JP2011225495A - 血管内皮細胞保護剤ならびにこれを含む医薬組成物、食品および飼料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血管内皮細胞保護剤は、魚類の動脈球から、脂質、可溶性タンパク質およびコラーゲンを除去して得られ、エラスチンを主成分とする不溶性タンパク質中のポリペプチド鎖を加水分解して得られる1または複数種のペプチドを有効成分として含み、1000残基あたりのグリシン、アラニン、バリンおよびプロリン含量の合計が650残基以上であり、アスパラギン酸およびアスパラギン含量の合計が10〜35残基であり、グルタミン酸およびグルタミン含量の合計が20〜50残基であり、リジン、ヒスチジンおよびアルギニン含量の合計が20残基〜50残基であり、デスモシンおよびイソデスモシン含量の合計が0.3残基以上であり、ヒドロキシプロリン含量が10残基以下である。
【選択図】図1
Description
なお、本発明において、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
本発明の一実施の形態に係る血管内皮細胞保護剤は、魚類の動脈球から、脂質、可溶性タンパク質およびコラーゲンを除去して得られる不溶性タンパク質の加水分解物である1または複数種のペプチド(以下、「エラスチンペプチド」と略称する場合がある。)を有効成分として含んでいる。
まず、原料として使用する動脈球から血液を除去するために流水で洗浄後、粉砕する。粉砕は、ホモジナイザー、フードカッター等の任意の公知の手段により行うことができる。次いで、粉砕した動脈球から、脂質、可溶性タンパク質、コラーゲンを除去することにより、エラスチンを主成分とする不溶性タンパク質が得られるが、原料のさらなる洗浄および以後の処理を容易にするための前処理として、アルカリ溶液を用いた浸漬処理を行うことが好ましい。
また、不溶物が存在する場合には、ろ過、遠心分離、デカンテーション等の任意の方法を用いて除去することができる。ろ過による除去の場合には、必要に応じて、不純物を除去するために活性炭、ベントナイト、セライト等の吸着剤やろ過助剤を添加してもよい。特に溶液のまま使用する場合には、メンブレンフィルター等による除菌ろ過を併せて行うことが好ましい。
このようにして得られるエラスチンペプチドは、そのまま溶液として用いてもよく、或いは、更に濃縮後噴霧乾燥または凍結乾燥を行うことにより得られる粉末の形態で用いてもよい。
エラスチンペプチドが、b/a値を減少させ、かつd/a値を増大させる活性を有していることは、エラスチンペプチドが動脈を若い年齢の状態に改善する活性を有していることを意味する。
血管内皮細胞で産生される組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)は、プラスミノーゲンを活性化しプラスミンに変換することでフィブリンを分解して血栓を溶解する。
我が国では,食生活の欧米化に伴い高齢者の脳梗塞,虚血性心臓疾患等の循環器疾患の罹患率が増加しており、その予防には線溶系を正常化させることが重要である。従って、t−PAの産生を促進し、血栓の形成を予防することによって血栓による疾病を治療または予防できると考えられる。
新鮮なカツオより動脈球(100g)を採取し、流水洗浄後粉砕した。原料の前処理として0.02N水酸化ナトリウム水溶液に冷蔵庫中で1週間浸漬した。浸漬後、流水洗浄により過剰のアルカリを除去し、排出液が中性となるまで流水洗浄した。これに3倍容の蒸留水を加え、95℃に加熱後、上清を取り除くことにより、脂質およびコラーゲン質を除去した。残留物をフードカッターで細片化し、プロチンAC-10F(大和化成製、0.5%)およびプロテアーゼN「アマノ」G(天野エンザイム製、0.1%)を基質量の1%添加し、10時間分解を行った。85℃以上の温度で加熱失活を行い、ろ過および遠心分離により残渣を分離した。その後精密ろ過によって清澄化した抽出液を噴霧乾燥し、水溶性のエラスチンペプチド粉末(8g)を得た。
原料として新鮮なハマチより採取した動脈球を用い、実施例1と同様の操作により、エラスチンペプチド粉末を得た。
原料として新鮮なマグロより採取した動脈球を用い、実施例1と同様の操作により、エラスチンペプチド粉末を得た。
生後20週齢の雄性SHR/Izmラット(高血圧自然発症ラット)10頭に、実施例1で得られたカツオ由来エラスチンペプチド600mg/kgを5週間強制経口投与した。コントロール群(10頭)には蒸留水を投与した。血圧および体重は週1回測定した。実験期間終了後、ラットをエーテル麻酔下で頸椎脱臼後、速やかに開胸し、胸部大動脈を摘出した。摘出した大動脈を、冷却したKrebs-Henseleit液に浸し、血液をよく洗い流した後、血管に付着した雑組織等を除去し、胸部大動脈から幅2mmの大動脈リング標本を作成した。混合ガス(95%O2、5%CO2)を通気したKrebs-Henseleit液(37±0.1℃)を満たした容器中に大動脈リング標本を懸垂し、等尺性張力トランスデューサーを用いて、累積的に投与した塩酸L−フェニレフリン(PHE)による収縮張力の変化を測定(60mM KCl投与時の収縮聴力に対する相対値として記録した。)し、濃度−反応曲線を作成した。比較のため、正常血圧マウス(WKY/IZm)から摘出した大動脈より作成した動脈リング標本についても、同様の測定を行った。
また、摘出した大動脈の走査型電子顕微鏡所見より、内皮細胞の障害の程度を検討した。
なお、実施例2および3で得られたエラスチンペプチドについても同様の結果が得られた。
細胞は正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)(クラボウ)を使用し、培養培地は専用培地であるHumedia-EG2を使用した。
25cm2フラスコにて前培養した血管内皮細胞を常法にて回収した。回収した細胞をEG−2培地に懸濁し、96wellプレートに1×103cells播種した。同時にPBSに実施例1で得られたエラスチンペプチドを溶解させた被験物を培養液の1/10量添加した。CO2インキュベーター内で(37℃、5% CO2)3日間培養後、cell counting Kit-8を用いて450nmの吸光度を測定した。対照(コントロール)としてPBSのみ添加した。コントロールの吸光度を100とし、エラスチンペプチド添加区の相対値を求めた。
なお、実施例2および3で得られたエラスチンペプチドについても同様の結果が得られた。
Claims (7)
- 魚類の動脈球から、脂質、可溶性タンパク質およびコラーゲンを除去して得られる不溶性タンパク質の加水分解物である1または複数種のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする血管内皮細胞保護剤。
- グリシン、アラニン、バリンおよびプロリン含量の合計が650残基/1000残基以上であり、
アスパラギン酸およびアスパラギン含量の合計が10残基/1000残基以上35残基/1000残基以下であり、
グルタミン酸およびグルタミン含量の合計が20残基/1000残基以上50残基/1000残基以下であり、
リジン、ヒスチジンおよびアルギニン含量の合計が20残基/1000残基以上50残基/1000残基以下であり、
デスモシンおよびイソデスモシン含量の合計が0.3残基/1000残基以上であり、
ヒドロキシプロリン含量が10残基/1000残基以下であることを特徴とする請求項1記載の血管内皮細胞保護剤。 - 前記ペプチドのうち、分子量が1000以下のものの割合が70%以上であることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項記載の血管内皮細胞保護剤。
- 血管平滑筋の収縮抑制効果を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の血管内皮細胞保護剤。
- 請求項1から4のいずれか1項記載の血管内皮細胞保護剤を含む医薬組成物。
- 請求項1から4のいずれか1項記載の血管内皮細胞保護剤を含む食品。
- 請求項1から4のいずれか1項記載の血管内皮細胞保護剤を含む飼料。
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