JP2011213964A - 油汚れ除去機能を有する水溶液タイプの撥水剤 - Google Patents

油汚れ除去機能を有する水溶液タイプの撥水剤 Download PDF

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Abstract

【課題】油分の拭き取りなどの前処理工程を必要とせずに撥水膜塗布作業を行うことができるガラス表面に付着された油分などの汚れ除去機能を有し、かつPFOS規制及びVOC排出規制に対応した水溶液タイプの撥水剤を提供。
【解決手段】(A)ガラス表面に露出したシラノール基と共有結合する変性シリコーンオイルを5〜20重量%、(B)研磨剤を1〜10重量%、(C)ヒュームドシリカを0.2〜4重量%、(D)アルコールを10〜40重量%、(E)酸を前記変性シリコーンオイルの5〜30重量%、および(F)残部として水を含む油汚れ除去機能を有する撥水剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス表面等、特に自動車等のウィンドガラスに付着する油分等の汚れを除去すると同時に良好な撥水効果を付与する水溶液タイプの撥水剤に関する。
ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3〕は市販の撥水性化合物の中で最も低い臨界表面張力12 dyne/cmを有する。高価ではあるが、ガラス表面のシラノール基との共有結合により良好な撥水性・耐摩耗性を有するので、市販の撥水剤の主成分として広く使用されている。因みに、この分野で基準とされるフッ素樹脂・テフロン(登録商標)の臨界表面張力は18.5dyne/cmである。
特許文献1には、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等を含む有機溶媒溶液にシリカ微粉末などの研磨材を添加することにより、その塗布表面に付着する油分などの汚れを除去する機能が付与されることが開示されている。しかしながら、このヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランの原料であるパーフルオロオクタンスルホン酸塩〔CF3(CF2)7SO3 - K+、「PFOS」と略す〕は人体に対し有害であるため、欧州では2008年6月27日より使用が禁止されることとなった。このため、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを含むフルオロアルキルシランの使用は大幅に制限されることになる。
特許文献2と3には、一般式CH3-(Si(CH3)2-O)n-Si(CH3)3で表されるアルキルポリシロキサンを酸とアルコールからなる半エステル溶液に溶解した撥水剤が開示されている。ところで、このアルキルポリシロキサンの臨界表面張力は16〜21dyne/cmで、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランのそれより高く、また、その耐磨耗性もヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランより多少劣る。それにもかかわらず、このアルキルポリシロキサンは安価でかつ良好な撥水性を有するので、RAIN-X(登録商標)の商品名で自動車用および業務用撥水剤として市販されている。
しかしながら、このRAIN‐X(登録商標)等の撥水剤は、このポリシロキサン主鎖の酸素原子がガラス表面のシラノール基と水素結合して撥水膜を形成するため、ポリシロキサン撥水膜とガラス表面との密着を妨害する油分などの汚れを、前処理工程で除去することが必要であるという欠点があった。
特許文献4には、シリコーン系撥水剤を有機溶媒に溶解した溶液に酸化セリウム等の研磨粒子を混入する方法が提案されている。この撥水剤は塗布しながら、撥水膜の密着性を妨害する有害物質を研磨粒子で研磨除去することにより、撥水膜とガラスとの密着性を高めようとするものである。しかしながら、この撥水剤においても、塗布作業前にガラス表面の汚れをエタノールを含ませた払拭布で拭き取る前処理工程が必要であり、また有機溶媒の揮散という問題があった。
特許文献5には、アルキルポリシロキサン、有機溶媒及び酸からなる撥水剤に研磨剤を混入させる方法が開示されている。この撥水剤はガラスに付着した埃や塵などの汚れを除去する機能が付与された。しかしながら、ガラスに付着する油汚れの除去機能は明示されておらず、また有機溶媒の揮散の問題がある。
特許文献6〜8には、シリコーン、酸、固体粒子からなり、揮発性有機化合物(VOC)を含有しない無溶剤型撥水剤が開示されている。しかしながら、雲母、炭化水素ワックス、プラスチック等の固体粒子は、シリコーンに酸を均一的に分散し、再分離しないように機能するもので、撥水剤自体には汚れ除去機能が付与されてない。
特許文献9〜12には、有機シラン四級アンモニウム化合物、過酸化水素、研磨剤粒子及び水からなる撥水剤水溶液が開示され、良好な撥水性と汚れ除去性を有することが記載されている。その水溶液として用いる水は、60〜90重量%の量を占め、脱イオン水を用いる必要があり、コスト上好ましくなかった。
特許文献13〜15並びに特許文献16には、アミノ変性シリコーンオイル並びにシラノール変性シリコーンオイルからなる水溶液タイプの撥水剤が開示されているが、これらはいずれも塗布表面の汚れを除去する機能が付与されない。
また、本出願人らは、シリコーンオイル、微粒子、微粒子の結合剤、水系溶剤および水を含有させた撥水剤を提案した(特許文献17)。しかし、この撥水剤は油汚れを除去する機能を有していない。
さらに、本発明者は、変性シリコーンオイルと研磨剤を含む酸性アルコール水溶液に分散剤として層状珪酸塩を配合させ、油汚れを除去する機能を有する水溶液タイプの撥水剤を提案した(特許文献18)。しかし、この撥水剤は塗布作業に特殊なマイクロファイバー製雑巾を使用しないとガラス表面にムラが現れしやすく、産業界への応用が制限された。特に自動車のフロントガラスなどへの応用には支障をきたしていた。
特許3572757号公報 米国特許3,579,540号公報 特公昭50−15473号公報 特開平4−342787号公報 米国特許5,697,991号公報 米国特許6,676,733号公報 米国特許6,432,181号公報 特表2003−525977号公報 米国特許公開2007−0227557号公報 米国特許公開2007−0010419号公報 特開2007−16201号公報 米国特許6,994,890号公報 特開平5−301742号公報 米国特許5,584,917号公報 米国特許6,809,072号公報 特開2008−150432号公報 特開2008−69365号公報 特開2010−31145号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することであって、油分の拭き取りなどの前処理工程を必要とせずに撥水剤の塗布作業を行うことができるガラス表面に付着された油分などの汚れ除去機能を有し、しかも、塗布作業に特殊なマイクロファイバー製雑巾を使用しなくてもガラス表面にムラが生じることはなく、かつPFOS規制及びVOC排出規制に対応した水溶液タイプの撥水剤を提供することにある。
本発明者らは、変性シリコーンオイルと研磨剤を含むアルコール類溶媒の酸性水溶液にヒュームドシリカを分散剤として配合させることにより、油分などの汚れの除去機能を有するとともに、高透過率の撥水膜を形成する撥水剤となることを見出だした。
本発明は上記知見に基づきなされたもので、次のとおりである。
(1)(A)ガラス表面に露出したシラノール基と共有結合する変性シリコーンオイルを5〜20重量%、(B)研磨剤1〜10重量%、(C)ヒュームドシリカ0.2〜4重量%、(D)アルコールを10〜40重量%、(E)酸を前記変性シリコーンオイルの5〜30重量%、および(F)残部として水を含む油汚れ除去機能を有する撥水剤。
(2)上記変性シリコーンオイルが下記一般式化1または化2で表されるものであって、これらの1種以上からなるものである上記(1)に記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
Figure 2011213964

Figure 2011213964

上記式化1及び化2中、Rは水酸基、アルコキシ基、またはアミノ基で、mは1以上の整数、nは5以上の整数、xは2〜10の整数である。
(3)上記研磨剤が酸化セリウムである上記(1)または(2)のいずれかに記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
(4)上記アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、または2‐ブタノールから選択される1種以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
(5)上記酸が、硫酸、燐酸、または塩酸から選択される1種以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
本発明の撥水剤は、PFOS規制およびVOC排出規制、および化学物質排出把握管理促進法(「PRTR法」と略す)に対応でき、またエタノール等による油分の拭取りなどの前処理工程を必要とせず、特殊なマイクロファイバー製雑巾などを使用しなくても簡便な撥水剤の塗布作業によりムラを生じさせることなく、ガラス表面に付着する油分などの汚れを除去すると同時に良好な撥水性を付与することができるという効果を奏する。
清浄ガラス表面に実施例1の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 清浄ガラス表面に実施例2の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 油膜付着表面に実施例1の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 油膜付着表面に実施例2の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 油膜付着表面に比較例1の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 油膜付着表面に比較例2の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 清浄な大面積(100×200mm)ガラス表面に比較例2の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。 清浄な大面積(100×200mm)ガラス表面に実施例1の撥水剤の塗布前後のガラス透過率の変化を示したものである。
本発明の変性シリコーンオイルは、ガラス表面に露出しているシラノール基と共有結合して撥水性を付与する反応性シリコーンオイルであれば支障なく用いることができる。このような変性シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン主鎖の両末端、またはその側鎖の一部に、水酸基、アルコキシ基、またはアミノ基を有する反応性シリコーンオイルが、安価ために好適である。特に好ましいものとしては、ガラス表面のシラノール基との反応性が高い、一般式HO[Si(CH3)2O]nHで表されるシラノール両末端変性シリコーンオイルである。この変性シリコーンオイルは、撥水剤製造の容易性を考慮すれば、粘度30〜3000mm2/s(25℃)、特には粘度約30〜100mm2/sの範囲のものが好ましい。この変性シリコーンオイルは、良好な撥水性を得るために、撥水剤組成物の全量に対して5〜20重量%を用いるが、8〜12重量%が好ましい。この変性シリコーンオイルは、市販品、例えば、信越化学工業(株)製のKF‐9701、X‐21‐5841、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製のXC96‐723、YF3800、YF3905、YF3507、東レ・ダウコーニング(株)製のBY16‐873、PRX413などを用いることができる。
本発明の研磨剤は、ガラスに付着する油膜を除去するためのものであり、かかる機能を有するものであれば、例えば、珪藻土、金属酸化物、金属炭酸化合物、シリケート、粘土、炭化物、プラスチックなどのいずれを用いても特に支障はないが、特には、いわゆる化学・機械研磨機能を有する酸化セリウムを用いることが好ましい。この酸化セリウムは酸性水溶液に部分的に溶解されるが、ガラス表面に付着する汚れを除去する機能が低下することはない。
研磨剤の粒子の大きさは、油分の効率的な除去のためには、0.5〜10μmの範囲のものが好ましく、特には1〜5μmの範囲のものが好ましい。この研磨剤は、油分の効率的な除去をおこなうために、撥水剤組成物の全量に対して1〜10重量%、特には、2〜4重量%とすることが好ましい。
酸化セリウムは、市販品である三井金属鉱業(株)製のミレーク/MIREK(登録商標)E30、E40、ES3‐6、ESS‐6、昭和電工(株)製のショウロックス/SHOROX(登録商標)N‐5、H‐4などを用いると簡便である。
なお、この研磨剤は、上述したものを複数種類混合して用いてもよい。
本発明においては、分散剤として、ヒュームドシリカを用いるものである。例えば、分散剤として良く用いられる層状珪酸塩珪酸塩などは、上記変性シリコーンオイルを水中に分散させる機能を有しているものの、塗布後のガラスにムラがよく生じる。しかし、ヒュームドシリカは、撥水効果に何ら影響を与えず、かつ分散作用が高い。これは、ヒュームドシリカのナノ粒子の表面上のシラノール基がシリコーンポリマーとの水素結合によって相互作用し、シリコーンポリマーの水中分散性を促進するためと推測される。
ヒュームドシリカは、酸水素火炎中で、例えばテトラクロロシランを気相加水分解させると得られ、一次粒子径は5〜55nm、比表面積が50〜500m2/gで非晶質である。本発明では、市販のヒュームドシリカのいずれをも用いることができるが、特には、変性シリコーンオイルの分散効果に優れている、疏水化処理が施されていない親水性フュームドシリカが好ましい。
このヒュームドシリカの配合量は、変性シリコーンオイルの分散性を考慮し、撥水剤組成物の全量に対して0.2〜4重量%の範囲から適宜選定するが、特には約0.5〜2重量%とすることが好ましい。
上記アルコールとしては、水に対する溶解性が高いメタノール、エタノール、イソプロパノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノールなどの低級アルコール、あるいはこれらの2種類以上の混合液を用いることが好ましい。特には、イソプロパノールが好ましい。このアルコールは全組成物の量に対して10〜40重量%とする。
なお、このアルコールは、酸及び水とともに酸性水溶液を構成して、アルコール−酸の中間物、いわゆる「半エステル」を生成し、シリコーンオイルはこの溶液に容易に均一的に分散し、一部溶解する(特許文献2参照)。
一方、酸としては、半エステル生成が容易である、硫酸、塩酸または燐酸などの無機酸を用いることができるが、特には硫酸が好ましい。その量は、変性シリコーンオイルの良好な分散・溶解のため、変性シリコーンオイルの量に対して5〜30重量%、特には、8〜12重量%とすることが好ましい。
上記水としては、特に脱イオン水を用いる必要はなく、水道水を用いても、そこに溶解している微量の元素イオンなどは本発明の撥水剤に何ら影響を与えることがないため、利便性・経済性などを考慮して水道水を用いるとよい。本発明の撥水剤において、水は残量であるが、撥水剤の塗付作業の容易性を考慮すれば、撥水剤組成物の全量に対して50〜80重量%とすることが好ましい。
本発明の撥水剤は、室温で、所定量のアルコールに、酸、変性シリコーンオイル、研磨剤、分散剤及び水を攪拌しながら添加して調製することができる。
本発明の撥水剤は、雑巾などに含ませてガラス表面に擦り付けるように塗布する。ガラス表面に油分などの汚れが付着している場合、汚れは撥水剤に含まれる研磨剤の研磨機能により除去される。塗布作業後、5〜20分間風乾し、雑巾などで拭き上げる。本発明の撥水剤の撥水性、油膜除去機能、耐水洗性の評価を次の実施例などで詳細に説明する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、これらの実施例により本発明は何ら限定されるものではない。
表1に、実施例1、2と比較例1、2に用いた組成を示す。
Figure 2011213964
酸化セリウムと水が6対94の重量比からなる洗浄研磨液を用い、25×75mmスライドガラスを研磨・洗浄して清浄なガラス表面を調製した。
この清浄なガラス表面に、表1に示した組成の撥水剤を綿製の雑巾を用いて塗布し、5〜20分間風乾後した後、綿製の雑巾で拭き上げて、撥水性評価をおこなった。この結果を表2に示した。
なお、撥水膜の撥水性は水との接触角及び水滴の転落角で評価した。測定用装置は協和界面科学(株)製の固液界面解析装置DropMaster300を用いた。
油汚れ除去機能は撥水剤塗布前後でのガラスの透過率変化で評価した。測定用装置は日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計V-630 Spectrophotometerを用いた。
Figure 2011213964
この結果から、本発明の撥水剤は撥水効果が良好であることが分かる。さらに、図1、2に示すように、各実施例の撥水剤で処理後のガラスの透過率は清浄ガラスのそれと比べてほぼ同様であるから、得られた撥水膜は透明性に優れていることが分かる。
一方、比較例1は、撥水性が全くないことが分かる。
次に、上記撥水剤を塗布したガラスを超音波水槽に入れ、超音波で1時間、洗浄処理後の撥水効果の変化を表3に示す。
Figure 2011213964
この結果から、本発明の撥水剤は、優れた耐水洗性を有していることが分かる。
次に、市販の菜種油を清浄なスライドガラスに塗布し、乾燥器中、110℃で、30分間加熱処理して、ガラス表面に油膜が付着した油膜付着ガラスを調製した。
この油膜付着ガラスの表面に、表1に示した撥水剤を、綿製の雑巾で塗布し、5〜20分間風乾後した後、綿製の雑巾で拭き上げた。塗布、拭き上げ後の撥水性と油膜除去機能の評価を表4に示す。
Figure 2011213964
図3と4に示すように、透過率が低くなった油膜付着ガラスは各実施例の撥水剤を塗布することにより、得られた撥水膜の透過率が清浄ガラスとほぼ同じレベルに戻っていることが分かる。この結果から、本発明の撥水剤は、油膜除去機能を有し、撥水効果に優れており、しかもその撥水膜の透明性も良好であることがわかる。
一方、比較例1では、ガラスに付着した油膜が完全に除去され、油膜除去機能は有しているが、油膜から由来する撥水性が完全になくなっていることが分かる。
なお、比較例2は、上記小面積(25×75mm)スライドガラスを用いた撥水効果では、実施例1と遜色はなかった。しかし、比較例2の撥水剤を大面積(100×200mm)ガラスに、上記と同様の方法で塗布、拭き上げたものは、ガラス表面にムラが観察された。このガラスの透過率の測定結果を図7に示した。この図に示された複数の可視スペクトルは同一ガラス表面の異なる6箇所で測定したものである。
一方、ヒュームドシリカを用いた実施例1の撥水剤を、同様に大面積(100×200mm)ガラスに塗布し、拭き上げたものは、ムラが観察されなかった。その透過率を図8に示した。比較例2と同様に、図に示された複数の可視スペクトルは、同一ガラス表面の異なる6箇所で測定したものである。
この結果、本発明のヒュームドシリカを用いたものがムラを発生させず、透過率に優れていることが分かる。
次に、油膜付着ガラスの表面に、撥水剤を塗布、拭き上げたガラスを超音波水槽に入れ、超音波で1時間処理後の撥水効果の変化を表5に示す。
Figure 2011213964
この結果から、本発明の撥水剤は、強力な撥水効果を持続できることが分かる。
〔比較例3〕
市販品RAIN‐X(登録商標)撥水剤の撥水性は、米国特許第7,138,186号に記載されたデータから、接触角が95〜105°で、転落角(60μL水滴)が20〜25°である。
以上のことより、本発明の撥水剤は、市販品RAIN‐X(登録商標)と同様な撥水効果を有し、かつ油膜除去機能を有する新規な水溶液タイプの撥水剤であることが検証された。
本発明の撥水剤は、ガラス表面等、特に自動車等のウィンドガラスに付着する油分等の汚れを除去すると同時に良好な撥水効果を付与することができ、産業上有用である。
1 清浄ガラスの透過率曲線(破線)
2 撥水剤処理後のガラスの透過率曲線(実線)
3 菜種油膜付着ガラスの透過率曲線(点線)

Claims (5)

  1. (A)ガラス表面に露出したシラノール基と共有結合する変性シリコーンオイルを5〜20重量%、(B)研磨剤を1〜10重量%、(C)ヒュームドシリカを0.2〜4重量%、(D)アルコールを10〜40重量%、(E)酸を前記変性シリコーンオイルの5〜30重量%、および(F)残部として水を含む油汚れ除去機能を有する撥水剤。
  2. 前記変性シリコーンオイルが下記一般式化1または化2で表されるものであって、これらの1種以上からなるものである請求項1に記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
    Figure 2011213964
    (式中、Rは水酸基、アルコキシ基、またはアミノ基で、nは5以上の数である)
    Figure 2011213964
    (式中、Rは水酸基、アルコキシ基、またはアミノ基で、mは1以上の数、nは5以上の数、xは2〜10までの数である)
  3. 前記研磨剤が酸化セリウムである請求項1または2に記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
  4. 前記アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、または2−ブタノールであって、これらの1種以上からなるものである請求項1〜3に記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
  5. 前記酸が硫酸、燐酸、または塩酸であって、これらの1種以上を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の油汚れ除去機能を有する撥水剤。
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