JP2005350528A - コーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、耐汚染性、耐候性、耐久性及び基材との密着性に優れた、光触媒機能膜用コーティング組成物、及びこれより得られる光触媒機能を有するコーティング膜に関する。
従来、光触媒成分を配合した一液系のコーティング組成物の研究が進められている。これらのコーティング組成物としては、チタン酸化物、加水分解性ケイ素化合物の加水分解物及び溶媒からなる光触媒用酸化チタン塗膜形成性組成物(特許文献1参照)、テトラアルコキシシラン20〜200重量部、トリアルコキシシラン100重量部およびジアルコキシシラン0〜60重量部を原料とし、これらの原料から調製される重量平均分子量がポリスチレン換算で900以上である無機塗料と光触媒機能を有する粉末とを混合した混合液を基材に塗布後、酸又はアルカリで処理する無機塗膜の形成方法(特許文献2参照)が知られている。
また、オルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの加水分解物の群から選ばれた少なくとも1種、水および/または有機溶剤、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含有する重合体、又はフッ素置換された炭化水素基を有し、かつ加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を含む重合体から選ばれる1種、ならびに光触媒を含有するガラス用コーティング組成物(特許文献3参照)が知られている。
また、テトラアルコキシシラン等の反応性基を有する化合物の縮合物により得られる樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体に光触媒チタニアゾルを含有していてもよいこと(特許文献4参照)が知られている。
特開平8−164334号公報
特開平8−259891号公報
特開2001−158643号公報
特開2004−10784号公報
しかしながら、特許文献1〜3は、樹脂基材としてオルガノシラン系樹脂を用いており、成膜性や硬度、密着性、耐候性、耐汚染性などの塗膜物性が総合的に十分満足されるものではない。また、特許文献4は、得られる塗膜の透明性を保持しながら硬度を高めることを目的にフィラーとして光触媒チタニアゾルを含有させており、その光触媒機能などについては記載されていない。本発明の課題は、光触媒機能を有し、かつ耐汚染性、耐候性、耐久性及び基材との密着性に優れる一液系の光触媒層を形成することのできるコーティング組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、下記式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒からなる群から選ばれる少なくとも2種以上を用いて調製される有機−無機複合材料を用いることにより、一液であっても、耐汚染性、耐候性、耐久性及び基材との密着性に優れる光触媒層を形成することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)少なくとも、式(I)
(1)少なくとも、式(I)
(2)式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒からなる群から選ばれる少なくとも2種以上とを用いて調製される有機−無機複合材料を含有することを特徴とする(1)に記載のコーティング組成物。
(3)M1が、Si、Ti、Al、Sn、Ge、Zr、W又はNbであることを特徴とする(1)又は(2)記載のコーティング組成物。
(4)M1が、Siであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のコーティング組成物。
(5)セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(6)式(I)で表される化合物中のR1成分及びセルロース誘導体の合計重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量、セルロース誘導体及び光触媒の合計重量100重量部に対して20〜95重量部となるように、式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒が配合されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(7)式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量及び光触媒の合計重量100重量部に対して20〜80重量部となるように、式(I)で表される化合物及び光触媒が配合されたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のコーティング組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のコーティング組成物から得られたことを特徴とするコーティング膜。
(9)(A)〜(C)成分を含有することを特徴とするコーティング膜。
(A)成分:(R2)pM2Oq-p/2
[式中、R2は、C1〜C10アルキル基、C1〜C10ハロアルキル基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、M2は金属原子を表し、qはM2の原子価を表し、pは0又は(q−2)以下のいずれかの整数を表す。]
(B)成分:セルロース誘導体
(C)成分:光触媒
(10)(A)成分中のR2成分及び(B)成分の合計重量が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量100重量部に対して、20〜95重量部であることを特徴とする請求項9に記載のコーティング膜に関する。
[式中、R2は、C1〜C10アルキル基、C1〜C10ハロアルキル基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、M2は金属原子を表し、qはM2の原子価を表し、pは0又は(q−2)以下のいずれかの整数を表す。]
(B)成分:セルロース誘導体
(C)成分:光触媒
(10)(A)成分中のR2成分及び(B)成分の合計重量が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量100重量部に対して、20〜95重量部であることを特徴とする請求項9に記載のコーティング膜に関する。
本発明のコーティング組成物は、一液であっても、耐候性、耐久性及び基材との密着性に優れた光触媒層を得ることができる組成物であり、各種ガラス、各種道路部材、家電品等の汚れ防止材として用いることができるので、産業上利用価値は高いといえる。
本発明のコーティング組成物は、少なくとも、上記に示した式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒を原料とすることを特徴とするが、原料とするとは、各々の成分をそのまま溶媒等に溶解または分散して用いてもよく、また、各成分を何らかの方法で修飾または変換してもよい。また、各成分の変換は、各成分単独で行っても、各成分同士で反応させても、各成分同士で反応させた後さらに変換してもよい。具体的には、上記式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒からなる群から選ばれる少なくとも2種以上を用いて調製される有機−無機複合材料を好ましく例示することができる。有機−無機複合材料を調製する方法は、特に限定されないが、具体的には、式(I)で表される化合物及びセルロース誘導体に水を添加し、必要に応じて、酸又は塩基を添加し、加熱する方法、式(I)で表される化合物を必要に応じて酸又は塩基を添加して加水分解し、さらに、セルロース誘導体を添加して加熱する方法等を例示することができる。
式(I)中、R1は、C1〜C10アルキル基、C1〜C10ハロアルキル基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。具体的に、C1〜C10アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、secーブチル基、t−ブチル基、nーペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、C1〜C10ハロアルキル基としては、クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、C2〜C10アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられ、C3〜C8シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、secーブチル基、t−ブチル基等のC1〜C4のアルキル基が好ましい。また、前記アリール基及びアラルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、secーブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基等が挙げられ、これらの置換基は2以上有していてもよい。
M1は金属原子を表し、Xは反応性基を表し、mはM1の原子価を表す。式(I)中、M1としては、例えば、Si、Ti、Al、Sn、Ge、Zr、W、Nbが挙げられ、これらの中でもSi、Ti、Al、Zrが好ましく、Siが特に好ましい。また、Xとしては、例えば、水酸基、アルコキシ基(OR3)、塩素、臭素等が挙げられる。反応性基としてのアルコキシ基(OR3)におけるアルキル基(R3)としては、特に限定はされないが、例えば、C1〜C4のアルキル基が挙げられる。
具体的に、好ましい式(I)で表される化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラt−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等のトリクロロシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジn−プロピルジメトキシシラン、ジn−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン;ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等のジクロロシランを例示することができ、これらの中でもテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが特に好ましい。これらの化合物は、1種単独で、また2種以上を混合して用いることができる。
セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。セルロース誘導体の重量平均分子量としては、103〜106であることが好ましく、104〜5×105であることがより好ましい。これらの化合物は、1種単独で、また2種以上を混合して用いることができる。
光触媒としては、光触媒能を有するものであれば特に制限はなく、好ましくは、光触媒能を有する半導体が挙げられる。
光触媒能を有する半導体としては、例えば、TiO2、TiO3、SrTiO3、FeTiO3、WO3、SnO2、Bi2O3、In2O3、ZnO、Fe2O3、RuO2、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3、MoS2、LaRhO3、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb2O5、ZrO2、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSb等を挙げることができ、好ましくは、TiO2、ZnOであり、特に好ましくは、アナターゼ型のTiO2である。これらの化合物は、1種単独で、また2種以上を混合して用いることができる。
上記半導体は、粉体及び/又はゾルの態様で使用されることが望ましい。詳細には、粉体、水に分散した水系ゾル、イソプロピルアルコール等の極性溶媒やトルエン等の非極性溶媒に分散した溶媒系ゾルの3種類のうちのいずれかの態様をとることが望ましい。溶媒系ゾルの場合、半導体の分散性によっては、さらに水や溶媒で希釈して用いてもよい。これらの存在形態における半導体の平均粒子径は、光触媒能の観点では小さいほど好ましい。この場合、半導体の平均粒子径が0.1〜0.5μmであると、半導体の光隠ぺい作用により、塗膜が不透明となる。また、0.1μm未満であると、塗膜が透明となる。したがって、半導体の平均粒子径は、組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
光触媒が水系ゾル又は溶媒系ゾルである場合の固形分濃度は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは、40重量%以下である。
本発明のコーティング組成物において、式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒の配合は特に制限されないが、具体的には式(I)で表される化合物中のR1成分及びセルロース誘導体の合計重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量、セルロース誘導体及び光触媒の合計重量100重量部に対して、好ましくは20〜95重量部となるように、より好ましくは30〜90重量部となるように、さらに好ましくは40〜85重量部となる場合を例示することができる。また、式(I)で表される化合物及び光触媒が配合は特に制限されないが、具体的には式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量及び光触媒の合計重量100重量部に対して、好ましくは20〜80重量部となるように、より好ましくは30〜70重量部となる場合を例示することができる。
ここで、上記式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量とは、式(I)で表される化合物の反応性基であるXが理論上全て加水分解されて酸化物になった場合の重量をいい、上記式(I)で表される化合物中のR1成分の重量とは、上記式(I)で表される化合物中の置換基であるR1基のみの重量をいう。すなわち、例えば、式(I)で表される化合物がSi(OR3)4である場合には、その理論金属酸化物換算重量は、SiO2の重量を意味し、式(I)で表される化合物がR1Si(OR3)3である場合には、その理論金属酸化物換算重量は、R1SiO1.5の重量を意味する。
本発明のコーティング組成物には、上記式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒を原料とする組成物に加えて、コロイド状シリカやコロイド状アルミナ等の無機微粒子、界面活性剤、染料、顔料、分散材、増粘材、香料、抗菌性成分等を含有させることもできる。
界面活性剤としては、例えば、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルナトリウム塩、脂肪酸ナトリウムセッケン、脂肪酸カリセッケン、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルサルフェートソーダ塩、アルキルエーテルサルフェートソーダ塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートソーダ塩、アルキルサルフェートTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートTEA塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ナウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオイルザルコシン、アミドエーテルサルフェート、ラウロイルザルコシネート、スルホFAエステルナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレエート、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、グリセロールステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアルキロールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、 ポリオキシエチレンステアレート等のノニオン性界面活性剤;ジメチルアルキルベタイン、アルキルグリシン、アミドベタイン、イミダゾリン等の両性界面活性剤、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン4級塩、アルキルイソキノリニウムブロマイド、高分子アミン、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルプロピレンジアミン酢酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を併用することができる。本発明のコーティング組成物中の界面活性剤の含有量は、通常0.001〜5重量%であり、好ましくは0.01〜2重量%である。
本発明のコーティング組成物の全固形分濃度としては、使用目的に応じて適宜調整することができるが、50重量%以下であることが好ましい。50重量%以下であることにより、コーティング組成物の保存安定性が向上する。厚膜形成を目的で使用するときには、20〜50重量%であることが好ましく、25〜40重量%であることがより好ましい。
本発明のコーティング組成物は、対象物である基材の表面に刷毛、スプレー、ディッピング等の塗装手段により、1回塗りで厚さ1〜20μm程度、2〜3回の塗装で厚さ2〜40μm程度の塗膜を形成することができる。乾燥は、80〜200℃程度で10分〜10時間程度行なうことが好ましく、90〜140℃程度で30分〜5時間程度行なうことが好ましい。これにより、硬い塗膜を形成することが可能となる。
本発明のコーティング組成物によってコーティングを行なう基材としてはコーティング可能であれば特に制限されるものではなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム及びその他の金属並びにセラミックス、セメント、ガラス、プラスチック等が挙げられ、他のコーティング材で表面がコーティングされていてもよい。
また、本発明のコーティング組成物は、上記の各種基材(例えば、物品の一部又は全部)に直接塗布し、硬化させてもよいが、これに限定されず、例えば、本発明のコーティング組成物をフィルム基材の表面に塗布し、硬化させて得られるフィルムを上記各種基材に貼付するようにしてもよい。このようなフィルム基材としては特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂及びそれらの複合樹脂等の樹脂が挙げられる。
本発明のコーティング組成物は光触媒機能を有するので、塗布した部材に、水、空気の浄化、防汚、防曇、防露、防滴、防氷結、防着雪、抗菌、防黴、防藻、防臭、異物付着防止機能、紫外線吸収機能、有機物分解機能のいずれかの機能を発現することができる。
具体的な例としては、例えば、道路壁パネル、反射板、交通標識、案内表示板等の各種道路部材、建築用内外装材、車両、船舶、航空機等の内外部材、空調機、清掃機、冷蔵庫、洗濯機等の家電品、浄水器、浄水場処理槽等の水処理施設、窓ガラス、風防ガラス、各種ミラー、板ガラス、ガラス繊維、ガラス粉等の各種ガラス、鏡、照明器具、タイル等に本発明のコーティング組成物を好ましく適用できる。
本発明のコーティング組成物の調製方法として、例えば、式(I)で表される化合物及びセルロース誘導体を、親水性有機溶媒中に添加し、その後、水を攪拌下に滴下してセルロース誘導体/シリカゾル液を調製し、次いで、光触媒を滴下しコーティング液を得る方法を例示することができる。反応温度としては、水を添加する際は、通常0℃〜100℃であり、好ましくは5℃〜80℃、より好ましくは10℃〜70℃であり、光触媒を滴下する際は、通常0℃〜150℃、好ましくは5℃〜100℃、より好ましくは10℃〜80℃である。また、反応時間としては、水を添加する際は、通常5分〜20時間であり、好ましくは10分〜5時間であり、光触媒を滴下する際は、通常5分〜10時間であり、好ましくは、10分〜5時間である。
また、式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒を同時に添加して反応を行なってもよいし、式(I)で表される化合物をゾル−ゲル法により加水分解縮合物を調製した後にセルロース誘導体を添加して有機−無機複合材料を得てから光触媒を添加して調製してもよい。また、上記のゾル−ゲル法は、従来公知のゾル−ゲル技術を用いて行うことができ、上記加水分解縮合とは、反応性基が加水分解、縮合を繰り返し重合していく反応をいう。
前記親水性有機溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコールモノアセテート等)、アミド類(ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等)等が挙げられ、1種あるいは2種以上を併用してもよい。
また、コーテイング組成物の調製は、必要に応じて触媒存在下で行うこともできる。かかる触媒としては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物;(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17)2、Sn(OCOCC8H17)2、(C4H9)2Sn(SCH2COO)、(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COO)、(C8H17)2Sn(SCH2CH2COO)、(C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)、(C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2CH2CH2OCOCH2S)、(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOC12H25)2などの有機スズ化合物;(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnO、(C4H9)SnO、(C8H17)SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、エチルシリケート40、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物からなる有機スズ化合物;塩酸、硝酸等の無機酸;テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−ペントキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−プロポキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム等の金属アルコレート;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネート、ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン等のキレート化合物;該金属アルコレート及びキレート化合物と水を反応させた部分加水分解物などが挙げられ、塩酸、硝酸等の無機酸が好適に用いられる。かかる触媒の添加量としては、式(I)で表される化合物100重量部に対して0.01〜0.5重量部であることが好ましく、0.015〜0.3重量部であることがより好ましい。
本発明のコーティング膜は、(A)〜(C)成分を含有すれば特に制限されるものではなく、例えば、上記コーティング組成物から得ることができる。
(A)成分の式中、R2は、C1〜C10アルキル基、C1〜C10ハロアルキル基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、上記R1と同義である。M2は金属原子を表し上記M1と同義であり、qはM2の原子価を表し、pは0又は(q−2)以下のいずれかの整数を表す。
(B)成分としてのセルロース誘導体としては、上記具体的に挙げたセルロース誘導体と同様である。
(C)成分としての光触媒としては、上記具体的に挙げた光触媒と同様である。
上記(A)〜(C)成分は、膜中に単独で存在していてもよいが、それぞれ水素結合等の弱く相互作用または共有結合等の強い相互作用を有していてもよく、共縮合していてもよい。その場合各成分は、全体を構成する1つの構成単位を表すことになる。具体的には、(C)成分である光触媒が、縮合した(A)及び(B)成分と相互作用を有さずに分散された状態等を例示することができる。
上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するコーティング膜中の好ましい成分割合は、(A)成分中のR2成分及び(B)成分の合計重量が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量100重量部に対して、好ましくは20〜95重量部、より好ましくは30〜90重量部、さらに好ましくは40〜85重量部である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
ヒドロキシプロピルセルロース(品名:HPC−SL、日本曹達(株)社製)3.20gをエタノール39gに溶解して室温で3時間撹拌した後に、テトラエトキシシラン1.73gを加えて1時間撹拌した。この溶液に撹拌しながら蒸留水26gを50分間かけて滴下した後、室温で45分間撹拌して無色透明のHPC/シリカゾル液を調整した。この溶液に光触媒コーティング液1.00g(二酸化チタン含有量:0.30g)(品名:STS01、石原産業(株)社製)をゆっくりと滴下した後、室温で45分間撹拌してコーティング組成物とした(ヒドロキシプロピルセルロース、テトラエトキシシランの理論金属酸化物換算重量及び酸化チタンの合計重量100重量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロースの重量が80重量部、テトラエトキシシランの理論金属酸化物換算重量及び酸化チタンの合計重量100重量部に対して、テトラエトキシシランの理論金属酸化物換算重量が62.5重量部になるように配合。)。このコーティング組成物をディップ装置を用いて引き上げ速度20cm/minでガラス基板に塗布し、室温で30分放置した後、60℃下に1時間、120℃下に7時間乾燥させ成膜した。 この塗膜の膜厚は3μmであり、水の接触角は58.2°であった。この塗膜の耐候性及び親水性化度をサンシャインカーボンアーク燈式耐候性試験機(スガ試験機(株)社製;型式SLM−U)による照射試験を実施することにより評価した。照射試験72時間後には水の接触角が3.1°となり超親水性となった。また塗膜は照射288時間後であっても、水の接触角に変化はなく、指で強く擦ってもガラス基板から剥れず、変色も見られなかった。
Claims (10)
- 式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒からなる群から選ばれる少なくとも2種以上を用いて調製される有機−無機複合材料を含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
- M1が、Si、Ti、Al、Sn、Ge、Zr、W又はNbであることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング組成物。
- M1が、Siであることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング組成物。
- セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 式(I)で表される化合物中のR1成分及びセルロース誘導体の合計重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量、セルロース誘導体及び光触媒の合計重量100重量部に対して20〜95重量部となるように、式(I)で表される化合物、セルロース誘導体及び光触媒が配合されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量が、式(I)で表される化合物の理論金属酸化物換算重量中のR1成分以外の重量及び光触媒の合計重量100重量部に対して20〜80重量部となるように、式(I)で表される化合物及び光触媒が配合されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物から得られたことを特徴とするコーティング膜。
- (A)〜(C)成分を含有することを特徴とするコーティング膜。
(A)成分:(R2)pM2Oq-p/2
[式中、R2は、C1〜C10アルキル基、C1〜C10ハロアルキル基、C2〜C10アルケニル基、C3〜C8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、M2は金属原子を表し、qはM2の原子価を表し、pは0又は(q−2)以下のいずれかの整数を表す。]
(B)成分:セルロース誘導体
(C)成分:光触媒 - (A)成分中のR2成分及び(B)成分の合計重量が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量100重量部に対して、20〜95重量部であることを特徴とする請求項9に記載のコーティング膜。
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