JP5364569B2 - アントラセン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体 - Google Patents

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本発明は、アントラセン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体に関する。
静電式複写機、レーザービームプリンタ等のカールソンプロセスを用いた画像形成装置の電子写真感光体には、有機材料を感光層に用いた有機感光体と、セレン等の無機材料を感光層に用いた無機感光体とがある。有機感光体は、無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で構造設計の自由度が高いので、広範な研究が進められている。
有機感光体に含有される電荷輸送剤としての電子輸送剤には、ジフェノキノン誘導体やフェニルベンゾジフラノン誘導体が一般に用いられている。しかしながら、これら化合物は、電荷移動度が低く光感度が不十分につき、下記化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体を電子輸送剤として使用することが提案されている。化学式(8−1)において“Me”はメチル基を表す。
Figure 0005364569
特開2007−148032号公報
特許文献1に記載された化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体は、電子吸引性の強いカルボキシレート基を2つ対称的に配置することで、ビスラクトン環の電子受容性を高めている。これにより、後述する実施例に記載の光感度試験において、172〜175Vの光感度を示す。しかしながら、次世代の画像形成装置として、より解像度の高い画像が形成できるものが求められており、これを実現するには、電子写真感光体での電荷移動度及びその光感度をさらに向上させた電子輸送剤が必要となる。
本発明は、電子輸送剤として、従来よりも電子写真感光体の光感度を向上させることのできるアントラセン誘導体、その製造方法及び優れた光感度を有する電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者は、2つのカルボキシレート基を環状に対称的に配置したビスラクトン誘導体と比べて、偶数個のカルボキシレート基をアントラセン環を介してその端部に配置させたアントラセン誘導体の方が、π電子共役平面がより広がって電子受容性を高めることができるであろうと考えた。そして、上記アントラセン誘導体を各種合成して、電子輸送剤に用いたところ、これら合成物の中で、アントラセン環の1,2,6,7位にそれぞれカルボキシレート基を配置し、さらに2,8位にそれぞれにアルコキシ基又はアリールオキシ基を配置したアントラセン誘導体を用いた場合には、上記化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体を用いた場合に比べて、電子写真感光体の光感度が格段に向上することを見出した。
本発明のアントラセン誘導体は下記一般式(1)で表される。
Figure 0005364569


(一般式(1)中、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示す。)
本発明のアントラセン誘導体の製造方法は、下記反応式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法であって、一般式(2)で表されるアントラキノン誘導体を還元させて一般式(3)で表される化合物を得た後、脱水素反応を行うことにより一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を得る方法である。
Figure 0005364569


(反応式(1)中、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示す。)
そして、本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、前記感光層が、上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体である。
感光層が含有する一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、アントラセン環の1,2,6,7位のそれぞれに電子受容性の高いカルボキシレート基を対称的に配置しているため、化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体と比べて、分子中でのπ電子共役平面が大幅に広がっている。このため、分子全体の電子受容性が、化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体と比べて格段に高まっている。又、カルボキシレート基、アルコキシ基及びアリールオキシ基はそれぞれアントラセン環に対して回転することができるので、極性有機溶媒に対して高い溶解性を示す。このため、感光層中にほぼ均一に分散することができる。
従って、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する感光層は、低電界での電子輸送性が高くなり、層中で電子と正孔とが再結合する割合が減少し、見かけの電荷発生効率がさらに実際の値に近づくので、電子写真感光体は光感度がより向上する。
前記電子写真感光体において、前記感光体層は単層型であることが好ましい。単層構造の感光層中に分散している一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、電子及び正孔の輸送を阻害したり、感光層中の正孔輸送剤との相互作用を生じたりしないため、光感度がさらに向上した電子写真感光体となる。
本発明のアントラセン誘導体によれば、その高い電子輸送能により、このアントラセン誘導体を感光層に含有する電子写真感光体の残留電位を効果的に低下し、この電子写真感光体の光感度を高めることができる。
本発明のアントラセン誘導体の製造方法によれば、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を安定して製造することができる。
そして、本発明の電子写真感光体によれば、高い光感度を発揮することができ、感光体層を単層型に特定することにより、感光層の構成が簡単で製造が容易になり、皮膜欠陥の発生を抑制でき、しかも光学的特性を向上させることができる。
(a)〜(c)は、単層型感光体の構造を説明するために供する概略断面図である。 (a)〜(f)は、積層型感光体の構造を説明するために供する概略断面図である。 合成例2で得た化合物のH−NMRスペクトルである。
以下、本発明に係るアントラセン誘導体、その製造方法及び電子写真感光体について詳細に説明する。
[アントラセン誘導体]
本発明のアントラセン誘導体は、上記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)において、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なる基であって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基の中から適宜選択されるものである。Q、Q、R、R、R及びRにおいて、それぞれ独立して、少なくとも1つの水素原子が後述の置換基に置換されていてもよい。
炭素数1〜8のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数6〜18のアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。
炭素数7〜18のアラルキル基として、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、7−フェニルヘプチル基、8−フェニルオクチル基、9−フェニルノニル基、10−フェニルデシル基、11−フェニルドデシル基、12−フェニルウンデシル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、ナフチルペンチル基、ナフチルヘキシル基、ナフチルヘプチル基、ナフチルオクチル基、アントリルエチル基、アントリルプロピル基、アントリルブチル基等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルキル基として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
、Q、R、R、R又はR中の水素原子が置換されている場合、当該水素原子が置換された置換基として、例えば、ハロゲン基、アシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基等が挙げられる。
有機溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、QとQとが異なるとともに、R、R、R及びRのうち少なくとも1つが残りの官能基と異なることが好ましく、何れもが異なることがさらに好ましい。一方、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を合成する際の収率を向上させる観点から、QとQとが同一であってR、R、R及びRが同一であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の具体例として、下記化学式(1−1)〜(1−3)を示す。化学式(1−1)、(1−2)及び(1−3)において、“Me”はメチル基を表し、“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
この化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Q及びQがメチル基であって、R、R、R及びRがエチル基であるアントラセン誘導体である。分子量は527である。
Figure 0005364569
この化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Q、Q、R、R、R及びRがエチル基であるアントラセン誘導体である。分子量は555である。
Figure 0005364569
この化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体は、一般式(1)において、Q及びQがエチル基であって、R、R、R及びRがメチル基であるアントラセン誘導体である。分子量は498である。
[アントラセン誘導体の製造方法]
本発明の一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、例えば、下記反応式(1)に示すように、まず、一般式(2)で表されるアントラキノン誘導体のアントラキノン環の各ケトン基(−CO−)を還元してメチレン基(−CH−)に変換することにより、一般式(3)で表されるジベンゾシクロヘキサジエン誘導体(中間体)を合成し、次に、このジベンゾシクロヘキサジエン誘導体のメチレン基に対して脱水素反応を進行させることにより、合成することができる。
Figure 0005364569
上記反応式(2)において、a)の反応は、例えば、還元剤として亜鉛を用いて、不活性ガス雰囲気下にて攪拌還流することにより進行させることができる。a)の反応温度としては、50〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。a)の反応時間(攪拌還流時間)としては、1〜6時間が好ましい。又、b)の反応は、例えば、脱水素剤として2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を用いて、不活性ガス雰囲気下にて攪拌還流することにより進行させることができる。b)の反応温度としては、80〜150℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。b)の反応時間(攪拌還流時間)としては、1〜8時間が好ましい。上記反応式(2)の反応終了後、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体は例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の手段により精製することができる。
尚、上記一般式(2)で表されるアントラキノン誘導体は、例えば、下記反応式(2)に示すように、式(4)で表される2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン1モル量と、官能基R、R及びQを有する一般式(5−1)で表される化合物1モル量と、官能基R、R及びQを有する一般式(5−2)で表される化合物1モル量とを反応させ、これにより、アントラキノン環の2位と3位に一般式(5−1)で表される化合物が有する2つのカルボキシレート基(−COOR及び−COOR)を、アントラキノン環の6位と7位に一般式(5−2)で表される化合物が有する2つのカルボキシレート基(−COOR及び−COOR)を、且つ、アントラキノン環の4位に一般式(5−1)で表される化合物が有するアルコキシ基又はアリールオキシ基(−OQ)を、アントラキノン環の8位に一般式(5−2)で表される化合物が有するアルコキシ基又はアリールオキシ基(−OQ)を導入した一般式(2)で表されるアントラキノン誘導体1モル量を合成することができる。
Figure 0005364569
上記反応式(2)において、式(4)で表される2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノンに対する一般式(5−1)で表される化合物及び一般式(5−2)で表される化合物の使用割合は、それぞれ1〜2.5当量であることが好ましい。この反応は適当な無極性有機溶媒中で行うことが好ましい。無極性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族化合物が挙げられる。又、上記反応式(2)の反応は、例えば大気雰囲気下で攪拌還流により進行させることができる。反応温度としては、100〜160℃が好ましく、120〜150℃がより好ましい。無極性有機溶媒中で反応させる場合には、溶媒の沸点と反応温度との関係から、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンを用いることが好ましく、キシレンを用いることがさらに好ましい。反応時間(攪拌還流時間)としては、3〜8時間が好ましい。
尚、上記反応式(1)及び(2)をまとめると、下記反応式(3)で表される。
Figure 0005364569
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備えており、感光層は上記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有している。
(導電性基体)
上記導電性基体としては、導電性を有する種々の材料が使用され、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ又は酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
この導電性基体はシート状、ドラム状等の何れの形態であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。又、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが望ましい。
(感光層の構成)
本発明の電子写真感光体において、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する感光層は、直接又は下引き層を介して導電性基体上に設けられている。感光層には単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には何れの感光層も用いることができる。但し、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体の使用による効果は、単層型で顕著に現れる。
前記単層型の電子写真感光体は、導電性基体上に電荷発生剤と電荷輸送剤とを一つの層中に混在させてなる感光層を設けたものであって、この感光層が、少なくとも、電荷発生剤、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含む電子輸送剤、及び結着樹脂の分散状態にある単層構造のものである。この感光層には、さらに正孔輸送剤が含有される。この単層型感光体は正帯電及び負帯電の何れにも適用可能であるが、特に正帯電型で使用するのが好ましい。例えば図1(a)に示すように、単層型電子写真感光体10として、導電性基体12の表面に感光層14を形成したものがある。
一方、積層型電子写真感光体は、導電性基体上に少なくとも電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)及び電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)を設けたものであって、前記電荷輸送層に電子輸送剤として一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有するものである。積層型電子写真感光体20として、例えば、図2(a)に示すように、導電性基体12上に電荷発生層24及び電荷輸送層22をこの順に設けたものや、図2(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22及び電荷発生層24をこの順に設けたものがある。本発明の積層型電子写真感光体は、従来の積層型電子写真感光体に比べて残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。又、電荷発生層から電荷輸送層への電子の授受をより円滑に行わせるために、電荷発生層にも一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有させることが好ましい。
電子写真感光体には、電子輸送剤として、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体とともに、種々の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。一般式(1)で表されるアントラセン誘導体以外の電子輸送剤を含有させたことによる電子写真感光体の光感度の低下を極力抑える観点から、高い電子輸送能を有する電子輸送剤が好ましい。
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体以外の電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物等のキノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、2,4, 8−トリニトロチオキサントン、3, 4, 5, 7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン等が挙げられる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、下記化学式(4−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)、下記化学式(4−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等が挙げられる。
Figure 0005364569
Figure 0005364569
例示した電荷発生剤のほかに、例えばセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光導電材料の粉末や、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の従来公知の電荷発生剤を用いてもよい。
電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。さらに、電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニンやオキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。尚、上記フタロシアニン系顔料の結晶形については特に限定されず、種々のものが使用される。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えばベンジジン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が用いられる。これらのうち、ベンジジン誘導体としては、下記化学式(5)で表される化合物が挙げられる。化学式(5)において、“Me”はメチル基を表す。
Figure 0005364569
これら正孔輸送剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。又、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
(結着樹脂)
上述の各成分を分散させるための結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート樹脂、ウレタン−アクリレート共重合樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上が混合して用いられる。これらのうち、好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
(電子写真感光体の製造方法)
次に、電子写真感光体の製造方法について説明する。
単層型の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を少なくとも含む電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結着樹脂等と共に適当な溶剤に溶解又は分散した塗布液を、塗布等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥させることにより製造される。
単層型の感光体においては、結着樹脂100質量部に対して電荷発生剤は好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の割合で配合され、電子輸送剤は好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部の割合で配合される。又、結着樹脂100質量部に対して正孔輸送剤は好ましくは5〜500質量部、さらに好ましくは25〜200質量部の割合で配合される。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは20〜500質量部、さらに好ましくは30〜200質量部である。単層型の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物の含有量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であることが望ましく、0.5〜20質量部であることがより望ましい。
又、単層型の感光層の厚さは好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
積層型の電子写真感光体を得るには、まず導電性基体上に、蒸着又は塗布等の手段によって電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成する。次いで、この電荷発生層上に、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を少なくとも含む電子輸送剤と、結着樹脂とを含有する塗布液を塗布等の手段によって塗布し、乾燥させることにより電荷輸送層を形成する。
積層型感光体においては、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100質量部に対して電荷発生剤を好ましくは5〜1000質量部、さらに好ましくは30〜500質量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部で配合するのが適当である。又、電荷発生層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜50質量部、さらに好ましくは1〜40質量部で配合するのが適当である。
電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲及び結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100質量部に対して電子輸送剤を好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは25〜100質量部の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部で配合するのが適当である。
又、積層型の感光層の厚さは、電荷発生層が望ましくは0.01〜5μm程度、さらに望ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が望ましくは2〜100μm、さらに望ましくは5〜50μm程度である。
尚、単層型感光体にあっては、図1(a)に示す構成以外に、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されていてもよいし、図1(c)に示すように、感光体層14の表面には、保護層18が形成されていてもよい。又、中間層と保護層の両方が形成されていてもよい。一方、積層型感光体にあっては、図2(a)に示す構成及び図2(b)に示す構成以外に、図2(c)に示すように、導電性基体12と電荷発生層24との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されていてもよいし、図2(d)に示すように、電荷発生層24と電荷輸送層22との間に中間層16が形成されていてもよいし、図2(e)に示すように、導電性基体12と電荷輸送層22との間に中間層16が形成されていてもよいし、図2(f)に示すように、電荷輸送層22と電荷発生24との間に中間層16が形成されていてもよい。又、積層型感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
単層型及び積層型の各感光層には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。又、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
導電性基体上に形成される感光層は、前記した各成分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。即ち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して塗布液を調製し、これを常法より塗布、乾燥すればよい。
塗布液を調製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[アントラセン誘導体の合成]
(合成例1)
化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体の合成を次のように行った。
まず、下記反応式(2−1)に沿って化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体を合成した。具体的には、化学式(4)で表される2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン10mmol及び化学式(5−3)で表される1−ジメトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエン20mmolを反応器に入れ、さらにキシレン10mlを加えて、大気雰囲気下120℃において5時間攪拌還流した。そして、得られた反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、黄色の化合物4.5mmolを得た。収率は45%であった。尚、反応式(2−1)において、“Me”はメチル基を表し、“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
次に、下記反応式(1−1)に沿って、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体から化学式(3−1)で表される化合物(中間体)を経て、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体を合成した。具体的には、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体1mmolを反応器に入れ、亜鉛15mmol、水10ml、ピリジン2mlを加えて、不活性ガス雰囲気下100℃において6時間攪拌還流した。そして、得られた反応生成物をろ過して亜鉛を取り除き、クロロホルムで抽出して化学式(3−1)で表される化合物を得た。そして、この化学式(3−1)で表される化合物をキシレンに溶かして得たキシレン溶液にDDQ5mmolを加えて、不活性ガス雰囲気下130℃において3時間攪拌還流した。そして、得られた反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより、淡黄色の化合物0.6mmolを得た。収率は60%であった。この化合物のH−NMRスペクトルから、この化合物が化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体であることを確認した。尚、反応式(1−1)において、“Me”はメチル基を表し、“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
(合成例2)
化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体の合成を次のように行った。
まず、下記反応式(2−2)に沿って化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体を合成した。具体的には、化学式(5−3)で表される1−ジメトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエン20mmolに代えて化学式(5−4)で表される1−ジエトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエン22mmolを用いたほかは、合成例1の反応式(2−1)と同様に反応を行うことにより、黄色の化合物5mmolを得た。収率は50%であった。この化合物の融点は171℃であった。この化合物のH−NMRスペクトルから、この化合物が化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体であることを確認した。尚、反応式(2−2)において“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
次に、下記反応式(1−2)に沿って、化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体から化学式(3−2)で表される化合物(中間体)を経て、化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体を合成した。具体的には、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体に代えて同モル量の化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体を用いたほかは、合成例1の反応式(1−1)と同様に反応を行うことにより、淡黄色の化合物0.6mmolを得た。収率は60%であった。この化合物のH−NMRスペクトルを図3に示す。これにより、この化合物が化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体であることを確認した。この化合物の融点は145℃であった。尚、反応式(1−2)において“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
(合成例3)
化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体の合成を次のように行った。
まず、下記反応式(2−3)に沿って化学式(2−3)で表されるアントラキノン誘導体を合成した。具体的には、化学式(5−3)で表される1−ジメトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエン20mmolに代えて化学式(5−5)で表される1−ジエトキシ−2,3−ジカルボキシメチル−ブタジエン22mmolを用いたほかは、合成例1の反応式(2−1)と同様に反応を行うことにより、黄色の化合物4mmolを得た。収率は40%であった。尚、反応式(2−3)において、“Me”はメチル基を表し、“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
次に、下記反応式(1−3)に沿って、化学式(2−3)で表されるアントラキノン誘導体から化学式(3−3)で表される化合物(中間体)を経て、化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体を合成した。具体的には、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体に代えて同モル量の化学式(2−3)で表されるアントラキノン誘導体を用いたほかは、合成例1の反応式(1−1)と同様に反応を行うことにより、淡黄色の化合物0.5mmolを得た。収率は50%であった。この化合物のH−NMRスペクトルから、この化合物が化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体であることを確認した。尚、反応式(1−3)において、“Me”はメチル基を表し、“Et”はエチル基を表す。
Figure 0005364569
ここで、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体の分子量は557であり、化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体の分子量は585であり、化学式(2−3)で表されるアントラキノン誘導体の分子量は528である。又、化学式(4)で表される2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノンの分子量は177である。そして、化学式(5−3)で表される1−ジメトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエンの分子量は258であり、化学式(5−4)で表される1−ジエトキシ−2,3−ジカルボキシエチル−ブタジエンの分子量は286であり、化学式(5−5)で表される1−ジエトキシ−2,3−ジカルボキシメチル−ブタジエンの分子量は258である。
尚、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体は、化学式(2−1)で表されるアントラキノン誘導体と比べて、テトラヒドロフランへの溶解性は高く、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂との相溶性も高かった。化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体は、化学式(2−2)で表されるアントラキノン誘導体と比べて、テトラヒドロフランへの溶解性は高く、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂との相溶性も高かった。そして、化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体は、化学式(2−3)で表されるアントラキノン誘導体と比べて、テトラヒドロフランへの溶解性は高く、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂との相溶性も高かった。又、化学式(1−1)、(1−2)及び(1−3)で表されるアントラセン誘導体は、いずれも化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体と同程度のテトラヒドロフランへの溶解性及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂との相溶性を示した。
[電子写真感光体の製造]
(実施例1)
電荷発生剤として化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)を使用し、正孔輸送剤として化学式(7)で表されるベンジジン誘導体を使用し、電子輸送剤として化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体を使用した。上記電荷発生剤5質量部、正孔輸送剤50質量部、電子輸送剤30質量部及び結着樹脂(粘度平均分子量50,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)100質量部を溶媒(テトラヒドロフラン)800質量部とともにボールミルにて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥して、膜厚30μmの感光層を有する単層型電子写真感光体を製造した。
(実施例2)
電荷発生剤として、化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)に代えて化学式(6−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例3)
電子輸送剤として、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量の化学式(1−2)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例4)
電荷発生剤として、化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)に代えて化学式(6−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例3と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例5)
電子輸送剤として、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量の化学式(1−3)で表されるアントラセン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(実施例6)
電荷発生剤として、化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)に代えて化学式(6−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例5と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例1)
電子輸送剤として、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量の化学式(8−1)で表されるビスラクトン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例2)
電荷発生剤として、化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)に代えて化学式(6−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例1と同様にして単層型感光体を製造した。
(比較例3)
電子輸送剤として、化学式(1−1)で表されるアントラセン誘導体に代えて同質量の下記化学式(8−2)で表されるビスラクトン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
Figure 0005364569
(比較例4)
電荷発生剤として、化学式(6−1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−HPc)に代えて化学式(6−2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例3と同様にして単層型感光体を製造した。
[感光体特性の評価]
上記実施例及び比較例で得られた電子写真感光体について、下記の光感度試験を行い、その感度特性(光感度)を評価した。
(光感度試験)
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて、上記各実施例及び比較例の感光体の表面に印加電圧を加え、その表面を+700Vに帯電させた。次いで、露光光源としての、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nm(半値幅20nm、光強度16μW/cm)の単色光を、前記感光体の表面に照射(照射時間80ミリ秒)して露光させ、露光開始から330ミリ秒経過した時点での表面電位を残留電位Vr(単位:V)として測定した。
上記実施例及び比較例で得られた感光体について、使用した電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤成分の種類を、光感度試験での残留電位Vrの測定結果とともに表1に示す。
Figure 0005364569
表1より明らかなように、電子輸送剤として一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を用いた実施例1〜6の感光体は、何れも対応する比較例1〜4の感光体に比べて残留電位Vrが小さく、光感度が優れている。
以上、詳述したように、本発明の一般式(1)で表されるアントラセン誘導体は、高い電子輸送性を有しているので、電子写真感光体、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子等の電子輸送剤として好適に使用できる。又、本発明のアントラセン誘導体の製造方法によれば、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を安定して製造することができる。
そして、本発明の電子写真感光体によれば、感光層に一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有するので、優れた光感度を示す。従って、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における低コスト化、高性能化等に寄与することが期待される。
10 単層型電子写真感光体
12 導電性基体
14 感光層
16 中間層
18 保護層
20 積層型電子写真感光体
22 電荷輸送層
24 電荷発生層

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
    Figure 0005364569

    (一般式(1)中、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示す。)
  2. 下記反応式(1)で示されるアントラセン誘導体の製造方法であって、一般式(2)で表されるアントラキノン誘導体を還元させて一般式(3)で表される化合物を得た後、脱水素反応を行うことにより一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を得るアントラセン誘導体の製造方法。
    Figure 0005364569

    (反応式(1)中、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示す。)
  3. 導電性基体と感光層とを備えた電子写真感光体であって、
    前記感光層が、下記一般式(1)で表されるアントラセン誘導体を含有する電子写真感光体。
    Figure 0005364569

    (一般式(1)中、Q、Q、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜8の未置換若しくは置換のアルキル基、炭素数6〜18の未置換若しくは置換のアリール基、炭素数7〜18の未置換若しくは置換のアラルキル基、若しくは、炭素数3〜12の未置換若しくは置換のシクロアルキル基を示す。)
  4. 前記感光体層が単層型である請求項3に記載の電子写真感光体。
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