JP2011216649A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐電圧性能の高い、高性能の固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】弁金属を基材とし、該基材の表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、陽極体の表面に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、リン酸、硫酸および過酸化水素を添加した化成液を用いて基材に化成処理を施すことによって、基材の表面に誘電体被膜を形成する工程と、誘電体被膜上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に、耐電圧性能の高い固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来より、小型化に適したコンデンサとして、電解質として導電性高分子層を有する固体電解コンデンサが広く知られている。このような固体電解コンデンサは、少なくとも、基材の表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、陽極体の表面に形成された導電性高分子層とを有するコンデンサ素子を備える。
基材としては、弁金属の金属板または金属箔をエッチングしたもの、または弁金属の粉末の成形体を焼結したものを用いることができる。陽極体は、基材の表面を化成処理して、基材の表面に誘電体被膜を形成することによって形成することができる。化成処理とは、化成液を用いて基材の表面を電解酸化する処理であり、誘電体被膜の形成に広く用いられる方法である。化成液としては、化成促進剤を含む水溶液があり、化成促進剤としては、たとえば、リン酸、硝酸、硫酸などがある。特に、固体電解コンデンサの製造工程においては、リン酸水溶液が用いられる傾向にある(特許文献1)。
ところで、上記化成液を用いて化成処理を行う場合に、電圧が印加された化成液中に発生する水酸化物イオンが誘電体被膜の形成に関与することが知られている。しかしながら、基材は、表面がエッチングされた金属板および金属箔、または焼結体といった、表面に微細な凹凸形状を有する形状を有しているため、水酸化物イオンなどの酸素元素を含む物質が凹部深くにまで十分に供給されず、結果的に誘電体被膜が不均一となる場合がある。
誘電体被膜は固体電解コンデンサの性能を左右する因子の一つであり、たとえば、誘電体被膜が不均一な場合、固体電解コンデンサの耐電圧性能の低下、漏れ電流の増加が起こってしまう。このため、誘電体被膜は基材の表面全体を均一に被覆する形状であることが求められる。そこで、特許文献2には、化成液であるリン酸水溶液に過酸化水素を加えて、誘電体被膜を均一に形成する方法が提案されている。
特開2003−338432号公報 特開平9−306791号公報
しかしながら、固体電解コンデンサの高性能化の需要は現在も高まっており、さらなる技術の開発が求められている。そこで、上記事情に鑑み、本発明の目的は、耐電圧性能の高い、高性能の固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明は、弁金属を基材とし、該基材の表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、陽極体の表面に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、リン酸、硫酸および過酸化水素を添加した化成液を用いて基材に化成処理を施すことによって、基材の表面に誘電体被膜を形成する工程と、誘電体被膜上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法である。
上記固体電解コンデンサの製造方法では、化成液に添加される、リン酸の質量%(A)、硫酸の質量%(B)、および過酸化水素の質量%(C)の比は、A:B:C=1:0.5〜10:1〜20であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、化成液に添加される前記過酸化水素の質量%(C)は、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
本発明によれば、耐電圧性能の高い、高性能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明に係る製造方法に適用される固体電解コンデンサの構造の好ましい一例を模式的に示す断面図である。 化成処理を行うときの好ましい態様の一例を示す模式図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法を表していない。
なお、本明細書において、化成液におけるリン酸の質量%とは、リン酸、硫酸および過酸化水素を添加して調製した化成液全体の質量に対する、添加されたH3PO4の質量%をいう。同様に、化成液における硫酸の質量%および過酸化水素の質量%とは、リン酸、硫酸および過酸化水素を添加して調製した化成液全体の質量に対する、添加されたH2SO4の質量%、および添加されたH22の質量%をいう。
図1は、本発明に係る製造方法に適用される固体電解コンデンサの構造の好ましい一例を模式的に示す断面図である。以下に、図1を参照しながら、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例について説明する。
<誘電体被膜の形成>(誘電体被膜形成工程)
リン酸、硫酸および過酸化水素を含む化成液を用いて基材10に化成処理を施すことによって、基材の表面に誘電体被膜12を形成する。本工程により、陽極体13が作製される。
≪基材の作製≫
本実施形態において、基材10は焼結体からなり、図1に示すように、棒状体の陽極リード11が立設されている。このような基材10は、たとえば、棒状体の陽極リード11の長手方向の一端側を弁作用金属粉末に埋め込んだ状態で、当該粉末を所望の形状に成形し、その後、当該成形体を焼結することによって形成することができる。弁金属としては、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどを用いることができる。また、陽極リード11は金属で構成することができるが、特に、弁金属を好適に用いることができる。
≪化成液の調製≫
本発明において、化成処理に用いる化成液は、リン酸、硫酸および過酸化水素を含む水溶液である。これは、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、この組成の化成液を用いて化成処理を行った場合に、陽極体13の漏れ電流が低下し、かつ耐電圧が大きくなることを知見するに至ったものである。特に、化成液におけるリン酸の質量%(A)、硫酸の質量%(B)、および過酸化水素の質量%(C)は、A:B:C=1:0.5〜10:1〜20であることが好ましいことを知見している。このような化成液は、たとえば、溶媒である水に、リン酸水溶液、濃硫酸、および過酸化水素水溶液を添加することによって調製することができる。
化成液におけるリン酸の質量%(A)は、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましい。また、化成液における硫酸の質量%(B)は、0.005質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、化成液における過酸化水素の質量%(C)は、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。上記の範囲でリン酸、硫酸、過酸化水素を添加した場合、化成処理時の酸化反応の制御が容易となり、誘電体被膜12の品質を向上させることができる。したがって、固体電解コンデンサの耐電圧性能をより向上させることができ、漏れ電流を低下させることができる。
≪化成処理≫
図2は、化成処理を行うときの好ましい態様の一例を示す模式図である。図2において、処理浴31内には、上記のように調製した化成液32が満たされている。化成液32には、直流電源33の正極側に接続された基材10と、直流電源33の負極側に接続された陰極片34が浸漬される。直流電源33から基材10に電圧が印加されることにより、基材10の表面に誘電体被膜12が形成され、陽極体13が作製される。なお、図2に示すように、陽極リード11と直流電源33とを電気的に接続することにより、容易に基材10を正極とすることができる。
<導電性高分子層の形成>(導電性高分子層形成工程)
次に、誘電体被膜12上に導電性高分子層14を形成する。本工程により、陽極体13が導電性高分子層14によって被覆されて、コンデンサ素子15が作製される。
導電性高分子層14は、たとえば、公知の化学重合によって形成することができる。化学重合には、気相重合法と液相重合法とがある。気相重合法とは、導電性高分子層の基本骨格となるモノマーを含むガスを用いる方法である。一方、液相重合法とは、モノマーを含む重合液を用いる方法である。いずれの方法においても、誘電体被膜12上でモノマーを化学重合させることによって導電性高分子層14を形成することができる。なお、モノマーの重合体に導電性の付与する材料としては、公知のドーパントを用いることができ、当然に、化学重合を促進する酸化剤を用いてもよい。
また、導電性高分子層14は、公知の電解重合によって形成してもよい。たとえば、陽極体13を、モノマーおよびドーパントを含む重合液に浸漬し、重合液中のモノマーを陽極体13の表面で電解重合させることによって、導電性高分子層14を形成することができる。さらに、化学重合および電解重合の両方を利用して、導電性高分子層14を形成してもよい。特に、化学重合によって誘電体被膜12上に導電性高分子層の内側層を形成した後、電解重合によって導電性高分子層の外側層を形成することによって、導電性が高く、ESRの低い導電性高分子層14を形成することができる。
導電性高分子層14の基本骨格を構成するモノマーとしては、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1つを用いることができる。なかでも、チオフェンおよびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリンおよびその誘導体、ならびにフランおよびその誘導体が好ましい。これらのモノマーを重合して得られる導電性高分子層は、薄膜形成が可能で、導電性に優れるからである。特に、ピロールおよびその誘導体を好適に用いることができる。チオフェンの誘導体として、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェンなどがあり、ピロールの誘導体として、N−メチルピロールなどがあり、アニリン誘導体としては、N,N−ジメチルアニリン、N−アルキルアニリンなどがある。
酸化剤としては、公知の酸化剤を用いることができ、たとえば、過酸化水素、過マンガン酸、次亜塩素酸、クロム酸などを挙げることができる。ドーパントとしては、公知のドーパントを用いることができ、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物の酸または塩、硫酸、硝酸などを挙げることができる。また、酸化剤の機能とドーパントの機能とを有する、スルホン酸金属塩などの公知の酸化剤兼ドーパント材を用いてもよい。
<コンデンサ素子の封止>(封止工程)
次に、導電性高分子層14上に、カーボン層16および銀ペースト層17からなる陰極層を形成する(図1参照)。陰極引出層としてのカーボン層16は導電性を有していればよく、たとえば、グラファイトを用いて構成することができる。なお、カーボン層16および銀ペースト層17の形成は、それぞれ公知の技術を用いて形成することができる。
そして、陽極端子18を陽極リード11の露出している一端に接続し、銀ペースト層17上に接着層19を形成して陰極端子20の一端を接続し、これらを図1に示すように外装樹脂21にて封止する。最後に、外装樹脂21の外部に露出している陽極端子18および陰極端子20を外装樹脂21に沿うように折り曲げた後に、エージング処理することにより、図1に示す固体電解コンデンサ100が完成する。なお、陽極端子18および陰極端子20は、たとえば銅または銅合金などの金属で構成することができ、外装樹脂21の素材としては、たとえばエポキシ樹脂を用いることができる。
以上に詳述した本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、漏れ電流が小さく、耐電圧の大きい陽極体を作製することができ、もって耐電圧性能の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明における固体電解コンデンサは、上記の実施の形態に係る固体電解コンデンサに限定されず、誘電体被膜を有する、公知の他の形状の固体電解コンデンサに応用することができる。公知の他の形状の固体電解コンデンサとしては具体的に、巻回型の固体電解コンデンサ、弁金属の板を用いた積層型の固体電解コンデンサなどがある。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
≪誘電体被膜形成工程≫
まず、公知の方法を用いて、タンタル粉末を準備し、タンタルワイヤの一端側をタンタル粉末に埋め込んた状態で、タンタル粉末を直方体に成形した。そして、これを焼結することにより、陽極リードの一端が埋め込まれた基材を形成した。このときの基材の寸法は、縦×横×高さが1.7mm×2.0mm×1.0mmであった。
次に、化成液として、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.2gおよび0.6g添加された1000gの水溶液を準備した。具体的には、85質量%のリン酸水溶液0.236gと、97%の濃硫酸0.206gと、31%の過酸化水素水溶液1.936gとを500gの水に添加し、さらに水を加えて総量を1000gとすることによって、上記水溶液を調製した。このときの化成液におけるリン酸、硫酸および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.02質量%および0.06質量%であった。
そして、調製した化成液を60℃に加熱し、該加熱された化成液に基材10を浸漬して20Vの電圧を5時間印加した。この工程により、基材の表面にTa25からなる誘電体被膜が形成され、陽極体が作製された。なお、作製された複数の陽極体の一部に対しては、以降の工程を行わず、耐電圧および漏れ電流の測定に供した。
≪導電性高分子層形成工程≫
次に、液相重合法によって誘電体被膜上に導電性高分子層の内側層を形成した。具体的には、まず、ピロールを3mol/Lの濃度で含むエタノール溶液と、過硫酸アンモニウムおよびアルキルナフタレンスルホン酸各々を0.1mol/Lおよび1mol/L含有する水溶液を準備した。そして、25℃に調整された上記エタノール溶液中に陽極体を5分間浸漬した後、引き続き、25℃に調整された上記水溶液に5分間浸漬して、ピロールを化学重合させることによって誘電体被膜上に導電性高分子層の内側層を形成した。その後、陽極体を水溶液から引き上げて乾燥させた。
次に、電解重合によって導電性高分子層の内側層上に導電性高分子層の外側層を形成した。具体的には、陽極体を、ピロールおよびアルキルナフタレンスルホン酸各々を0.1mol/Lずつ含有する水溶液に浸漬し、陽極体の表面に形成された導電性高分子層の内側層に1mAの電流を2時間通電させることによって、導電性高分子層の外側層を形成した。この工程により、導電性高分子層が形成されて、コンデンサ素子が作製された。
≪封止工程≫
上記操作の終了後、水溶液から陽極体を引き上げ、これを水で洗浄後、100℃の乾燥器内に配置して乾燥させた。そして、乾燥後のコンデンサ素子に、グラファイト粒子懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることによりカーボン層を形成し、さらに、公知の技術にしたがって、銀ペースト層を形成した。
そして、陽極リードに銅からなる陽極端子を溶接し、銀ペースト層上に銀接着剤を塗布して接着層を形成し、接着層に銅からなる陰極端子の一端を接着させた。さらに、陽極端子および陰極端子の一部が露出するように、コンデンサ素子をエポキシ樹脂からなる外装樹脂で封止した。最後に、露出する陽極端子および陰極端子を外装樹脂に沿うように折り曲げた後、エージング処理を行った。製造された固体電解コンデンサの定格電圧は6.3V、定格容量は150μFであり、縦×横×高さが2.8mm×3.5mm×2.0mmであった。
<実施例2>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.5g、0.5gおよび1.5g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、実施例2では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.05質量%、0.05質量%、および0.15質量%であった。
<比較例1>
化成処理において、リン酸が0.4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製し、さらに固体電解コンデンサを製造した。すなわち、比較例1では、化成液として、リン酸の添加量が0.04質量%である水溶液を用いた。
<比較例2>
化成処理において、硫酸が0.4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製し、さらに固体電解コンデンサを製造した。すなわち、比較例2では、化成液として、硫酸の添加量が0.04質量%である水溶液を用いた。
<比較例3>
化成処理において、リン酸が0.2g、過酸化水素が0.6g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製し、さらに固体電解コンデンサを作製した。すなわち、比較例3では、化成液として、リン酸および過酸化水素の添加量が0.02質量%および0.06質量%である水溶液を用いた。
<性能評価>
≪陽極体の耐電圧試験≫
実施例1、2および比較例1〜3において作製された化成後の各陽極体から8個ずつを選択し、0.02質量%のリン酸水溶液中に浸漬し、電流値を0.01Aで一定にした状態で陽極体に電圧を印加した。電圧が安定して一定となったときの電圧を耐電圧とし、実施例1、2および比較例1〜3の平均値を算出した。この結果を表1の「陽極体の耐電圧(V)」に示した。
≪陽極体の漏れ電流の測定≫
実施例1、2および比較例1〜3において作製された各陽極体から8個ずつを選択し、0.02質量%のリン酸水溶液中に浸漬して、6.3Vの電圧を120秒間印加した。印加後、各陽極体の漏れ電流量を測定し、実施例1および比較例1〜3の平均値を算出した。この結果を表1の「陽極体のLC(μA)」に示した。
≪固体電解コンデンサの耐電圧試験≫
実施例1、2および比較例1〜3において作製された各固体電解コンデンサから8個ずつを選択し、印加する直流電圧を1V/秒の速度で上昇させて、耐電圧試験を行った。漏れ電流が1mA以上となったときの電圧を耐電圧とし、実施例1、2および比較例1〜3の平均値を算出した。この結果を表1の「固体電解コンデンサの耐電圧(V)」に示した。
≪固体電解コンデンサの漏れ電流の測定≫
実施例1、2および比較例1〜3において作製された各固体電解コンデンサから8個ずつを選択し、定格電圧を2分間印加した。印加後、各固体電解コンデンサの漏れ電流量を測定し、実施例1、2および比較例1〜3における平均値を算出した。この結果を表1の「固体電解コンデンサのLC(μA)」に示した。
Figure 2011216649
表1において、実施例1の陽極体の耐電圧は、比較例1の陽極体の耐電圧よりも大きく、実施例1の陽極体の漏れ電流は、比較例1の陽極体の漏れ電流よりも小さかった。また、表1において、実施例1の固体電解コンデンサについても、比較例1の固体電解コンデンサと比較して、耐電圧が大きく、漏れ電流が小さかった。この結果から、固体電解コンデンサの耐電圧性能の違いは、陽極体の性能の違いに起因するものであることがわかる。
実施例1および比較例2を比較しても、実施例1の陽極体および固体電解コンデンサのほうが耐電圧が大きく、漏れ電流が小さいことことがわかった。この結果から、硫酸を含む化成液を用いても、実施例1ほどの高性能な固体電解コンデンサを製造することはできないことがわかる。
実施例1と比較例1、2を比較することによって、さらに、実施例1のように高性能の固体電解コンデンサが得られる理由が、化成液中の化成促進剤の総量のみによるものではないことがわかった。すなわち、化成処理において、リン酸および硫酸だけでなく、過酸化水素も、誘電体被膜の酸化に関与することによって、固体電解コンデンサの耐電圧性能の向上が図れることがわかった。
また、実施例1と比較例3とを比較しても、実施例1の陽極体および固体電解コンデンサのほうが耐電圧が大きく、漏れ電流が小さいことがわかった。この結果から、リン酸および過酸化水素を含む化成液を用いても、実施例1ほどの高性能な固体電解コンデンサを製造することはできず、リン酸、硫酸および過酸化水素の3つの添加物が必要となることがわかった。
また、実施例1および2を見ると、いずれにおいても、比較例1〜3と比較して、製造された陽極体および固体電解コンデンサの耐電圧は大きく、漏れ電流が小さかった。すなわち、各物質の濃度が大きく、あるいは小さくなったとしても、各物質の混合比が同じであれば、高性能の固体電解コンデンサを製造できることがわかった。
次に、化成液におけるリン酸、硫酸および過酸化水素の混合比に着目して、検討を行った。
<実施例3>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.1gおよび0.2g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、実施例3では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.01質量%、および0.02質量%であった。
<実施例4>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、2gおよび4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、実施例4では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.2質量%、および0.4質量%であった。
<実施例5>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.1gおよび4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、実施例5では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.01質量%、および0.4質量%であった。
<実施例6>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、2gおよび0.2g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、実施例6では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.2質量%、および0.02質量%であった。
<比較例4>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.02gおよび0.2g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例4では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.002質量%、および0.02質量%であった。
<比較例5>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.02gおよび4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例5では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.002質量%、および0.4質量%であった。
<比較例6>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、4gおよび0.2g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例6では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.4質量%、および0.02質量%であった。
<比較例7>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、4gおよび4g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例7では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.4質量%、および0.4質量%であった。
<比較例8>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.1gおよび0.1g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例8では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.01質量%、および0.01質量%であった。
<比較例9>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、0.1gおよび6g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例9では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.01質量%、および0.6質量%であった。
<比較例10>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、2gおよび0.1g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例10では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.2質量%、および0.01質量%であった。
<比較例11>
化成処理において、リン酸、硫酸および過酸化水素がそれぞれ0.2g、2gおよび6g添加された1000gの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、陽極体を作製した。すなわち、比較例11では、化成液におけるリン酸、硫酸、および過酸化水素の各添加量は、0.02質量%、0.2質量%、および0.6質量%であった。
<性能評価>
実施例3〜6および比較例4〜11で製造された陽極体を用いて、上述と同様の方法により、耐電圧試験および漏れ電流の測定を行った。この結果を表2に示した。また、表2には、各化成液におけるリン酸、硫酸および過酸化水素の含有量を、リン酸、硫酸および過酸化水素の質量%を「リン酸の質量%:硫酸の質量%:過酸化水素の質量%」で記載した。また、化成液中におけるリン酸、硫酸および過酸化水素の含有量比を括弧内に記載した。
Figure 2011216649
表2から、各実施例の陽極体と比較して、各比較例の固体電解コンデンサは、耐電圧が小さく、漏れ電流が大きい結果となった。これらの結果から、化成液に添加されるリン酸、硫酸および過酸化水素の添加量の比は、1:0.5〜10:1〜20が好ましいことがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体電解コンデンサの製造において広く利用することができる。
10 基材、11 陽極リード、12 誘電体被膜、13 陽極体、14 導電性高分子層、15 コンデンサ素子、16 カーボン層、17 銀ペースト層、18 陽極端子、19 接着層、20 陰極端子、21 外層樹脂、31 処理浴、32 化成液、33 直流電源、34 陰極片、 100 固体電解コンデンサ。

Claims (3)

  1. 弁金属を基材とし、該基材の表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、前記陽極体の表面に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、
    リン酸、硫酸および過酸化水素を添加した化成液を用いて前記基材に化成処理を施すことによって、前記基材の表面に誘電体被膜を形成する工程と、
    前記誘電体被膜上に導電性高分子層を形成する工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記化成液に添加される、前記リン酸の質量%(A)、前記硫酸の質量%(B)、および前記過酸化水素の質量%(C)の比は、A:B:C=1:0.5〜10:1〜20である、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記化成液に添加される前記過酸化水素の質量%(C)は、0.01質量%以上20質量%以下である、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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