JP2011211984A - 発酵工程を経る穀粉生地および穀粉焼成物 - Google Patents

発酵工程を経る穀粉生地および穀粉焼成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の目的は外観的な生地の暴れを軽減・抑制し、新規な風味や食感、形状、特に内層に従来のシューケースには見られる特徴的な大きい空洞の生じにくいシュー生地やシューケースとその製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、生地中に配合された全穀粉中の60重量%以上の穀粉がα化処理された状態で発酵工程に供することで得られた穀粉生地を焼成することで、穀粉焼成物、特にシュー生地の暴れを軽減・抑制し、なおかつ新規な風味や食感、形状、特に、内層に空洞が出来にくく、外見にも特徴的なシューケースを得ることが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、イーストを添加し発酵工程を経る穀粉生地、およびそれを焼成してなる穀粉焼成物に関する。
更に詳しくは、穀粉生地の一部または全部がα化処理工程を経た後に発酵工程を経ることにより、特徴的な風味や外見、内部構造を有する焼成物に関する。
特に、穀粉生地がシュー生地である場合は、生地の暴れが軽減・抑制され、焼きあがったシューケースの内層には空洞が出来にくく、外観にも特徴的な穀粉焼成物の製造法に関する。
本発明で言うところの穀粉生地とは、小麦粉等の穀粉を水や油脂と配合したもので、生地作成後焼成に供してパンなどの穀粉焼成物を得るものである。その穀粉生地のなかでも特にシュー生地は、小麦粉、牛乳など水性組成物、バターなどの油脂組成物、及び全卵などの卵類を主原料とし、これに食塩、砂糖等副原料を配合し、または食品添加物を加え混合したものである。
さらにそのシュー生地を球状や棒状といった形状に搾り出し、加熱・膨化させた所謂シューケースは中に空洞が形成された特徴があり、さらにそのシューケースを用いたシュー菓子類は、空洞部にカスタードクリームやホイップクリームなどのフィリング類を詰めたり、表面部にチョコレートやグレーズをコーティングするなど、様々なバリエーションが市場にて人気のある商品である。
一方でシューケースの製造は他のパン、菓子に比較して特に熟練を要するものであり、洋菓子製店、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売されている通常のシュー菓子類において、特にシューケースに膨化剤などが添加されている場合は、ボリュームは出るが焼成中に生地が暴れ易い、一定の形状の製品を安定的に製造するのが困難であるという難点があった。
また、シュー菓子類は市場からは、昨今の消費者志向の多様化に伴い、新規な風味や食感、形状を有し、しかも市場からの大量の需要要求に応える為の平易な方法での製造が可能で、さらには近年の消費者の健康志向からも添加物の低減したシューケースに対する需要はきわめて大きいものがあった。
シューケースを製造する技術としては、炭酸カルシウムを膨張剤としてシューケースに含有させる技術(特許文献1及び2)、平均粒子径が20μm以下の増粘安定剤を含有させる技術(特許文献3)、サクサクとした軽い食感のシューケースを調整するために、シューケース生地に内部が空洞のカップ状耐熱容器を被せて焼成する技術(特許文献4)、卵殻粉からなる品質改良材及び卵殻粉を含有したシューケースが(特許文献5)提案されている。
しかしながら、上記特許文献1〜5のようにシューケースに炭酸カルシウムを添加した技術や平均粒子径が20μm以下の増粘安定剤を含有させる技術及び卵殻粉からなる品質改良材及び卵殻粉を含有させる技術によるシューケースなどは生地の暴れの軽減・抑制は困難という問題があった。
一方で、イーストを添加し発酵工程を経る穀粉生地としては、パン類があり、その一部を熱湯で処理して用いる「湯種法」と呼ばれる製法がある(特許文献6)が、湯種法はグルテンの生成を主目的にしており、捏ね上げ温度が高すぎるとグルテンが破壊されかねず、その一部の生地を完全にα化しているわけではない。特に穀粉生地がシュー生地の場合にイーストを添加し発酵工程を経る製法は何ら教示していない。また、同文献の穀粉生地中のα化度合いは全小麦粉100重量部に対して30重量部以下ですぎないものであった。
特開平2−009333号公報 特開平6−253723号公報 特開2002−291396号公報 特開平7−194292号公報 特開2005−269993号公報 特開2000−262205号公報
通常のシュー生地または膨化剤を使用したシュー生地などではボリュームのあるシューケースを得ることは出来るが、生地の暴れを防ぐことが難しいという課題があった。
本発明は、外観的な生地の暴れを軽減・抑制し、新規な風味や食感、形状、特に内層に従来のシューケースには見られる特徴的な大きい空洞の生じにくいシュー生地、それを焼成したシューケース及びその製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、生地中に配合された全穀粉中の穀粉の60重量%以上がα化処理された状態で発酵工程に供した穀粉生地を焼成することで、穀粉焼成物、特にシュー生地の暴れを軽減・抑制し、なおかつ新規な風味や食感、形状、特に、内層に空洞が出来にくく、外見にも特徴的なシューケースの製造法が得られた。
即ち、本発明は、
(1)生地中に配合された全穀粉中の穀粉の60重量%以上がα化処理された状態で発酵工程に供される穀粉生地。
(2)水分100重量%以上(対粉)、油分20重量%(対粉)以上である(1)記載の穀粉生地。
(3)(1)または(2)記載の穀粉生地を焼成してなる穀粉焼成物。
(4)穀粉焼成物がシューケースである事を特徴とする(3)記載の穀粉焼成物。
(5)生地中に配合された全穀粉中の60重量%以上の穀粉がα化処理された状態で発酵工程に供される穀粉生地の製造法。
(6)(5)記載の穀粉生地を焼成してなる穀粉焼成物の製造法。
(7)(1)または(2)記載の発酵工程に供される穀粉生地が、イーストを含有するシュー生地、である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、生地中に配合された全穀粉中の60重量%以上がα化処理された状態で発酵工程に供される穀粉生地を用いる事を特徴とする。
本発明でいうところの穀粉生地とは穀粉原料に水性成分を配合した加水物を指し、ドウ状もしくはペースト状を呈する。
本発明における穀粉は広義の穀物の粉を指し、豆類やそば、アマランス、芋類や根菜なども含まれるが、小麦や米、大麦、ライ麦、トウモロコシなど、イネ科のものが好適に利用できる
具体的には、小麦粉やライ麦粉、米粉などが、またそれら穀粉から精製された小麦粉澱粉、米粉澱粉などのように、澱粉を含有する穀物の粉体、または、穀粉から精製された澱粉が例示できる。
また、穀粉生地がシュー生地である場合は工程上油脂組成物が配合されていることが望ましい。
なお、以下に各配合量の規定を記載するが、ベーカーズパーセントを適宜用いるものとする。ベーカーズパーセントは穀粉生地の配合の記載方法として一般的なものであり、これは穀粉の量を100%として、他の配合の重量比を%表示するもので、本発明においては、「対粉」と記載のある場合はこのベーカーズパーセントを意味する。
また、以下に示す配合・製造上の特徴は特に穀粉生地が工程上どの時点においてのものであってもかまわないが、特に断りがない場合は焼成直前の生地を持って穀粉生地とする。
水性成分としては水を含むものであれば特に限定はされないが、特に穀粉原料と混ぜ合わせた際にドウ状もしくはペースト状を呈する程度の含水量である必要があり、その一例としては水、牛乳や生クリームなどの乳製品が挙げられる。
穀粉生地、特にシュー生地として用いる場合の水分量は、のぞましくは対粉100重量%〜600重量%、更に望ましくは対粉200重量%〜500重量%、最も望ましくは250重量%〜450重量%である。ただしこの水分量は、水はもちろん、卵や乳製品といった水性成分中の水分全てを加算したものにて算出したものとする。
穀粉生地を焼成した穀粉焼成物の種類により、水分は適宜選択でき、水分の過不足は工程上のハンドリングや穀粉焼成物の形状などへの影響がでる。
特に穀粉生地がシュー生地の場合はシューケースの形状に悪影響を与える。
油脂組成物としては油脂を含むものであれば特に限定はされないが、その一例としてはオリーブ油やラードなどの油脂、バターやマーガリンなどの乳化物などが挙げられる。
穀粉生地、特にシュー生地として用いる場合の油分量は、望ましくは対粉20〜200重量%、更に望ましくは対粉45〜150重量%、最も望ましくは対粉50〜100重量%である。
ただしこの油分量は、油脂単独での配合はもちろん、バターやマーガリンといった油脂組成物の油分全てを加算したものにて算出したものとする。
本発明の油脂組成物の原料の油脂としては、特に限定はされないが、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施したものが例示できる。かかる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂(融点10〜40℃程度のもの)が例示できる。
水性成分と油脂組成物以外の配合物には特に限定は無く、従来の穀粉生地、特にシュー生地として用いられる配合物ならびに配合量を適宜用いることができる。
本発明でいうところの澱粉がα化処理した状態とは穀粉に含まれる澱粉がα化(糊化)している事を指し、そのα化処理の方法は穀粉中の澱粉がα化していれば特に限定はされないが、穀粉材料の澱粉がα化する温度(α化温度)以上の温度下で且つ、水存在下で混練することで得る方法がのぞましい。また、本発明で言うところのα化処理した生地は乾燥工程を有さない。よってα化澱粉やα化小麦と称されるα化の後に急速に乾燥させることでα化を維持した穀粉や澱粉は本発明でいう穀粉がα化処理した状態には含まれない。
α化処理した状態の穀粉は穀粉生地と同様に澱粉を含有する穀物の粉体であれば特に限定されないが、穀粉生地に用いられた穀粉と同じものであることが望ましい。
α化処理した状態の穀粉は元の穀粉の一部を用いても、別途添加してもかまわないが、穀粉生地中に配合された全穀粉中の穀粉の60重量%以上、望ましくは80重量%以上、最も望ましくは95%以上配合することが好ましい。なおこの全穀粉中とは焼成する直前の状態を基準とする。
穀粉をα化処理する際の水分量も特に限定はされないが、少なすぎると流動性が乏しく、生地全体を一様に加熱することが出来ないのでペースト状またはドウ状であること、即ち水分が対粉10重量%以上、望ましく対粉30重量%以上、特に穀粉生地がシュー生地の場合は対粉80重量%以上、さらに望ましくは対粉100重量%以上であることが好ましい。またα化処理生地はα化処理の工程の後に穀粉生地に配合する為、該穀粉生地との混合が容易になるように適宜水分を調整するのが望ましい。
α化処理の温度は穀粉に含まれる澱粉の種類によって温度がことなり、小麦粉澱粉のα化温度は通常62〜83℃程度であるが、少なくともα化温度粋の下限以上、望ましくは上限以上であればよく、生地の流動性が十分あるうちは焦げ付かないよう注意しながら、85℃以上から煮立つまで加熱することにより、手早くα化処理することができる。
穀粉生地がシュー生地であり、穀粉焼成物がシューケースである場合、その調整方法は、発酵工程以外は従来公知の方法を採用できる。
シュー生地の代表的な調整方法としては水、油脂を加熱し、充分に沸騰(80℃以上)させたところに穀粉として小麦粉を加え混捏して、小麦粉を充分にα化処理した後、全卵を加えて更に混捏し、保温しながら30〜60分程度シュー生地を休ませる工程を経て作成するが、本発明の穀粉生地がシュー生地である場合には、α化処理した穀粉が全穀粉に対してきわめて多く、ほぼ100重量%となる。当然、配合的にもα化処理した穀粉は穀粉生地の穀粉原料と同一であり、その配合も卵類などの熱凝固性のある配合を除いた部分すべてがα化処理工程に供される。
穀粉が小麦粉の場合、特にグルテン量に限定はされないが、薄力粉や強力粉などが好適に用いられ、特にその中間のグルテン量になるように双方を配合するか、もしくはその中間程度のグルテン量であるフランス粉の使用がより望ましい。
フランス粉使用により、薄力粉・強力粉などと比較し、シューケースのボリュームを維持し、生地の暴れは若干軽減・抑制され、生地の出来は向上する。
本発明のシュー生地は本発明の効果を損なわない範囲で、穀粉原料ならライ麦粉や米粉など、また小麦粉澱粉や米粉澱粉、コーンスターチなど澱粉類、油脂組成物ならバターやマーガリン、ショートニングなど、それに砂糖や水飴等の糖類、食塩等を適宜添加してもよい。
生地中に配合された全穀粉中の澱粉の60重量%以上がα化した状態で供される発酵工程とは、通常パンなどでよく用いられるイーストによる発酵をさす。
特に穀粉生地がシュー生地である場合、水に溶いたイーストを穀粉生地に添加する方法が挙げられる。水に溶いたイーストは水温4℃以上40℃以下で溶き、数十分の間に使用する事が望ましい。
本発明にて発酵工程に供する、特にイーストを用いて発酵する意義は、穀粉生地、特にα化処理生地の比率の高いシュー生地作成後、生地の暴れを軽減・抑制するためである。通常のシュー生地では生地の製造過程でグルテンが出ないよう粉入れ前に油脂を高配合し、グルテンの形成を阻害する方向で生地の製造を行い、軽く歯切れ良い生地食感に仕上げている。そのため、生地中のグルテン結合は全く無いわけではないがパンと比較すると弱く、焼成を行うとシュー生地自身の膨化する力に耐え切れずに生地が暴れてしまうことがある。そこで配合中にイーストを加え、更に常法通り作成したシュー生地を保温しながら休ませる工程の際、イーストによる発酵が進んでもα化処理穀粉の存在により膨化が抑制され、しかもシュー表面もα化処理穀粉によりグルテン膜が強化されるため暴れが出にくくなるものと推察される。これにより、本発明のシューケースは内層に従来のシューケースのような単一の巨大な空洞の出来ない特徴的なシューケースとなると推察される。
本発明の発酵条件は、特に限定はされないが、穀粉生地がシュー生地の場合、水性組成物、油脂組成物、食塩などの熱凝固性を呈する卵類やイーストを溶解させる分の水を減じた配合にて混和、加熱し、充分に沸騰(80℃以上)させたところに小麦粉を加え混捏し、小麦粉を充分にα化した後、生地品温4℃以上40℃以下にし、溶解したドライイースト(4℃以上40℃以下)を加え、更に全卵を加えて混捏し、発酵をさせる。
発酵条件と発酵時間は温度35〜38℃、60分程度が望ましい。
イーストは、インスタントイースト、ドライイースト、生イースト、酵母等、それらの混合物等を用いることが出来る。インスタントイーストは予備発酵の必要がなく、直接小麦粉に混ぜて使用することが出来るが、発酵力が強いため生イーストと比較して3分の1程度の使用量、ドライイーストと比較した場合では8割程度の使用量が適切である。また、インスタントイーストには無糖生地用と加糖生地用の2種類があるが、好ましくはシュー生地の場合は加糖生地用を用いる。また、インスタントイーストに替えてドライイースト、生イースト、酵母等を使用することも可能だが、ドライイーストは生イースト製造の最終段階で乾燥させ、顆粒状にしたものであって、使用前はイーストの活性を高める為5〜6倍の水を35〜40℃に調整する必要があり、生イーストは一般的にパン用酵母を純粋培養して圧縮したものであるが、両イーストは共に一般的に過度の加糖・油脂等に対する耐性はないため、これらを用いる場合は添加量を多くするなどの調整を行って使用する必要がある。
発酵シュー生地中のイーストの割合はイーストの種類にもよるが、イーストの固形分換算で生地中対粉1.0〜7.5重量%、より好ましくは対粉1.5〜3.0重量%が望ましく、イーストも加糖生地用ドライイーストが望ましい。イーストの添加量が少ないと通常のシューケースと比較しても生地の暴れに明確な改善が見られず、また、イーストの添加量が多すぎると、外観や内層に特徴は見られてもシューケースが厚くなる、ボリュームがかなり小さくなる、イースト臭が強くなる場合がある。
発酵工程に供された穀粉生地の焼成条件は従来用いられている条件を適宜用いることができる。穀粉生地がシュー生地の場合は、発酵後は生地を天板に絞り、霧吹きで水を適量吹きつけ、オーブンなどで焼成する。
絞り方は特に限定はされないが、シュー生地の場合は球状(典型的なシューケースの本願発明の特徴である生地のあばれの少ない形状)や棒状(典型的なエクレアの生地の暴れの少ない形状)、渦巻き状、団子状などの少量ずつ連続して生地を絞り出し成型する一定の形状等が挙げられる。
焼成条件はオーブンの種類にもよるが、170〜250℃、望ましくは180〜210℃、最も望ましくは190〜200℃が望ましい。
本発明ではイースト以外の添加物等を使用しなくても、安定して生地の暴れが無く均一であり、内層に空洞の出来ない特徴的な穀粉生地及び穀粉焼成物を得ることができる。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
<実施例1・実施例2・実施例3・比較例1>
・穀粉生地の調整・α化処理
水160重量部のうちの130重量部、加工乳製品(濃縮乳、不二製油株式会社製、「プロベスト500D」(3倍希釈タイプ濃縮乳)を3倍希釈したもの)160重量部、油脂組成物(シュー用マーガリン、不二製油株式会社製、「メサージュ500」)240重量部、食塩4重量部を加熱沸騰(80℃以上)させ、フランス粉(日清製粉株式会社製、「リスドオル」)240重量部を添加し、約1分間混捏して小麦粉を充分にα化処理した後、更に生地を均一にするため卓上ミキサーで(ケンミックス、株式会社愛工舎製作所)約3分間混捏した。なお穀粉生地をすべてα化工程に供した為、α化処理された生地の穀粉生地における比率は穀粉原料基準で100%であった。この穀粉生地をα化処理生地と称するがその温度は28℃であった。
・発酵工程
配合される水の全重量160重量部のうち残余分である30重量部の水にドライイーストを実施例1は3.6重量部(対粉1.5重量%)、実施例2は4.6重量部(対粉2.0重量%)、実施例3は6重量部(対粉2.5重量%)を溶解させ、また比較例1は条件を統一するため、30重量部の水に何も溶かさずにおき、それぞれ先に調整したα化処理生地に添加して、約1分間混捏後、更に約3分間で全卵480重量部を混捏しながら数回にわたって添加した。(生地温4℃以上40℃以下)生地を安定・発酵させる為、温度37℃で約60分間発酵させた。発酵させた生地を20gずつ天板に絞り、オーブンを上火200℃、下火190℃に設定し、(株式会社七洋製作所、バッケン窯、)焼成25分程度でダンパーを開放、さらに約30分間焼成した。これらの配合を表1に纏めた。また実施例2と比較例1で得られたシューケースの外観と内層はそれぞれ図1、図2に示した。
<表1>
単位は重量部、( )内は対粉重量%
比較例1では内層に大きな空隙のある、外観がもこもこと暴れた、従来タイプのシューケースが得られた。
一方、穀粉がα化した後に発酵工程のある実地例1〜3は従来タイプの比較例1とは異なり、外観の暴れが少なく、そのためやや小ぶりにまとまり、内層もパンほどではないがポーラスで、内層大半を占めるような大きな空隙はできていなかった。なお内層のポーラス構造はパンほど丈夫ではなく、また最外部が丈夫であるため、従来のシューケースのようにフィリングを注入すると、内層のポーラス構造を侵食しながら外に漏れ出すことなくシューケースの中央にフィリングを注入することができた。
イーストの量によりその発酵の度合いがことなり、多いほど皮の厚さがパンのクラストのように厚くなり、またその外見も小さくまとまっていき、またイースト臭が発生する傾向となった。
実施例1は、外観は比較例1に比べ、やや小ぶりなシューケースであるが外観の暴れが少なく、イースト臭も特には無く、皮にある程度の厚さがあり、内層がポーラスなシューケースを得た。
実地例2では皮がやや厚めであって香ばしく、ボリュームがあり、表面がつるっとした新規な外観で、内層がポーラスな特徴的シューケースを得た。
実地例3では皮の厚さがパンのクラストのように厚くなり、またその外見は最も小ぶりで、またややイースト臭が発生する傾向となったが、総じて実施例1〜3は外観・内層、そしてその香りに特徴のある、従来にないシューケースを得た。
<実施例4・実施例5>
実施例2のフランス粉のうち30重量%(フランス粉自体を100重量%として)を強力粉(実施例4)、薄力粉(実施例5)で置き換える以外は同配合、同工程でシューケースを得た。
これらの配合を比較のため実施例2と共に表2に纏めた。また実施例4と比較例5で得られたシューケースの外観と内層はそれぞれ図3、図4に示した。
<表2>
単位は重量部、( )内は対粉重量%
実施例4は従来タイプの比較例1に比べ、グルテンの形成がやや弱く、若干表面に暴れが発生し、またボリュームも大きいものであったが、従来にない外観・内層、そしてその香りに特徴のある、従来にないシューケースを得た。
実地例5は実地例2同様外観は表面がつるっとしているが横広がりにボリュームがあり、ポーラスな内層であったが、グルテンの形成が強くやや硬い食感で、従来にない外観・内層、そしてその香りに特徴のある、従来にないシューケースを得た。
<比較例2・実施例6・実施例7・実施例8>
実施例2と配合は同じだが、フランス粉を加水・加熱する際にフランス粉全量を100重量%とした場合に、それに対して比較例2は50重量%、実施例6は60重量%、実施例7は70重量%、実施例8は80重量%を添加して加熱し、充分にα化処理したところで、室温まで冷まし、加水・加熱工程に供されなかった残余のフランス粉を添加し、実施例2の発酵工程以降の工程を同様に行った。
これらの配合を比較のため実施例2と共に表3に纏めた。また比較例2で得られたシューケースの外観と内層を図5に示した。
<表3>
単位は重量部、( )内は対粉重量%
比較例2、実地例6、実地例7、実地例8、そして実施例2の順でα化したフランス粉の割合が上昇するが、それにより安定し、特徴的なシューケースを得ることが出来ることが確認された。
特に比較例2は膨張が十分ではなく、内層は目が詰まり、皮は硬くて煎餅のような状態のシューケースとなった。
一方、実地例6、実地例7、実地例8も実施例2に比べて内層は目が詰まり気味であり、皮もやや硬かったものの、従来にない外観・内層、そしてその香りに特徴のある、従来にないシューケースを得た。
<実施例9・実地例10>
実施例2と配合は同じだが、油脂組成物を実地例9は対粉50重量%、実施例10は対粉150重量%の油脂組成物を添加して加熱し、充分にα化処理したところで、実施例2の発酵工程以降の工程を同様に行った。
これらの配合を比較のため実施例2と共に表4に纏めた。また実施例9と比較例10で得られたシューケースの外観と内層はそれぞれ図6、図7に示した。
<表4>
単位は重量部、( )内は対粉重量%
実施例9・実地例10双方ともに従来にない外観・内層、そしてその香りに特徴のある、従来にないシューケースではあったが、実地例9は目が詰まり気味で、パンのような食感のシューケースが、そして実地例10はややボリュームが小さいが、ポーラスで横広がりであり、やや油性感強いが軽い食感のシューケースが得られた。
本発明により、極めて平易な方法にて、外観的な生地の暴れを軽減・抑制し、新規な風味や食感、形状、特に内層に従来のシューケースには見られる特徴的な大きい空洞の生じにくいシュー生地やシューケースとその製造法を提供することが可能となった。
実施例2で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 比較例1で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 実施例4で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 実施例5で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 比較例2で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 実施例9で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。 実施例10で得られたシューケースの外観と内層を示す図面代用写真。

Claims (7)

  1. 生地中に配合された全穀粉中の60重量%以上の穀粉がα化処理された状態で発酵工程に供される穀粉生地。
  2. 水分100重量%以上(対粉)、油分20重量%(対粉)以上である請求項1記載の穀粉生地。
  3. 請求項1または請求項2記載の穀粉生地を焼成してなる穀粉焼成物。
  4. 穀粉焼成物がシューケースである請求項3記載の穀粉焼成物。
  5. 生地中に配合された全穀粉中の60重量%以上の穀粉がα化処理された状態で発酵工程に供される穀粉生地の製造法。
  6. 請求項5記載の穀粉生地を焼成してなる穀粉焼成物の製造法。
  7. 請求項1または請求項2記載の発酵工程に供される穀粉生地が、イーストを含有するシュー生地。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015020058A1 (ja) * 2013-08-05 2015-02-12 株式会社ロッテ 菓子およびその製造方法

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WO2015020058A1 (ja) * 2013-08-05 2015-02-12 株式会社ロッテ 菓子およびその製造方法
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