JP2011225904A - 転炉の吹錬制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転炉炉口部から飛散し落下しているピッティングのうち一定の輝度以上であるスピッティングを、下記式を満たすように転炉炉外にて撮像する撮像工程と、その撮像情報を画像解析する解析工程と、その画像解析情報を基にランス位置を制御する制御工程を有することを特徴とする転炉の吹錬制御方法。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野中の1画素相当径または1画素相当正方形の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
【選択図】図2
Description
スピッティングは、通常溶鉄量の0.1〜0.5%程度に達し、転炉吹錬での溶鉄歩留悪化の原因の一つになっている。またそれだけではなく、飛散した溶鉄粒が周辺設備や床に付着し、転炉操業における環境悪化や、設備不具合の原因となっており、転炉操業上の大きな問題となっている。
例えば特許文献1(特開昭63−100331号公報)には、マイクロ波にて溶鉄液面を測定し、ランスと溶鉄液面の位置関係を常に最適になるようランス位置を制御することが提案されている。しかし、吹錬前に溶鉄液面高さの測定時間に数分(5〜10分)を要するため、転炉吹錬の生産性を大幅に悪化させ、現実的な解決法にはなっていない。
従って、現時点では有効な手段がなく、転炉のオペレーターが目視によりスピッティング量を把握し、経験的感覚的にランス位置を制御している。
その要旨とするところは、以下のとおりである。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の1 辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形 の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
転炉の炉口付近は、吹錬中は火炎の噴出しがあるため、背景の輝度とスピッティングの輝度が同程度となり、見分けることが難しい。
従って、できるだけ炉口より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することが望ましい。例えば、転炉の出鋼孔より下部(吹錬中の転炉を正面視した場合の転炉出鋼孔のある高さから下の空間をいう。)で、転炉下面より下に位置する転炉作業床までの間が望ましい。また、できれば転炉の高さ(吹錬中の転炉を正面視した場合の転炉底面から炉口までの長さをいう。)の半分より下での撮像がより望ましい。この位置であれば、背景となる転炉本体や周辺設備等とスピッティングの輝度差から、スピッティングを見分けることが十分可能となるからである。
望遠レンズによりスピッティングを撮像する際に、撮像装置の1画素で捉えられる範囲とスピッティング(溶鉄粒)の粒の間には、以下の関係があることが望ましい。画像解析する場合の画像情報の精度からくる制限である。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の 1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm)
例えば、得られた撮像情報から、一定以上の撮像濃度を有するスピッティングの個数をカウントすればよい。そのためには、撮像装置の同一視野での連続撮像において、同一スピッティングが連続する2枚の撮像に含まれないように、撮像間隔を設定すればよい。例えば、撮像視野におけるスピッティングの落下速度が10m/secであり、視野の鉛直方向長さが3.5mであったとき、0.3秒間隔で撮像することにより、全てのスピッティングを2回撮像することなく撮像することができる。これは撮像装置の視野や、撮像位置でのスピッティングの速度から一義的に決められることである。ちなみに、撮像時のシャッタースピードは、スピッティング速度、スピッティング径、撮像装置の能力から総合的に決定されるものである。
また、カウントするスピッティングに対し適切な閾値を設定すれば2値化処理は可能であり、それによりカウントしたいスピッティングを分離することができることを確認している。
最後に、制御工程について説明する。制御工程は、得られたスピッティングの解析情報を基に、スピッティング量を減少させために、転炉ランスの位置を制御するための工程である。例えば、前記した画像解析により得られたスピッティングの個数情報や飛散情報とランス位置との関係を予め把握しておくことにより、スピッティングの個数情報や飛散情報に応じて、所望のスピッティング量になるようランス位置を制御することができる。
もちろん、ランス位置制御も酸素噴射量(吹き込み量)制御もそれぞれ個別に制御することができるし、双方を連動させて制御することもできる。こうした制御態様も前記例に限定されることなく、あらゆる制御態様を用いることができることは言うまでもない。同様に制御対象も、ランス位置や酸素噴射量は一例であり、これらに限定されることはない。
予め測定したスピッティング径は10mmで、その標準偏差は1mmであった。上記位置で、測定すべきスピッティングの平均撮像濃度は、220±30であった。従って、閾値(Lt)は190に設定した。
前記式より、一画素空間長が6mmの正方形となるよう、視野の大きさを横3.072m×縦2.88mになるよう設定した。
サンプリングタイム(撮像間隔)は、25m秒に設定し、シャッタースピードは1/2000秒に設定した。
一回の転炉吹錬操業(1ヒートと言う。)ごとに、解析されたスピッティング量と、1ヒート前後で測定した溶鉄重量により理論的に計算したスピッティング量とを比較したものを図2に示す。非常によい相関関係になることが確認でき、撮像したスピッティング量から全体のスピッティング量を予測することができることが確認できた。
比較例は、従前どおり、オペレーターによる経験的感覚的なランス位置制御にて行った。この結果を図3に示す。
図3からもわかるように、当初は、実施例も比較例もランス位置が適正でないため、本発明による実施例も比較例と同様にスピッティング量が多い。しかし、本発明の方法によるランス位置制御を行うことにより、すぐに基準値と同じレベルとなり、最適なランス高さに制御されていることがわかる。比較例と比べても、一目瞭然に、その効果が確認できた。
図4には、本発明による吹錬制御方法を実施したとき(実施例)と、従前の方法で吹錬したとき(比較例)の、スピッティングによる歩留落ち((スピッティングとして失った溶鉄の量(吹錬前後の溶鉄重量から推測))/(投入した溶鉄の量))を示す。比較例が平均0.25%の歩留落ちであるのに対し、本発明の実施例では平均0.05%となっている。つまり、スピッティングにより失われた溶鉄量は、1/5に激減したことがわかる。
Claims (8)
- 転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを、下記式を満たすように転炉炉外に設置された撮像装置にて撮像する撮像工程と、該撮像工程での撮像情報を画像解析する解析工程と、該解析工程で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御工程を有することを特徴とする転炉の吹錬制御方法。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形の 1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm) - 前記制御工程において、前記解析工程で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載の転炉の吹錬制御方法。
- 前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の転炉の吹錬制御方法。
- 前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御方法。
- 転炉中の溶鉄に上部ランスから酸素を噴射する吹錬方法において、転炉炉外に設置され、転炉の炉口部と排ガスダクトとの間から転炉炉外に飛散し落下しているスピッティングを下記式を満たすように撮像する撮像装置と、該撮像装置で撮像した撮像情報を画像解析する解析装置と、該解析装置で画像解析された情報を基にランス位置を制御する制御装置を有することを特徴とする転炉の吹錬制御装置。
1/4*(Ls/Lt)*π/4*(d+σ)2 ≦ X2
≦ (Ls/Lt)*π/4*(d−σ)2
X:監視装置の視野における1画素に相当する径または1画素に相当する正方形 の1辺の長さ(mm)
Ls:スピッティング(溶鉄粒)撮像の平均濃度
Lt:スピッティング(溶鉄粒)撮像の濃度閾値
d:スピッティング(溶鉄粒)粒径の平均値(mm)
σ:スピッティング(溶鉄粒)粒径の標準偏差(mm) - 前記制御装置において、前記解析装置で画像解析された情報を基に上部ランスからの酸素噴射量を制御することを特徴とする請求項5に記載の転炉の吹錬制御装置。
- 前記撮像装置にて、前記落下しているスピッティングを撮像する際、転炉出鋼孔より下の位置を落下しているスピッティングを撮像することを特徴とする請求項5または6に記載の転炉の吹錬制御装置。
- 前記撮像装置が、転炉炉口から飛散したスピッティングが落下する範囲の外に設置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の転炉の吹錬制御装置。
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2010
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