JP2011217499A - リニアモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】リニアモータのコギング推力を低減しかつ推力を向上させる。
【解決手段】移動子と固定子とを有したリニアモータである。移動子は、少なくとも3個の永久磁石が固定子に対峙して複数の電機子の配列方向に並んでいる。これらの永久磁石は、そのうちの隣り合う2つの永久磁石同士の間では同じ極同士が所定の磁力反発間隔を有して対向するようバックヨークに保持されている。これらの永久磁石のうちの中央に位置する永久磁石を、その並び方向において等分割することにより2つの分割磁石とし、これら2つの分割磁石の間に所定の磁力間隙を備えている。
【選択図】図1

Description

この発明はリニアモータ、詳しくはムービングマグネット型リニアモータであってそのコギング推力を低減しかつその推力を向上させ、例えば半導体製造設備用リニアモータ、大トルクリニアモータカー等に適用することができるリニアモータに関する。
従来より、この種のムービングマグネット型(MM型)のリニアモータとしては、特許文献1に示すものが知られている。すなわち、MM型リニアモータは、直線的に移動する移動子と、この移動子を移動させる移動用磁界を発生する複数の電機子が直線状に配列された固定子と、を有している。
この移動子は、バックヨークと、これに互いに間隙を有して保持されて直列に並ぶ複数の永久磁石とを有している。これらの永久磁石は、その磁化方向が上記電機子の配列方向と直交し、かつ、そのうちの隣り合う2つの永久磁石同士の磁化方向が逆となるように(永久磁石の電機子列と対向する面の磁極がSNSN・・となるように)バックヨークに保持されている。
そして、この移動子の両端の永久磁石と、これに隣接する他の永久磁石との間に、磁化方向が上記電機子の配列方向と同一である補極用永久磁石が配置されている。
これらの補極用永久磁石により、移動子が走行する際の走行方向の端部にあって磁束量の減少を補強し推力リップルの低減を行おうとしている。
特開2005−245066号公報
しかしながら、特許文献1に示すリニアモータの場合、補極用磁石によって高い磁束密度が得られ、高出力(高推力)となる半面、いまだにコギング推力が充分に大きいため、リニアモータを安定して制御することが極めて困難であった。また、補極用磁石の装着により移動子の端部構造が複雑となり、その製造が煩雑でコスト高を招来していた。
そこで、発明者は、リニアモータの移動子に固定されている永久磁石の配列方向に着目した。この発明は、この永久磁石の配列の改良および移動子の構成の簡素化によって、コギング推力を低減し、かつ、高出力のリニアモータを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、複数の電機子が直線状に配設されて移動用磁界を発生させる固定子と、少なくとも3個の永久磁石が上記固定子に対峙して上記電機子の配設方向に並び、そのうちの隣り合う2つの永久磁石同士の間では同じ極同士が所定の磁力反発間隔を有して対向するようバックヨークに保持され、上記移動用磁界により電機子の配設方向に移動可能な移動子と、を備えたリニアモータであって、上記3つの永久磁石のうちの中央に位置する永久磁石を、その並び方向において等分割することにより2つの分割磁石とし、これら2つの分割磁石の間に所定の磁力間隙を備えたリニアモータである。
このリニアモータは固定子と移動子(可動子)とを備えており、その固定子は、複数の電機子が例えば等ピッチで直線状に配設されて構成されている。これらの電機子は、鉄心にコイルを巻回することにより構成され、各コイルへの通電制御により移動用磁界、すなわち、移動子を移動させるための磁界を発生させる。
上記移動子は、少なくとも3個の永久磁石(各永久磁石は同質同形の棒磁石)が複数の電機子の配設方向に沿って並ぶようにそれぞれ所定の磁力反発間隔を有してバックヨークに保持されている。すなわち、これらの永久磁石のうちの隣り合う2つの永久磁石同士の間では同じ極同士が所定の磁力反発間隔を有して対向している。換言すると、各永久磁石においてはその磁化方向が上記電機子の配設方向と平行とされている。また、各永久磁石はバックヨークに支持されて上記固定子に対して所定の間隙を有して対峙している。
これらの磁力反発間隔は、隣り合う2つの永久磁石の間にそれぞれ設けられており、両永久磁石の対向する磁極が同一の極性を有するよう、例えばS極−S極またはN極−N極となるようバックヨークに固定・保持されている。複数の磁力反発間隔にあってはそれらの間隔はほぼ同一とされる。
そして、これら3つの永久磁石のうちの中央に位置する永久磁石は、その並び方向(上記配設方向と同一方向)において物理的に2つに等分割され、この結果、空間を介して2つの分割磁石が形成される(永久磁石が同一断面の棒磁石の場合、分割磁石同士はその長さが同一とする)。分割磁石同士はその磁化方向は同一となり、一方がS−N方向に磁化されておれば、空間を介して他方もS−N方向に磁化されている。この空間を、これら2つの分割磁石間に形成された磁力間隙とする。つまり、分割されることによって形成された分割端の磁極同士は異なる極となる。
この磁力間隙は、2つの分割磁石の間に設けられ、バックヨークに保持された両分割磁石同士が互いに吸引するようにこれらの間に磁界が形成される。なお、移動子が5つの永久磁石を有する場合は、その一端から数えて2番目と4番目の永久磁石を分割磁石で構成することができる。
請求項1に記載の発明によれば、固定子においては複数の電機子に対して通電・励磁することにより移動用磁界を発生させる。この移動用磁界によって移動子は電機子の配設方向に沿って所定速度にて走行(直線的に移動)することとなる。
ここで、上記移動子にあってバックヨークに保持された3つの永久磁石のうちの中央位置の永久磁石について磁力間隙を介してその長さ方向にて2つのブロックに2等分してある。このため、この移動子の長さ方向での中央位置からその一端までにおける永久磁石によるブロックが、これに対峙する電機子との間に生じるコギング推力と、この移動子の中央位置から他端までにおける永久磁石によるブロックおよびこれに対峙する電機子の間に生じるコギング推力との差(位相差)によりこれらコギング推力同士が相殺されるように作用する。この結果、このリニアモータにあっては移動子全体としてこれに作用するコギング推力を小さくすることができる。
上記バックヨークは、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライトなどの磁性体で形成されている。また、バックヨークを2分割してその間に磁性体であるセンタヨークを配することもできる。
上記永久磁石は、ネオジム磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石などを利用することができる。この場合の永久磁石については2分割されたブロックのそれぞれが生じさせる磁界が同一であることが必要とされる。
請求項2に記載の発明は、上記移動子においてその永久磁石の並び方向の両端に、これら永久磁石により生じた磁束がこの両端から漏れることを防止するための一対の磁性体のエンドヨークをそれぞれ設けた請求項1に記載のリニアモータである。
このリニアモータの移動子の両端には一対のエンドヨークがそれぞれ取り付けられている。一対のエンドヨークは同質同形であってバックヨークの長さ方向(永久磁石の並び方向)の両端に固着されている。一対のエンドヨークは永久磁石のコイル対峙面に向かって所定長さだけ(例えば、上記永久磁石の厚さと同じ長さだけ)突出している。
このエンドヨークは酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライトなどの磁性体で形成されている。このエンドヨークは、磁性体で形成されることにより、移動子の両端における磁束の漏れを防止することとなる。
請求項2に記載の発明によれば、移動子の両端における磁束漏れを防止することによって、両端に位置する永久磁石と、電機子のコイルとの間に形成される磁界での磁束密度を高めることができる。リニアモータの推力は、移動子に設けられている全ての永久磁石と、これらの永久磁石の直下における電機子コイルとの間に生じる磁場の磁束密度により決定される。この漏れ磁束の低減により、このリニアモータにあってはその推力を大きくすることができる。つまり、このリニアモータは高い出力を得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、移動子における永久磁石構成体をその長さ方向において2等分し一端側部と他端側部とに分割した場合、これらの間の磁力間隙を調整することにより、この移動子の一端側部における永久磁石と各電機子コイルとの間に生じるコギング推力と、他端側部における永久磁石により生じるコギング推力と、の差を0に近づけることができる。つまり、リニアモータの移動子の一端側で生じるコギング推力は、他端側で生じるコギング推力によって相殺可能とされる。このリニアモータにあってはそのコギング推力を小さくすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、移動子の両端における磁束漏れを防止することによって、両端の永久磁石と電機子コイルとの間の磁束密度を高めることができる。リニアモータの推力は、永久磁石とその直下におけるコイルとの間の磁束密度により決定されるため、リニアモータの推力を大きくすることができる(高出力を得ることができる)。また、磁性体のエンドヨークを両端に配置するだけでよく、その製造を簡単に行うこともできる。
この発明の一実施例に係るリニアモータの概略構成を示すその斜視図である。 この発明の一実施例に係るリニアモータの移動子の概略構成を示すその斜視図である。 この発明の一実施例に係るリニアモータの移動子を示す正面図である。 この発明の一実施例に係るリニアモータを示す正面図である。 この発明の一実施例に係るリニアモータにおいてその磁力間隙Tを永久磁石の磁極間隔τ1で除したときの値とそのコギング推力低減率との関係を示すグラフである。 この発明の一実施例に係るリニアモータにおいてエンドヨークの厚みWをバックヨークの厚みAで除した値とリニアモータの推力増加率との関係を示すグラフである。
以下、この発明に係るリニアモータの一実施例について図1〜図6を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、この発明の一実施例に係るリニアモータ100は、帯板状の固定子ベース11及び複数の電機子12を有する固定子10と、この固定子10の延びる方向に移動する移動子20とを含んで構成されている。
上記固定子10は、所定幅で一直線に延びる磁性体板で形成された固定子ベース11と、この固定子ベース11にその延びる方向に沿って等間隔で並んで配設された複数の電機子12と、を有する。
図4に示すように、この固定子ベース11には磁性体であるコイルヨーク12aが複数本、等間隔にかつ固定子ベース11の延びる方向に沿って並んで設けられている。これにより、この固定子ベース11とこれらのコイルヨーク12aとは一体に形成されている。そして、これらのコイルヨーク12aには電機子巻線12bがコイル状にそれぞれ巻回されている。電機子12は、コイルヨーク12aと電機子巻線12bとにより構成される。つまり、固定子ベース11上に複数の電機子12が等間隔に配設されているのである。
これらの電機子12は、電機子巻線12bに三相交流を流すことにより後述する移動子20を移動させる移動用磁界を発生させる電磁石である。これらの電機子12は、電流の大きさ、電流の向きが同じであれば、同じ磁化方向、同じ磁力の磁界を発生させる。
これらの電機子12が発生する磁界の磁化方向がこの固定子ベース11の延びる方向と垂直になるように、これらの電機子12は配設されている。これらの電機子12に三相交流を流したとき、隣り合うコイルヨーク12aの上面は、互いに異なる極性になるようように、上記電機子巻線12bに流れる電流を制御する。つまり、コイルヨーク12aの上面の磁極は、固定子ベース11の延びる方向に沿ってNSNS…となるように、電機子巻線12bに流れる電流を制御する。
図2にはこの発明の一実施例に係るリニアモータ100の移動子20の斜視図が示されている。この移動子20では、平面視して矩形の2個のバックヨーク21a,21bがセンターヨーク26をその間に挟んで設けられている。
上記バックヨーク21a,21bは、平面視して矩形の平板であり、磁性体にて形成されている。これらのバックヨーク21a,21bは、同一厚さ、同一形状である。
上記センタヨーク26はバックヨークと同じく磁性体にて形成され、このセンタヨーク26の直下には磁力間隙と称呼する間隙が形成される。このセンターヨーク26は、平面視して矩形のブロックである。このセンターヨーク26を側面視したときに示されるその厚さは、上記バックヨーク21a,21bの厚さと同一である。
上記バックヨークのうちの一方のバックヨーク21aには、第1の永久磁石22a,22bが2個、その端部を突き合わせて固着されている。すなわち、これらの第1の永久磁石22a,22bは互いに密着している。これらの第1の永久磁石22a,22bの磁化方向(図2矢印参照)が上記固定子10の延びる方向に対して垂直になるように、これらの第1の永久磁石22a,22bはバックヨーク21aに固着されている。また、隣り合う第1の永久磁石22a,22bの磁化方向が異なる(逆となる)ようにバックヨーク21aに固着されている。
これらの第1の永久磁石22a,22bは、同一材質、同一長さ、同一幅、同一厚みを有する棒磁石で構成されている。そして、平面視したときのバックヨーク21aをその長さ方向において2等分した形状と、これらの第1の永久磁石22a,22bの平面形状とは同一である。
他方のバックヨーク21bにも、同様にして第1の永久磁石22c,22dが2個固着されている。これらの第1の永久磁石22c,22dは、上記第1の永久磁石22a,22bと同一材質、同一長さ、同一幅、同一厚みを有する棒磁石で構成されている。そして、第1の永久磁石22b、22cは、その磁化方向が逆である。前者が下面にS極が配設される場合は、所定間隙を有して隣り合う後者の下面はN極となる。
上記第1の永久磁石22a,22b,22c,22dの下面には、5個の第2の永久磁石23a,23b,23c,23d,23eが固着されている。
これらの第2の永久磁石の磁化方向(図2矢印参照)は全て、上記固定子10の延びる方向と同一方向となるように固着されている。
上記バックヨーク21aの長さ方向の一端から数えて1番目の第2の永久磁石23aは、第1の永久磁石22aにその一端同士を合わせて固着されている。この1番目の第2の永久磁石23aの形状は、平面視して矩形である。
上記バックヨーク21aの長さ方向の一端から数えて2番目の第2の永久磁石23bは、1番目の第2の永久磁石23aの隣りに所定長さだけ離間して固着されている。これにより、1番目の第2の永久磁石23aと2番目の第2の永久磁石23bとの間に第1の磁力反発間隔が形成される。この2番目の第2の永久磁石23bは、1番目の永久磁石23aの2個分の大きさ(長さ)を有している。
一方のバックヨーク21aの長さ方向の一端から数えて3番目の第2の永久磁石23cは、その長さ方向において2等分割されて、2個の分割磁石24a,24bにより構成される。この3番目の第2の永久磁石23cの形状は、上記2番目の第2の磁石23bの形状と同じである。長さ、幅、厚み、材質が同一である。よって、これら2つの分割磁石24a,24bはそれぞれ第2の永久磁石23cの半分の長さを有することとなる。
これらの分割磁石のうちの一方(長さ方向にて一端側の分割磁石)24aは、2番目の第2の永久磁石23bの隣りに所定長さだけ離間して固着されている。これにより、一方の分割磁石24aと2番目の永久磁石23bとの間に第2の磁力反発間隔が形成される。そして、第2の磁力反発間隔の離間幅は、第1の磁力反発間隔の離間幅と同じである。一方の分割磁石24aは、上記第1の永久磁石22bにその他端同士を合わせてこれらが垂直平面を構成するように固着されている。
上記1番目の第2の永久磁石23aと上記2番目の第2の永久磁石23bとの磁化方向は互いに異なる。つまり、1番目の第2の永久磁石23aと2番目の第2の永久磁石23bとはその突き合わせ端部での極性が同じであり互いに反発している。
上記2番目の第2の永久磁石23bと上記一方の分割磁石24aとの磁化方向も互いに異なる。つまり、2番目の第2の永久磁石23bと一方の分割磁石24aとの間にはその突き合わせた対向端部にあって互いに反発する力が働いている。
これらの分割磁石うちの他方24bは、センターヨーク26の幅(電機子配設方向の長さ)だけ分割磁石24aから離間した状態で第1の永久磁石22cの下面に固着されている。これにより2個の分割磁石24a,24bの間にセンターヨーク26の幅と同一幅の磁力間隙が形成される。これらの分割磁石24a,24bの磁化方向は、同じである。つまり、これらの分割磁石24a,24bの対向端同士には互いに引き寄せ合う力が働いている。
上記バックヨーク21aの一端から数えて4番目の第2の永久磁石23dは、バックヨーク21bの下面に固着された第1の永久磁石22c,22dの下面に固着されている。また、4番目の第2の永久磁石23dは他方の分割磁石24bの隣りに所定長さだけ離間して固着されている。これにより、4番目の第2の永久磁石23dと他方の分割磁石24bとの間に第3の磁力反発間隔が形成される。この4番目の第2の永久磁石23dは、2番目の永久磁石23bと同一形状、同一材質である。第3の磁力反発間隔の間隔長さは、第1の磁力反発間隔の間隔長さと同じである。
上記バックヨーク21aの一端から数えて5番目の第2の永久磁石23eは、4番目の第2の永久磁石23dの隣りに所定長さだけ離間して第1の永久磁石22dの下面に固着されている。これにより、4番目の第2の永久磁石23dと5番目の第2の永久磁石23eとの間に第4の磁力反発間隔が形成される。この5番目の第2の永久磁石23eは、第1の永久磁石22dに端を合わせて固着されている。この5番目の第2の永久磁石23eは、1番目の永久磁石23aと同一材質・同一形状である。第4の磁力反発間隔の幅は、第1の磁力反発間隔のそれと同じである。
上記他方の分割磁石24bと上記4番目の第2の永久磁石23dとの磁化方向は互いに異なる。つまり、他方の分割磁石24bと4番目の第2の永久磁石23dとはその対向端同士で互いに反発している(N極とN極とが対峙している)。
上記4番目の第2の永久磁石23dと上記5番目の第2の永久磁石23eとの磁化方向も互いに異なる。つまり4番目の第2の永久磁石23dと5番目の第2の永久磁石23eとは対向端で互いに反発している(S−S)。
上述の構成により形成された移動子主要部の側面は平坦面に構成されている。この側面の形状と同一形状を有する一対のエンドヨーク25a,25bがこれら両側面にそれぞれ取り付けられている。
これらのエンドヨーク25a,25bは、磁性体にて形成されたブロックであり、エンドヨーク25a,25bの形状は同じで、同一の長さ、幅および厚みを有している。以上により移動子20が構成されている。
このように構成された移動子20は、その一端から、半分の長さの位置までにおける磁力反発間隔の並びと、移動子20の半分の長さ位置から他端までにおける磁力反発間隔の並びと、を対比すると、それらの磁力反発間隔における磁界の極性の並びは同じである。つまり、磁力反発間隙を構成する各磁極は移動子20の一端側から他端側に向かって順にN−N,S−S,N−N,S−Sとなっている。
この所定幅の磁力間隙により、移動子20の長さ方向でその中間点からその一端までの範囲における第2の永久磁石23a,23b,24aによるブロックと、上記電機子12との間に生じるコギング推力、および、移動子20の長さ方向の中間点から他端までの範囲における第2の永久磁石24b,23d,23eによるブロックと、上記電機子12との間に生じるコギング推力同士が相殺される構成である。このため、リニアモータ全体としてこれに作用するコギング推力を低減することができる。
第2の永久磁石の上部には第1の永久磁石が設けられ、隣り合う第2の永久磁石と第1の永久磁石とによって取り囲むように磁力反発間隙が形成される。このとき、隣り合う第2の永久磁石及び第1の永久磁石は互いに反発し合うように第1の永久磁石と第2の永久磁石が配設されている。これにより、磁力反発間隙における磁束の磁束密度は非常に高くなる。このため、リニアモータ100の推力を高くすることができる。
また、上記構成の移動子20の両端に磁性体ブロックからなるエンドヨーク25a,25bをそれぞれ設けることにより、第1の永久磁石と第2の永久磁石との周囲を取り囲むように磁性体で覆う構造とした。ただし、第2の永久磁石の下面は固定子10に対して対峙して露出している。
このため、第2の永久磁石と各電機子12との間にて発生する磁場での磁束が、この移動子20の外部に漏れることを防止することができる。これにより、第2の永久磁石と各電機子12との間にて生ずる磁束の磁束密度が高まり、リニアモータ100全体としての推力を高めることができる。
この発明に係るリニアモータ100の推力特性を調べた。以下説明する。
図3に示すように、第1の磁力反発間隔の中間点から、第2の磁力反発間隔のそれまでの長さをτ1とする。そして、センターヨーク26の同一方向(第2磁石の磁化方向)での長さ(つまり、磁力間隙の幅)をTとする。このとき、τ1を100としたときのTの値と、コギング推力低減率との関係を図5に示す。なお、Tの値は、第2の永久磁石の長さを固定値とし、センターヨーク26の長さ(幅)を変化させることによって変動させた。
このコギング推力低減率はTが0のとき、すなわち、バックヨーク間にセンターヨークを有しないときのコギング推力を基準としたコギング推力の低減割合をいう。
図5の結果より、Tがτ1の5%〜35%の範囲で有れば、コギング推力はかなり低減されることが分かる。特に、Tがτ1の15%〜25%の範囲において、コギング推力は著しく(50%以上)低減していることが分かる。
この結果から、従来では設けられていなかったセンターヨーク26を移動子20のバックヨークに取り付け、磁力間隙を形成することにより、第2の永久磁石群を2つのブロックに分割することでそのコギング推力が著しく低減できることが判明した。
次に、図3に示すように、上記移動子20のバックヨーク21a,21bの厚さをAとする。そして、上記移動子20の長さ方向におけるエンドヨーク25a,25bの長さ(幅)をWとする。このとき、バックヨーク厚さAを100としたときのエンドヨーク幅Wの値と、推力増加率との関係を図6に示す。なお、Wの値は、バックヨークの厚さを固定値とし、上記移動子の長さ方向におけるエンドヨーク25a,25bの幅(厚み)を変化させることによって変動させた。
この推力増加率は、Wが0のとき、すなわち、エンドヨークを有しないときの推力を基準とした増加した推力の割合をいう。
図6の結果より、Wの値が大きくなれば大きくなるほど推力増加率が高まることが分かる。
この結果より、従来では設けられていなかったエンドヨーク25a,25bを移動子20の両端に取り付けることにより、推力が高まることが判明した。これは両端での磁束の漏れを低減できたからと考えられる。
10 固定子、
12 電機子、
20 移動子、
21a,21b バックヨーク、
23a〜23e 第2の永久磁石、
24a,24b 分割磁石、
25a,25b エンドヨーク、
100 リニアモータ。

Claims (2)

  1. 複数の電機子が直線状に配設されて移動用磁界を発生させる固定子と、
    少なくとも3個の永久磁石が上記固定子に対峙して上記電機子の配設方向に並び、そのうちの隣り合う2つの永久磁石同士の間では同じ極同士が所定の磁力反発間隔を有して対向するようバックヨークに保持され、上記移動用磁界により電機子の配設方向に移動可能な移動子と、を備えたリニアモータであって、
    上記3つの永久磁石のうちの中央に位置する永久磁石を、その並び方向において等分割することにより2つの分割磁石とし、これら2つの分割磁石の間に所定の磁力間隙を備えたリニアモータ。
  2. 上記移動子においてその永久磁石の並び方向の両端に、これら永久磁石により生じた磁束がこの両端から漏れることを防止するための一対の磁性体のエンドヨークをそれぞれ設けた請求項1に記載のリニアモータ。
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