JP2011220554A - フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管及びそれを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器並びにその製造方法 - Google Patents

フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管及びそれを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレコートフィンの親水性塗膜若しくは撥水性塗膜の機能を損なうことなく、フィンと伝熱管との熱的接触を好適に保つ接合方法によって組み付けることが可能な伝熱管と、それを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】アルミニウム若しくはその合金からなる扁平多穴管14の外表面に、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂からなる塗膜層を形成し、その接着性樹脂により、扁平多穴管14とアルミニウム若しくはその合金からなるフィン12の組付け孔16内面との間の間隙を埋めつつ、それらを固着せしめて、フィン・アンド・チューブ型熱交換器10を構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管及びそれを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器並びにその製造方法に係り、特に、家庭用エアコンやパッケージエアコン等の空調機におけるフィン・アンド・チューブ型熱交換器に好適に用いられる伝熱管と、それを用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器及びそれを有利に製造する方法に関するものである。
従来より、家庭用エアコンや自動車用エアコン、パッケージエアコン等の空調用機器の他、冷蔵庫、ヒートポンプ式給湯器等には、蒸発器又は凝縮器として作動する熱交換器が用いられており、その中でも、家庭用室内エアコンや業務用パッケージエアコンにおいては、伝熱管にフィンを組み付けてなる構造のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が、最も一般的に用いられている。
また、近年、オゾン層保護や地球温暖化防止等の観点から、従来のフロン系冷媒に代えて、温暖化係数の低い自然冷媒を利用した熱交換器の開発も行われてきており、その中でも、炭酸ガスを主体とする冷媒を用いた給湯器が注目され、その開発が為されてきているが、その空気熱交換器にも、上記と同様なフィン・アンド・チューブ型熱交換器が用いられている。
ところで、かかるフィン・アンド・チューブ型熱交換器は、一般に、複数のフィン(外面フィン)に対して垂直方向に伝熱管を差し込み、それら複数のフィンと伝熱管とを接合させた構造のものにおいて、実用化されてきている。そして、そのような構造とされた熱交換器においては、伝熱管内に冷媒を流通せしめる一方、伝熱管に対して垂直方向に、前記複数のフィンに沿って熱交換流体としての空気を流すことによって、冷媒と空気との間で熱交換が行われるようになっているのである。
なお、このフィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成するフィンは、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金製の板材から構成されており、そのフィンの表面は、平坦なものの他にも、スリット又はルーバー等の伝熱促進効果のある形状に加工を施されたものが、多く用いられている。
また、フィン・アンド・チューブ型熱交換器で用いられる伝熱管としては、よく知られているように、管軸に垂直な断面において円形形状を呈する丸管の他、扁平な形状の管内部を複数の隔壁にて複数の流路に分割してなる構造を有する扁平多穴管が、一般的に採用されている。そして、それらのうち、円形断面形状のもの(丸管)においては、その材質として、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金が多く採用されており、また、その内面に、多数の溝、例えば管軸に対して所定のリード角をもって延びるように螺旋状の溝を多数形成して、それらの溝間に所定高さの内面フィンが形成されるようにした、所謂、内面溝付伝熱管が多く用いられている。また、扁平多穴管にあっては、通常、アルミニウム若しくはアルミニウム合金をポートホール押出して得られるものが、一般的に用いられている。
そして、そのようなフィン・アンド・チューブ型熱交換器におけるフィンと伝熱管の代表的な接合方法としては、フィンに設けられた取付け孔内に挿通された伝熱管を機械拡管や液圧拡管等で拡管して、かかる取付け孔の内面と伝熱管の外周面とを密着させる拡管法や、フィンの取付け孔内に挿通された伝熱管の外周面と取付け孔の間隙をロウ材によって埋めて接合を行うろう付け法が、よく知られている。このような接合方法のうち、伝熱管が円形断面形状を呈している場合には、伝熱管とアルミニウムフィンを迅速かつ確実に密着させることが可能な機械拡管法が、一般的に多く採用されている。一方、伝熱管が扁平多穴管の場合には、そのような機械拡管法を用いて拡管することが困難であるため、ろう付け法が多く採用されている。例えば、実開平5−25173号公報(特許文献1)にて明らかにされているように、プレートフィンとして片面にろう材をコーティングしたクラッド材を用いて、それに伝熱管断面形状と同一の形状の複数の貫通穴を開け、かかる貫通穴に伝熱管を水平配置となるように挿入し、真空ろう付け等の加工法により、一体ろう付けを行い、プレートフィンと伝熱管の一体化を行うのである。
一方、フィン・アンド・チューブ型熱交換器を、家庭用エアコンやパッケージエアコン等の空調機用として用いて作動させた際に、フィン表面に結露が生じた状態となる場合がある。このような結露が発生すると、空気がフィン間を通過する際の抵抗(通風抵抗)が大きくなってしまい、熱交換器の性能が低下する恐れを惹起することとなる。そのため、特開平10−103885号公報(特許文献2)や特開2002−322418号公報(特許文献3)においては、アルミニウム板よりなる熱交換器用フィン材の表面に、親水性あるいは撥水性樹脂による塗膜を形成する手法が、明らかにされている。即ち、そのような親水性あるいは撥水性樹脂による塗膜により、フィン表面に生じる結露水を均一な水膜とし、円滑に落下、排出させ、かかる結露水による通風抵抗を低くして、熱交換器の性能を維持することが可能となるのである。
ところで、フィン表面に、上述のような樹脂塗膜を形成する方法としては、予め塗膜が形成されたフィン材料(プレコートフィン材)を所定のフィン形状に加工し、伝熱管に組み付けて、フィン・アンド・チューブ型熱交換器を形成するプレコート法や、フィンと伝熱管とを組み付けて、フィン・アンド・チューブ型熱交換器として形成した後に、熱交換器全体を樹脂が溶解されている槽へ浸漬する浸漬法等によって、フィン表面に塗膜を形成するポストコート法がある。そして、それらの中で、浸漬法にあっては、フィン表面への均一な塗膜の塗装が難しく、また、フィン間隔が狭くなってきている現状下において、浸漬法ではフィン間に溶融した樹脂が行き渡りにくく、実施上困難な場合もあるため、品質的に優れたプレコート法が好ましいと考えられている。
しかしながら、フィンと伝熱管の接合方法によっては、フィンにプレコートした塗膜が機能を果たさなくなる場合があるのである。即ち、フィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成する伝熱管が扁平多穴管である場合に多く採用されているろう付け法、例えば、前述した特許文献1にて明らかにされている真空ろう付けにあっては、500℃以上にて実施するものであるために、プレートフィン自体がその温度に曝されることとなって、プレートフィンにプレコートした樹脂塗膜の耐熱温度(200℃以下)を超えてしまい、その結果、プレコートした樹脂塗膜が表面処理材としての機能を果たさなくなってしまうのである。
そこで、フィンをそのような高温に曝すことなく、フィンと伝熱管(扁平多穴管)とを接合する方法として、特開2003−311353号公報(特許文献4)の[0005]においては、細長いプレートフィンに扁平穴を設ける代わりに、U字状のスリットをプレートフィンの一端から幅方向に形成し、そのスリットに扁平チューブを圧入する、所謂カチコミ法と呼ばれる方法が、明らかにされている。更に、特開平8−247678号公報(特許文献5)や特開2002−139282号公報(特許文献6)においては、接着成分を含有する樹脂(接着性樹脂)による接合方法も、明らかにされている。
しかしながら、これらの接合方法、例えば、特許文献4にて明らかにされている如きカチコミ法にあっては、かかる特許文献4の[0005]にも記載されているように、スリットフィン付きプレート型熱交換器は、それぞれのプレートフィンの取り扱いが面倒であるため、これまで量産された実績はなく、現在でも実用化・量産化が確立されてはいないのである。また、伝熱管の外径とプレートフィンの伝熱管挿通孔とのクリアランスを極く僅か、若しくはクリアランスをなくして、組み付けることは出来るが、この場合、巨視的には伝熱管とプレートフィンは充分に接触しているように見えても、微視的には、微細な空隙が多く存在し、熱的な接触が充分なものとは言えないのである。
一方、接着成分を含有する樹脂による接合方法にあっても、前述の特許文献5,6においては、その詳細が明らかにされておらず、更に、前述したフィン表面にプレコートした樹脂塗膜の耐熱温度以上にフィンを曝すことなく、フィンと伝熱管(扁平多穴管)を接合するための適切な接着剤は、未だ見出されてはいない。
また、伝熱管とプレートフィンを組み付けた後に、その接触面に接着性樹脂を注入するという方法も考えられるのではあるが、そのように組み付けた伝熱管とプレートフィンの間隙に、均一に接着性樹脂を充填することは技術的に難しく、それらが熱的に充分に接触せしめられるようにすることは、困難なものであった。
実開平5−25173号公報 特開平10−103885号公報 特開2002−322418号公報 特開2003−311353号公報 特開平8−247678号公報 特開2002−139282号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、空気調和機のフィン・アンド・チューブ型熱交換器において、プレコートフィンの親水性塗膜若しくは撥水性塗膜の機能を損なうことなく、フィンと伝熱管との熱的接触を好適に保つ接合方法によって組み付けることが可能な伝熱管を提供することにある。また、本発明にあっては、そのようなフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を用いて作製された空気調和機用等のフィン・アンド・チューブ型熱交換器及びその製造する方法を提供することをも、その解決課題としている。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、アルミニウム若しくはその合金からなるフィンに設けられた組付け孔に嵌め込まれて、組み付けられる、フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管にして、アルミニウム若しくはその合金からなる多穴管を用い、その外表面に、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂からなる接着性塗膜が形成されてなり、該接着性塗膜によって、前記フィンの組付け孔内面との間の間隙を埋めつつ、該フィンに対して固着せしめられ得るように構成したことを特徴とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を、その要旨とするものである。
また、本発明にあっては、アルミニウム若しくはその合金からなるフィンに設けられた組付け孔に、アルミニウム若しくはその合金からなる扁平多穴管を嵌め込んで、組み付けてなるフィン・アンド・チューブ型熱交換器にして、前記扁平多穴管の外表面に、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂を塗布せしめて、接着性塗膜を形成し、その接着性塗膜により、該扁平多穴管と前記フィンの組付け孔内面との間の間隙を埋めつつ、該扁平多穴管と該フィンとを固着せしめてなることを特徴とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器も、その要旨としている。
さらに、本発明においては、空気調和機等のフィン・アンド・チューブ型熱交換器の製造方法であって、アルミニウム若しくはその合金からなる扁平多穴管の外表面に、融点が100℃以上200℃以下の接着性樹脂を塗布した後、かかる接着性樹脂の融点未満の温度に保持し、該接着性樹脂を乾燥、固化させた扁平多穴管を準備する工程と、親水性塗料若しくは撥水性塗料を表面に塗布してなるアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィンに設けられた組付け孔に、前記扁平多穴管を挿通させて、組付け体を作製する工程と、該組付け体を、前記接着性樹脂の融点以上200℃以下の温度に保持して、該接着性樹脂を液化させ、前記フィンの組付け孔内表面と扁平多穴管外表面との間に該接着性樹脂を充満させる工程と、かかる接着性樹脂の充満させられた組付け体を冷却して、室温以上、該接着性樹脂の融点以下の温度に保持し、かかる接着性樹脂を固化させ、一体化したフィン・アンド・チューブ型熱交換器を完成する工程と、を有することを特徴とする空気調和機のフィン・アンド・チューブ型熱交換器の製造方法をも、その要旨としているのである。
従って、このような本発明に従う構成とされたフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管によれば、扁平多穴管の外表面に形成された接着性樹脂による接着性塗膜により、フィンの取付け孔の内面とかかる扁平多穴管の外面との間隙が埋められて、扁平多穴管に対してフィンが固着せしめられ得るように、フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管が構成されているところから、フィンと扁平多穴管との接触熱抵抗を効果的に低減せしめて、熱交換性能を向上させることが可能となる。
また、かかる扁平多穴管の表面に形成される接着性塗膜が、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂にて形成されているところから、フィン表面に親水性塗膜や撥水性塗膜がプレコートされていても、その被膜の機能を良好に保ったまま、フィンと伝熱管を組み付けて、それらを固着し得る、フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を形成することが出来るのである。
さらに、このような扁平多穴管の外表面に所定の接着性塗膜が形成されてなるフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を用いて作製されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器にあっては、フィンと扁平多穴管との接触熱抵抗が低くなるように構成されているところから、高い熱交換性能を発揮することが可能であると共に、フィン表面に形成された親水性塗膜や撥水性塗膜の効果が良好に発揮されるところから、熱交換器を運転した際に生じるフィン表面の結露水を、それら塗膜によってフィン表面から円滑に排出して、かかる結露水による通風抵抗の増加を効果的に抑制し、安定して高い熱交換性能を維持することが可能となるのである。
そして、本発明において、フィン・アンド・チューブ型熱交換器を製造するべく、その外表面に、融点が100℃以上200℃以下の接着性樹脂を塗布した後、かかる接着性樹脂の融点未満の温度に保持して、該接着性樹脂を乾燥、固化させた扁平多穴管を、親水性塗料若しくは撥水性塗料を表面に塗布してなるアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィンに設けられた組付け孔に挿通させて、それら2つを組み付けた組付け体を形成し、次いで、この組付け体を、前記接着性樹脂の融点以上200℃以下の温度に保持して、該接着性樹脂を溶融して流動可能と為し、フィンの組付け孔の内表面と扁平多穴管の外表面との間に、そのような接着性樹脂を充満させ、その後、組付け体を冷却して、室温以上、該接着性樹脂の融点以下の温度に保持し、かかる接着性樹脂を固化させて、フィンと扁平多穴管とが一体化されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成するようにした方法を採用することによって、伝熱管(扁平多穴管)にフィンを固定する際に、フィンや伝熱管が高温に曝されるロウ付け加工を行うことなく、それらを固着することが出来るため、フィン表面に形成されている親水性塗膜や撥水性塗膜の機能を良好に保った状態としたフィン・アンド・チューブ型熱交換器を、有利に製造することが出来ることとなる。
また、かかる製造方法にあっては、その表面に予め親水性塗料や撥水性塗料が塗布されたフィンを用いているので、フィンと伝熱管とを組み付けてからフィン表面に親水性塗料や撥水性塗料の塗膜を形成するポストコート法に比べて、熱交換器全体を浸漬可能な大きさの塗料槽等を用意する必要がないため、製造コストを有利に低減することが可能であると共に、フィンに形成される塗膜を高品質化することが出来る特徴を有している。
さらに、フィンと伝熱管を組み付けた後に、フィンに親水性塗料や撥水性塗料を塗布したり、或いは、フィンと伝熱管とを固着させるための接着剤等を塗布したりする必要がないため、フィン間隔を有利に小さくすることが可能となるのであり、その結果、熱交換器の小型化や、熱交換性能の向上を図ることが出来るといった効果も、発揮されることとなる。
本発明に従うフィン・アンド・チューブ型熱交換器の一例を示す斜視説明図である。 図1に示されるフィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成するフィンを示す斜視説明図である。 図1に示されるフィン・アンド・チューブ型熱交換器のフィンと扁平多穴管との接合部分を拡大して示す断面説明図である。 実施例において用いたフィン材料の表面処理の形態を示す断面説明図である。 実施例において用いられた、熱交換性能評価用フィン・アンド・チューブ型熱交換器を概略的に示す斜視説明図である。 図5に示されるフィン・アンド・チューブ型熱交換器の伝熱管の配置の形態を示す断面説面図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従うフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を用いたフィン・アンド・チューブ型熱交換器の実施形態の一つが、斜視図の形態において概略的に示されている。そこにおいて、熱交換器10は、互いに平行に且つ一定距離を隔てて配置された複数枚のフィン12に対して、2本の扁平多穴管14,14が、かかるフィン12に設けられたスリット状の組付け穴16に挿入、固着されて、形成されている。
より詳細には、フィン12は、従来と同様に、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる金属材料にて形成された、図2にも示されているように、矩形の平面形状を呈した薄肉の板状フィンとされており、その表面には、親水性樹脂または撥水性樹脂が塗布されて、所定厚さの塗膜層18が形成されている。また、かかるフィン12には、扁平多穴管14が組み付けられる組付け孔16が、矩形形状のフィン12の一端からフィン12の幅方向(図2においては左右方向)に延びるU字状のスリットとして、形成されている。さらに、かかる組付け穴16の周りには、所定高さのカラー部20が、フィン12と一体的に形成されている。
一方、扁平多穴管14は、よく知られている如く、アルミニウム若しくはアルミニウム合金等からなる金属材料にて形成された、ここでは、管軸方向に延びる7つの穴15が形成されてなる、扁平形状を呈する多穴管とされており、その外表面には、本発明に従って、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂が塗布されて、所定厚さの接着性の塗膜層22が形成されている。なお、ここで言う接着性樹脂とは、フィン12を構成する金属材料と扁平多穴管14を構成する金属材料との間に介在し、両金属材料を物理的に又は機械的に固着せしめた状態を維持することが可能な樹脂のことを意味している。そして、そのような接着性樹脂としては、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、塩化ビニル樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系等の、単独もしくは複数を組み合わせたものが、適宜に選択されて、用いられている。また、かかる塗膜層22の厚さは、フィン12と扁平多穴管14とを固着するために必要な厚さにおいて、扁平多穴管14やフィン12の大きさ等に応じて適宜に決定されるものであるが、好ましくは1〜10μm程度とされることとなる。
そして、そのような扁平多穴管14とフィン12を用いて、かかるフィン12の複数枚を、それぞれに形成された組付け孔16を一致させた状態下において、互いに平行に且つ一定距離を隔てるように配置せしめ、その一致させた組付け孔16内に、扁平多穴管14を嵌め込んで、組み付けることにより、目的とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管が構成されているのである。なお、このとき、扁平多穴管14の外面と、フィン12の組付け孔16の内面、即ち、かかる組付け孔16の周りから一体的に立ち上がるように形成されているカラー部20の内面との間の隙間は、図3に示される如く、扁平多穴管14の外周面に形成された塗膜層22の接着性樹脂によって埋められて、それらを固着し、一体的なフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を構成している。そして、そのようなフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管を構成する扁平多穴管14のそれぞれの両端部が、ここでは図示しないヘッダにそれぞれ接続されて、扁平多穴管14の7つの穴15、即ち、管軸方向に延びる冷媒が流通せしめられる7つの流路が、冷媒の入口側と出口側においてそれぞれまとめられて、フィン・アンド・チューブ型熱交換器10として構成されているのである。
従って、このような本発明に従う構成とされたフィン・アンド・チューブ型熱交換器10によれば、扁平多穴管14の外表面に形成された接着性樹脂による塗膜層22により、フィン12の組付け孔16の内面と、かかる扁平多穴管14の外面との間隙が埋められていると共に、扁平多穴管14に対してフィン12が固着されているところから、フィン12と扁平多穴管14との接触熱抵抗を効果的に低減することが可能となり、以て、熱交換器10の熱交換性能を、有利に向上させることが出来るのである。
また、かかる扁平多穴管14の外面に形成されている塗膜層22を構成する接着性樹脂が、100℃以上の融点を有しているところから、熱交換器10を運転した際の熱によって、フィン12と扁平多穴管14との固着が外れてしまう恐れを、有利に回避することが出来る。即ち、フィン・アンド・チューブ型熱交換器においては、空調機の蒸発器として運転される際に、伝熱管(扁平多穴管14)内を流通する冷媒の温度が100℃に近い状態になる場合があるため、塗膜層22を形成する接着性樹脂の融点が100℃未満とされると、フィン12と扁平多穴管14を接合している接着性樹脂が空調機の運転中に溶解してしまう恐れがあり、フィン12と扁平多穴管14との接合が外れて、熱交換器10が破壊されてしまう危険性があるのである。
さらに、かかる塗膜層22を形成する接着性樹脂の融点が、200℃以下とされているところから、フィン12の表面に形成されている親水性塗膜や撥水性塗膜の機能を良好に保ったまま、扁平多穴管14とフィン12とを組み付けて、それらを固着し、フィン・アンド・チューブ型熱交換器10を形成することが出来るのである。即ち、その表面に親水性樹脂若しくは撥水性樹脂を塗布したアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィン12に設けられた組付け孔16内に、扁平多穴管14を挿通させて組み付けた後、それらを加熱して、扁平多穴管14の外面に塗布された塗膜層22を形成する接着性樹脂を液化させ、組付け孔16の内面(カラー部20)と扁平多穴管14の外表面の間の間隙に接着性樹脂を充満させる際の加熱温度を、フィン12の表面にプレコートされている親水性塗膜若しくは撥水性塗膜が熱分解等を引き起こす温度よりも小さな200℃以下に抑えることが出来るため、それら親水性塗膜若しくは撥水性塗膜の性能低下を引き起こす恐れが、効果的に回避され得ることとなる。なお、それら親水性塗膜若しくは撥水性塗膜の機能をより一層維持することを考慮すると、塗膜層22を構成する接着性樹脂の融点の上限は、150℃以下とすることが好ましい。
そして、このようにフィン12表面に形成された親水性塗膜や撥水性塗膜の効果が良好に発揮されるところから、熱交換器10を運転した際にフィン12の表面に発生する結露水を、それら塗膜によってフィン12の表面から円滑に排出して、かかる結露水による通風抵抗の増加を効果的に抑制することが出来、以て、熱交換器10が安定して高い熱交換性能を維持することが可能となるのである。
ところで、このような構成とされたフィン・アンド・チューブ型熱交換器10は、以下のような方法を採用することによって、有利に製造されることとなる。即ち、先ず、アルミニウム若しくはその合金をポートホール押出加工等の公知の加工方法を施すことによって形成される扁平多穴管14の外表面に、融点が100℃以上200℃以下の接着性樹脂を塗布した後、かかる接着性樹脂の融点未満の温度に保持して、接着性樹脂を乾燥、固化させて、扁平多穴管14の外面に所定厚さの塗膜層22を形成したものを準備する。
一方、その表面に親水性塗料若しくは撥水性塗料を塗布することで所定厚さの塗膜層が形成されているアルミニウム板又はアルミニウム合金板にプレス加工等を施すことによって、扁平多穴管14の外面形状に対応した組付け孔16やカラー部20が一体的に形成された所定形状のフィン12を準備する。そして、そのようなフィン12の複数枚を、それぞれの組付け孔16が一致するように所定間隔を隔てて互いに平行に配置して、それら複数のフィン12の組付け孔16内を順次通過するように、先に準備した扁平多穴管14を挿通させて、組付け体を作製する。このとき、フィン12の組付け孔16の内面、換言すれば、カラー部20の内面と、扁平多穴管14の外面との間には、僅かな間隙が存在している。
次いで、かかる組付け体を、扁平多穴管14の外面に塗布された接着性樹脂の融点以上200℃以下の温度に保持することによって、接着性樹脂を溶融させて、流動可能な状態と為し、フィン12の組付け孔16内面と扁平多穴管14の外面との間に存在する隙間全体に、そのように溶融した接着性樹脂を流動せしめて、充満させる。その後、それらの隙間が接着性樹脂によって充満させられた組付け体を冷却して、室温以上、接着性樹脂の融点以下の温度に保持することにより、接着性樹脂を固化せしめて、図1に示されるような、フィン12と扁平多穴管14とが一体化されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器が完成するのである。
このような製造方法を採用することによって、伝熱管(扁平多穴管14)とフィン12とを組み付けて、固着する際に、フィンや伝熱管が高温に曝されるロウ付け加工を行うことなく、低い温度においてそれらを固着することが出来るため、フィン12の表面に形成されている親水性塗膜や撥水性塗膜の機能を良好に保った状態としたフィン・アンド・チューブ型熱交換器10を、有利に製造することが可能となるのである。
また、かかる製造方法にあっては、その表面に予め親水性塗料や撥水性塗料が塗布されたフィンを用いているので、フィンに形成される塗膜を高品質化することが出来る。さらに、フィンと伝熱管とを組み付けてからフィン表面に親水性塗料や撥水性塗料の塗膜を形成する必要がないため、熱交換器の製造コストを有利に低減することが出来ると共に、フィン間隔を有利に小さくすることが可能となり、その結果、熱交換器の小型化や、熱交換性能の向上を図ることが出来るといった効果も、発揮されることとなる。
以上、本発明の代表的な実施形態の一つとその製作方法について詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、扁平多穴管14の外面に塗布される接着性樹脂には、流動性を損なわない程度の、熱伝導性の良好な、粒子状の無機材料を含有せしめることも可能である。これは、接着成分を含有する樹脂は、通常、熱伝導性が良好ではないため、フィンと伝熱管との空隙を接着成分を含有する樹脂で充填することは、空隙に空気が存在している場合よりも熱伝導性は良好にはなるものの、充分な熱伝導性を発揮するものではないのである。そこで、接着性樹脂に熱伝導性の良好な物質を混入させることによって、より熱伝導性を向上させることが可能となるのである。なお、このように接着性樹脂に混入される無機材料としては、例えば、微細なシリカ(SiO2 )、アルミナ(Al23)、カーボン等の粉末などを挙げることが出来る。但し、あまり多くの無機材料を混入させると、接着性樹脂を加熱した際に、溶融した接着性樹脂が充分に流動しなくなってしまい、フィンと伝熱管との間に生じている空隙になじませる(充満させる)ことが不十分となる。
また、フィン12の表面に形成される塗膜は、1層の親水性樹脂あるいは撥水性樹脂の塗膜にて形成されることも可能であるが、フィン基板の表面に複数層の塗膜を形成して、それら複数層の塗膜のうちの最外層の塗膜を、親水性樹脂あるいは撥水性樹脂の塗膜としてもよい。例えば、そのように複数層の塗膜を形成する場合には、先ず、アルミニウム板の表面に、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなる耐食性を有する塗膜を形成して、更にその上に、親水性樹脂あるいは撥水性樹脂の塗膜を最外層として形成することが、好ましいのである。このような耐食性塗膜を形成することによって、アルミニウム材料からなるフィン12の耐食性を、有利に向上させることが出来ることとなる。
さらに、フィン12の表面には、リン酸クロメート等によるクロメート処理等の化学皮膜処理(化成処理)によって得られる皮膜を下地処理層として形成することが好ましい。即ち、フィン12を形成するアルミニウム若しくはアルミニウム合金製のフィン基板の表面にこのような下地処理層が形成されていることによって、アルミニウム板(基板)と、その表面に形成される親水性樹脂塗膜や撥水性樹脂塗膜、耐食性塗膜との密着性を、効果的に向上させることが可能となる。
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例の一つを示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、本発明に従うフィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成するために、伝熱管として、アルミニウム合金(JIS A3003)を押出加工することによって、図1に示すような断面形状を呈する、幅:16mm、厚さ:2mm、7穴の押出扁平多穴管(14)を準備した。そして、アクリル樹脂系接着剤(コニシ製、KV610)に、溶剤としてトルエンを30〜40%、酢酸エチルを30〜40%配合したもの(塗料)を用意し、それをフェルトに含侵させ、室温下に、押出扁平多穴管(14)の表面に接触させて、かかる押出扁平多穴管(14)の外面に膜厚10μmの均一且つ密着性の良好な、接着性樹脂からなる塗膜を形成した。
一方、フィン材料を形成するアルミニウムフィン材としては、板厚:0.1mmの、純アルミニウム(JIS A1050)の板材を準備した。なお、かかるフィン材料の表面には、図4に示されるような、3層からなる表面処理を施した。即ち、先ず、前記アルミニウム材料の基板30に対してリン酸クロメート浸漬処理を施すことにより、アルミニウム基板の表面にリン酸クロメートよりなる化成皮膜32を形成した。次いで、かかる化成皮膜32の上に、ロールコーターを用いてエポキシ樹脂を塗布して、220℃の温度で10秒間加熱することにより、膜厚1μmの耐食性塗膜34を形成した。更にその後、空冷し、そしてポリビニルアルコール樹脂よりなる親水性塗膜用の塗料を、耐食性塗膜34の表面に塗布し、220℃の温度で10秒間加熱することにより、膜厚1.5μmの親水性塗膜36を形成して、アルミニウムフィン材を形成した。なお、ポリビニルアルコール樹脂よりなる親水性塗膜36は、150℃以上にて熱分解が起こり、親水性塗膜としての性能低下を引き起こすものである。
さらに、そのようなアルミニウムフィン材に、公知のプレス加工等を施すことによって、図2に示されるような、扁平多穴管(14)が挿通されるU字のスリット状の2つの組付け孔(16,16)が形成された、縦長さ:30mm、横長さ:22mmの矩形形状のフィン形状に加工して、フィン材料(12)を用意した。なお、かかる組付け孔(16)の幅は15mmとし、組付け孔(16)の周りに立設されたカラー部(20)の内幅は、先に準備した扁平多穴管の厚さ:2mmよりも僅かに大きい2.01mmとした。
そして、このように用意された扁平多穴管(14)とフィン材料(12)を用いて、図1に示されるようなフィン・アンド・チューブ型熱交換器(10)を作製した。即ち、先ず、10枚のフィン材料を、それぞれの組付け孔(16)の位置が一致した状態において、互いに平行に、且つ所定のフィン間隔をもって配列せしめた後に、組付け孔(16)内に扁平多穴管(14)を挿入して組付け体を作製した。このとき、組付け孔(16)の内面(カラー部の内面)と扁平多穴管(14)の外面とのクリアランス(間隙)は5μmである。そして、かかる組付け体をオーブン内に入れて、140℃で5分間保持し、扁平多穴管(14)の外面に塗布された接着性樹脂からなる塗膜を溶融させ、かかる接着性樹脂を、組付け孔(16)の内面と扁平多穴管(14)の外面との間に生じていた隙間に充満させた。その後、室温まで冷却し、かかる接着性樹脂を固化させて、フィン材料(12)と扁平多穴管(14)とを固着して、本発明に従うフィン・アンド・チューブ型熱交換器(10)を作製し、これを実施例1とした。
一方、フィン材料は実施例1と同じものを用意し、更に、伝熱管として、その外面に接着性樹脂が塗布されていない、実施例1と同様な材質にて形成され、幅や厚さが同じ寸法とされた扁平多穴管を準備して、比較例となるフィン・アンド・チューブ型熱交換器を作製した。即ち、実施例1の熱交換器と同様に、10枚のフィン材料を配列し、組付け孔内に扁平多穴管を挿入して、それらを組付けることによって、比較例1の熱交換器を作製した。この比較例1の熱交換器にあっては、フィンの組付け孔と扁平多穴管とのクリアランスは5μmとなっており、その間隙に接着性樹脂は介在されていない。更に、かかる比較例1の熱交換器と同様な、組付け孔と扁平多穴管とのクリアランスが5μmの熱交換器を1組製作した後、かかる熱交換器を、590℃の炉中ろう付けにてフィンと扁平多穴管とを固着させたものを作製し、これを比較例2とした。
このように作製した実施例1及び比較例1,2の熱交換器について、フィン・アンド・チューブ型熱交換器として組付け完成後の状態において、フィンと伝熱管(扁平多穴管)の接合状態を確認した。その結果、実施例1の熱交換器においては、接着性樹脂にて伝熱管とフィンが固着されており、接合状態は良好であった。また、比較例2の熱交換器にあっても、ろう付けにて伝熱管とフィンが固着されており、接合状態は良好であった。一方、比較例1の熱交換器にあっては、伝熱管とフィンとが固着されておらず、ガタがあり、接合状態は良好ではなかった。
さらに、フィンの親水性の評価として、それぞれの熱交換器からフィンを1枚取り出して、それぞれ水滴接触角を測定した。その結果、実施例1及び比較例1のフィンは、いずれも水滴接触角が15°であり、フィン表面に形成されている親水性塗膜の機能が維持されていることが確認された。一方、比較例2のフィンにおいては、ろう付け時の590℃の加熱によって親水性塗膜は変質し、消失してしまっており、親水性能は全く発揮されないものであった。
また、フィンと伝熱管との間の熱交換性能の評価のために、伝熱管を円形断面形状の管として、その伝熱管を2列14段に配置した、図5に示される如き形状のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を製作した。即ち、フィン材料としては、実施例1と同等の、表面に親水性塗膜が形成されたアルミニウムフィン材を準備し、それを、縦:300mm、横:25.4mmの矩形形状の、伝熱管を組み付けるための組付け孔が所定間隔をもって28カ所設けられているフィン形状に加工したものを用意した。また、組付け孔部分には、孔の周りから所定高さをもって立設するフィンカラーを一体的に形成した。なお、かかるカラー部の内径は、7.2mmとなるようにした。
一方、伝熱管としては、アルミニウム合金(JIS A3003)を押出加工することによって形成される、外径:7.0mm、管壁の肉厚:0.47mmの、断面が円形形状を呈する押出平滑管を準備し、その外面に、実施例1と同様な接着性樹脂からなる塗膜を形成したものと、そのような塗膜が形成されていないものとの2種類を用意した。
そして、そのように準備されたフィンと伝熱管とを、それぞれ組み付けて、図5に示される如き形状の、伝熱管を2列14段に配置した、300mm×300mm×25.4mmのフィン・アンド・チューブ型熱交換器を、伝熱管とフィンの固着方法として、以下の2種類の固着方法をそれぞれ採用して製作した。なお、それら2つの熱交換器の何れも、フィン枚数は214枚、フィン間隔は1.4mm、伝熱管の間隔(P1,P2)は、図6にも示されるように、一つの列を構成する伝熱管の間隔:P1 は21mm、1列目の伝熱管と2列目の伝熱管の間隔:P2 は、12mmとした。
次いで、先ず、第1の方法として、本発明に従うフィン・アンド・チューブ型熱交換器の如く、フィンのカラー内径7.2mmのアルミフィンに、樹脂を塗布した外径7.0mmの伝熱管を挿入して組み付けた後、オーブンに入れて、140℃で5分間保持し、接着成分を含有する樹脂を溶融させ、フィン組付け孔内表面と伝熱管外表面間に接着成分を含有する樹脂を充満させた。その後、室温まで冷却し、樹脂を固化させた。その後、拡管率6.0%の機械拡管にて伝熱管をアルミフィンに固着した。このようにして作製した熱交換器を試験例1とした。一方、第2の方法として、カラー内径7.2mmのアルミフィンに、外面に樹脂を塗布していない外径7.0mmの伝熱管を挿入した後、拡管率6.0%の機械拡管にて、かかる伝熱管をアルミフィンに固着した。そして、このようにして作製した熱交換器を試験例2とした。
その後、このように準備した試験例1及び試験例2の熱交換器をそれぞれ用い、1列目には50℃の温水、2列目には20℃の冷水を対抗流に流して、温水及び冷水流量をそれぞれ変化させ、ウィルソン・プロット法により水側の熱抵抗を差し引いて、熱抵抗を算出した。なお、供試熱交換器は、真空容器内に設置し、供試部で発生する自然対流による熱伝達の影響を抑制して、評価を行った。
その結果、伝熱管の表面に接着性樹脂を塗布していない機械拡管のみで伝熱管とアルミフィンを固着した、従来のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である試験例2の熱交換性能を100としたとき、本発明に従う接着性塗膜が形成されてなる試験例1のものの熱交換性能比は110となり、この結果、接着性樹脂にて伝熱管とフィンの間隙が充満されることで、接触熱抵抗が小さくなり、熱交換性能が向上せしめられ得ることが確認された。
10 熱交換器
12 フィン
14 扁平多穴管
16 組付け孔
18 塗膜層
20 カラー部
22 塗膜層

Claims (3)

  1. アルミニウム若しくはその合金からなるフィンに設けられた組付け孔に嵌め込まれて、組み付けられる、フィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管にして、
    アルミニウム若しくはその合金からなる多穴管を用い、その外表面に、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂からなる接着性塗膜が形成されてなり、該接着性塗膜によって、前記フィンの組付け孔内面との間の間隙を埋めつつ、該フィンに対して固着せしめられ得るように構成したことを特徴とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器用伝熱管。
  2. アルミニウム若しくはその合金からなるフィンに設けられた組付け孔に、アルミニウム若しくはその合金からなる扁平多穴管を嵌め込んで、組み付けてなるフィン・アンド・チューブ型熱交換器にして、
    前記扁平多穴管の外表面に、100℃〜200℃の融点を有する接着性樹脂を塗布せしめて、接着性塗膜を形成し、その接着性塗膜により、該扁平多穴管と前記フィンの組付け孔内面との間の間隙を埋めつつ、該扁平多穴管と該フィンとを固着せしめてなることを特徴とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器。
  3. アルミニウム若しくはその合金からなる扁平多穴管の外表面に、融点が100℃以上200℃以下の接着性樹脂を塗布した後、かかる接着性樹脂の融点未満の温度に保持し、該接着性樹脂を乾燥、固化させた扁平多穴管を準備する工程と、
    親水性塗料若しくは撥水性塗料を表面に塗布してなるアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィンに設けられた組付け孔に、前記扁平多穴管を挿通させて、組付け体を作製する工程と、
    該組付け体を、前記接着性樹脂の融点以上200℃以下の温度に保持して、該接着性樹脂を液化させ、前記フィンの組付け孔内表面と扁平多穴管外表面との間に該接着性樹脂を充満させる工程と、
    かかる接着性樹脂の充満させられた組付け体を冷却して、室温以上、該接着性樹脂の融点以下の温度に保持し、かかる接着性樹脂を固化させ、一体化したフィン・アンド・チューブ型熱交換器を完成する工程と、
    を有することを特徴とするフィン・アンド・チューブ型熱交換器の製造方法。
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