JP2005113023A - 光触媒含有ケイ素組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】防汚性、汚染物除去性および防曇性能の向上に加えて、優れた防かび性、防藻性および抗菌性を有する塗膜を形成する光触媒含有ケイ素組成物を提供する。
【解決手段】オルガノシリケート100重量部(SiO換算)、酸触媒0.1〜10重量部、水100〜50000重量部および溶剤100〜50000重量部を反応させて得られた反応物と前記オルガノシリケート100重量部(SiO換算)当り光触媒1〜100重量部(固形分換算)とを含有する光触媒含有ケイ素組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光触媒含有ケイ素組成物に関し、詳しくは、特に、塗料用として好適な光触媒含有ケイ素組成物に関する。
従来より、建築構造物、土木構造物、輸送機器、産業機器、交通標識などの塗装又は非塗装面に生じる塵埃や油性成分などの汚れ防止を目的として、種々の塗料が研究されている。特に、耐汚染性などの機能を有する塗膜形成組成物として、シリカ皮膜形成可能なシリカ皮膜前駆体またはシリコーン皮膜形成可能なシリコーン皮膜前駆体、酸触媒、溶媒および光触媒とから成るコーティング組成物が記載されている。
特許第3077199号公報
上記のコーティング組成物は塗布後に加熱して使用されるが、得られる塗膜の塗膜の防かび性、防藻性および抗菌性が十分であるとは言えない。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的は、防汚性、汚染物除去性および防曇性能の向上に加えて、優れた防かび性、防藻性および抗菌性を有する塗膜を形成する光触媒含有ケイ素組成物を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、意外にも、オルガノシリケート、酸触媒、水および溶剤を予め反応させて得られた反応物に光触媒を添加して成る組成物を塗布して得られる塗膜は、優れた防汚性、汚染物除去性および防曇性に加えて、高い防かび性、防藻性および抗菌性を発揮する。その理由は、必ずしも明らかではないが次の様に推定される。
すなわち、シリカ皮膜形成可能なシリカ皮膜前駆体またはシリコーン皮膜形成可能なシリコーン皮膜前駆体、酸触媒、溶媒からなる組成物に光触媒を添加した場合は、塗布後の加熱の反応によって生成するシリカ又はシリコーンにより、光触媒の表面が被覆されてその触媒活性が阻害されるが、シリカ又はシリコーンの生成反応の後に光触媒を添加した場合は、上記の様な光触媒の表面被覆が起こらずに触媒活性が阻害されない。その結果、得られた塗膜は、優れた防汚性、汚染物除去性および防曇性に加えて、高い防かび性、防藻性および抗菌性を発揮する。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、オルガノシリケート100重量部(SiO換算)、酸触媒0.1〜10重量部、水100〜50000重量部および溶剤100〜50000重量部を反応させて得られた反応物と前記オルガノシリケート100重量部(SiO換算)当り光触媒1〜100重量部(固形分換算)とから成る光触媒含有ケイ素組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、オルガノシリケート100重量部(SiO換算)、酸触媒0.1〜10重量部、水100〜50000重量部および溶剤100〜50000重量部を反応させて得られた反応物と前記オルガノシリケート100重量部(SiO換算)当り光触媒1〜100重量部(固形分換算)とコロイダルシリカ10〜1000重量部(SiOの換算)とから成るケイ素含有組成物に存する。
本発明によれば、オルガノシリケート、酸触媒、水および溶剤を予め反応させて得られた反応物に光触媒を添加することによって、得られた光触媒含有ケイ素組成物から形成された塗膜は、防汚性、汚染物除去性、防曇性能および透明性がより向上すると共に、防かび性、防藻性および抗菌性に優れており、本発明の工業的価値は顕著である。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明のケイ素含有組成物を形成する各成分について説明する。
本発明においては、オルガノシリケートは、ケイ素原子に酸素原子を介して有機基が結合した化合物であり、例えば、1つのケイ素原子を介して4個の有機基が結合したオルガノキシシラン、ケイ素がシロキサン主鎖((Si−O))を形成しているオルガノキシシラン等が挙げられる。
酸素原子を介してケイ素に結合している有機基としては、例えば、直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、アリール基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。また、各有機基は、同一であっても異なっていてもよい。
炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、直鎖状又は分岐状のアルキル基が好適である。例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、sec―ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。本発明で使用するオルガノシリケートの溶解性及び得られる塗膜の防曇性、低汚染機能を考慮すると、メチル基およびエチル基が好ましく、より好ましいのはメチル基である。
オルガノシリケートの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシランが挙げられる。また、上記各化合物の部分加水部物が挙げられる。上記各化合物は、2種以上を組合わせて使用してもよい。上記オルガノシリケートにおいて、テトラメトキシシラン及びその部分加水分解縮合物は、加水分解反応性が高く、かつ、シラノール基を生成し易いため、均一な液状組成物の調製に使用する有機溶剤量を少なくすることが出来る。その結果、危険物に該当しない汚染防止効果が高い組成物を容易に得ることが出来、安全性の向上に好適である。
本発明の組成物は、前記オルガノシリケート以外に他の有機ケイ素化合物、例えば、ケイ素を介して有機基が直接結合したケイ素化合物を含有することが出来る。有機ケイ素化合物としては、例えば、各種のシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)―3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物が挙げられる。また、上記各化合物の部分加水部物が挙げられる。
更に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロイルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ンー(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
更に、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物が挙げられる。また、上記各化合物の部分加水部物が挙げられる。
更に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,Nビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、P−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
オルガノシリケート以外の有機ケイ素化合物の使用割合は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して通常25重量部以下、好ましくは10重量部以下である。当該有機ケイ素化合物は、オルガノシリケートに比較して加水分解可能な官能基量が少ないため、汚染防止に寄与する度合いが低いけれども、塗膜の密着性を向上させることが出来る。
また、前記オルガノシリケート以外の他の有機ケイ素化合物として、オルガノキシ基以外の加水分解可能な官能基、例えば、各種ハロゲン元素などを有するケイ素化合物を含有することも出来る。ハロゲン元素含有ケイ素化合物の使用割合は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
酸触媒としては、オルガノシリケートの加水分解作用を有する化合物である。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、ギ酸、シュウ酸などの有機、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、有機アミン化合物などのアルカリ触媒、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機アルミニウム化合物、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラn−ブトキシド等の有機チタニウム化合物、ジルコニウムテトラキス(セチルアセトネート)、ジルコニウム(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)及びジルコニウム(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラn−ブトキシド等の有機ジルコニウム化合物などのオルガノシリケート以外の有機金属化合物または金属アルコキシド化合物、ボロントリn−ブトキシド、ホウ酸などのホウ素化合物などが挙げられる。上述の化合物中、塗料として使用した場合の酸触媒による基材の腐食防止を考慮すると、有機金属化合物又は金属アルコキシド化合物が好ましい。
酸触媒の配合量は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。触媒量が0.1重量部未満では、ケイ素含有組成物の貯蔵安定性の低下が生じたり、得られる塗膜の低汚染性機能の発現性に乏しい。また、ケイ素含有組成物の貯蔵安定性及び塗膜機能の発現性を考慮すると、酸触媒の添加量は0.1〜10重量部で充分であるため、10重量部を超える過剰の添加は必要ない。そして、酸触媒は、通常、オルガノシリケートに溶解して、または、水もしくは溶剤に溶解して使用する。酸触媒の溶解は、室温下でオルガノシリケート、水または溶剤に酸触媒を混合して行う。室温下で溶解が困難の場合は、混合液を加温して溶解する。
水の配合量は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して100〜50000重量部、好ましくは500〜10000重量部である。水の配合量は、オルガノシリケートの有するオルガノキシ基を加水分解し得る理論水量よりも大過剰の量である。これにより、オルガノシリケートの加水分解により生成したシラノール基が多量の水と共存するため、シラノール基の縮合反応が抑制され、加水分解液の貯蔵安定性の向上が達成されると考えられる。また、組成物中のアルコール等の有機溶剤の配合割合少なくすることが出来るため、組成物の引火点、燃焼点を低く抑えることが可能となり、使用上の安全性が大きく向上する。水の配合量が100重量部未満の場合、得られるケイ素含有組成物中のSi含有量が高くなりすぎて、保存の間にゲル化し易く、貯蔵安定性が問題となり、かつ、汚染防止効果も低い。他方、50000重量部を超る場合は、得られるケイ素含有組成物中のSi含有量が少なすぎて塗膜にした時の低汚染性機能が乏しい。
水としては、特に制限なく、水道水を使用できる。また、目的、用途に応じて、脱イオン水、超純水を使用してもよい。例えば、酸により特に腐食しやすい軟鋼、銅、アルミニウム等の基材および電気、電子材料に耐熱性被膜、耐湿性被膜、耐薬品性被膜、耐バリヤ性被膜、電気絶縁性被膜の形成として使用する場合は、脱塩水を使用し、半導体などの用途のように不純物の混入が望ましくない場合は、超純水を使用する。
溶剤としては、各種の有機溶剤、例えば、アルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類、それらの2種以上の混合物が挙げられる。具体的に、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、アセチルアセトンアルコール等が挙げられる。
グリコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ケロシン、n−ヘキサン等が挙げられ、エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等が挙げられる。また、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等が挙げられ、エーテル類としては、エチルエーテル、ブチルエーテル、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジオキサン、フラン、テトラヒドロフラン等が挙げられ。これらの溶剤のうち、メタノール、エタノール、イソプロパノールのC〜Cのルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのグリコール誘導体は、取り扱いが容易であり、組成物の貯蔵安定性が良いと共に、得られた塗膜の低汚染機能も優れている。
溶剤の配合量は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して100〜50000重量部、好ましくは500〜10000重量部である。溶剤の添加量が100重量部未満の場合は、オルガノシリケートと触媒および水の均一溶解が困難となる。他方、50000重量部を超える場合は、組成物中のSi含有量が少なすぎて塗膜にした時の低汚染性機能の発現性が乏しいと共に、得られる組成物が消防法の危険物に該当して、取扱い上の問題を生じる。尚、上記の溶剤の量は、オルガノシリケートの加水分解により生成したアルコールも含めた量である。
光触媒は、塗膜の表面を疎水性にしている有機基を分解することの出来る高い光触媒活性を有する金属酸化物からなる。金属酸化物は、特定波長以下の光の照射下で、価電子帯の電子が伝導帯に励起され、伝導電子と正孔を生成する化合物である。具体的には、金属酸化物として、酸化チタンのほか、酸化スズ、酸化第二鉄、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。上記金属酸化物中、化学的に特に安定で且つ安価であることを考慮すると、酸化チタンが好ましい。そして、酸化チタンの粒子形は、特に限定されず、何れの形の粒子でもよい。また、酸化チタンの光触媒活性は、粒子の平均粒径が小さい程高くなるため、酸化チタンの粒径は、通常0.1μm以下、好ましくは0.001〜0.03μmである(ここでいう平均粒径とは、粒子の粉末X線回折したときの結晶の最大ピークの積分幅からScherrer式により求められる値である)。酸化チタン粒子は、分散媒に分散したゾル状、水および溶剤を含有したペースト状または粉体状で使用する。ゾルの分散媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。
光触媒の配合量は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。光触媒の配合量が100重量部を超える場合は、塗膜が白濁したりすると共に、オルガノシリケート加水分解・縮合物が塗膜の表面に十分存在しないため、オルガノシリケート加水分解・縮合物の効果が十分発揮されず、塗膜の防汚性、汚染物除去性および防曇性が劣化する。このことは、夜間および塗膜の日陰の部分で顕著である。また、1重量部未満の場合は、抗菌、防藻性の効果が乏しくなる。
コロイダルシリカとしては、例えば、水分散型またはアルコール等の非水系の有機溶媒分散型コロイダルシリカが挙げられる。このようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを通常15〜50重量%含有しており、この値からシリカの配合量を決めることが出来る。
水分散型コロイダルシリカを使用する場合は、水分散型コロイダルシリカに含まれる水を配合成分の水として使用することが出来る。水分散型コロイダルシリカは、通常、水ガラスから作られるが、市販品として容易に入手することも出来る。また、有機溶媒分散型コロイダルシリカは、前記水分散型コロイダルシリカの水を有機溶媒に置換することで容易に調製することが出来る。有機溶媒分散型コロイダルシリカも水分散型コロイダルシリカと同様に市販品として容易に入手することが出来る。有機溶媒分散型コロイダルシリカの有機溶媒としては、親水性有機溶媒であれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、および、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、1種もしくは2種以上の混合物として使用することが出来る。上記親水性有機溶剤は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種もしくは2種以上の有機溶剤と併用することも出来る。
コロイダルシリカは、球状構造、鎖状構造またはパールスライク構造の何れの構造のものであってもよい。耐久性を考慮すると、鎖状構造のコロイダルシリカまたはパールスライク構造のコロイダルシリカがよい。また、球状構造、鎖状構造およびパールスライク構造のコロイダルシリカを併用してもよい。
コロイダルシリカの配合量は、オルガノシリケートのSiO換算で100重量部に対してコロイダルシリカのSiOの換算で通常1000重量部以下、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部である。コロイダルシリカ量が10重量部未満の場合は、親水性に乏しく、1000重量部以上を超える場合は、塗膜にクラック・白化を生じることがある。
本発明の光触媒含有ケイ素組成物は、次のように調製することが出来る。(1)オルガノシリケート、酸触媒、水および溶剤を混合して反応させ、得られた反応物としてのオルガノシリケートの加水分解縮合物に光触媒を添加する。(2)オルガノシリケート、酸触媒、水および溶剤を混合して反応させ、得られた反応物としてのオルガノシリケートの加水分解縮合物に光触媒およびコロイダルシリカを添加する。
上記(1)および(2)の反応は、20〜80℃で1〜6時間行う。上記(1)および(2)の反応時間を節約したい場合は、SiO濃度を2〜10倍にして加水分解・縮合反応を行った後、希釈すればよい。なお、上記(2)において、コロイダルシリカの表面にシラノール基がある場合、コロイダルシリカは前記反応に関与する。
本発明の光触媒含有ケイ素組成物が塗布される素材としては、特に制限はないが、例えば、金属、ガラス、ホーロー、無機素材、有機素材、無機有機複合素材、樹脂被膜を有する前記素材などが挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛などの非金属、鉄、圧延鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼などの鋼、ブリキ、その他金属全般が挙げられる。ガラスとしては、ナトリウムガラス、石英ガラス、無アルカリガラス、水ガラス等が挙げられる。
ホーローとしては、金属表面にガラス質のホーローぐすりを焼き付け被覆したものが挙げられる。無機素材としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。有機素材としては、例えば、プラスチック、フイルム、木、木材、紙などが挙げられる。
有機素材のプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性プラスチック基材または熱可塑性プラスチック基材、これらのプラスチック基材をナイロン繊維などで強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。有機素材のフィルムとしては、アクリル樹脂フィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、PET樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が挙げられる。
無機有機複合素材としては、例えば、上記のプラスチックをガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。樹脂被膜を有する前記素材の樹脂としては、例えば、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、ビニルエステル系、ウレタン系、アクリルシリコーン系、塩化ゴム系、フェノール系、メラミン系などの樹脂を含むコーティング剤から成る硬化被膜などが挙げられる。
また、本発明の光触媒含有ケイ素組成物が塗布される基材としては、特に制限はないが、例えば、建築構造物、土木構造物、産業用機器、輸送機器、交通標識、住宅用設備など、自動車や列車の車両やガラス、ソーラーパネル、浴室用ガラス、浴室用鏡、洗面所用鏡および建物用ガラス等が挙げられる。
光触媒含有ケイ素組成物から成る塗布液を基材表面に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択することが出来る。例えば、エアーガン、エアレスガン、エアゾールスプレ等を用いたスプレーコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が挙げられる。中でも、低圧スプレーまたは短毛ウーローラーが好ましい。また、前記塗布液を基材表面に塗布する際は、各種シャンプー、プライマー、洗浄剤、コンパウンド類、帯電防止剤などを使用して予め表面を洗浄し汚れを落とす等の前処理の実施が好ましい。
塗布液を基材表面に塗布した後の乾燥は、塗布液、基材の種類、性質に応じて適宜行えば良く、自然乾燥、加熱、赤外線などの何れの方法でもよい。
本発明の光触媒含有ケイ素組成物は、直接塗布したり、または、塗装した既存塗膜の上に塗装するだけで、優れた防かび性、防藻性および抗菌性が発揮される。本組成物にハジキ防止剤、密着性向上剤、防藻剤、抗菌剤、防臭剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などを配合することにより、更に塗膜機能を向上することが出来る。
以下、本発明を、実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例で採用した塗膜の評価方法(接触角、塗膜外観、防かび試験および防汚性)は次の通りである。
<接触角>
水に対する濡れ性を水と塗膜の接触角を測定することで評価した。先ず、実施例および比較例で得られた光触媒含有ケイ素組成物が塗布されたアクリル板(試験片)の塗膜表面に0.2ccの蒸留水を滴下した後、拡大カメラを使用して接触角の測定を行った。別に、実施例および比較例で得られた光触媒含有ケイ素組成物が塗布されたアクリル板に紫外線(照度:0.5mW/cm2の光源(三共電気、ブラックライトブルーBLB蛍光灯))を24時間照射した。得られた試験片の塗膜表面に0.2ccの蒸留水を滴下した後、拡大カメラを使用して接触角の測定を行った。接触角が10°以下の場合、濡れ性が優れており、接触角が10°を超えて〜15°未満の場合、濡れ性は良好であり、接触角が15°以上の場合、濡れ性が劣っている。なお、濡れ性が優れている程、防曇性が優れていることを意味する。
<塗膜外観>
塗布後の塗膜の外観を目視にて観察した。 塗膜外観の評価を、◎:異常なし、○:僅かに艶低下、△:やや白化、×:白化にて表示した。
<防かび試験>
実施例および比較例の試験体を6ヶ月間(平成15年3月〜9月)屋外(場所:茨城県猿島郡三和町大和田1778)に暴露し、かびの発生の程度を目視にて観察した。尚、確認しにくい部分には一部拡大鏡を併用して観察した。防かび性を下記表1の評価基準により表示した。
Figure 2005113023
<防汚性試験>
実施例および比較例の試験体を3ヶ月間屋外暴露(平成15年3月〜6月、場所:茨城県猿島郡三和町国道125号線沿い)し、汚れの程度を目視観察した。判定は目視にて ◎:全く汚れなし ○:気にならない程度に汚れ付着 △:汚れ付着 ×:著しく汚れ付着とした。
実施例1〜3、比較例1:
実施例1〜3および比較例1として、表2〜3に示す配合処方でオルガノシリケート、酸触媒、水および溶剤を混合し70℃で5時間撹拌して加水分解・縮合反応させ、無色透明の反応物を得た。次いで、得られた反応物に表2〜3に示す配合処方で光触媒とコロイダルシリカを混合し23℃で60分間撹拌して光触媒含有ケイ素組成物を得た。
比較例2:
メチルシリケートの部分加水分解縮合物(三菱化学社製:商品名「MKCシリケートMS51」(示性式:SiO0.8(OCH2.4)100重量部(SiO換算)、アルミ系触媒8%溶液1.8重量部(固形分換算)、イオン交換水7500重量部および工業用エタノール5385重量部、酸化チタンゾル(日産化学社製:商品名TA−15:アナターゼ型酸化チタン15重量部と硝酸水溶液85重量部)を30重量部(固形分換算)を混合し室温で1時間撹拌して無色透明の光触媒含有ケイ素組成物を得た。
下塗り剤として実施例1で得られた反応物が予め塗布されたアクリル板に更に上塗り剤として実施例1〜3および比較例1〜2で得られた光触媒含有ケイ素組成物を各々塗布し室温にて3日間乾燥した。そして、上述の評価方法により、接触角、塗膜外観、防かび性および防汚性の評価を行った。結果を表2〜3示す。
Figure 2005113023
Figure 2005113023
表中、ノオルガノシリケートとしてメチルシリケートの部分加水分解縮合物(三菱化学社製の「MKCシリケートMS51(商品名)」、示性式:SiO0.8(OCH2.4)を、酸触媒としてアルミ系触媒8%溶液を、溶剤として工業用エタノールを、光触媒として酸化チタンゾル(日産化学社製の「TA−15(商品名)」:アナターゼ型酸化チタン15重量部と硝酸水溶液85重量部)を、コロイダルシリカとして鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製の「スノーテックスST−OUP(商品名)」)を使用した。

Claims (3)

  1. オルガノシリケート100重量部(SiO換算)、酸触媒0.1〜10重量部、水100〜50000重量部および溶剤100〜50000重量部を反応させて得られた反応物と前記オルガノシリケート100重量部(SiO換算)当り光触媒1〜100重量部(固形分換算)とを含有する光触媒含有ケイ素組成物。
  2. 更に、コロイダルシリカ10〜1000重量部(SiO換算)を含有する請求項1の光触媒含有ケイ素組成物。
  3. オルガノシリケートがメチルシリケートである請求項1又は2に記載の光触媒含有ケイ素組成物。
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