JP2011225319A - 巻き込み防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のプーリを有する多輪動滑車に容易に装着可能な巻き込み防止装置を提供する。
【解決手段】ロープRを巻掛けるプーリ110、及びプーリの回転軸120を軸支する支持体130を備えた多輪動滑車100のプーリから引き出されたロープR部位に装着される巻き込み防止装置1であって、ロープに嵌挿されてロープを包囲する管状の包囲部材11と、包囲部材の周面に形成されたロープ着脱用のスリット12と、常時においてはスリットを閉止すると共にロープ着脱時には押圧されてスリットを弾性的に開放する弾性開閉片13と、を備えた。
【選択図】図1
【解決手段】ロープRを巻掛けるプーリ110、及びプーリの回転軸120を軸支する支持体130を備えた多輪動滑車100のプーリから引き出されたロープR部位に装着される巻き込み防止装置1であって、ロープに嵌挿されてロープを包囲する管状の包囲部材11と、包囲部材の周面に形成されたロープ着脱用のスリット12と、常時においてはスリットを閉止すると共にロープ着脱時には押圧されてスリットを弾性的に開放する弾性開閉片13と、を備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、工事資材や工具等をロープを用いて高所に引き上げるために使用される動滑車と、動滑車によって引き取られるロープと、の間に作業員の指や身体の一部が巻き込まれる事故を防止するための巻き込み防止装置に関する。
架空電線を支持する鉄塔や電柱等にて行われる高所作業に必要な工事資材や工具等を地表から引き上げるに際しては、ロープと動滑車を利用した作業が行われる。即ち、鉄塔等の適所に一端を固定されたロープを動滑車のプーリに巻き掛けた状態でロープ他端をウィンチによって巻き揚げることによって、動滑車に吊り下げられた資材等を地表から引き上げる。
鉄塔等の上では、資材等が鉄塔等に衝突しないように作業員がロープを引いたり押したりしてロープの通過位置を調整しながら搬送されてくる資材等を受領する。このとき、誤って手や身体の一部等を動滑車とロープとの間に巻き込んでしまうことがある。
このような巻き込み事故を防止するための手段として、特許文献1には、動滑車の上部に固着するゴム製の保護カバーが記載されている。保護カバーは略矩形の平板状であり、長手方向の両端部には、長手方向に延びる大略なみだ型の切欠き溝が形成されている。切欠き溝の奥部はロープが挿通される略円形の開口部であり、保護カバーによりプーリのロープ巻き込み箇所を覆っている。作業中に手が動滑車に接近しても、作業員の手は保護カバーに接触するので、手が動滑車とプーリとの間に挟まれる事故を防ぐことができ、送電鉄塔上の作業をより安全かつ効率的に行うことができる。
鉄塔等の上では、資材等が鉄塔等に衝突しないように作業員がロープを引いたり押したりしてロープの通過位置を調整しながら搬送されてくる資材等を受領する。このとき、誤って手や身体の一部等を動滑車とロープとの間に巻き込んでしまうことがある。
このような巻き込み事故を防止するための手段として、特許文献1には、動滑車の上部に固着するゴム製の保護カバーが記載されている。保護カバーは略矩形の平板状であり、長手方向の両端部には、長手方向に延びる大略なみだ型の切欠き溝が形成されている。切欠き溝の奥部はロープが挿通される略円形の開口部であり、保護カバーによりプーリのロープ巻き込み箇所を覆っている。作業中に手が動滑車に接近しても、作業員の手は保護カバーに接触するので、手が動滑車とプーリとの間に挟まれる事故を防ぐことができ、送電鉄塔上の作業をより安全かつ効率的に行うことができる。
しかしながら特許文献1記載の発明では、単一のプーリを有する動滑車に取り付けることはできるが、複数のプーリを有する多輪動滑車に取り付けることができないという問題がある。また、保護カバーを動滑車の本体に固着させて使用するため、保護カバーの脱着作業が煩雑であるという問題がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、複数のプーリを有する多輪動滑車にも容易に装着可能な巻き込み防止装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、複数のプーリを有する多輪動滑車にも容易に装着可能な巻き込み防止装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ロープを巻掛けるプーリ、及び該プーリの回転軸を軸支する支持体を備えた動滑車の前記プーリから引き出されたロープ部位に装着される巻き込み防止装置であって、前記ロープに嵌挿されて該ロープを包囲する管状の包囲部材と、該包囲部材の周面に形成されたロープ着脱用の直線状のスリットと、常時においては該スリットを閉止すると共にロープ着脱時には押圧されて該スリットを弾性的に開放する弾性開閉片と、を備えた巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項1の発明では、プーリから引き出されたロープ部位に巻き込み防止装置を装着して使用する。
請求項2に記載の発明は、前記スリットの延びる方向は、直線状に張設された状態の前記ロープに前記包囲部材が嵌挿された時に該スリットと前記ロープとが平行とならない方向に設定されている請求項1記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項2の発明では、ロープに包囲部材が嵌挿された時にスリットとロープとが平行とならずに交差しているので、ロープが包囲部材から容易に抜けることがない。
請求項3に記載の発明は、前記包囲部材は、円筒体、楕円筒体、長円筒体、或いは軸方向両端の周縁長が異なる筒状体である請求項1又は2記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項3の構成を有する包囲部材とすることで、包囲部材の強度を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、前記包囲部材の外面に取手を設けた請求項1乃至3の何れか一項記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項4の発明では、作業員は取手を把持して工事資材等の引き取り作業ができるため、手指の巻き込み事故を効果的に防止できる。
請求項1の発明では、プーリから引き出されたロープ部位に巻き込み防止装置を装着して使用する。
請求項2に記載の発明は、前記スリットの延びる方向は、直線状に張設された状態の前記ロープに前記包囲部材が嵌挿された時に該スリットと前記ロープとが平行とならない方向に設定されている請求項1記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項2の発明では、ロープに包囲部材が嵌挿された時にスリットとロープとが平行とならずに交差しているので、ロープが包囲部材から容易に抜けることがない。
請求項3に記載の発明は、前記包囲部材は、円筒体、楕円筒体、長円筒体、或いは軸方向両端の周縁長が異なる筒状体である請求項1又は2記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項3の構成を有する包囲部材とすることで、包囲部材の強度を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、前記包囲部材の外面に取手を設けた請求項1乃至3の何れか一項記載の巻き込み防止装置を特徴とする。
請求項4の発明では、作業員は取手を把持して工事資材等の引き取り作業ができるため、手指の巻き込み事故を効果的に防止できる。
本発明によれば、ロープの一部を包囲する包囲部材が複数のロープに嵌挿されるので、複数のプーリを有する多輪動滑車に対しても巻き込み防止装置を装着することができる。また、ロープを着脱するスリットに弾性開閉片を備えたので、巻き込み防止装置の脱着が容易である。
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、第一の実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す斜視図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す正面図である。本実施形態に係る巻き込み防止装置は、少なくとも1本以上のロープに嵌挿される点に特徴がある。
多輪動滑車について説明する。本実施形態に係る巻き込み防止装置1が好適に使用される多輪動滑車100は、複数のプーリを備えた動滑車であり、ロープRを巻き掛けるプーリ110と、プーリ110の回転軸120を軸支する支持体130と、を備えている。図1に示す多輪動滑車100は二輪動滑車であり、2本のロープR1、R2を夫々プーリ111、112に巻き掛けることができる。直線状に張設されて多輪動滑車100から引き出されたロープRを矢印A方向に引くと、多輪動滑車100は矢印B方向に上昇する。多輪動滑車100に取り付けられた工事資材を多輪動滑車100とともに高所に引き上げることができる。
以下、本発明の第一の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、第一の実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す斜視図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す正面図である。本実施形態に係る巻き込み防止装置は、少なくとも1本以上のロープに嵌挿される点に特徴がある。
多輪動滑車について説明する。本実施形態に係る巻き込み防止装置1が好適に使用される多輪動滑車100は、複数のプーリを備えた動滑車であり、ロープRを巻き掛けるプーリ110と、プーリ110の回転軸120を軸支する支持体130と、を備えている。図1に示す多輪動滑車100は二輪動滑車であり、2本のロープR1、R2を夫々プーリ111、112に巻き掛けることができる。直線状に張設されて多輪動滑車100から引き出されたロープRを矢印A方向に引くと、多輪動滑車100は矢印B方向に上昇する。多輪動滑車100に取り付けられた工事資材を多輪動滑車100とともに高所に引き上げることができる。
本実施形態に係る巻き込み防止装置について説明する。巻き込み防止装置1は、プーリ110から引き出されたロープRの部位に嵌挿されてロープRを包囲する管状の包囲部材11と、包囲部材11の周面に形成されたロープ着脱用の直線状のスリット12と、常時においてはスリット12を閉止すると共にロープ着脱時には押圧されてスリット12を弾性的に開放する弾性開閉片13と、包囲部材11の側面に形成された取手20と、を備えている。
包囲部材11は、径方向断面が楕円形状(図3(a)参照)、かつ軸方向両端の周縁長が異なる筒状体であり、回転軸120の軸方向に並んだ2本のロープRを嵌挿可能な内径を有している。楕円形状の長軸方向が、回転軸120の略軸方向となるようにして使用する。包囲部材11は、セラミックや硬質プラスチック等の硬質かつ軽量の素材から構成されている。硬質部材から構成されているので、作業員が取手20を把持しつつ、包囲部材11の内面にロープRを当接させてロープRの通過位置を調整した場合にも、包囲部材11が容易には変形しない。また、作業中に誤って包囲部材11をプーリ110に接触させても、包囲部材11がプーリ110とロープRとの間に巻き込まれにくい。
包囲部材11は、径方向断面が楕円形状(図3(a)参照)、かつ軸方向両端の周縁長が異なる筒状体であり、回転軸120の軸方向に並んだ2本のロープRを嵌挿可能な内径を有している。楕円形状の長軸方向が、回転軸120の略軸方向となるようにして使用する。包囲部材11は、セラミックや硬質プラスチック等の硬質かつ軽量の素材から構成されている。硬質部材から構成されているので、作業員が取手20を把持しつつ、包囲部材11の内面にロープRを当接させてロープRの通過位置を調整した場合にも、包囲部材11が容易には変形しない。また、作業中に誤って包囲部材11をプーリ110に接触させても、包囲部材11がプーリ110とロープRとの間に巻き込まれにくい。
包囲部材11の周面には、ロープ着脱用の直線状のスリット12が形成されている。スリット12は、楕円形状の長軸の一端部側に配置され(図3(a)参照)、ロープRが出入り可能な幅を有している。スリット12の方向は、直線状に張設された状態のロープRに包囲部材11が嵌挿された時に、ロープRと平行とならない方向、言い換えれば、スリット12とロープRとが交差する方向に設定され、巻き込み防止装置1の使用時にロープRがスリット12から離脱することを防止している。
スリット12には弾性開閉片13が配置され、スリット12は弾性開閉片13の弾性力によって常時において閉止されている。
スリット12は、2枚の弾性開閉片13によって閉止されている。弾性開閉片13は、ゴム板等の可撓性の材料から構成されており、ロープR着脱時に押圧されて変形し、スリット12を弾性的に開放する。本例では、2枚の弾性開閉片13の一端縁をスリット12の両端縁に夫々固定することにより、他端縁がスリットを開閉するように構成しているが、弾性開閉片13は一枚であってもよい。
包囲部材11の側面には、作業員が巻き込み防止装置1をロープRに嵌挿する場合、及びロープRの通過位置を調整する場合等に把持する取手20が形成されている。取手20は、包囲部材11の短軸の一端部側の外面から突出形成されている。取手20のうち、特に作業員が把持する把持部21は直線状に形成されている。作業員は把持部21を把持しつつ、ロープRの通過位置を調整することができる。なお、取手20は、コの字状、Uの字状、半円状、環状、或いはノブ状等、他の形状としてもよい。
スリット12には弾性開閉片13が配置され、スリット12は弾性開閉片13の弾性力によって常時において閉止されている。
スリット12は、2枚の弾性開閉片13によって閉止されている。弾性開閉片13は、ゴム板等の可撓性の材料から構成されており、ロープR着脱時に押圧されて変形し、スリット12を弾性的に開放する。本例では、2枚の弾性開閉片13の一端縁をスリット12の両端縁に夫々固定することにより、他端縁がスリットを開閉するように構成しているが、弾性開閉片13は一枚であってもよい。
包囲部材11の側面には、作業員が巻き込み防止装置1をロープRに嵌挿する場合、及びロープRの通過位置を調整する場合等に把持する取手20が形成されている。取手20は、包囲部材11の短軸の一端部側の外面から突出形成されている。取手20のうち、特に作業員が把持する把持部21は直線状に形成されている。作業員は把持部21を把持しつつ、ロープRの通過位置を調整することができる。なお、取手20は、コの字状、Uの字状、半円状、環状、或いはノブ状等、他の形状としてもよい。
ここで、包囲部材の形状について説明する。図3(a)乃至(c)は、ロープが嵌挿された包囲部材の径方向における断面図である。包囲部材は、(b)の包囲部材31のように断面円形、すなわち円筒体としてもよいし、(c)の包囲部材32のように断面長円形、すなわち長円筒体としてもよい。また、包囲部材11のように軸方向両端の周縁長を異ならせてもよい(図2参照)。もちろん、包囲部材11の変形例として軸方向両端の周縁長を一定にした楕円筒体としてもよい。
図中のX軸は、回転軸120の軸方向と平行な軸である。
(a)に示す包囲部材11の場合、X軸は楕円の長軸である。包囲部材11の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20と長軸を挟んで対向する側の内面(当接部11a)にロープRを当接させる。
(b)に示す包囲部材31の場合、X軸は円の中心を通り、取手20の突出方向と直交する方向に向いている。包囲部材31の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20とX軸を挟んで対向する側の内面(当接部31a)にロープRを当接させる。
(c)に示す包囲部材32の場合、取手20は長円の一方の直線部分の中間部から突出しており、X軸はこの直線部に平行な軸である。包囲部材31の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20が突出していない側の直線部における内面(当接部32a)、即ち取手20とX軸を挟んで対向する側の内面にロープRを当接させる。
包囲部材を筒状体、特に断面形状を円形とすることで、包囲部材の強度を高めることができる。また、断面形状を楕円形又は長円形とした場合、包囲部材が嵩張らず、保管或いは運搬に有利である。
図中のX軸は、回転軸120の軸方向と平行な軸である。
(a)に示す包囲部材11の場合、X軸は楕円の長軸である。包囲部材11の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20と長軸を挟んで対向する側の内面(当接部11a)にロープRを当接させる。
(b)に示す包囲部材31の場合、X軸は円の中心を通り、取手20の突出方向と直交する方向に向いている。包囲部材31の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20とX軸を挟んで対向する側の内面(当接部31a)にロープRを当接させる。
(c)に示す包囲部材32の場合、取手20は長円の一方の直線部分の中間部から突出しており、X軸はこの直線部に平行な軸である。包囲部材31の使用時に作業員は取手20を把持しつつ、取手20が突出していない側の直線部における内面(当接部32a)、即ち取手20とX軸を挟んで対向する側の内面にロープRを当接させる。
包囲部材を筒状体、特に断面形状を円形とすることで、包囲部材の強度を高めることができる。また、断面形状を楕円形又は長円形とした場合、包囲部材が嵩張らず、保管或いは運搬に有利である。
巻き込み防止装置1の使用法について図1、2及び図4に基づいて説明する。図4は、巻き込み防止装置を用いた資材の引き取り作業の様子を示す図である。
巻き込み防止装置1を多輪動滑車100に装着する場合、高所の足場170に立った作業員180は、取手20を把持しつつ、ロープR1をスリット12の延びる方向に合わせて弾性開閉片13に当接させる。さらに巻き込み防止装置1をロープR1に向けて押圧すると、弾性開閉片13が撓んでロープR1が包囲部材11内部に進入する。ロープR2も同様に包囲部材11内部に進入させる。
ロープR1、R2が共に包囲部材11に嵌挿された後、作業員180は巻き込み防止装置1を自身の方(矢印C方向)に引き寄せて、当接部11aにロープRを当接させる。包囲部材11は硬質の素材から構成されているので、当接部11aと取手20との間に引張応力が働いても包囲部材は容易には変形しない。この状態にて作業員は、ロープRの通過位置を調整しつつ工事資材等の引き取り作業を行う。
引き取り作業が終了した後、巻き込み防止装置1を多輪動滑車100から取り外す場合は、装着と逆の手順を踏めばよい。
なお、巻き込み防止装置1は、図1に示すように主として多輪動滑車100から引き出される側のロープRに装着して使用すると効果的である。ロープRが多輪動滑車100から引き出される側においては、ロープRが上方に向けて移動する。従来、作業員はロープRを下から上に向けて送り出しつつロープの位置を調整していた。このとき、作業員の注意は上方に向きやすく、また多輪動滑車100はロープの移動方向とは反対に上昇するので、作業員は下方から接近してくる多輪動滑車100の存在に気づかずに手指を巻き込む事故が多発していた。本発明に係る巻き込み防止装置1を使用することで、このような事故を効果的に防止することができる。
巻き込み防止装置1を多輪動滑車100に装着する場合、高所の足場170に立った作業員180は、取手20を把持しつつ、ロープR1をスリット12の延びる方向に合わせて弾性開閉片13に当接させる。さらに巻き込み防止装置1をロープR1に向けて押圧すると、弾性開閉片13が撓んでロープR1が包囲部材11内部に進入する。ロープR2も同様に包囲部材11内部に進入させる。
ロープR1、R2が共に包囲部材11に嵌挿された後、作業員180は巻き込み防止装置1を自身の方(矢印C方向)に引き寄せて、当接部11aにロープRを当接させる。包囲部材11は硬質の素材から構成されているので、当接部11aと取手20との間に引張応力が働いても包囲部材は容易には変形しない。この状態にて作業員は、ロープRの通過位置を調整しつつ工事資材等の引き取り作業を行う。
引き取り作業が終了した後、巻き込み防止装置1を多輪動滑車100から取り外す場合は、装着と逆の手順を踏めばよい。
なお、巻き込み防止装置1は、図1に示すように主として多輪動滑車100から引き出される側のロープRに装着して使用すると効果的である。ロープRが多輪動滑車100から引き出される側においては、ロープRが上方に向けて移動する。従来、作業員はロープRを下から上に向けて送り出しつつロープの位置を調整していた。このとき、作業員の注意は上方に向きやすく、また多輪動滑車100はロープの移動方向とは反対に上昇するので、作業員は下方から接近してくる多輪動滑車100の存在に気づかずに手指を巻き込む事故が多発していた。本発明に係る巻き込み防止装置1を使用することで、このような事故を効果的に防止することができる。
以上のように、本発明によれば、ロープ自体に巻き込み防止装置を装着するので、動滑車を利用した工事資材等の引き取り作業中に発生する手指の巻き込み事故を防止することができる。また、ロープの一部を包囲する包囲部材が複数のロープに嵌挿可能であるので、複数のプーリを有する多輪動滑車に対しても巻き込み防止装置を適用することができ、汎用性が高い。また、ロープを着脱するスリットに弾性開閉片を備えたので、巻き込み防止装置の脱着が容易になるとともに、巻き込み防止装置がロープから脱落することを防止できる。また、作業資材の引き取り作業時に、スリットとロープとが平行とならないので、ロープが包囲部材から抜け出しにくく、安全性が高い。また、作業員はロープに触れることなく工事資材等を引き取ることができるので、作業員の手や指がロープと動滑車との間に巻き込まれることを防止できる。
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す正面図である。本実施形態に係る巻き込み防止装置は、スリットと、包囲部材に嵌挿された状態のロープとが平行となるようにした点、及び弾性開閉片を自在戸式に構成した点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
巻き込み防止装置2は、プーリ110から引き出されたロープRの部位に嵌挿されてロープRを包囲する管状の包囲部材41と、包囲部材41の周面に形成されたロープ着脱用の直線状のスリット42と、常時においてはスリット42を閉止すると共にロープ着脱時には押圧されてスリット42を弾性的に開放する弾性開閉片43と、を備えている。
スリット42の延びる方向は、直線状に張設された状態のロープRに包囲部材41が嵌挿されたとき、特に、ロープRを当接部41aに当接させたときに、スリット42とロープRとが平行となる方向に設定されている。
また、スリット42を1枚の弾性開閉片43にて開閉するようにしてもよい。
さらに、スリット42の一方の端辺に設けた自由丁番44により、弾性開閉片43が自在戸式に開閉するように、包囲部材41に取り付けてもよい。自由丁番44により、弾性開閉片43は所定の押圧力を受けて内開き、外開き方向に自在に開閉する。この場合、弾性開閉片43を非可撓性の材料から構成することができる。
以上のように本実施形態によれば、スリットと、包囲部材に嵌挿された状態のロープとが平行となるようにしたので、ロープに包囲部材を嵌挿する作業を資材引き取り作業と同様の姿勢にて行える。
本発明の第二の実施形態について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る巻き込み防止装置の使用状態を示す正面図である。本実施形態に係る巻き込み防止装置は、スリットと、包囲部材に嵌挿された状態のロープとが平行となるようにした点、及び弾性開閉片を自在戸式に構成した点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
巻き込み防止装置2は、プーリ110から引き出されたロープRの部位に嵌挿されてロープRを包囲する管状の包囲部材41と、包囲部材41の周面に形成されたロープ着脱用の直線状のスリット42と、常時においてはスリット42を閉止すると共にロープ着脱時には押圧されてスリット42を弾性的に開放する弾性開閉片43と、を備えている。
スリット42の延びる方向は、直線状に張設された状態のロープRに包囲部材41が嵌挿されたとき、特に、ロープRを当接部41aに当接させたときに、スリット42とロープRとが平行となる方向に設定されている。
また、スリット42を1枚の弾性開閉片43にて開閉するようにしてもよい。
さらに、スリット42の一方の端辺に設けた自由丁番44により、弾性開閉片43が自在戸式に開閉するように、包囲部材41に取り付けてもよい。自由丁番44により、弾性開閉片43は所定の押圧力を受けて内開き、外開き方向に自在に開閉する。この場合、弾性開閉片43を非可撓性の材料から構成することができる。
以上のように本実施形態によれば、スリットと、包囲部材に嵌挿された状態のロープとが平行となるようにしたので、ロープに包囲部材を嵌挿する作業を資材引き取り作業と同様の姿勢にて行える。
R、R1、R2…ロープ、1、2…巻き込み防止装置、11…包囲部材、11a…当接部、12…スリット、13…弾性開閉片、20…取手、21…把持部、31、32、41…包囲部材、31a、32a、41a…当接部、42…スリット、43…弾性開閉片、44…自由丁番、100…多輪動滑車、110、111、112…プーリ、120…回転軸、130…支持体、140…フック、150…資材、170…足場、180…作業員
Claims (4)
- ロープを巻掛けるプーリ、及び該プーリの回転軸を軸支する支持体を備えた動滑車の前記プーリから引き出されたロープ部位に装着される巻き込み防止装置であって、
前記ロープに嵌挿されて該ロープを包囲する管状の包囲部材と、該包囲部材の周面に形成されたロープ着脱用の直線状のスリットと、常時においては該スリットを閉止すると共にロープ着脱時には押圧されて該スリットを弾性的に開放する弾性開閉片と、を備えたことを特徴とする巻き込み防止装置。 - 前記スリットの延びる方向は、直線状に張設された状態の前記ロープに前記包囲部材が嵌挿された時に該スリットと前記ロープとが平行とならない方向に設定されていることを特徴とする請求項1記載の巻き込み防止装置。
- 前記包囲部材は、円筒体、楕円筒体、長円筒体、或いは軸方向両端の周縁長が異なる筒状体であることを特徴とする請求項1又は2記載の巻き込み防止装置。
- 前記包囲部材の外面に取手を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の巻き込み防止装置。
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2010
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