JP2011209606A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも光感度を向上させた電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、前記感光層が、下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体を用いる。
【化1】
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示し、p及びqはp+q≦4を満たす0〜4の整数を示し、rは0〜4の整数を示す。尚、p≧2において、各R1は同一であっても異なっていてもよい。q≧2において、各R2は同一であっても異なっていてもよい。r≧2において、各R3は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
【選択図】なし
【解決手段】導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、前記感光層が、下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体を用いる。
【化1】
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示し、p及びqはp+q≦4を満たす0〜4の整数を示し、rは0〜4の整数を示す。尚、p≧2において、各R1は同一であっても異なっていてもよい。q≧2において、各R2は同一であっても異なっていてもよい。r≧2において、各R3は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば静電式複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感光体に関する。
カールソンプロセスを用いた画像形成装置の電子写真感光体には、有機材料を感光層に用いた有機感光体と、セレン等の無機材料を感光層に用いた無機感光体とがある。有機感光体は、無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で構造設計の自由度が高いので、広範な研究が進められている。
有機感光体に含有される電荷輸送剤としての電子輸送剤には、ジフェノキノン誘導体やベンゾキノン誘導体が一般に用いられている。しかしながら、これら化合物は、電荷移動度が低く光感度が不十分につき、下記化学式(14)で表されるケトン誘導体を電子輸送剤として使用することが提案されている。化学式(14)において“t−Bu”はt−ブチル基を表す。
特許文献1に記載された化学式(14)で表されるケトン誘導体は、キノイドの一方の環外二重結合がベンゼン環に直接連結してπ電子共役平面を形成することにより、後述する実施例に記載の光感度試験において、164〜168Vの光感度を示す。しかしながら、次世代の画像形成装置として、より解像度の高い画像が形成できるものが求められており、これを実現するには、電子写真感光体での電荷移動度及びその光感度をさらに向上させた電子輸送剤が必要となる。
本発明は、従来よりも光感度を向上させた電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記化学式(14)で表されるケトン誘導体において、ベンゼン環に代えて電子密度の高いアントラセン環を配置すれば、π電子共役平面がより広がって電子受容性を高めることができるであろうと考えた。そして、キノイドの一方の環外二重結合がアントリル基の9位に直接又は共役二重結合を介して連結したアントラセン誘導体を合成し、これを電子輸送剤として用いたところ、上記化学式(14)で表されるケトン誘導体を用いた場合に比べて、電子写真感光体の光感度が格段に向上することを見出した。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、前記感光層が、下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体である。
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示し、p及びqはp+q≦4を満たす0〜4の整数を示し、rは0〜4の整数を示す。尚、p≧2において、各R1は同一であっても異なっていてもよい。q≧2において、各R2は同一であっても異なっていてもよい。r≧2において、各R3は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
感光層が含有する一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、p−キノイドの一方の環外二重結合と、電子密度の高いアントリル基とが、直接又は共役二重結合を介して連結している。そのため、キノイドの一方の環外二重結合とベンゼン環とが直接連結した化学式(14)で表されるケトン誘導体と比べて、π電子共役平面が大幅に広がっており、分子全体の電子受容性も格段に高まっている。
従って、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する感光層は、低電界での電子輸送性が高くなり、層中で電子と正孔とが再結合する割合が減少し、見かけの電荷発生効率がさらに実際の値に近づくので、電子写真感光体は光感度がより向上する。
前記電子写真感光体において、前記感光層は単層型であることが好ましい。単層構造の感光層中に分散している一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、電子及び正孔の輸送を阻害したり、感光層中の正孔輸送剤との相互作用を生じたりしないため、光感度がさらに向上した電子写真感光体となる。
本発明の電子写真感光体によれば、感光層が含有する前記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は高い電子輸送能を有するので、残留電位が効果的に低下し、高い光感度を発揮することができる。
そして、本発明の電子写真感光体において、感光層を単層型に特定することにより、感光層の構成が簡単で製造が容易になり、皮膜欠陥の発生を抑制でき、しかも光学的特性を向上させることができる。
以下、本発明に係る電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、前記感光層が、前記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体である。
[導電性基体]
上記導電性基体としては、導電性を有する種々の材料が使用され、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ又は酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
上記導電性基体としては、導電性を有する種々の材料が使用され、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ又は酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
この導電性基体はシート状、ドラム状等の何れの形態であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。又、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが望ましい。
[アントラセン誘導体]
次に、感光層に含有される一般式(1)で表されるアントラセン誘導体について説明する。
次に、感光層に含有される一般式(1)で表されるアントラセン誘導体について説明する。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、官能基R1及び/又はR2を有してもよいアントリル基と、官能基R3を有してもよいp−キノイドの4位の環外二重結合とが、直接又は共役二重結合を介して連結した化合物である。
即ち、一般式(1)中のnが0の場合には、下記一般式(1−1)で表されるように、アントリル基の9位の炭素原子と、p−キノイドの4位で環外二重結合している炭素原子とが直接連結している。
一般式(1)中のnが1の場合には、下記一般式(1−2)で表されるように、アントリル基の9位の炭素原子と、p−キノイドの4位で環外二重結合している炭素原子とが1つの共役二重結合を介して連結している。
一般式(1)中のnが2の場合には、下記一般式(1−3)で表されるように、アントリル基の9位の炭素原子と、p−キノイドの4位で環外二重結合している炭素原子とが2つの共役二重結合を介して連結している。
一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基の中から適宜選択されるものである。そして、R1の個数を表すp及びR2の個数を表すqは、それぞれ0〜4の何れかであるとともに、p+q≦4を満たす整数である。即ち、アントリル基中の一方のベンゼン環にR1を0〜4個、他方のベンゼン環にR2を0〜4個配置することができるが、各ベンゼン環にR1及びR2が配置される場合には合計で4個まで配置することができる。一方、R3の個数を表すrは0〜4の何れかの整数である。R1の個数が2個以上の場合には、各R1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2の個数が2個以上の場合には、各R2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。そして、R3の個数が2個以上の場合には、各R3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
R1、R2及びR3は同一又は異なる基である。即ち、R1、R2及びR3は、全てが同一であってもよいし、いずれか2つ(p≧2、q≧2又はr≧2の場合は、各R1、各R2及び各R3のうちのいずれか2つ以上)が同一であってもよいし、全てが異なっていてもよい。
尚、R1、R2及びR3において、それぞれ独立して、少なくとも1つの水素原子が後述の置換基に置換されていてもよい。
炭素数1〜8のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
炭素数6〜18のアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。
炭素数7〜18のアラルキル基として、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、7−フェニルヘプチル基、8−フェニルオクチル基、9−フェニルノニル基、10−フェニルデシル基、11−フェニルドデシル基、12−フェニルウンデシル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、ナフチルペンチル基、ナフチルヘキシル基、ナフチルヘプチル基、ナフチルオクチル基、アントリルエチル基、アントリルプロピル基、アントリルブチル基等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルキル基として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
R1、R2又はR3中の水素原子が置換されている場合、当該水素原子が置換された置換基として、例えば、ハロゲン基、アシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基等が挙げられる。
極性有機溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数4〜8の長鎖アルキル基であることが好ましい。長鎖アルキル基がアントラセン環やキノイドに対して回転することで極性有機溶媒との高い相溶性を示すからである。
(アントラセン誘導体の合成方法)
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(1−1)で表されるアントラセン誘導体(n=0の場合)は、下記反応式(1)に沿って合成することができる。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(1−1)で表されるアントラセン誘導体(n=0の場合)は、下記反応式(1)に沿って合成することができる。
具体的には、まず、式(2)で表される化合物1モル量と、式(3)で表される化合物1モル量とをグリニャール(Grignard)反応させることにより、式(4)で表される第一中間化合物1モル量を合成する。そして、式(4)で表される第一中間化合物1モル量を三臭化ホウ素の存在下で脱保護し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)で酸化させる。これにより、式(1−1)で表されるアントラセン誘導体1モル量を合成することができる。尚、反応式(1)において“Me”はメチル基を表す。
又、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(1−2)で表されるアントラセン誘導体(n=1の場合)は、下記反応式(2)に沿って合成することができる。
具体的には、まず、式(5)で表される化合物1モル量と、式(6)で表される化合物1モル量とをグリニャール反応させることにより、式(7)で表される第二中間化合物1モル量を合成する。次に、式(7)で表される第二中間化合物1モル量を濃硫酸の存在下で脱水反応させることにより、式(8)で表される第三中間化合物1モル量を合成する。さらに、式(8)で表される第三中間化合物1モル量を三臭化ホウ素の存在下で脱保護し、DDQで酸化させる。これにより、式(1−2)で表されるアントラセン誘導体1モル量を合成することができる。尚、反応式(2)において“Me”はメチル基を表す。
そして、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体のうち、一般式(1−3)で表されるアントラセン誘導体(n=2の場合)は、下記反応式(3)に沿って合成することができる。
具体的には、まず、式(9)で表される化合物1モル量と、式(6)で表される化合物1モル量とをグリニャール反応させることにより、式(10)で表される第四中間化合物1モル量を合成する。次に、式(10)で表される第四中間化合物1モル量を濃硫酸の存在下で脱水反応させることにより、式(11)で表される第五中間化合物1モル量を合成する。そして、式(11)で表される第五中間化合物1モル量を三臭化ホウ素の存在下で脱保護し、DDQで酸化させる。これにより、式(1−3)で表されるアントラセン誘導体1モル量を合成することができる。尚、反応式(3)において“Me”はメチル基を表す。
(具体例)
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の具体例として、n=0の場合には例えば下記の化学式(1−1a)で表される化合物が、n=1の場合には例えば下記の化学式(1−2a)で表される化合物が、n=2の場合には例えば下記の化学式(1−3a)で表される化合物が、それぞれ挙げられる。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の具体例として、n=0の場合には例えば下記の化学式(1−1a)で表される化合物が、n=1の場合には例えば下記の化学式(1−2a)で表される化合物が、n=2の場合には例えば下記の化学式(1−3a)で表される化合物が、それぞれ挙げられる。
この化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、p=0、q=0、r=0及びn=0であるアントラセン誘導体である。分子量は282.3である。
この化学式(1−2a)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、p=0、q=0、r=0及びn=1であるアントラセン誘導体である。分子量は308.4である。
この化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、p=1、q=0、r=0及びn=2であるアントラセン誘導体である。分子量は334.4である。
[感光層の構成]
本発明の電子写真感光体において、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する感光層は、直接又は下引き層を介して導電性基体上に設けられている。感光層には単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明では何れの感光層であってもよい。但し、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の使用による効果は、単層型で顕著に現れる。
本発明の電子写真感光体において、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する感光層は、直接又は下引き層を介して導電性基体上に設けられている。感光層には単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明では何れの感光層であってもよい。但し、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の使用による効果は、単層型で顕著に現れる。
前記単層型の電子写真感光体は、導電性基体上に電荷発生剤と電荷輸送剤とを一つの層中に混在させてなる感光層を設けたものであって、この感光層が、少なくとも、電荷発生剤、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含む電子輸送剤、及び結着樹脂の分散状態にある単層構造のものである。この感光層には、さらに正孔輸送剤が含有される。この単層型感光体は正帯電及び負帯電の何れにも適用可能であるが、特に正帯電型で使用するのが好ましい。例えば図1(a)に示すように、単層型電子写真感光体10として、導電性基体12の表面に感光層14を形成したものがある。
一方、積層型電子写真感光体は、導電性基体上に少なくとも電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)及び電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)を設けたものであって、前記電荷輸送層に電子輸送剤として一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有するものである。積層型電子写真感光体20として、例えば、図2(a)に示すように、導電性基体12上に電荷発生層24及び電荷輸送層22をこの順に設けたものや、図2(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22及び電荷発生層24をこの順に設けたものがある。本発明の積層型電子写真感光体は、従来の積層型電子写真感光体に比べて残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。又、電荷発生層から電荷輸送層への電子の授受をより円滑に行わせるために、電荷発生層にも一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有させることが好ましい。
電子写真感光体には、電子輸送剤として、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体とともに、種々の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。一般式(1)で表されるアントラセン誘導体以外の電子輸送剤を含有させたことによる電子写真感光体の光感度の低下を極力抑える観点から、高い電子輸送能を有する電子輸送剤を用いることが好ましい。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体以外の電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物等のキノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、2,4, 8−トリニトロチオキサントン、3, 4, 5, 7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン等が挙げられる。
[電荷発生剤]
電荷発生剤としては、例えば、下記化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、下記化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等が挙げられる。
電荷発生剤としては、例えば、下記化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、下記化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等が挙げられる。
例示した電荷発生剤のほかに、例えばセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光導電材料の粉末や、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の従来公知の電荷発生剤を用いてもよい。
電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。さらに、電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニンやオキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。尚、上記フタロシアニン系顔料の結晶形については特に限定されず、種々のものが使用される。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
[正孔輸送剤]
正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えばベンジジン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が用いられる。これらのうち、ベンジジン誘導体としては、下記化学式(13)で表される化合物が挙げられる。化学式(13)において、“Me”はメチル基を表す。
正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えばベンジジン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が用いられる。これらのうち、ベンジジン誘導体としては、下記化学式(13)で表される化合物が挙げられる。化学式(13)において、“Me”はメチル基を表す。
これら正孔輸送剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。又、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
[結着樹脂]
上述の各成分を分散させるための結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート樹脂、ウレタン−アクリレート共重合樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上が混合して用いられる。これらのうち、好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
上述の各成分を分散させるための結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート樹脂、ウレタン−アクリレート共重合樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上が混合して用いられる。これらのうち、好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
[電子写真感光体の製造方法]
次に、電子写真感光体の製造方法について説明する。
次に、電子写真感光体の製造方法について説明する。
単層型の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を少なくとも含む電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結着樹脂等と共に適当な溶剤に溶解又は分散した塗布液を、塗布等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥させることにより製造される。
単層型感光体においては、結着樹脂100質量部に対して電荷発生剤は好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の割合で配合され、電子輸送剤は好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部の割合で配合される。又、結着樹脂100質量部に対して正孔輸送剤は好ましくは5〜500質量部、さらに好ましくは25〜200質量部の割合で配合される。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは20〜500質量部、さらに好ましくは30〜200質量部である。単層型の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物の含有量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であることが望ましく、0.5〜20質量部であることがより望ましい。
又、単層型の感光層の厚さは好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
積層型の電子写真感光体を得るには、まず導電性基体上に、蒸着又は塗布等の手段によって電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成する。次いで、この電荷発生層上に、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を少なくとも含む電子輸送剤と、結着樹脂とを含有する塗布液を塗布等の手段によって塗布し、乾燥させることにより電荷輸送層を形成する。
積層型感光体においては、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100質量部に対して電荷発生剤を好ましくは5〜1000質量部、さらに好ましくは30〜500質量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部で配合するのが適当である。又、電荷発生層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜50質量部、さらに好ましくは1〜40質量部で配合するのが適当である。
電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲及び結晶化しない範囲で種々の割合で配合することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100質量部に対して電子輸送剤を好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは25〜100質量部の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部で配合するのが適当である。
又、積層型の感光層の厚さは、電荷発生層が望ましくは0.01〜5μm程度、さらに望ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が望ましくは2〜100μm、さらに望ましくは5〜50μm程度である。
尚、単層型感光体にあっては、図1(a)に示す構成以外に、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されていてもよいし、図1(c)に示すように、感光体層14の表面には、保護層18が形成されていてもよい。又、中間層と保護層の両方が形成されていてもよい。一方、積層型感光体にあっては、図2(a)に示す構成及び図2(b)に示す構成以外に、図2(c)に示すように、導電性基体12と電荷発生層24との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されていてもよいし、図2(d)に示すように、電荷発生層24と電荷輸送層22との間に中間層16が形成されていてもよいし、図2(e)に示すように、導電性基体12と電荷輸送層22との間に中間層16が形成されていてもよいし、図2(f)に示すように、電荷輸送層22と電荷発生24との間に中間層16が形成されていてもよい。又、積層型感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
単層型及び積層型の各感光層には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。又、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
導電性基体上に形成される感光層は、前記した各成分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。即ち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して塗布液を調製し、これを常法より塗布、乾燥すればよい。
塗布液を調製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[アントラセン誘導体の合成]
(合成例1)
化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体の合成を下記反応式(1a)に沿って次のように行った。
(合成例1)
化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体の合成を下記反応式(1a)に沿って次のように行った。
まず、グリニャール試薬として調製した化学式(3−1)で表される化合物を0.01mol含有するエーテル溶液に、化学式(2−1)で表される化合物(9,10−ジヒドロアントラセン−9−オン)0.01molを加えて、窒素気流下50℃において3時間撹拌還流して、1−1)に示すグリニャール反応を行った。還流後、溶液を室温になるまで放冷した。そして、この溶液に濃塩酸水を加えて、20℃において2時間撹拌した。撹拌後、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(4−1)で表される第一中間化合物7mmolを得た。収率は70%であった。
次に、化学式(4−1)で表される第一中間化合物を4mmol含有するクロロホルム溶液に三臭化ホウ素を5mmol滴下し、窒素雰囲気下20℃にて2時間撹拌して脱保護反応を行った。撹拌後、この溶液に水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出して、粗精製物を得た。この粗精製物を含有するクロロホルム溶液に、DDQを5mmol加えて窒素雰囲気下60℃にて5時間撹拌して酸化反応を行った。撹拌後、得られた反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(1−1a)で表される化合物2mmolを得た。収率は50%であった。
尚、反応式(1a)において“Me”はメチル基を表す。又、化学式(2−1)で表される化合物の分子量は194.2であり、化学式(3−1)で表される化合物の分子量は225.4であり、化学式(4−1)で表される化合物の分子量は298.4である。
(合成例2)
化学式(1−2a)で表されるアントラセン誘導体の合成を、下記反応式(2a)に沿って次のように行った。
化学式(1−2a)で表されるアントラセン誘導体の合成を、下記反応式(2a)に沿って次のように行った。
まず、グリニャール試薬として調製した化学式(6−1)で表される化合物を0.01mol含有するエーテル溶液に、化学式(5−1)で表される化合物(9−ホルミルアントラセン)0.01molを加えて、窒素気流下50℃において3時間撹拌還流して、2−1)に示すグリニャール反応を行った。還流後、溶液を室温になるまで放冷した。そして、この溶液に塩酸水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(7−1)で表される第二中間化合物7mmolを得た。収率は70%であった。
次に、化学式(7−1)で表される第二中間化合物を5mmol含有するクロロホルム溶液に濃硫酸を数滴滴下し、窒素雰囲気下20℃にて2時間撹拌して2−2)に示す脱水反応を行った。撹拌後、この溶液に水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(8−1)で表される第三中間化合物4mmolを得た。収率は80%であった。
そして、化学式(8−1)で表される第三中間化合物を4mmol含有するクロロホルム溶液に三臭化ホウ素を5mmol滴下し、窒素雰囲気下20℃にて2時間撹拌して脱保護反応を行った。撹拌後、この溶液に水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出して、粗精製物を得た。この粗精製物を含有するクロロホルム溶液に、DDQを5mmol加えて窒素雰囲気下60℃にて5時間撹拌して酸化反応を行った。撹拌後、得られた反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(1−2a)で表される化合物2.4mmolを得た。収率は60%であった。
尚、反応式(2a)において“Me”はメチル基を表す。又、化学式(5−1)で表される化合物の分子量は206.2であり、化学式(6−1)で表される化合物の分子量は239.4であり、化学式(7−1)で表される化合物の分子量は342.4であり、化学式(8−1)で表される化合物の分子量は324.4である。
(合成例3)
化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体の合成を、下記反応式(3a)に沿って次のように行った。
化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体の合成を、下記反応式(3a)に沿って次のように行った。
まず、グリニャール試薬として調製した化学式(6−1)で表される化合物を0.01mol含有するエーテル溶液に、化学式(9−1)で表される化合物0.01molを加えて、窒素気流下50℃において3時間撹拌還流して、3−1)に示すグリニャール反応を行った。還流後、溶液を室温になるまで放冷した。そして、この溶液に塩酸水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(10−1)で表される第四中間化合物5mmolを得た。収率は50%であった。
次に、化学式(10−1)で表される第四中間化合物を5mmol含有するクロロホルム溶液に濃硫酸を数滴滴下し、窒素雰囲気下20℃にて2時間撹拌して3−2)に示す脱水反応を行った。撹拌後、この溶液に水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(11−1)で表される第五中間化合物3mmolを得た。収率は60%であった。
そして、化学式(11−1)で表される第五中間化合物を4mmol含有するクロロホルム溶液に三臭化ホウ素を5mmol滴下し、窒素雰囲気下20℃にて2時間撹拌して脱保護反応を行った。撹拌後、この溶液に水を加えて、得られた反応生成物をクロロホルムで抽出して、粗精製物を得た。この粗精製物を含有するクロロホルム溶液に、DDQを5mmol加えて窒素雰囲気下60℃にて5時間撹拌して酸化反応を行った。撹拌後、得られた反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体2mmolを得た。収率は50%であった。
尚、反応式(3a)において“Me”はメチル基を表す。又、化学式(9−1)で表される化合物の分子量は232.3であり、化学式(10−1)で表される化合物の分子量は368.5であり、化学式(11−1)で表される化合物の分子量は350.5である。
[電子写真感光体の製造]
(実施例1)
電荷発生剤として化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)を使用し、正孔輸送剤として化学式(13)で表されるベンジジン誘導体を使用し、電子輸送剤として化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体を使用した。上記電荷発生剤5質量部、正孔輸送剤50質量部、電子輸送剤30質量部及び結着樹脂(粘度平均分子量50,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)100質量部を溶媒(テトラヒドロフラン)800質量部とともにボールミルにて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を導電性基体(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥して、膜厚30μmの感光層を有する単層型電子写真感光体を製造した。
(実施例1)
電荷発生剤として化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)を使用し、正孔輸送剤として化学式(13)で表されるベンジジン誘導体を使用し、電子輸送剤として化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体を使用した。上記電荷発生剤5質量部、正孔輸送剤50質量部、電子輸送剤30質量部及び結着樹脂(粘度平均分子量50,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)100質量部を溶媒(テトラヒドロフラン)800質量部とともにボールミルにて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を導電性基体(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥して、膜厚30μmの感光層を有する単層型電子写真感光体を製造した。
(実施例2)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例3)
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(1−2a)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例4)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例3と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例5)
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例6)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例5と同様にして単層型感光体を製造した。
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例3)
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(1−2a)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例4)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例3と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例5)
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(1−3a)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例6)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例5と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例1)
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(14)で表されるケトン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例2)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例1と同様にして単層型感光体を製造した。
電子輸送剤として、化学式(1−1a)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量部の化学式(14)で表されるケトン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例2)
電荷発生剤として、化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)に代えて化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[感光体特性の評価]
上記実施例及び比較例で得られた電子写真感光体について、下記の光感度試験を行い、その感度特性(光感度)を評価した。
上記実施例及び比較例で得られた電子写真感光体について、下記の光感度試験を行い、その感度特性(光感度)を評価した。
(光感度試験)
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて、上記各実施例及び比較例の感光体の表面に印加電圧を加え、その表面を+700Vに帯電させた。次いで、露光光源としての、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nm(半値幅20nm、光強度16μW/cm2)の単色光を、前記感光体の表面に照射(照射時間80ミリ秒)して露光させ、露光開始から330ミリ秒経過した時点での表面電位を残留電位Vr(単位:V)として測定した。
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて、上記各実施例及び比較例の感光体の表面に印加電圧を加え、その表面を+700Vに帯電させた。次いで、露光光源としての、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nm(半値幅20nm、光強度16μW/cm2)の単色光を、前記感光体の表面に照射(照射時間80ミリ秒)して露光させ、露光開始から330ミリ秒経過した時点での表面電位を残留電位Vr(単位:V)として測定した。
上記実施例及び比較例で得られた感光体について、使用した電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤成分の種類を、光感度試験での残留電位Vrの測定結果とともに表1に示す。
表1より明らかなように、電子輸送剤として一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を用いた実施例1〜6の感光体は、電子輸送剤として化学式(14)で表されるケトン誘導体を用いた比較例1、2の感光体に比べて、電荷発生剤として化学式(12−1)で表されるX型無金属フタロシアニン及び化学式(12−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニンの何れを用いた場合においても、残留電位Vrが小さく、光感度が優れている。
以上、詳述したように、本発明によれば、感光層に一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有させることにより、光感度に優れた電子写真感光体が得られるようになった。
従って、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置の高画質化に寄与することが期待される。
10 単層型電子写真感光体
12 導電性基体
14 感光層
16 中間層
18 保護層
20 積層型電子写真感光体
22 電荷輸送層
24 電荷発生層
12 導電性基体
14 感光層
16 中間層
18 保護層
20 積層型電子写真感光体
22 電荷輸送層
24 電荷発生層
Claims (2)
- 導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、
前記感光層が、下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体。
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示し、p及びqはp+q≦4を満たす0〜4の整数を示し、rは0〜4の整数を示す。尚、p≧2において、各R1は同一であっても異なっていてもよい。q≧2において、各R2は同一であっても異なっていてもよい。r≧2において、各R3は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。) - 前記感光体層が単層型である請求項1に記載の電子写真感光体。
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