JP2011225777A - プリプレグ、その製造方法及び積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、成形性、表面平滑性、低熱膨張、寸法安定性に優れたプリプレグ、その製造方法、および積層板を提供するものである。
【解決手段】
ガラス基材の片面又は両面に樹脂層を有するプリプレグであって、前記ガラス基材は板ガラスであり、ロール形態可能な板ガラスであることが好ましい。板ガラスの表面粗さパラメータRa値が0.1nm以上0.5nm以下、板ガラスの熱膨張係数が0.5ppm以上、6.0ppm以下、板ガラスの軟化点が800℃以上で1700℃以下であることが好ましい。
また、板ガラスに樹脂を塗工またはラミネートし、乾燥してなるプリプレグの製造方法であって、 樹脂が熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリプレグ、その製造方法及び積層板に関するものである。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、高密度実装対応の多層プリント配線板の小型化かつ高密度化が求められている。この多層プリント配線板の小型化かつ高密度化により、多層プリント配線板に用いられる積層板は、従来よりも、高精度化,高機能化,極薄化,および軽量化の進展が著しく、特に形成される回路パターンの高密度化および微細化が顕著である。
また、薄型のチップスケールパッケージ(CSP PKG)等に使用される基材としては、低熱膨張材等の薄い板が主に使用されている。これらのPKG類の半田ボール間隔は、近年の軽薄短小化により半田ボールピッチは、ますます狭くなる傾向であり、その結果、回路のライン/スペースも狭くなってきている。高密度化のためには、微細配線が必要であり、そのためには表面の平坦性が良好でかつ、寸法安定性が良好でなくてはならない。
また,ガラスクロスのないプリプレグである接着フィルムや銅箔付き接着フィルムは、厚さをより薄くでき、小径ドリル加工性、レーザ穴加工性及び表面平坦性に優れるため,近年多層プリント配線板に用いられるようになってきた。一方、ガラスクロスのないプリプレグである樹脂フィルムは、ガラスクロスが無い分、熱膨張率は樹脂による影響が大きかった。
これまで、積層板の低熱膨張化は、用いる熱硬化性樹脂組成物に熱膨張率の低い無機充填材を配合し無機成分の体積分率を上げた樹脂組成物とすることで達成している。しかしながら、さらなる低熱膨張化のため、無機充填材を多量に配合した樹脂組成物とすることで、例えば、プリプレグ作製において、樹脂ワニス中の無機充填材の沈降、塗布時の外観不良、および含浸性の低下といった恐れがあった。また、積層板製造時において、プリプレグの加熱加圧成形時の流動性が低下するための成形性低下、積層板において、熱硬化性樹脂と無機充填材との界面が増加するための絶縁性低下および耐熱性低下の恐れがあった。
さらに積層板の低熱膨張化は、樹脂ワニス中に無機充填材を入れる他にガラス密度の高いガラスクロスを選定して積層板の厚みを調整する、つまり樹脂の比率を下げて無機素材の比率を上げることでも達成している。しかしながら、樹脂比率が低いため成形不良やガラスクロスの表面凹凸が銅箔表面上に浮き出たりし、銅箔表面上の回路細線加工において問題になる恐れがあった。
これらの対策として、樹脂組成物、樹脂ワニス、および基材の処理を含むプリプレグでの改善が報告されている。例えば、沈降防止剤、基材、無機充填材の表面処理などが挙げられる(例えば特許文献1)。
しかしながら、ガラスクロスの表面凹凸が銅箔表面上に浮き出ることがあり,完全に平坦化することは困難であった。
国際公開第97/01595号パンフレット 特許公開2006−193585
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形性、表面平滑性、低熱膨張、寸法安定性に優れたプリプレグ、その製造方法及び積層板を提供するものである。
本発明は、下記(1)〜(9)により達成される。
(1) ガラス基材の片面又は両面に樹脂層を有するプリプレグであって、前記ガラス基材は板ガラスであることを特徴とするプリプレグ。
(2) 前記板ガラスはロール形態可能な板ガラスである前記(1)項に記載のプリプレグ。
(3) 板ガラスの表面粗さパラメータRa値が0.1nm以上0.5nm以下である前記(1)又は(2)項に記載のプリプレグ。
(4) 板ガラス熱膨張係数が0.5ppm以上、6.0ppm以下である前記(1)ないし(3)項のいずれか1項に記載のプリプレグ。
(5) 板ガラスの軟化点が800℃以上で1700℃以下である前記(1)ないし(4)項のいずれか1項に記載のプリプレグ。
(6) 樹脂が熱硬化性樹脂である、(1)ないし(5)項のいずれか1項に記載のプリプレグ。
(7) ガラス基材に樹脂を塗工またはラミネートし、乾燥してなるプリプレグの製造方法であって、前記ガラス基材は板ガラスであることを特徴とするプリプレグの製造方法。
(8) 樹脂が熱硬化性樹脂である前記(7)項に記載のプリプレグの製造方法。
(9) (1)ないし(6)項のいずれか1項に記載のプリプレグを1枚以上積層成形してなる積層板。
本発明によれば、成形性、表面平滑性、低熱膨張、寸法安定性に優れたプリプレグ、その製造方法及び積層板を提供することができる。
以下に、本発明のプリプレグ、その製造方法及び積層板について説明する。
まず、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、ガラス基材の片面又は両面に樹脂層を有するプリプレグであって、前記ガラス基材は板ガラスであることを特徴とするプリプレグである。
次に、本発明に用いる板ガラスについて説明する。
本発明に用いる板ガラスは、ロール形態可能であることが好ましい。
ロール形態可能な板ガラスの厚みとしては、特に限定されることはないが5μm以上、200μm以下であることが好ましい。板ガラスの厚みが厚くなりすぎるとロール形態にする際の曲げ半径が大きくなることや、逆に厚みが薄くなりすぎるとハンドリング困難であるというような問題が発生するため、好ましくは10μm以上、100μm以下が好ましい。
板ガラスの一般的な製造方法は、まず所望の組成となるように調合したガラス原料を溶融する。ガラス原料の調合は、その用途に適した特性を有するガラス組成となるように、酸化物、硝酸塩、炭酸塩等のガラス原料、カレット等を秤量し混合し、ガラス溶融装置に供給して溶融する。溶融温度は、ガラスの種類に応じて適宜調節し、溶融ガラスを各種方法にて成形する。
本発明の板ガラスの製造方法は、特に限定されないが、公知の方法で作製することができる。例えばフロート法や、ダウンドロー法等により作製することが可能である。
フロート法は、溶融ガラスを溶融スズ(フロートバス)の上に流し出し、これを水平方向に引き伸ばすことによってガラスを板状に成形する方法である。この方法ではフロートバスでガラスリボンを成形した後に、50m以上に及ぶ長大な徐冷炉でガラスリボンを徐冷(オンラインアニール)する。従ってフロート法により成形されるガラス基板は、熱収縮率が小さいという特徴がある。ただしフロート法では、肉厚を薄くすることが難しく、またガラス基板を研磨してガラス表面に付着したスズを除去する必要がある、というデメリットがある。
一方、ダウンドロー法は、ガラスを垂直下方方向に引き伸ばして板状に成形する成形方法の総称である。ダウンドロー法には、スロット(スリット)ダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法等が知られている。例えば現在広く使用されているオーバーフローダウンドロー法は、断面略楔形の樋状耐火物(成形体)の頂部に溶融ガラスを導いて、その両側よりガラスを溢れ出させて側面に沿って流下させ、耐火物下端で合流させて下方へ引き伸ばすことよってガラスを板状に成形する。ダウンドロー法は、ガラスを薄板に成形しやすいというメリットがある。さらにオーバーフローダウンドロー法の場合は、成形中にガラス表面が空気以外と接触しないために、未研磨の状態でも表面品位の高いガラス基板を得ることができるというメリットがあり、さらに研磨工程が省略できることから、コストを抑えて作製することができる。ただしダウンドロー法では、徐冷炉を成形体の直下に設ける関係上、フロート法のような長大な徐冷炉を設置することは実際上不可能である。従って必然的に徐冷炉が短くなり、換言すれば徐冷炉内での冷却速度が速くなり、ガラスが急冷状態で固化されるため、熱収縮率の小さいガラス基板を得ることができないという問題がある。
本発明においては、いずれの方法を採用してもよいが、表面品位が良好なガラス基板を得るという観点からすれば、研磨工程を省略できるオーバーフローダウンドロー法を採用することが望ましい。
オーバーフローダウンドロー法による、厚みの調整は、溶融ガラスの流量、ガラスリボンの板引き速度等を調整することにより変更可能である。
本発明のガラス基板を構成するガラスは、その用途に適したガラスであればシリカガラス、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス等、種々のガラスが使用可能である。中でもオーバーフローダウンドロー法で成形可能なガラスからなることが好ましい。つまり、オーバーフローダウンドロー法で成形されたガラス基板は、表面品位に優れており、研磨することなく使用に供することができるというメリットがある。
ガラスの組成も、特に限定はされないが、一般的に電気絶縁板又は印刷回路用に用いられるガラスクロスのガラス組成のものが使用できる。例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等の組成が挙げられる。これらの中でEガラス、Tガラス、Sガラス、Hガラス、Dガラスの組成が好ましい。これにより、板ガラスの高弾性化を達成することができ、熱膨張係数も小さくすることができる。
本発明による板ガラスは、表面粗さパラメータRa値が0.1nm以上0.5nm以下であることを特徴とするものである。板ガラスを作製時にオーバーフローダウンドロー法にて作製すれば、前記表面粗さパラメータRa値が0.1nm以上、0.5nm以下の板ガラスが作製できる。さらに表面粗さパラメータRa値は、0.2nm以上、0.3nm以下であることが好ましい。ガラス基板の剥離帯電防止に有効なガラス表面の粗さはRaで0.3nm以上であり、ガラス基板表面の粗さが大きいとガラス表面に大きな欠陥があるということで基板強度低下を招く恐れがあり望ましくない。
板ガラスの表面処理は、特に限定はされないが、例えば、表面処理剤の稀薄溶液、例えば稀薄水溶液を板ガラスにコーティングするか、稀薄水溶液を板ガラスに散布すればよい。ここで、表面処理剤とは、板ガラスと結合材である樹脂との架橋効果を発揮し、両者間の結合力を高めるものを意味し、使用する樹脂結合材に合わせて、適宜選択される。
板ガラスを表面処理する際に用いる表面処理剤としては、特に限定はされないが、例えば、エポキシシラン、スチリルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシラン、メルカプトシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメトキシルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、スルフィドシラン、クロロプロピルシラン、ウレイドシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン化合物等を挙げることができ、これらから選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中から対応する樹脂により適合するものを選択され、特に限定されるものではない。表面処理をすることで、板ガラスと熱硬化性樹脂の密着力を高めることができる。
本発明に用いる板ガラスの熱膨張係数は、0.5ppm以上、6.0ppm以下が好ましく、さらに好ましくは0.55ppm以上、4.0ppm以下である。板ガラスの熱膨張係数が、前記下限値以下であると、実際に基板とし、使用する際に、例えばPKG基板とした際、チップ(シリコン)との膨張率差が大きくなる等の寸法誤差を生じる可能性があるため好ましくない。また、板ガラスの熱膨張係数を前記上限値以下とすることにより、積層板の反りを向上させることができる。
本発明に用いる、板ガラスの軟化点は、800℃以上、1700℃以下が好ましく、さらに好ましくは900℃以上、1650℃以下である。板ガラスの軟化点を前記下限値以上とすることにより、耐熱性を向上させることができる。また、板ガラスの軟化点を前記上限値以上であると機械的強度、穴あけ加工性が悪く作業性が低下するので好ましくない。
次に、プリプレグの製造方法について説明する。
本発明のプリプレグの製造方法は、上述の板ガラスを用意する工程と、樹脂成分から構成されるワニスを用意する工程と、板ガラスに樹脂ワニス液を塗工、ラミネートする工程と、塗工、ラミネートさせた工程の後乾燥する工程とを有している。これにより、表面平滑性、成形性に優れ、低熱膨張、耐熱性、寸法安定性等の各種特性に優れた積層板を製造するのに好適なプリプレグを得ることができる。
ワニスを構成する樹脂成分として、マトリックス樹脂を含む。マトリックス樹脂として使用可能な樹脂は、ポリイミド樹脂、フェノ−ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などに代表される熱硬化性樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン、フッ素樹脂に代表される熱可塑性樹脂の中から目的に合わせて選択され、特に限定されるものではない。これらのなかでも、熱硬化性樹脂を含む樹脂成分で構成されていることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂(BT樹脂)、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
前記樹脂成分には、必要に応じて硬化剤または硬化促進剤を用いても良い。前記硬化剤および硬化促進剤としては公知の物を用いることが出来る。例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド、またはアジピン酸ヒドラジン等のポリアミン系硬化剤、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸またはポリアゼライン酸無水物等の酸無水物系硬化剤、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリ(ジアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリ(ジアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキシル酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン系化合物硬化剤、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物硬化剤、フェノール、フェノールノボラック、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸等のカルボキシル基を有する化合物、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。硬化促進剤として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
また、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマ−、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエン等のジエン系エラストマーを併用しても良い。また、前記樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加しても良い。
前記樹脂成分は、必要に応じて無機充填材を添加してもよい。無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材の材質および配合量により樹脂組成物の熱膨張率を下げることができる。
また、前記無機充填材は、必要に応じて表面処理を実施してもよい。無機充填材の表面処理剤としては、例えばエポキシシラン、スチリルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシラン、メルカプトシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメトキシルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、スルフィドシラン、クロロプロピルシラン、ウレイドシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン化合物等を挙げることができる。表面処理をすることで、無機充填材と熱硬化性樹脂の密着力を高めることができ、絶縁信頼性を確保することができる。
前記表面処理剤で表面処理された無機充填材への表面処理剤量は特に限定されないが、前記無機充填材に対して0.01重量%以上5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以上3重量%以下が好ましい。表面処理剤の含有量が前記上限値を超えると、絶縁樹脂組成物にクラックが入る場合があり、前記下限値未満であると、樹脂成分との密着力が低下する場合がある。
前記無機充填材への表面処理剤の処理法は特に限定されないが、湿式方式または乾式方式が好ましい。より好ましくは、湿式処理である。湿式処理であれば均一に表面処理することができる。
前記無機充填材は、上記の中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。これらの中でも特に、シリカが好ましく、より好ましくは溶融シリカであり、特に好ましくは、球状溶融シリカである。シリカは、低熱膨張性に優れる点で好ましい。
前記球状シリカは、特に限定されることなく、公知の方法によって得られるもの使用することができる。前記球状シリカの種類としては、例えば乾式シリカ、湿式シリカ、ゾル-ゲル法によるシリカを挙げることができる。
前記無機充填材の形状は、特に限定されないが、破砕状、球状が挙げられ、例えば、プリプレグ製造時において、樹脂組成物の基材への含浸をさせる場合には、含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるのに球状シリカを使うことが好ましい。その用途・目的に応じて好ましい無機充填材の形状が採用できる。
前記無機充填材の粒径は、特に限定されないが、平均粒径が、0.01〜5.0μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜4.0μmである。無機充填材の平均粒径が上記下限値未満であると、樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製する際に、樹脂ワニスの粘度が高くなるため、プリプレグを作製する際の作業性に影響を与える場合がある。一方、上記上限値を超えると、樹脂ワニス中で無機充填材の沈降等の現象が起こる場合がある。無機充填材の平均粒子径を上記範囲内とすることにより、作業性に優れたものとすることができる。
また、前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることもできる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上とを併用したりすることもできる。
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の5〜80重量%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜75重量%である。無機充填材の含有量が前記下限値未満であると、低熱膨脹性、低吸水性を付与する効果が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると、絶縁樹脂組成物の流動性の低下により絶縁樹脂層の成形性が低下する場合がある。シリカの含有量を前記範囲内とすることにより、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
板ガラスにワニスを塗工、ラミネートさせる工程と、塗工、ラミネートさせた工程の後乾燥する工程として、特に限定されないが、公知の方法で製造することができる。
例えば、前述した樹脂組成物を基材に各種コーター等により塗工し、板ガラスにラミネートする方法、スプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂組成物を基材に各種コーター等により塗工しラミネートする方法が好ましい。各種コーターとは、公知のもので対応することができる。例えば、コンマコーター、ダイコーターなどが挙げられる。これにより、板ガラス上に均一な厚みの樹脂組成物をラミネートすることが可能である。乾燥工程に関しては、熱風乾燥、赤外線ヒーター等の公知の方法により最適条件で乾燥することが望ましい。
上記ラミネートは、真空ラミネートが好ましい。板ガラスに基材に塗工された樹脂組成物をラミネートする際、ガラスと樹脂との間に空気が入り込むと密着性が低下し、耐熱性も低下する。
前記ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
上述のプリプレグの製造方法によりプリプレグを得ることができる。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、プリプレグを1枚以上積層成形して得ることができる。また、前記プリプレグを少なくとも1枚もしくは複数枚積層したものの上下両面もしくは片面に、金属箔を重ね、加熱、加圧することで金属張積層板を得ることができる。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、150〜270℃が好ましく、特に180〜230℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、0.1〜5MPaが好ましく、特に0.1〜0.5MPaが好ましい。低圧成形することにより、高圧成形時のストレスが積層板にかからなくて良い。これにより、寸法安定性、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
前記金属箔は、特に限定されないが、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等の金属箔が挙げられる。
前記金属箔の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上70μm以下であることが好ましい。さらには1μm以上35μm以下が好ましく、さらに好ましくは1.5μm以上18μm以下が好ましい。前記金属箔の厚さが上記下限値未満であると、金属箔の傷つき、ピンホールの発生、金属箔をエッチングし導体回路として用いて場合、回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込みなどが発生する怖れがあり、前記上限値を超えると、金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、金属箔粗化面の表面粗さバラツキが大きくなったりする場合がある。
また、前記金属箔は、キャリア箔付き極薄金属箔を用いることもできる。キャリア箔付き極薄金属箔とは、剥離可能なキャリア箔と極薄金属箔とを張り合わせた金属箔である。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることで前記絶縁層の両面に極薄金属箔層を形成できることから、例えば、セミアディティブ法などで回路を形成する場合、無電解メッキを行うことなく、極薄金属箔を直接給電層として電解メッキすることで、回路を形成後、極薄銅箔をフラッシュエッチングすることができる。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることによって、厚さ10μm以下の極薄金属箔でも、例えばプレス工程での極薄金属箔のハンドリング性の低下や、極薄銅箔の割れや切れを防ぐことができる。前記極薄金属箔の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましい。さらに、0.5μm以上5μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以上3μm以下が好ましい。
通常、キャリア箔付き極薄金属箔は、プレス成形後の積層板に回路パターン形成する前にキャリア箔を剥離する。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた原材料は以下の通りである。
(1)無機充填材/球状溶融シリカ:アドマテックス社製・「SO-25H」、平均粒子径0.5μm
(2)カップリング剤/エポキシシランカップリング剤:日本ユニカー社製・「A−187」
(3)エポキシ樹脂/ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂:日本化薬社製・「NC-3000」、エポキシ当量275
(4)シアネート樹脂/ノボラック型シアネート樹脂:ロンザ社製・「プリマセットPT-30」
(5)フェノール樹脂:明和化成社製「MEH7851−4L」、水酸基当量187
(6)板ガラス:日本電気硝子社製・「OA−10G」、板厚み50μm
(実施例1)
(1)ワニスの調整
シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、プリマセットPT−30)21.7重量部、エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000、エポキシ当量275)11.1重量部、フェノール樹脂(明和化成社製、MEH7851−4L、水酸基当量187)6.7重量部をメチルエチルケトンに溶解して、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25H、平均粒径0.5μm)60重量部とカップリング剤としてエポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー社製、A−187)0.5重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて30分間攪拌して、塗布液を調製した。
(2)プリプレグの作製
板ガラス(日本電気硝子社製、OA−10G、厚み50μm)にあらかじめ基材等に前述した樹脂組成物を各種コーター等により約25μm塗工したものを板ガラスの上下に真空ラミネートし、120℃で溶剤を乾燥させて厚さ約100μmのプリプレグを得た。
(3)積層板の作製
上記プリプレグ1枚に、両面にロープロタイプ12μmの銅箔(三井金属社製)を両面に重ねて、圧力0.2MPa、温度200℃で約2時間加熱加圧成形することによって、両面に銅箔を有する積層板を得た。
(実施例2)
板ガラスは、実施例1と同じものを用いた。
シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、プリマセットPT−30)13.5重量部、エポキシ樹脂としてビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000、エポキシ当量275)6.8重量部、フェノール樹脂(明和化成社製、MEH7851−4L、水酸基当量187)4.2重量部をメチルエチルケトンに溶解して、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO−25H、平均粒径0.5μm)75重量部とカップリング剤としてエポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー社製、A−187)0.5重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて30分間攪拌して、ワニスを調製した以外は、実施例1と同様の手順でプリプレグおよび積層板を得た。
<比較例1>
ガラスクロスを市販のIPCスタイル:2116タイプ、ガラス組成:Eガラスを用いた以外は実施例1と同様の手順でワニスを調整し、プリプレグおよび積層板を得た。
<比較例2>
ガラスクロスを市販のIPCスタイル:2116タイプ、ガラス組成:Eガラスを用いた以外は実施例2と同様の手順でワニスを調整し、プリプレグおよび積層板を得た。
<比較例3>
ガラスクロスを市販のIPCスタイル:2116タイプ、ガラス組成:Tガラスを用いた以外は実施例1と同様の手順でワニスを調整し、プリプレグおよび積層板を得た。
評価方法は下記のとおりである。
1.外観(成形性)の評価
上記プレスにて作製した両面銅張積層板をエッチング機にて全面エッチングし、銅を除去した基板の外観、表面を目視にて異常の有無を調べた。
○:成形ボイドなし
×:成形ボイドあり
2.銅箔上の表面凹凸の評価
表面凹凸測定装置(ビーコインスツルメンツ社製 WYKO NT1100)を用い、銅箔上の表面凹凸(Ra)を測定した。
◎:300nm以下
○:300nm以上
3.熱膨張率の評価(TMA)
熱機械測定装置(TAインスツルメント社製)を用い、窒素雰囲気下、引っ張りモードで昇温速度10℃/min、温度25〜300℃、荷重10g、2サイクルでの測定を行った。熱膨張率は、2サイクル目の温度50〜150℃における平均線熱膨張係数とした。
尚、評価サンプルは、前記で得られた両面に銅箔を有する積層板の銅箔をエッチング除去後、所定の大きさに切断し用いた。
実施例および比較例で得られた結果について表1に示す。
Figure 2011225777
表1から明らかなように、実施例1〜2は、熱膨張率が3ppm前後で良好な結果であった。このため、実装時の信頼性に優れる。また、実施例1〜2は、成形性(外観)、銅箔表面凹凸においても優れた結果であった。
本発明のガラスクロスは、実施例1〜2でも明らかなように、成形性、低熱膨張、銅箔表面凹凸に優れるものである。
一方、比較例1は成形性には優れるが、低熱膨張に劣り、比較例2は、樹脂成分として無機充填材を多く含むためガラスクロスを構成するガラス糸の単繊維間への樹脂成分の浸透が不十分なため、成形性に問題があった。また、比較例3は成形性を重視するため樹脂成分中の無機充填材の比率を落とし、ガラスクロスの組成を変更したが低熱膨張に劣る結果であった。
本発明によれば、成形性、表面平滑性、低熱膨張、寸法安定性に優れたプリプレグ、その製造方法、および積層板を提供することができる。

Claims (9)

  1. ガラス基材の片面又は両面に樹脂層を有するプリプレグであって、前記ガラス基材は板ガラスであることを特徴とするプリプレグ。
  2. 前記板ガラスはロール形態可能な板ガラスである請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 板ガラスの表面粗さパラメータRa値が0.1nm以上0.5nm以下である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 板ガラス熱膨張係数が0.5ppm以上、6.0ppm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 板ガラスの軟化点が800℃以上で1700℃以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  7. ガラス基材に樹脂を塗工またはラミネートし、乾燥してなるプリプレグの製造方法であって、前記ガラス基材は板ガラスであることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  8. 樹脂が熱硬化性樹脂である請求項7に記載のプリプレグの製造方法。
  9. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプリプレグを1枚以上積層成形してなる積層板。
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