JP2011210423A - 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池のガスシール層20、41の材料として、薄片状粒子が層状に重なりあった層状構造を有するフェロケイ酸塩鉱物を用いるので、他の結晶構造の材料と比較しガスシール性に優れている。特に、ガスシール層20、41として、第2シール層94の平均フレーク径を第1シール層92及び第3フレーク層96の平均フレーク径より大きく設定している。これにより、第2シール層94では、径の大きな薄片状粒子同士が絡み合うことにより形状安定性を確保できるとともに、第1シール層92及び第3シール層96では、表面の凹凸が小さくなるので、十分なガスシール性を確保することができる。よって、コンプレッションシールを行う際の形状安定性とガスシール性とを両立させることができる。
【選択図】図3
Description
ところが、ガラスの軟化点は、固体酸化物形燃料電池の一般的な使用温度の800〜1000℃と近いため、運転中にガラスの流動性が発生し、形状維持することが困難である。そのため、セラミックス粉末やガラス繊維をガラスに混合して形状保持性を確保する検討がなされている(特許文献2参照)。また、運転温度が高いため、起動、停止の際にガラスが割れやすいことも問題である。この対策として、セラミックス粉末とガラス繊維を含有するガラスシートを形成し、ガスシールをする技術が提案されている(特許文献3参照)。
本発明で、第2シール層の薄片状粒子(フレーク状粒子)の平均フレーク径を第1シール層及び第3シール層の薄片状粒子の平均フレーク径より大きくしたのは、平均フレーク径が大きい方が各薄片状粒子の重なりが大きくなり、曲げ方向への変形に強くなるためである。これにより、例えばシール面が波型構造となっている場合、同じ形状の波型構造を有する金属板同士でコンプレッションシール材を加圧しシールすることも可能となる。一方、第1シール層及び第3シール層の薄片状粒子の平均フレーク径は(第2シール層より)小さいので、シール層の表面の凹凸が小さくなり、シール性が向上する。
(2)本発明では、請求項2に記載の様に、第2シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク径を5μmを上回り500μm以下とすることが好ましい。
これにより、第1シール層及び第3シール層の表面が滑らかになり、ガスシール性が向上する。
この範囲の場合には、ガスシール性を効果的に向上できるからである。具体的には、両シール層の厚みが0.05mm未満の場合には、例えば第2シール層の表面の凸凹が第1シール層及び第3シール層に影響し、第1シール層及び第3シール層によるシール性の補完が十分でないことがあるからである。一方、両シール層の厚みが0.5mmを上回る場合には、両シール層の変形に対してひび割れなどが発生し、コンプレッションシールが難しくなることがあるためである。
これは、第2シール層の厚みが0.3mm未満の場合には、コンプレッションシールを行う際、第2シール層の弾性変形量が小さく十分なガスシール特性を得られないことがあるからである。一方、第2シール層の厚みが2.0mmを上回る場合には、コンプレッションシールにおける収縮量が過剰であり、逆に燃料電池を組み立てる際に寸法精度を不安定とする要因となりうるからである。また、コンプレッションシール材の粒子間を透過する僅かなガスが累積するため、総合的にガスシール性が悪くなってしまう可能性があるからである。
これは、層状結晶の面を重ね合わせた配列がされている方が、第2シール層中の隙間が少なくなることによりガスシール性が良好となるためであり、荷重をかけても組織が壊れにくくシール性が維持できるためである。
これは、層状結晶の面を重ね合わせた配列がされている方が、両シール層中の隙間が少なくなることによりガスシール性が良好となるためであり、荷重をかけても組織が壊れにくくシール性が維持できるためである。
これらの元素は、燃料電池の運転環境における燃料極側の還元状態においても、空気極側の酸化状態においても、安定して存在可能な元素であり、酸化物としての融点が高く安定なためである。
燃料電池運転時に加熱した際、各部材の熱膨張率差によりシール界面にわずかな隙間が生じる事が予想されるが、本発明では、第2シール層の弾性によりガスシール層が膨らみ、その隙間を補って埋める効果を発揮する。
[第1実施形態]
a)まず、本実施形態の固体酸化物形燃料電池について、図1に基づいて説明する。
図2に示すように、単セル1のセル本体7は、金属製の枠状のセパレータ8に取り付けられており、セパレータ8の中央には貫通窓10が形成されている。貫通窓10は、空気極6よりも大きく、固体酸化物体2よりも小さく形成されており、空気極6が貫通窓10を通して臨むように、セル本体7にセパレータ8が積層して配置されている(ここでは、セル本体7の表面の周囲にセパレータ8が接合されている)。なお、セパレータ8には、その周囲に等間隔で取付孔12が(例えば8個)貫通形成されている。
また、インターコネクタ板26の内側面(図3下方)に、流入溝32と流出溝34とが形成されている。この流入溝32と流出溝34とは、インターコネクタ板26のガスシール層20側の平坦面が溝状に窪まされて、取付孔28と空気極フレーム14の中抜き孔16とが連通されるように形成されたものである。
また、インターコネクタ板46の内側面(図2上方)に、流入溝52と流出溝54とが形成されている。この流入溝52と流出溝54とは、インターコネクタ板46のガスシール層41側の平坦面が溝状に窪まされて、取付孔48と燃料極フレーム38の中抜き孔36とが連通されるように形成されている。
また、燃料ガスの流れ方向では、集電体50と封止部材70との間に、流入溝52側に流入室74(図1参照)が、流出溝54側に流出室76(図1参照)が形成されるように、収納孔73が形成されている。
なお、ガスシール層20、41は、同じ構造であるので、以下ではガスシール層20を例に挙げて説明する。
単セル1の空気極6側のインターコネクタ板26の流入溝32に連通する各取付孔28,24,18,12,40,44,48には、酸化剤ガスが供給されて、流入溝32から流入室64に流入する。
そして、空気極6に接して流れた酸化剤ガスは、酸素が電子と反応して酸素イオンになり、生成された酸素イオンが固体酸化物体2に移動し、固体酸化物体2の酸素空孔と位置を交換しながら燃料極4側に移動する。空気のうち、酸素が消費された酸化剤ガスは流出室66から流出溝34を通り、排出される。
一方、燃料極4側のインターコネクタ板46の流入溝52に連通する各取付孔28,24,18,12,40,44,48には、燃料ガスが供給されて、流入溝52から流入室74に流入する。
そして、流入室74から燃料極4に供給され、燃料極4に供給された燃料ガスは、本実施形態では燃料ガスとして用いた水素が酸素イオンと反応して水蒸気と電子を生成する。水素が消費され、生成された水蒸気が燃料ガスに混じり合いながら、流出室76及び流出溝54から、排出される。
これにより、燃料ガス及び空気を用いて単セル1にて発電が行われ、単セル1を複数積層した燃料電池スタックにおいては、各単セル1間に配置されたインターコネクタ26、46を介して外部に電気が取り出される。
本実施形態では、第2シール層94の材料として、市販されている0.3mm厚のマイカシートを用いた。このマイカシートを構成する(層状結晶からなる)薄片状粒子の平均フレーク径は、100μmである。
次に、第1シール層92と第3シール層96を形成するために、ペースト化したバーミキュライトを、マイカシートの両面に(それぞれ厚さ0.1mmで)印刷し、乾燥して、3層構造のコンプレッションシール材を作製した。
e)この様に、本実施形態では、固体酸化物形燃料電池のガスシール層(コンプレッションシール材)20、41の材料として、薄片状粒子が層状に重なりあった層状構造を有するフェロケイ酸塩鉱物を用いるので、他の結晶構造の材料と比較しガスシール性に優れている。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
まず、100μmの粒子径(平均フレーク径)のマイカ粉末に、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤、可塑剤を適量添加し、エタノールとトルエンを溶媒とし、スラリーとした。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法によりシートを形成して、第2シール層となる厚さ0.5mmのシート成形体(マイカシート)を得た。
この実験に使用する試料として、下記表1に示す様に、異なる特性を有するフェロケイ酸塩鉱物系のコンプレッションシール材料を集め、その形状安定性(実験例1)及びガスシール性(実験例2)について調査した。
<実験例1>
本実験例は、シール材(ガスシール層)の形状安定性を調べたものである。
<実験例2>
本実験は、シール材(ガスシール層)のシール性を調べたものである
本実験例では、図6に示すような治具を作製し、シール性の確認を行った。
また、第3金属フレーム114に設けられた穴120は、図示しないHeリークディテクタに接続した。このHeリークディテクタは、真空ポンプで吸引しながら、装置内部に導入されてくるHeガスの濃度を検知する構造となっている。
具体的には、比較例1は、(第2シール層のみの)1層構造のコンプレッションシール材を用いたものである。この比較例1は、形状安定性に優れるものの、実施例1〜10に比べて、Heガス検出量が大きく、ガスシール性が劣っていることが分かる。
実施例15は、第1シール層及び第3シール層に細かい粒子(フレーク径が0.1μmで、フレーク厚さが5nm未満)のコンプレッションシール材を用いたものである。この例では、ガスシール性は良好であるものの、形状安定性評価において、表面に微小なひび割れが発生した。これは、粒子が細かい時、第1シール層及び第3シール層を形成するために作製したスラリーが不安定であり、各シール層形成段階で、内部に欠陥が発生していたことなどが考えられる。
例えば、第1シール層と第3シール層とは、同一の構成でも良いし、異なる構成(例えば異なる材質)でも構わない。
8…セパレータ
14…空気極フレーム
20、41…ガスシール層
26、46…インターコネクタ板
38…燃料極フレーム
92…第1シール層
94…第2シール層
96…第3シール層
Claims (14)
- 固体酸化物形燃料電池の各構成部材間に配置されて圧着型のガスシールを行うためのガスシール層を備えた固体酸化物形燃料電池において、
前記ガスシール層は、薄片状粒子からなるフェロケイ酸塩鉱物を主成分とするとともに、前記各構成部材と接触する第1シール層及び第3シール層と、該第1シール層及び第3シール層に挟まれた第2シール層との3層以上からなり、
更に前記第2シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク径は、前記第1シール層及び第3シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク径より大であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。 - 前記第2シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク径が5μmを上回り500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第1シール層及び第3シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク厚さは、5nm以上100nm以下であり、且つ、第2シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク厚さより小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第1シール層及び第3シール層を構成する薄片状粒子の平均フレーク径が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第1シール層及び第3シール層の厚さが0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第2シール層の厚さが0.3mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第2シール層を構成する薄片状粒子の層状結晶は、面を重ねあわせるように配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第1シール層及び第3シール層を構成する薄片状粒子の層状結晶は、面を重ね合わせるように配列されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記ガスシール層を構成する前記各シール層は、Si、Al、Ca、Mgのうち少なくとも1元素を含んでいることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記ガスシール層を構成する前記各シール層は、400℃以上で運転された場合に、ガラス相が10体積%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記ガスシール層を構成する前記各シール層が、酸素分圧10-15Pa〜0.15atmの環境下において、1MΩcm以上の比抵抗値を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第2シール層が100GPa以上の弾性率をもつ材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
前記第2シール層の両面に、スクリーン印刷によって第1シール層及び第3シール層を形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。 - 前記請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
前記各シール層をテープキャスティングにより作製し、その後積層することによって前記ガスシール層を形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
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