JP2011214497A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転式圧縮機の装置の大型化対策。
【解決手段】回転式圧縮機(10)は、2つの対向部材(32,51)(42,51)の対向面の何れか一方の面に平面視で環状に形成された環状溝(52,53,54)と、環状溝(52,53,54)に設けられ、隙間よりも大きい高さ寸法に形成され、且つ環状溝(52,53,54)と対向する対向部材(32,51)(42,51)の対向面に当接するシール板(82)と、環状溝(52,53,54)に設けられ、シール板(82)の底部(82b)に当接するシールリング(83)と、シールリング(83)と環状溝(52,53,54)の底部(52a,53a,54a)との間に設けられる板バネ部材(84)とを備えたシール機構部(81)を有している。シール板(82)はシールリング(83)よりも高い剛性に構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、特に、高圧空間と低圧空間とを区画するシール部材に係るものである。
従来より、特許文献1に示されるように、流体を圧縮させる圧縮機として回転式圧縮機が知られている。この回転式圧縮機は、固定部材としての固定スクロールと、該固定スクロールに対して偏心回転する可動部材としての可動スクロールとを備えている。これら固定スクロールと可動スクロールとは、それぞれ鏡板部と該鏡板部から立設する渦巻状のラップを有しており、互いのラップが嵌合して該ラップ間に圧縮室が形成されるように配設されている。この回転式圧縮機は、可動スクロールを偏心回転させることで、圧縮室の容積を変化させて該圧縮室へ吸入した流体を圧縮する。
このような回転式圧縮機では、圧縮室内の流体が圧縮されると、圧縮室の内圧が上昇するため、固定スクロールと可動スクロールには互いに離反力が作用する。これに対しては、可動スクロールの背面側に設けた背圧空間の背圧により可動スクロールを固定スクロール側に押し付けることで圧縮室の気密性を確保するようにしている。具体的には、可動スクロールの背面側に設けられたハウジングには、駆動軸部を囲むようにしてシールリングが設けられており、背圧空間は、該シールリングよりも内側の高圧空間の高圧と、シールリングよりも外側の低圧空間の低圧と区画されている。そして、この高圧空間の高圧と低圧空間の低圧とが可動スクロールに作用することで、該可動スクロールが固定スクロール側に押し付けられている。
特開2004−3525号公報
しかしながら、例えば、従来の回転式圧縮機で二酸化炭素を冷媒として用いた場合等に、高圧空間に作用する高圧が従来の冷媒よりも高くなってしまう。そして、シールリングは、可動スクロールの背面と当接することで背圧空間を高圧空間と低圧空間とに区画している。このため、シールリングに従来よりも高い圧力が作用すると、シールリングが径方向外方に過度に拡径して破損してしまう。これに対し、シールリングの強度を高めるべく、シールリングを大型化すると、シールリングを収容する溝も大きくする必要があるため、駆動軸の軸方向にハウジングが大型化することで回転式圧縮機が大型化するという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、シールリングの破損を防ぎつつ、回転式圧縮機の大型化を防止することを目的とする。
第1の発明は、可動部材(32,42)が固定部材(31,41)に対して偏心回転して該固定部材(31,41)と該可動部材(32,42)との間に形成された圧縮室(S11,S12,S21,S22)で流体を圧縮する圧縮機構(50)を備えた回転式圧縮機であって、上記圧縮機構(50)は、上記可動部材(32,42)の背面側に該可動部材(32,42)との間で所定の隙間をもった背圧空間(S1,S2)を挟んで設けられたハウジング(51)と、上記ハウジング(51)と可動部材(32,42)とが構成する一対の対向部材(32,51)(42,51)の間に形成されたシール部(81)とを備え、上記シール部(81)は、上記2つの対向部材(32,51)(42,51)の対向面の何れか一方の面に平面視で環状に形成された溝部(52,53,54)と、上記溝部(52,53,54)に設けられ、上記隙間よりも大きい高さ寸法に形成され、且つ上記溝部(52,53,54)と対向する対向部材(32,51)(42,51)の対向面に当接して上記背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する第1シール部材(82)と、上記溝部(52,53,54)に設けられ、上記第1シール部材(82)の底部(82b)に当接して上記背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する第2シール部材(83)と、該第2シール部材(83)と溝部(52,53,54)の底部(52a,53a,54a)との間に設けられて上記第2シール部材(83)を第1シール部材(82)に向けて押圧する押圧部材(84)とを備え、上記第1シール部材(82)は、第2シール部材(83)よりも高い剛性に構成されている。
上記第1の発明では、可動部材(32,42)が固定部材(31,41)に対して偏心回転する。これにより、可動部材(32,42)と固定部材(31,41)との間に形成された圧縮室(S11,S12,S21,S22)で流体が圧縮される。可動部材(32,42)の背面側には、所定の隙間をもって形成された背圧空間(S1,S2)が形成されており、この背圧空間(S1,S2)を挟んでハウジング(51)が設けられている。ハウジング(51)と可動部材(32,42)とは一対の対向部材(32,51)(42,51)を形成している。そして、一対の対向部材(32,51)(42,51)の間にはシール部(81)が設けられている。
上記シール部(81)は、2つの対向部材(32,51)(42,51)の何れか一方の対向面に平面視で環状に形成された溝部(52,53,54)を形成している。そして、溝部(52,53,54)には背圧空間(S1,S2)の隙間よりも大きい高さ寸法に形成された第1シール部材(82)と第2シール部材(83)と押圧部材(84)とを収容している。
上記第1シール部材(82)は上記溝部(52,53,54)と対向する対向部材(32,51)(42,51)の対向面に当接することで背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する。第2シール部材(83)は第1シール部材(82)の底部(82b)と当接すると共に、溝部(52,53,54)の外周面に当接することで背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する。押圧部材(84)が第2シール部材(83)を第1シール部材(82)に向けて押圧すると第2シール部材(83)と第1シール部材(82)の密着性が高まる。上記第1シール部材(82)は、その高さ寸法が隙間よりも大きく形成されているため、第2シール部材(83)が溝部(52,53,54)からはみ出すことがない。
また、高圧空間(S3,S5)の高圧流体が溝部(52,53,54)内に流入すると、第2シール部材(83)の底部(52a,53a,54a)から高圧が作用して第2シール部材(83)と第1シール部材(82)との密着性が高まる一方、第1シール部材(82)と上記対向面との密着性が高まる。また、第2シール部材(83)の側部から高圧が作用して第2シール部材(83)と溝部(52,53,54)の外周面との密着性が高まる。これによって、高圧空間(S3,S5)の流体が低圧空間(S4,S6)側に漏れ難くなる。また、第1シール部材(82)は、その剛性が第2シール部材(83)の剛性よりも高いため、高圧が作用しても変形・破損することがない。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記圧縮機構(50)は、それぞれに可動部材(32,42)と固定部材(31,41)とを有する第1圧縮機構部(30)、及び第2圧縮機構部(40)を備え、上記ハウジング(51)は、互いの可動部材(32,42)の背面側を対向させた第1圧縮機構部(30)と第2圧縮機構部(40)との間に設けられ、上記ハウジング(51)と第1圧縮機構部(30)の可動部材(32)とが一対の第1対向部材(32,51)を構成すると共に、上記ハウジング(51)と第2圧縮機構部(40)の可動部材(42)とが一対の第2対向部材(42,51)を構成し、上記シール部(81)は、上記第1対向部材(32,51)の間、又は上記第2対向部材(42,51)の間に形成されている。
上記第2の発明では、第1圧縮機構部(30)、及び第2圧縮機構部(40)では、可動部材(32,42)が固定部材(31,41)に対して偏心回転する。これにより、可動部材(32,42)と固定部材(31,41)との間に形成された圧縮室(S11,S12,S21,S22)で流体が圧縮される。そして、第1圧縮機構部(30)と第2圧縮機構部(40)との間にハウジング(51)を配設している。このハウジング(51)は、第1圧縮機構部(30)の可動部材(32)と第1対向部材(32,51)を構成する一方、第2圧縮機構部(40)の可動部材(42)と第2対向部材(42,51)を構成している。シール部(81)は第1対向部材(32,51)の間、又は第2対向部材(42,51)の間に設けられている。
第1対向部材(32,51)の間に設けられたシール部(81)は、該第1対向部材(32,51)の間の背圧空間(S1)を高圧空間(S3)と低圧空間(S4)とに区画する。また、第2対向部材(42,51)の間に設けられたシール部(81)は、該第2対向部材(42,51)の間の背圧空間(S2)を高圧空間(S5)と低圧空間(S6)とに区画する。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記第2シール部材(83)は、径方向外方に変形可能な環状に形成され、上記高圧空間(S3,S5)の高圧によって径方向外方に拡がることで溝部(52,53,54)の外周面に当接する。
上記第3の発明では、溝部(52,53,54)内に高圧空間(S3,S5)の流体が流れ込むと第2シール部材(83)に高圧が作用する。このため、第2シール部材(83)は径方向の外方に拡がるように変形して溝部(52,53,54)の外周面(溝部(52,53,54)の外側内壁)に当接する。これにより、背圧空間(S1,S2)が高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに仕切られる。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記第2シール部材(83)は、樹脂材料からなる。
上記第4の発明では、溝部(52,53,54)内に高圧空間(S3,S5)の流体が流れ込むと第2シール部材(83)に高圧が作用する。第2シール部材(83)を樹脂部材で構成したため、第2シール部材(83)が変形し易くなる。そして、変形した第2シール部材(83)が溝部(52,53,54)の外周面に当接する。これにより、背圧空間(S1,S2)が高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに仕切られる。
第5の発明は、上記第1〜第4の発明の何れか1つにおいて、上記第1シール部材(82)は、金属材料からなる。
上記第5の発明では、第1シール部材(82)を金属材料で構成したため、第1シール部材(82)に高圧空間(S3,S5)の高圧が作用した場合でも第1シール部材(82)が破損することがない。
第6の発明は、第1〜第5の発明の何れか1つにおいて、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されて、該冷媒回路に冷媒として充填された二酸化炭素を圧縮させる。
上記第6の発明では、冷凍サイクルの高圧は、通常は二酸化炭素の臨界圧力よりも高い値に設定される。つまり、二酸化炭素を冷媒とする場合、高圧空間(S3,S5)の内圧が比較的高圧となる。
上記第1の発明によれば、可動部材(32,42)とハウジング(51)との間の隙間よりも大きい高さ寸法に形成された第1シール部材(82)を設けたため、第2シール部材(83)が溝部(52,53,54)からはみ出すのを確実に防止することができる。つまり、第2シール部材(83)の拡径を溝部(52,53,54)の内周径以下に抑えることができる。これにより、第2シール部材(83)が高圧空間(S3,S5)に作用する高圧によって破損するのを確実に防止することができる。
また、第1シール部材(82)の剛性を第2シール部材(83)の剛性よりも高くしたため、高圧空間(S3,S5)に作用する高圧によって第1シール部材(82)が変形・破損するのを確実に防止することができる。これらにより、シール部(81)の全体の剛性を高めることなく、各シール部材(82,83)の破損・変形を防止できるため、全体としてシール部(81)を大きくすることなく、各シール部材(82,83)の破損・変形を防止することができる。この結果、回転式圧縮機の大型化を確実に防止することができる。
また、押圧部材(84)を設けたため、第1シール部材(82)と第2シール部材(83)との間の密着性(シール性)を高めることができる。これにより、高圧空間(S3,S5)から低圧空間(S4,S6)へ流体が漏れるのを確実に防止することができる。
上記第2の発明によれば、シール部(81)を2つの圧縮機構部(30,40)を有する回転式圧縮機(10)に適用するようにしたため、ハウジング(51)の大型化を防止することができる。
つまり、従来の回転式圧縮機では、シール部材の破損・変形を防止するためにシール部を大型化する必要があるため、これに伴い2つの圧縮機構部の間のハウジングも大型化していた。このため、圧力荷重点と支点が離れることによる圧縮機構部の駆動軸の軸撓みが生ずるという問題があった。
ところが、ハウジング(51)が大型化することがないため、両圧縮機構部(30,40)の駆動軸の軸撓みを確実に防止することができる。この結果、回転式圧縮機の大型化を確実に防止することができる。
上記第3の発明によれば、第2シール部材(83)を高圧により拡径可能に構成したため、高圧の作用によって溝部(52,53,54)の外周面に第2シール部材(83)を当接させることができる。これにより、背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに確実に仕切ることができる。
上記第4の発明によれば、第2シール部材(83)を樹脂部材で構成したため、第2シール部材(83)を変形させ易くすることができる。これにより、高圧の作用によって第2シール部材(83)を溝部(52,53,54)の外周面に当接させることができる。この結果、背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに確実に仕切ることができる。
上記第5の発明によれば、第1シール部材(82)を金属材料で構成したため、高圧空間(S3,S5)の高圧の作用によっても第1シール部材(82)が変形・破損するのを確実に防止することができる。
上記第6の発明では、二酸化炭素を冷媒に用いており、高圧空間(S3,S5)の高圧と低圧空間(S4,S6)の低圧の圧力差が大きい。このため、従来のシールリングは高圧の作用により溝部からはみ出して変形し、破損してしまう。ところが、本発明では、第2シール部材(83)は溝部(52,53,54)からはみ出すことがない。また、第1シール部材(82)の剛性を第2シール部材(83)の剛性よりも高めている。これらにより、第1シール部材(82)及び第2シール部材(83)が破損するのを確実に防止することができる。この結果、回転式圧縮機の大型化を確実に防止することができる。
実施形態1に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態1に係る第1圧縮機構(第2圧縮機構)の横断面図である。 図1の圧縮機部を拡大して示す図である。 図1のシール機構部を拡大して示す図である。 シールリングの構造を示す平面図である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 図6のVII-VII線における断面図である。 実施形態2に係る圧縮機構の構造を示す縦断面図である。 実施形態2に係る圧縮機構の横断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈発明の実施形態1〉
本発明の実施形態1に係る回転式圧縮機(10)は、例えば空気調和装置の冷媒回路に設けられ、蒸発器から吸入した冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出する。
図1に示すように、回転式圧縮機(10)は、縦長で密閉容器状のケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、縦長の円筒状に形成された胴部(12)と、碗状に形成されて、該胴部(12)の両端に外側に凸に配設される一対の端板部(13,13)とによって構成されている。ケーシング(11)の内部には、電動機(20)と、低段側の第1圧縮機構(30)及び高段側の第2圧縮機構(40)を有して冷媒を二段圧縮する圧縮機部(50)とが収容されている。尚、圧縮機部(50)は本発明に係る圧縮機構を構成し、第1圧縮機構(30)は本発明に係る第1圧縮機構部を構成し、第2圧縮機構(40)は本発明に係る第2圧縮機構部を構成している。
上記ケーシング(11)の胴部(12)には、低段側の第1圧縮機構(30)に接続される第1吸入管(14)及び第1吐出管(15)が、該胴部(12)を厚み方向に貫通するように設けられている。また、胴部(12)には、高段側の第2圧縮機構(40)に接続される第2吸入管(16)が、胴部(12)を貫通するように設けられている。さらに、胴部(12)の上方側を塞ぐ端板部(13)には、第2吐出管(17)が該端板部(13)を貫通するように設けられ、該第2吐出管(17)はケーシング(11)の内部空間(S10)と連通している。尚、図示を省略するが、第1吐出管(15)と第2吸入管(16)とは、ケーシング(11)の外部において接続されている。
このような構成により、本回転式圧縮機(10)は、高段側の第2圧縮機構(40)において圧縮された冷媒がケーシング(11)の内部空間(S10)に吐出され、第2吐出管(17)を介してケーシング(11)の外部へ排出されるように構成されている。つまり、ケーシング(11)の内部空間(S10)が高圧圧力状態となる、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機に構成されている。
上記ケーシング(11)の内部には、胴部(12)と平行に延びる駆動軸(23)が設けられている。上記電動機(20)及び圧縮機部(50)は、該駆動軸(23)を介して連結されている。尚、密閉容器状のケーシング(11)の底部には、圧縮機部(50)の各摺動部に供給される潤滑油を貯留する油溜まり(18)が形成されている。
上記駆動軸(23)は、主軸部(24)と2つの偏心部(25,26)とを有している。本実施形態1では、上側偏心部(25)は、主軸部(24)の中央寄りに設けられ、下側偏心部(26)は、主軸部(24)の下端寄りの位置に設けられている。両偏心部(25,26)は、主軸部(24)よりも大径の円柱状に形成され、それぞれ軸心が主軸部(24)の軸心に対して偏心している。また、上側偏心部(25)と下側偏心部(26)とは、主軸部(24)の軸心を中心として互いに180°位相がずれるように形成されている。
上記駆動軸(23)の下端には、油溜まり(18)に浸漬する給油ポンプ(28)が設けられている。また、駆動軸(23)の内部には、軸方向に延びて上記給油ポンプ(28)が吸い上げられた潤滑油が流通する給油路(図示省略)が形成されている。上記給油路は、油溜まり(18)の潤滑油を両圧縮機構(30,40)の摺動部や、駆動軸(23)と両圧縮機構(30,40)との摺動部に供給する。
上記電動機(20)は、ステータ(21)とロータ(22)とを備えている。ステータ(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。一方、ロータ(22)は、ステータ(21)の内側に配置され、駆動軸(23)の主軸部(24)に連結されている。
上記圧縮機部(50)は、電動機(20)の下方に配置され、第1圧縮機構(30)と、第2圧縮機構(40)と、両圧縮機構(30,40)の間に設けられたミドルプレート(51)とを有している。
図2及び図3に示すように、上記第1圧縮機構(30)は、環状の第1シリンダ室(S11,S12)を形成する第1シリンダ(31)と、該第1シリンダ室(S11,S12)内に位置して該第1シリンダ室(S11,S12)を外側圧縮室(S11)と内側圧縮室(S12)とに区画する環状ピストン部材(32b)を有する第1ピストン(32)と、第1シリンダ室(S11,S12)を第1室の高圧室(S11H,S12H)と第2の低圧室(S11L,S12L)とに区画する第1ブレード(33)とを備えている。上記第1シリンダ室(S11,S12)と第1ピストン(32)とは、相対的に偏心回転運動をするように構成されている。尚、本実施形態1では、上記第1シリンダ(31)が第1圧縮機構(30)の固定部材を構成し、第1ピストン(32)が第1圧縮機構(30)の可動部材を構成している。
上記第1シリンダ(31)は、中央に軸受部が形成された平板状の鏡板部(31a)と、該鏡板部(31a)から上方に突出するように形成された筒状の外側シリンダ部材(31b)及び内側シリンダ部材(31c)とを備えている。第1シリンダ(31)は、鏡板部(31a)及び外側シリンダ部材(31b)がケーシング(11)の胴部(12)の内面に溶接されることにより固定されている。また、鏡板部(31a)の軸受部には、駆動軸(23)の主軸部(24)が挿通され、該駆動軸(23)の主軸部(24)は、鏡板部(31a)の軸受部に滑り軸受を介して回転可能に支持されている。
上記第1シリンダ(31)の鏡板部(31a)には、外周面から径方向の内側向きに延びる第1吸入ポート(14a)が形成されている。この第1吸入ポート(14a)の一端は、外側圧縮室(S11)及び内側圧縮室(S12)に挿通するように構成され、他端には上記第1吸入管(14)が接続されている。つまり、第1吸入ポート(14a)は第1吸入管(14)から外側圧縮室(S11)及び内側圧縮室(S12)に吸入される冷媒を流通させる吸入通路を構成している。
また、上記第1シリンダ(31)の鏡板部(31a)には、外周面から径方向の内側向きに延びる第1吐出ポート(15a)が形成されている。この第1吐出ポート(15a)の一端は、外側圧縮室(S11)及び内側圧縮室(S12)に連通するように構成され、他端には上記第1吐出管(15)が接続されている。具体的には、第1吐出ポート(15a)には、外側圧縮室(S11)及び内側圧縮室(S12)の吐出口(35,36)が開口し、該両吐出口(35,36)には吐出弁(37,38)が設けられている。外側圧縮室(S11)の吐出弁(37)は、該外側圧縮室(S11)の高圧室(S11H)と第1吐出ポート(15a)との差圧が設定値に達すると吐出口(35)を開くように構成されている。同様に、内側圧縮室(S12)の吐出弁(38)は、該内側圧縮室(S12)の高圧室(S12H)と第1吐出ポート(15a)との差圧が設定値に達すると吐出口(36)を開くように構成されている。
上記外側シリンダ部材(31b)の内周面と内側シリンダ部材(31c)の外周面とは、互いに同一中心上に配置された円筒面に形成されている。上記第1ピストン(32)の環状ピストン部材(32b)の外周面と外側シリンダ部材(31b)の内周面との間には外側圧縮室(S11)が形成され、第1ピストン(32)の環状ピストン部材(32b)の内周面と内側シリンダ部材(31c)の外周面との間には内側圧縮室(S12)が形成されている。
上記第1ピストン(32)は、平板状の鏡板部(32a)と、該鏡板部(32a)の一方側に形成された環状ピストン部材(32b)と、該環状ピストン部材(32b)の内側に形成された筒状の軸受部(32c)とを備えている。環状ピストン部材(32b)は、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている。軸受部(32c)には、駆動軸(23)の下側偏心部(26)が摺動自在に嵌め込まれている。尚、軸受部(32c)と内側シリンダ部材(31c)との間に空間(80)が形成されるが、この空間(80)では冷媒の圧縮は行われない。
上記第1ブレード(33)は、第1シリンダ室(S11,S12)の径方向に、外側シリンダ部材(31b)の内周面から内側シリンダ部材(31c)の外周面に亘って延びている。そして、第1ブレード(33)は、環状ピストン部材(32b)の分断箇所を挿通して第1シリンダ室(S11,S12)を高圧室(S11H,S12H)と低圧室(S11L,S12L)とに区画するように構成されている。尚、本実施形態1では、第1ブレード(33)は、外側シリンダ部材(31b)及び内側シリンダ部材(31c)と一体形成されているが、該両シリンダ部材(31b,31c)と別部材として形成し、これらに固定するものであってもよい。
また、第1圧縮機構(30)は、環状ピストン部材(32b)の分断箇所に設けられ、第1ピストン(32)と第1ブレード(33)とを揺動可能に連結する第1揺動ブッシュ(34)を備えている。第1揺動ブッシュ(34)は、第1ブレード(33)に対して高圧室(S11H,S12H)側に位置する吐出側ブッシュ(34a)と、第1ブレード(33)に対して低圧室(S11L,S12L)側に位置する吸入側ブッシュ(34b)とから構成されている。この吐出側ブッシュ(34a)及び吸入側ブッシュ(34b)は、いずれも断面形状が略半円形の同一形状に形成されている。両ブッシュ(34a,34b)の対向面の間には、上記第1ブレード(33)が進退自在に挟まれている。そして、第1揺動ブッシュ(34)は、第1ブレード(33)を挟み込んだ状態において、第1ピストン(32)に対して揺動可能に形成されている。尚、両ブッシュ(34a,34b)は一部において連結されて一体形成されていてもよい。
そして、上記第1圧縮機構(30)では、第1ピストン(32)が第1シリンダ(31)に対して偏心回転運動を行う。その偏心回転運動では、環状ピストン部材(32b)の外周面と外側シリンダ部材(31b)の内周面とが実質的に1点で摺接し、その摺接点と位相が180°ずれた位置において環状ピストン部材(32b)の内周面と内側シリンダ部材(31c)の外周面とが実質的に1点で摺接するように構成されている。
上記第2圧縮機構(40)は、上記第1圧縮機構(30)と同様の機械要素によって構成されている。また、第2圧縮機構(40)は、ミドルプレート(51)を挟んで第1圧縮機構(30)を反転させた状態で設けられている。尚、図2では、第2圧縮機構(40)の構成要素に関する符号を括弧内に示している。
具体的には、上記第2圧縮機構(40)は、環状の第2シリンダ室(S21,S22)を形成する第2シリンダ(41)と、該第2シリンダ室(S21,S22)内に位置して該第2シリンダ室(S21,S22)を外側圧縮室(S21)と内側圧縮室(S22)とに区画する環状ピストン部材(42b)を有する第2ピストン(42)と、第2シリンダ室(S21,S22)を第1室の高圧室(S21H,S22H)と第2室の低圧室(S21L,S22L)とに区画する第2ブレード(43)とを備えている。
上記第2シリンダ(41)と第2ピストン(42)とは、相対的に偏心回転運動をするように構成されている。また、本実施形態1では、上記第2シリンダ(41)が第2圧縮機構(40)の固定部材を構成し、第2ピストン(42)が第2圧縮機構(40)の可動部材を構成している。
上記第2シリンダ(41)は、中央に軸受部が形成された平板状の鏡板部(41a)と、該鏡板部(41a)から下方に突出して形成された筒状の外側シリンダ部材(41b)及び内側シリンダ部材(41c)とを備えている。第2シリンダ(41)は、鏡板部(41a)及び外側シリンダ部材(41b)がケーシング(11)の胴部(12)の内面に溶接されることにより固定されている。また、鏡板部(41a)の軸受部には、駆動軸(23)の主軸部(24)が挿通され、該駆動軸(23)の主軸部(24)は、鏡板部(41a)の軸受部に滑り軸受を介して回転自在に支持されている。
上記第2シリンダ(41)の鏡板部(41a)には、外周面から径方向の内側向きに延びる第2吸入ポート(16a)が形成されている。この第2吸入ポート(16a)の一端は、外側圧縮室(S21)及び内側圧縮室(S22)に連通するように構成され、他端には上記第2吸入管(16)が接続されている。つまり、第2吸入ポート(16a)は第2吸入管(16)から外側圧縮室(S21)及び内側圧縮室(S22)に吸入される冷媒を流通させる吸入通路を構成している。
また、上記第2シリンダ(41)の鏡板部(41a)には、上面から下方に向かって延びる第2吐出ポート(17a)が形成されている。この第2吐出ポート(17a)の一端は、外側圧縮室(S21)及び内側圧縮室(S22)に連通するように構成され、他端はケーシング(11)の内部空間(S10)に開口している。具体的には、第2吐出ポート(17a)には、外側圧縮室(S21)及び内側圧縮室(S22)の吐出口(45,46)が開口し、両吐出口(45,46)には吐出弁(47,48)が設けられている。外側圧縮室(S21)の吐出弁(47)は、該外側圧縮室(S21)の高圧室(S21H)と第2吐出ポート(17a)との差圧が設定値に達すると吐出口(45)を開くように構成されている。同様に、内側圧縮室(S22)の吐出弁(48)は、該内側圧縮室(S22)の高圧室(S22H)と第2吐出ポート(17a)との差圧が設定値に達すると吐出口(46)を開くように構成されている。
上記外側シリンダ部材(41b)の内周面と内側シリンダ部材(41c)の外周面とは、互いに同一中心上に配置された円筒面に形成されている。上記第2ピストン(42)の環状ピストン部材(42b)の外周面と外側シリンダ部材(41b)の内周面との間には外側圧縮室(S21)が形成され、第2ピストン(42)の環状ピストン部材(42b)の内周面と内側シリンダ部材(41c)の外周面との間には内側圧縮室(S22)が形成されている。
上記第2ピストン(42)は、平板状の鏡板部(42a)と、該鏡板部(42a)の一方側に形成された環状ピストン部材(42b)と、鏡板部(42a)の環状ピストン部材(42b)の内側に形成された筒状の軸受部(42c)とを備えている。環状ピストン部材(42b)は、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている。軸受部(42c)には、駆動軸(23)の上側偏心部(25)が摺動自在に嵌め込まれている。なお、該軸受部(42c)と内側シリンダ部材(41c)との間に空間(90)が形成されるが、この空間(90)では冷媒の圧縮は行われない。
上記第2ブレード(43)は、第2シリンダ室(S21,S22)の径方向に、外側シリンダ部材(41b)の内周面から内側シリンダ部材(41c)の外周面に亘って延びている。そして、第2ブレード(43)は、環状ピストン部材(42b)の分断箇所を挿通して第2シリンダ室(S21,S22)を高圧室(S21H,S22H)と低圧室(S21L,S22L)とに区画するように構成されている。なお、本実施形態では、第2ブレード(43)は、外側シリンダ部材(41b)及び内側シリンダ部材(41c)と一体形成されているが、両シリンダ部材(41b,41c)と別部材として形成し、これらに固定するものであってもよい。
また、第2圧縮機構(40)は、環状ピストン部材(42b)の分断箇所に設けられ、第2ピストン(42)と第2ブレード(43)とを揺動可能に連結する第2揺動ブッシュ(44)を備えている。第2揺動ブッシュ(44)は、第2ブレード(43)に対して高圧室(S21H,S22H)側に位置する吐出側ブッシュ(44a)と、該第2ブレード(43)に対して低圧室(S21L,S22L)側に位置する吸入側ブッシュ(44b)とから構成されている。この吐出側ブッシュ(44a)及び吸入側ブッシュ(44b)は、いずれも断面形状が略半円形の同一形状に形成されている。該両ブッシュ(44a,44b)の対向面の間には、上記第2ブレード(43)が進退自在に挟まれている。そして、第2揺動ブッシュ(44)は、該第2ブレード(43)を挟み込んだ状態において、第2ピストン(42)に対して揺動可能に形成されている。なお、両ブッシュ(44a,44b)は一部において連結されて一体的に形成されていてもよい。
そして、上記第2圧縮機構(40)では、第2ピストン(42)が第2シリンダ(41)に対して偏心回転運動を行う。その偏心回転運動では、環状ピストン部材(42b)の外周面と外側シリンダ部材(41b)の内周面とが実質的に1点で摺接し、その摺接点と位相が180°ずれた位置において環状ピストン部材(42b)の内周面と内側シリンダ部材(41c)の外周面とが実質的に1点で摺接するように構成されている。
上記ミドルプレート(51)は、互いに対向するように配置された第1ピストン(32)の鏡板部(32a)及び第2ピストン(42)の鏡板部(42a)の外周面を覆う筒部(51a)と、該筒部(51a)の内部において両ピストン(32,42)の鏡板部(32a,42a)と平行に延びる円板状の平板部(51b)とによって構成されている。ミドルプレート(51)は本発明に係るハウジングを構成している。筒部(51a)は、第1シリンダ(31)の外側シリンダ部材(31b)と第2シリンダ(41)の外側シリンダ部材(41b)とに当接するように設けられている。このような構成により、ミドルプレート(51)は、第1圧縮機構(30)との間に第1空間(S1)を区画する一方、第2圧縮機構(40)との間に第2空間(S2)を区画している。尚、第1空間(S1)及び第2空間(S2)は本発明に係る背圧空間を構成している。また、ミドルプレート(51)と第1ピストン(32)は本発明に係る第1対向部材を構成する一方、ミドルプレート(51)と第2ピストン(42)は本発明に係る第2対向部材を構成している。
ミドルプレート(51)の平板部(51b)は、両ピストン(32,42)の鏡板部(32a,42a)との間に隙間を設けて配設されている。この隙間の一部が後述する第2内側背圧空間(S5)及び第1内側背圧空間(S3)を構成している。上記隙間は、その幅が所定幅(σ)に設定されている。
ミドルプレート(51)の平板部(51b)は、第2ピストン(42)の鏡板部(42a)との対向する面に駆動軸(23)を囲むように全周に亘って第2環状溝(54)が形成される一方、第1ピストン(32)の鏡板部(32a)との対向する面に同じく駆動軸(23)を囲むように全周に亘って第1内側環状溝(52)が形成され、該第1内側環状溝(52)を囲むように第1外側環状溝(53)が形成されている。各環状溝(52,53,54)は、その溝深さが所定の深さ(h)に形成されている。また、各環状溝(52,53,54)は本発明に係る溝部を構成している。
図1及び図3に示すように、上記ミドルプレート(51)の平板部(51b)には、本発明に係るシール部を構成するシール機構部(81)が設けられている。シール機構部(81)は、第1圧縮機構(30)側の第1内側シール機構部(81a)及び第1外側シール機構部(81b)と第2圧縮機構(40)側の第2シール機構部(81c)とを備えている。
図4に示すように、上記第1内側シール機構部(81a)は、シール板(82)とシールリング(83)と板バネ部材(84)と第1内側環状溝(52)とで構成されている。これらのシール板(82)、シールリング(83)及び板バネ部材(84)は平板部(51b)に形成された第1内側環状溝(52)において、該第1内側環状溝(52)の底面(52a)から板バネ部材(84)、シールリング(83)、シール板(82)の順に配設されている。
上記板バネ部材(84)は、平面視で略環状に形成された板バネに構成され、本発明に係る押圧部材を構成している。板バネ部材(84)は、その高さ寸法が所定の寸法(h1)に形成されている。板バネ部材(84)は、第1内側環状溝(52)に配設された状態において、全周に亘って第1内側環状溝(52)の底面(52a)と当接すると共に、シールリング(83)の背面(板バネ部材(84)と対向する面)(83b)と当接し、シールリング(83)をシール板(82)へ向けて押圧している。
上記シールリング(83)は、樹脂製で、且つ平面視で略環状に形成されており、その断面形状は略方形となっている。シールリング(83)は本発明に係る第2シール部材を構成している。シールリング(83)は、その高さ寸法が所定の寸法(h2)に形成される一方、その外径が第1内側環状溝(52)の外周よりも小さく、内径が第1内側環状溝(52)の内周よりも大きく形成されている。このシールリング(83)は、第1内側環状溝(52)内に配設された状態において、シールリング(83)の全周に亘って、その前面(シール板(82)と対向する面)(83a)がシール板(82)の背面(第1ピストン(32)と対向する面)(82b)と当接している一方、その背面(83b)が板バネ部材(84)に当接している。尚、シール板(82)の背面(82b)は本発明に係る第1シール部材の底部を構成している。
尚、シールリング(83)を構成する樹脂材料として、本実施形態1及び2では熱可塑性樹脂であるポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)樹脂を用いているが、シールリング(83)を構成する材料はこの材料に限られず、弾性体であるゴム部材等によって構成してもよい。
上記シールリング(83)には、図5に示すように、その周方向の一部に切込部(83c)が設けられている。こうすることで、高圧空間である第1内側背圧空間(S3)の高圧が作用したときに、シールリング(83)が径方向外方に広がるように弾性変形して第1内側環状溝(52)の外周面と当接する。また、シールリング(83)には、シール板(82)側であって外周側の部分に全周に亘って面取り(83d)が施されている。
上記シール板(82)は、鉄製で、且つ平面視で環状に形成されており、その断面形状は略方形となっている。シール板(82)は本発明に係る第1シール部材を構成している。シール板(82)は本発明に係る第1シール部材を構成している。シール板(82)は、その高さ寸法が所定の寸法(h3)に形成される一方、その外径が第1内側環状溝(52)の外周よりも小さく、内径が第1内側環状溝(52)の内周よりも大きく形成されている。尚、シール板(82)は、その高さ寸法(h3)がミドルプレート(51)の平板部(51b)と両ピストン(32,42)の鏡板部(32a,42a)との隙間の幅(σ)よりも大きくなるように形成されている。シール板(82)は、第1内側環状溝(52)内に配設された状態において、シール板(82)の全周に亘って、その前面(第1ピストン(32)と対向する面)(82a)が第1ピストン(32)の鏡板部(32a)と当接している一方、その背面(シールリング(83)と対向する面)(82b)がシールリング(83)の前面(83a)に当接している。また、シール板(82)は金属(鉄)製であり、シールリング(83)は樹脂(PEEK)製であるため、シールリング(83)の剛性よりもシール板(82)の剛性が高く構成されている。
尚、上記板バネ部材(84)とシールリング(83)を配設した状態の高さ寸法(h1+h2)は、第1内側環状溝(52)の溝深さ(h)よりも低くなる((h1+h2)<h)ように構成されている。
このような構成により、上記第1空間(S1)は、シール板(82)及びシールリング(83)により、内側の第1内側背圧空間(S3)と外側の第1外側背圧空間(S4)とに分割される。
そして、板バネ部材(84)、シールリング(83)及びシール板(82)が第1内側環状溝(52)内に配設された状態においては、板バネ部材(84)が第1内側環状溝(52)の底面(52a)からシールリング(83)を押圧し、この弾性力によってシールリング(83)をシール板(82)に当接させている。また、第1内側背圧空間(S3)の高圧冷媒が第1内側環状溝(52)内に流入すると、シールリング(83)の側面から高圧が作用するため、シールリング(83)が径方向外方に広がるように弾性変形して第1内側環状溝(52)の外周面と当接する。これにより、第1内側背圧空間(S3)と第1外側背圧空間(S4)とを仕切っている。さらに、シールリング(83)の背面(83b)からも高圧が作用するため、この圧力によってシール板(82)を第1ピストン(32)の鏡板部(32a)に当接させている。これにより、第1内側背圧空間(S3)と第1外側背圧空間(S4)とを仕切っている。
上記第1外側シール機構部(81b)は、図4に示すように、シール板(82)とシールリング(83)と板バネ部材(84)と第1外側環状溝(53)とで構成されている。第1外側シール機構部(81b)の各部材の構成・構造は、上記第1内側シール機構部(81a)と同様である。
上記第2シール機構部(81c)は、図4に示すように、シール板(82)とシールリング(83)と板バネ部材(84)と第2環状溝(54)とで構成されている。これらのシール板(82)、シールリング(83)及び板バネ部材(84)は平板部(51b)に形成された第2環状溝(54)において、該第2環状溝(54)の底面(54a)から板バネ部材(84)、シールリング(83)、シール板(82)の順に配設されている。
上記板バネ部材(84)は、第2環状溝(54)に配設された状態において、全周に亘って第2環状溝(54)の底面(54a)と当接すると共に、シールリング(83)の背面(83b)と当接し、シールリング(83)をシール板(82)へ向けて押圧している。
上記シールリング(83)は、第2環状溝(54)内に配設された状態において、シールリング(83)の全周に亘って、その前面(シール板(82)と対向する面)(83a)がシール板(82)の背面(第2ピストン(42)と対向する面)(82b)と当接している一方、その背面(板バネ部材(84)と対向する面)(83b)が板バネ部材(84)に当接している。
上記シール板(82)は、第2環状溝(54)内に配設された状態において、シール板(82)の全周に亘って、その前面(第2ピストン(42)と対向する面)(82a)が第2ピストン(42)の鏡板部(42a)と当接している一方、その背面(シールリング(83)と対向する面)(82b)がシールリング(83)の前面(83a)に当接している。
このような構成により、上記第2空間(S2)は、シール板(82)及びシールリング(83)により、内側の第2内側背圧空間(S5)と外側の第2外側背圧空間(S6)とに分割される。
そして、板バネ部材(84)、シールリング(83)及びシール板(82)が第2環状溝(54)内に配設された状態においては、板バネ部材(84)が第2環状溝(54)の底面(54a)からシールリング(83)を押圧し、この弾性力によってシールリング(83)をシール板(82)に当接させている。また、第2内側背圧空間(S5)の高圧冷媒が第2環状溝(54)内に流入すると、シールリング(83)の側面から高圧が作用するため、シールリング(83)が径方向外方に広がるように弾性変形して第2環状溝(54)の外周面と当接する。これにより、第2内側背圧空間(S5)と第2外側背圧空間(S6)とを仕切っている。さらに、シールリング(83)の背面(83b)からも高圧が作用するため、この圧力によってシール板(82)を第2ピストン(42)の鏡板部(42a)に当接させている。これにより、第2内側背圧空間(S5)と第2外側背圧空間(S6)とを仕切っている。
上記第1内側背圧空間(S3)及び第2内側背圧空間(S5)は、ケーシング(11)の内部空間(S10)に連通し、該内部空間(S10)に形成された油溜まり(18)から高圧の潤滑油が流入するように構成されている。具体的には、油溜まり(18)から各駆動部(両圧縮機構(30,40)の摺動部や、駆動軸(23)と両圧縮機構(30,40)の摺動部等)に供給された高圧の潤滑油が該第1内側背圧空間(S3)及び第2内側背圧空間(S5)に流入するように構成されている。これにより、第1内側背圧空間(S3)及び第2内側背圧空間(S5)は、高圧圧力状態のケーシング(11)の内部空間(S10)と同等の高圧圧力状態となる。そして、第1内側背圧空間(S3)の高圧の潤滑油によって第1ピストン(32)の鏡板部(32a)は第1シリンダ(31)側に押し付けられ、第2内側背圧空間(S5)の高圧の潤滑油によって第2ピストン(42)の鏡板部(42a)は第2シリンダ(41)側に押し付けられる。
一方、第1外側背圧空間(S4)は、第1圧縮機構(30)の圧縮室(S11,S12)に吸入される冷媒の圧力(低圧圧力)よりも高く、且つ吐出される冷媒の圧力(中間圧力)よりも低い圧力となり、第2外側背圧空間(S6)は、第2圧縮機構(40)の圧縮室(S21,S22)に吸入される冷媒の圧力(中間圧力)よりも高く、且つ吐出される冷媒の圧力(高圧圧力)よりも低い圧力となる。これにより、第1外側背圧空間(S4)の圧力によって第1ピストン(32)の鏡板部(32a)は第1シリンダ(31)側に押し付けられ、第2外側背圧空間(S6)の圧力によって第2ピストン(42)の鏡板部(42a)は第2シリンダ(41)側に押し付けられる。
また、回転式圧縮機(10)は、第1外側背圧空間(S4)の圧力を運転条件の変化に応じて調整するための第1背圧調整機構(60)と、第2外側背圧空間(S6)の圧力を運転条件の変化に応じて調整するための第2背圧調整機構(70)とを備えている。
上記第1背圧調整機構(60)は、第1外側背圧空間(S4)と第1吸入ポート(14a)との間に設けられている。第1背圧調整機構(60)は、第1外側背圧空間(S4)と第1吸入ポート(14a)とを連通する第1連通路(61)と、該第1連通路(61)の途中に設けられた第1ボール弁(62)及び第1スプリング(63)とを備えている。
上記第2背圧調整機構(70)は、第2外側背圧空間(S6)と第1吐出ポート(15a)との間に設けられている。該第2背圧調整機構(70)は、第2外側背圧空間(S6)と第1吐出ポート(15a)とを連通する第2連通路(71)と、該第2連通路(71)の途中に設けられた第2ボール弁(72)及び第2スプリング(73)とを備えている。
−運転動作−
次に、回転式圧縮機(10)の運転動作について説明する。まず、第1圧縮機構(30)について説明する。第1圧縮機構(30)では、低圧冷媒が圧縮されて中間圧の冷媒となる。
まず、電動機(20)を起動すると、第1ピストン(32)の環状ピストン部材(32b)が第1ブレード(33)に沿って往復運動(進退動作)を行うと共に揺動動作を行う、その際、第1揺動ブッシュ(34)は、環状ピストン部材(32b)及び第1ブレード(33)に対して実質的に面接触をする。そして、環状ピストン部材(32b)が外側シリンダ部材(31b)及び内側シリンダ部材(31c)に対して揺動しながら公転し、第1圧縮機構(30)が圧縮動作を行う。
具体的には、外側圧縮室(S11)では、図2(B)の状態で低圧室(S11L)の容積がほぼ最小となり、ここから駆動軸(23)が図の矢印方向に回転して図2(C)〜図2(A)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(S11L)の容積が増大し、第1吸入ポート(14a)の冷媒が外側圧縮室(S11)の低圧室(S11L)に吸入される。
そして、上記駆動軸(23)が一回転して再び図2(B)の状態になると、上記低圧室(S11L)への冷媒の吸入が完了する。そして、該低圧室(S11L)は、冷媒が圧縮される高圧室(S11H)となり、第1ブレード(33)を隔てて新たな低圧室(S11L)が形成される。駆動軸(23)がさらに回転すると、低圧室(S11L)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(S11H)の容積が減少し、該高圧室(S11H)で冷媒が圧縮される。高圧室(S11H)の圧力が所定値となって第1吐出ポート(15a)との差圧が設定値に達すると、吐出弁(37)が開き、高圧室(S11H)の中間圧の冷媒が第1吐出ポート(15a)を通じて第1吐出管(15)へ流出する。
上記内側圧縮室(S12)では、図2(F)の状態で低圧室(S12L)の容積がほぼ最小となり、ここから駆動軸(23)が図の矢印の方向に回転して図2(G)〜図2(E)の状態へ変化するのに伴って、該低圧室(S12L)の容積が増大し、第1吸入ポート(14a)の冷媒が内側圧縮室(S12)の低圧室(S12L)へ吸入される。
そして、上記駆動軸(23)が一回転して再び図2(F)の状態になると、上記低圧室(S12L)への冷媒の吸入が完了する。そして、該低圧室(S12L)は、冷媒が圧縮される高圧室(S12H)となり、第1ブレード(33)を隔てて新たな低圧室(S12L)が形成される。駆動軸(23)がさらに回転すると、低圧室(S12L)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(S12H)の容積が減少し、該高圧室(S12H)で冷媒が圧縮される。高圧室(S12H)の圧力が所定値となって第1吐出ポート(15a)との差圧が設定値に達すると、吐出弁(38)が開き、高圧室(S12H)の中間圧の冷媒が第1吐出ポート(15a)を通じて第1吐出管(15)へ流出する。
上記外側圧縮室(S11)では、ほぼ図2(E)のタイミングで冷媒の吐出が開始され、内側圧縮室(S12)でほぼ図2(A)のタイミングで吐出が開始される。つまり、外側圧縮室(S11)と内側圧縮室(S12)とでは、吐出のタイミングが略180°ずれている。第1吐出管(15)へ流出した中間圧の冷媒は、第2吸入管(16)に流入して第2圧縮機構(40)に吸入される。
第2圧縮機構(40)では、第1圧縮機構(30)とほぼ同様にして中間圧の冷媒が圧縮されて高圧冷媒となる。
電動機(20)を駆動すると、第2ピストン(42)の環状ピストン部材(42b)が第2ブレード(43)に沿って往復運動(進退動作)を行うと共に揺動運動を行う。その際、第2揺動ブッシュ(44)は、環状ピストン部材(42b)及び第2ブレード(43)に対して実質的に面接触をする。そして、環状ピストン部材(42b)が外側シリンダ部材(41b)及び内側シリンダ部材(41c)に対して揺動しながら公転し、第2圧縮機構(40)が圧縮動作を行う。
具体的には、外側圧縮室(S21)では、図2(B)の状態で低圧室(S21L)の容積がほぼ最小となり、ここから駆動軸(23)が図の矢印の方向に回転して図2(C)〜図2(A)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(S21L)の容積が増大し、第2吸入ポート(16a)の冷媒が外側圧縮室(S21)の低圧室(S21L)に吸入される。
そして、上記駆動軸(23)が一回転して再び図2(B)の状態になると、上記低圧室(S21L)への冷媒の吸入が完了する。そして、該低圧室(S21L)は、冷媒が圧縮される高圧室(S21H)となり、第2ブレード(43)を隔てて新たな低圧室(S21L)が形成される。駆動軸(23)がさらに回転すると、低圧室(S21L)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(S21H)の容積が減少し、該高圧室(S21H)で冷媒が圧縮される。高圧室(S21H)の圧力が所定値となって第2吐出ポート(17a)との差圧が設定値に達すると、吐出弁(47)が開き、高圧室(S21H)の高圧冷媒が第2吐出ポート(17a)を通じてケーシング(11)内の内部空間(S10)へ流出する。
上記内側圧縮室(S22)では、図2(F)の状態で低圧室(S22L)の容積がほぼ最小となり、ここから駆動軸(23)が図の矢印の方向に回転して図2(G)〜図2(E)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(S22L)の容積が増大し、第2吸入ポート(16a)の冷媒が内側圧縮室(S22)の低圧室(S22L)に吸入される。
そして、上記駆動軸(23)が一回転して再び図2(F)の状態になると、上記低圧室(S22L)への冷媒の吸入が完了する。そして、該低圧室(S22L)は、冷媒が圧縮される高圧室(S22H)となり、第2ブレード(43)を隔てて新たな低圧室(S22L)が形成される。駆動軸(23)がさらに回転すると、低圧室(S22L)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(S22H)の容積が減少し、該高圧室(S22H)で冷媒が圧縮される。高圧室(S22H)の圧力が所定値となって第2吐出ポート(17a)を通じてケーシング(11)内の内部空間(S10)へ流出する。
上記外側圧縮室(S21)では、ほぼ図2(E)のタイミングで冷媒の吐出が開始され、内側圧縮室(S22)でほぼ図2(A)のタイミングで吐出が開始される。つまり、外側圧縮室(S21)と内側圧縮室(S22)とでは、吐出のタイミングが略180°ずれている。ケーシング(11)内の内部空間(S10)へ流出した高圧冷媒は、第2吐出管(17)から吐出される。尚、冷媒回路において、回転式圧縮機(10)から吐出された冷媒は、凝縮工程および蒸発工程を経て、再び該回転式圧縮機(10)に吸入される。
一方、上記油溜まり(18)の潤滑油は、駆動軸(23)の下端の給油ポンプ(28)の遠心ポンプ作用により、該駆動軸(23)の給油溝内を上方へ押し上げられて、両圧縮機構(30,40)の摺動部や駆動軸(23)と両圧縮機構(30,40)との摺動部に供給される。そして、これらの摺動部に供給された潤滑油は、各摺動部の隙間を通って第1内側背圧空間(S3)及び第2内側背圧空間(S5)に流入する。
上記第1内側背圧空間(S3)は、内部空間(S10)に連通するとと共に、上記潤滑油が流入するため高圧圧力状態となる。また、同様に上記第2内側背圧空間(S5)は、内部空間(S10)に連通すると共に上記潤滑油が流入するため高圧圧力状態になる。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、第1及び第2ピストン(32,42)とミドルプレート(51)との間の隙間(σ)よりも大きい高さ寸法(h3)に形成されたシール板(82)を設けたため、シールリング(83)が各環状溝(52,53,54)からはみ出すのを確実に防止することができる。つまり、シールリング(83)の拡径を各環状溝(52,53,54)の内周径以下に抑えることができる。これにより、シールリング(83)が各内側背圧空間(S3,S5)に作用する高圧によって破損するのを確実に防止することができる。
また、シール板(82)の剛性をシールリング(83)の剛性よりも高くしたため、各内側背圧空間(S3,S5)に作用する高圧によってシールリング(83)が変形・破損するのを確実に防止することができる。これにより、シール機構部(81)の構成部材全体の剛性を高めることなく、各シール部材(82,83)の破損・変形を防止できるため、全体としてシール機構部(81)を大きくすることなく、各シール部材(82,83)の破損・変形を防止することができる。この結果、回転式圧縮機(10)の大型化を確実に防止することができる。
また、板バネ部材(84)を設けたため、シール板(82)とシールリング(83)との間の密着性(シール性)を高めることができる。これにより、各内側背圧空間(S3,S5)から各外側背圧空間(S4,S6)へ流体が漏れるのを確実に防止することができる。
続いて、シール機構部(81)を2つの圧縮機構(30,40)を有する回転式圧縮機(10)に適用するようにしたため、ミドルプレート(51)の大型化を防止することができる。つまり、従来の回転式圧縮機では、シール部材の破損・変形を防止するためにシール部を大型化する必要があるため、これに伴い2つの圧縮機構の間のミドルプレートも大型化していた。このため、圧力荷重点と支点が離れることによる圧縮機構の駆動軸の軸撓みが生ずるという問題があった。ところが、ミドルプレート(51)が大型化することがないため、両圧縮機構(30,40)の駆動軸の軸撓みを確実に防止することができる。この結果、回転式圧縮機(10)の大型化を確実に防止することができる。
次に、シールリング(83)に切込部(83c)を形成して高圧により拡径可能に構成したため、高圧の作用によって溝部(52,53,54)の外周面にシールリング(83)を当接させることができる。これにより、背圧空間(S1,S2)を各内側背圧空間(S3,S5)と各外側背圧空間(S4,S6)とに確実に仕切ることができる。
また、シールリング(83)をポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)樹脂で構成したため、シールリング(83)を変形させ易くすることができる。これにより、高圧の作用によってシールリング(83)を溝部(52,53,54)の外周面に当接させることができる。この結果、背圧空間(S1,S2)を各内側背圧空間(S3,S5)と各外側背圧空間(S4,S6)とに確実に仕切ることができる。
さらに、シール板(82)を鉄で構成したため、シール板(82)の剛性を高めることができる。これにより、各内側背圧空間(S3,S5)の高圧の作用によってもシール板(82)が変形・破損するのを確実に防止することができる。
最後に、二酸化炭素を冷媒に用いており、各内側背圧空間(S3,S5)の高圧と各外側背圧空間(S4,S6)の低圧の圧力差が大きい。このため、従来のシールリングは高圧の作用により溝部からはみ出して変形し、破損してしまう。ところが、本実施形態1では、シールリング(83)は各環状溝(52,53,54)からはみ出すことがない。また、シール板(82)の剛性をシールリング(83)の剛性よりも高めている。これらにより、シール板(82)及びシールリング(83)が破損するのを確実に防止することができる。この結果、回転式圧縮機(10)の大型化を確実に防止することができる。
〈発明の実施形態2〉
本実施形態2の回転式圧縮機(100)は、上記実施形態1の回転式圧縮機(10)が2つの圧縮機構(30,40)を備えていたのに代えて、1つの圧縮機構(120)を備えるようにしたものである。本実施形態2の回転式圧縮機(100)は、例えば冷媒として二酸化炭素が充填された冷凍機の冷媒回路に設けられて、冷媒としての二酸化炭素を圧縮するために利用される。
図6に示すように、本実施形態2の回転式圧縮機(100)は、いわゆる全密閉型に構成されている。この回転式圧縮機(100)は、縦長の密閉容器状に形成されたケーシング(110)を備えている。このケーシング(110)は、縦長の円筒状に形成された円筒部(111)と、碗状に形成されて円筒部(111)の両端を塞ぐ一対の端板部(112,112)とによって構成されている。そして、円筒部(111)には、貫通する吸入管(114)が設けられ、上側の端板部(112)には貫通する吐出管(115)が設けられている。
ケーシング(110)の内部には、下から上へ向かって順に、圧縮機構(120)と電動機(130)とが配置されている。尚、圧縮機構(120)は本発明に係る圧縮機部を構成している。また、ケーシング(110)の内部には、上下方向に延びる駆動軸部(133)が設けられている。そして、上記圧縮機構(120)と電動機(130)は、駆動軸部(133)を介して連結されている。本実施形態2の回転式圧縮機(100)は、圧縮機構(120)で圧縮された冷媒がケーシング(110)の内部空間へ吐出され、その後に吐出管(115)を通ってケーシング(110)から送り出される、いわゆる高圧ドーム型に構成されている。つまり、ケーシング(110)内は高圧空間(119)となっている。
駆動軸部(133)は、主軸部(133a)と偏心部(133b)とを備えている。駆動軸部(133)は、上記電動機(130)によって主軸部(133a)の軸心である回転軸(X)周りに回転駆動される。偏心部(133b)は、駆動軸部(133)の下端寄りの位置に設けられ、主軸部(133a)よりも大径の円柱状に形成されている。この偏心部(133b)は、その軸心が主軸部(133a)の回転軸(X)から所定量だけ偏心している。駆動軸部(133)の内部には、図示しないが、駆動軸部(133)の下端から上方へ延びる給油通路が形成されている。この給油通路の下端部は、いわゆる遠心ポンプを構成している。ケーシング(110)の底に溜まった潤滑油は、この給油通路を通って圧縮機構(120)の各摺動部へ供給される。
電動機(130)は、ステータ(131)とロータ(132)とを備えている。ステータ(131)は、ケーシング(110)の円筒部(111)の内壁に固定されている。ロータ(132)は、ステータ(131)の内側に配置されて駆動軸部(133)の主軸部(133a)と連結されている。
圧縮機構(120)は、上部ハウジング(140)と下部ハウジング(150)とピストン(160)とを備えている。この圧縮機構(120)では、上部ハウジング(140)と下部ハウジング(150)とで囲まれた空間にピストン(160)が収容されている。これら上部ハウジング(140)が固定部材を、下部ハウジング(150)がハウジングを、ピストン(160)が可動部材を構成する。
上記上部ハウジング(140)は、シリンダ側鏡板部(141)とシリンダ(170)とを有している。尚、シリンダ(170)は本発明に係る固定部材を構成している。
上記シリンダ側鏡板部(141)は、円板状に形成されていて、外径がケーシング(110)の内径とほぼ等しくなっている。このシリンダ側鏡板部(141)は、溶接等によってケーシング(110)の円筒部(111)に固定されている。また、シリンダ側鏡板部(141)の中央部には、駆動軸部(133)の主軸部(133a)を支持する軸受部(142)が貫通形成されている。この軸受部(142)には、主軸部(133a)が回転自在に挿通されている。
上記シリンダ(170)は、円筒状の外側及び内側シリンダ部(171,172)を有している。外側シリンダ部(171)の内径は、内側シリンダ部(172)の外径よりも大きくなっており、外側シリンダ部(171)の内方に内側シリンダ部(172)が位置している。外側及び内側シリンダ部(171,172)の基端部は、上記シリンダ側鏡板部(141)と一体的に形成されている。これら外側及び内側シリンダ部(171,172)は、その軸心が駆動軸部(133)の主軸部(133a)の軸心(即ち、軸受部(142)の軸心)と一致するように設けられている。
外側シリンダ部(171)と内側シリンダ部(172)との間には、シリンダ室(C)を横断して延びるブレード(173)が設けられている。詳しくは、ブレード(173)は、外側シリンダ部(171)の内周面から内側シリンダ部(172)の外周面まで外側及び内側シリンダ部(172),の半径方向に延びる平板状に形成され、外側及び内側シリンダ部(171,172)と一体的に形成されている。また、ブレード(173)は、シリンダ側鏡板部(141)の前面(外側及び内側シリンダ部(171,172)が設けられている面)から突出した状態となっており、該シリンダ側鏡板部(141)とも一体的に形成されている。
また、外側シリンダ部(171)には、その径方向へ貫通する吸入口(174)が形成されており、この吸入口(174)に吸入管(114)が挿入されている。つまり、吸入管(114)とシリンダ室(C)とは連通している。
さらに、内側シリンダ部(172)の内側空間(177)には、上記駆動軸部(133)の偏心部(133b)が位置している。
上記下部ハウジング(150)は、平板部(151)と周壁部(152)とを有している。尚、下部ハウジング(150)は本発明に係るハウジングを構成している。
上記平板部(151)は、円板状に形成されていて、外径がケーシング(110)の内径よりもやや小さくなっている。この下部ハウジング(150)は、上部ハウジング(140)にボルト等で連結されている。平板部(151)の中央部には、駆動軸部(133)の主軸部(133a)を支持する軸受部(153)が貫通形成されている。この軸受部(153)に、主軸部(133a)が回転自在に挿通されている。また、平板部(151)の前面(可動部材であるピストン(160)と対向する面)(182b)には、図8に示すように、上部ハウジング(140)側に突出する平面視環状の環状台座(154)が軸受部(153)を囲むようにして設けられている。また、この環状台座(154)には、全周に亘って凹溝(156)が形成されている。この凹溝(156)は本発明に係る溝部を構成している。尚、環状台座(154)及び凹溝(156)は、軸受部(153)(駆動軸部(133)の主軸部(133a)の回転軸(X))と同心状には設けられておらず、軸受部(153)に対して、後述する圧縮行程終盤の高圧室(C1-Lp,C2-Hp)(図9参照)の方向に偏心して設けられている。
上記周壁部(152)は、平板部(151)の周縁部から上部ハウジング(140)側に延びる円筒状に形成されている。周壁部(152)の内径は、上記外側シリンダ部(171)の内径よりも大きくなっている。つまり、下部ハウジング(150)が上部ハウジング(140)の連結された状態において、外側シリンダ部(171)の内周縁部が周壁部(152)の半径方向内方にはみ出している。
上記ピストン(160)は、円筒状であって、その基端側(図6における下面側)にはピストン側鏡板部(161)が一体的に形成されている。ピストン(160)は本発明に係る可動部材を構成している。このピストン(160)は、その内径が上記内側シリンダ部(172)の外径よりも大きく、その外径が上記外側シリンダ部(171)の内径よりも小さく設定されている。また、ピストン(160)は、図7に示すように、平面視において円筒の一部が分断部(163)によって分断されたC字形状をしている。この分断部(163)には、後述する揺動ブッシュ(164)が回転自在に支持されている。
上記ピストン側鏡板部(161)は、円板状に形成されていて、その外周縁部がピストン(160)よりも径方向外方にはみ出して形成されている。このピストン側鏡板部(161)の外径は、上記外側シリンダ部(171)の内径よりも大きく、ピストン(160)が上記シリンダ室(C)内を偏心回転しても、該外側シリンダ部(171)の先端面(図6における下面)と常に摺接する程度の大きさに設定されている。また、ピストン側鏡板部(161)の下端面は上記下部ハウジング(150)との間に所定の隙間を有した背圧空間(157)が形成されている。
また、上記ピストン側鏡板部(161)の中央部には、駆動軸部(133)の偏心部(133b)に回転自在に嵌合する軸受部(162)が貫通形成されている。上記ピストン(160)は、その軸心が駆動軸部(133)の偏心部(133b)の軸心(即ち、軸受部(162)の軸心)と一致するように設けられている。
そして、背圧空間(157)には、シール機構(180)が配設されている。シール機構(180)は、本発明に係るシール部を構成している。このシール機構(180)の構成・構造は上記実施形態1のものと同様である。シール機構(180)によって背圧空間(157)を内側の高圧空間である内側背圧空間(158)と外側の低圧空間である外側背圧空間(159)とに分割している。また、ピストン(160)と下部ハウジング(150)は本発明に係る対向部材を構成している。
このように構成されたピストン(160)は、軸受部(162)が駆動軸部(133)の偏心部(133b)に嵌合された状態において、該軸受部(162)が上記内側シリンダ部(172)の内側空間(177)内に収容され、且つピストン(160)が上記シリンダ室(C)内に収容される。このとき、ピストン(160)の先端面(シリンダ側鏡板部(141)と対向する面)はシリンダ側鏡板部(141)に摺接する一方、外側及び内側シリンダ部(171,172)の先端面(ピストン側鏡板部(161)と対向する面)はピストン側鏡板部(161)に摺接している。その結果、シリンダ室(C)は、シリンダ側鏡板部(141)、ピストン側鏡板部(161)、外側シリンダ部(171)及びピストン(160)で囲まれた外側シリンダ室(C)と、シリンダ側鏡板部(141)、ピストン側鏡板部(161)、ピストン(160)及び内側シリンダ部(172)で囲まれた内側シリンダ室(C)とに区画される。
このピストン(160)は、図7に示すように、外周面が外側シリンダ部(171)の内周面と1箇所で摺接すると共に、内周面が内側シリンダ部(172)の外周面と1箇所で摺接している。ピストン(160)と外側シリンダ部(171)の摺接箇所は、ピストン(160)と内側シリンダ部(172)の摺接箇所に対し、ピストン(160)の軸心(即ち、偏心部(133b)の軸心)を挟んだ反対側、即ち位相が180°ずれた箇所に位置している。
また、ピストン(160)がシリンダ室(C)に収容された状態において、上記ブレード(173)は、該ピストン(160)の分断部(163)に挿通されており、この分断部(163)には、前述の如く、揺動ブッシュ(164)が挿入されている。揺動ブッシュ(164)は一対のブッシュ片(164a,164a)で構成されている。このブッシュ片(164a,164a)は、外側面が円弧面に形成され、内側面が平面に形成された小片である。ピストン(160)の分断部(163)の端面は、円弧面となっていてブッシュ片(164a,164a)の外側面と摺接する。つまり、一対のブッシュ片(164a,164a)は、互いの内側面が対向するように分断部(163)内に配置されている。そして、両ブッシュ片(164a,164a)の対向する内側面の間のスペースにブレード(173)が挿通されており、両ブッシュ片(164a,164a)の内装面とブレード(173)とが摺接する。つまり、揺動ブッシュ(164)は、ブレード(173)を挟んだ状態で該ブレード(173)の内側面方向に自在に進退できるように構成されている。それに加えて、ピストン(160)は、分断部(163)を介して揺動ブッシュ(164)に対して自在に揺動できるように構成されている。つまり、ピストン(160)は、揺動ブッシュ(164)と係合していて、この揺動ブッシュ(164)によって支持されている。
上記外側シリンダ室(C)と内側シリンダ室(C)は、ブレード(173)によってそれぞれが高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画されている。
外側シリンダ室(C)に形成された上記吸入口(174)は、ブレード(173)近傍の低圧室(C1-Lp)に開口するように形成されている。そして、ピストン(160)における、該吸入口(174)に対応する位置には、外側シリンダ室(C)の低圧室(C1-Lp)と内側シリンダ室(C)の低圧室(C2-Lp)とを連通させる貫通孔(165)が貫通形成されている。すなわち、吸入口(174)を介して上記吸入管(114)から外側シリンダ室(C)の低圧室(C1-Lp)に流入した冷媒は、貫通孔(165)を介して内側シリンダ室(C)の低圧室(C2-Lp)にも流入する。
一方、上部ハウジング(140)には、図7に示すように、圧縮した冷媒を吐出する外側吐出口(143)と内側吐出口(144)とが形成されている。外側吐出口(143)はブレード(173)近傍において外側シリンダ室(C)の高圧室(C1-Hp)に開口するように、内側吐出口(144)はブレード(173)近傍において内側シリンダ室(C)の高圧室(C2-Hp)に開口するようにシリンダ側鏡板部(141)を貫通して形成されている。これら外側及び内側吐出口(144)の下流端には、該外側及び内側吐出口(143,144)を開閉する吐出弁(図示省略)としてのリード弁が設けられている。
上部ハウジング(140)の、下部ハウジング(150)と反対側(即ち、電動機(130)側)には、マフラ(145)が取り付けられている。このマフラ(145)は、上部ハウジング(140)を下部ハウジング(150)と反対側から覆うように設けられ、上部ハウジング(140)との間に吐出空間(146)を形成している。上記外側及び内側吐出口(143,144)から吐出された冷媒は、この吐出空間(146)に一旦吐出され、マフラ(145)と軸受部(142)との隙間を通ってケーシング(110)内の高圧空間(119)内に流出する。つまり、マフラ(145)は、圧縮機構(120)から吐出される吐出ガスの消音機能を有している。
−運転動作−
次に、この回転式圧縮機(100)の運転動作について説明する。
電動機(130)を駆動すると、ロータ(132)の回転が駆動軸部(133)を介して圧縮機構(120)のピストン(160)に伝達される。そうすると、揺動ブッシュ(164)がブレード(173)に沿って進退運動(往復動作)を行い、且つピストン(160)が揺動ブッシュ(164)に対して揺動動作を行う。その際、揺動ブッシュ(164)は、ピストン(160)及びブレード(173)に対して実質的に面接触をする。そして、ピストン(160)が外側シリンダ部(171)及び内側シリンダ部(172)に対して揺動しながら駆動軸部(133)に対して偏心回転し、圧縮機(100)が所定の圧縮動作を行う。
ピストン(160)の偏心回転角度は、平面視において、駆動軸部(133)の回転軸(X)から半径方向に延びて揺動ブッシュ(164)の揺動中心を通る直線上にピストン(160)の軸心(偏心部(133b)の軸心)が位置する(即ち、回転軸(X)と揺動ブッシュ(164)とを結ぶ線分上にピストン(160)の軸心が位置する)時点における偏心回転角度を0°とする。図9の(A)は、ピストン(160)の偏心回転角度が0°又は360°の状態を、(B)は、ピストン(160)の偏心回転角度が90°の状態を、(C)は、ピストン(160)の偏心回転角度が180°の状態を、(D)は、ピストン(160)の偏心回転角度が270°の状態をそれぞれ示している。
具体的に、外側シリンダ室(C)では、図9(B)の状態で低圧室(C1−Lp)の容積がほぼ最小であり、ここから駆動軸部(133)が図の時計回りに回転して図9(C)から(A)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(C1-Lp)の容積が増大するときに、冷媒が吸入管(114)及び吸入口(174)を通って該低圧室(C1-Lp)に吸入される。
図9(A)の状態になると、上記低圧室(C1-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C1-Lp)は今度は冷媒が圧縮される高圧室(C1-Hp)となり、再び図9(B)の状態になると、ブレード(173)を隔てて新たな低圧室(C1-Lp)が形成される。駆動軸部(133)がさらに回転すると、上記低圧室(C1-Lp)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(C1-Hp)の容積が減少し、該高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮される。高圧室(C1-Hp)の圧力が所定値となって吐出空間(146)との差圧が設定値に達すると、該高圧室(C1-Hp)の高圧冷媒によって吐出弁(図示省略)が開き、高圧冷媒が吐出空間(146)へ吐出され、マフラ(145)からケーシング(110)内の高圧空間(119)へ流出する。
内側シリンダ室(C)では、図9(D)の状態で低圧室(C2-Lp)の容積がほぼ最小であり、ここから駆動軸部(133)が図の時計回りに回転して図9(A)〜(C)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(C2-Lp)の容積が増大するときに、冷媒が吸入管(114)、吸入口(174)、及び貫通孔(165)を通って内側シリンダ室(C)の低圧室(C2-Lp)へ吸入される。
図9(C)の状態になると、上記低圧室(C2-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C2-Lp)は今度は冷媒が圧縮される高圧室(C2-Hp)となり、再び図9(D)の状態になると、ブレード(173)を隔てて新たな低圧室(C2-Lp)が形成される。駆動軸部(133)がさらに回転すると、上記低圧室(C2-Lp)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(C2-Hp)の容積が減少し、該高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮される。高圧室(C2-Hp)の圧力が所定値となって吐出空間(146)との差圧が所定値に達すると、該高圧室(C2-Hp)の高圧冷媒によって吐出弁が開き、高圧冷媒が吐出空間(146)へ吐出され、マフラ(145)からケーシング(110)内の高圧空間(119)へ流出する。
外側シリンダ室(C)と内側シリンダ室(C)で圧縮されてケーシング(110)内の高圧空間(119)へ流出した高圧の冷媒は吐出管(115)から吐出され、冷媒回路で凝縮工程、膨張工程、及び蒸発工程を経た後、再度圧縮機(100)に吸入される。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1又は2について、以下のような構成としてもよい。
実施形態1及び2では、本発明に係る押圧部材として板バネ部材(84)を設けたが、押圧部材としては弾性力を付与するその他手段を用いてもよい。
上記実施形態2では、ピストンが偏心回転するようにしたが、本発明はシリンダが偏心回転する回転式圧縮機についても適用することができる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、回転式圧縮機の大型化防止手段について有用である。
30 第1圧縮機構
31 第1シリンダ
32 第1ピストン
40 第2圧縮機構
41 第2シリンダ
42 第2ピストン
50 圧縮機部
51 ミドルプレート
52 第1内側環状溝
52a (第1内側環状溝の)底面
53 第1外側環状溝
53a (第1外側環状溝の)底面
54 第2環状溝
54a (第2環状溝の)底面
81 シール機構部
82 シール板
82b (シール板の)の底部
83 シールリング
84 板バネ部材
S1 第1空間
S2 第2空間
S3 第1内側背圧空間
S4 第1外側背圧空間
S5 第2内側背圧空間
S6 第2外側背圧空間
S11,S21 外側圧縮室
S12,S22 内側圧縮室

Claims (6)

  1. 可動部材(32,42)が固定部材(31,41)に対して偏心回転して該固定部材(31,41)と該可動部材(32,42)との間に形成された圧縮室(S11,S12,S21,S22)で流体を圧縮する圧縮機構(50)を備えた回転式圧縮機であって、
    上記圧縮機構(50)は、上記可動部材(32,42)の背面側に該可動部材(32,42)との間で所定の隙間をもった背圧空間(S1,S2)を挟んで設けられたハウジング(51)と、
    上記ハウジング(51)と可動部材(32,42)とが構成する一対の対向部材(32,51)(42,51)の間に形成されたシール部(81)とを備え、
    上記シール部(81)は、上記2つの対向部材(32,51)(42,51)の対向面の何れか一方の面に平面視で環状に形成された溝部(52,53,54)と、
    上記溝部(52,53,54)に設けられ、上記隙間よりも大きい高さ寸法に形成され、且つ上記溝部(52,53,54)と対向する対向部材(32,51)(42,51)の対向面に当接して上記背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する第1シール部材(82)と、
    上記溝部(52,53,54)に設けられ、上記第1シール部材(82)の底部(82b)に当接して上記背圧空間(S1,S2)を高圧空間(S3,S5)と低圧空間(S4,S6)とに区画する第2シール部材(83)と、
    該第2シール部材(83)と溝部(52,53,54)の底部(52a,53a,54a)との間に設けられて上記第2シール部材(83)を第1シール部材(82)に向けて押圧する押圧部材(84)とを備え、
    上記第1シール部材(82)は、第2シール部材(83)よりも高い剛性に構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記圧縮機構(50)は、それぞれに可動部材(32,42)と固定部材(31,41)とを有する第1圧縮機構部(30)、及び第2圧縮機構部(40)を備え、
    上記ハウジング(51)は、互いの可動部材(32,42)の背面側を対向させた第1圧縮機構部(30)と第2圧縮機構部(40)との間に設けられ、上記ハウジング(51)と第1圧縮機構部(30)の可動部材(32)とが一対の第1対向部材(32,51)を構成すると共に、上記ハウジング(51)と第2圧縮機構部(40)の可動部材(42)とが一対の第2対向部材(42,51)を構成し、
    上記シール部(81)は、上記第1対向部材(32,51)の間、又は上記第2対向部材(42,51)の間に形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    上記第2シール部材(83)は、径方向外方に変形可能な環状に形成され、上記高圧空間(S3,S5)の高圧によって径方向外方に拡がることで溝部(52,53,54)の外周面に当接する
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 請求項1〜3の何れか1つにおいて、
    上記第2シール部材(83)は、樹脂材料からなる
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  5. 請求項1〜4の何れか1つにおいて、
    上記第1シール部材(82)は、金属材料からなる
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  6. 請求項1〜5の何れか1つにおいて、
    冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されて、該冷媒回路に冷媒として充填された二酸化炭素を圧縮させる
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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