JP2011212953A - 光学フィルムの製造方法、およびこれより得られた光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】透過性および光輝性に優れた光学フィルムを、支持フィルムを用いることなく簡便に製造できる方法、およびこれより得られた光学フィルムを提供する。
【解決手段】凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有する第一の成型具と、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有し、活性エネルギー線を透過する第二の成型具との転写面の間に、25℃における粘度が60〜1505mPa・sである感光性樹脂を配し、第二の成型具側から感光性樹脂に活性エネルギー線を照射して感光性樹脂を硬化した後、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11の両面に各成型具の光学パターンを転写することを特徴とする光学フィルム10の製造方法、およびこれより得られた、感光性樹脂の硬化物11の両面に凹凸構造が形成された光学フィルム10。
【選択図】図1
【解決手段】凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有する第一の成型具と、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有し、活性エネルギー線を透過する第二の成型具との転写面の間に、25℃における粘度が60〜1505mPa・sである感光性樹脂を配し、第二の成型具側から感光性樹脂に活性エネルギー線を照射して感光性樹脂を硬化した後、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11の両面に各成型具の光学パターンを転写することを特徴とする光学フィルム10の製造方法、およびこれより得られた、感光性樹脂の硬化物11の両面に凹凸構造が形成された光学フィルム10。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学フィルムの製造方法、およびこれより得られた光学フィルムに関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の表示装置として、液晶ディスプレイなどが広く普及している。液晶ディスプレイにおいては、光源からの光を効率的に利用するために、拡散フィルムやプリズムシートなどの光学フィルムが用いられている。
これら光学フィルムには、光輝性や透過性といった光学特性を付与する目的で、フィルム表面に凹凸形状の光学パターンが形成されている。
これら光学フィルムには、光輝性や透過性といった光学特性を付与する目的で、フィルム表面に凹凸形状の光学パターンが形成されている。
光学フィルムの表面に凹凸形状の光学パターンを形成するには、通常、ポリエチレンテレフタレートなどの支持フィルムを用いる(例えば特許文献1、2参照。)。
具体的には、図5に示すように、まず凹凸形状の光学パターンが形成された成型板31上に感光性樹脂32a’を流し込み(図5(a))、この感光性樹脂32a’上に支持フィルム33を配し、支持フィルム33側から光照射して感光性樹脂を硬化させた後(図5(b))、成型板31を剥離して、感光性樹脂の硬化物32aと支持フィルム33からなる積層体34を得る(図5(c))。別途、成型板35上に感光性樹脂32b’を流し込み(図5(d))、この感光性樹脂32b’上に、積層体34の支持フィルム33が接触するように積層体34を配し、積層体34側から光照射して感光性樹脂を硬化させた後(図5(e))、成型板35を剥離して光学フィルム30を得る(図5(f))。
具体的には、図5に示すように、まず凹凸形状の光学パターンが形成された成型板31上に感光性樹脂32a’を流し込み(図5(a))、この感光性樹脂32a’上に支持フィルム33を配し、支持フィルム33側から光照射して感光性樹脂を硬化させた後(図5(b))、成型板31を剥離して、感光性樹脂の硬化物32aと支持フィルム33からなる積層体34を得る(図5(c))。別途、成型板35上に感光性樹脂32b’を流し込み(図5(d))、この感光性樹脂32b’上に、積層体34の支持フィルム33が接触するように積層体34を配し、積層体34側から光照射して感光性樹脂を硬化させた後(図5(e))、成型板35を剥離して光学フィルム30を得る(図5(f))。
また、特許文献1に記載のように、支持フィルム上に感光性樹脂を塗布して硬化させて複製用フィルムを作製した後、凹凸形状の光学パターンが形成された金属ロールを用い、加熱プレスして複製用フィルムに光学パターンを転写する方法も知られている。
このようにして得られる光学フィルム30は、図5(f)に示すように、支持フィルム33の両面に、光学パターンが転写された感光性樹脂の硬化物32a、32bが形成された複層フィルムである。
しかしながら、特許文献1、2に記載のように支持フィルムを用いて製造した光学フィルムは、支持フィルムと感光性樹脂の屈折率や膨張率が異なるため、光学的な性能損失や機械的な損失が発生しやすかった。さらに、屈折率や膨張率が近い値を示すような支持フィルムと感光性樹脂の組み合わせにしても、図5(f)に示すように、入射した光が硬化物32a、32bの表面で反射する以外にも、支持フィルム33と硬化物32a、32bとの界面でも反射してしまい、光輝性が低下しやすかった。そのため、光源からの光を利用して表示装置を明るくするためには、より多くのエネルギーが必要となり、バッテリーを消費しやすかった。
従って、光学フィルムを製造する際は、支持フィルムや感光性樹脂の物性を考慮する必要があり、光学設計が複雑になりやすかった。
従って、光学フィルムを製造する際は、支持フィルムや感光性樹脂の物性を考慮する必要があり、光学設計が複雑になりやすかった。
さらに、支持フィルムを用いた光学フィルムの製造方法では、支持フィルムの両面に光学パターンが転写された感光性樹脂の硬化物を同時に形成することが困難であり、生産効率が悪かった。
また、近年では、より少ないエネルギーで光を効率的に利用してバッテリーの消費を抑えるために、光学フィルムにはより優れた透過性も求められている。
また、近年では、より少ないエネルギーで光を効率的に利用してバッテリーの消費を抑えるために、光学フィルムにはより優れた透過性も求められている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、透過性および光輝性に優れた光学フィルムを、支持フィルムを用いることなく簡便に製造できる方法、およびこれより得られた光学フィルムを提供する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有する第一の成型具と、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有し、活性エネルギー線を透過する第二の成型具との転写面の間に、25℃における粘度が60〜1505mPa・sである感光性樹脂を配し、第二の成型具側から感光性樹脂に活性エネルギー線を照射して感光性樹脂を硬化した後、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物の両面に各成型具の光学パターンを転写することを特徴とする。
ここで、前記感光性樹脂は、膜厚200μmの硬化物とした際の全光線透過率が、90%以上であることが好ましい。
また、前記感光性樹脂は、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能の反応性希釈剤(ただし、前記2官能のウレタン(メタ)アクリレートを除く。)とを含むことが好ましい。
さらに、前記感光性樹脂100質量%中における、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートの含有量が20〜75質量%であり、2官能の反応性希釈剤の含有量が25〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、前記光学フィルムの製造方法により得られた、感光性樹脂の硬化物の両面に凹凸構造が形成されたことを特徴とする。
ここで、前記感光性樹脂は、膜厚200μmの硬化物とした際の全光線透過率が、90%以上であることが好ましい。
また、前記感光性樹脂は、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能の反応性希釈剤(ただし、前記2官能のウレタン(メタ)アクリレートを除く。)とを含むことが好ましい。
さらに、前記感光性樹脂100質量%中における、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートの含有量が20〜75質量%であり、2官能の反応性希釈剤の含有量が25〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、前記光学フィルムの製造方法により得られた、感光性樹脂の硬化物の両面に凹凸構造が形成されたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、透過性および光輝性に優れた光学フィルムを、支持フィルムを用いることなく簡便に製造できる。
また、本発明の光学フィルムは、透過性および光輝性に優れる。
また、本発明の光学フィルムは、透過性および光輝性に優れる。
以下、本発明について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。この例の光学フィルム10は、感光性樹脂の硬化物11からなり、両面に凹凸構造が形成されている。
光学フィルム10は、例えば以下のようにして製造できる。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。この例の光学フィルム10は、感光性樹脂の硬化物11からなり、両面に凹凸構造が形成されている。
光学フィルム10は、例えば以下のようにして製造できる。
まず、図2(a)に示すように、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面21aを有する第一の成型具21と、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面22aを有し、活性エネルギー線を透過する第二の成型具22との転写面21a、22aの間に、感光性樹脂11’を配する((a)工程)。
ついで、図2(b)に示すように、第二の成型具22側から感光性樹脂11’に活性エネルギー線を照射して、感光性樹脂を硬化させる((b)工程)。
その後、図2(c)に示すように、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11からなる光学フィルム10を得る((c)工程)。
ついで、図2(b)に示すように、第二の成型具22側から感光性樹脂11’に活性エネルギー線を照射して、感光性樹脂を硬化させる((b)工程)。
その後、図2(c)に示すように、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11からなる光学フィルム10を得る((c)工程)。
(a)工程で用いる第一の成型具21および第二の成型具22は平板状であり、それぞれ凹凸形状の光学パターンが形成された転写面21a、22aを有する。
第二の成型具22の材質としては、活性エネルギー線を透過する材質であれば特に制限されないが、例えばガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルなどが挙げられる。
ここで、活性エネルギー線とは、紫外線または電子線のことである。
第二の成型具22の材質としては、活性エネルギー線を透過する材質であれば特に制限されないが、例えばガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルなどが挙げられる。
ここで、活性エネルギー線とは、紫外線または電子線のことである。
一方、第二の成型具21の材質としては、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、金属などが挙げられる。
第二の成型具21は活性エネルギー線を透過してもよいし、透過しなくてもよい。また、第一の成型具22の材質と同一であってもよいし、同一でなくてもよい。
なお、第二の成型具21の材質として金属を用いる場合は、ニッケルメッキまたはクロムメッキが施されていることが好ましい。これにより、成型具の表面が錆びにくくなると共に(防錆効果)、得られる光学フィルム10の表面に鏡面性を付与できる。
また、第一の成型具21の材質として活性エネルギー線を透過する材質を用いる場合は、(b)工程において第一の成型具21側からも活性エネルギー線を照射してもよい。
第二の成型具21は活性エネルギー線を透過してもよいし、透過しなくてもよい。また、第一の成型具22の材質と同一であってもよいし、同一でなくてもよい。
なお、第二の成型具21の材質として金属を用いる場合は、ニッケルメッキまたはクロムメッキが施されていることが好ましい。これにより、成型具の表面が錆びにくくなると共に(防錆効果)、得られる光学フィルム10の表面に鏡面性を付与できる。
また、第一の成型具21の材質として活性エネルギー線を透過する材質を用いる場合は、(b)工程において第一の成型具21側からも活性エネルギー線を照射してもよい。
第一の成型具21および第二の成型具22に形成される光学パターンとしては、光学特性を発現できる形状であれば特に制限されないが、例えば図1に示す第一の成型具21のような断面が三角形のプリズム状や、第二の成型具22のような断面が半円のプリズム状が挙げられる。また、光学パターンを上方向から見たときに、図3に示すようなストライプ状(図3(a))、格子状(図3(b))、多角形状(図3(c)、(d))など、個々のパターンが幾何学的に配列したものなども挙げられる。これらの光学パターンは、要求される光学特性に応じて適宜変更される。
また、光学パターンのパターンピッチやパターン高さについても特に制限されず、要求される光学特性に応じて適宜変更されるが、光学パターンが例えば図2に示すようなプリズム状の場合、パターンピッチP1、P2は1〜50μmが好ましく、パターン高さH1、H2は1〜50μmが好ましい。
なお、パターンピッチP1、P2は、成型具に形成された光学パターンの凸部の頂点または凹部の最深部から、これに隣接する凸部の頂点または凹部の最深部までの距離である。一方、パターン高さH1、H2は、成型具に形成された光学パターンの凸部の頂点から最深部までの距離である。
なお、パターンピッチP1、P2は、成型具に形成された光学パターンの凸部の頂点または凹部の最深部から、これに隣接する凸部の頂点または凹部の最深部までの距離である。一方、パターン高さH1、H2は、成型具に形成された光学パターンの凸部の頂点から最深部までの距離である。
第一の成型具21と第二の成型具22に形成される光学パターンは、同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。
光学パターンの形成方法としては、エッチングなど公知の方法を用いることができる。
光学パターンの形成方法としては、エッチングなど公知の方法を用いることができる。
本発明に用いる感光性樹脂は、活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂である。
感光性樹脂は、粘度が60〜1505mPa・sである。粘度が60mPa・s未満であると、成型具の光学パターンの凹凸から感光性樹脂が流れ出やすくなり、光学フィルムを製造しにくくなる。一方、粘度が1505mPa・sを超えると、感光性樹脂が泡立ちやすくなり、成型具に充填する際に感光性樹脂が泡を巻き込み、その結果、光学パターンが均一に転写されにくくなる。
感光性樹脂の粘度が上記範囲内であれば、感光性樹脂を成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく充填させることができ、作業性も向上する。
なお、感光性樹脂の粘度は、回転式粘度計を用い、温度25℃の条件にて測定される値である。具体的には、東機産業株式会社製の回転式粘度計「TV−10形粘度計」を用い、No2ロータまたはNo3ロータで回転数6〜60rpm、温度25℃の条件にて感光性樹脂の粘度を測定する。
感光性樹脂は、粘度が60〜1505mPa・sである。粘度が60mPa・s未満であると、成型具の光学パターンの凹凸から感光性樹脂が流れ出やすくなり、光学フィルムを製造しにくくなる。一方、粘度が1505mPa・sを超えると、感光性樹脂が泡立ちやすくなり、成型具に充填する際に感光性樹脂が泡を巻き込み、その結果、光学パターンが均一に転写されにくくなる。
感光性樹脂の粘度が上記範囲内であれば、感光性樹脂を成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく充填させることができ、作業性も向上する。
なお、感光性樹脂の粘度は、回転式粘度計を用い、温度25℃の条件にて測定される値である。具体的には、東機産業株式会社製の回転式粘度計「TV−10形粘度計」を用い、No2ロータまたはNo3ロータで回転数6〜60rpm、温度25℃の条件にて感光性樹脂の粘度を測定する。
感光性樹脂の粘度は、詳しくは後述するが、感光性樹脂に含まれる成分の種類や含有量によって調節できる。
以下、感光性樹脂に含まれる成分について説明する。
以下、感光性樹脂に含まれる成分について説明する。
感光性樹脂は、その硬化物、すなわち光学フィルムが優れた透過性、柔軟性および強靭性を発現できる点で、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ただし、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含むと、感光性樹脂が硬化する際の収縮応力が大きく、硬化物が反りやすくなる。従って、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販されている樹脂を用いることができる。例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のエベクリルシリーズ(KRM7804、KRM8296、EB1290K、EB2000、EB8405、EB8402、EB8465)、日本合成化学工業株式会社製の紫光シリーズ(UV7610、UV6100、UV6640、UV330B、UV3000B)、DIC株式会社製のユニディックシリーズ(V−4221、V−4220、17−849)などが挙げられる。
2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、感光性樹脂100質量%中、20〜75質量%が好ましい。含有量が20質量%未満であると、光学フィルムの強度が低下しやすくなる傾向にある。一方、含有量が75質量%を超えると、詳しくは後述するが、成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく感光性樹脂を充填するのが困難となる。
ところで、感光性樹脂に上述した2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートを含有させると、光学フィルムの強度は向上するものの、成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく感光性樹脂を充填するのが困難となりやすく、硬化物に成型具の光学パターンが十分に転写されにくくなる。
感光性樹脂を成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく充填させるには、感光性樹脂の粘度が上記範囲内となるように調整すればよい。しかし、上述した2官能および3官能のウレタン(メタ)アクリレートは感光性樹脂の粘度を高くさせる傾向にある。
そこで、反応性希釈剤を併用して感光性樹脂の粘度を調整するのが好ましい。
感光性樹脂を成型具の光学パターンの凹凸に隙間なく充填させるには、感光性樹脂の粘度が上記範囲内となるように調整すればよい。しかし、上述した2官能および3官能のウレタン(メタ)アクリレートは感光性樹脂の粘度を高くさせる傾向にある。
そこで、反応性希釈剤を併用して感光性樹脂の粘度を調整するのが好ましい。
反応性希釈剤としては、反応性とウレタン(メタ)アクリレートに対する希釈性を考慮すると、2官能の反応性希釈剤(ただし、上述した2官能のウレタン(メタ)アクリレートを除く。)が好ましい。なお、3官能以上の反応性希釈剤を用いると、感光性樹脂が硬化する際の収縮応力が大きく、硬化物が反りやすくなる場合がある。また、硬化収縮によって寸法安定性が悪くなり、目的のパターンが得られにくくなる。
このような反応性希釈剤としては、2官能の(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルアクリレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。
このような反応性希釈剤としては、2官能の(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルアクリレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。
また、2官能の反応性希釈剤としては、アクリル基当量が上述した2官能および3官能のウレタン(メタ)アクリレートのアクリル基当量よりも小さいものが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートのアクリル基当量よりも大きい場合、架橋密度が低くなり、得られる光学フィルムの強度が低下しやすくなる傾向にある。
2官能の反応性希釈剤のアクリル基当量は、200以下が好ましい。アクリル基当量が200以下であれば、光学フィルムに十分な強度を付与できる。なお、アクリル基当量の下限値については特に制限されないが、2官能の(メタ)アクリレートのアクリル基当量を100未満に調整するのは困難である。従って、アクリル基当量の下限値は100以上である。
2官能の反応性希釈剤のアクリル基当量は、200以下が好ましい。アクリル基当量が200以下であれば、光学フィルムに十分な強度を付与できる。なお、アクリル基当量の下限値については特に制限されないが、2官能の(メタ)アクリレートのアクリル基当量を100未満に調整するのは困難である。従って、アクリル基当量の下限値は100以上である。
2官能の反応性希釈剤の含有量は、感光性樹脂100質量%中、25〜80質量%が好ましい。含有量が25質量%未満であると、感光性樹脂の粘度が高くなる傾向にあり、成型具に充填する際に感光性樹脂が泡を巻き込み、その結果、光学パターンが均一に転写されにくくなる。一方、含有量が80質量%を超えると、ウレタンアクリレートの割合が少なくなるため、光学フィルムの強度が低下しやすくなる傾向にある。加えて、感光性樹脂の粘度が低くなる傾向にあり、成型具の光学パターンの凹凸から感光性樹脂が流れ出やすくなり、光学フィルムを製造しにくくなる。
感光性樹脂には、通常、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、例えばBASFジャパン株式会社製のイルガキュアシリーズ(184、500、651、1173、TPO)、ストファージャパン株式会社製の「バイキュア55」などが挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、硬化物の光学特性を損なわない程度であり、光学フィルムを構成する樹脂に添加される一般的な量であればよい。
光重合開始剤の含有量は、硬化物の光学特性を損なわない程度であり、光学フィルムを構成する樹脂に添加される一般的な量であればよい。
また、感光性樹脂は、膜厚200μmの硬化物とした際の全光線透過率が90%以上であることが好ましい。全光線透過率が90%以上であれば、透過性に優れる光学フィルムがより得られやすくなる。また、得られた光学フィルムは、より少ないエネルギーで光を効率的に利用できるので、バッテリーの消費を抑えることもできる。
なお、感光性樹脂の全光線透過率は、硬化後の膜厚が200μmになるように感光性樹脂を基材上に塗布し、硬化させて得られた平板状の硬化物を、ヘイズメータを用いて測定したときの値である。
なお、感光性樹脂の全光線透過率は、硬化後の膜厚が200μmになるように感光性樹脂を基材上に塗布し、硬化させて得られた平板状の硬化物を、ヘイズメータを用いて測定したときの値である。
(a)工程では、図2(a)に示すように、第一の成型具21と第二の成型具22の間に感光性樹脂を配する(充填する)。これら2つの成型具は、両者の間隔が任意の値となるように、それぞれが所定の部材(図示略)に固定され、光学フィルムの製造装置内に設置される。
2つの成型具の間隔は、得られる光学フィルムの膜厚に反映されるので、光学フィルムに要求される光学特性に応じて適宜設定される。
なお、2つの成型具の「間隔」とは、第一の成型具21に形成された光学パターンの凸部21bの頂点21cから、第二の成型具22に形成された光学パターンの凸部22bの頂点22cまでの垂直距離d1である。
2つの成型具の間隔は、得られる光学フィルムの膜厚に反映されるので、光学フィルムに要求される光学特性に応じて適宜設定される。
なお、2つの成型具の「間隔」とは、第一の成型具21に形成された光学パターンの凸部21bの頂点21cから、第二の成型具22に形成された光学パターンの凸部22bの頂点22cまでの垂直距離d1である。
そして、2つの成型具の隙間から感光性樹脂を充填する。充填方法としては特に制限されず、注入器などを用いればよい。
なお、感光性樹脂を成型具に充填する前に、感光性樹脂を脱泡処理しておくのが好ましい。脱泡処理することで成型具に充填する際に感光性樹脂が泡立つのを抑制でき、光学パターンが均一に転写されやすくなると共に、作業性も向上する。
脱泡処理としては、真空脱泡などが挙げられる。
なお、感光性樹脂を成型具に充填する前に、感光性樹脂を脱泡処理しておくのが好ましい。脱泡処理することで成型具に充填する際に感光性樹脂が泡立つのを抑制でき、光学パターンが均一に転写されやすくなると共に、作業性も向上する。
脱泡処理としては、真空脱泡などが挙げられる。
(b)工程では、図2(b)に示すように、第二の成型具22側から感光性樹脂11’に活性エネルギー線を照射して、感光性樹脂11’を硬化させる。
活性エネルギー線としては、上述したように紫外線、電子線が挙げられる。
活性エネルギー線としては、上述したように紫外線、電子線が挙げられる。
活性エネルギー線として紫外線を照射する場合、ヒュージョンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を用いればよい。
また、紫外線の照射強度や照射時間は、感光性樹脂に含まれるウレタン(メタ)アクリレートや反応性希釈剤の種類によって適宜設定されるので、一概には決められないが、例えば照射強度は50〜200mW/cm2が好ましい。一方、照射時間は5秒〜10分が好ましい。
また、紫外線の照射強度や照射時間は、感光性樹脂に含まれるウレタン(メタ)アクリレートや反応性希釈剤の種類によって適宜設定されるので、一概には決められないが、例えば照射強度は50〜200mW/cm2が好ましい。一方、照射時間は5秒〜10分が好ましい。
(c)工程では、図2(c)に示すように、感光性樹脂の硬化物11から各成型具を剥離して、光学フィルム10を得る。
上述した2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能の反応性希釈剤を含有する感光性樹脂を用いれば、硬化物11を各成型具から容易に剥離できる。
上述した2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能の反応性希釈剤を含有する感光性樹脂を用いれば、硬化物11を各成型具から容易に剥離できる。
このようにして得られる光学フィルム10は、硬化物11の両面に、第一の成型具21と第二の成型具22の光学パターンがそれぞれ転写され、凹凸構造が形成されている。
硬化物11の両面に形成された凹凸構造は、光学フィルムに要求される光学特性に応じて適宜変更されるが、凹凸構造の周期P3、P4は1〜50μmが好ましく、高さH3、H4は1〜50μmが好ましい。
なお、凹凸構造の周期P3、P4は、凹凸構造を構成する凸部の頂点または凹部の最深部から、これに隣接する凸部の頂点または凹部の最深部までの距離であり、成型具に形成された光学パターンのパターンピッチに相当する。一方、凹凸構造の高さH3、H4は、凹凸構造を構成する凸部の頂点から最深部までの距離であり、成型具に形成された光学パターンのパターン高さに相当する。
硬化物11の両面に形成された凹凸構造は、光学フィルムに要求される光学特性に応じて適宜変更されるが、凹凸構造の周期P3、P4は1〜50μmが好ましく、高さH3、H4は1〜50μmが好ましい。
なお、凹凸構造の周期P3、P4は、凹凸構造を構成する凸部の頂点または凹部の最深部から、これに隣接する凸部の頂点または凹部の最深部までの距離であり、成型具に形成された光学パターンのパターンピッチに相当する。一方、凹凸構造の高さH3、H4は、凹凸構造を構成する凸部の頂点から最深部までの距離であり、成型具に形成された光学パターンのパターン高さに相当する。
本発明によれば、支持フィルムを用いることなく光学フィルムを製造できる。
なお、光学フィルムの膜厚は、要求される光学特性に応じて適宜変更されるが、本発明であれば、10〜2000μm程度の膜厚の光学フィルムを製造できる。
ここで、光学フィルムの「膜厚」とは、光学フィルムの最も厚い部分の厚さのことであり、例えば図1に示す光学フィルム10の場合は、一方の面に形成された凹凸構造を構成する凸部12の頂点12aから、他方の面に形成された凹凸構造を構成する凸部13の頂点13aまでの垂直距離d2である。
なお、光学フィルムの膜厚は、要求される光学特性に応じて適宜変更されるが、本発明であれば、10〜2000μm程度の膜厚の光学フィルムを製造できる。
ここで、光学フィルムの「膜厚」とは、光学フィルムの最も厚い部分の厚さのことであり、例えば図1に示す光学フィルム10の場合は、一方の面に形成された凹凸構造を構成する凸部12の頂点12aから、他方の面に形成された凹凸構造を構成する凸部13の頂点13aまでの垂直距離d2である。
また、支持フィルムを備えていないことで、図1に示すように、光学フィルム10に入射した光は硬化物11の表面でのみ反射する。従って、本発明の光学フィルムは、図5(f)に示す光学フィルムに比べて反射が少なく、光輝性を良好に維持できる。そのため、より少ないエネルギーで光を効率的に利用できるので、バッテリーの消費を抑えることができる。
また、本発明によれば、支持フィルムを用いる必要がないので、支持フィルムの物性を考慮する必要もなく、光学設計が容易である。
加えて、本発明は、感光性樹脂の硬化物の両面に光学パターンを一度に転写できるので光学フィルムを簡便に製造でき、生産効率に優れる。
加えて、本発明は、感光性樹脂の硬化物の両面に光学パターンを一度に転写できるので光学フィルムを簡便に製造でき、生産効率に優れる。
なお、光学フィルムの製造方法は、上述した方法に限定されない。
例えば図4に示すように、第一の成型具21上に感光性樹脂11’を塗布し(図4(a))、その上に第二の成型具22をのせて2つの成型具で感光性樹脂11’を挟み、第二の成型具22側から感光性樹脂11’に活性エネルギー線を照射して、感光性樹脂11’を硬化させた後(図4(b))、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11からなる光学フィルム10を製造してもよい(図4(c))。
例えば図4に示すように、第一の成型具21上に感光性樹脂11’を塗布し(図4(a))、その上に第二の成型具22をのせて2つの成型具で感光性樹脂11’を挟み、第二の成型具22側から感光性樹脂11’に活性エネルギー線を照射して、感光性樹脂11’を硬化させた後(図4(b))、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物11からなる光学フィルム10を製造してもよい(図4(c))。
第一の成型具21上に感光性樹脂11’を塗布する方法としては特に制限されず、例えばスプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法などが挙げられる。
また、第一の成型具と第二の成型具の形状は板状に限定されず、ロール状であってもよい。ロール状の成型具であれば、連続的に成型具の光学パターンを感光性樹脂の硬化物に転写できるので、生産性をより高めることができる。また、得られた光学フィルムを巻き取って保管しておくことも可能であり、必要なときに光学フィルムを繰り出し、所望の大きさに切断して用いることができる。
本発明の光学フィルムは、透過性および光輝性に優れており、ノートパソコンや携帯電話等の表示装置の液晶ディスプレイ用として好適である。
また、本発明の光学フィルムを用いれば、より少ないエネルギーで光を効率的に利用できるので、バッテリーの消費を抑えることもできる。
また、本発明の光学フィルムを用いれば、より少ないエネルギーで光を効率的に利用できるので、バッテリーの消費を抑えることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例、比較例で用いた使用原料、および測定方法と評価方法を以下に示す。
実施例、比較例で用いた使用原料、および測定方法と評価方法を以下に示す。
[使用原料]
ウレタンアクリレートとして、以下に示す化合物を用いた。
・2官能ウレタンアクリレートA:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製、「エベクリルKRM8296」)。
・2官能ウレタンアクリレートB:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(DIC株式会社製、「ユニディックV−4221」。
・3官能ウレタンアクリレート:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、「紫光UV3000B」)。
ウレタンアクリレートとして、以下に示す化合物を用いた。
・2官能ウレタンアクリレートA:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製、「エベクリルKRM8296」)。
・2官能ウレタンアクリレートB:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(DIC株式会社製、「ユニディックV−4221」。
・3官能ウレタンアクリレート:脂肪族イソシアネートからなるウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、「紫光UV3000B」)。
反応性希釈剤として、以下に示す化合物を用いた。
・2官能アクリレートA:トリエチレングリコールジアクリレート。
・2官能アクリレートB:5−エチル−2−(2−ヒドロキシ1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンジアクリレート。
・2官能アクリレートC:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート。
・2官能アクリレートD:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル。
・2官能アクリレートA:トリエチレングリコールジアクリレート。
・2官能アクリレートB:5−エチル−2−(2−ヒドロキシ1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンジアクリレート。
・2官能アクリレートC:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート。
・2官能アクリレートD:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル。
光重合開始剤として、以下に示す化合物を用いた。
・光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製、「イルガキュア184」)。
・光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製、「イルガキュア184」)。
ここで、実施例および比較例で用いたウレタンアクリレートおよび反応性希釈剤のアクリル基当量を表1に示す。
<測定・評価>
(1)粘度の測定
感光性樹脂の粘度を回転式粘度計(東機産業株式会社製、「TV−10形粘度計」)により、No2ロータまたはNo3ロータで回転数6〜60rpm、温度25℃の条件にて測定した。
(1)粘度の測定
感光性樹脂の粘度を回転式粘度計(東機産業株式会社製、「TV−10形粘度計」)により、No2ロータまたはNo3ロータで回転数6〜60rpm、温度25℃の条件にて測定した。
(2)透過率の測定
2枚のガラス板を200μmのスペーサーを介して挟み、その間に感光性樹脂を注入し、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射して感光性樹脂を硬化させた。得られた平板状の硬化物(膜厚200μm)の全光線透過率を、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、「HM−65W」)にて測定した。
2枚のガラス板を200μmのスペーサーを介して挟み、その間に感光性樹脂を注入し、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射して感光性樹脂を硬化させた。得られた平板状の硬化物(膜厚200μm)の全光線透過率を、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、「HM−65W」)にて測定した。
(3)カーリング性の評価
2枚のガラス板の一方に、硬化後の膜厚が200μmになるように感光性樹脂を塗布し、その上から他方のガラス板をかぶせて、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。
硬化物をガラス板から剥離し、別のガラス板上に置いたときのガラス板との隙間を測定し、以下の評価基準にて反り具合を評価した。
○:隙間が0.2mm未満。
△:隙間が0.2mm以上、1.0mm未満。
×:隙間が1.0mm以上。
2枚のガラス板の一方に、硬化後の膜厚が200μmになるように感光性樹脂を塗布し、その上から他方のガラス板をかぶせて、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。
硬化物をガラス板から剥離し、別のガラス板上に置いたときのガラス板との隙間を測定し、以下の評価基準にて反り具合を評価した。
○:隙間が0.2mm未満。
△:隙間が0.2mm以上、1.0mm未満。
×:隙間が1.0mm以上。
(4)臭気の評価
感光性樹脂を23℃で保管し、以下に示す3段階評価の官能試験を行った。
○:臭いを感じない。
△:臭いを少し感じる。
×:明らかに臭いを感じる。
感光性樹脂を23℃で保管し、以下に示す3段階評価の官能試験を行った。
○:臭いを感じない。
△:臭いを少し感じる。
×:明らかに臭いを感じる。
(5)剥離性の評価
感光性樹脂の硬化物を第一の成型具および第二の成型具から剥離したときの硬化物の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:容易に剥離できた。
×:剥離できない、または剥離しようとすると硬化物が破断してしまう。
感光性樹脂の硬化物を第一の成型具および第二の成型具から剥離したときの硬化物の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:容易に剥離できた。
×:剥離できない、または剥離しようとすると硬化物が破断してしまう。
(6)転写性の評価
光学フィルムの表面状態を光学顕微鏡(倍率:50倍)で観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:両面とも、成型具の光学パターンが転写されている。
×:成型具の光学パターンが転写されていない。
光学フィルムの表面状態を光学顕微鏡(倍率:50倍)で観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:両面とも、成型具の光学パターンが転写されている。
×:成型具の光学パターンが転写されていない。
(7)光輝性の評価
光学フィルムの明るさ(照度)を、色彩・濁度測定器(日本電色工業株式会社製、「COH 400」)にて測定した。
光学フィルムの明るさ(照度)を、色彩・濁度測定器(日本電色工業株式会社製、「COH 400」)にて測定した。
[実施例1]
<感光性樹脂の調製>
攪拌機を備えた容器に、2官能ウレタンアクリレートBを40質量部、2官能アクリレートAを30質量部、2官能アクリレートBを30質量部、光重合開始剤を3質量部仕込み、均一に攪拌混合して、感光性樹脂を得た。
得られた感光性樹脂について、粘度および透過率を測定し、カーリング性および臭気性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、透過率の測定は、光学フィルムの光学特性を評価するものでもある。また、カーリング性、および臭気性の評価は光学フィルムの製造における生産安定性を評価するものである。
<感光性樹脂の調製>
攪拌機を備えた容器に、2官能ウレタンアクリレートBを40質量部、2官能アクリレートAを30質量部、2官能アクリレートBを30質量部、光重合開始剤を3質量部仕込み、均一に攪拌混合して、感光性樹脂を得た。
得られた感光性樹脂について、粘度および透過率を測定し、カーリング性および臭気性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、透過率の測定は、光学フィルムの光学特性を評価するものでもある。また、カーリング性、および臭気性の評価は光学フィルムの製造における生産安定性を評価するものである。
<光学フィルムの製造>
まず、光学パターンが形成された成型具を以下のようにして作製した。
ニッケルめっきにより表面処理された金属板(10cm×10cm)の表面に、図2に示すような断面が三角形のプリズム状の光学パターン(パターンピッチP1:30μm、パターン高さH1:30μm)をエッチングにより形成し、第一の成型具を作製した。
別途、厚さ5mmのガラス板(10cm×10cm)の表面に、図2に示すような断面が半円のプリズム状の光学パターン(パターンピッチP2:30μm、パターン高さH2:30μm)をエッチングにより形成し、第二の成型具を作製した。
まず、光学パターンが形成された成型具を以下のようにして作製した。
ニッケルめっきにより表面処理された金属板(10cm×10cm)の表面に、図2に示すような断面が三角形のプリズム状の光学パターン(パターンピッチP1:30μm、パターン高さH1:30μm)をエッチングにより形成し、第一の成型具を作製した。
別途、厚さ5mmのガラス板(10cm×10cm)の表面に、図2に示すような断面が半円のプリズム状の光学パターン(パターンピッチP2:30μm、パターン高さH2:30μm)をエッチングにより形成し、第二の成型具を作製した。
ついで、第一の成型具と第二の成型具の間隔が100μmになるように調節し、所定の位置に固定した。
そして、2つの成型具の隙間から感光性樹脂を空隙が生じないように充填した。なお、感光性樹脂は充填する前に、温度25℃、0.01MPa以下で12時間以上の条件にて真空脱泡した。
ついで、第二の成型具側から感光性樹脂に、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。
ついで、第一の成型具および第二の成型具から硬化物を剥離し、硬化物の両面に各成型具の光学パターンが転写された光学フィルムを得た。この光学フィルムの膜厚を電子顕微鏡にて測定したところ、160μmであった。
そして、2つの成型具の隙間から感光性樹脂を空隙が生じないように充填した。なお、感光性樹脂は充填する前に、温度25℃、0.01MPa以下で12時間以上の条件にて真空脱泡した。
ついで、第二の成型具側から感光性樹脂に、80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。
ついで、第一の成型具および第二の成型具から硬化物を剥離し、硬化物の両面に各成型具の光学パターンが転写された光学フィルムを得た。この光学フィルムの膜厚を電子顕微鏡にて測定したところ、160μmであった。
得られた光学フィルムについて、剥離性、転写性および光輝性の評価を行った。結果を表2に示す。剥離性および転写性の評価は光学フィルムの製造における生産安定性を評価するものであり、光輝性の評価は光学フィルムの光学特性を評価するものである。
なお、光輝性については、比較例1の光輝性の測定結果を「1.0」としたときの値を示した。
なお、光輝性については、比較例1の光輝性の測定結果を「1.0」としたときの値を示した。
[実施例2〜6]
ウレタンアクリレートおよび反応性希釈剤の種類と配合量を表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂を調製し、得られた感光性樹脂を用いて光学フィルムを作製し、各測定および評価を行った。結果を表2、3に示す。
なお、光輝性については、各実施例と同じ感光性樹脂を用いた比較例2〜6の光輝性の測定結果をそれぞれ「1.0」としたときの値を示した。
ウレタンアクリレートおよび反応性希釈剤の種類と配合量を表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂を調製し、得られた感光性樹脂を用いて光学フィルムを作製し、各測定および評価を行った。結果を表2、3に示す。
なお、光輝性については、各実施例と同じ感光性樹脂を用いた比較例2〜6の光輝性の測定結果をそれぞれ「1.0」としたときの値を示した。
[比較例1]
実施例1で調製した感光性樹脂を用い、以下のようにして光学フィルムを作製した。
まず、第一の成型具上に、感光性樹脂を空隙が生じないように塗布した。この感光性樹脂上に支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(厚さ:100μm)を配して、支持フィルム側から感光性樹脂に80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。その後、第一の成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物と支持フィルムからなる積層体を得た。
別途、第二の成型具上に、感光性樹脂を空隙が生じないように塗布した。この感光性樹脂上に、積層体の支持フィルムが接触するように積層体を配して、積層体側から感光性樹脂に80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。その後、第二の成型具を剥離して、支持フィルムの両面に、各成型具の光学パターンが転写された感光性樹脂の硬化物が形成された光学フィルムを得た。この光学フィルムの膜厚を電子顕微鏡にて測定したところ、160μmであった。
得られた光学フィルムについて、剥離性、転写性および光輝性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、光輝性の測定結果は「1.0」に換算した。
実施例1で調製した感光性樹脂を用い、以下のようにして光学フィルムを作製した。
まず、第一の成型具上に、感光性樹脂を空隙が生じないように塗布した。この感光性樹脂上に支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(厚さ:100μm)を配して、支持フィルム側から感光性樹脂に80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。その後、第一の成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物と支持フィルムからなる積層体を得た。
別途、第二の成型具上に、感光性樹脂を空隙が生じないように塗布した。この感光性樹脂上に、積層体の支持フィルムが接触するように積層体を配して、積層体側から感光性樹脂に80mW/cm2の紫外線を10秒間照射し、感光性樹脂を硬化させた。その後、第二の成型具を剥離して、支持フィルムの両面に、各成型具の光学パターンが転写された感光性樹脂の硬化物が形成された光学フィルムを得た。この光学フィルムの膜厚を電子顕微鏡にて測定したところ、160μmであった。
得られた光学フィルムについて、剥離性、転写性および光輝性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、光輝性の測定結果は「1.0」に換算した。
[比較例2〜6]
実施例2〜6で調製した感光性樹脂をそれぞれ用いた以外は、比較例1と同様にして光学フィルムを作製し、各評価を行った。結果を表2、3に示す。なお、光輝性の測定結果は「1.0」に換算した。
実施例2〜6で調製した感光性樹脂をそれぞれ用いた以外は、比較例1と同様にして光学フィルムを作製し、各評価を行った。結果を表2、3に示す。なお、光輝性の測定結果は「1.0」に換算した。
[比較例7、8]
ウレタンアクリレートおよび反応性希釈剤の種類と配合量を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂を調製し、得られた感光性樹脂を用いて光学フィルムを作製し、各測定および評価を行った。結果を表3に示す。
ただし、比較例7については、感光性樹脂の硬化物が得られなかったので、透過率の測定およびカーリング性の評価はできなかった。また、光学フィルムを作製できなかったので、各種評価はできなかった。
また、比較例8については、感光性樹脂の硬化物および光学フィルムには、目視にて気泡が確認されたため、明らかに透過率および光輝性に劣ると判断し、感光性樹脂の透過率の測定および光学フィルムの光輝性の評価は行わなかった。
ウレタンアクリレートおよび反応性希釈剤の種類と配合量を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂を調製し、得られた感光性樹脂を用いて光学フィルムを作製し、各測定および評価を行った。結果を表3に示す。
ただし、比較例7については、感光性樹脂の硬化物が得られなかったので、透過率の測定およびカーリング性の評価はできなかった。また、光学フィルムを作製できなかったので、各種評価はできなかった。
また、比較例8については、感光性樹脂の硬化物および光学フィルムには、目視にて気泡が確認されたため、明らかに透過率および光輝性に劣ると判断し、感光性樹脂の透過率の測定および光学フィルムの光輝性の評価は行わなかった。
表2、3から明らかなように、各実施例で調製した感光性樹脂は全光線透過率が90%以上と高く、得られた光学フィルムが透過性に優れることが示された。また、各実施例で得られた光学フィルムは、各比較例で得られた光学フィルムに比べて明るさの値が高く、光輝性にも優れていた。
従って、各実施例で得られた光学フィルムは、優れた光学特性を有していることが示された。
また、各実施例では、剥離性や転写性の結果も概ね良好であり、生産安定性にも優れていた。
従って、各実施例で得られた光学フィルムは、優れた光学特性を有していることが示された。
また、各実施例では、剥離性や転写性の結果も概ね良好であり、生産安定性にも優れていた。
一方、比較例1〜6で得られた光学フィルムは、各実施例と同じ感光性樹脂を用いて作製したので、剥離性および転写性の結果はそれぞれに対応する実施例と同じ結果であった。
しかし、比較例1〜6の場合、支持フィルムを用いて光学フィルムを作製したので、各実施例で得られた光学フィルムに比べて光輝性に劣っていた。
また、比較例7の場合、感光性樹脂の粘度が40mPa・sと低かったため、成型具の間に充填した際に感光性樹脂が流れ出しやすく、光学フィルムを製造できなかった。
また、比較例8の場合、感光性樹脂の粘度が2200mPa・sと高かったため、成型具の間に充填した際に感光性樹脂が泡立ちやすく、光学フィルムに気泡が確認され、成型具の光学パターンが均一に転写されなかった。
しかし、比較例1〜6の場合、支持フィルムを用いて光学フィルムを作製したので、各実施例で得られた光学フィルムに比べて光輝性に劣っていた。
また、比較例7の場合、感光性樹脂の粘度が40mPa・sと低かったため、成型具の間に充填した際に感光性樹脂が流れ出しやすく、光学フィルムを製造できなかった。
また、比較例8の場合、感光性樹脂の粘度が2200mPa・sと高かったため、成型具の間に充填した際に感光性樹脂が泡立ちやすく、光学フィルムに気泡が確認され、成型具の光学パターンが均一に転写されなかった。
10:光学フィルム、11:硬化物、11’:感光性樹脂、21:第一の成型具、21a:転写面、22:第二の成型具、22a:転写面。
Claims (5)
- 凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有する第一の成型具と、凹凸形状の光学パターンが形成された転写面を有し、活性エネルギー線を透過する第二の成型具との転写面の間に、25℃における粘度が60〜1505mPa・sである感光性樹脂を配し、第二の成型具側から感光性樹脂に活性エネルギー線を照射して感光性樹脂を硬化した後、各成型具を剥離して、感光性樹脂の硬化物の両面に各成型具の光学パターンを転写することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 前記感光性樹脂は、膜厚200μmの硬化物とした際の全光線透過率が、90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記感光性樹脂は、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能の反応性希釈剤(ただし、前記2官能のウレタン(メタ)アクリレートを除く。)とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記感光性樹脂100質量%中における、2官能および/または3官能のウレタン(メタ)アクリレートの含有量が20〜75質量%であり、2官能の反応性希釈剤の含有量が25〜80質量%であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法により得られた、感光性樹脂の硬化物の両面に凹凸構造が形成されたことを特徴とする光学フィルム。
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