JP2011210738A - 電極用スラリーの製造方法及び電極用スラリーの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 活物質粒子SXと樹脂SYとを含む電極用スラリーSCの製造方法は、攪拌により、活物質粒子と樹脂とを互いに分散させた分散スラリーSCとする攪拌工程と、分散スラリーを貯留部103まで流動させて貯留する流動貯留工程と、を備え、攪拌工程及び流動貯留工程を、分散スラリーが存在することとなる場所PS2の何れにおいても、分散スラリーのスラリー温度TS、及び、この分散スラリーが接する部材110Bの部材温度TTを、この場所PS2の雰囲気PS2Gの露点温度TGよりも高い状態としつつ行う。
【選択図】 図1
Description
このような二次電池に用いる電極の製造において、特許文献1では、活物質(活物質粒子)、導電剤、結着材(樹脂)及び有機溶剤(溶剤)からなるスラリーを湿式混練する際に、水分露点−20℃以下の空気、窒素ガス又は希ガス雰囲気下で行う技術が挙げられている。このような雰囲気下で湿式混練すると、混練時の水分混入による活物質の分解反応の発生を抑制できる。
また、攪拌工程において、活物質粒子と樹脂とを分散させる際に、スラリーの温度が上昇することがある。このようにして、高温になった分散スラリーでは、熱によって樹脂が変質して固化が進行して、電極用スラリーの特性を低下させることがあるなど、分散スラリーを高温のままにしておくのは好ましくない。
これに対し、本発明の電極用スラリーの製造方法では、流動貯留工程が冷却工程を有する。このため、分散スラリーの流通時にこれを冷却することができる。従って、水分の混入のみならず、高温による特性の低下をも防止した電極用スラリーを製造できる。
また、電極スラリーとしては、分散スラリーをそのまま使用しても、さらに、他の物質を加えたり加工を施しても良い。
この知見を基に、上述の電極用スラリーの製造方法では、流動路と露点計との間にバルブを設け、このバルブを介して、流動路に接続した露点計を用い、バルブを閉じて雰囲気露点を計測するので、より安定して雰囲気露点を計測することができる。
また、本発明の電極用スラリーの製造装置では、流動路部材は冷却手段を有している。このため、分散スラリーが流動路部材を流動する際、冷却手段を用いて分散スラリーを冷却することができる。従って、この装置によれば、水分混入を防止するのみならず、高温となることによる特性の低下を防止して、良好な特性の電極用スラリーを製造できる。
次に、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態1にかかる正極板用スラリーSCの製造方法及び正極板用スラリーSCの製造装置100について説明する。なお、正極板用スラリーSCは、正極基板に塗布して乾燥させれば電池の正極板の活物質層を構成する。
この製造装置100は、攪拌タンク102と、第2流動路部材110Bと、ドライエア供給機構150と、露点計測機構140とを備える。また、これらのほかに、供給タンク101と、第1流動路部材110Aと、フィルタ部111と貯留タンク103とを備える。この製造装置100は、第1流動路部材110Aが供給タンク101の下側(図1中、下方)と攪拌タンク102の上側(図1中、上方)との間を接続し、第2流動路部材110Bが攪拌タンク102の下側(図1中、下方)に接続している。そして、第2流動路部材110Bの先端に位置し、図1中、下方に向く流出口110BEの下方に、貯留タンク103を配置している。また、第2流動路部材110Bの途中には、ドライエア供給機構150、露点計測機構140及びフィルタ部111がそれぞれ接続されている。
なお、この製造装置100において、供給タンク101、第1流動路部材110A、攪拌タンク102、第2流動路部材110B、ドライエア供給機構150、露点計測機構140及びフィルタ部111は、閉じた空間(クローズエア)をなしている。
また、管状の第1流動路部材110Aは、その内部に第1流動路PS1を含む(図1参照)。なお、第1流動路部材110Aには液送ポンプ170が配置されており、これを用いて、第1流動路PS1に流動体を流動させることができる。
また、フィルタ部111は、図2に示すように、フィルタケース111Rの内側に、円板メッシュ形状のメッシュフィルタ部111A、円回転しながらメッシュフィルタ部111Aを擦るヘラ状のスクレイパー部111B、及び、スクレイパー部111Bを円回転させる回転軸部111Cを有する。このフィルタ部111は、第2流動路部材110Bのうち、貯留タンク103に流動体を流出する流出口110BEの手前に配置されている。
この第1冷却機構120は、冷媒(図示しない)を送り出すポンプ(図示しない)を含む本体部120Aと、本体部120Aに接続する管状の第1冷媒配管部120B,第2冷媒配管部120Dと、攪拌タンク102の外側を螺旋状に包囲してなる金属管状の螺旋配管部120Cとを含む(図1参照)。冷媒は、本体部120Aから第1冷媒配管部120Bを流れて、螺旋配管部120Cを通過している際に、攪拌タンク102を冷却する。螺旋配管部120Cを通過した冷媒は、第2冷媒配管部120Dを流れて、本体部120Aに戻る。
この第2冷却機構130は、冷媒(図示しない)を送り出すポンプ(図示しない)を含む本体部130Aと、本体部130Aに接続する管状の第1冷媒配管部130B,第2冷媒配管部130Dと、金属からなり、冷媒を内部で循環可能な円筒形状の冷却器130Cとを含む。冷媒は、本体部130Aから第1冷媒配管部130Bを流れて、冷却器130Cを通過している際に、第2流動路部材110Bの螺旋部110BZを冷却する。そして、冷却器130Cを循環した冷媒は、第2冷媒配管部130Dを流れて、本体部130Aに戻る。
具体的に、製造装置100では、雰囲気露点TGに対し、露点の所定値TKを設けている。雰囲気露点TGが所定値TK以下の場合には、第1冷却機構120及び第2冷却機構130を用いたとしても攪拌タンク102のタンク温度TF、及び、第2流動路部材110Bの部材温度TTが雰囲気露点TGよりも低くならないように、所定値TKを決めている。つまり、製造装置100において、(タンク温度TF,部材温度TT)>所定値TK≧雰囲気露点TGが成立する。なお、雰囲気露点TGが、露点の所定値TKよりも高ければ、ドライエア供給機構150を用いて雰囲気露点TGを所定値TK以下にする。
この正極板用スラリーSCの製造方法では、攪拌により、正極活物質SX及び結着材SYを互いに分散させた正極板用スラリーSCとする攪拌工程と、攪拌された正極板用スラリーSCを貯留タンク103まで流動させて、貯留タンク103で貯留する流動貯留工程とを備える。さらに、流動貯留工程に先立ち、正極板用スラリーSCが流通する第2流動路PS2全体に亘ってドライエアDAを流通させ、第2流動路PS2をなす第2流動路部材110Bのうち、正極板用スラリーSCに接する部材内側部110BHを乾燥させる乾燥工程を備える。
第2流動路部材110Bに流入したドライエアDAは、第1分岐部110BPから螺旋部110BZ側(図3中、右方向)、及び、第1分岐部110BPから攪拌タンク102側(図3中、左方向)にそれぞれ流れる。このうち、螺旋部110BZ側に向かって流れるドライエアDAは、第2流動路PS2の螺旋部110BZ及び第2流動路PS2の途中に配置したフィルタ部111を流れて、流出口110BEから外部へ流れ出る。一方、攪拌タンク102側に向かって流れるドライエアDAは、第2流動路PS2を流れた後、攪拌タンク102、及び、第1流動路部材110A内の第1流動路PS1を流れて、供給タンク101から外部へ出る(図1参照)。つまり、ドライエアDAは、第2流動路PS2全体と、攪拌タンク102にタンク内部PST全体とに亘って流通するので、乾燥工程では第2流動路部材110Bの部材内側部110BH及び攪拌タンク102を乾燥させる。
攪拌タンク102のタンク温度TF及び部材内側部110BHの部材温度TTがいずれも所定の温度になったところで、ドライエア供給機構150によるドライエアDAの供給を停止(バルブ153を閉じる)し、乾燥工程を終了させる。
この攪拌工程では、まず、製造装置100の供給タンク101の内部に、溶剤SW、粒子形状の正極活物質SX、溶剤SWに溶解した樹脂からなる結着材SY、及び、アセチレンブラックからなる導電助材SZを含む処理前スラリーSBを収容させる。このうち、溶剤SWはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなり、正極活物質SXはLiNiO2からなり、結着材SYはポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。
なお、これらの重量比を、正極活物質SX:結着材SY:導電助材SZ=93:4:3とした。
なお、本実施形態1の正極板用スラリーSCは、攪拌の際、大きな剪断力を攪拌はね102Wから受けたことによって昇温してしまう。しかし、攪拌工程前及び攪拌工程中に、第1冷却機構120によって、攪拌タンク102自身が冷却されるので、正極板用スラリーSCを、例えば、結着材21Yの融点にまで昇温するのを防止する。
攪拌タンク102でできた正極板用スラリーSCは、第1流動路部材110Aから新たに収容される処理前スラリーSBに押し出されるようにして、第2流動路部材110Bの第2流動路PS2に流れ込む。
具体的には、正極板用スラリーSCを第2流動路部材110Bの第2流動路PS2を流動させる。そして、第2流動路部材110Bの流出口110BEから流出する正極板用スラリーSCを、貯留タンク103に収容し貯留する。
また、第2流動路部材110Bの螺旋部110BZでは、正極板用スラリーSCの流動前及び流動中に、第2冷却機構130によって、螺旋部110BZの部材内側部110BHが冷却されているので、正極板用スラリーSCをさらに冷却することができる。
また、貯留タンク103では、攪拌はね103Wを回転させて、貯留した正極板用スラリーSCの凝結を防ぐ。
例えば、実施形態1では、正極板用スラリーSCを製造する製造装置100について示したが、正極板用スラリーに限らず、負極板用スラリーを製造する製造装置としても良い。また、製造装置100のうち供給タンク101から第2流動路部材110Bまでの間をクローズエアにして、流動貯留工程における分散スラリー(電極用スラリー)を外気に触れないようにした。しかし、例えば、製造装置を、分散スラリーが外気(室内の空気)に触れるような形態(例えば、管状の第2流動路部材110Bに外気が流入する形態や第2流動路部材110Bの上方が開いた形態)にして、流動貯留工程において分散スラリーが外気に触れても良い。
また、電極用スラリーを、攪拌工程でできた分散スラリーをそのまま使用したが、分散スラリーに、さらに他の物質を加えたり加工を施しても良い。
102 攪拌タンク(攪拌手段)
103 貯留タンク(貯留部)
110B 第2流動路部材(部材,流動路部材)
110BH 部材内側部(部位)
130 第2冷却機構(冷却手段)
141 露点計
143 バルブ
150 ドライエア供給機構(ドライエア流通手段)
DA ドライエア
PS2 第2流動路(場所,流動路)
PS2G 流動路内雰囲気(雰囲気)
PST タンク内流路(場所)
SC 正極板用スラリー(分散スラリー,電極用スラリー)
SB 処理前スラリー
SW 溶剤
SX 正極活物質(活物質粒子)
SY 結着材(樹脂)
TF タンク温度(部材温度)
TG 雰囲気露点
TK 所定値
TS スラリー温度
TT 部材温度
Claims (10)
- 溶剤と活物質粒子と上記溶剤に溶解した樹脂とを含む電極用スラリーの製造方法であって、
攪拌により、上記活物質粒子と上記樹脂とを互いに分散させた分散スラリーとする攪拌工程と、
攪拌された上記分散スラリーを貯留部まで流動させて、上記貯留部で貯留する流動貯留工程と、を備え、
上記攪拌工程及び上記流動貯留工程を、
上記分散スラリーが存在することとなる場所の何れにおいても、当該場所における上記分散スラリーのスラリー温度、及び、この分散スラリーが接する部材の部材温度を、この場所において分散スラリーに接する雰囲気の露点温度よりも高い状態としつつ行う
電極用スラリーの製造方法。 - 請求項1に記載の電極用スラリーの製造方法であって、
前記流動貯留工程は、
前記分散スラリーを流動させつつ冷却する冷却工程を含む
電極用スラリーの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の電極用スラリーの製造方法であって、
前記流動貯留工程に先立って、前記分散スラリーが流動する流動路全体に亘ってドライエアを流通させて、上記流動路をなす部材のうち、少なくとも上記分散スラリーに接する部位を乾燥させる乾燥工程を備える
電極用スラリーの製造方法。 - 請求項3に記載の電極用スラリーの製造方法であって、
前記乾燥工程は、
前記流動路内に位置する流動路内雰囲気の雰囲気露点温度が、所定値以下となるまで、前記ドライエアを流通させる
電極用スラリーの製造方法。 - 請求項4に記載の電極用スラリーの製造方法であって、
前記乾燥工程は、
前記流動路内雰囲気の流通を開閉するバルブを介して、前記流動路に接続された露点計により、上記バルブを閉じて前記雰囲気露点温度を計測する
電極用スラリーの製造方法。 - 溶剤と活物質粒子と上記溶剤に溶解した樹脂とを含む電極用スラリーの製造装置であって、
上記溶剤、上記活物質粒子及び上記樹脂を含む処理前スラリーを攪拌して、上記活物質粒子と上記樹脂とを分散させた分散スラリーを形成する攪拌手段と、
上記分散スラリーを流動させて上記攪拌手段から貯留部まで導く流動路をなす流動路部材と、を備え、
上記攪拌手段及び上記流動路部材は、
上記分散スラリーが存在することとなる場所の何れにおいても、当該場所における上記分散スラリーのスラリー温度及び、この分散スラリーが接する部材の部材温度を、この場所において分散スラリーに接する雰囲気の露点温度よりも高い状態としてなる
電極用スラリーの製造装置。 - 請求項6に記載の電極用スラリーの製造装置であって、
前記流動路部材は、
前記分散スラリーを流動させつつ冷却する冷却手段を有する
電極用スラリーの製造装置。 - 請求項6又は請求項7に記載の電極用スラリーの製造装置であって、
前記流動路全体に亘って、ドライエアを流通させるドライエア流通手段を備える
電極用スラリーの製造装置。 - 請求項8に記載の電極用スラリーの製造装置であって、
前記流動路内に位置する流動路内雰囲気の雰囲気露点温度を計測する露点計を備える
電極用スラリーの製造装置。 - 請求項9に記載の電極用スラリーの製造装置であって、
前記露点計は、
前記流動路内雰囲気の流通を開閉するバルブを介して、前記流動路に接続されてなる
電極用スラリーの製造装置。
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