JP2011226174A - 鉄骨柱脚部の基礎構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄骨柱脚部の基礎構造1は、下端に定着板31が設置され平面視において略矩形に配置された複数本のアンカーボルト30と、アンカーボルト30を包囲するように立設され平面視において略矩形に配置された複数本の内輪立ち上げ鉄筋10と、内輪立ち上げ鉄筋10を包囲するように立設され平面視において略矩形に配置された複数本の外輪立ち上げ鉄筋20と、アンカーボルト30、内輪立ち上げ鉄筋10および外輪立ち上げ鉄筋20が埋設された基礎コンクリートと、アンカーボルト30に設置されたベースプレート40と、ベースプレート40に下端が固定された鉄骨柱50と、を有する。
【選択図】図1
Description
そして、基礎コンクリートには、鉄骨柱に作用する曲げモーメントに耐え得るだけの立ち上げ鉄筋が配置されている。このとき、立ち上げ鉄筋を鉄骨柱の中心に近い位置に配置すれば、基礎コンクリートの大きさを小さくすることができるものの、その本数が多く(断面積が大きく)なり、しかも、立ち上げ鉄筋相互の間隔が狭くなってしまうため、該間隔を保証した上で、配置位置と本数(断面積)とを決定している。
なお、基礎コンクリートには梁主筋等の基礎梁が配置され、基礎梁と立ち上げ鉄筋とが競合するため、配筋作業の繁雑さが、施工性を大きく低下させる原因になっていた。
(あ)四隅にアンカーボルトを配置して形成される矩形柱状の空間の中央に第2立ち上げ鉄筋を配置すると共に、該空間の周囲に第1立ち上げ鉄筋を配置し、その後、該空間を含む範囲にコンクリートを打設するものであるため、狭い空間内に第2立ち上げ鉄筋を配置して固定する作業は繁雑で困難なことから、施行性が悪い。
(い)また、基礎コンクリートの中央部(四隅をアンカーボルトとした範囲の中央)には、複数本の一方向の水平鉄筋(主筋)と複数本の多方向の水平鉄筋(主筋)とが交差するため、当該位置に配置することができる第2立ち上げ鉄筋の本数が限定されるから、第2立ち上げ鉄筋の断面積を大きく(外径が太く)する必要が生じ、かえって施行性が悪化すると共に、資材コストが高くなる。
(う)また、もともと複数本の基礎梁が交差する基礎コンクリートの中央部に、第2立ち上げ鉄筋を配置すること自体(第2立ち上げ鉄筋を自立させるためのフープ筋を、基礎梁同士の間隙に設置すること)が困難であって、施工性の改善が期待できない。
(お)また、高耐力の鉄骨柱を支持するために、施工性に優れ、コーン状破壊の発生(き裂の発生)を防止したり、発生後の破断面の拡大(き裂の開口)を防止したりする作用がより発揮されるように、アンカーボルトの本数をさらに増やした場合(例えば、各隅に2本づつ合計8本、あるいは、これに各辺の中央に1本を追加した合計12本等の場合)、第1立ち上げ鉄筋および第2立ち上げ鉄筋の本数(断面積)がそれぞれ増加するから、前記傾向は助長される。
該複数本のアンカーボルトを包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された複数本の内輪立ち上げ鉄筋と、
該複数本の内輪立ち上げ鉄筋を包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された複数本の外輪立ち上げ鉄筋と、
前記アンカーボルト、前記内輪立ち上げ鉄筋および前記外輪立ち上げ鉄筋が埋設された基礎コンクリートと、
前記アンカーボルトに設置されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
を有することを特徴とする。
(3)さらに、前記アンカーボルトは合計8本であって、略矩形の四隅にそれぞれ2本づつ配置されていることを特徴とする。
(4)さらに、前記アンカーボルトは合計12本であって、略矩形の四隅にそれぞれ2本づつ配置され、且つ略矩形の各辺の中央にそれぞれ1本づつ配置されていることを特徴とする。
したがって、複数本の基礎梁が交差する基礎コンクリートの中央部等の込み入った範囲を離れた位置に、内輪立ち上げ鉄筋および外輪立ち上げ鉄筋を設置するから、施工が容易であって、施工性に優れている。
また、内輪立ち上げ鉄筋がコーン状破壊の発生を防止したり、発生後の破断面の拡大を防止したりする作用をより効果的に奏するから、外輪立ち上げ鉄筋のみ設置した場合や、特許文献1に開示された発明の場合に比較して、外輪立ち上げ鉄筋の本数が減少し、これが形成する矩形の辺長が短くなる(基礎コンクリートの体積が減少する)から、資材量が減少し、施工コストが安価になる。
さらに、前記アンカーボルトは合計8本あるいは合計12本であって、より大きな曲げモーメントが作用したり、コーン状破壊のおそれが高まるものの、内輪立ち上げ鉄筋が配置されることによって、曲げモーメントやコーン状破壊のおそれに十分対応することが可能になる。
図1〜図3において、鉄骨柱脚部の基礎構造(以下「基礎構造」と称す)1は、平面視において略矩形に配置された12本のアンカーボルト30a、30b・・・30l(まとめて又はそれぞれを「アンカーボルト30」と称する場合がある)と、アンカーボルト30を包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された24本の内輪立ち上げ鉄筋10と、内輪立ち上げ鉄筋10を包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された84本の外輪立ち上げ鉄筋20と、を有している。
また、アンカーボルト30は先端部を除く範囲が基礎コンクリート90に埋設されている。そして、基礎コンクリート90から露出したアンカーボルト30の先端部は、ベースプレート40のボルト孔41を貫通して、図示しない固定ナットによってベースプレート40に固定されている。さらに、ベースプレート40に鉄骨柱50の下端が固定されている。
また、基礎コンクリート90の側面には、基礎梁80a、80b、80c、80d(まとめて又はそれぞれを「基礎梁80」と称する場合がある)が接続され、基礎梁80aおよび基礎梁80cには基礎コンクリート90を跨ぐ水平上鉄筋91acおよび水平下鉄筋92acが設置され、基礎梁80bおよび基礎梁80dには基礎コンクリート90を跨ぐ水平上鉄筋91bdおよび水平下鉄筋92bdが設置されている。
なお、以上は、基礎コンクリート90の4方向に基礎梁80が接続されたものを例示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、3方向(鉄骨柱50が建物の側壁に配置される場合)、2方向(鉄骨柱50が建物の角に配置される場合)あるいは1方向(鉄骨柱50が持ち出し壁の端部に配置される場合)であってもよい。そして、基礎梁80の形態に伴って、水平上鉄筋91ac、水平下鉄筋92acや水平上鉄筋91bd、水平下鉄筋92bdの有無や形態は変わるものである。
なお、以下の説明において、共通する内容については水平上鉄筋91ac・・水平下鉄筋92bdに付された添え字「ac、bd」の記載を省略する。
矩形状の角(隅)部に配置されたアンカーボルト30aおよびアンカーボルト30bのそれぞれの下端は、定着板31abを貫通して、図示しない固定ナットによって定着板31abが設置されている。矩形状の辺中央部に配置されたアンカーボルト30cの下端は、定着板31cを貫通して、図示しない固定ナットによって定着板31cが設置されている。同様に、矩形状の角(隅)部に配置されたアンカーボルト30の下端は、それぞれ定着板31de、定着板31gh、定着板31jkが設置され、矩形状の辺中央部に配置されたアンカーボルト30の下端は、それぞれ定着板31c、定着板31f、定着板31i、定着板31lが設置されている。なお、共通する内容の説明においては、定着板31ab・・・定着板31c・・・に付された添え字「ab・・・c・・・」の記載を省略する。
前記のようにアンカーボルト30a、30bの下端には定着板31abが設置されている。したがって、アンカーボルト30a、30bに上方向の引っ張り力(アンカーボルト30を引き抜こうとする力)が作用した場合、かかる引っ張り力は基礎コンクリート90に伝達され、定着板31abを頂点として、上方に拡大する円錐台状の引っ張り応力の範囲が形成され、かかる円錐台状の側面を形成する面(鉛直線に対して45°傾斜する)がせん断面32abとなる。
このとき、内輪立ち上げ鉄筋10の上側の広い範囲(図中、位置Aより上の範囲)において、外輪立ち上げ鉄筋20の上側の範囲(図中、位置Bより上の範囲)において、前記引っ張り力が伝達される。
そして、アンカーボルト30d、30e・・・30lについても同様に、せん断面32de・・・32lが形成される。以下、共通する内容の説明においては、符号の添え字「a、b・・・l」の記載を省略する。
このとき、内輪立ち上げ鉄筋10の上側の広い範囲(図中、位置Aより上の範囲)において、外輪立ち上げ鉄筋20の上側の範囲(図中、位置Bより上の範囲)において、前記引っ張り力が伝達される。
したがって、基礎構造1は内輪立ち上げ鉄筋10を有することによって、コーン状破壊の発生をより効果的に防止すると共に、コーン状破壊(き裂)が発生したとしても、その進展(き裂の伝播や開口)をより効果的に防止することが可能になる。
このとき、内輪立ち上げ鉄筋10はアンカーボルト30の外側において、これを包囲するから、水平上鉄筋91同士の交差部(アンカーボルト30が包囲する矩形の略中央部)から離れた位置にあり、施工が容易である。
図4は、本発明の実施の形態に係る鉄骨柱脚部の実施例を模式的に示す平面図である。
図4において、基礎構造1は、以下の設計指針による設計例である。
(i)外径1000mmの角型鋼管柱に対応したベースプレートとアンカーボルトとを配した「基礎RC柱」の設計である。
(ii)柱脚の応力(M、N、Q)は、RC柱型のコンクリートの外輪立ち上げ筋およびフープ筋によって地中梁に伝達させる。なお、Mは曲げモーメント、Nは軸力、Qはせん断力を示す。
(iii)角型鋼管柱に所定の引張力がかかり、全てのアンカーボルト(12本)の各々に最大引張力が生じた場合を想定して、そのときの、コーン状破壊を防止するために、外輪立ち上げ筋だけでは不足する分(引張力)を、内輪立ち上げ筋で補い、前記所定の引張力を満足させる。
(iv)すなわち、前記所定の引張力を満足させる内輪立ち上げ筋の断面積、本数、配置位置等を設計する。
アンカーボルト30はベースプレート40の外郭よりも片側80mm内側に配置されているから、1185×1185(mm)の矩形状に配置されている。
そして、ベースプレート40の外郭に沿って、各辺7本で合計24本の内輪立ち上げ鉄筋10(外径29mm)が配置され、基礎コンクリート90の各辺に沿って22本で合計84本の外輪立ち上げ鉄筋20(外径29mm)が配置されている。なお、内輪立ち上げ鉄筋10および外輪立ち上げ鉄筋20は、それぞれ100(mm)の間隔で配置された内輪水平帯筋11および外輪水平帯筋21(いずれも外径16mm)によって支持されている。
また、定着板31の形状やアンカーボルト30への設置形態についても、図示するものに限定するものではなく、例えば、アンカーボルト30毎に定着板31を設置してもよいし、3本以上のアンカーボルト30に1枚の定着板31を設置してもよい。
また、内輪水平帯筋11や外輪水平帯筋21の材質や外径、あるいは配置形態(間隔等)は限定するものではない。
10 内輪立ち上げ鉄筋
11 内輪水平帯筋
20 外輪立ち上げ鉄筋
21 外輪水平帯筋
30 アンカーボルト
31 定着板
32 せん断面
40 ベースプレート
41 ボルト孔
50 鉄骨柱
80 基礎梁
90 基礎コンクリート
91 水平上鉄筋
92 水平下鉄筋
Claims (4)
- 下端に定着板が設置され、平面視において略矩形に配置された複数本のアンカーボルトと、
該複数本のアンカーボルトを包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された複数本の内輪立ち上げ鉄筋と、
該複数本の内輪立ち上げ鉄筋を包囲するように立設され、平面視において略矩形に配置された複数本の外輪立ち上げ鉄筋と、
前記アンカーボルト、前記内輪立ち上げ鉄筋および前記外輪立ち上げ鉄筋が埋設された基礎コンクリートと、
前記アンカーボルトに設置されたベースプレートと、
該ベースプレートに下端が固定された鉄骨柱と、
を有することを特徴とする鉄骨柱脚部の基礎構造。 - 前記内輪立ち上げ鉄筋は、それぞれが所定の前記アンカーボルトに近接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の鉄骨柱脚部の基礎構造。
- 前記アンカーボルトは合計8本であって、略矩形の四隅にそれぞれ2本づつ配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄骨柱脚部の基礎構造。
- 前記アンカーボルトは合計12本であって、略矩形の四隅にそれぞれ2本づつ配置され、且つ略矩形の各辺の中央にそれぞれ1本づつ配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄骨柱脚部の基礎構造。
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