JP2011218956A - 自動車の安全装置を小型化する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本方法において、ばね3は、ばね質量系が加速域に曝されるときにスプリング力を供給し、加速域の加速度は、前記スプリング力に抗って、移動時間関数に従って基準体1を移動させる。本方法では、質量を有する基準体1を、加速域に応答しないように互いに運動学的に連結された追加質量に連結させることにより、前記縮小を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、シートベルトに関するものであり、特に正面衝突におけるシートベルトの挙動に関する。正面衝突が起こったとき、乗員は乗員室内で前方へ投げ出され、ハンドル、ダッシュボード、又は車両内部のその他の硬い部品に衝突することが多い。このように乗員の身体が前方へ移動する原因は、正面衝突に特徴的な、車両の急激な減速である。
シートベルトシステムの主な目的は、乗員の前記前方への移動を防止することである。更に、衝突の初期段階では、多くのシートベルトシステムが、いわゆる火薬式ベルトプリテンショナーを起動することによりシートベルトの乗員拘束力を増大させる。
事故の間にこのようなベルトの引出しを行う最新の方法が特許文献1に記載されており、この場合、ベルトの引出しは、車両の限速度にのみ依存して行われる(第1にベルトの力に依存してベルトの引出しが行われる大多数のシートベルトとは対照的である)。この方法の利点は、シートベルトの保護効果が乗員の体重(正確には乗員の質量)に依存しないことに基づいている。
本明細書で使用する「ばね」という用語は、力の移動特性の種類(漸増、漸減、一定)を全て有するばねを包含する。また、加速及び減速という用語は、代数符号の如何に関わらず、本明細書では同じ物理的変量を意味するものとする。
変速装置を使用することにより、基準体の移動距離と実際のベルトの引出し距離との比を変化させて、シートベルトの形状寸法を補償可能であることが既知である(一般的なシートベルトの形状寸法が、ベルトの引出しと乗員の胸郭とを自動的に1:1に転換するものではなく、その比が典型的には約1:1.5であるという事実による)。しかしながら、変速装置は、基準体の移動時間関数とベルト引出しの移動時間関数との一定比を補償するだけである。したがって、基準体の移動時間関数の結果として得られるベルト引出しの移動時間関数は、一定の速度伝達比以外は、基準体の移動時間関数と同じ特性を示す。
しかしながら、元の移動時間関数とは一定倍率だけを異にする所与の車両の減速度について、基準体の移動時間関数を達成することは容易でない。即ち、所与の車両減速度a(t)(tは時間)について、基準体の移動距離が関数s(t)となる場合、新規移動距離snew(t)(ここで、X・snew(t)=s(t)であり、Xは一定倍率である)を達成するための方法が必要である。
本発明の第2の課題は、ばね質量系に基準体を用いることにより、車両用乗員拘束システムにおいて、特定の移動時間関数でのベルト引出しを実現し、基準体の移動空間の縮小を可能にする方法を提供することである。
本発明の第4の課題は、ばねと可動な基準体とを用いるばね質量系を備えた乗員拘束システムであって、基準体の移動空間を縮小することが可能な乗員拘束システムを提供することである。
−事故の際に、ベルト引出しの特定の移動時間関数に従ってベルトが引き出されるシートベルト、
−規定のスプリング力を供給するばねと、質量mtの基準体とを有するばね質量装置であって、基準体が、加速域において前記スプリング力に抗して移動することができ、それにより基準体の移動時間関数が決定されるばね質量装置、及び
−シートベルトのベルト引出しを阻止及び解放するための阻止及び解放装置
を備える。
本ばね質量系は、阻止及び解放装置に連結されることにより、基準体の移動時間関数に基づいて、乗員拘束システムの阻止及び解放装置によるベルト引出しの移動時間関数を機械的に規定する。
ばね質量装置と阻止及び解放装置との間には、変速装置を配置することができる。この変速装置は、基準質量の移動時間関数により得られるベルト引出しの移動時間関数を、少なくとも(mt+mr)/mt倍だけ、好ましくは少なくとも1.5・(mt+mr)/mt倍だけ、増大させることができる。
X=(mt+mr)/mt
上述のように、式中、
mtは基準質量の質量を表わし、
mrはフライホイールの有効回転質量(追加質量)を表わし、
Xは一定の倍率を表わす。
フライホイール(4a及び4b)の軸は、本実施形態では固定であるが、別の実施形態では自由に回転してもよい。
基準体の運動は、本発明に従って基準体に回転質量を加えることにより縮小される。更に、変速装置を用いてベルトの引出し量を変更することにより、システムの挙動を維持することができる。このとき、速度伝達比は、基準体質量と回転質量との比に依存する。
本発明は、互いに運動学的に連結されて、(合計で)「回転質量」として車両の速度変化に応答しない全ての可動質量に関するが、好ましくは、これらの質量は、所定の軸を中心に回転する質量(回転慣性を有する)によって実現することができる。
一般に、速度伝達比を増大させることが必要な場合に使用する倍率Xは、次のように選択しなければならない。即ち、mtが基準体の(並進)質量であり、mrが追加質量の回転質量である場合、回転質量mrがゼロである場合と同じベルトの引出しを達成するために、倍率Xは、
X=(mt+mr)/mt
となるように選択しなければならない。このように、基準体の運動の任意の縮小は、追加質量の回転質量mrを適切に選択することにより達成することができる。
記載した本方法は、力場における物体のあらゆる運動を縮小するために使用することができる。
Claims (22)
- ばねを有するばね質量系において、質量mtを有する基準体の移動時間関数を縮小する方法であって、前記ばねは、前記ばね質量系が加速域に曝されるときにスプリング力を供給し、加速域の加速度が前記スプリング力に抗って基準体を移動させ、前記移動時間関数が決定されるものであり、質量mtを有する基準体を、加速域に応答しないように互いに運動学的に連結された追加質量mrに連結させることにより、前記縮小を行うことを特徴とする方法。
- 前記追加質量mrが、回転慣性を有する回転質量であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記基準体の質量mtが追加質量mrより小さいことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 歯車又はフライホイールを使用して追加質量mrを供給することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
- 基準体がフライホイールに作用する半径がフライホイールの半径よりも小さいことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 基準体と、フライホイール又は歯車との間に変速装置を用いることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
- 変速装置が2を上回る速度伝達比を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 車両を加速域に曝す事故の間に車両用乗員拘束システムにおいて特定の移動時間関数でベルトを引き出す方法であって、前記車両用乗員拘束システムが、シートベルトと、質量mtの基準体を有するばね質量系であって、基準体が、加速域に曝され、且つ加速域の加速度によってスプリング力に抗して移動することができるばね質量系と、シートベルトの引出しの阻止及び解放を行う阻止及び解放装置とを備えており、スプリング力に抗して移動するときの基準体の移動時間関数が、乗員拘束システムの阻止及び解放装置によるベルト引出しの移動時間関数を機械的に決定するもので、特定の移動時間関数でのベルト引出しを決定するとき、基準体の移動時間関数を請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法に従って縮小することを特徴とする方法。
- 基準体の運動と実際のベルト引出しとの間に変速装置を使用することを特徴とする、請求項8に記載の方法
- 変速装置により、基準質量の移動時間関数の結果として得られるベルト引出しの移動時間関数を、少なくとも(mt+mr)/mt倍だけ増大させることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- 規定のスプリング力を有するばねと、加速域において前記スプリング力に抗して移動することができる質量mtの基準体とを備えたばね質量装置であって、加速域に応答しないように互いに運動学的に連結され、且つ質量mtの基準体に連結される追加質量mrを特徴とする、ばね質量装置。
- 追加質量mrが、回転慣性を有する回転質量であることを特徴とする、請求項11に記載のばね質量系。
- 基準体の質量mtが追加質量mrより小さいことを特徴とする、請求項12に記載のばね質量系。
- 追加質量mr.が歯車又はフライホイールの形態で供給されることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか一項に記載のばね質量装置。
- フライホイールが、フライホイールの周囲に巻かれて基準質量に接続されたバンド、ベルト、又はチェーンによって基準質量に連結されることを特徴とする、請求項14に記載のばね質量装置。
- 前記バンド、ベルト、又はチェーンが基準質量の両側に接続されることを特徴とする、請求項15に記載のばね質量装置。
- 基準体がフライホイールに連結される半径が、フライホイールの半径より小さいことを特徴とする、請求項14ないし16のいずれか一項に記載のばね質量装置。
- 基準体とフライホイール又は歯車との間に配置された変速装置を特徴とする、請求項14ないし16のいずれか一項に記載のばね質量装置。
- 変速装置が2を上回る速度伝達比を有することを特徴とする、請求項18に記載のばね質量装置。
- 車両用の乗員拘束システムであって、
−事故の際、ベルト引出しの特定の移動時間関数に従ってベルトを引き出すシートベルト、
−規定のスプリング力を供給するばねと、加速度域においてスプリング力に抗して移動可能な質量mtの基準体とを有するばね質量装置であって、基準体の移動時間関数を決定するばね質量装置、及び
−シートベルトのベルト引出しの阻止及び解放を行う阻止及び解放装置
を備え、前記ばね質量系が前記阻止及び解放装置に連結されて、基準体の移動時間関数に従って乗員拘束システムの阻止及び解放装置によるベルト引出しの移動時間関数を機械的に決定するものであり、
前記ばね質量装置が、請求項11ないし19のいずれか一項に従って設計されていることを特徴とする、車両用乗員拘束システム。 - 前記ばね質量装置と実際のベルト引出しとの間に配置された変速装置を特徴とする、請求項20に記載の車両用乗員拘束システム。
- 前記変速装置が、基準質量の移動時間関数の結果として得られるベルト引出しの移動時間関数を、少なくとも(mt+mr)/mt倍だけ増大させる、請求項21に記載の車両用乗員拘束システム。
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