JP2011214508A - 気筒休止機構を備える多気筒内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気バルブ11及び排気バルブ12を閉状態に維持して気筒を休止させる気筒休止機構を備える多気筒内燃機関において、気筒休止機構の作動時に休止気筒の点火プラグへの通電を休止する。
【選択図】図7
Description
そこで、本発明の目的は、気筒休止機構を備える多気筒内燃機関において、休止している気筒における点火プラムのくすぶりを抑制することができる気筒休止機構を備える多気筒内燃機関を提供することにある。
上記構成によれば、気筒休止期間中は、吸気バルブ(11)及び排気バルブ(12)を閉状態に維持しているので、燃焼室内(シリンダ内)にオイルがたまり易くなるが、気筒休止中に点火プラグへの通電を休止するので、気筒休止期間中に燃焼室内にたまったオイルによる点火プラグのくすぶりを防止できる。
これとともに、これらのバルブを閉状態に維持せず開閉をさせる場合に生じるポンピングロスが発生しない。
上記構成によれば、休止気筒を稼働気筒に移行する際に燃焼室内のガスが新気に入れ替えられるので、点火プラグに付着したり、燃焼室内に残留するオイルの掃気と吸気ポート内に付着した燃料を掃気することができ、気筒稼動時においても、燃焼効率を向上させて休止されていた気筒の点火プラグのくすぶりを防止でき、適正な空燃比での稼働(運転)再開が可能となる。
上記構成によれば、燃焼室内には燃料が含まれないので、燃費を向上できるともに、稼働後の燃焼効率を向上させて休止していた気筒の点火プラグのくすぶりを防止できる。
上記構成によれば、低負荷低回転時には、気筒休止を停止して、全気筒を稼動気筒とするので、低負荷低回転時における気筒の休止期間を実効的に短くでき、いわゆるオイル上がりによる潤滑油の燃焼室内への侵入を抑制して、点火プラグに付着した潤滑油による、休止していた気筒の点火プラグのくすぶりを防止できる。
上記構成によれば、低負荷低回転時における気筒の休止期間を実効的に短くでき、いわゆるオイル上がりによる潤滑油の燃焼室内への侵入を抑制して、点火プラグに付着した潤滑油による、休止していた気筒の点火プラグのくすぶりを防止できる。
上記構成によれば、各気筒の休止期間を実効的に短くでき、いわゆるオイル上がりによる潤滑油の燃焼室内への侵入を抑制して、点火プラグに付着した潤滑油による、休止していた気筒の点火プラグのくすぶりを防止できる。
また、休止気筒を稼働する際に、当該休止気筒の燃焼室内のガスを新気に入れ替えているので、点火プラグに付着したり、燃焼室内に残留するオイルの掃気と吸気ポート内に付着した燃料を掃気することができ、気筒稼動時においても、燃焼効率を向上させて休止されていた気筒の点火プラグのくすぶりを防止でき、適正な空燃比での稼働(運転)再開が可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る内燃機関を備えた自動二輪車を示す左側面図である。なお、以下の説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は車体に対してのものとする。
自動二輪車110の車体フレーム111は、車体前部に位置するヘッドパイプ112と、このヘッドパイプ112から車体中央まで後方に延びる左右一対のメインフレーム114と、メインフレーム114の後端部から下方に延びる左右一対のピボットプレート115と、メインフレーム114の後端部から車体後部まで延びるリヤフレーム(不図示)とを備えている。
ヘッドパイプ112には、フロントフォーク116が回動自在に取り付けられ、このフロントフォーク116の下端に前輪117が回転自在に支持されている。また、ヘッドパイプ112の上部には、操舵用ハンドル118が取り付けられている。
前側バンクBfの排気口には、左右一対の排気パイプ119の一端が接続され、排気パイプ119は、排気口から下側に延びた後に、車体後方に向かって引き回され、後側バンクBrの排気口から延びる左右一対の排気パイプ120に接続されて集合され、一本の排気管127(図3参照)を介して、内燃機関1の後方に設けられたマフラー(不図示)に連結されている。
内燃機関1の後部には、車体を停めるためのスタンド125が設けられている。また、内燃機関1の左側面の下部には、サイドスタンド126が設けられている。
また、自動二輪車110は、車体を覆う樹脂製の車体カバー150を有し、この車体カバー150は、車体フレーム111の前方から内燃機関1の前部までを連続的に覆うフロントカバー151と、シート142の下方を覆うリヤカバー152とを備えている。フロントカバー151の上部には、左右一対のミラー153が取り付けられている。また、フロントフォーク116には、前輪117の上方を覆うフロントフェンダ146が取り付けられている。
図2に示すように、前側バンクBfと後側バンクBrとの間には側面視でV字状に形成された空間であるVバンク空間Kが形成されている。
クランクケース3は上下割りで構成され、上クランクケース3Uと下クランクケース3Lとを有している。クランク軸2はクランクケース3U、3Lにより挟まれるようにして回転自在に軸支され、上クランクケース3Uには、それぞれ左右に2気筒が配列される前シリンダブロック3fと後シリンダブロック3rとが、側面視でV字をなすように斜め上方に延出されて一体に形成されている。
また、クランクケース3内には、クランク軸2とそれぞれ平行に配置されるメイン軸41、カウンタ軸42、及び、出力軸43が設けられている。クランク軸2を含むこれらの軸41、42、43は、クランク軸2の回転をメイン軸41、カウンタ軸42、及び、出力軸43の順に伝達する歯車伝達機構を構成している。カウンタ軸42とメイン軸41との間には、6段変速の変速歯車群が跨って配置され、これらによって変速装置が構成されている。出力軸43には、傘歯車(図示略)を介してドライブシャフト123(図1参照)が接続されている。
後シリンダヘッド4rには、第2気筒C2の燃焼室20−2に連通する吸気ポート21r及び排気ポート22r、及び、第3気筒C3の燃焼室20−3に連通する吸気ポート21r及び排気ポート22rが設けられている。
前シリンダヘッド4fの各吸気ポート21f、21fには、吸気ポート21f、21fに流れる吸気の量を調整する前側スロットルボディ60fが接続され、後シリンダヘッド4rの各吸気ポート21r、21rには、吸気ポート21r、21rに流れる吸気の量を調整する後側スロットルボディ60rが接続されている。
吸気バルブ11は、吸気バルブ開口81を塞ぐ弁体部11bと、弁体部11bを基端として延びるバルブステム11cとを有し、排気バルブ12は、排気バルブ開口82を塞ぐ弁体部12bと、弁体部12bを基端として延びるバルブステム12cとを有している。
バルブステム11c及びバルブステム12cは、吸気バルブ開口81及び排気バルブ開口82の上方に設けられたガイド筒83に摺動自在に嵌合されている。
これらの吸気バルブ11及び排気バルブ12は、図2に示すように、各シリンダヘッド4f、4rごとに1本ずつ配設されたカムシャフト25で駆動されるユニカム方式の動弁装置10によって開閉駆動される。
カムシャフト25は、カムシャフト25の外周側に突出した吸気カム30及び排気カム31を有し、クランク軸2の回転に同期して回転させられる。吸気カム30および排気カム31は、中心から外周までの距離(半径)が一定でないカムプロフィールを有し、吸気カム30及び排気カム31が回転した際の半径の変化によって、吸気バルブ11及び排気バルブ12を上下運動させる。
ロッカシャフト26に軸支されたロッカアーム27の一端には排気カム31に転がり接触するローラ27aが設けられ、他端には排気バルブ12の上端に当接するタペットねじ27bが進退位置を調節可能として螺合されている。後側バンクBr側のタペットねじ27bと排気バルブ12との間には、バルブリフタ13が設けられている。
また、スロットルバルブ63−1、63−4は、吸気通路61−1、61−4に設けられるシャフト64によって支持されている。シャフト64は、シャフト64に接続された1つのモータ65によって駆動され、2つのスロットルバルブ63−1、63−4は同時に駆動される。すなわち、スロットルバルブ63−1、63−4は、一つのモータ65によって同時に駆動される前側バンクBfに共通のスロットルバルブである。
本実施の形態では、前側バンクBfのスロットルバルブ63−1、63−4は、一つのモータ65により共通の制御で駆動され、後側バンクBrのスロットルバルブ63−2、63−3は、一つのモータ65により共通の制御で駆動されており、4つの気筒のそれぞれに独立したスロットルバルブを設けていないため、吸気装置を簡単な構造にすることができる。
ここで、第1インジェクタ70−1は、スロットルバルブ63−1の下流側に配置され、第2インジェクタ70−2は、スロットルバルブ63−2の下流側に配置され、第3インジェクタ70−3は、スロットルバルブ63−3の下流側に配置され、第4インジェクタ70−4は、スロットルバルブ63−4の下流側に配置されている。
また、前側バンクBf及び後側バンクBrの右端部には、上下に延びるカムチェーン室35が設けられており、カムシャフト25は、クランク軸2により駆動されカムチェーン室35を通るカムチェーン(図示略)によって回転駆動される。
気筒休止機構80は、吸気カム30から吸気バルブ11への開弁方向の押圧力の作用・非作用、及び、ロッカアーム27から排気バルブ12への開弁方向の押圧力の作用・非作用を切り換え可能であり、内燃機関1の特定の運転域、例えば、低速運転域などの低負荷域では押圧力を非作用状態として、吸気バルブ11及び排気バルブ12を休止状態とするものである。すなわち、気筒休止機構80は、吸気バルブ11及び排気バルブ12を作動させるか否かを切り換え可能な可変動弁機構である。
気筒休止機構80は、吸気側及び排気側で同様に構成されているため、ここでは、主として吸気側の気筒休止機構80について説明する。また、気筒休止機構80は、第2気筒C2及び第3気筒C3にそれぞれ設けられており、同一に構成されているため、ここでは、第2気筒C2の気筒休止機構80について説明する。
リフタ85は、後シリンダヘッド4rの上部に設けられた円筒状のリフタ支持部91内に摺動自在に支持されている。リフタ支持部91の内周面には、リフタ85を囲うように油供給溝91aが形成されている。
ここで、油路72には、油路72内の油温を検出する油温センサ99と、油路72内の油圧を検出する第1油圧センサ100−1と、が設けられ、制御油路73には、制御油路73における油圧を検出する第2油圧センサ100−2が設けられ、制御油路74には、制御油路74における油圧を検出する第3油圧センサ100−3が設けられている。
また、油圧切換え部75は、第2気筒C2の気筒休止機構80に供給される作動油の油圧のON/OFFを切り換える第1スプールバルブ75a、及び、第3気筒C3の気筒休止機構80に供給される作動油の油圧のON/OFFを切り換える第2スプールバルブ75bを有している。第1スプールバルブ75aと第2スプールバルブ75bとの切り換えは、内燃機関1の回転数(エンジン回転数)等の車両の運転状況に基づいてECU76によって制御される。
また、スライドピンホルダ87の上面とリフタ85の被押圧面との間には、タペットクリアランス調整用のシム94が介装されている。付勢ばね90は、スライドピンホルダ87の下面に当接して設けられている。
そして、油圧室95に作動油が供給されてスライドピン86がリターンスプリング89に抗して他端側にスライドすると、逃げ孔93はステム孔87bに対して同軸となり、ステム孔87bに連通する。逃げ孔93の径は、バルブステムエンド11dの径よりも大きく形成されている。
気筒休止機構80では、第1スプールバルブ75aがOFF状態に制御され、スライドピン86に作用する油圧が低く、スライドピン86がリターンスプリング89に抗して他端側に移動されない状態では、バルブステムエンド11dが受け部93aに当接し、吸気バルブ11がリフタ85に連結される。このため、カムシャフト25の回転により吸気カム30を介してリフタ85が押圧されて下降すると、スライドピン86の受け部93aを介して吸気バルブ11に押圧力が作用して吸気バルブ11が開かれ、リフタ85の往復運動に伴って吸気バルブ11が開閉動作する気筒稼動状態となる。
一方、第1気筒C1及び第4気筒C4は気筒休止機構80を有しておらず、前側バンクBfは、内燃機関1の運転時には常に吸気バルブ11及び排気バルブ12の開閉が行われる常時稼動気筒である。
バルブ動作判定部96は、第2気筒C2に供給される吸気の圧力を検出する第2吸気圧センサ97−2と、第3気筒C3に供給される吸気の圧力を検出する第3吸気圧センサ97−3と、ECU76とを備えて構成されている。
また、前側バンクBfには、第1気筒C1及び第4気筒C4に供給される吸気の圧力を検出する第1吸気圧センサ97−1が設けられている。
第3吸気圧センサ97−3は、後側スロットルボディ60rに設けられ、スロットルバルブ63−3の下流側に配置されている。詳細には、第3吸気圧センサ97−3は、第3気筒C3の吸気通路61−3に1個が設けられ、第3気筒C3の吸気通路61−3内におけるスロットルバルブ63−3の下流の吸気圧を測定する。
すなわち、後側バンクBrでは、第2気筒C2あるいは第3気筒C3の吸気圧は、気筒毎に個別に設けられた第2吸気圧センサ97−2及び第3吸気圧センサ97−3によってそれぞれ検出され、ECU76に出力される。
具体的には、第2吸気圧センサ97−2を例に挙げて説明すると、気筒休止機構80がOFF状態で、第2気筒C2が休止されていない場合、第2気筒C2の吸気通路61−2に吸気が連続的に流れるため、第2気筒C2の吸気通路61−2の吸気圧は、大気圧よりも低い負圧となる。一方、気筒休止機構80がON状態で、第2気筒C2が休止されている場合、吸気バルブ11が閉じられており第2気筒C2の吸気通路61−2には吸気が連続的に流れないため、第2気筒C2の吸気通路61−2の吸気圧は、大気圧に近くなる。
また、第3気筒C3についても第2気筒C2と同様に構成されており、ECU76は、第3吸気圧センサ97−3の検出値が所定の吸気圧よりも低い負圧である場合には、気筒休止機構80が非作動状態であると判定し、第3吸気圧センサ97−3の値が所定の吸気圧よりも大きい場合には、第3気筒C3の気筒休止機構80が作動状態であると判定する。
また、第2気筒C2及び第3気筒C3の吸気圧を検出することで、気筒休止機構80が実際に動作した結果として生じる吸気圧の変動に基づいて気筒休止機構80の作動状態を直接判定するため、正確に作動状態を判定することができる。例えば、気筒休止機構80の油圧を検出することで気筒休止機構80の作動状態を判定することが考えられるが、この場合、構造が複雑になるとともに、気筒休止機構80の作動状態を間接的に判定することとなる。
また、第2気筒C2に第2吸気圧センサ97−2を設け、第3気筒C3に第3吸気圧センサ97−3を設け、休止可能な気筒に独立して吸気圧センサをそれぞれ設けたため、3気筒運転する場合においても第2吸気圧センサ97−2或いは第3吸気圧センサ97−3を用いて気筒休止機構80の作動状態を確実に捉えることができる。
ECU76の入力側には、第1吸気圧センサ97−1、第2吸気圧センサ97−2、第3吸気圧センサ97−3、前側ノックセンサ98−1、後側ノックセンサ98−2、油温センサ99、第1油圧センサ100−1、第2油圧センサ100−2、第3油圧センサ100−3が接続されている。
また、ECU76の出力側には、第1インジェクタ70−1、第2インジェクタ70−2、第3インジェクタ70−3、第4インジェクタ70−4、第1点火プラグ71−1、第2点火プラグ71−2、第3点火プラグ71−3、第4点火プラグ71−4、第1スプールバルブ75a、第2スプールバルブ75bが接続されている。
ここで、第1点火プラグ71−1、第2点火プラグ71−2、第3点火プラグ71−3および第4点火プラグ71−4は、実際には、ECU76に直接接続されているわけではなく、それぞれ、図示しないイグニションコイル駆動部およびイグニションコイルを介してECU76に接続されており、ECU76は、イグニションコイル駆動部に後述する点火停止フラグ信号を含む駆動制御信号を出力することにより、点火制御を行っている。
図6は、気筒休止/稼動制御の処理フローチャートである。
まず、ECU76は、アクセルポジションセンサの101の出力信号に応じたアクセル開度(グリップ開度)およびエンジン回転数NEに応じて、第2気筒C2あるいは第3気筒C3の休止あるいは稼動を実施すべきか否かを判別する(ステップS10)。
続いて、ECU76は、気筒休止状態にすべき気筒(第2気筒C2あるいは第3気筒C3)が存在するか否かを判別する(ステップS11)。
続いてECU76は、エンジン回転数NEと、油温センサ99により検出した油温と、に応じて、点火を停止するタイミング(ステージ)を検出するための点火停止待ちカウンタのカウントを開始し、点火停止待ちカウンタのカウント値に相当するタイミング(ステージ)で点火停止フラグ信号をオンにして図示しないイグニションコイル駆動部に出力する(ステップS13)。この結果、イグニションコイル駆動部は、イグニションコイルの駆動を休止して、点火プラグの点火を休止することとなる。
続いて、ECU76は、エンジン回転数NEと、油温センサ99により検出した油温と、に基づいて、気筒稼動の実行を開始するタイミング(ステージ)から、第2点火プラグ71−2あるいは第3点火プラグ71−3による点火を開始するタイミング(ステージ)を検出するための点火開始待ちカウンタのカウントを開始し、点火開始待ちカウンタのカウント値に相当するタイミング(ステージ)で点火停止フラグをオフにして図示しないイグニションコイル駆動部に出力する(ステップS16)。この結果、イグニションコイル駆動部は、以降、イグニションコイルの駆動を再開して、点火プラグの点火を行うこととなる。この点火停止フラグ信号をオフにするタイミング、すなわち、点火プラグの点火の許可を開始するタイミングは、気筒稼動に移行する直前の膨張行程に相当する点火タイミング以降であって、気筒稼働後の膨張行程における点火タイミングに至るまでの期間であればよい。
図7は、より具体的な気筒休止/稼動制御の処理タイミングチャートである。
図7においては、4サイクルエンジンとしての内燃機関1の連続する4行程(吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程)は、説明の便宜上、28ステージ(各行程7ステージずつ)で構成されているものとし、ステージ単位でタイミング制御が行われているものとする。
まず、図7(a)を参照して気筒稼動状態から気筒休止状態に移行する際の動作について説明する。
なお、以下の説明においては、初期状態において気筒稼動状態にある第2気筒C2の気筒休止を行う場合を例として説明する。
第2気筒C2における吸気行程において、時刻t1に第2インジェクタ70−2により燃料が噴射され、その後、圧縮行程および第2点火プラグ71−2による点火がなされる(爆発)膨張行程を経て、時刻t2において排気バルブ12が開いて、排気行程が実行される。
ここで、第1スプールバルブ75aを駆動した場合に、第2気筒C2を気筒休止状態にするために、第2気筒C2の吸気バルブ11および排気バルブ12の双方をそれぞれに対応する気筒休止機構80により確実に閉状態にして、第2気筒C2を気筒休止状態とするためには、気筒休止機構80を作動させるための油圧系統のタイムラグを考慮して、第2気筒C2の吸気バルブ11を確実に閉状態にすることが可能な期間TM1および第2気筒C2の排気バルブ12を確実に閉状態にすることが可能な期間TM2に指示を出す必要がある。
ここで、気筒数の変更に伴うトルクショックを低減するために、吸気バルブ11および排気バルブ12が休止状態への移行を開始する前に、燃料噴射および点火プラグの点火が行われないようにしておく必要がある。
より詳細には、吸気バルブ11を確実に休止することが可能な期間(図7(a)中、上方に太実線TM1で示す期間)に休止の指示を出し、吸気バルブ11を確実には休止できない期間(図7(a)中に、太実線TM1で示す期間以外の期間)には、休止の指示を出さないようにする必要がある。ここで、吸気バルブ11を確実に休止することが可能な期間とは、燃焼室内に燃焼すべき燃料が残っている期間(燃料噴射後であって、点火前の期間)、あるいは、燃焼室内に燃焼後の排気が残っている期間(点火後であって、排気前の期間)を除く期間に吸気バルブ11を気筒休止のために休止することができる期間である。
したがって、実際には、太実線TM1で示す期間と、太実線TM2で示す期間との共通の期間である、時刻t4〜時刻t7に対応する期間TE1内でECU76は、気筒休止の指示を出す必要がある。ここで、期間TE1内で実際に気筒休止の指示を出すタイミングは、油温センサ99の出力に対応する油温、エンジン回転数NE、第1〜第3油圧センサ100−1〜100−3により検出された油圧(特に第1油圧センサ100−1により検出された油圧)を基本として、クランク回転角、カム軸回転角、それらの角速度を考慮した油圧系統のタイムラグを考慮して決定される。なお、油温あるいは油圧が高ければ、油圧系統のタイムラグは小さくなる。
このため、時刻t5において、ECU76は、第2インジェクタ70−2により燃料が噴射されるタイミング、すなわち、上述した28のステージのうち、第3番目のステージにおいて、第2インジェクタ70−2により燃料が噴射されないように、図6のステップS12において、燃料噴射の停止判断を行い、第3番目のステージで噴射停止フラグがオンするように設定しておくこととなる。この噴射停止フラグがオンの状態は、気筒休止が解除されて気筒稼動されるまでは継続されて、継続的に燃料噴射が停止される。
この結果、時刻t5に相当する第3番目のステージで第2インジェクタ70−2による燃料噴射が禁止される。その後、時刻t6において、ECU76は、気筒休止機構80を作動させるための油圧系統のタイムラグを考慮して、時刻t9に第2気筒C2が休止状態に移行できるように、休止指示を出力する。
そして、時刻t9において、ECU76が吸気行程において、時刻t5の第2インジェクタ70−2による燃料噴射を停止するタイミング(ステージ)から、気筒休止を実行する時刻t9に対応する第0ステージを検出するための気筒休止待ちカウンタのカウントを開始し、時刻t9において気筒休止待ちカウンタのカウントが完了すると、気筒休止機構80が作動状態となっており、第2気筒C2は、気筒休止状態となる。この場合において気筒休止待ちカウンタのカウント値は、ECU76が予測した気筒休止機構80を作動させるための油圧系統のタイムラグに相当するものであり、これ以降であれば、確実に気筒休止状態となっていることが保証されるものである。
次に、図7(b)を参照して気筒休止状態から気筒稼動状態に移行する際の動作について説明する。
なお、以下の説明においても、初期状態において休止状態にある第2気筒C2の気筒稼動を行う場合を例として説明する。
気筒休止状態にある第2気筒C2において、時刻t21は、本来吸気バルブ11が開状態となって吸気行程へ移行するタイミングであるが、いまだ気筒休止状態であるので、吸気バルブ11は、閉状態のままである。
すなわち、第2気筒C2を気筒稼動状態にするために、第2気筒C2の吸気バルブ11および排気バルブ12の双方をそれぞれに対応する気筒休止機構80により確実に稼動開始可能な状態にして、第2気筒C2を気筒稼動状態とするためには、気筒休止機構80を作動停止させるための油圧系統のタイムラグを考慮して、第2気筒C2の吸気バルブ11を確実に稼動開始させることが可能な期間および第2気筒C2の排気バルブ12を確実に稼動開始させることが可能な期間に指示を出す必要がある。
さらに気筒数の変更に伴うトルクショックを低減するために、吸気バルブ11および排気バルブ12が稼動状態への移行が完了する前に、燃料噴射および点火プラグの点火が行われないようにする必要がある。
また、吸気バルブ11および排気バルブ12の双方を稼動開始させるにあたって、排気バルブ12を先に稼動開始する必要がある。これは、第1回目の燃焼行程における充填効率ηvが気筒停止期間中の燃焼室内の空気量の影響を受けないようにするためである。
より詳細には、吸気バルブ11を確実に稼動開始させることが可能な期間(図7(b)中、太実線TM11で示す期間)に稼動開始の指示を出し、吸気バルブ11を確実には稼動開始できない期間(図7(b)中に、太実線TM1の前後に太破線で示す期間)には、稼動開始の指示を出さないようにする必要がある。
ここで、吸気バルブ11を確実に稼動開始させることが可能な期間とは、先に排気バルブ12を稼動開始させ(排気行程に相当)、当該排気行程の直後の吸気行程において、確実に吸気バルブ11が稼動可能な状態とすることができる期間である。
同様に排気バルブ12を確実に休止することが可能な期間(図7(b)中、太実線TM12で示す期間)に稼動開始の指示を出し、排気バルブ12を確実には休止できない期間(図7(a)中に、太実線TM2に続く太破線で示す期間)には、稼動開始の指示を出さないようにする必要がある。
ここで、排気バルブ12を確実に稼動開始させることが可能な期間とは、油圧系統のタイムラグを考慮して、実際に気筒稼働の開始後に吸気バルブ11よりも先に排気バルブ12を稼動させることが可能となる期間である。
これは、実際の気筒稼働数の変更に先立って、空気サイクルを設ける必要があるからである。
この場合において、時刻t23は、本来排気バルブ12が開状態となって排気行程への移行を開始するタイミングであるが、いまだ気筒休止状態であるので、排気バルブ12は、閉状態のままである。
そして、時刻t24に相当する第26番目のステージでECU76は、気筒休止機構80を作動を停止させるため、油圧系統のタイムラグを考慮して、時刻t26、すなわち、気筒開始後の最初の排気行程より前のタイミングで第2気筒C2が稼動状態に移行できるように、稼動開始指示を出力する。稼動開始指示としての第1スプールバルブ75aの駆動停止信号が出され、時刻t26に至り、気筒稼動開始待ちカウンタのカウントが完了すると、気筒休止機構80が作動停止状態となっており、第2気筒C2は、気筒稼動状態となる。
また、ガス入れ替え後の燃焼室内には燃料が含まれないので、次回以降の燃料噴射で適正量の燃料が噴射されて燃費を向上できるともに、稼働後の燃焼効率を向上させて休止していた気筒の点火プラグのくすぶりを防止できる。
さらに、時刻t29において、第2インジェクタ70−2により燃料が噴射され、第2点火プラグ71−2により点火がなされて、燃料が燃焼し、第2気筒C2は、稼動状態となる。その後、時刻t30において排気バルブ12が開いて、排気行程が実行される。
以上の説明は、気筒休止状態と気筒稼動状態との間の通常の相互移行について説明したが、本実施形態のように気筒休止機構を備える内燃機関1においては、アイドリング時のように、低負荷、低エンジン回転数時に気筒休止を行うことで、燃費の向上を図ることが可能である。
しかしながら、低負荷、低エンジン回転数の期間が長くなると、オイル上がりにより燃焼室内に潤滑油が侵入し、この侵入した潤滑油が点火プラグ(本実施形態では、点火プラグ71−2,71−3)に付着する可能性が有り、このように潤滑油が付着した点火プラグにおいてくすぶりが発生する原因となっていた。
以下、具体的に点火プラグに付着した潤滑油を除去して、くすぶりを防止する構成について説明する。
まず、ECU76は、内燃機関1であるエンジンの負荷およびエンジン回転数を検出する(ステップS20)。
続いて、ECU76は、検出したエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて、休止対象とすべき気筒があるか否かを判別する(ステップS21)。
ステップS21の判別において、休止対象とすべき気筒がない場合には、4気筒全てが稼働気筒であるので、処理を再び、ステップS20に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS21の判別において、休止対象とすべき気筒がある場合には(ステップS21;Yes)、休止対象の気筒(本実施形態では、第2気筒C2あるいは第3気筒C3)を上述した方法により気筒休止状態とする(ステップS22)。
次にECU76は、現在気筒休止状態にある気筒のうち、最初に気筒休止状態に移行した気筒が気筒休止状態に移行してから所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS23)。
ステップS23の判別において、現在気筒休止状態にある気筒のうち、最初に気筒休止状態に移行した気筒が気筒休止状態に移行してから所定時間が経過していない場合には、待機状態となる。
また、ステップS23の判別において、現在気筒休止状態にある気筒のうち、最初に気筒休止状態に移行した気筒が気筒休止状態に移行してから所定時間が経過した場合には、全ての気筒を稼働状態として、燃焼室内に侵入した潤滑油が点火プラグに付着する可能性が有り、このように潤滑油が付着して点火プラグにおいてくすぶりが発生する原因とならないように、燃焼で点火プラグに付着した潤滑油を除去する。
そこで、本変形例は、気筒休止とする気筒を随時変更する場合のものである。
まず、ECU76は、内燃機関1であるエンジンの負荷およびエンジン回転数を検出する(ステップS20)。
続いて、ECU76は、検出したエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて、休止対象とすべき気筒があるか否かを判別する(ステップS21)。
ステップS21の判別において、休止対象とすべき気筒がある場合には(ステップS21;Yes)、ECU76は、休止対象の気筒(本実施形態では、第2気筒C2あるいは第3気筒C3)を変更あるいは選択する(ステップS31)。
そしてECU76は、ステップS31において変更あるいは選択した気筒を上述した方法により、気筒休止とする(ステップS32)。
次にECU76は、現在気筒休止状態にある気筒のうち、最初に気筒休止状態に移行した気筒が気筒休止状態に移行してから所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS23)。
ステップS23の判別において、現在気筒休止状態にある気筒のうち、最初に気筒休止状態に移行した気筒が気筒休止状態に移行してから所定時間が経過していない場合には、待機状態となる。
したがって、点火プラグのメンテナンスを容易にするとともに、アイドリングを安定させ、燃焼効率を向上させて、燃費の向上が図れる。
内燃機関の動作モードは、大別すると、5つの動作モードから構成されている。
具体的には、内燃機関1の動作モードは、停止モードM0、待機モードM1、暖機前の常時4気筒モードM2、通常動作モードM3およびフェイルモードM4を備えている。
まず、内燃機関1の非駆動状態(停止状態)においては、停止モードM0となっており、キーポジションはスイッチオフ(あるいはハンドルロック)になっている。
このとき、気筒休止機構80は、非動作状態とされ、スロットルバルブ63−1、63−4(第1の系統)、スロットルバルブ63−2(第2の系統)及びスロットルバルブ63−3(第3の系統)の3系統のスロットルバルブ63−1〜63−4は、その目標開度が全て同一とされている。
停止モードM0において、メインスイッチが操作され、キーポジションがスイッチオン(=IGPオン)の状態となると、待機モードM1に遷移する。このとき、気筒休止機構80は、非動作状態とされ、スロットルバルブ63−1、63−4(第1の系統)、スロットルバルブ63−2(第2の系統)及びスロットルバルブ63−3(第3の系統)の3系統のスロットルバルブ63−1〜63−4は、その目標開度が全て同一とされている。
そして、この常時4気筒モードM2において、油温センサ99により検出された油温が40℃以上となると、通常動作モードM3に遷移する。
通常動作モードM3は、大別すると、暖機後の常時4気筒モードM31と、稼動気筒数を自動的に変更可能な可変気筒モードM32と、を備えている。そして、ユーザが所定の切替スイッチで何れかを予め選択しておくことにより、何れかのモードが排他的に選択される。
10 動弁装置
11 吸気バルブ
12 排気バルブ
20 燃焼室
70−1〜70−4 第1インジェクタ〜第4インジェクタ
71−1〜71−4 第1点火プラグ〜第4点火プラグ
72 油路
73、74 制御油路
75a 第1スプールバルブ
75b 第2スプールバルブ
76 ECU
80 気筒休止機構
97−1〜97−3 第1吸気圧センサ〜第3吸気圧センサ
99 油温センサ
100−1〜100−3 第1油圧センサ〜第3油圧センサ
110 自動二輪車(車両)
C1〜C4 第1気筒〜第4気筒
M0 停止モード
M1 待機モード
M2 常時4気筒モード
M3 通常動作モード
M4 フェイルモード
M31 常時4気筒モード
M32 可変気筒モード
M321 4気筒モード(1速/2速)
M322 2気筒モード
M323 3気筒モード
M324 4気筒モード
Vsw 切換油圧
Claims (6)
- 吸気バルブ(11)及び排気バルブ(12)を閉状態に維持して気筒を休止させる気筒休止機構(80)を備える多気筒内燃機関(10)において、
前記気筒休止機構の作動時に休止気筒の点火プラグ(71−2、71−3)への通電を休止することを特徴とする気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。 - 前記点火プラグへの通電を休止した休止気筒を稼働する際に、当該休止気筒の燃焼室(20−2、20−3)内のガスを新気に入れ替えてから稼働することを特徴とする気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。
- 前記燃焼室内のガスを入れ替える際には、燃料噴射を禁止することを特徴とする請求項2記載の気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。
- 低負荷低回転時に気筒休止を停止して、全気筒(C1〜C4)を稼動気筒とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。
- 低負荷低回転時には、一部気筒の気筒休止と、全気筒の気筒稼動とを交互に繰り返し行うことを特徴とする請求項4記載の気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。
- 休止する気筒を交互に交代させて気筒休止を行うことを特徴とする請求項5記載の気筒休止機構を備える多気筒内燃機関。
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