JP2011226297A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンの首振り運動に伴う機関振動に起因する点火時期の誤遅角を好適に抑えることのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】この装置は、ノックセンサにより検出される機関振動の強度とノック判定レベルとの比較を通じてノッキングの発生の有無を判定するとともに、その判定結果に応じてノック学習値を更新する。このノック学習値に基づいて要求点火時期を設定する。内燃機関の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAを算出する(S202)。この積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには(S203:NO)、ノック学習値の更新を禁止する(S204)。積算値ΣGAが判定値VGA以上であるときには(S203:YES)、ノック学習値の更新を許可する(S205)。
【選択図】図4
【解決手段】この装置は、ノックセンサにより検出される機関振動の強度とノック判定レベルとの比較を通じてノッキングの発生の有無を判定するとともに、その判定結果に応じてノック学習値を更新する。このノック学習値に基づいて要求点火時期を設定する。内燃機関の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAを算出する(S202)。この積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには(S203:NO)、ノック学習値の更新を禁止する(S204)。積算値ΣGAが判定値VGA以上であるときには(S203:YES)、ノック学習値の更新を許可する(S205)。
【選択図】図4
Description
本発明は、機関振動の強度と所定のノック判定レベルとの比較に基づきノッキング発生の有無を判定するとともにその判定結果に基づいて点火時期の遅角制御を実行する内燃機関の点火時期制御装置に関するものである。
この種の装置では、いわゆるノックセンサによって内燃機関の振動強度が検出されるとともにその振動強度が所定の判定レベルより大きくなっていることをもってノッキングが発生していると判定される。そして、ノッキングが発生していると判定されたときには点火時期が遅角側の時期に変更される。
ここで、レシプロ機関では、その構造上、ピストンの往復動に伴って同ピストンの姿勢が変化するために、これに伴って機関振動の強度が大きくなることがある。以下、そうした機関振動が発生するメカニズムを、図6を参照しつつ説明する。
先ず、同図(a)に示すように、圧縮行程では、コネクティングロッド101が斜め下方(同図では左斜め下方)からピストン102を機関上方に押し上げている。このとき、ピストン102は、機関上方に押し上げられる一方、コネクティングロッド101の傾斜に起因して図中に矢印Aで示すシリンダ径方向(図では右方向)に作用する力によってシリンダ103の内壁へと押し付けられている。
その後、ピストン102が圧縮上死点(同図(b)に示す位置)に近づくに伴って、ピストンリング104に高い燃焼圧力が作用するようになる。これにより、同ピストンリング104がピストン102に強く押し付けられるようになり、それらピストンリング104とピストン102との摺動面に作用する摩擦力により同ピストン102のシリンダ径方向への移動が規制されるようになる。
その後において膨張行程に移行すると、ピストン102が燃焼圧力によって押し下げられるようになる。また、同図(c)に示すように、このときコネクティングロッド101は上記圧縮行程における傾き方向と反対の方向に傾斜している。このため、ピストン102には、この傾斜に起因して同図中に矢印Bで示すシリンダ径方向(図では左方向)の力が作用するようになる。このとき、ピストン102の上部はピストンリング104によってシリンダ径方向への移動が規制されているためにその場に留まり、移動が規制されていないピストン102の下部のみが、シリンダ103の内壁に押し付けられている。
その後、同図(d)で示すように、膨張行程中期では、ピストン102の機関下方への移動に伴って燃焼圧力が低下し、これに伴って上記ピストンリング104によるピストン102のシリンダ径方向への移動についての拘束力も徐々に低下する。一方、コネクティングロッド101の傾斜角も徐々に増大し、これに伴って、同図中に矢印Cで示すピストン102に作用するシリンダ径方向の力についてもこれが徐々に大きくなる。そして、この力が上記ピストンリング104による拘束力を上回ったタイミングで、ピストン102の上部が、シリンダ103の内壁に接している点(D点)を支点として、同図中に一点鎖線で示す状態から実線で示す状態へと瞬時に回転する。なお、このように膨張行程中期に生じるピストンの揺動を以下では「首振り運動」と称する。この首振り運動により、ピストン102はシリンダ103の内壁に衝突し、このとき機関振動が発生する。
こうした首振り運動に起因する機関振動の強度が大きくなると、ノッキングが発生していないにも拘わらず、ノッキングが発生していると誤って判定されてしまう。そして、この場合には点火時期が不要に遅角側の時期に変更されてしまうために、内燃機関の出力性能の低下や燃料消費量の増加を招くおそれがある。
通常、ノッキングは燃焼圧力が最大になるタイミング近傍で発生するのに対して、首振り運動に伴う機関振動はそれよりも後のタイミング(圧縮行程中期)において発生するといったように、ノッキングが発生する期間と首振り運動に伴う機関振動が発生する期間とは異なる。この点をふまえて特許文献1に記載の装置では、首振り運動に伴う機関振動の発生期間を避けるようにノッキングの発生判定を行う期間を定めるようにしている。これにより、首振り運動に伴う機関振動に基づいてノッキングが発生したと誤って判定されることが抑えられるようになる。
ところで、暖機完了後などのように内燃機関の温度が十分に高いときと比較して、同内燃機関の温度が低いときには、ピストンとシリンダ内壁面とのクリアランスが大きい。そして先の図6から明らかなように、そうしたクリアランスが大きいときほど上述した首振り運動におけるピストンの回転角度は大きくなる。
こうしたことから内燃機関の温度が低いときには首振り運動におけるピストンの回転角度が大きくなる可能性が高いと云える。そして、この場合には首振り運動に伴う機関振動の発生期間が変化したり首振り運動に伴う機関振動の強度が大きくなったりしてしまう。そのため、場合によってはノッキングの発生期間と首振り運動に伴う機関振動の発生期間とが一部重複するなどしてそれら期間の切り分けが困難になってしまう。
したがって上記特許文献1に記載の装置においても、内燃機関の温度が低いときにおいて首振り運動に伴う機関振動をもとにノッキングが発生していると誤って判定されるおそれがあると云え、そうした誤判定が続くと点火時期が誤って大きく遅角されてしまう。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピストンの首振り運動に伴う機関振動に起因する点火時期の誤遅角を好適に抑えることのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ノックセンサにより検出される機関振動の強度とノック判定レベルとの比較を通じてノッキングの発生の有無を判定するとともにその判定結果に基づいて点火時期の制御目標値を設定する内燃機関の点火時期制御装置において、前記内燃機関の燃焼室内で発生する熱量の指標値についての同内燃機関の始動開始後における積算値を算出するとともに、同積算値が予め定められた判定値未満であるときには前記内燃機関のピストンの首振り運動に起因する機関振動によって前記制御目標値が誤って遅角側の時期に変化することを抑えるべく前記制御目標値をその遅角側の時期への変化を抑制しつつ設定し、前記積算値が前記判定値以上であるときには前記遅角側の時期への変化を抑制することなく前記制御目標値を設定することをその要旨とする。
請求項1に記載の発明は、ノックセンサにより検出される機関振動の強度とノック判定レベルとの比較を通じてノッキングの発生の有無を判定するとともにその判定結果に基づいて点火時期の制御目標値を設定する内燃機関の点火時期制御装置において、前記内燃機関の燃焼室内で発生する熱量の指標値についての同内燃機関の始動開始後における積算値を算出するとともに、同積算値が予め定められた判定値未満であるときには前記内燃機関のピストンの首振り運動に起因する機関振動によって前記制御目標値が誤って遅角側の時期に変化することを抑えるべく前記制御目標値をその遅角側の時期への変化を抑制しつつ設定し、前記積算値が前記判定値以上であるときには前記遅角側の時期への変化を抑制することなく前記制御目標値を設定することをその要旨とする。
上記構成によれば、内燃機関の始動開始後において燃焼室内で発生した熱の総量が多くなるまでの期間、換言すればピストンおよびシリンダ壁面の温度が高くなってそれらのクリアランスが適度に小さくなるまでの期間において点火時期の制御目標値の遅角側の時期への変化を抑えることができる。そのため、上記クリアランスが大きいためにピストンの首振り運動に伴う機関振動によるノッキングの誤判定が生じるおそれがあるときに、その誤判定により誤って点火時期が遅角されることを抑えることができる。しかも、上記クリアランスが適度に小さくなってそうした誤判定が生じる可能性が低くなった後においては遅角側の時期への変化を抑制することなく制御目標値を設定することができるため、ノッキングの発生状況に応じて点火時期を適切に制御することができる。したがって上記構成によれば、ピストンの首振り運動に伴う機関振動に起因する点火時期の誤遅角を好適に抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該装置は、前記判定結果に応じて学習値を更新するとともに同学習値に基づいて点火時期の制御目標値を設定するものであり、前記積算値が前記判定値未満であるときには前記制御目標値の遅角側の時期への変化を抑制するべく前記学習値の更新を禁止し、前記積算値が前記判定値以上であるときには前記遅角側の時期への変化を抑制することなく前記制御目標値を設定するために前記学習値の更新を許可することをその要旨とする。
従来、点火時期を補正するための学習値をノッキングの発生状況に応じて学習更新する学習制御を実行する装置が実用されている。こうした装置では通常、ノッキングが発生したと判定される頻度が高いときには点火時期を遅角側の時期に補正する値に学習値を変更する一方、そうした判定頻度が低いときには点火時期を進角側の時期に補正する値に学習値を変更するといったように上記学習値が更新される。このようにして学習更新された学習値はノッキングの発生しやすさの指標値となるために、内燃機関の運転制御に際して点火時期についての制御目標値の算出に用いられる。
上記構成によれば、そうした学習値の更新を、ピストンの首振り運動に伴う機関振動によるノッキングの誤判定が生じるおそれがあるときには禁止する一方、その誤判定が生じる可能性が低くなったことをもって許可することができる。したがって、ピストンの首振り運動に伴う機関振動に基づいて学習値が誤って更新されること、ひいては点火時期が誤って遅角されることを好適に抑えることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該装置は、前記内燃機関の運転状態および前記学習値に基づいて前記点火時期の制御基本値を算出するとともに同制御基本値に前記学習値を反映させることによって前記制御目標値を設定するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、ピストンの首振り運動に伴う機関振動によって学習値が誤更新されることに起因して点火時期についての制御基本値が過度に遅角側の値に設定されることを抑えることができる。したがって、首振り運動に伴う機関振動に基づいて点火時期が不要に遅角側の時期に設定されることを抑えることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記内燃機関の始動開始時における同内燃機関の温度を検出するとともに該検出した温度に基づいて前記判定値を設定することをその要旨とする。
内燃機関の始動開始時におけるピストンやシリンダ壁面の温度が低いときほど、その後において上記クリアランスが適度に小さくなるまでに必要になる熱量が多くなる。上記構成によれば、始動開始時における内燃機関の温度が低いときほど上記判定値として大きい値を設定するといったように、そうした傾向に合わせて同判定値を設定することができる。そのため、この判定値をもとに上記クリアランスが適度に小さくなったことを的確に判定した上で、制御目標値の遅角側の時期への変化を抑制することを解除することができる。
なお、例えば内燃機関の運転停止からさほど時間が経過していない状況で同内燃機関が再始動される場合など、内燃機関の温度が十分に高い状態で同内燃機関が始動される場合には、その始動に際して上記クリアランスが適度に小さくなっている。そうした場合に制御目標値の遅角側の時期への変化が抑制されると、ピストンの首振り運動に伴う機関振動によって制御目標値が遅角側の時期に誤って変化する可能性が低いにもかかわらずその変化が抑制されることとなるために、その分だけノッキングの発生状況に見合う時期への制御目標値の変化が遅れてしまう。この点、上記構成によれば、そうした場合における判定値として小さい値、すなわち制御目標値の遅角側の時期への変化が抑制されない状況に早期に移行するようになる値を設定することができる。そのため、制御目標値をノッキングの発生状況に見合う値に速やかに変更することができる。
通常、内燃機関の運転制御では、そのときどきの吸入空気量に見合う量になるように燃料噴射量が調節される。そのため、それら吸入空気量や燃料噴射量は燃焼室内において発生する熱量と相関の高い値であると云える。したがって、前記内燃機関の燃焼室内で発生する熱量の指標値としては、請求項5によるように吸入空気量を採用したり、請求項6によるように燃料噴射量を採用したりすることができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態にかかる内燃機関の点火時期制御装置について説明する。
ここでは先ず、図1を参照して、同実施の形態にかかる点火時期制御装置が適用される内燃機関、並びにその周辺装置の概略構成について説明する。
ここでは先ず、図1を参照して、同実施の形態にかかる点火時期制御装置が適用される内燃機関、並びにその周辺装置の概略構成について説明する。
図1に示すように、内燃機関11のシリンダ12内にはピストン13が往復移動可能に設けられている。このピストン13は、コネクティングロッド14を介して内燃機関11の出力軸であるクランクシャフト15に連結されている。またピストン13にはピストンリング16が取り付けられている。そして、このピストンリング16の外周面全周がシリンダ12の内周面に押圧されることにより、内燃機関11の燃焼室17の内部から外部への燃焼ガスの漏れが抑えられる。
内燃機関11の吸気通路18にはスロットルバルブ19が設けられている。このスロットルバルブ19の開度(スロットル開度TA)の変更を通じて、吸気通路18を介して内燃機関11の燃焼室17内に吸入される空気の量(吸入空気量GA)が調節される。
また内燃機関11の吸気通路18には燃料噴射弁20が設けられている。この燃料噴射弁20には、燃料タンク21内に備蓄された燃料が燃料ポンプ22によって圧送されている。この燃料噴射弁20の開弁駆動を通じて吸気通路18の内部に燃料が噴射される。
内燃機関11の運転に際しては、スロットル開度TAの変更を通じて調量された吸入空気と燃料噴射弁20から噴射された燃料とからなる混合気が燃焼室17内に形成される。そして、その混合気に対して点火プラグ23による点火が行われると、混合気が燃焼してピストン13が往復移動するとともにクランクシャフト15が回転するようになる。燃焼後の混合気は排気として内燃機関11の燃焼室17から排気通路24に送り出される。
本実施の形態にかかる点火時期制御装置は、内燃機関11の運転のための各種制御を実行する電子制御ユニット30を備えている。この電子制御ユニット30は、各種制御に関係する各種の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、その演算に必要なプログラムやデータが記憶された不揮発性メモリ(ROM)、CPUの演算結果が一時的に記憶される揮発性メモリ(RAM)、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えている。
電子制御ユニット30の入力ポートには各種のセンサ類が接続されている。そうしたセンサ類としては、例えばスロットル開度TAを検出するためのスロットルセンサ31や、内燃機関11の振動の強度を検出するためのノックセンサ32、吸入空気量GAを検出するための空気量センサ33が設けられている。また、クランクシャフト15の回転速度(機関回転速度NE)および回転角(クランク角「°CA」)を検出するためのクランクセンサ34や、内燃機関11の冷却水の温度THWを検出するための水温センサ35が設けられている。その他、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量(アクセル踏み込み量AC)を検出するためのアクセルセンサ36や、内燃機関11の運転開始や運転停止に際して乗員によって操作される運転スイッチ37なども設けられている。
電子制御ユニット30は、各種センサ類の出力信号に基づいて機関回転速度NEや吸入空気量GAなどといった内燃機関11の運転状態を把握するとともに、その運転状態に応じたかたちで出力ポートに接続された各種の駆動回路に指令信号を出力する。本実施の形態にかかる装置では、この電子制御ユニット30によって内燃機関11の点火時期制御などといった各種制御が実行される。
以下、本実施の形態にかかる点火時期制御について、図2および図3を参照しつつ説明する。
図2は点火時期制御にかかる処理(点火時期制御処理)の具体的な実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の割り込み処理として、電子制御ユニット30により実行される。また図3は点火時期制御処理において算出される各種制御値の関係を示している。
図2は点火時期制御にかかる処理(点火時期制御処理)の具体的な実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の割り込み処理として、電子制御ユニット30により実行される。また図3は点火時期制御処理において算出される各種制御値の関係を示している。
図2に示すように、この処理では先ず、機関回転速度NE、吸入空気量GA、同処理における学習値(ノック学習値AGKNK)に基づいて点火時期についての制御基本値(ベース点火時期Abse)が算出される(ステップS100)。このベース点火時期Abseとしては、ノッキングの発生を抑制し得る限界の点火時期(いわゆるノック限界)と、内燃機関11の出力トルクおよび燃料消費率が最良となる点火時期(いわゆるMBT)とのうちの遅角側の時期が設定される。
その後、ノックセンサ32により検出される内燃機関11の振動強度に基づいてノッキングが発生しているか否かが判断される(ステップS101)。ここでは、ノックセンサ32により検出された内燃機関11の振動強度が予め定められたノック判定レベルVKDより大きいことをもってノッキングが発生していると判断される。
そして、ノッキングが発生している場合には(ステップS101:YES)、ノック制御量AKCSが所定値A1(例えば、0.4°CA)だけ加算・更新される(ステップS102)。なお、「°CA」はクランク角を表わしている。一方、上記振動強度がノック判定レベルVKD以下であるためにノッキングが発生していないと判断される場合には(ステップS101:NO)、ノック制御量AKCSが所定値A2(例えば、0.01°CA)だけ減算・更新される(ステップS103)。
このノック制御量AKCSは、現在の内燃機関11のノッキング発生状況に応じてその大きさが変化する量となる。具体的には図3に示すように、内燃機関11にノッキングが生じているときには点火時期についての制御目標値(要求点火時期Acal)が遅角側(図3における下方側)の時期になる値にノック制御量AKCSが変更される。これとは逆に、ノッキングが生じていないときには、要求点火時期Acalが進角側(図3における上方側)の時期になる値にノック制御量AKCSが設定される。このように、ノック制御量AKCSは、そのときどきのノッキングの発生状況に応じて点火時期を制御するための量として用いられる。このノック制御量AKCSにより、ノッキング発生時においては点火時期を直ちに遅角させてその発生の抑制が図られ、ノッキングが発生していないときには点火時期を進角させて機関出力の増大が図られる。
こうしてノック制御量AKCSが更新された後、実行フラグがオン操作されていることを条件に(ステップS104:YES)、上記ノック学習値AGKNKを更新する処理(学習処理[ステップS105〜S108の処理])が実行される。なお実行フラグがオフ操作されているときには(ステップS104:NO)、学習処理が実行されない(ステップS105〜S108の処理がジャンプされる)。また上記実行フラグの操作態様については後に詳述する。
学習処理は次のように実行される。すなわち先ず、上記ノック制御量AKCSが所定値A3(例えば、2.5°CA)よりも大きいか否かが判断される(図2のステップS105)。そして、所定値A3よりも大きいと判断される場合には(ステップS105:YES)、ノック学習値AGKNKが所定値A5(例えば、0.5°CA)だけ減算・更新される(ステップS106)。一方、ノック制御量AKCSが所定値A3以下であると判断される場合には(ステップS105:NO)、更に同ノック制御量AKCSが所定値A4(例えば、0.5°CA)よりも小さいか否かが判定される(ステップS107)。そして、所定値A4よりも小さいと判断される場合には(ステップS107:YES)、ノック学習値AGKNKが所定値A6(例えば、0.5°CA)だけ加算・更新される(ステップS108)。他方、ノック制御量AKCSが所定値A3以下であって、且つ所定値A4以上であると判断される場合には(ステップS105:NO、およびステップS107:NO)、ノック学習値AGKNKを更新することなく次の処理に移行する。
こうした学習処理の実行を通じてノック学習値AGKNKは、ノックキングが頻繁に発生する傾向がある場合には相対的に小さい値が設定される一方、ノッキングの発生頻度が低い場合には相対的に大きい値が設定される。このようにノック学習値AGKNKはノッキングの発生しやすさの指標値となる。そして、このノック学習値AGKNKはベース点火時期Abseの算出に用いられる。具体的には、ノック学習値AGKNKが小さい値であるほど、ベース点火時期Abseとして遅角側の時期が設定される。また、ノック学習値AGKNKは、要求点火時期Acalの設定に際してベース点火時期Abseから減算される。このように本処理では、図3に示すように、ノック学習値AGKNKが小さい値であるときほど要求点火時期Acalが遅角側(図3における下方側)の時期に設定されるようになる。本実施の形態では、こうしたノック学習値AGKNKにより、ノッキングの発生を抑制するべく要求点火時期Acalが定常的に補正されるようになる。
このようにノック学習値AGKNKが算出された後、ノッキングの発生状況に基づくノック遅角反映量AKNKの算出が実行される。すなわち先ず、機関回転速度NEおよび吸入空気量GAに基づいてノック遅角反映量AKNKの制御限界となる限界遅角値Akmfが算出される(図2のステップS109)。この限界遅角値Akmfは、図3に示すように、ノッキングを生じさせない点火時期の範囲における最も進角側の点火時期を表す値が算出される。
その後、下式のように、ベース点火時期Abseと限界遅角値Akmfとの差分が限界遅角量Akmaxとして算出される(図2のステップS110)。
Akmax=Akmf−Abse
そして、この限界遅角量Akmax、上記ノック学習値AGKNK、およびノック制御量AKCSに基づいて下式から、ノック遅角反映量AKNKが算出される(ステップS111)。
Akmax=Akmf−Abse
そして、この限界遅角量Akmax、上記ノック学習値AGKNK、およびノック制御量AKCSに基づいて下式から、ノック遅角反映量AKNKが算出される(ステップS111)。
AKNK=Akmax−AGKNK+AKCS
その後、要求点火時期Acalが、下式のように上記ベース点火時期Abseを上記ノック遅角反映量AKNKに基づいて遅角補正することによって設定される(ステップS112)。
Acal=Abse+AKNK
このようにしてノック制御量AKCSおよびノック学習値AGKNKを反映させた値が要求点火時期Acalとして設定された後、本処理が一旦終了される。
そして、上記電子制御ユニット30は、上述した一連の処理とは別の処理において、点火プラグ23による点火時期がこの要求点火時期Acalと一致するように同点火プラグ23の作動を制御する。
ところで、内燃機関11の温度が低いときには前述した首振り運動(図6参照)におけるピストン13の回転角度が大きくなる可能性が高いために、首振り運動に伴う機関振動の発生期間が変化したり同機関振動の強度が大きくなったりしてしまう。そのため、そうしたピストン13の首振り運動に伴う機関振動をもとにノッキングが発生していると誤って判定されるおそれがあるばかりか、そうした誤判定が続くようなことかあると点火時期が誤って大きく遅角されてしまう。そして、この場合には内燃機関11の出力性能の低下や燃料消費量の増加を招いてしまう。
この点をふまえて本実施の形態では、内燃機関11の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAを算出するとともに、この積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには学習処理(ノック学習値AGKNKの更新)の実行を禁止する一方、積算値ΣGAが判定値VCA以上になったことをもって学習処理の実行を許可するようにしている。
内燃機関11の運転制御では、そのときどきの吸入空気量GAに見合う量になるように燃料噴射弁20から噴射される燃料の量(燃料噴射量)が調節される。そのため、吸入空気量GAは燃焼室17内において発生する熱量と相関の高い値であると云える。したがって、内燃機関11の始動後における吸入空気量GAの積算値ΣGAは、同内燃機関11の始動後において燃焼室17内において発生した熱の総量の指標値になる。
本実施の形態では、そうした吸入空気量GAの積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには、内燃機関11の始動開始後において燃焼室17内で発生した熱の総量が少ないために、シリンダ12の内壁面およびピストン13の温度が低くそれらのクリアランスが大きい可能性があると判断される。そして、このときピストン13の首振り運動に伴う機関振動によってノッキングの誤判定が生じるおそれがあるとして、ノック学習値AGKNKの更新が禁止される。
一方、吸入空気量GAの積算値ΣGAが判定値VGA以上になると、内燃機関11の始動開始後において燃焼室17内で発生した熱の総量が十分に多くなってシリンダ12の内壁面およびピストン13の温度が高くなっているために、それらのクリアランスが適度に小さくなっていると判断される。そして、このときには首振り運動に伴う機関振動によってノッキングの誤判定が生じる可能性が低くなっているとして、ノック学習値AGKNKの更新が許可される。
このように本実施の形態では、内燃機関11の始動開始後に上記クリアランスが適度に小さくなるまでの期間においてノック学習値AGKNKの更新が禁止される。そのため、ピストン13の首振り運動に伴う機関振動に基づいてノック学習値AGKNKが誤って更新されることが抑えられるようになる。
本実施の形態では、ノック学習値AGKNKがベース点火時期Abseの算出に用いられる。そのため、首振り運動に伴う機関振動によってノック学習値AGKNKが誤って更新されると、ベース点火時期Abseが過度に遅角側の時期に設定されてしまうため、これに伴って要求点火時期Acalが遅角側の時期になってしまう。本実施の形態によれば、そうしたノック学習値AGKNKの誤更新が抑えられるために、同ベース点火時期Abseが過度に遅角側の時期に設定されること、ひいては要求点火時期Acalが誤って遅角されることが好適に抑えられるようになる。
ここで、内燃機関11の始動開始時におけるピストン13やシリンダ12壁面の温度が低いときほど、その後において上記クリアランスが適度に小さくなるまでに必要になる熱量が多くなる。そのため、吸入空気量GAの積算値ΣGAをもとに上記クリアランスが適度に小さくなったことを精度よく判定するためには、そうした内燃機関11の始動開始時におけるピストン13やシリンダ12壁面の温度に応じたかたちで上記判定値VGAを設定することが望ましい。そして内燃機関11の始動開始時におけるピストン13やシリンダ12壁面の温度は、同内燃機関11の始動開始時における冷却水温度THWと相関が高い。
こうした実情をふまえて本実施の形態では、内燃機関11の始動開始時における冷却水温度(始動時水温THWst)を検出するとともに同温度に基づいて上記判定値VGAを設定するようにしている。具体的には、この始動時水温THWstが低いときほど、上記クリアランスが適度に小さくなるまでに必要になる熱量が多いとして、上記判定値VGAとして大きい値が設定される。このように本実施の形態によれば、内燃機関11の始動開始時におけるピストン13やシリンダ12壁面の温度が低いときほど上記クリアランスが適度に小さくなるまでに必要になる熱量が多くなるといった傾向に応じたかたちで、上記判定値VGAが設定されている。そのため、この判定値VGAをもとに上記クリアランスが適度に小さくなったことが的確に判定された上で、ノック学習値AGKNKの更新が許可される。
なお、例えば内燃機関11の運転停止からさほど時間が経過していない状況で同内燃機関11が再始動される場合など、内燃機関11の温度が十分に高い状態で同内燃機関11が始動される場合には、その始動に際して上記クリアランスが適度に小さくなっている。そうした場合において仮にノック学習値AGKNKの更新を禁止すると、首振り運動に伴う機関振動によってノック学習値AGKNKが誤学習される可能性が低いにもかかわらずその更新が禁止されることとなるために、その分だけノッキングの発生状況に見合う時期への要求点火時期Acalの変化が遅れてしまう。この点、本実施の形態では、そうした場合に判定値VGAとして小さい値が設定されるために、ノック学習値AGKNKの更新が許可される状況に早期に移行するようになる。そのため、ノック学習値AGKNKおよびベース点火時期Abse、ひいては要求点火時期Acalをノッキングの発生状況に見合う値に速やかに変更することができるようになる。
ちなみに近年、駆動源として内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両や交差点等での車両停止時に内燃機関の運転を一時的に停止させる車両など、車両の運転に際して内燃機関の運転を間欠的に停止させる制御を実行することが実用されている。こうした車両に搭載される内燃機関では、その温度が十分に高い状態で内燃機関が始動されるといった状況になる頻度が極めて高い。そのため、そうした内燃機関に本実施の形態にかかる装置を適用することにより、始動時水温THWstに基づいて判定値VGAを設定することによって得られる効果、詳しくは要求点火時期Acalをノッキングの発生状況に見合う値に速やかに変更することができるようになるとの効果が顕著になる。
以下、このようにして学習処理の実行を許可する処理(実行許可処理)の詳細について説明する。
図4は上記実行許可処理の具体的な実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定時間毎の割り込み処理として、電子制御ユニット30により実行される。
図4は上記実行許可処理の具体的な実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定時間毎の割り込み処理として、電子制御ユニット30により実行される。
同図4に示すように、この処理では先ず、運転スイッチ37の操作によって内燃機関11の始動が開始されると(ステップS200:YES)、このときの冷却水温度THW(前記始動時水温THWst)に基づいて前記判定値VGAが設定される(ステップS201)。本実施の形態では、上記クリアランスが適度に小さくなる吸入空気量GAの積算値ΣGAと始動時水温THWstとの関係が実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められて電子制御ユニット30に記憶されている。具体的には、そうした関係として、図5に示すように、始動時水温THWstが低いときほど上記判定値VGAが大きい値になる関係が記憶されている。ステップS201の処理では、そうした関係に基づいて上記判定値VGAが設定される。
また、このようにして判定値VGAが設定された後、内燃機関11の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAの算出が開始される(ステップS202)。そして、上記積算値ΣGAが判定値VGA未満である場合には(ステップS203:NO)、学習処理の実行が禁止された後(ステップS204)、本処理は一旦終了される。この場合には詳しくは、前記実行フラグ(図2のステップS104の処理を参照)がオフ操作されてノック学習値AGKNKの更新が禁止される。
その後において本処理が繰り返し実行されて、上記積算値ΣGAが判定値VGA以上になると(図4のステップS203:YES)、学習処理の実行が許可された後(ステップS205)、本処理は一旦終了される。この場合には詳しくは、上記実行フラグがオン操作されることにより、以後においてノック学習値AGKNKの更新が許可されるようになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)内燃機関11の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAを算出するとともに、この積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには学習処理の実行を禁止する一方、積算値ΣGAが判定値VCA以上になったことをもって学習処理の実行を許可するようにした。そのため、内燃機関11の始動開始後にピストン13とシリンダ12壁面とのクリアランスが適度に小さくなるまでの期間においてノック学習値AGKNKの更新を禁止することができる。したがって、首振り運動に伴う機関振動に基づくノック学習値AGKNKの誤更新を抑えることができ、点火時期が誤って遅角されることを抑えることができる。
(1)内燃機関11の始動開始後における吸入空気量GAの積算値ΣGAを算出するとともに、この積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときには学習処理の実行を禁止する一方、積算値ΣGAが判定値VCA以上になったことをもって学習処理の実行を許可するようにした。そのため、内燃機関11の始動開始後にピストン13とシリンダ12壁面とのクリアランスが適度に小さくなるまでの期間においてノック学習値AGKNKの更新を禁止することができる。したがって、首振り運動に伴う機関振動に基づくノック学習値AGKNKの誤更新を抑えることができ、点火時期が誤って遅角されることを抑えることができる。
(2)始動時水温THWstに基づいて判定値VGAを設定するようにしたために、内燃機関11の始動開始時におけるピストン13やシリンダ12壁面の温度が低いときほど上記クリアランスが適度に小さくなるまでに必要になる熱量が多くなるといった傾向に応じたかたちで上記判定値VGAを設定することができる。そのため、判定値VGAをもとに上記クリアランスが適度に小さくなったことを的確に判定した上で、ノック学習値AGKNKの更新を許可することができる。しかも、内燃機関11の温度が十分に高い状態で同内燃機関11が始動される場合に、判定値VGAとして小さい値を設定することができるため、ノック学習値AGKNKおよびベース点火時期Abse、ひいては要求点火時期Acalをノッキングの発生状況に見合う値に速やかに変更することができるようになる。
(3)ノック学習値AGKNKの誤更新を抑えることにより、ベース点火時期Abseが過度に遅角側の時期に設定されることを抑えることができるために、要求点火時期Acalが誤って遅角されることを好適に抑えることができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・判定値VGAの算出に用いる算出パラメータとしては、始動時水温THWstを採用することに限らず、内燃機関11の始動開始時における同内燃機関11の潤滑油の温度などを採用することができる。要は、始動開始時における内燃機関11の温度の指標値であれば、上記算出パラメータとして用いることができる。また、内燃機関11の温度そのものを検出して上記算出パラメータとして用いるようにしてもよい。
・判定値VGAの算出に用いる算出パラメータとしては、始動時水温THWstを採用することに限らず、内燃機関11の始動開始時における同内燃機関11の潤滑油の温度などを採用することができる。要は、始動開始時における内燃機関11の温度の指標値であれば、上記算出パラメータとして用いることができる。また、内燃機関11の温度そのものを検出して上記算出パラメータとして用いるようにしてもよい。
・始動開始時における内燃機関11の温度に基づいて判定値を設定する構成を省略してもよい。
・吸入空気量GAの積算値ΣGAが判定値VGA以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することに代えて、燃料噴射量Qについての積算値ΣQを算出するとともに同積算値ΣQが判定値VQ以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可するようにしてもよい。こうした構成によっても、内燃機関11の燃焼室17内で発生する熱量の指標値である燃料噴射量Qの積算値ΣQが判定値VQ以上になるまでの期間、換言すれば内燃機関11の始動開始後にピストン13とシリンダ12壁面とのクリアランスが適度に小さくなるまでの期間においてノック学習値AGKNKの更新を禁止することができる。その他、機関回転速度NEについての積算値ΣNE(例えば、実行許可処理の実行タイミングにおける機関回転速度NEを積算した値)を算出するとともに同積算値ΣNEが判定値VNE以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することも可能である。また、内燃機関11の始動開始後における時間の積算値ΣTを算出するとともに同積算値ΣTが判定値VT以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することもできる。
・吸入空気量GAの積算値ΣGAが判定値VGA以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することに代えて、燃料噴射量Qについての積算値ΣQを算出するとともに同積算値ΣQが判定値VQ以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可するようにしてもよい。こうした構成によっても、内燃機関11の燃焼室17内で発生する熱量の指標値である燃料噴射量Qの積算値ΣQが判定値VQ以上になるまでの期間、換言すれば内燃機関11の始動開始後にピストン13とシリンダ12壁面とのクリアランスが適度に小さくなるまでの期間においてノック学習値AGKNKの更新を禁止することができる。その他、機関回転速度NEについての積算値ΣNE(例えば、実行許可処理の実行タイミングにおける機関回転速度NEを積算した値)を算出するとともに同積算値ΣNEが判定値VNE以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することも可能である。また、内燃機関11の始動開始後における時間の積算値ΣTを算出するとともに同積算値ΣTが判定値VT以上であるときにノック学習値AGKNKの更新を許可することもできる。
・上記実施の形態にかかる装置は、ノック学習値AGKNKがベース点火時期Abseの算出に用いられる装置に限らず、同ノック学習値AGKNKが最遅角時期Akmfの算出に用いられる装置などにも適用することができる。
・吸入空気量GAの積算値ΣGAが判定値VGA以上であるときにおいて採用する構成としては、同積算値ΣGAが判定値VGA未満であるときと比較して要求点火時期Aopの遅角側の時期への変化を抑制することができる構成であれば、ノック学習値AGKNKの更新を禁止するといった構成に限らず、任意の構成を採用することができる。そうした構成としては、例えばノック制御量AKCSの更新を禁止するとの構成や、ノック学習値AGKNK(あるいはノック制御量AKCS)の変化速度を低い速度に抑えるとの構成、ノック学習値AGKNK(あるいはノック制御量AKCS)についての限界値を設定してその変化を抑えるとの構成などを採用することができる。また、ノック判定レベルVKDとしてノッキングの発生が判定され難くなる値(上記実施の形態では、大きい値)を設定するといった構成を採用することなども可能である。このように上記構成としては、要求点火時期Aopの設定に用いられる各種の設定パラメータの更新を禁止する構成、同設定パラメータの単位時間あたりの変化量を少なく抑える構成、あるいは同設定パラメータについての限界値を設定する構成などを採用することができる。
・本発明は、内燃機関の燃焼室内において燃料を直接噴射するタイプ、いわゆる直噴タイプの内燃機関にも適用することができる。
11…内燃機関、12…シリンダ、13…ピストン、14…コネクティングロッド、15…クランクシャフト、16…ピストンリング、17…燃焼室、18…吸気通路、19…スロットルバルブ、20…燃料噴射弁、21…燃料タンク、22…燃料ポンプ、23…点火プラグ、24…排気通路、30…電子制御ユニット、31…スロットルセンサ、32…ノックセンサ、33…空気量センサ、34…クランクセンサ、35…水温センサ、36…アクセルセンサ、37…運転スイッチ。
Claims (6)
- ノックセンサにより検出される機関振動の強度とノック判定レベルとの比較を通じてノッキングの発生の有無を判定するとともにその判定結果に基づいて点火時期の制御目標値を設定する内燃機関の点火時期制御装置において、
前記内燃機関の燃焼室内で発生する熱量の指標値についての同内燃機関の始動開始後における積算値を算出するとともに、同積算値が予め定められた判定値未満であるときには前記内燃機関のピストンの首振り運動に起因する機関振動によって前記制御目標値が誤って遅角側の時期に変化することを抑えるべく前記制御目標値をその遅角側の時期への変化を抑制しつつ設定し、前記積算値が前記判定値以上であるときには前記遅角側の時期への変化を抑制することなく前記制御目標値を設定する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
当該装置は、前記判定結果に応じて学習値を更新するとともに同学習値に基づいて点火時期の制御目標値を設定するものであり、前記積算値が前記判定値未満であるときには前記制御目標値の遅角側の時期への変化を抑制するべく前記学習値の更新を禁止し、前記積算値が前記判定値以上であるときには前記遅角側の時期への変化を抑制することなく前記制御目標値を設定するために前記学習値の更新を許可する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
当該装置は、前記内燃機関の運転状態および前記学習値に基づいて前記点火時期の制御基本値を算出するとともに同制御基本値に前記学習値を反映させることによって前記制御目標値を設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記内燃機関の始動開始時における同内燃機関の温度を検出するとともに該検出した温度に基づいて前記判定値を設定する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記指標値は前記内燃機関の吸入空気量である
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記指標値は前記内燃機関の燃料噴射量である
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
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JP2010093967A JP2011226297A (ja) | 2010-04-15 | 2010-04-15 | 内燃機関の点火時期制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017155729A (ja) * | 2016-03-04 | 2017-09-07 | トヨタ自動車株式会社 | エンジン装置 |
US9897061B2 (en) | 2015-05-21 | 2018-02-20 | Hyundai Motor Company | Method for controlling engine knocking |
-
2010
- 2010-04-15 JP JP2010093967A patent/JP2011226297A/ja active Pending
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