JP2011215301A - 位相差板の製造方法及びカラーフィルタ基板の製造方法並びに液晶表示装置 - Google Patents

位相差板の製造方法及びカラーフィルタ基板の製造方法並びに液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】面内位相差および厚み方向位相差の双方が異なる複数の領域を含み、かつ平坦性・耐熱性に優れた位相差層を簡便に製造する方法及びその製法により製造された位相差基板を提供すること。
【解決手段】支持体に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物からなる連続的な液晶材料層を形成し、前記液晶材料層を2つ以上の領域に分け、それぞれの領域に異なる条件で偏光および/または非偏光を照射することによって、複屈折率の異なる領域を2つ以上もうけた固体化液晶層からなる位相差板の製造方法であって、
前記領域毎に設定された照射光の条件のなかで最も露光量の小さい光を支持体全面に照射した後、全面に照射された光と同一条件の場合を除いて、前記領域毎に設定された条件で前記領域を個別に露光する工程を具備することを特徴とする位相差板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置の視野角特性を効果的に補償する位相差板とその製造方法およびそれを用いたカラーフィルタ基板に関するものである。
液晶表示装置は、薄型、軽量および低消費電力などの特徴を有している。そのため、近年、携帯機器およびテレビジョン受像機などの固定機器での利用が急速に増加している。
液晶表示装置は、パネル構成中にカラーフィルタ基板を設けることで、多色表示を行うことが可能である。例えば、多色画像を表示可能な透過型または反射方液晶表示装置では、一般に、赤、緑、および青色着色層(以下、単にR,G,Bと記すことがある)を含んだカラーフィルタが使用される。
液晶表示装置は、液晶や偏光板に起因して斜めからの視野角特性が悪いため、多くは位相差層を付加して補正している。例えば、テレビジョン受像機の液晶表示装置では、どの方向から観察しても見やすい画像を表示するように、位相差フィルムが直線偏光フィルムと組み合わせて使用されている。
しかしながら、カラーフィルタのR、GおよびBの画素を透過する着色光の波長域が異なっているにもかかわらず、通常、位相差フィルムの光学特性は、着色画素に対応する部位ごとの調整が難しいため面内で均一とせざるをえない。そのため、表示色が異なる画素の全てに最適な位相差を同時に発現させるようにはなっていない。
また、液晶層および位相差層の各々の位相差は波長分散を有している。そのため、液晶セルの位相差が位相差層によって充分に補償される設計を、ある色、例えばGを表示する画素に採用した場合、他の色(RとB)を表示する画素では、液晶セルの位相差が位相差層によって充分に補償されない可能性がある。
この問題を解決するために、RGB各画素上の対応する領域に、RGBごとに複屈折率が異なる層を形成する技術が開示されている。例えば特許文献3では、配向処理を施した基板上に光重合性の棒状液晶化合物をコレステリック配向させ、RGB各画素相当の領域毎に異なる照度および/または照射量の偏光または非偏光をパターン露光することで、RGB各画素に最適な位相差値を発現するとしている。
特許第4211872号公報 特開2008−225444号公報 特許第4201054号公報
しかし、パターン露光により不均一な重合または架橋を生じさせる場合、各領域間やパターン内外で、モノマーの流動やハジキにより膜厚差や段差が生じやすいという問題がある。段差発生のメカニズムとしては、光照射とその後の加熱により、光照射部で重合および/または架橋が進行すると、光照射部と未照射部との間で未反応モノマーの濃度に差が生じる。この濃度勾配が駆動力となり、膜形成物質がFickの法則に従って光照射部に流入することで、パターン端部にうねりや段差が発生すると考えられている。また、ITO積層時や、後工程での熱収縮の差によるパターンゆがみなども懸念されている。
さらには、RGB各画素相当の領域毎に異なる照度および/または照射量の偏光または非偏光を組み合わせてパターン露光することによって、露光工程が複雑化し、露光タクトが大幅に増加することが懸念される。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、面内位相差および厚み方向位相差の双方が異なる複数の領域を含み、かつ平坦性・耐熱性に優れた位相差層を簡便に製造する方法及びその製法により製造された位相差基板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の構成を以下に示す。
(請求項1)
少なくとも、基板と、その上に設けられた光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を架橋又は重合してなる連続的な液晶材料層と、を備えた位相差板の製造方法であって、
(a)基板上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を含むコーティング液を塗布して液晶材料層を形成する工程と、
(b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程と、
(c)前記サーモトロピック液晶化合物の等方相相転移温度よりも高い温度で加熱して、未反応の前記サーモトロピック液晶化合物の配向を乱しながら、この未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を重合又は架橋させて固体化液晶層を形成する工程と、を含み、
前記(b)工程の前後のいずれか、又は(b)工程の前後の両方で、
(d)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の直線偏光又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行うことを特徴とする位相差板の製造方法。
(請求項2)
前記(b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程において、
前記液晶材料層の複数の領域のうち、少なくとも1つの領域は、他の領域が直線偏光又は非偏光光を照射されている間に、直線偏光又は非偏光光を照射されないことを特徴とする請求項1に記載の位相差基板の製造方法。
(請求項3)
前記(b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程において、
まず前記液晶材料層に対して、直線偏光を照射して露光を行った後に、非偏光光を照射して露光を行うことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
(請求項4)
前記(b)工程の前に、
(d1)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の直線偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行い、
さらに前記(b)工程の後に、
(d2)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
(請求項5)
前記サーモトロピック液晶化合物は、メソゲンがコレステリック配向構造を形成していることを特徴とする請求項1乃至ら5のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
(請求項6)
前記(a)工程の前に、前記基板上に2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層を形成する工程を予め含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
(請求項7)
前記(c)工程の後に、前記固体化液晶層上に2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
(請求項8)
前記固体化液晶層の前記複数の領域は、前記カラーフィルタ層の前記着色層と対応することによって、カラーフィルタの色毎のリタデーションを光学補償するように向き合った位置に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
(請求項9)
請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタを用いてなる液晶表示装置。
本発明によると、面内位相差および厚み方向位相差の双方が異なる複数の領域を含み、平坦性・耐熱性に優れた位相差層を有する位相差基板を、露光タクトを抑えて製造することが可能になる。
本発明によって得られるカラーフィルタ付き位相差基板の断面図 本発明における偏光露光装置の構成を示す概略図 本発明における偏光板回転角度調整機構の概略図 本発明の露光工程における露光順序を説明するための図
本発明による、サーモトロピック液晶性を示す化合物を含んだ溶液を重合および/または架橋してなる薄膜を表面に形成した位相差基板について説明する。基板としてガラス、プラスチック、フィルム等を挙げることができる。このような基板は、カラーフィルタと組み合わせたカラーフィルタ基板としてのみならず、それ自体で位相差基板、位相差フィルムとして使用することも可能である。
以下では、着色画素を形成したカラーフィルタ基板上に液晶性化合物溶液を積層し、その後固定化してなる固体化液晶層を備えるカラーフィルタ付きの位相差基板を例に説明するが、本発明の位相差基板はこの例に限定されるものではなく、例えばカラーフィルタを設けない構成のものも含まれる。
図1は、本発明によって得られるカラーフィルタ付き位相差基板(以下、単にカラーフィルタ基板と記す)の一形態(部分)を例示した断面図である。本カラーフィルタ基板は、ガラス基板1の上にブラックマトリクス2およびカラーフィルタ層3、固体化液晶層4(以下、位相差薄膜とも記すことがある)が積層される構成となっており、当該位相差薄膜は面内に着色層の数に対応する複数の領域を有していて、それぞれは液晶化合物層の配向の程度が異なる状態で重合および/または架橋され固定化されている。なお、固体化液晶層4の図中の点線は配向の程度、すなわち複屈折率が異なる領域の境界を表しているのであって、固体化液晶層4は連続膜として形成されている。例えば赤色画素3(R)上の領域4(R)は、ほぼ完全に配向した状態であり複屈折性が最も強く発現されていて、緑色画素3(G)上の領域4(G)は、領域4(R)よりは配向の程度が低い状態であり複屈折性は比較的弱く、青色画素3(B)上の領域4(B)は、領域4(G)よりさらに配向の程度が低い状態でありRGBの中で最も複屈折性が少なく、ブラックマトリクス2上の領域4(BM)は配向が完全にランダムで複屈折性がないというように、カラーフィルタの色に応じた配向が施されている。配向の程度については、複屈折率の違いにより推測することができる。
固体化液晶層の配向の程度が各々異なることにより、当該領域の複屈折率も各々異なる結果となり、ひいては位相差の量もそれぞれ別個の値となる。
発現させる位相差の種類、すなわち本発明においては液晶の配向の種類となるが、これは少なくとも2種類は必要である。例えば棒状の分子に対しては、棒状液晶が面内に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のAプレート、同じく面に対して垂直となるように揃うホメオトロピック配向で得られる正のCプレート、面内に水平となりかつ螺旋を巻いたコレステリック配向で得られる負のCプレートがある。円盤状液晶にあっては、面に対して垂直となるように揃うホメオトロピック配向で得られる負のAプレート、面に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のCプレートなどが挙げられる。これらに限らず、棒状液晶が面内に水平となりかつ螺旋を巻いていて方位角が偏向した2軸性(正のAプレート/負のCプレート複合)となる状態等も考えられる。
例えば固体化液晶層が正のAプレートの場合、領域4では、xy平面において複屈折性を有しており、面内位相差Reが互いに異なっている。ここで面内位相差Re[nm]とは、xy面内で最大となる方向の屈折率をnx、nx方向とは垂直方向における屈折率をny、固体化液晶層4の厚みを
d[μm]としたときに、下式で表される。

Re=(nx−ny)×d×1000‥‥(数式1)
また、固体化液晶層が負のCプレートの場合、領域4は、複屈折性を有しており、厚み方向位相差Rth、あるいはNz係数が互いに異なっている。ここで厚み方向位相差Rth[nm]とは、xy面内で最大となる方向の屈折率をnx、nx方向とは垂直方向における屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、固体化液晶層4の厚みをd[μm]としたときに、下式で表される。

Rth={(nx+ny)/2−nz}×d×1000‥‥(数式2)

また、Nz係数は、

Nz=(nx−nz)/(nx−ny)=Rth/Re+1/2‥‥(数式3)

で定義される値である。
面内位相差及び厚み方向位相差の相違は、1つにはサーモトロピック液晶化合物の配向の程度が領域毎に異なって重合または架橋されていることに起因して生じる。例えば、サーモトロピック液晶の配向の程度が高い領域では、面内位相差ならびに厚み方向位相差Rthが大きくなる。一方、配向の程度が低い領域では、面内位相差ならびに厚み方向位相差が小さくなる。
さらに、面内位相差及び厚み方向の位相差の相違は、サーモトロピック液晶化合物の配向の程度が、面内の方位によって異なって、すなわち配向の程度が異方性を有した状態で重合または架橋されていることに起因する。この場合、ある領域はNz係数が他の領域と異なることになる。
ここで、「配向の程度」とは、面内方向に隣り合った領域それぞれにおけるサーモトロピック液晶の配向の状態を意味する。サーモトロピック液晶化合物の配向の状態は、その領域の全体にわたって一定であってもよく、z方向に沿って変化していてもよい。例えば、ある領域においては、上面付近はより配向のそろった状態であり、下面付近はより配向が乱された状態であってもよい。この場合、「配向の程度」とは、厚み方向の平均を示す。
具体的には、領域4(B)では、サーモトロピック液晶の配向の程度が低く、厚み方向位相差Rthが小さくなる。一方、領域4(R)ではサーモトロピック液晶の配向の程度が高く、厚み方向位相差Rthが大きくなる。
本発明のカラーフィルタ基板において、領域のうち一つは、液晶を無配向の状態で固定化することにより光学的に略等方としてもよい。当該固体化液晶層領域は実質的に位相差がなくなるため単なる透明薄膜として作用する。
本発明のカラーフィルタ基板は、領域ごとに固体化液晶層の複屈折率を異ならしめることでその位相差を所望の値に制御しようとするものであるから、別個の位相差量を有する領域に対して当該層の膜厚を違える必要はない。従って、複数の領域がいずれも略同一の膜厚、すなわち位相差薄膜全域で膜厚を等しく形成することによって固体化液晶層を容易に形成することができる。
本発明のカラーフィルタ付き位相差基板を得る手段は種々考えられるが、カラーフィルタ層の形成方法については既存のカラーフィルタの製造法を用いることが可能である。カラーフィルタ層は基板上に直接設けてもよいし、基板上に予め設けた固体化液晶層の上に設けることもできる。以下に一例として、顔料を顔料担体に分散した着色樹脂組成物を色毎に所定領域に成膜して硬化させ、着色した画素を形成する場合について記述する。
着色樹脂組成物層を設ける方法としては、バーコータ、アプリケータ、ワイヤーバー、スピンコータ、ロールコータ、スリットコータ、カーテンコータ、ダイコータ、キャピラリーコータやコンマコータなどの公知の方法が挙げられる。露光方式としては、例えば、超高圧水銀灯や半導体レーザを光源とした紫外線により、遮光部を形成したフォトマスクを用いた、プロキシミティ方式、あるいは、凸及び凹面鏡を使用した光学系を用いたミラープロジェクション露光方式、投影レンズを配し照射面を分割するレンズ投影露光方式などが挙げられる。現像液としては、有機溶剤系またはアルカリ水溶液系が一般的に用いられるが、環境安全性の確保から、無機アルカリ系が好ましい。
着色樹脂組成物の着色剤としては、顔料、染料等を使用することができる。本発明では、耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。着色剤として、具体的には、Pigment Red9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、Pigment Blue15、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green7、36、Pigment Yellow20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185、Pigment Orange36、Pigment Violet23、等を使用することができる。さらに所望の色相を得るために2種類以上の材料を混合して用いることができる。
着色樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂は、色素との関係で公知のカラーフィルタ基板の製造に用いる材料から適宜選択される。具体的には、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。特に、耐熱性や耐光性を要求されるカラーフィルタを製造する場合には、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
着色樹脂組成物に用いられる溶媒は、具体的には、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等を挙げることができる。
また、この他にも、溶媒の沸点をより高めるために、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることが可能である。また、必要に応じて2種類以上の溶媒を前記条件に合うように混合し、調合したものを用いる。
着色樹脂組成物の分散剤は、樹脂への色素の分散を向上させるために用いる。分散剤として、イオン性または非イオン性界面活性剤などを用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。分散剤は1種類を単独で使用してもよく、また、2種類以上を混合して用いることも可能である。
本発明におけるカラーフィルタは、平面体上に、印刷法またはフォトリソグラフィー法により形成される複数色の表示画素を具備する。平面体としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また平面体の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。さらにまた平面体上には、本発明の液晶固定化層が形成されていてもよい。
印刷法による各色表示画素の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
フォトリソグラフィー法により各色表示画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、平面体上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明におけるカラーフィルタ層は、上記方法の他にインキジェット法、電着法、転写法などにより製造することができる。なおインキジェット法は、平面体上に形成した遮光性離画壁で区切られた領域に、各色インキを微細ノズルによって吐出着弾させて表示画素を形成する方法である。電着法は、平面体上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色表示画素を透明導電膜の上に電着形成する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の平面体に転写させる方法である。
次に、固体化液晶層の形成方法について説明する。
固体化液晶層は、例えば、支持体又は支持体の上に予め形成されたカラーフィルタ層上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層を成膜し、この液晶材料層をパターン露光と熱処理とに供することによって得る。
液晶材料層は、例えば、カラーフィルタ層上に、サーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、それら化合物のアクリレート、またはそれら化合物のメタクリレートを使用することができる。
キラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物が挙げられる。キラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成されれば、キラル剤の種類は特に限定されない。ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、当該重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できる任意の化合物を、キラル剤として用いることができる。
液晶に螺旋構造を誘起させるために用いられるので、キラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必要である。したがって、ここで用いられるキラル剤としては、例えば、1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスルフォキシドなどのようにヘテロ原子上に不斉点をもつ化合物、あるいはクムレンやビナフトールなどの軸不斉をもつ光学活性な部位を有する化合物が好ましい。具体的には、市販のキラルネマチック液晶(例えばPaliocolor LC756(BASF社製),キラルドーパント液晶S−811(Merck社製)等)が挙げられる。
なお、本発明の固体化液晶層は、可視光領域において透明度が高いことが求められるので、キラル剤は、液晶材料層の螺旋ピッチが短く選択反射の波長が400nm程度以下になるような量で添加される。キラル剤の具体的な添加量は、用いるサーモトロピック液晶化合物の種類あるいはキラル剤のねじれ誘起力等によっても異なるが、例えばサーモトロピック液晶化合物に対して2乃至50重量部とすることができる。
コーティング液には、光重合開始剤が含まれていてもよい。
光重合開始剤としては、二色性の光重合開始剤を用いることができ、例えば下記化学式で表わされるビフェニルシクロヘキサン誘導体が挙げられる。このような二色性の光重合開始剤は、後述する露光工程において、面内で特定の方位を向いたサーモトロピック液晶化合物について固定化を誘起しやすく、屈折率の面内異方性が大きな固体化液晶層を得ることが容易であるという点で好ましい。
Figure 2011215301
光重合開始剤は、必ずしも二色性を有していなくともよい。二色性の光重合開始剤をコーティング液に添加せず、その他の光重合開始剤を用いても、あるいは光重合開始剤を用いなくても、本実施形態の位相差板を得ることができる。これは、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料そのものが光による反応に異方性を有しているためと推定される。
光重合開始剤としては、前述の二色性の光重合性開始剤およびその他の光重合開始剤のいずれか、またはこれらを2種以上混合して添加することができる。その含有量は、コーティング液中における液晶化合物100重量部に対して0.1乃至30重量部が好ましく、0.3乃至10重量部がより好ましい。
コーティング液には、溶剤を加えることができる。
溶剤としては、前述の着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができ、コーティング液中の液晶化合物100重量部に対して100乃至3000重量部、好ましくは200乃至1000重量部を用いることができる。
コーティング液には、さらに必要に応じて、熱重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等を、適量添加することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、およびn−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのような過酸化物開始剤;2,2’アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、およびジtert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチルイソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、およびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tブチルベンジル)サルファイドなどのフェノール系禁止剤が挙げられる。
さらに、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、およびジアリール−p−フェニレンジアミンなどのアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、および2−メルカプトベンズイミダノールなどの硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系禁止剤などの重合禁止剤を用いることもできる。
界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等は、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法、これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法、インキジェット法、またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、カラーフィルタ層上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
液晶材料層においては、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック構造に配向している。場合によっては、こうしたメソゲンとともに、二色性の光重合開始剤もコレステリック構造に配向している。したがって、非偏光照射および偏光照射を液晶材料層に行なうことによって、所望の割合ならびに所望の異方性の程度で、サーモトロピック液晶化合物を重合または架橋させることができる。この場合、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋は、不均一であるということができる。
以上のようにして得られた液晶材料層に対し、露光工程を行なう。例えば、図1示すように、カラーフィルタ層3の着色領域3(R)、3(G)、3(B)に対応した領域に固体化液晶層4を分割してパターン露光を行う。露光領域を分割する方法としては、フォトマスクを使用する方法、光束を走査する方法、あるいはそれらの技術を併用しても良い。
パターン露光光は、偏光と非偏光との組み合わせによって構成され、領域毎に偏光照射および/または非偏光照射の条件が異なる。
露光工程に使用する光としては、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波が挙げられる。より具体的には、波長180乃至400nmの光を含む紫外線が、典型的には用いられる。
なお、非偏光照射の条件が異なるとは、露光時間・照度・輝線等のうちいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる照射エネルギー、すなわち異なる露光量となるように光を照射するが、材料によっては相反則不軌の性質がみられる。その場合には、必ずしも露光量を異ならせる必要はない。例えば、ある領域には高照度で短時間、別の領域には低照度で長時間露光を行ない、結果として双方の領域の露光量(照度×露光時間)が同じであってもよい。
偏光照射の条件には、偏光の楕円率および偏光の消光比が含まれる。偏光照射の条件が異なるとは、前述の非偏光照射で変更する条件に加えて、偏光の楕円率・偏光の消光比のうち一つまたはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる露光量となるように光を照射するが、必ずしも露光量を異ならせる必要がない点は非偏光照射の場合と同様である。偏光照射において用いることのできる光としては、直線偏光または楕円偏光が挙げられる。上述したように変更する条件として楕円率・消光比を選択してもよいが、直線偏光を用いて消光比も一定とし、他の条件を変更するのが簡便である。
以下、領域によって露光量を異ならせ、偏光照射には直線偏光を用いる場合を例に挙げて説明する。
液晶材料層においては、照射された光の種類および露光量に応じて、メソゲンが形成しているコレステリック配向状態が固定化され、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせる。サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲンは流動性を失い、その後の工程においても配向の変化を生じ難くなる。
例えば、照射光として十分な露光量の非偏光のみが照射された領域では、メソゲンのコレステリック配向状態は概ね維持されたまま固定化される。メソゲンがコレステリック配向状態にあるサーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。
照射光として十分な露光量の直線偏光のみが照射された領域では、コレステリック配向構造を形成したメソゲンのうち、偏光軸に応じた面内で特定の方位を向いているものについてその配向状態が概ね維持されたまま固定化される。その一方、他の方位を向いているものは、配向の状態は変わらないものの固定化されず流動性を有したままとなる。非偏光が照射された領域と比較すると、配向状態が固定化されたサーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋生成物は、メソゲンが特定の方位を向いているものに偏って存在するので、全体としては未重合あるいは未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高くなる。
こうした露光工程においては、液晶材料層におけるサーモトロピック液晶化合物の重合の程度あるいは重合の異方性の程度が、いわば「潜像」として形成される。
露光工程を完了した後、現像工程を行なう。すなわち、液晶材料層を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。この現像工程によって、前述の露光工程で形成された「潜像」が、メソゲンの配向の状態の変化として発現する。
具体的には、次に示すとおりである。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲン部位は固定されていない。それゆえ、液晶材料層を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向が乱される。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定されている。
したがって、カラーフィルタ層の画素形状に沿ってパターン露光を行った場合、図1のブラックマトリクス2上の領域4(BM)は露光されていないため、メソゲンのコレステリック配向は現像工程によってほぼ完全に乱されて等方相となる。すなわち、面内で最大となる屈折率をnx、面内であって
nx方向と直交する方向の屈折率をny、法線方向の屈折率をnzとすると、nx≒ny≒nzとなる。
照射光として十分な露光量の非偏光のみが照射された領域においては、メソゲンの配向の状態は、この熱処理によって顕著に変化しない。コレステリック配向を概ね保って固定化されたままの状態であり、屈折率はnx≒ny>nzとなる。また前述の光を照射しなかった領域と比較して、nyはより大きくなり、nzはより小さくなる。
照射光として十分な露光量の直線偏光が照射された領域におけるメソゲンの配向は、偏光軸に応じた面内で特定方位を向いたものについては固定されたままである一方、他の方位を向いたものは乱される。すなわち、異方性のある配向乱れが生じ、屈折率はnx>ny>nzとなる。そして、前述の非偏光を照射した領域と比較して、nxはより大きくなり、nyはより小さくなる。
直線偏光の露光量、非偏光の露光量、あるいは直線偏光と非偏光とにおける露光量の比率などを変更して露光工程を行なった後、現像工程を行なうことによって、液晶材料層の複数の領域のそれぞれにおけるメソゲンの配向状態を、任意に制御することが可能となる。
実際には、図1の固体化液晶層4の領域4(R)、4(G)、4(B)毎に設計値として面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rthを定め、この設計値通りの位相差を得るために直線偏光および非偏光の露光量を調整し、nx、ny、nzを制御することになる。照射される非偏光の露光量が大きいほど、面内の屈折率nx、nyに対して法線方向の屈折率nzが小さくなり、結果として厚み方向位相差Rthが大きくなる。また、照射される直線偏光の露光量が大きいほど、メソゲンの配向の偏りが大きくなり、結果として面内位相差Reが大きくなる。
前述の通り、非偏光を照射した場合はサーモトロピック液晶がメソゲンの方位によらず固定化されるのに対し、直線偏光を照射した場合は偏光軸に応じた面内で特定方位を向いたメソゲンに偏って固定化される。一度固定化されたサーモトロピック液晶のメソゲンは方位の変化が起こりにくくなるため、非偏光を照射した後で直線偏光を照射しても、直線偏光照射による方位の偏りを得ることは難しい。したがって、一つの領域に直線偏光および非偏光の両方を照射する場合、直線偏光を先に照射することが望ましい。
現像工程により領域毎に異なる配向の状態が達成された後には、定着工程を行なって、未反応化合物のメソゲンについて配向の状態を維持したまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相に相転移する温度よりも高い温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、加熱による定着工程が考えられる。具体的には、液晶材料層を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層を得る。なお、現像工程における加熱温度は、例えば、前述の相転移温度以上でありかつ重合および/または架橋温度未満とする。
ある温度に加熱することによって、未反応化合物が重合および/または架橋する材料である場合、現像工程における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。すなわち現像工程と定着工程とを同時に行なってもよい。ただし、この場合、配向乱れの発生と重合および/または架橋とが同時に進行する。そのため、製造条件が固体化液晶層の光学特性に及ぼす影響が比較的大きい。
ここで、前述の通り、現像工程および定着工程の加熱においては、未露光部のサーモトロピック液晶化合物が流動性を持つために、ハジキやうねりが発生すると考えられる。したがって、図1の基板においてパターン露光を行った場合は、露光部である領域4(R)、4(G)、4(B)と非露光部である領域4(BM)の境界において膜厚段差が発生し、基板表面の平坦性が損なわれる問題があった。
より具体的に膜厚段差の発生原因を述べると、露光によって重合および/または架橋が進行することにより、露光部と未露光部との間で未反応モノマーの濃度に差が生じるため、その後の加熱工程においてこの濃度勾配が駆動力となり、膜形成物質がFickの法則に従って露光部に流入することにより膜厚段差が生じると考えられる。よって、領域4に対しても露光を行い未反応モノマーの濃度差を軽減することにより膜厚段差を抑制することができる。ただし、領域4(BM)の形状は、通常、画素部である領域4(R)、4(G)、4(B)とは異なるため、領域4(BM)を単独で露光するためには、別途フォトマスクを用意する必要がある。ここで、領域4(BM)はブラックマトリクスにより光が遮断されるため、いかなる位相差をもっても光学的な影響を生じない。したがって、本発明では、膜厚段差を抑制する対策として、各領域に異なる条件で露光を行う前に、又は各領域に異なる条件で露光を行った後に、又はその両方の時点で、基板全面に露光する工程を設け、未露光部が存在しないようにする。全面露光の照射光としては、パターン露光で各領域に照射される光に応じて、直線偏光と非偏光のどちらか、またはその両方である。
図1の領域4(R)、4(G)、4(B)すべてが照射光の条件に直線偏光を含む場合、全面露光の照射光として直線偏光を選択することができる。例えば、領域4(R)、4(G)、4(B)のなかで領域4(R)の目標とするReが最も小さい場合、すなわち3つの領域の中で領域4(R)に照射される直線偏光の露光量が最も小さい場合、領域4(R)に照射することになっていた直線偏光を全面露光の照射光として選択することができる。全面露光後に、領域4(G)、4(B)には個別に追加の直線偏光をパターン露光することにより、それぞれの目標とするReを得ることができる。当然、領域4(G)または4(B)に照射される直線偏光の露光量が領域4(R)に照射される直線偏光の露光量、すなわち全面露光される直線偏光の露光量と一致する場合、その領域に対する追加のパターン露光は必要としない。また、全面露光の照射光として、領域4(R)、4(G)、4(B)のそれぞれに設定された直線偏光の露光量のいずれよりも小さな露光量の直線偏光を選択することもできる。この場合、全面露光を行った後で、領域4(R)、4(G)、4(B)を個別に直線偏光でパターン露光することになる。ただし、この場合、露光回数が多くなり露光タクトが増大してしまうため、位相差の階調制御をする上で問題がない限り、前者の方法が望ましい。
図1の領域4(R)、4(G)、4(B)すべてが照射光の条件に非偏光を含む場合、全面露光の照射光として非偏光を選択することができる。露光量の設定方法としては、直線偏光の場合と同様に、領域4(R)、4(G)、4(B)のそれぞれに設定された非偏光の中で最も露光量の小さい非偏光を選択する方法と、それよりもさらに露光量の小さい非偏光を選択する方法が考えられる。ただし、前述の通り、非偏光と直線偏光の両方を照射する領域がある場合、直線偏光を先に照射することが望ましいため、非偏光の全面露光はパターン露光終了後、露光工程の最後に行うことが望ましい。全面露光の露光量とパターン露光の露光量が一致する場合、その領域のパターン露光を省略できる点は直線偏光の場合と同様である。
図1の領域4(R)、4(G)、4(B)すべてが照射光の条件に非偏光と直線偏光の両方を含む場合、全面露光の照射光として非偏光と直線偏光のいずれか一方、または両方を選択することができる。膜厚段差を可能な限り小さくするためには両方を照射することが望ましい。この場合、非偏光の照射は、前述の通り、パターン露光終了後、露光工程の最後に行うことが望ましい。
図1の領域4(R)、4(G)、4(B)において、直線偏光のみ照射する領域と非偏光のみ照射する領域が混在する場合は、液晶材料層の表層のみが重合および/または架橋され、領域4(R)、4(G)、4(B)の位相差には影響を与えないように露光量を必要最低限度とした直線偏光または非偏光を全面露光に用いる。必要最低限な露光量の具体的な値は、サーモトロピック液晶化合物の種類、光重合開始剤の種類と量、その他添加剤の有無および種類と量、照射する光の種類と強度などに応じて大きく異なるので、一概に述べることはできないが、典型的には、必要最低限な露光量は、5〜10mJ/cm^2程度である。
次に、実際の露光機での露光順をさらに詳細に説明する。
図2は、本発明における偏光露光装置の構成を示す概略図である。プロキシミティー露光機に偏光板9を具備した形態を示したものであり、偏光露光装置の光学経路を示す。光源5から発生した光は、楕円ミラー6に反射して、ミラーに反射された光が熱線カットフィルター7に反射してインテグレーターレンズ8を通る。そして、偏光板9によって偏光化された光はコリメーションレンズ10にて反射し、凹面鏡11を介することによって平行光となる。平行光はマスク12に入射され、マスク開口部の光のみが被照射基板上の塗布膜に照射される。
また、露光方式は、近接露光方式、又は近接走査露光方式、又は投影露光方式のうちいずれか一つを採用する。
上記で使用する光源としては、紫外線を照射するランプが用いられるが、その他公知の光源を用いても良い。また露光量は照度に時間を乗じたエネルギーである。したがって、露光装置に搭載した照度計の測定値から、所望の露光量に必要な露光時間を算出する。算出された露光時間はシャッター開閉によって制御する。シャッターはインテグレーター手前に具備するのが一般的である。
ここで、偏光板9はインテグレーターレンズ8の直後に設置してあるが、インテグレーターレンズ8前、またはインテグレーターレンズ8の中に設置してもかまわない。また、スペースが許せば、光源から遮光マスクまでの光路中のどの位置に設置してもかまわない。しかし、スペース以外に偏光板9の大きさも関与してくるため、インテグレーターレンズ8前後等の光学設計的になるべく集光している位置が望ましい。
図3は、本発明における偏光板回転角度調整機構の概略図であり、光路中の偏光板およびインテグレーターレンズの回転方向を示した概略図である。本発明は、前記偏光板が、光照射方向に対して垂直に設置されており、前記偏光板の回転角度を調整することができる偏光板回転角度調整機構を備えている。図3(a)は、X−Z平面におけるインテグレーターレンズ8と偏光板9との位置関係を示し、偏光板を光軸に対して垂直に設置する。図3(b)は、Y−Z平面における偏光板9の回転方向16を示す。回転軸は即ち光軸となる。直線偏光が照射される位相差膜において、メソゲンの配向の偏りを生じさせたい方向に応じて光軸を調整する。
また、本発明における偏光露光装置は、照射光を直線偏光と非偏光のいずれかに切り替えるため、偏光板を照射光の光学経路に挿入および取り出す機構を具備している。
パターン露光を行う際には、カラーフィルタを構成する色の中でいずれか1色の開口部に照射光が透過するように遮光部と開口部が配列されている遮光マスク12と基板14を位置調整する。位置調整には遮光マスク12と基板14に設けられたアライメントマークを用いる。基板14のアライメントマークは色毎に設けられており、露光する色を切り替えるたびに遮光マスク12のアライメントマークと露光ターゲットとなる色のアライメントマークを位置調整する。
本発明の偏光露光装置において露光タクトを決める主要因としては、直線偏光と非偏光の切り替え、すなわち偏光板の出し入れに関する動作と、遮光マスクと基板のアライメントに関する動作の2つが上げられる。偏光板の出し入れに関する動作には、前述した偏光板の回転軸の調整も含まれる。
露光タクトを可能な限り短くするためには、これら2つの要因のうち、より時間のかかる動作を少なくすることが必要となる。すなわち、同じ偏光状態の光の照射を優先するのか、または、同じ色の開口部に対する光の照射を優先するのかということになる。
偏光板の出し入れに関する動作の方が時間を要する露光機の場合には、同じ偏光状態の光の照射を優先すればよい。具体的には、まず、偏光板を光学経路に挿入し、直線偏光の照射を必要とする色の開口部に対して順次アライメントをして露光を行う。次に、偏光板を取り出し、非偏光の照射を必要とする色の開口部に対して順次アライメントをして露光を行う。この方法では、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作は1回でよい。一方、同じ色の開口部に対する光の照射を優先した場合、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作は最大で色の数と同じ回数だけ行う必要がある。例えば、Red、Green、Blueの3色からなるカラーフィルタでは、最大で3回の動作を必要とする。
反対に、遮光マスクと基板のアライメント動作の方が時間を要する露光機の場合には、同じ色の開口部に対する光の照射を優先すればよい。具体的には、露光ターゲットとなる色の開口部と遮光マスクの開口部をアライメント動作により合わせ、その色に必要な直線偏光および非偏光の照射をすべて終えた後で、次の露光ターゲットとなる色の処理に移り、以降、すべての色の処理が完了するまでこの動作を繰り返す。すなわち、この方法では色毎に処理を完了していくことになるので、アライメント動作の回数は色の数と同じ回数でよい。一方、同じ偏光状態の光の照射を優先した場合、アライメント動作は最大で色の数×2−1回行う必要がある。例えば、Red、Green、Blueの3色からなるカラーフィルタでは、最大で5回のアライメント動作を必要とする。
次に、表1に示した色毎の露光量の例を元に、全面露光で照射する光の選択とパターン露光の順番の選定方法を具体的に説明する。表1はRed、Green、Blueの3色からなるカラーフィルタ上に塗布された液晶材料層に対する露光量を、直線偏光と非偏光のそれぞれについて記載したものである。全面露光に用いる直線偏光としては、最も露光量の小さいRedに用いる直線偏光か、またはそれよりも露光量の小さい直線偏光を選択する。また、全面露光に用いる非偏光としては、最も露光量の小さいBlueに用いる非偏光か、またはそれよりも露光量の小さい非偏光を選択する。
Figure 2011215301
図4(a)は同じ偏光状態の光の照射を優先し、全面露光にRedの直線偏光とBlueの非偏光を用いた場合の露光順序を示した図である。最初の偏光露光は全面露光であるが、偏光板の光軸と基板の相対関係を設計通りにするためにアライメント動作を必要とする。この場合、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作は1回、アライメント動作は4回行われる。また、最後に全面に照射する非偏光としてBlueに照射する非偏光よりも露光量の小さい非偏光を選択した場合、図4(a)のRed非偏光照射とBlue非偏光照射の間にもアライメント動作を必要とするため、アライメント動作は全部で5回行われる。
図4(b)は同じ色の開口部に対する光の照射を優先し、全面露光にRedの直線偏光とBlueの非偏光を用いた場合の露光順序を示した図である。この場合、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作は3回、アライメント動作は3回行われる。
実際の露光工程では、図4(a)(b)の手法でタクトタイムの短い手法を選択することにより、面内位相差および厚み方向位相差の双方が色毎に異なり、平坦性・耐熱性に優れた位相差層を有する位相差基板を、露光タクトを抑えて製造することが可能になる。
以下、実施形態に沿った具体的な露光検証結果について説明する。露光装置の機構は図2に示した通りであるが、本検証においては、インテグレーターレンズの後に偏光板を搭載した近接露光装置によって行った。
被露光基板はRed、Green、Blueの3色画素からなるカラーフィルタに配向膜を塗布、ラビングし、その上にコレステリック液晶からなる重合性液晶を塗布した基板を使用した。
固体化液晶層の位相差目標値と、その位相差目標値を実現するために液晶材料層に照射される光の露光量を色毎にまとめたのが表2である。
Figure 2011215301
露光工程の最初に全面に照射する直線偏光は、最も露光量の小さいBlueに用いる直線偏光(10mJ/cm^2)とした。また、露光工程の最後に全面に照射する非偏光は、最も露光量の小さいRedに用いる非偏光(30mJ/cm^2)とした。
また、本検証で用いた露光装置において、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作を1回行うのに要する時間は15秒であり、遮光マスクと基板のアライメントを1回行うのに要する時間は5秒だった。これを元に、図4(a)(b)それぞれの手法の露光タクトを計算したのが表3である。表3より、本検証に用いた露光装置においては、偏光板の挿入から取り出しまでの一連の動作を1回しか行わない図4(a)方式の露光タクトの方が短いため、本検証ではこちらの手法を採用した。
Figure 2011215301
図4(a)方式での露光工程の後、加熱による現像工程および定着工程を経て固体化液晶層を得た。この固体化液晶層の位相差を色毎に測定したところ、表2に示した位相差目標値に一致する位相差が得られていることが確認された。
また、Red、Green、Blueそれぞれの開口部とブラックマトリクスの境界部分における膜厚段差を測定した結果を表4に示す。表4には比較のため、直線偏光および非偏光による全面露光を行わなかった場合の膜厚段差も記載している。この結果より、本発明の露光工程を行った場合の膜厚段差は、色によって多少の差はあるが、本発明の露光工程を行わなかった場合の膜厚段差のおよそ10〜20%まで軽減された。
Figure 2011215301
確認のため、図4(b)方式での露光工程についても検証を実施したところ、露光タクトは長いものの、固体化液晶層の位相差と膜厚段差については図4(a)方式と同等の結果が得られた。
以上の結果より、面内位相差および厚み方向位相差の双方を目標値通りに発現させ、平坦性・耐熱性に優れた位相差層を有する位相差基板を、露光タクトを抑えて製造することが可能になった。
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリクス
3・・・カラーフィルタ層
3(R)・・・赤色画素
3(G)・・・緑色画素
3(B)・・・青色画素
4・・・固体化液晶層
4(R)・・・赤色画素上の固体化液晶層
4(G)・・・緑色画素上の固体化液晶層
4(B)・・・青色画素上の固体化液晶層
5・・・光源
6・・・楕円ミラー
7・・・熱線カットフィルター
8・・・インテグレーターレンズ
9・・・偏光板
10・・・コリメーションミラー
11・・・凹面ミラー
12・・・遮光マスク
13・・・塗布膜
14・・・ガラス基板
15・・・露光ステージ
16・・・偏光板回転軸

Claims (9)

  1. 少なくとも、基板と、その上に設けられた光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を架橋又は重合してなる連続的な液晶材料層と、を備えた位相差板の製造方法であって、
    (a)基板上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を含むコーティング液を塗布して液晶材料層を形成する工程と、
    (b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程と、
    (c)前記サーモトロピック液晶化合物の等方相相転移温度よりも高い温度で加熱して、未反応の前記サーモトロピック液晶化合物の配向を乱しながら、この未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を重合又は架橋させて固体化液晶層を形成する工程と、を含み、
    前記(b)工程の前後のいずれか、又は(b)工程の前後の両方で、
    (d)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の直線偏光又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行うことを特徴とする位相差板の製造方法。
  2. 前記(b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程において、
    前記液晶材料層の複数の領域のうち、少なくとも1つの領域は、他の領域が直線偏光又は非偏光光を照射されている間に、直線偏光又は非偏光光を照射されないことを特徴とする請求項1に記載の位相差基板の製造方法。
  3. 前記(b)前記基板上の前記液晶材料層に対して、複数の領域ごとに異なる露光量となるように直線偏光及び/又は非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程において、
    まず前記液晶材料層に対して、直線偏光を照射して露光を行った後に、非偏光光を照射して露光を行うことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
  4. 前記(b)工程の前に、
    (d1)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の直線偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行い、
    さらに前記(b)工程の後に、
    (d2)前記基板上の前記液晶材料層の全面に、略均一な露光量の非偏光光を照射して、前記光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物の一部を重合又は架橋させる工程を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
  5. 前記サーモトロピック液晶化合物は、メソゲンがコレステリック配向構造を形成していることを特徴とする請求項1乃至ら5のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
  6. 前記(a)工程の前に、前記基板上に2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層を形成する工程を予め含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
  7. 前記(c)工程の後に、前記固体化液晶層上に2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
  8. 前記固体化液晶層の前記複数の領域は、前記カラーフィルタ層の前記着色層と対応することによって、カラーフィルタの色毎のリタデーションを光学補償するように向き合った位置に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のカラーフィルタ付き位相差板の製造方法。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタを用いてなる液晶表示装置。
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