JP2011226921A - 計器用文字板の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】光源の点灯時には、シンボルマークを立体表示パターン上に浮き上がるように視認可能にするとともに、光源の消灯時には、立体表示パターン上にシンボルマークが恰も存在しないかのように、運転者に視認可能にする。
【解決手段】凸レンズ部33のそれぞれが画素部34よりも透明基板32から離れた位置に焦点を持たせる文字板30の構造であって、意匠部Eを形成する開口に面し、該開口を除く周囲が壁面によって囲まれた空間が形成されているとともに、光源40は空間の内部に配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、奥行き感のある立体表示パターン上にシンボルマークを表示する計器用文字板の構造に関するものである。
従来から、車両、航空機、船舶等の乗り物やその他各種産業機器には各種情報の測定結果を表示する透光性の文字板付き計器が備え付けられている。この計器の文字板には文字や目盛りなどを円弧状に配置した表示パターンが設けられ、日中には外光により、また夜間にはその文字板の裏面側に配置した光源により、文字板の照明、表示をそれぞれ行っている。ところが、この文字板は平面板であり、これをその表面側から見たとき文字や目盛りの表示態様が単純に平面的であり、デザイン的に斬新性を欠く。
これに対して、文字板上の文字や目盛りなどを奥行き感がある立体的な表示態様で視認可能にした計器が、例えば特許文献1に提案されている。この計器は、車両用計器であるスピードメータとして、車室のインストルメントパネルに配設され、図8に示すように、内部に略円板状の目盛り盤10aを有する四角板状の計器板10を備えている。計器板10は、透明樹脂材料からなる図9に示すような透明基板11を備えており、この透明基板11の表裏面には、各黒色層12が、目盛り盤10a以外の部分にて、黒色の印刷材料により印刷形成されている。
目盛り盤10aは、図8に示すように、計器板10の略中央に形成されており、この目盛り盤10aは、図9に示すように、透明基板11のうち目盛り盤10aに対する対応部11aと、多数の凸レンズ部11bと、多数の画素部11cと、反射層(背景色層)11dとにより構成されている。なお、上述した透明基板11のうち目盛り盤10aに対する対応部11aは、以下、目盛り盤対応部11aという。また、目盛り盤10aの中心部には図示しない内機の指針軸が貫通し、その先端(上端)に指針20が取り付けられている。
多数の凸レンズ部11bは、相互に等間隔でもって、透明印刷材料により目盛り盤対応部11aの表面にマトリクス状にかつ微小形状に印刷形成されており、これら各凸レンズ部11bは、それぞれ、目盛り盤対応部11aの表面から略半球状に隆起している。多数の画素部11cは、相互に等間隔でもって、紫色印刷材料により目盛り盤対応部11aの裏面にマトリクス状に、かつ微小形状に印刷形成されており、これら各画素部11cは、目盛り盤対応部11aを介し各凸レンズ部11bにそれぞれ対応して位置する。
ここで、各画素部11cは、共に、正方形板状のもので、これら各画素部11cは、図8において点線で示すように菱形面形状となるように位置しており、これら各画素部11cのうち各両隣接画素部の間隔は、各両隣接凸レンズ部11bの間隔に比べて幾分狭くなっている。
また、各凸レンズ部11bの焦点は、対応の各画素部11cの下方に位置する。このことは、光が下方から目盛り盤10aを透過するとき、各凸レンズ部11bは、対応の各画素部11cをその下方側にて拡大虚像として結像させることを意味する。また、多数の凸レンズ部11bのうち図9にて水平方向であって目盛り盤対応部11aの半径方向に並ぶ各凸レンズ部11bの中心を結ぶ直線に対し、対応の各画素部11cの中心を結ぶ直線が所定微小角度だけ円周方向にずれて位置するように、各画素部11cが、対応の各凸レンズ部11bに対し位置ずれして、目盛り盤対応部11aの裏面に形成されている。但し、上記所定微小角度は、目盛り盤10aを光が透過するとき、各凸レンズ部11bが対応の各画素部11cとの相対的位置関係でモアレ現象を呈するように設定されている。
反射層11dは、目盛り盤対応部11aの裏面の全体に、各画素部11cを覆うように、白色印刷材料により印刷形成されている。なお、この反射層11dは、その裏面側に位置する構成部材を表面側からは見えなくする程度の不透明性を有している。目盛り盤10aは、その表面外周部において、当該車両の車速を表す略円弧状表示パターン部13を備えており、この表示パターン部13は、複数の短冊状目盛り部13aと、複数の文字部13bとにより構成されている。
また、各文字部13bは、目盛り盤対応部11aの外周部に対応の各凸レンズ部11bを介し黒色印刷材料により印刷形成されている。
このように構成した実施形態において、目盛り盤対応部11aの表面に外来光が入射すると、文字板の正面で看取する人にとって、文字板上の文字や目盛りなどを奥行き感がある立体的な表示態様で視認可能となる。ここで、この光の透過過程について詳細に説明する。各凸レンズ部11bの画素部側焦点は、上述のごとく、対応の各画素部11cの図9に示す下方にそれぞれ位置する。このため、外来光が各凸レンズ部11bに入射し、反射層11d、各画素部11c及び目盛り盤対応部11aを通り各凸レンズ部11bに再度入射すると、各凸レンズ部11bは、対応の各画素部11cを図9にて示す下方に虚像として拡大結像させる。
また、上述したごとく、図9にて水平方向であって目盛り盤対応部11aの半径方向に並ぶ各凸レンズ部11bの中心を結ぶ直線と、対応の各画素部11cの中心を結ぶ直線とが、所定微小角度だけ円周方向にずれて位置するように、各画素部11cが、対応の各凸レンズ部11bに対し位置ずれして、目盛り盤対応部11aの裏面に形成されている。しかも、所定微小角度は、上述したごとく、目盛り盤10aを光が透過するとき、各凸レンズ部11bが対応の各画素部11cとの相対的位置関係でモアレ現象を呈するように設定されている。
このため、外来光が各凸レンズ部11bに入射し、反射層11d、各画素部11c及び目盛り盤対応部11aを通り各凸レンズ部11bに再度入射すると、各画素部11cがモアレ現象のもと虚像として拡大結像される。従って、フロントパネルを通して目盛り盤10aを見たとき、各画素部11cが反射層11dを背景としてモアレ現象を伴った拡大虚像として視認される。これにより、従来にない奥行きのある立体的な表示態様でもって斬新な視認性を提供する計器を得ることができる。
また、上述のごとく、各目盛り部13aは、凸レンズ部11bを介することなく、目盛り盤対応部11aの表面に直接形成されている。従って、各目盛り部13aは、各画素部11cの像から浮き上がって見えるので、より一層斬新な表示態様となる。
特開2000−310546号公報
ところで、例えば自動車用の計器板10では、安全運転上の観点から、文字板上に方向指示、シートベルトの装着状態、ハンドブレーキ操作状態などを支持する指示マークや、燃料残量状態、エンジンオイルの残量、水温(エンジン冷却水の温度)などを報知する警報マークなどのシンボルマークの点灯表示が自動的に行われている。
シンボルマークの点灯表示を実現するために、図10に示すように、反射層11dの裏面に黒色印刷層11fを印刷によって重ね、その印刷時に、シンボルマークとする部分のみ所定のマーク形状に黒色印刷層11fを穿ち、これを意匠部Eとするものが考えられる。ここでは、所定の周波数の可視光を通過させるカラーフィルタなどによって構成される拡散印刷層11eがその意匠部Eおよびこの意匠部E周辺の黒色印刷層11fを裏面から覆うように形成される。また、その意匠部E後方の回路基板15上には光源14が設置されている。また、シンボルマーク表示のために形成された意匠部Eの、透明基板11上における対応領域には、シンボルマークの視認性を高めるために、凸レンズ部11bは設けられていない。
上述したシンボル表示構造は、解決すべき以下の問題を有している。
即ち、光源14が消灯状態で、光源14からの光が意匠部Eに照射されない場合には、この意匠部Eの縁によって形作られるシンボルマークは、目盛り盤10aの前方から、その縁が見えてしまう。これは、黒色印刷層11fの後方から漏れる光が意匠部Eの縁を照射するためである。このように視認されるシンボルマークの縁は、立体表示パターンに対して際立って視認されるため、見栄えが悪く、好ましくない。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源の点灯時には、意匠部を通して表示されるシンボルマークを立体表示パターン上に浮き上がるように視認可能にするとともに、光源の消灯時には、立体表示パターン上にシンボルマークが恰も存在しないかのように、運転者に視認させることができる計器用文字板の構造を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る計器用文字板の構造は、下記(1)〜(2)を特徴としている。
(1) 透明基板と、
前記透明基板の表面にマトリクス状に配置された複数個の凸レンズ部と、
前記透明基板の裏面に前記各凸レンズ部に対応してマトリクス状に形成された複数の画素部と、
前記画素部の裏面に重なるように形成された反射層と、
一部が穿たれた開口により形成された意匠部を有する、前記反射層の裏面に重なるように形成された黒色印刷層と、
前記黒色印刷層の裏面側に配置された光源と、
を備え、
前記凸レンズ部のそれぞれが前記画素部よりも前記透明基板から離れた位置に焦点を持たせる計器用文字板の構造であって、
前記意匠部を形成する開口に面し、該開口を除く周囲が壁面によって囲まれた空間が形成されているとともに、前記光源は前記空間の内部に配置される、
こと。
(2) 上記(1)の構成の計器用文字板の構造であって、
前記黒色印刷層を支持する支持板と、
前記光源が配置される配線基板と、
をさらに備え、
前記空間は、前記支持板の一部を形成する、内部に前記光源が配置される中空筒状のランプハウジングと、前記光源が配置された前記配線基板の表面とによって、囲まれて形成されている、
こと。
上記(1)の構成の計器用文字板の構造によれば、光源が消灯状態のときには、その光源を囲む空間内部が暗く、黒色印刷層の黒色に同化する。この結果、意匠部が表すシンボルマークの縁が計器用文字板の前方から視認されることがなく、凸レンズ部と画素部との光学的配置に基づくモアレ現象および凸レンズ部の焦点位置から凸レンズ部の焦点に結ばれる虚像として表示される立体表示パターンに隠れ、そのシンボルマークが恰も存在しないように見える。
一方、光源が点灯状態のときには、前記ランプハウジング内には光源が発する光が充満し、この光は意匠部、反射層、画素部、透明基板および凸レンズ部を順に透過して文字板の表面にシンボルマークを明瞭に表示する。このときシンボルマークを含む領域も前記立体表示パターンとして視認されるため、シンボルマークはその立体表示パターンから跳び出して(浮き上がって)見えることとなり、シンボルマークを斬新な態様にて表示および視認することができる。
また、上記(2)の構成の計器用文字板の構造によれば、これまで計器用文字板に用いられてきた支持板を使うことで本発明を実現することができる。
本発明によれば、光源の点灯時には意匠部を通して表示されるシンボルマークを、立体表示パターン上に浮き上がるように視認可能にするとともに、光源の消灯時には、消灯によって暗くなった光源を囲む空間内部を黒色印刷層の黒色と同化させることによって、シンボルマークが立体表示パターン上に恰も存在しないかのように運転者に視認させることができる。この結果、光源の消灯時に、シンボルマークがモアレ模様に対し際立つことがないため見栄えが良い。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の実施形態にかかる計器用文字板が適用されたメータ装置を示す正面図である。 図1におけるメータ装置の拡大断面図である。 図1における凸レンズ部の形成方法を示す説明図である。 図2における支持板を一部破断して示す斜視図である。 図1におけるメータ装置の概略を示す断面図である。 図2における光源の消灯状態での立体表示パターンの見え方を示す説明図である。 図2における光源の点灯状態でのシンボルマークおよび立体表示パターンの見え方を示す説明図である。 従来の計器用目盛り盤を示す正面図である。 図6における計器用目盛り盤の縦断面図である。 従来の計器用目盛り盤のシンボルマーク表示構造を示す縦断面図である。
以下、本発明の一実施の形態にかかる計器用文字板を適用したメータ装置を、図1乃至図4を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の計器用文字板(以下、文字板という)30は、例えば自動車のインストルメントパネルに配置されたエンジン回転計などのメータ装置の内部に設置される。目盛り31aおよび数字31bは文字板30上に円弧状に配置されるほか、文字や記号、さらにはインジケータや警報マークなどのシンボルマーク31cが、見返し31dによって囲まれた円形領域31内に配置される。
この文字板30の詳細は、図2に示す通りである。この文字板30は、透明基板32と、複数個の凸レンズ部33と、複数個の画素部34と、反射層(背景色層)35と、黒色印刷層36と、拡散印刷層37と、を備えている。これらのうち、透明基板32は、ポリカーボネート等の光透過性の高い合成樹脂板からなり、円形、楕円形、矩形等の形状をなす。この透明基板32は滑らかな表面を持ち、この透明基板32の表面には凸レンズ部33が形成されている。
凸レンズ部33は、図2に示すように同一サイズ、形状の半球状レンズであり、透明基板32の表面に多数個が所定間隔をおいて、マトリクス状に整列配置されている。これらの凸レンズ部33は、図3に示すように、透明基板32の上面に対して液状のレンズ材料Lを滴下させ、この滴下されて半球状となったレンズ材料Lを乾燥、固化することにより得られる。これにより凸レンズ部33は透明基板32との境界面に空隙ができないように形成される。
また、複数の画素部34が、透明基板32の裏面に重なるように、印刷により形成されている。これらの画素部34は、各凸レンズ部33に対応する位置に所定間隔をおいてマトリクス状に配置されている。この場合において、複数の凸レンズ部33のそれぞれは、これらに対応する各画素部34に対して僅かに位置がずれるように配置されている。また、各凸レンズ部33は、各画素部34よりも遠い位置に焦点を有する。従って、凸レンズ部33に入射し、画素部34、および透明基板32を通過して凸レンズ部33に再度入射した外来光を、文字板30の表面から視認すると、図6に示すように、文字板30の位置よりも奥に、画素部34の立体表示パターンPがあるかのように視認される。
反射層35は、画素部34の裏面側を覆うように透明基板32の裏面に印刷され、背景色を文字板30上に表出可能にしている。この反射層35は、画素部34とともに立体表示パターンPとして文字板30上に表出される。さらに、黒色印刷層36は、反射層35の裏面に重なるようにスクリーン印刷により形成され、遮光用として用いられる。黒色印刷層36はこれの一部にインジケータや警報マークなどのシンボルマークにかたどられており、この黒色印刷層36が設けられていない打ち抜き部としての意匠部Eが形成されている。つまり、黒色印刷層36はシンボルマークの形状の縁を形作るように一部を穿つことにより意匠部Eを形成している。この意匠部Eは運転操作上の指示表示や運転中の警報表示等をするための、図7に示すようなシンボルマークMを裏面側にある光源からの光を受けて文字板30上に表出するために設けられる。シンボルマークMとしては、前述のような方向指示マークや警告マークなどがある。また、意匠部Eに臨む反射層35の裏面には、その意匠部Eを埋めるように拡散印刷層37が形成されている。拡散印刷層37は、所定の周波数の可視光を通過させるカラーフィルタなどによって構成される。図2では、この拡散印刷層37が意匠部Eに臨む反射層35からこの意匠部周辺の黒色印刷層36の裏面にかけて形成されている。拡散印刷層37により、凸レンズ部33側から文字板30に入射され、後述するランプハウジング41の内部に進入する光量を抑制している。また、拡散印刷層37の微細な凹凸面により、光源40の光は、乱反射し拡散され、意匠部E内を均一に透過する。
また、文字板30の全体を支持する支持板38が黒色印刷層36の裏面側に設けられている。この支持板38には、図4に示すように、この支持板38が文字板30に組み付けられた際に、意匠部Eの裏面に位置し、一つの光源40が内部に収容されるランプハウジング41が形成されている。このランプハウジング41は支持板38の成形時に形成される。
このランプハウジング41は後述の配線基板53の表面と、文字板30(詳しくは、黒色印刷層36)の裏面との間に中空筒状の周壁を介在したような形態をなす。従って、この支持板38が文字板30に組み付けられた際に、ランプハウジング41が画成する周壁、配線基板53の表面および拡散印刷層37に囲まれる空間が形成される。この空間を取り囲む壁面のうち、ランプハウジング41が画成する周壁、および配線基板53の表面は光を遮断し、一方、拡散印刷層37は光の透過を許容する。したがって、文字板30の表面からランプハウジング41の内部を見た際、光源40が消灯していれば、拡散印刷層37の存在もあってその内部は暗く、シンボルマークMを形作る開口に黒色印刷層36が位置しているかのように見える。尚、拡散印刷層37があればより一層ランプハウジング41の内部が暗く見えるが、拡散印刷層37がなくても、意匠部Eの縁が形作る開口の大きさによっては十分その内部が暗く見える。本発明においては、拡散印刷層37は必須の構成ではなく、当該空間に唯一光を進入させることができるシンボルマークの開口に面していればよい。
支持板38は正面向かって右側に文字板30を設置する凹所38aを有し、内機52の指針軸57を通す透孔38bがその凹所38aの中心部に設けられている。シンボルマーク表示用のランプハウジング41が凹所38aの内側および周辺部に複数個形成されている。取り付け部材38cは支持板38の下縁部にL字状に突設され、支持板38を固定するための大小複数の取り付け孔38dがこの取り付け部材38cに穿設されている。マルチインフォメーションディスプレイの設置孔38eが支持板38の中央部に形成されている。マルチインフォメーションディスプレイには、車速、走行距離、警報などの各種メッセージ表示をするためLED表示器やELディスプレイなどがある。
また、発光ダイオードなどの光源39、40がこのランプハウジング41内に臨む配線基板53上に設置されている。この光源40の光は前記拡散印刷層37を通過して反射層35、画素部34、透明基板32および凸レンズ部33に透過される以外、ランプハウジング41の外部に漏れることはない。この透過光は、前記意匠部Eに対応する形状のシンボルマークとして、文字板30の前方から明瞭に視認可能になる。
前記シンボルマーク31cには、走行方向、ビーム点灯、シートベルト装着やハンドブレーキなどの指示マークおよび速度、燃料残量やエンジンオイル、ブレーキオイルなどのオイル残量などの警報マークなどが含まれる。なお、前述の指示マークや警報マークなどのシンボルマーク31cとともに、文字、数字、記号などがシンボルマークとして設けられる場合もある。
図5は、文字板30を備える計器本体51の側面断面図である。この計器本体51は、指針軸57を持つ内機(モータ)52が取り付けられた配線基板53と、この配線基板53に係止爪部材54を用いて装着されたケース部55とを備え、これらの文字板30、ケース部55および配線基板53の各中央部には前記内機52の指針軸57が貫通する貫通孔30a、56、53aが設けられている。指針58がこの指針軸57の先端に取り付けられ、見返し31d付きのフロントパネル60がこの指針58を覆うように文字板30の周辺に設けられている。ケース部55は、係止爪部材54の外側部を被い、ケース部55の裏面側周縁には裏カバー62が嵌合されている。
前述の構成を持つ文字板30は、図2に示すように、透明基板32の表面にマトリクス状に形成された複数の凸レンズ部33と、その透明基板32の裏面に前記各凸レンズ部33に対応してマトリクス状に形成された各画素部34とを、前述のように僅かづつ位置がずれるように設けている。このため、文字板30の表面に入射した外来光が凸レンズ部33に入射し、各画素部34、および透明基板32を通過して凸レンズ部33に再度入射すると、その外来光を見た人には、モアレ現象および各凸レンズ部33の焦点位置との関係から拡大された画素部34の虚像として、図6に示すように、焦点(画素部34の裏面方向に離れた位置)に結像される。この結果、文字板30の位置よりも奥に虚像が位置しているかのように、奥行き感がある立体表示パターンとして、文字板30の正面を見る運転者等に視認させることができる。
一方、指示マークや警報マークなどのシンボルマークMの表示を行う場合には、自動または手動でそのシンボルマークM対応のランプハウジング41内にある光源40を、図7に示すように点灯する。この光源40の点灯によって、光源40からの光は拡散刷層37を照射し、意匠部Eの形状に応じた光が反射層35、画素部34、透明基板32および凸レンズ部33を照射する。このため、文字板30には所定のシンボルマークMが映し出され、文字板30の正面を見る運転者等にはシンボルマークMが文字板30にあるように視認される。この結果、シンボルマークMは、これが周辺部に得られる前述の立体表示パターンPに対して相対的に前面に位置するため、浮き上がるように跳び出るように明確に視認される。なお、図7は、左折方向(矢印)指示のシンボルマークMが、奥まって見える立体表示パターンPに対し、浮き上がったように看取される状況を示す。
これに対して、シンボルマークMの表示をしない場合には、そのシンボルマークM対応のランプハウジング41内にある光源40が、図6に示すように消灯状態にされる。この光源40の消灯状態では、ランプハウジング41内は暗闇になり、拡散印刷層37は黒色印刷層36の黒色に同化される(つまり、拡散印刷層37は黒色印刷層36と同じ色になる。)。この拡散印刷層37の黒色への同化によって、シンボルマークMの縁が照射されることはなく、文字板30の表面側からは前記立体表示パターンP上にシンボルマークMを形作る縁が恰も全く無いかのように看取される。この結果、光源40の消灯中は、従来のようにシンボルマークMが暗色として立体表示パターンP上に視認されるようなことがなくなる。従って、その暗色が前記立体表示パターンPの視認性に影響することはない。この結果、運転者等は、光源40の点灯時のみにシンボルマークMを視認でき、結果として点灯と消灯の区別、つまりシンボル表示の有り/無しを明確に認識することができる。
また、本実施形態では、シンボルマークMの表示のために透明基板32上に凸レンズ部33を設けない領域を作らずに済むため、すなわち、凸レンズ部33の位置とは無関係に意匠部Eを形成することができるため、シンボルマークMの形状、サイズなどについて設計上、デザイン上の自由度が増すという利点が得られる。
このように、本実施形態の計器用文字板は、黒色印刷層36にこの黒色印刷層36を一部穿つように意匠部Eを形成し、この意匠部Eに臨む前記反射層35の裏面に、この意匠部Eを埋めるように拡散印刷層37を形成し、意匠部E付近に光を照射する光源40を収納したランプハウジング41を、意匠部Eの裏面を囲むように設けた構成としている。これにより、光源40の消灯時には、消灯によって暗くなった拡散印刷層37を黒色印刷層36の黒色と同化させ、シンボルーマークの縁を照射することがなくなるため、立体表示パターン上にはシンボルマークが恰も存在しないかのように視認させることができる。この結果、シンボルマークの表示および不表示の区別が明確になり、運転手等がシンボルマーク表示を見誤ることを確実に防止できる。
30 文字板
30a 貫通孔
31 円形領域
31a 目盛り
31b 数字
31c シンボルマーク
31d 見返し
32 透明基板
33 凸レンズ部
34 画素部
35 反射層(背景色層)
36 黒色印刷層
37 拡散印刷層
38 支持板
39 光源
40 光源
41 ランプハウジング
51 計器本体
52 内機
53 配線基板
53a 貫通孔
54 係止爪部材
55 ケース部
56 貫通孔
57 指針軸
58 指針
60 フロントパネル
62 裏カバー
E 意匠部

Claims (2)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の表面にマトリクス状に配置された複数個の凸レンズ部と、
    前記透明基板の裏面に前記各凸レンズ部に対応してマトリクス状に形成された複数の画素部と、
    前記画素部の裏面に重なるように形成された反射層と、
    一部が穿たれた開口により形成された意匠部を有する、前記反射層の裏面に重なるように形成された黒色印刷層と、
    前記黒色印刷層の裏面側に配置された光源と、
    を備え、
    前記凸レンズ部のそれぞれが前記画素部よりも前記透明基板から離れた位置に焦点を持たせる計器用文字板の構造であって、
    前記意匠部を形成する開口に面し、該開口を除く周囲が壁面によって囲まれた空間が形成されているとともに、前記光源は前記空間の内部に配置される、
    ことを特徴とする計器用文字板の構造。
  2. 前記黒色印刷層を支持する支持板と、
    前記光源が配置される配線基板と、
    をさらに備え、
    前記空間は、前記支持板の一部を形成する、内部に前記光源が配置される中空筒状のランプハウジングと、前記光源が配置された前記配線基板の表面とによって、囲まれて形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計器用文字板の構造。
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