB溶液800 μlに再懸濁して洗浄した後、試験管を2,500 rpmで5分間遠心分離する。上清を除去して、核をNEB溶液[20 mM HEPES、pH 7.8、0.42 M NaCl、20%v/vグリセロール、0.2 mM EDTA、1.5 mM MgCl2、プロテアーゼ阻害剤、1mM オルトバナジン酸ナトリウム、およびホスファターゼ阻害剤]150 μlに再懸濁して、氷中で10分間放置する。試験管を13,000 rpmで遠心分離して、核残遺物を沈降させ、核抽出物である上清を採取する。各核抽出物の少量を比色ブラッドフォードアッセイ法(バイオラッド)によるタンパク質濃度の決定のために残しておく。残りを-70℃で保存する。NEB溶液を保存して、これを用いて抽出物を作業濃度に希釈する。
N-Oct-1およびN-Oct-3のEMSAのために用いる二本鎖DNAプローブは、以下の通りであった:
Figure 2011229542
Figure 2011229542
クローン25プローブは、Oct-1およびOct-3に対して高い親和性を有する。無作為に作製した二本鎖オリゴヌクレオチドのパネルからこれらの特性に関して配列を選択した(Bendallら、1993)。プローブOct-Wは、SV40エンハンサー配列に由来し、Oct-dpm8プローブにおいて変異しているコンセンサス八量体結合部位を含む(Sturmら、1987;Thompsonら、1995)。
プローブは、[γ-32P]-ATPによって標識する。プローブを1μMに希釈して、5μlを、ミリQ水によって容量20 μlとした、1×ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)緩衝液(ロシュ)、[γ-32P]-ATP(10 mCi/ml、3000 Ci/mmol、アマシャム)2μl、T4 PNK 1μl(10 U/μl(ロシュ))において37℃で1時間インキュベートする。反応物をTE緩衝液によって100 μlに希釈して(実施例10を参照のこと)、セファデックスG25カラム(ナップカラム(ロシュ))の中をTEによって通過させる。標識プローブの約4.5 pmolが0.15 pmol/μlの濃度で回収される。標識プローブは-20℃で保存する。
プローブと抽出物の結合反応は、12%v/vグリセロール、1×結合緩衝液(20 mM HEPES、pH 7.0、140 mM KCl)、13 mM NaCl、5mM MgCl2、標識プローブ2μl(0.04 pmol)、タンパク質抽出物1μg、ミリQ水、および表示されている場合は非標識プローブ競合物質を含む、10 μl容量中で行う。添加する順序は通常、競合物質または水、標識プローブ、タンパク質抽出物である。タンパク質試料を含まないがPAGE添加色素2μlを含む試験管1本を調製する(実施例10を参照のこと)。
結合反応物を、室温で30分インキュベートしてから、9μlを7%アクリルアミド:ビスアクリルアミド29:1トリスグリシンゲルによって調製したミニプロティーン(バイオラッド)装置のウェルに載せる。1×ゲルおよび1×ゲル泳動緩衝液を5×保存液からそれぞれ、0.75 Mトリス塩酸、pH 8.8および125 mMトリス塩酸、pH 8.3、0.96 Mグリシン、1mM EDTA、pH 8によって希釈する。ゲルを10 V/cmで泳動させ、10%v/v酢酸中で15分間固定した後、ワットマン3MM濾紙に転写して乾燥させてから、X線フィルムに16〜48時間露光する。
実施例20
インビトロでのマウス型B10.2およびPam 212細胞におけるYB-1およびp53の共抑制
1.細胞株の培養
マウス線維肉腫に由来するB10.2細胞およびマウス上皮ケラチノサイトに由来するPam 212細胞は、先の実施例10に記載のように5%v/v FBSを添加したRPMI 1640またはDMEMのいずれかを用いて接着単層として増殖した。
2.遺伝子構築物の調製
(a)暫定プラスミド
プラスミドTOPO.YB-1
マウスYB-1遺伝子の領域を増幅するために、マウスYB-1 cDNAを含むプラスミドクローン(ジェネシスリサーチ(Genesis Research)およびディベロップメントコーポレーション(Development Corporation)、オークランド、ニュージーランド、から入手した)25 ngを、以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いるPCR増幅のための基質として用いた。PCR増幅は、ホットスターTaq DNAポリメラーゼを用いて、製造元のプロトコール(キアゲン)に従って行った。PCR増幅条件は、95℃で15分の初回活性化段階の後に94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で60秒の増幅サイクル35回、72℃で4分の最終伸長段階を含んだ。
YB-1のPCR増幅領域をカラム精製した後(PCR精製カラム、キアゲン)、製造元の説明書(インビトロゲン)に従ってpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.YB-1を作製した。
プラスミドTOPO.p53
マウスp53遺伝子の領域を増幅するために、マウスp53 cDNAを含むプラスミドクローン(ジェネシスリサーチおよびディベロップメントコーポレーション、オークランド、ニュージーランド、から入手した)25 ngを、以下のプライマー:
Figure 2011229542
および
Figure 2011229542
を用いるPCR増幅のための基質として用いた。PCR増幅は、ホットスターTaq DNAポリメラーゼを用いて、製造元のプロトコール(キアゲン)に従って行った。PCR増幅条件は、95℃で15分の初回活性化段階の後に94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で60秒の増幅サイクル35回、72℃で4分の最終伸長段階を含んだ。
p53のPCR増幅領域をカラム精製した後(PCR精製カラム、キアゲン)、製造元の説明書(インビトロゲン)に従ってpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングして、プラスミドTOPO.p53を作製した。
プラスミドTOPO.YB1.p53
YB-1とp53 cDNA配列とを融合する構築物を作製するために、TOPO.YB-1由来のマウスYB-1配列をBglIIからBamHIへの断片として単離して、TOPO.p53のBamHI部位にクローニングした。YB-1インサートがp53配列と同じセンス方向であるクローンを選択してTOPO.YB1.p53と命名した。
(b)試験プラスミド
プラスミドpCMV.YB1.BGI2.1BY
プラスミドpCMV.YB1.BGI2.1BY(図23)は、ヒトβグロビンイントロン2配列によって中断されている逆方向反復配列または回文として、マウスYB-1遺伝子の領域を転写することができる。プラスミドpCMV.YB1.BGI2.1BYは一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.YB-1由来のYB-1配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.YB1.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.YB-1由来のYB-1配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.YB1.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.YB1.BGI2.1BYを作製した。
プラスミドpCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BY
プラスミドpCMV.YB1.p53..BGI2.35p.1BY(図24)は、ヒトβグロビンイントロン2配列によって中断されている逆方向反復配列または回文として、マウスYB-1遺伝子およびp53遺伝子の融合領域を発現することができる。プラスミドpCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BYは一連の段階において構築した:(i)プラスミドTOPO.YB1.p53由来のYB-1.p53融合配列をBglIIからBamHIへの断片としてBglII-消化pCMV.BGI2にセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.YB1.p53.BGI2を作製し、かつ(ii)プラスミドTOPO.YB1.p53.由来のYB-1.p53融合配列をBglIIからBamHIへの断片としてBamHI-消化pCMV.YB1.p53.BGI2にアンチセンス方向にサブクローニングして、プラスミドpCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BYを作製した。
3.共抑制表現型の検出
(a)YB-1遺伝子の領域をマウス線維肉腫B10.2細胞およびマウス上皮ケラチノサイトPam 212細胞に挿入することによるYB-1の転写後の遺伝子サイレンシング
YB-1(YボックスDNA/RNA結合因子1)は、中でもp53遺伝子のプロモーター領域に結合する転写因子であり、その際にその発現を抑制する。正常なp53タンパク質を正常レベルで発現する癌細胞(全てのヒト癌の約50%)において、YB-1発現の減少によって、p53タンパク質レベルが増加してその結果アポトーシスが起こるように、p53の発現はYB-1の制御下にある。マウス細胞株B10.2およびPam 212は、正常なp53発現を有するような、2つの腫瘍形成細胞株である。これらの2つの細胞株におけるYB1の共抑制の予想される表現型はアポトーシスである。
pCMV.YB1.BGI2.1BYによる形質転換は6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、5%v/v FBSを含む2mlのRPMI 1640またはDMEM中の細胞3.5×104個(B10.2またはPam 212)を播種して、37℃、5%v/v CO2で、24時間インキュベートしてからトランスフェクションを行った。
トランスフェクション培地を調製するために用いた2つの混合物は以下の通りであった:
混合物A:室温で5分間インキュベートした、リポフェクトアミン2000(商標)試薬(ライフテクノロジーズ)1.5 μlのOpti-MEM I(登録商標)培地(ライフテクノロジーズ)溶液100 μl;
混合物B:pCMV.YB1.BGI2.1BY DNA1μl(400 ng)のOpti-MEM I(登録商標)培地溶液100 μl。
予備的なインキュベーション後、混合物Aを混合物Bに加えて、混合物を室温でさらに20分間インキュベートした。
各細胞培養に重層する培地を、新鮮な培地800 μlと交換して、トランスフェクション混合物200 μlを加えた。細胞は、37℃、5%v/v CO2で72時間インキュベートした。
双方の細胞型(B10.2およびPam 212)について同じ培養物をトランスフェクトした。
細胞は、実施例10に記載のプロトコールに従ってトリプシンによって懸濁し、遠心分離してPBSに再懸濁した。
生存および死細胞数はトリパンブルー染色(0.2%)および血球計数盤上で同じもの4通を計数することによって決定した。結果を図25A、25B、25Cおよび25Dに示す(詳細に関しては図の説明文を参照のこと)。
(b)マウス繊維肉腫B10.2細胞およびマウス上皮ケラチノサイトPam 212細胞への、YB-1およびp53の遺伝子領域の同時挿入によるYB-1とp53との転写後の遺伝子サイレンシング
図25A、25B、25Cおよび25Dに示すデータは、YB-1の共抑制を誘導するように設計したYB-1構築物の挿入後に、細胞死がB10.2およびPam 212細胞において増加することを示し、これは共抑制の誘導と一致する。これらの細胞におけるアポトーシス反応の開始に関与するp53の共抑制は、アポトーシスによる過剰な細胞死を消失させると予想されると考えられる。
pCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BYによる形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、5%v/v FBSを含む2mlのRPMI 1640またはDMEM中の細胞3.5×104個(B10.2またはPam 212)を播種して、37℃、5%v/v CO2で、24時間インキュベートしてからトランスフェクションを行った。
トランスフェクション培地を調製するために用いた2つの混合物は以下の通りであった:
混合物A:室温で5分間インキュベートした、リポフェクトアミン2000(商標)試薬(ライフテクノロジーズ)1.5 μlのOpti-MEM I(登録商標)培地(ライフテクノロジーズ)溶液100 μl;
混合物B:pCMV.YB1.p53.BGI2.35p.1BY DNA1μl(400 ng)のOpti-MEM I(登録商標)培地溶液100 μl。
予備的なインキュベーション後、混合物Aを混合物Bに加えて、混合物を室温でさらに20分間インキュベートした。
各細胞培養物に重層する培地を、新鮮な培地800 μlと交換して、トランスフェクション混合物200 μlを加えた。細胞は、37℃、5%v/v CO2で72時間インキュベートした。
細胞は、実施例10に記載のプロトコールに従ってトリプシンによって懸濁し、遠心分離してPBSに再懸濁した。
生存および死細胞数はトリパンブルー染色(0.2%)および血球計数盤上で同じもの4通を計数することによって決定した。結果を図25A、25B、25Cおよび25Dに示す(詳細に関しては図の説明文を参照のこと)。
(c)対照:マウス繊維肉腫B10.2細胞およびマウス表皮ケラチノサイトPam 212細胞へのGFPの挿入
pCMV.EGFPによる形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、5%v/v FBSを含む2mlのRPMI 1640またはDMEM中の細胞3.5×104個(B10.2またはPam 212)を播種して、37℃、5%v/v CO2で、24時間インキュベートしてからトランスフェクションを行った。
トランスフェクション培地を調製するために用いた2つの混合物は以下の通りであった:
混合物A:室温で5分間インキュベートしたリポフェクトアミン2000(商標)試薬(ライフテクノロジーズ)1.5 μlのOpti-MEM I(登録商標)培地(ライフテクノロジーズ)溶液100 μl;
混合物B:pCMV.EGFP DNA1μl(400 ng)のOpti-MEM I(登録商標)培地溶液100 μl。
予備的なインキュベーション後、混合物Aを混合物Bに加えて、混合物を室温でさらに20分間インキュベートした。
各細胞培養に重層する培地を新鮮な培地800 μlと交換して、トランスフェクション混合物200 μlを加えた。細胞は、37℃、5%v/v CO2で72時間インキュベートした。
細胞は、実施例10に記載のプロトコールに従ってトリプシンによって懸濁し、遠心分離してPBSに再懸濁した。
生存および死細胞数はトリパンブルー染色(0.2%)および血球計数盤上で同じもの4通を計数することによって決定した。結果を図25A、25B、25Cおよび25Dに示す(詳細に関しては図の説明文を参照のこと)。
(d)対照:マウス繊維肉腫B10.2細胞およびマウス上皮ケラチノサイトPam 212細胞への、偽Yボックスオリゴヌクレオチドの挿入によるYB-1表現型の減弱
B10.2およびPam 212細胞においてp53によるアポトーシスを抑制する場合のYB-1の役割は、2つの方法において抑制を軽減することによって証明されている:(i)YB-1アンチセンスオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション;(ii)p53プロモーターのYボックス配列に対応する偽オリゴヌクレオチドによるトランスフェクション。後者は、本実施例において陽性対照として用いた。
YB1偽および対照(非特異的)オリゴヌクレオチドによる形質転換は、6ウェル組織培養容器において行った。個々のウェルに、5%v/v FBSを含む2mlのRPMI 1640またはDMEM中の細胞3.5×104個(B10.2またはPam 212)を播種して、37℃、5%v/v CO2で、24時間インキュベートしてからトランスフェクションを行った。
トランスフェクション培地を調製するために用いた2つの混合物は以下の通りであった:
混合物A:室温で5分間インキュベートしたリポフェクチン(商標)試薬(ライフテクノロジーズ)1.5 μlのOpti-MEM I(登録商標)培地(ライフテクノロジーズ)溶液100 μl;
混合物B:オリゴヌクレオチド(偽YB1または対照)0.4μl(40 pmol)のOpti-MEM I(登録商標)培地溶液100 μl。
予備的なインキュベーション後、混合物Aを混合物Bに加えて、混合物を室温でさらに15分間インキュベートした。
オリゴヌクレオチドを含まない(リポフェクチン(商標)のみ)対照も同様に調製した。
細胞を血清不含培地(OptiMEM)中で洗浄して、トランスフェクション混合物を加えた。細胞を37℃、5%v/v CO2で4時間インキュベートした後、10%v/v FBSを含む1mlのRPMIに交換して、インキュベーションを一晩継続した(18時間)。
細胞は、実施例10に記載のプロトコールに従ってトリプシンによって懸濁し、遠心分離してPBSに再懸濁した。
生存および死細胞数はトリパンブルー染色(0.2%)および血球計数盤上で同じもの4通を計数することによって決定した。結果を図25A、25B、25Cおよび25Dに示す(詳細に関しては図の説明文を参照のこと)。
当業者は、本明細書に記載した本発明は、特に記述した以外の変更および改変が可能であることを認識すると考えられる。本発明には、そのような全ての変更および改変が含まれると理解すべきである。本発明にはまた、本明細書において個々にまたは一括して言及または示した、段階、特徴、組成物、および化合物の全て、ならびに段階または特徴の任意の二つまたはそれ以上の組み合わせの全てが含まれる。
参考文献
Figure 2011229542

Figure 2011229542

Figure 2011229542

Claims (11)

  1. 脊椎動物細胞のゲノムにおける標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列および前記標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列とを含む遺伝子構築物であって、標的内因性ヌクレオチド配列と実質的に同一なヌクレオチド配列および前記標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列がスペーサー配列によって隔てられており、前記遺伝子構築物を前記脊椎動物細胞に導入すると、前記標的内因性ヌクレオチド配列を含む遺伝子の転写に起因するRNA転写物が、タンパク質産物への翻訳能の低下を示す、前記遺伝子構築物。
  2. 表現型が内因性遺伝子の発現によって付与されるまたは促進される、脊椎動物細胞の表現型を変化させるための、請求項1記載の遺伝子構築物を活性成分として含む組成物。
  3. 脊椎動物細胞が哺乳動物由来である、請求項2記載の組成物。
  4. 哺乳動物が、ヒト、霊長類、家畜動物、または実験動物である、請求項3記載の組成物。
  5. 哺乳動物がヒトである、請求項4記載の組成物。
  6. 構築物が標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列をさらに含む、請求項2〜5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 請求項1記載の遺伝子構築物を活性成分として含む、脊椎動物の遺伝子治療用組成物。
  8. 脊椎動物が哺乳動物である、請求項7記載の組成物。
  9. 哺乳動物がヒト、霊長類、家畜動物、または実験動物である、請求項8記載の組成物。
  10. 哺乳動物がヒトである、請求項9記載の組成物。
  11. 導入されるヌクレオチド配列が標的内因性ヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列をさらに含む、請求項7〜10のいずれか1項記載の組成物。
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