JP2011219514A - プリプレグ、炭素繊維複合材料およびその製造方法 - Google Patents

プリプレグ、炭素繊維複合材料およびその製造方法 Download PDF

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洋 木村
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秀和 吉川
Takeshi Shimada
岳志 島田
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紘典 河本
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Abstract

【課題】樹脂含浸性を損なうことなく衝撃後圧縮強度に優れたプリプレグ及び炭素繊維複合材料を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグであって、炭素繊維が、直径5.5〜6.5μm、表面酸素濃度比O/Cが20%以上、ストランド引張弾性率290〜350GPa、ストランド引張強度が5400MPa以上の炭素繊維であり、エポキシ樹脂組成物が温度75℃で、粘度15Pa・s以上の樹脂組成物であることを特徴とするプリプレグと、それを用いて得られる炭素繊維強化複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、航空機用等の複合材料に好適に使用される、炭素繊維を強化繊維とするプリプレグと、それを用いた炭素繊維複合材料に関する。
近年、炭素繊維を強化繊維として用いた複合材料は、軽く、高強度等の優れた機械的特性を有するので、航空機等の複合材料として多く用いられてきている。これらの複合材料は、例えば、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された中間製品であるプリプレグから、加熱・加圧といった成形・加工工程を経て成形される。従って、所望の複合材料を得るためには、それぞれに最適の材料あるいは成形・加工手段を採用する必要があり、強化繊維である炭素繊維にも色々な特性が要求される。
炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化において、高性能化を追求するためには、炭素繊維そのもの自体の強度や弾性率等の機械的物性の向上が必要不可欠である。高性能炭素繊維では、汎用炭素繊維に比べ、強度向上の面から炭素繊維の直径が細いのが一般的である。一方で、その他の特性である耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性等の特性については、マトリックス樹脂によるところが大きく、高性能化の面において樹脂面での物性向上も必要不可欠である。
近年、マトリックス樹脂開発において、コンポジットの靭性・耐衝撃性を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物に熱可塑性樹脂が添加される。しかし、熱可塑性樹脂は固体であるため、添加量が増えると、樹脂組成物の液状成分の割合が減り、粘度が増加して、樹脂の含浸性が低下するため、同時に強化繊維の樹脂含浸性の改善が必要である。例えば、特許文献1では、太デニールの繊維束に集束され、かつ、樹脂含浸性に優れた炭素繊維を提供するため、繊度25,000デニール以上の実質的に撚りのない繊維束に集束された炭素繊維であって、フックドロップ法における繊維交絡値CF値が10〜100(1/m)の範囲とすることが提案されている。しかし、25,000デニール以上という炭素繊維に限定されており、この繊度では炭素繊維物性の面から高性能化を図ることが難しく、不十分である。
また、特許文献2では、樹脂の含浸性が高く、複合材料としたときにノルリング強度等が高い炭素繊維ストランドを提供するため、水銀ポロシメーターを用い、炭素繊維ストランドのポア径が0.3〜50μmに相当する空隙容量を測定し、計算にて得られる値POが一定値以上の炭素繊維ストランドは、樹脂含浸性に優れ、複合材料とした場合に高い引張強度、特に高いノルリング強度を有することが提案されている。しかし、航空機用途等に求められる耐衝撃性の改善については不十分である。
特開平10−195718号公報 特開2003−306836号公報
炭素繊維複合材料の物性向上を目的に、樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、靱性などの特性を満たすため熱可塑性樹脂を添加した、高粘度の樹脂組成物が使用される。しかし、高粘度の樹脂組成物を使用すると、炭素繊維ストランド内部への樹脂の含浸性が低下し、その結果、得られる複合材料は、衝撃後圧縮強度等のコンポジット物性が低下する。本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、直径が5.5〜6.5μmの炭素繊維を用いると、高粘度の樹脂組成物を使用しても、樹脂含浸性を損なうことなく耐衝撃性に優れたプリプレグ及び炭素繊維複合材料が得られることを見出した。従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決したプリプレグ、複合材料を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の態様の一つは、熱可塑性樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグであって、炭素繊維が、直径5.5〜6.5μm、表面酸素濃度比O/Cが20%以上、ストランド引張弾性率290〜350GPa、ストランド引張強度5400MPa以上の炭素繊維であり、エポキシ樹脂組成物が温度75℃で、粘度15Pa・s以上の樹脂組成物であることを特徴とするプリプレグである。
そして、本発明の他の態様は、前記プリプレグを用いて得られた炭素繊維複合材料である。炭素繊維複合材料としては、衝撃後圧縮強度(CAI)が320MPa以上のものが好ましい。
本発明のプリプレグは、高粘度の樹脂組成物を使用しているにもかかわらず、炭素繊維ストランド内部への樹脂含浸性に優れるため、優れた衝撃後圧縮強度(CAI)を有する繊維強化複合材料が得られる。
本発明は、熱可塑性樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグ、および、それを用いた炭素繊維複合材料である。本発明で特徴的に用いられる炭素繊維は、直径5.5〜6.5μm、表面酸素濃度比O/Cが20%〜40%、好ましくは20〜25%の炭素繊維である。そして、複合材料として好適な物性を得るため、ストランド引張弾性率が290〜350GPa、好ましくは305〜330GPaであり、ストランド引張強度が5400MPa以上の炭素繊維である。
また、本発明で用いられるエポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物の靭性を向上させるため、熱可塑性樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物であり、且つ、温度75℃で、粘度15Pa・s以上のエポキシ樹脂組成物である。
炭素繊維の直径を5.5〜6.5μmにすることにより、炭素繊維の強度低下を抑制すると共に、炭素繊維間の最密充填時の空間が大きくなり、樹脂含浸性が向上する。炭素繊維の直径が5.5μm以下の場合、樹脂含浸性が低下しコンポジットにしたときにボイドができやすく、直径が6.5μm以上の場合、炭素繊維強度が低下し好ましくない。
炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cを20%〜40%とすることで、炭素繊維と樹脂の良好な接着性が得られる。従来、炭素繊維の直径が5.0μmの炭素繊維を用いる場合、O/Cとしては10〜20%が好適とされるが、本発明では、用いる炭素繊維の直径が5.5〜6.5μmと大きいため、繊維の表面積が低下する。そのため、従来と同程度のO/Cとした場合、樹脂との接着性に影響を与える繊維表面の官能基量が低下してしまい好ましくない。O/Cが20%に満たない場合、炭素繊維と樹脂層での接着性が悪くコンポジット物性が低下するため好ましくない。O/Cが40%を超えると、過剰な表面処理により炭素繊維強度が低下し、コンポジット物性も低下するため、好ましくない。
本発明のプリプレグ及び炭素繊維複合材料は、例えば、以下の方法により製造することができる。
<前駆体繊維>
本例の炭素繊維の製造方法に用いる前駆体繊維は、アクリロニトリルを90質量%以上、好ましくは95質量%以上含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造する、アクリル系前駆体繊維が好ましい。その他の単量体としてはイタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。紡糸後の原料繊維を、水洗、乾燥、延伸、オイリング処理することにより、前駆体繊維が得られる。このとき、トータル延伸倍率が5〜15倍になるようスチーム延伸する。
<耐炎化処理>
得られた前駆体繊維は、200〜260℃、延伸比0.90〜1.00で耐炎化前に予備熱処理され、引き続き加熱空気中200〜260℃で耐炎化処理される。この時の処理は、一般的に、延伸倍率0.85〜1.15の範囲で処理されるが、高強度・高弾性率の炭素繊維を得るためには、0.95以上がより好ましい。この耐炎化処理は、前駆体繊維を繊維密度1.34〜1.38g/cmの酸化された繊維とするものであり、耐炎化時の張力(延伸配分)は特に限定されるものでは無い。
<第一炭素化処理>
上記耐炎化繊維は、従来の公知の方法を採用して炭素化することができる。例えば、窒素雰囲気下300〜800℃で第一炭素化炉で徐々に温度を高めると共に、耐炎化繊維の張力を制御して緊張下で1段目の第一炭素化をする。
<第二炭素化処理>
より炭素化を進め且つグラファイト化(炭素の高結晶化)を進める為に、窒素等の不活性ガス雰囲気下800〜1600℃で第二炭素化炉で徐々に温度を高めると共に、第一炭素化繊維の張力を制御して焼成する。
なお、各炭素化炉において、炉の入り口付近からに急激な温度変化、例えば最高温度に急激に繊維を導入することは、表面欠陥、内部欠陥を多く発生させるため好ましくない。また、炉内の高温部で必要以上に滞留時間が長くなると、グラファイト化が進み過ぎ、脆性化した炭素繊維が得られることになるので好ましくない。上記第一炭素化処理〜第二炭素化工程は、張力をコントロールすると共に、必要に応じて、複数の炉で所定の物性となるように処理を行っても良い。
<表面酸化処理>
上記炭素繊維ストランドは、電解液中、処理電気量10〜250C/g、好ましくは20〜250C/gで表面酸化処理を施す。処理電気量が10C/g未満の場合は、後工程のサイジング処理後の炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cが小さくなり、炭素繊維とマトリックス樹脂間での接着性が低下し、衝撃後圧縮強度が低下する。処理電気量が250C/gを超える場合は、表面酸素濃度比O/Cが大きくなり過ぎるとともに、炭素繊維表面に欠陥が発生し、衝撃により試験片が損傷し好ましくない。電解液としては、硝酸、硫酸等の無機酸、硫酸アンモニウム等の無機酸塩などの水溶液を使用できるが、安全性や取扱性の面から硫酸アンモニウム水溶液がより好ましい。電解液の温度は20〜50℃が好ましい。電解液の濃度は0.5〜2.0Nが好ましく、0.7〜1.5Nがより好ましい。
<サイジング処理>
表面処理された炭素繊維ストランドは、サイジング液に通され、サイズ剤が付与される。サイジング液におけるサイズ剤の濃度は、10〜25質量%が好ましく、サイズ剤の付着量は、0.4〜1.7質量%が好ましい。炭素繊維ストランドに付与されるサイズ剤は、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂やその変性物が挙げられる。なお、複合材料のマトリックス樹脂に応じ、適したサイズ剤を適宜選択することができる。また、このサイズ剤は二種類以上を組み合わせて使用することも可能である。サイズ剤付与処理は、通常、乳化剤等を用いて得られる水系エマルジョン中に炭素繊維ストランドを浸漬するエマルジョン法が用いられる。また、炭素繊維の取扱性や、耐擦過性、耐毛羽性、含浸性を向上させるため、分散剤、界面活性剤等の補助成分をサイズ剤に添加しても良い。
<乾燥処理>
サイジング処理後の炭素繊維ストランドは、サイジング処理時の分散媒であった水等を蒸散させるため乾燥処理が施され、複合材料製造用炭素繊維ストランドが得られる。乾燥にはエアドライヤーを用いることが好ましい。乾燥温度は特に限定されるものではないが、汎用的な水系エマルジョンの場合は通常100〜180℃に設定される。また、本発明においては、乾燥工程の後、200℃以上の熱処理工程を経ることも可能である。
<ロール巻取り処理>
上記複合材料製造用炭素繊維ストランドは、ロール巻取り工程でロールに巻き取られ、炭素繊維ストランドロールが得られる。
<樹脂製造方法>
エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、エポキシ樹脂組成物製造時に適用される混練温度としては、10〜160℃の範囲が例示できる。160℃を超えるとエポキシ樹脂の熱劣化や、部分的な硬化反応が開始し、得られるエポキシ樹脂組成物並びにそれを用いたプリプレグの保存安定性が低下する場合がある。10℃より低いとエポキシ樹脂組成物の粘度が高く、実質的に混練が困難となる場合がある。好ましくは20〜130℃であり、更に好ましくは30〜110℃の範囲である。
エポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂を配合することにより、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐衝撃性を向上させることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)に代表される熱可塑性樹脂のほか、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンや、ナイロン6、ナイロン12、非晶性ナイロンなどのポリアミド、アラミド、アリレート、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。この中でも、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルフォン、ポリアミドイミドは耐熱性の観点からより好ましい例として挙げることができる。また、本発明の樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、ゴム成分も含まれる。ゴム成分の代表的な例示としては、カルボキシ末端スチレンブタジエンゴム、カルボキシ末端水素化アクリロニトリルブタジエンゴムに代表されるゴム成分が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても、任意の割合で二種以上を併用することもできる。該熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中に、均質かつ成形性を維持して添加されるために、粒子状であることが好ましい。
混練機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な例としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を供えた混合容器、横型混合槽などが挙げられる。各成分の混練は、大気中又は不活性ガス雰囲気下にて行うことができる。また、特に大気中で混練が行われる場合は、温度、湿度管理された雰囲気が好ましい。特に限定されるものではないが、例えば、30℃以下にて一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下といった低湿度雰囲気にて混練されるのが好ましい。各成分の混練は一段で行われても、逐次添加することにより多段的に行われても良い。また、逐次添加する場合は、任意の順序で添加することができる。
<樹脂フィルム製造方法>
樹脂組成物を樹脂シートにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。より具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどにより、離型紙、フィルムなどの支持体上に流延、キャストをすることにより得ることが出来る。フィルム化の際の樹脂温度としては、その樹脂組成・粘度に応じて適宜設定可能である。
<プリプレグ製造方法>
本発明のプリプレグは、特に限定されるものではなく、従来公知のいかなる方法を用いて製造することができ、エポキシ樹脂組成物を離型紙の上に薄いフィルム状に塗布し、剥離して得られた樹脂フィルムを、強化繊維シートに積層成形してエポキシ樹脂組成物を含浸させる、いわゆるホットメルト法や、エポキシ樹脂組成物を適当な溶媒を用いてワニス状にし、このワニスを強化繊維に含浸させる溶剤法が挙げられる。この中でも、特に本発明のプリプレグは、従来公知の製造方法であるホットメルト法により、好適に製造することができる。以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例に記載した条件により、炭素繊維強化複合材料製造用の炭素繊維を作製した。各炭素繊維の諸物性値を、以下の方法により測定した。
<炭素繊維の樹脂含浸ストランド強度、弾性率の測定方法>
JIS・R・7608に規定された方法により測定した。
<表面酸素濃度比O/C>
日本電子社製X線光電子分光器(ESCA
JPS−9000MX)を用いて測定を行った。炭素繊維ストランドを10−6Paに減圧した測定室に入れ、Mgを対極として電子線加速電圧10kV、10mAの条件で発生させたX線を照射した。酸素原子、炭素原子より発生する光電子のスペクトルからその面積比を算出し、表面酸素濃度比O/Cとした。
<粘度測定>
樹脂の粘度は動的粘弾性測定に基づき評価した。動的粘弾性測定は、周波数1Hz、歪0.1degの条件で実施した。エポキシ樹脂組成物の未硬化物の粘度は、動的粘弾性測定装置(レオメーターVAR−100:レオロジカ社製)を用い、パラレルプレートで、昇温速度2℃/minで単純昇温し、周波数1Hz、プレート間隔
1mmで測定を行った。
<衝撃後圧縮強度(CAI)試験>
耐衝撃性の指標として、衝撃後圧縮強度の評価を、EN6038に準拠し測定した。即ち、プリプレグをカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得、通常のオートクレーブ成形法を用い、圧力0.59MPaで、温度180℃で、時間120分間成形した。得られた成形物を0゜方向が
152.4mm、90゜方向が101.6mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用いて30.5kJ衝撃後の衝撃後圧縮強度(CAI)を室温下(25℃、50%RH)で測定した。
[実施例1]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥後、トタール延伸倍率が11.4倍になるようにスチーム延伸を行い、0.80デニールの繊度を有するフィラメント数24,000の前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維を200〜260℃、延伸比0.90〜1.00で耐炎化前に予備熱処理し、引き続き加熱空気中で延伸しながら、200〜250℃の温度範囲内で耐炎化処理を行った。
この耐炎化繊維を、第一炭素化炉の不活性雰囲気中300〜800℃の温度域を通過させて第一炭素化処理を施した。この第一炭素化処理繊維を、第二炭素化炉の不活性雰囲気中800〜2000℃の温度域を通過させて第二炭素化処理を施した。次いで、この第二炭素化処理繊維を、硫酸アンモニウム水溶液を電解液として用い、炭素繊維1g当り27クーロンの電気量で表面処理を施した。引き続き公知の方法で、サイジング剤を施し、乾燥して表1に示す物性の炭素繊維を得た。
<樹脂製造方法>
エポキシ樹脂組成物の各成分のうち、エポキシ樹脂として、ハンツマン社製のグリシジルアミン型エポキシ樹脂:アラルダイトMY0600を35重量部、ジャパンエポキシレジン社製のグリシジルアミン型エポキシ樹脂:Ep604を30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:Ep828を15重量部、アデカ社製のウレタン変性エポキシ樹脂:EPU−6を20重量部を、硬化剤として、和歌山精化工業製の芳香族アミン硬化剤:セイカキュア−S(4,4’−DDS)を38重量部、コート剤によりマイクロカプセル化されたDDS(mc−DDS、コート率は10重量%)を2重量部を、熱可塑性成分として、住友化学工業社製のポリエーテルスルホン:PES5003P(平均粒子径10μm)を 35重量部、エムスケミージャパン社製のグリルアミド:TR−55 20重量部を用いた。
エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂の一部又は全量をニーダー中で加熱・溶解させた。その後、得られた樹脂混合物をロールミルに移し、硬化剤と熱可塑性樹脂をロールミル上で良く混練し、樹脂組成物をそれぞれ得た。得られたエポキシ樹脂組成物の75℃の粘度は20Pa・sであった。上述の炭素繊維を樹脂シート2枚で挟み込み、温度100℃、圧力0.3MPaで加熱、含浸させ、炭素繊維目付190g/m、樹脂含有率35重量%の一方向プリプレグを得た。
得られたプリプレグの衝撃後圧縮強度(CAI)をEN6038に準拠し測定した。即ち、プリプレグをカット、積層し、積層構成(+45/0/−45/90)3Sの積層体を得、通常のオートクレーブ成形法を用い、圧力0.59MPaで、温度180℃で、時間120分間成形した。得られた成形物を0゜方向が
152.4mm、90゜方向が101.6mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用いて30.5kJ衝撃後の衝撃後圧縮強度(CAI)を室温下(25℃、50%RH)で測定した。この衝撃後圧縮強度は、4個の試料について測定し、その平均衝撃後圧縮強度を求めた。この結果を炭素繊維の物性と共に表1に示した。
[実施例2]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥後、トタール延伸倍率が6.0倍になるようにスチーム延伸を行い得た、0.95デニールの繊度を有するフィラメント数24,000の前駆体繊維を用い、炭素繊維1g当り27クーロンの電気量で表面処理を施した以外は実施例1と同様の方法で直径5.1μmの表1に示す強度、弾性率、伸度の炭素繊維を得た。この炭素繊維を用い、実施例1と同様の方法でプリプレグ、炭素繊維複合材料を作成した。各種の物性は表1に示した。
[比較例1]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥後、トタール延伸倍率が14.0倍になるようにスチーム延伸を行い得た、0.65デニールの繊度を有するフィラメント数24,000の前駆体繊維を用い、炭素繊維1g当り27クーロンの電気量で表面処理を施した以外は実施例1と同様の方法で直径5.1μmの表1に示す強度、弾性率、伸度の炭素繊維を得た。この炭素繊維を用い、実施例1と同様の方法でプリプレグ、炭素繊維複合材料を作成した。各種の物性は表1に示した。
[比較例2]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥後、トタール延伸倍率が8.6倍になるようにスチーム延伸を行い得た、1.10デニールの繊度を有するフィラメント数24,000の前駆体繊維を用い、炭素繊維1g当り27クーロンの電気量で表面処理を施した以外は実施例1と同様の方法で直径7.0μmの表1に示す強度、弾性率、伸度の炭素繊維を得た。この炭素繊維を用い、実施例1と同様の方法でプリプレグ、炭素繊維複合材料を作成した。各種の物性は表1に示した。
[比較例3]
炭素繊維1g当り17クーロンの電気量で表面処理を施した以外は、実施例1と同様の方法で直径5.1μmの表1に示す強度、弾性率、伸度の炭素繊維を得た。この炭素繊維を用い、実施例1と同様の方法でプリプレグ、炭素繊維複合材料を作成した。各種の物性は表1に示した。
[比較例4]
炭素繊維1g当り17クーロンの電気量で表面処理を施した以外は、比較例1と同様の方法で直径5.1μmの表1に示す強度、弾性率、伸度の炭素繊維を得た。この炭素繊維を用い、実施例1と同様の方法でプリプレグ、炭素繊維複合材料を作成した。各種の物性は表1に示した。
実施例1および2で得られたプリプレグは、CAIが320MPaとコンポジット物性に優れたものであった。一方、比較例1と4で得られたプリプレグは、用いた炭素繊維の直径が小さかったため、高粘度の樹脂が十分に含浸せず、十分なコンポジット物性は得られなかった。比較例2で用いたプリプレグは、炭素繊維の直径が大きすぎたため、十分な炭素繊維強度が得られず、その結果、得られた複合材料のコンポジット物性も優れなかった。また、比較例3で用いたプリプレグは、用いた炭素繊維のO/Cが低かったため、繊維と樹脂の接着性が悪く、コンポジット物性も低いものであった。
Figure 2011219514

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグであって、炭素繊維が、直径5.5〜6.5μm、表面酸素濃度比O/Cが20%以上、ストランド引張弾性率290〜350GPa、ストランド引張強度5400MPa以上の炭素繊維であり、エポキシ樹脂組成物が温度75℃で、粘度15Pa・s以上の樹脂組成物であることを特徴とするプリプレグ。
  2. 請求項1に記載のプリプレグを用いた炭素繊維複合材料。
  3. 衝撃後圧縮強度(CAI)が320MPa以上である、請求項2に記載の炭素繊維複合材料。

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JP2019116633A (ja) * 2014-08-01 2019-07-18 日本化薬株式会社 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料

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