JP2011216726A - R−t−b系永久磁石 - Google Patents

R−t−b系永久磁石 Download PDF

Info

Publication number
JP2011216726A
JP2011216726A JP2010084392A JP2010084392A JP2011216726A JP 2011216726 A JP2011216726 A JP 2011216726A JP 2010084392 A JP2010084392 A JP 2010084392A JP 2010084392 A JP2010084392 A JP 2010084392A JP 2011216726 A JP2011216726 A JP 2011216726A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnet
magnetic field
magnetization
permanent magnet
organometallic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010084392A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5501833B2 (ja
Inventor
Izumi Ozeki
出光 尾関
Katsuya Kume
克也 久米
Keisuke Hirano
敬祐 平野
Tomohiro Omure
智弘 大牟礼
Keisuke Futoshiro
啓介 太白
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2010084392A priority Critical patent/JP5501833B2/ja
Publication of JP2011216726A publication Critical patent/JP2011216726A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5501833B2 publication Critical patent/JP5501833B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】優れた着磁特性を有するR−T−B系永久磁石を提供する。
【解決手段】粉砕されたR−T−B系磁石の微粉末に対して、M−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物が添加された有機金属化合物溶液を加え、磁石の粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させる。その後、圧粉成形した成形体を水素雰囲気において200℃〜900℃で数時間保持することにより水素中仮焼処理を行う。その後、800℃〜1180℃で焼成を行うことによって永久磁石1を製造する。
【選択図】図3

Description

本発明は、R−T−B(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)系焼結磁石に関し、特に着磁特性の高いR−T−B系永久磁石に関する。
希土類磁石の中でもR−T−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種電気機器に採用されている。これまで、R−T−B系焼結磁石の磁気特性、具体的には残留磁束密度、保磁力あるいは最大エネルギー積の向上のための研究、開発が主になされてきた。しかし、近時、着磁特性に着目した研究、開発が行なわれている。R−T−B系焼結磁石は、フェライト磁石に比べて高い着磁磁界を必要とする。例えば、リング状のR−T−B系焼結磁石をモータの回転子として用いる場合に、モータにR−T−B系焼結磁石を組み込んだ後にリング状のR−T−B系焼結磁石に捲き回したモータ用コイルを用いて着磁させることがある。モータが小型の場合には所定の捲き回し数を得るためにコイルの線径が細くなり、大電流を流すことができず、そのためにR−T−B系焼結磁石に対して十分な着磁磁界を印加することができない。したがって、以上のような用途に用いられるR−T−B系焼結磁石としては、低い着磁磁界で可能な限り高い着磁特性を有することが要求される。
例えば、特開2002−356701号公報(特許文献1)には、着磁特性の優れるR−T−B系焼結磁石として、主相の平均組成が、(LR1-xHR14A(Tは、Fe、又はFeとFe以外の遷移金属元素の少なくとも1種との混合物、Aはボロン又はボロンと炭素との混合物、LRは軽希土類元素の少なくとも1種、HRは重希土類元素の少なくとも1種、0<x<1)で表される希土類合金焼結体であって、(LR1-pHRT14A(0≦p<x)で表される組成の第1の主相と、(LR1-qHR14A(x<q≦1)で表される組成の第2の主相との少なくとも一方を複数有する結晶粒を含んでいる希土類合金焼結体が開示されている。
また、特開2003−217918号公報(特許文献2)には、着磁特性の向上を目的として、重量%で、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Rに占めるNdが50原子%以上である):25〜35%、B:0.8〜1.5%、必要によりM(Ti、Cr、Ga、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Alから選ばれる少なくとも1種):8%以下、及び残部T(Fe又はFe及びCo)、ならびに不可避的不純物を含有し、80at%以上をFeACo1-AとするFe相が0.01〜300μmの大きさで焼結体中に残存している結晶組織を有する希土類焼結磁石において、残留磁束密度で評価される着磁率Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)が59%以上、フラックスで評価される着磁率Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m)が4%以上であることが開示されている。
特開2002−356701号公報 特開2003−217918号公報
特許文献1に開示された技術によれば、磁気特性を低下させることなく着磁特性を改善することができる。しかし、50%程度の着磁率を得るために0.8MA/m(10kOe)程度の着磁磁界が必要であり、さらに低い着磁磁界で50%程度の着磁率を得ることが望まれる。また、特許文献2における残留磁束密度で評価される着磁率Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)が59%以上、フラックスで評価される着磁率Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m)が4%以上という値は、着磁特性が良いとはいえない。
一方で、本発明者等の検討によると、低い磁界でより高い着磁率が得られるR−T−B系焼結磁石は、着磁率の着磁磁界による変動を表す着磁特性曲線がなだらかな傾斜を示す傾向にある。つまり、着磁率特性曲線が緩やかなため100%近傍の着磁率に到達するまでに、より大きな着磁磁界が必要であった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低い着磁磁界でより高い着磁率を得るとともに、100%近傍、例えば85%程度の着磁率に到達するまで、より着磁率の立ち上がりが早いR−T−B系永久磁石を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本願の請求項1に係るR−T−B系永久磁石は、R14B結晶粒(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素。以下同じ。)からなる主相を備え、R:25wt%〜35wt%、B:0.5wt%〜4wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02wt%〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.02wt%〜1.5wt%、Co:0.5wt%〜5wt%以下、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなり、前記R14B結晶粒の平均粒径が10μm以下であり、磁石原料を磁石粉末に粉砕する工程と、前記粉砕された磁石粉末に以下の構造式M−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされる有機金属化合物を添加することにより、前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工程と、により製造されることを特徴とする。
また、請求項2に係るR−T−B系永久磁石は、請求項1に記載のR−T−B系永久磁石において、Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上であることを特徴とする。
更に、請求項3に係るR−T−B系永久磁石は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のR−T−B系永久磁石において、前記焼結体は、Bi及びGaの1種又は2種を0.01wt%〜0.2wt%含むことを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に記載のR−T−B系永久磁石によれば、低い着磁磁界でより高い着磁率を得るとともに、100%近傍、例えば85%程度の着磁率に到達するまで、より着磁率の立ち上がりが早くなる。
また、Al、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む有機金属化合物を磁石粉末に添加することにより、有機金属化合物に含まれるAl、Cu、Zr、Nb、Hf又はCoを磁石の粒界に効率よく偏在させることができる。その結果、Al、Cu、Zr、Nb、Hf又はCoの使用量を減少させ、残留磁束密度の低下を抑制できるとともに、各元素による保磁力向上や粒界相均一化等の効果を十分に達成することが可能となる。また、他の有機金属化合物を添加する場合と比較して脱カーボンを容易に行うことが可能であり、焼結後の磁石内に含まれる炭素によって磁石特性が低下する虞が無く、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となる。
また、請求項2に記載のR−T−B系永久磁石によれば、400kA/m(5.1kOe)程度の低い着磁磁界での着磁率が向上されるとともに、600kA/m(7.6kOe)以上の着磁磁界における着磁率も向上されたR−T−B系焼結磁石を提供する。このような着磁特性に優れたR−T−B系焼結磁石は、多極着磁磁石に用いた場合には、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。このようなリング磁石を用いたモータは、高い回転性能を保持することができる。また、着磁率の高い磁石は、材質的に高コストで高磁気特性であるが着磁率の低い磁石に比べて、実際に発生するトータルフラックスが多い場合がある。したがって、本発明は、所定のトータルフラックスを低コストの磁石で実現することができる。または磁石のサイズを小型化することができる。
更に、請求項3に記載のR−T−B系永久磁石によれば、焼結体は、Bi及びGaの1種又は2種を0.01wt%〜0.2wt%含むので、保磁力を向上させることが可能となる。
本発明に係る永久磁石を示した全体図である。 本発明に係る永久磁石の粒界付近を拡大して示した模式図である。 本発明に係る永久磁石の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。 本発明に係る永久磁石の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
以下、本発明に係る永久磁石及び永久磁石の製造方法について具体化した実施形態について以下に図面を参照しつつ詳細に説明する。
[永久磁石の構成]
先ず、本発明に係る永久磁石1の構成について説明する。図1は本発明に係る永久磁石1を示した全体図である。尚、図1に示す永久磁石1は円柱形状を備えるが、永久磁石1の形状は成形に用いるキャビティの形状によって変化する。
本発明に係る永久磁石1としてはR−T−B系磁石を用いる。また、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、図2に示すように、R14B結晶粒(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを主体とする遷移金属元素の1種以上)からなる主相11を含む。またこの主相11の他に粒界相12を含む。この粒界相12は、Rの含有量が主相11よりも多い。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、焼結体中に15μm以上の粒径Dを有するR14B結晶粒(以下、単に結晶粒ということがある)が1〜8%存在することが望ましい。後述するように、焼結体中に15μm以上の粒径Dを有する結晶粒が1%未満では着磁率向上を図ることができない。また、焼結体中に15μm以上の粒径Dを有する結晶粒が8%を超えて存在すると、高い着磁率を得ることができるものの、保磁力の低下が顕著となる。したがって本発明では、15μm以上の粒径Dを有する結晶粒を1〜8%、好ましくは2〜7%、さらに好ましくは3〜6%存在させることが望ましい。
本発明において、15μm以上の粒径Dを有する比較的に粗大な結晶粒が存在することにより優れた着磁特性が得られる理由は明らかでない。しかし、このような粗大な結晶粒ほど磁区の回転が容易であり、この粗大粒の磁区の回転が周囲の微小粒の磁区の回転を誘起したために着磁特性が向上したものと解される。
15μm以上の粒径Dを有する結晶粒が1〜8%存在する焼結体を得る方法を本発明は問わない。なお、磁場中成形に供される微粉砕粉の粒度分布、焼結条件を操作することにより、15μm以上の粒径Dを有する結晶粒が1〜8%存在する焼結体を得ることが可能である。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、R14B結晶粒の平均粒径を10μm以下とする。平均粒径が10μmを超えると保磁力の低下が顕著となるためである。ただし、本発明は15μm以上の粒径Dを有する結晶粒を意識的に存在させるため、結晶粒の平均粒径を10μm以下の範囲内では大きめに設定することが有利である。そのため本発明では、結晶粒の平均粒径は6〜9μmの範囲とすることが好ましい。但し、結晶粒の平均粒径は6〜9μmの範囲外であっても、後述のように高い効果を有する。
次に、本発明のR−T−B系焼結磁石の好ましい化学組成について説明する。この化学組成は、主相11及び粒界相12全体としてのものである。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Rを25〜35wt%含む。Rの量が25wt%未満だと、R−T−B系焼結磁石の主相11となるR14B結晶粒の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が35wt%を超えると主相11を構成するR14B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRの量が35wt%を超えるとRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜35wt%とする。望ましいRの量は26〜33wt%、さらに望ましいRの量は27〜32wt%である。
RとしてDy及び/又はTbを含む場合には、Dy及び/又はTbと他のRとの合計を25〜35wt%とする。そして、この範囲において、Dy及び/又はTbの量は0.1〜8wt%とすることが好ましい。Dy及び/又はTbは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDy及び/又はTbの量を0.1〜3.5wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDy及び/又はTbの量を3.5〜8wt%とすることが望ましい。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、Bが4wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Coを必須元素とするが、その量は0.5〜5wt%とする。Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果があり、この効果を得るために0.5wt%以上とすることが好ましい。また、Cuと複合添加することにより、高い保磁力が得られる時効処理温度範囲が拡大するという効果をも有する。しかし、過剰の添加は保磁力の低下を招くとともに、コストを上昇させるため上限を5wt%とする。望ましいCoの含有量は0.5〜3wt%、さらに望ましいCoの含有量は0.8〜2.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%の範囲で含有する。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.3wt%以下(ただし、0を含まず)、望ましくは0.2wt%以下(ただし、0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.15wt%である。Al及びCuの1種又は2種は、主相及び粒界相のいずれに含有されていても本発明の効果に悪影響を与えることはない。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.2〜1.5wt%含有する。R−T−B系焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Zr、Nb及びHfは焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Zr、Nb及びHfは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上の望ましい量は0.05〜1.3wt%、さらに望ましい量は0.08〜1.0wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、保磁力向上のためにBi及びGaの1種または2種を含有することが有効である。Bi及びGaの1種または2種は0.01〜0.2wt%の範囲で含有することが好ましい。Bi及びGaの1種または2種のさらに好ましい範囲は0.03〜0.15wt%、より好ましい範囲は0.05〜0.12wt%である。Bi及びGaは、主相及び粒界相のいずれに含有されていても本発明の効果に悪影響を与えることはない。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、その酸素量を4500〜6000ppmとすることが好ましい。酸素量が多いと非磁性成分である酸化物相が増大して、磁気特性を低下させる。一方、酸素量を低くすると焼結過程で結晶粒の成長を抑制する働きを有する酸化物相の量が減る。本発明は上述したように、比較的粗大な結晶粒を生成させることによる着磁特性向上効果を期待するものであり、酸化物相の増大をも考慮して、焼結体に含まれる酸素量を4500〜6000ppmとする。
また、本発明ではAl、Cu、Zr、Nb、Hf又はCo(以下、Al等という)の内、一又は複数の元素の添加は、後述のように粉砕された磁石粉末を成形する前にAl等を含む有機金属化合物が添加されることにより行われる。具体的には、Al等を含む有機金属化合物が添加されることによって、湿式分散により磁石粒子の粒子表面に該有機金属化合物中のAl等が均一付着される。その状態で磁石粉末を焼結することによって、磁石粒子の粒子表面に均一付着された該有機金属化合物中のAl等が、主相11の粒界、即ち粒界相12に効率よく偏在化される。
また、本発明では、特に後述のようにM−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされるAl等を含む有機金属化合物(例えば、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、アルミニウムイソポロポキシド)を有機溶媒に添加し、湿式状態で磁石粉末に混合する。それにより、Al等を含む有機金属化合物を有機溶媒中で分散させ、磁石粒子の粒子表面にAl等を含む有機金属化合物を効率よく付着することが可能となる。
ここで、上記M−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)の構造式を満たす有機金属化合物として金属アルコキシドがある。金属アルコキシドは、一般式M−(OR)(M:金属元素、R:有機基、n:金属又は半金属の価数)で表される。また、金属アルコキシドを形成する金属又は半金属としては、W、Mo、V、Nb、Hf、Ta、Ti、Zr、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sb、Y、lanthanideなどが挙げられる。但し、本発明では特に、Al、Cu、Zr、Nb、Hf、Coを用いる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、炭素数4以上のアルコキシド等が挙げられる。但し、本発明では後述のように低温分解で残炭を抑制する目的から、低分子量のものを用いる。また、炭素数1のメトキシドについては分解し易く、取扱いが困難であるので、特に炭素数が2〜6のアルコキシドであるエトキシド、メトキシド、イソプロポキシド、プロポキシド、ブトキシドなどを用いることが好ましい。
[永久磁石の着磁特性]
本発明は、Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上である。さらに、本発明のR−T−B系焼結磁石は、790kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf4とすると、着磁率c(=f4/f3×100)が95%以上となり、極めて着磁率が高い。なお、本発明におけるPcは、「焼結磁石」俵好夫、大橋健共著(森北出版)第146頁の図5−4に基づいて定めている。また、着磁率は以下によって測定した。評価する磁石をポールピースに挟み込んで閉磁路を形成した後、電磁石に電流を流し着磁を行なった。この場合、印加磁場=有効磁場となる。着磁後、フラックスメータによりトータルフラックスを測定した。
ここで着磁特性についていえば、前述したように、低磁界でより大きな着磁率を有し、かつ着磁率の立ち上がり急峻であることが理想的である。ところが、従来、保磁力(HcJ)が1600kA/m以下の低保磁力タイプのR−T−B系焼結磁石は、この両者を満足することは容易ではなかった。しかるに、本発明は、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上、さらには着磁率c(=f4/f3×100)が95%以上という、従来にはない低磁界において高着磁率を有し、かつ着磁率の立ち上がりの早いR−T−B系焼結磁石を提供する。
また、本発明は、多極着磁が施される磁石に適用することが好ましい。
多極着磁される磁石としては、モータ用に用いられるラジアル異方性又は極異方性リング状磁石、CD、DVD等の機器のピックアップ駆動用に用いられる直方体状磁石、VCM(Voice Coil Motor)用の扇状磁石がある。これらの多極着磁磁石は、N・Sの極性を複数有している。
以上の多極着磁磁石に本発明のR−T−B系焼結磁石を適用すると、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。そのために、トータルフラックス量が増加し、例えばモータに用いるものであればモータの特性を向上させることができる。ここで、ニュートラルゾーンとは、磁石を着磁した際に、極性(N・S)が反転する境界においてN又はSのどちらにも着磁されない領域をいう。特に、サイズの小さな磁石や極数の多い磁石においては、ニュートラルゾーンの占める割合が増大する。したがって、本発明による着磁特性の優れるR−T−B系焼結磁石を多極着磁に供することにより、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができ、ひいては当該磁石が用いられるモータの特性を向上することができる。
[永久磁石の製造方法1]
次に、本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法について図3を用いて説明する。図3は本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。
先ず、上述した組成割合を満たす分率のR−T−B(例えば、Nd:20.26wt%、Pr:9.06wt%、B:0.97wt%、Fe:69.71wt%)からなる、インゴットを製造する。また、保磁力向上のためにDyやTbを少量含めても良い。その後、インゴットをスタンプミルやクラッシャー等によって200μm程度の大きさに粗粉砕する。若しくは、インゴットを溶解し、ストリップキャスト法でフレークを作製し、水素解砕法で粗粉化する。
次いで、粗粉砕した磁石粉末を、(a)酸素含有量が実質的に0%の窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気中、又は(b)酸素含有量が0.0001〜0.5%の窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気中で、ジェットミル41により微粉砕し、所定サイズ(例えば焼結後の結晶粒の平均粒径が6〜9μmの範囲となるサイズ)の平均粒径を有する微粉末とする。尚、酸素濃度が実質的に0%とは、酸素濃度が完全に0%である場合に限定されず、微粉の表面にごく僅かに酸化被膜を形成する程度の量の酸素を含有しても良いことを意味する。
一方で、ジェットミル41で微粉砕された微粉末に添加する有機金属化合物溶液を作製する。ここで、有機金属化合物溶液には予めAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む有機金属化合物を添加し、溶解させる。尚、溶解させる有機金属化合物としては、M−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物(例えば、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、アルミニウムイソポロポキシドなど)を用いる。また、溶解させる有機金属化合物の量は特に制限されないが、焼結後の磁石に対するAl、Cu、Zr、Nb、Hf又はCoの含有量が上述した範囲内(例えば、Coは0.5〜3wt%、好ましくは0.8〜2.5wt%である。Alは0.03〜0.3wt%、好ましくは0.05〜0.25wt%である。Cuは0.3wt%以下(ただし、0を含まず)、好ましくは0.2wt%以下(ただし、0を含まず)、さらに好ましくは0.03〜0.15wt%である。Zr、Nb及びHfは、0.05〜1.3wt%、好ましくは0.08〜1.0wt%である。)となる量とする。
続いて、ジェットミル41にて分級された微粉末に対して上記有機金属化合物溶液を添加する。それによって、磁石原料の微粉末と有機金属化合物溶液とが混合されたスラリー42を生成する。尚、有機金属化合物溶液の添加は、窒素ガス、Arガス、Heガスなど不活性ガスからなる雰囲気で行う。
その後、生成したスラリー42を成形前に真空乾燥などで事前に乾燥させ、乾燥した磁石粉末43を取り出す。その後、乾燥した磁石粉末を成形装置50により所定形状に圧粉成形する。尚、圧粉成形には、上記の乾燥した微粉末をキャビティに充填する乾式法と、溶媒などでスラリー状にしてからキャビティに充填する湿式法があるが、本発明では乾式法を用いる場合を例示する。また、有機金属化合物溶液は成形後の焼成段階で揮発させることも可能である。
図3に示すように、成形装置50は、円筒状のモールド51と、モールド51に対して上下方向に摺動する下パンチ52と、同じくモールド51に対して上下方向に摺動する上パンチ53とを有し、これらに囲まれた空間がキャビティ54を構成する。
また、成形装置50には一対の磁界発生コイル55、56がキャビティ54の上下位置に配置されており、磁力線をキャビティ54に充填された磁石粉末43に印加する。この磁場中成形は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)前後の磁場中で、0.3〜3.0ton/cm(30〜300MPa)前後の圧力で行なえばよい。また、印加する磁場は静磁場の他に、パルス状の磁場でもよい。
そして、圧粉成形を行う際には、先ず乾燥した磁石粉末43をキャビティ54に充填する。その後、下パンチ52及び上パンチ53を駆動し、キャビティ54に充填された磁石粉末43に対して矢印61方向に圧力を加え、成形する。また、加圧と同時にキャビティ54に充填された磁石粉末43に対して、加圧方向と平行な矢印62方向に磁界発生コイル55、56によってパルス磁場を印加する。それによって、所望の方向に磁場を配向させる。尚、磁場を配向させる方向は、磁石粉末43から成形される永久磁石1に求められる磁場方向を考慮して決定する必要がある。
また、湿式法を用いる場合には、キャビティ54に磁場を印加しながらスラリーを注入し、注入途中又は注入終了後に、当初の磁場より強い磁場を印加して湿式成形しても良い。また、加圧方向に対して印加方向が垂直となるように磁界発生コイル55、56を配置しても良い。
次に、圧粉成形により成形された成形体71を水素雰囲気において200℃〜900℃、より好ましくは400℃〜900℃(例えば600℃)で数時間(例えば5時間)保持することにより水素中仮焼処理を行う。仮焼中の水素の供給量は5L/minとする。この水素中仮焼処理では、有機金属化合物を熱分解させて、仮焼体中の炭素量を低減させる所謂脱カーボンが行われる。また、水素中仮焼処理は、仮焼体中の炭素量が1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下とする条件で行うこととする。それによって、その後の焼結処理で永久磁石1全体を緻密に焼結させることが可能となり、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
ここで、上述した水素中仮焼処理によって仮焼された成形体71には、NdHが存在し、酸素と結び付きやすくなる問題があるが、第1の製造方法では、成形体71は水素仮焼後に外気と触れさせることなく、後述の真空焼成に移るため脱水素工程は不要となる。焼成中に成形体中の水素は抜けることとなる。
続いて、水素中仮焼処理によって仮焼された成形体71を焼結する焼結処理を行う。焼結処理では、所定の昇温速度で800℃〜1180℃程度まで昇温し、2時間程度保持する。この間は真空焼成となるが真空度としては10−4Torr以下とすることが好ましい。その後冷却し、再び600℃で2時間熱処理を行う。そして、焼結の結果、永久磁石1が製造される。
[永久磁石の製造方法2]
次に、本発明に係る永久磁石1の他の製造方法である第2の製造方法について図4を用いて説明する。図4は本発明に係る永久磁石1の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
尚、スラリー42を生成するまでの工程は、図3を用いて既に説明した第1の製造方法における製造工程と同様であるので説明は省略する。
先ず、生成したスラリー42を成形前に真空乾燥などで事前に乾燥させ、乾燥した磁石粉末43を取り出す。その後、乾燥した磁石粉末43を水素雰囲気において200℃〜900℃、より好ましくは400℃〜900℃(例えば600℃)で数時間(例えば5時間)保持することにより水素中仮焼処理を行う。仮焼中の水素の供給量は5L/minとする。この水素中仮焼処理では、有機金属化合物を熱分解させて、仮焼体中の炭素量を低減させる所謂脱カーボンが行われる。また、水素中仮焼処理は、仮焼体中の炭素量が1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下とする条件で行うこととする。それによって、その後の焼結処理で永久磁石1全体を緻密に焼結させることが可能となり、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
次に、水素中仮焼処理によって仮焼された粉末状の仮焼体82を真空雰囲気で200℃〜600℃、より好ましくは400℃〜600℃で1〜3時間保持することにより脱水素処理を行う。尚、真空度としては0.1Torr以下とすることが好ましい。
ここで、上述した水素中仮焼処理によって仮焼された仮焼体82には、NdHが存在し、酸素と結び付きやすくなる問題がある。
そこで、上記脱水素処理では、水素中仮焼処理によって生成された仮焼体82中のNdH(活性度大)を、NdH(活性度大)→NdH(活性度小)へと段階的に変化させることによって、水素仮焼中処理により活性化された仮焼体82の活性度を低下させる。それによって、水素中仮焼処理によって仮焼された仮焼体82をその後に大気中へと移動させた場合であっても、Ndが酸素と結び付くことを防止し、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
その後、脱水素処理が行われた粉末状の仮焼体82を成形装置50により所定形状に圧粉成形する。成形装置50の詳細については図3を用いて既に説明した第1の製造方法における製造工程と同様であるので説明は省略する。
その後、成形された仮焼体82を焼結する焼結処理を行う。焼結処理では、所定の昇温速度で800℃〜1180℃程度まで昇温し、2時間程度保持する。この間は真空焼成となるが真空度としては10−4Torr以下とすることが好ましい。その後冷却し、再び600℃で2時間熱処理を行う。そして、焼結の結果、永久磁石1が製造される。
尚、上述した第2の製造方法では、粉末状の磁石粒子に対して水素中仮焼処理を行うので、成形後の磁石粒子に対して水素中仮焼処理を行う前記第1の製造方法と比較して、有機金属化合物の熱分解を磁石粒子全体に対してより容易に行うことができる利点がある。即ち、前記第1の製造方法と比較して仮焼体中の炭素量をより確実に低減させることが可能となる。
一方、第1の製造方法では、成形体71は水素仮焼後に外気と触れさせることなく、後述の真空焼成に移るため脱水素工程は不要となる。従って、前記第2の製造方法と比較して製造工程を簡略化することが可能となる。但し、前記第2の製造方法においても、水素仮焼後に外気と触れさせることがなく焼成を行う場合には、脱水素工程は不要となる。
以上説明したように、本実施形態に係る永久磁石1では、従来に比べて低い着磁磁界でより高い着磁率を得るとともに、100%近傍、例えば85%程度の着磁率に到達するまで、より着磁率の立ち上がりが早くなる。
また、Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上であるので、400kA/m(5.1kOe)程度の低い着磁磁界での着磁率が向上されるとともに、600kA/m(7.6kOe)以上の着磁磁界における着磁率も向上されたR−T−B系焼結磁石を提供する。このような着磁特性に優れたR−T−B系焼結磁石は、多極着磁磁石に用いた場合には、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。このようなリング磁石を用いたモータは、高い回転性能を保持することができる。また、着磁率の高い磁石は、材質的に高コストで高磁気特性であるが着磁率の低い磁石に比べて、実際に発生するトータルフラックスが多い場合がある。したがって、本発明は、所定のトータルフラックスを低コストの磁石で実現することができる。または磁石のサイズを小型化することができる。
更に、焼結体は、Bi及びGaの1種又は2種を0.01wt%〜0.2wt%含むので、保磁力を向上させることが可能となる。
また、永久磁石1の製造方法では、粉砕されたR−T−B系磁石の微粉末に対して、M−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物が添加された有機金属化合物溶液を加え、磁石の粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させる。その後、圧粉成形した成形体を水素雰囲気において200℃〜900℃で数時間保持することにより水素中仮焼処理を行う。その後、800℃〜1180℃で焼成を行うことによって永久磁石1を製造する。それによって、有機金属化合物に含まれるAl、Cu、Zr、Nb、Hf又はCoを磁石の粒界に効率よく偏在させることができる。その結果、Al、Cu、Zr、Nb、Hf又はCoの使用量を減少させ、残留磁束密度の低下を抑制できるとともに、各元素による保磁力向上や粒界相均一化等の効果を十分に達成することが可能となる。また、他の有機金属化合物を添加する場合と比較して脱カーボンを容易に行うことが可能であり、焼結後の磁石内に含まれる炭素によって磁石特性が低下する虞が無く、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となる。
また、有機金属化合物が添加された磁石を、焼結前に水素雰囲気で仮焼することにより、有機金属化合物を熱分解させて磁石粒子中に含有する炭素を予め焼失(炭素量を低減)させることができ、焼結工程でカーバイドがほとんど形成されることがない。その結果、焼結後の磁石の主相と粒界相との間に空隙を生じさせることなく、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となり、保磁力が低下することを防止できる。また、焼結後の磁石の主相内にαFeが析出することなく、磁石特性を大きく低下させることがない。
また、特に第2の製造方法では、粉末状の磁石粒子に対して仮焼を行うので、成形後の磁石粒子に対して仮焼を行う場合と比較して、有機金属化合物の熱分解を磁石粒子全体に対してより容易に行うことができる。即ち、仮焼体中の炭素量をより確実に低減させることが可能となる。また、仮焼処理後に脱水素処理を行うことによって、仮焼処理により活性化された仮焼体の活性度を低下させることができる。それにより、その後に磁石粒子が酸素と結び付くことを防止し、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
また、磁石粉末の粉砕条件、混練条件、仮焼条件、焼結条件などは上記実施例に記載した条件に限られるものではない。
また、水素中仮焼処理や脱水素工程については省略しても良い。
また、本発明では結晶粒の平均粒径は6〜9μmの範囲としているが、平均粒径はより小さい範囲としても良い。例えば平均粒径は0.1〜5.0μmの範囲としても良い。また、焼結体中に15μm以上の粒径Dを有するR14B結晶粒が1〜8%存在しない場合であっても、本発明は高い効果を有する。
また、上述した製造方法では、Al、Cu、Zr、Nb、Hf、Coについては、磁石粉末にM−(OR)(式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を添加することによって、添加する構成としているが、一部については予めインゴットに含める構成としても良い。
1 永久磁石
11 主相
12 粒界相

Claims (3)

  1. 14B結晶粒(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素。以下同じ。)からなる主相を備え、R:25wt%〜35wt%、B:0.5wt%〜4wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02wt%〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.02wt%〜1.5wt%、Co:0.5wt%〜5wt%以下、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなり、
    前記R14B結晶粒の平均粒径が10μm以下であり、
    磁石原料を磁石粉末に粉砕する工程と、
    前記粉砕された磁石粉末に以下の構造式
    M−(OR)
    (式中、MはAl、Cu、Zr、Nb、Hf、Coの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
    で表わされる有機金属化合物を添加することにより、前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
    前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、により製造されることを特徴とするR−T−B系永久磁石。
  2. Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系永久磁石。
  3. 前記焼結体は、Bi及びGaの1種又は2種を0.01wt%〜0.2wt%含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のR−T−B系永久磁石。
JP2010084392A 2010-03-31 2010-03-31 R−t−b系永久磁石 Expired - Fee Related JP5501833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010084392A JP5501833B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 R−t−b系永久磁石

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010084392A JP5501833B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 R−t−b系永久磁石

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011216726A true JP2011216726A (ja) 2011-10-27
JP5501833B2 JP5501833B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=44946159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010084392A Expired - Fee Related JP5501833B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 R−t−b系永久磁石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5501833B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014002983A1 (ja) * 2012-06-29 2014-01-03 日立金属株式会社 希土類系焼結磁石の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004296848A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Tdk Corp R−t−b系希土類永久磁石
JP2005197662A (ja) * 2004-10-18 2005-07-21 Tdk Corp R−t−b系希土類永久磁石
JP2006210376A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Tdk Corp R−t−b系焼結磁石
WO2009128459A1 (ja) * 2008-04-15 2009-10-22 日東電工株式会社 永久磁石及び永久磁石の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004296848A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Tdk Corp R−t−b系希土類永久磁石
JP2005197662A (ja) * 2004-10-18 2005-07-21 Tdk Corp R−t−b系希土類永久磁石
JP2006210376A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Tdk Corp R−t−b系焼結磁石
WO2009128459A1 (ja) * 2008-04-15 2009-10-22 日東電工株式会社 永久磁石及び永久磁石の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014002983A1 (ja) * 2012-06-29 2014-01-03 日立金属株式会社 希土類系焼結磁石の製造方法
JPWO2014002983A1 (ja) * 2012-06-29 2016-06-02 日立金属株式会社 希土類系焼結磁石の製造方法
CN104428854B (zh) * 2012-06-29 2017-03-08 日立金属株式会社 稀土类烧结磁体的制造方法
US10020113B2 (en) 2012-06-29 2018-07-10 Hitachi Metals, Ltd. Method for producing rare earth sintered magnet

Also Published As

Publication number Publication date
JP5501833B2 (ja) 2014-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5501828B2 (ja) R−t−b系希土類永久磁石
JP6274216B2 (ja) R−t−b系焼結磁石、および、モータ
JP6330813B2 (ja) R−t−b系焼結磁石、および、モータ
JP5754232B2 (ja) 高保磁力NdFeB磁石の製法
JP4805998B2 (ja) 永久磁石とそれを用いた永久磁石モータおよび発電機
JPH0510806B2 (ja)
JP4865097B2 (ja) 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP4923147B2 (ja) 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP4865099B2 (ja) 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP2006100847A (ja) R−t−b系希土類永久磁石
JP3822031B2 (ja) 交換スプリング磁石粉末の製造方法
JP4923149B2 (ja) 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP3762912B2 (ja) R−t−b系希土類永久磁石
JP5501826B2 (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP4274480B2 (ja) R−t−b系焼結磁石
JP5501824B2 (ja) R−Fe−B系永久磁石
JP4923150B2 (ja) 永久磁石及び永久磁石の製造方法
JP6623998B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP5501833B2 (ja) R−t−b系永久磁石
CN111145972B (zh) RFeB系烧结磁体及其制造方法
JP5501835B2 (ja) 希土類永久磁石
JPH0536494B2 (ja)
JPH0527241B2 (ja)
CN104021908A (zh) R-t-b-m-a系稀土类永磁体以及其制造方法
JP2011216618A (ja) 高保磁力異方性磁石及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5501833

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees