JP2011225500A - 新規ナフトチオフェン化合物およびそれを有する有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 T1(最低励起三重項準位)が高い新規なナフトチオフェン化合物を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、発光効率が高く駆動電圧の低い有機発光素子を提供することである。
【解決手段】 下記一般式[1]に示されることを特徴とするナフトチオフェン化合物を提供する。
【化1】

一般式〔1〕において、Arは、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれかを表わし、これらは置換基を有しても良い。またRは水素原子あるいは炭素数1以上4以下のアルキル基を表わす。
【選択図】 図1

Description

本発明は新規ナフトチオフェン化合物およびそれを有する有機発光素子に関する。
有機発光素子は、一対の電極とそれらの間に配置される有機化合物層とを有する素子である。これら一対の電極から電子および正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態にもどる際に光を放出する。
特許文献1及び2には、発光層を構成するナフトチオフェン化合物の一例として以下に示す化合物A−1及びA−2が記載されている。
これら化合物は以下に示すナフトチオフェンを置換基として有している。
特開2009−203203号公報 特開2009−203176号公報
これら化合物はT1(最低励起三重項準位)が低い。
本発明はT1が高い新規なナフトチオフェン化合物を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、発光効率が高く駆動電圧の低い有機発光素子を提供することである。
よって本発明に係る新規有機化合物は、下記一般式[1]に示されることを特徴とする有機化合物を提供する。
一般式〔1〕において、Arは、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれかを表わし、炭素数1以上4以下のアルキル基、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれか1種を置換基として有しても良い。Rは水素原子あるいは炭素数1以上4以下のアルキル基を表わす。
本発明のよれば、T1(最低励起三重項準位)が460nmから500nmと高い新規なナフトチオフェン化合物を提供することができる。また、本発明の新規ナフトチオフェン化合物を有機発光素子に用いことで、発光効率が高く駆動電圧の低い有機発光素子を提供することができる。
有機発光素子と有機発光素子と接続するスイッチング素子とを示す断面模式図である。
本発明に係る新規有機化合物は、下記一般式〔1〕に示されることを特徴とするナフトチオフェン化合物である。
一般式[1]において、Arは、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれかを表わし、Rは水素原子あるいは炭素数1以上4以下のアルキル基を表わす。
一般式[1]のRにおける炭素数1以上4以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
一般式[1]のArは置換基を有しても良い。この置換基とは炭素数1以上4以下のアルキル基、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれか1種である。即ちArが有する置換基は同種であれば複数でもよい。そしてこの置換基としての炭素数1以上4以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
本発明に係るナフトチオフェン化合物は以下の2つの性質のいずれをも有する。
(1)T1(最低励起三重項準位)の値が460nmから500nmの領域である。即ちT1が高い。
(2)正孔移動度及び電子移動度が高い。
(1)ついての説明
本発明に係るナフトチオフェン化合物は、一般式[1]で示すようにナフトチオフェン基及びArとして示すアリール基がフェニレン基の1、3位において結合している。このためこの化合物はナフトチオフェン基及びアリール基で共役していない構造である。ここでフェニレン基のとは以下に示す位置である。
なおフェニレン基の1、4位とは以下に示す位置である。
ナフトチオフェン基とフェニレン基とがアリール基の1、3位においてそれぞれ結合するこの構造は、一般式[1]で示される化合物がナフトチオフェン基自体のT1(実施例1により466nm)を維持していることを意味する。
以下に示す表1はナフトチオフェン基、アリール基、フェニレン基によって構成される様々な化合物のT1を分子軌道法により求めた結果である。
また、実施例1より、化合物I−7のT1の実測値は471nmである。このことからいずれの計算値はトルエン希薄溶液中での実測値と数nmの誤差であると考える。
分子軌道計算では以下の手法を用いて最安定化構造を求めることを行った。
上記に示した分子軌道計算は、Gaussian03(Gaussian03,Revision D.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,J.A.Montgomery,Jr.,T.Vreven,K.N.Kudin,J.C.Burant,J.M.Millam,S.S.Iyengar,J.Tomasi,V.Barone,B.Mennucci,M.Cossi,G.Scalmani,N.Rega,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,M.Klene,X.Li,J.E.Knox,H.P.Hratchian,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,P.Y.Ayala,K.Morokuma,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,V.G.Zakrzewski,S.Dapprich,A.D.Daniels,M.C.Strain,O.Farkas,D.K.Malick,A.D.Rabuck,K.Raghavachari,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,Q.Cui,A.G.Baboul,S.Clifford,J.Cioslowski,B.B.Stefanov,G.Liu,A.Liashenko,P.Piskorz,I.Komaromi,R.L.Martin,D.J.Fox,T.Keith,M.A.Al−Laham,C.Y.Peng,A.Nanayakkara,M.Challacombe,P.M.W.Gill,B.Johnson,W.Chen,M.W.Wong,C.Gonzalez,and J.A.Pople,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2004).を用いて、DFT基底関数6−31+G(d)の計算手法を使った。
表中の化合物の構造式は以下のとおりである。
計算結果を比較すると、I−7及びH−1はナフトチオフェン基及びアリール基がフェニレン基を介し、1、3位で結合する構造であるが、ナフトチオフェン自体のT1に近い値で、500nm以下である。
一方、化合物B−1はナフトチオフェン基とアリール基がフェニレン基と1、4位で結合する構造である。そのためナフトチオフェン基とアリール基と共役するため、T1がフェニレン基を介し、1、3位で結合する構造より低く、T1の値は500nm以上になる。また、化合物B−2及びB−3もフェニレン基を2つ及び3つ結合する構造であり、さらにナフトチオフェン基とアリール基とがフェニレン基と1,4位で結合しているためT1の値は500nm以上になる。
化合物A−1及びA−2においても同様でT1の値は500nm以上になる。
本発明に係るナフトチオフェン化合物はT1が460nm以上500nm以下とエネルギーが高い。緑色に燐光発光する燐光発光化合物のT1は500nm以上520nm以下であり、本発明に係るナフトチオフェン化合物はそれよりも高いT1エネルギーを有する。したがって本発明に係るナフトチオフェン化合物は緑燐光発光する有機発光素子の発光層のホスト材料として好ましく用いることができる。この場合緑燐光発光する化合物は発光層のゲスト材料である。
(2)についての説明
本発明に係るナフトチオフェン化合物は、ナフトチオフェン基を有しているために正孔移動度が高い。具体的には、1.0×10−3から1.0×10−5cm2 V−1−1の範囲である。加えてアリール基を有しているため電子移動度が高い。具体的には、1.0×10−3から1.0×10−5cm2 V−1−1の範囲である。
Arとして示されるフェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基はいずれも電子移動度が高いので好ましい。より好ましくはフルオレニル基及びトリフェニレニル基である。
本発明に係るナフトチオフェン化合物は、正孔及び電子といった両キャリアの移動度が早い。本発明の化合物を有機発光素子中の有機層に用いた場合、有機発光素子の駆動電圧を低くすることができるため、有機発光素子に適した構造であるため。
(本発明に係る有機化合物の例示)
上記一般式(1)における化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
(例示化合物の性質)
表2に先に示した例示化合物のいくつかについて、そのT1の計算値を示す。尚、計算は表1と同様に行った。
Arとしてフェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニル基が置換された、一般式[1]で示される化合物が460nmから500nmの領域のT1を持つことが示される。
化合物群D、E、F、G及びHは一般式[1]においてRが水素原子を示す化合物群である。これらの化合物はナフトチオフェン基、Ar基及び中心のフェニル基が平面性を保つ構造になる。そのため、化合物の正孔及び、電子移動度が高い特徴を持つ。
化合物群E及びHは一般式[1]におけるArとしてフルオレニル基及びトリフェニレニル基を示す。化合物群D、E、F、G及びHの中でも、Ar基としてフルオレニル基及びトリフェニル基を有する化合物群E及びHは特に電子移動度が高い。フルオレニル骨格及びトリフェニレン骨格の電子移動度の高さを反映するからである。
化合物群のD群は一般式[1]におけるArとしてフェニル基を示す。
これらの化合物は分子中の回転部位が多いため、昇華温度が低く、有機発光素子の作成時の蒸着温度が低い特徴がある。
化合物群F及びGは一般式[1]におけるArとしてナフチル基及びフェナンスリル基を示す。これらの化合物はガラス転移温度が高い特徴がある。
化合物群Iは一般式[1]においてRが炭素数1以上4以下のアルキル基を示す化合物群である。
これらの化合物はナフトチオフェン基及びAr基がアルキル基を持つフェニル基と立体反発により、分子間の共役が切れるため、より、高いT1を持つことが特徴である。表1における計算でI−7では475nm、H−1では494nmであり、アルキル基のT1を高くする効果が示される。
また、ナフトチオフェン基及びAr基がアルキル基を持つフェニル基と立体反発は分子の平面性を崩す構造を形成する。その為、分子間の会合を抑制し濃度消光を抑制する効果を有する特徴を持つ。
(合成ルートの説明)
本発明に係る有機化合物の合成ルートの一例を説明する。以下に反応式を記す。
ナフトチオフェン基本骨格である中間体a−6は、ブロモチオフェンa−2及びベンズアルデヒドボロン酸a−1のカップリング反応、Wittig反応による炭素伸張反応、そして、酸触媒による環化反応により合成することができる。
a−6は各々の一般式[1]のナフトチオフェン化合物を合成する原料として有効な臭素体、ピナコールボロン体に導くことができる。
そして、ピナコールボロン体を用いて、ベンゼン誘導体a−9さらにピナコールボロン誘導体a−11を用いて一般式[1]で示されるナフトチオフェン化合物a−12が合成できる。
尚、中間体a−9は臭素以外のハロゲン体、トリフラート体でも良く、中間体a−11はボロン酸体でも同様にして合成できる。
(有機発光素子の説明)
次に本実施形態に係る有機発光素子を説明する。
本実施形態に係る有機発光素子は一対の電極である陽極と陰極とそれらの間に配置される有機化合物層とを有し、この有機化合物層が一般式〔1〕で示される有機化合物を有する素子である。
本発明に係る有機化合物を用いて作製される有機発光素子としては、基板上に、順次陽極、発光層、陰極を設けた構成のものが挙げられる。他にも順次陽極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極)を設けた構成のものが挙げられる。また順次陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を設けたものが挙げられる。あるいは順次陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を設けたものや順次、陽極、正孔輸送層、発光層、正孔・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、陰極を設けたものが挙げられる。ただしこれら5種の多層型の例はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明に係る化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。
本発明の一般式〔1〕で表される有機化合物を発光層のホスト材料またはゲスト材料として用いることができる。特に燐光ホスト材料として用いた場合、490nmから660nmの領域に発光ピークを持つ緑から赤領域に発光するゲスト材料と組み合わせた場合、三重項エネルギーのロスが少ないため、発光素子の効率が高くなる。
なお、本実施形態に係る有機化合物をゲスト材料として用いる場合、ホスト材料に対するゲスト材料の濃度は0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。
また、本発明の一般式〔1〕で表される有機化合物を電子ブロッキング層または正孔輸送層として用いることができる。一般式〔1〕で表される有機化合物はナフトチオフェン基により正孔輸送性が高く、発光層からの電子を阻止できる程度の高い電子注入準位持つため、低電圧駆動で高効率発光である有機発光素子を提供する。
本実施形態に係る有機発光素子は本発明に係る有機化合物以外にも、適宜正孔注入性材料あるいは輸送性材料あるいはホスト材料あるいはゲスト材料あるいは電子注入性材料あるいは電子輸送性材料等を一緒に使用することができる。これら材料は低分子であってもあるいは高分子であってもよい。
以下にこれらの化合物例を挙げる。
正孔注入性材料あるいは正孔輸送性材料としては、正孔移動度が高い材料であることが好ましい。正孔注入性能あるいは正孔輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ホスト材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、クリセン誘導体、など)、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体等)およびポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ゲスト材料としては、以下に示す、燐光発光性のIr錯体や、プラチナ錯体等が挙げられる。
また、蛍光発光性のドーパントを用いることもでき、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。
電子注入性材料あるいは電子輸送性材料としては、ホール注入性材料あるいはホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入性能あるいは電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物である。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーでもよい。これらの電極物質は単独で使用してもよいし複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
本実施形態に係る有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物を含有する層及びその他の有機化合物からなる層は、以下に示す方法により形成される。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成する。ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で形成する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
(有機発光素子の用途)
本発明に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置に用いることができる。他にも電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライトなどがある。
表示装置は本実施形態に係る有機発光素子を表示部に有する。この表示部は複数の画素を有する。この画素は本実施形態に係る有機発光素子と発光輝度を制御するためのスイッチング素子の一例としてTFT素子とを有し、この有機発光素子の陽極または陰極とTFT素子のドレイン電極またはソース電極とが接続されている。表示装置はPC等の画像表示装置として用いることができる。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの情報を入力する画像入力部を有し、入力された画像を表示部に出力する画像出力装置でもよい。また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部として、外部から入力された画像情報に基づいて画像を表示する画像出力機能と操作パネルとして画像への加工情報を入力する入力機能との両方を有していてもよい。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、本実施形態に係る有機発光素子を使用した表示装置について図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る有機発光素子と、有機発光素子に接続するスイッチング素子の一例であるTFT素子とを示した断面模式図である。本図では有機発光素子とTFT素子との組が2組図示されている。構造の詳細を以下に説明する。
図1の表示装置は、ガラス等の基板1とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜2が設けられている。また符号3は金属のゲート電極3である。符号4はゲート絶縁膜4であり、5は半導体層である。
TFT素子8は半導体層5とドレイン電極6とソース電極7とを有している。TFT素子8の上部には絶縁膜9が設けられている。コンタクトホール10を介して有機発光素子の陽極11とソース電極7とが接続されている。表示装置はこの構成に限られず、陽極または陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが接続されていればよい。
有機化合物層12は本図では多層の有機化合物層を1つの層の如く図示をしている。陰極13の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第一の保護層14や第二の保護層15が設けられている。
本実施形態に係る表示装置においてスイッチング素子に特に制限はなく、単結晶シリコン基板やMIM素子、a−Si型の素子等を用いてもよい。
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
[例示化合物I−7の合成]
以下に示す合成スキームにより合成した。
中間体a−3の合成
100ml三ツ口フラスコに、化合物a−1、3.0g(20mmol)、化合物a−2、4.24g(26mmol)、炭酸ナトリウム、10.6g(100.0mmol)、トルエン30ml、エタノール10ml及び水20mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、693mgを添加した。80度に昇温し、5時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、中間体a−3(白色オイル)3.46g(収率92%)を得た。
中間体a−4の合成
200ml三ツ口フラスコに、窒素雰囲気中、化合物a−5、13.6g(39.8mmol)をテトラヒドロフラン100mlに溶かし、氷冷下、ターシャリブトキシカリウム、4.46g(39.8mmol)を少しずつ加えた。1時間攪拌後、a−3、3.0g(15.9mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶かした溶液を滴下した。その後、反応溶液を室温まで昇温し、5時間攪拌した。反応後、反応溶液を水、100mlに注ぎ、有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、中間体a−4(白色固体)3.10g(収率91%)を得た。
中間体a−6の合成
100ml三ツ口フラスコに、窒素雰囲気中、化合物a−4、3.0g(13.9mmol)及びジクロロメタン、50mlを入れ、氷冷下、メタンスルホン酸、1.35ml(20.8mmol)を滴下した。その後、反応溶液を室温まで昇温し、6時間攪拌した。反応後、反応溶液を水、100mlに注ぎ、有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、中間体a−6(透明オイル)2.35g(収率91.8%)を得た。
中間体a−7の合成
100ml三ツ口フラスコに、化合物a−6、2.30g(12.48mmol)、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、5.35g(13.73mmol)及びクロロホルム60mlを入れ、室温下、3時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、化合物a−7(透明オイル)3.2g(収率98%)を得た。
化合物a−8の合成
100ml三ツ口フラスコに、化合物a−7、3.2g(12.2mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、661mg(1.22mmol)、4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2,−ジオキサボロラン、3.55ml(24.4mmol)、トルエン、40mlおよびトリエチルアミン、5mlを入れ、窒素雰囲気中、90度に昇温し、6時間攪拌した。反応後、水50mlを加え、反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、化合物a−8(透明オイル)2.2g(収率58.2%)を得た。
中間体a−14の合成
100ml三ツ口フラスコに、化合物a−8、0.825g(2.66mmol)、化合物a−13、0.665g(2.66mmol)、炭酸ナトリウム、6.5g、トルエン30ml、エタノール10ml及び水20mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、90.1mgを添加した。80度に昇温し、5時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、中間体a−14(白色固体)0.534g(収率57%)を得た。
例示化合物I−7の合成
100ml三ツ口フラスコに、化合物a−14、0.530g(1.50mmol)、化合物a−15、0.638g(1.80mmol)、炭酸ナトリウム、6.4g、トルエン30ml、エタノール10ml及び水20mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、86.6mgを添加した。80度に昇温し、5時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(トルエン、ヘプタン混合、展開溶媒)で精製し、例示化合物I−7(白色固体)0.554g(収率74%)を得た。
質量分析法により、例示化合物I−7のM+である500を確認した。
また、HNMR測定により、例示化合物I−7の構造を確認した。
H NMR(CDCl,400MHz) σ(ppm):8.72(d,1H),8.69−8.66(m,5H),8.14(d,1H),7.94(d,1H),7.81(d,1H),7.76(d,1H),7.72‐7.65(m,5H),7.61‐7.57(m,2H),7.52(d,1H),7.49‐7.41(m,3H),2.46(s,3H)
以下の化合物についてトルエン希薄溶液中でのT1を測定した。
中間体a−6のT1の測定値は466nmであった。
例示化合物I−7のT1の測定値は471nmであった。
尚、T1の測定はトルエン溶液(1×10−4mol/l)を77Kに冷却し、励起波長350nmにて燐光発光スペクトルを測定し、第一発光ピークをT1として用いた。装置は日立製分光光度計U−3010を用いた。
(実施例2)
[例示化合物I−2の合成]
実施例1と同様にして、化合物a−15を以下の化合物a−16に変えて、例示化合物I−2を合成した。
質量分析法により、例示化合物I−2のM+である465を確認した。
また、実施例1と同様にして例示化合物I−2についてトルエン希薄溶液中でのT1を測定したところ、472nmであった。
(実施例3)
[例示化合物I−5の合成]
実施例1と同様にして、化合物a−15を以下の化合物a−17に変えて、例示化合物I−5を合成した。
質量分析法により、例示化合物I−5のM+である449を確認した。
また、実施例1と同様にして例示化合物I−5についてトルエン希薄溶液中でのT1を測定したところ、474nmであった。
(実施例4)
[例示化合物H−1の合成]
実施例1と同様にして、化合物a−13を以下の化合物a−18に変えて、例示化合物H−1を合成した。
質量分析法により、例示化合物H−1のM+である485を確認した。
(実施例5)
[例示化合物D−5の合成]
実施例1と同様にして、化合物a−13を以下の化合物a−19に変えて、例示化合物D−5を合成した。
質量分析法により、例示化合物D−5のM+である561を確認した。
(実施例6)
[例示化合物E−2の合成]
実施例1と同様にして、化合物a−13を以下の化合物a−18及び化合物a−15を変えて以下の化合物a−16に変えて、例示化合物E−2を合成した。
質量分析法により、例示化合物E−2のM+である451を確認した。
(実施例7)
本実施例では、基板上に順次陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極が設けられた構成の有機発光素子を以下に示す方法で作製した。
ガラス基板上に、陽極としてITOをスパッタ法にて膜厚120nmで製膜したものを透明導電性支持基板(ITO基板)として使用した。このITO基板上に、以下に示す有機化合物層及び電極層を、10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着によって連続的に製膜した。このとき対向する電極面積は3mmになるように作製した。
正孔輸送層(30nm) b−1
発光層(30nm) ホストI−7、ゲスト:b−2 (重量比 15%)
ホール・エキシトンブロッキング層(10nm) b−3
電子輸送層(30nm) b−4
金属電極層1(1nm) LiF
金属電極層2(100nm) Al
得られた有機発光素子について、ITO電極を正極、Al電極を負極にして、5.4Vの印加電圧をかけたところ、発光効率が60.0cd/Aの緑色発光が観測された。またこの素子において、CIE色度座標は、(x,y)=(0.34,0.63)であった。
(実施例8)
実施例7と同様にして、発光層ホストである、I−7を以下の例示化合物I−2変えて以外は同様にして有機発光素子を作成した。
得られた有機発光素子について、ITO電極を正極、Al電極を負極にして、5.3Vの印加電圧をかけたところ、発光効率が58.6cd/Aの緑色発光が観測された。またこの素子において、CIE色度座標は、(x,y)=(0.34,0.64)であった。
8 TFT素子
11 陽極
12 有機化合物層
13 陰極

Claims (5)

  1. 下記一般式[1]に示されることを特徴とするナフトチオフェン化合物。

    一般式〔1〕において、Arは、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれかを表わし、炭素数1以上4以下のアルキル基、フェニル基、フェナンスリル基、ナフチル基、フルオレニル基、およびトリフェニレニル基のいずれか1種を置換基として有しても良い。Rは水素原子あるいは炭素数1以上4以下のアルキル基を表わす。
  2. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される有機化合物層とを有し、前記有機化合物層は請求項1に記載のナフトチオフェン化合物を有することを特徴とする有機発光素子。
  3. 前記有機化合物層は発光層であり、前記発光層はホスト材料とゲスト材料を有し、前記ホスト材料が前記ナフトチオフェン化合物であることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 前記ゲスト材料は燐光発光化合物であることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子。
  5. 請求項2及至4のいずれか一項に記載の有機発光素子と前記有機発光素子と接続されているスイッチング素子とを有する表示装置。
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