図1に示すこの発明の一実施例である貯水槽10は槽本体12を備え、槽本体12は家14の中で強度の高い場所、つまり柱の多い場所など、好適な場所に配置される。たとえば、浴室16の上、トイレの上あるいは屋根裏20などである。また、屋上のある家では屋上の設置も可能である。そして、貯水槽10はその場所で給水系管路に接続される。給水系管路は水道管22から宅内へ延びる給水管24を含み、貯水槽10は給水管24に宅内の各取水栓を接続して、宅内に水道水を供給するために用いられる。つまり、この実施例では、貯水槽10は給水ヘッダとして機能するとともに、非常用貯水槽としても機能する。
槽本体12は、図2に示すように、たとえば硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプであり、その両開口は導入面26および導出面28で塞がれる。槽本体12の内容量はたとえば、45リットルであり、その大きさはφ150のパイプで長さ2.7mであり、またφ200のパイプで長さ1.5mである。45リットルは5人家族の3日間の飲料用水使用量に相当する。
導入面26には導入口30が設けられ、導入口30に給水管24が接続される。導出面28には複数、この実施例では5つの給水口32a、32b、32c、32d、32eが設けられ、各給水口32にそれぞれ配水管34a、34b、34c、34d、34eが接続される。配水管34は、たとえば可撓性のある合成樹脂管などであり、配水管34に宅内の通常取水栓が接続される。たとえば、図1および図2に示すように、配水管34aは洗面所36の給水栓に、配水管34bはトイレ18のタンクに、配水管34cはキッチン38の給水栓に、配水管34dは給湯器39に、配水管34eは浴室16の給水栓16aに接続される。配水管34eは導出面28の最下部の給水口32eに接続されて、貯水槽10の下位にある浴室16の給水栓16aに連結される。浴室16の給水栓16aは通常時に通常取水栓として使用されるが、非常時には非常取水栓として使用される。
槽本体12の側面の最上部に吸気孔や吸排気孔40などが設けられ、吸排気孔40に吸排気弁42が取り付けられる。
通常、水道水は水道管22から給水管24を通り槽本体12に供給され、槽本体12に貯えられる。そして、通常取水栓が使用されると、槽本体12内に貯水されている水道水は配水管34を通ってその通常取水栓へ供給され、それに伴い新たな水道水が給水管24から貯水槽10内へ供給される。つまり、生活用水が使用される度に槽本体12内に貯えられている水道水は給水管24から供給される新たな水道水へ入れ替わる。このため、槽本体12内の水道水は循環し、常に衛生的に保たれる。
非常時、水道水に給水圧が作用していない場合に浴室16の給水栓16aを使用すると、槽本体12内の水道水は配水管34eを通って自然流下し、槽本体12の下位にある浴室16の給水栓16aから流れ出す。このとき、水道水が槽本体12から流出しても、空気が吸排気弁42から槽本体12に吸引され、それに伴い槽本体12の内部の圧力は大気圧に保たれるため、槽本体12の水道水は自然流下し続ける。
このように、槽本体12に複数の給水口32を設けることにより、槽本体12内の水道水に各給水口32に対応する流れができるため、槽本体12内に水道水が滞留する部分はなく、槽本体12内の水道水は広範囲で攪拌されて、槽本体12内の全ての水道水は衛生的である。しかも、各給水口32に通常取水栓を接続すれば、槽本体12内の水道水は宅内の生活用水として使用されるため、ほぼ常に各給水口32から取り出される。これに伴い新しい水道水が給水管24から槽本体12へ供給されるため、槽本体12内の水道水は効
率良く入れ替わる。よって、槽本体12の清掃など特別なメンテナンスをしなくても、槽本体12内の水道水は循環して常に清潔に保たれ、非常時にも清潔な水を得られる。
そして、通常取水栓の浴室16の給水栓16aを非常取水栓に兼用すると、貯水槽10内の給水口32eの周りの水道水や配水管34e内の水道水などは生活用水として普段使用されるため、このような水道水もほぼ滞留することなく清潔に保たれる。
また、硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプを槽本体12に用いると、槽本体12は機械的性質、特に可撓性に優れるため、地震などが発生しても槽本体12に亀裂などが入りにくく、槽本体12の水道水は確保される。特に、浴室16の上は家14の中では柱が多く、かつその柱の間隔が狭くて強固であり、また非常取水栓としての浴室16の給水栓16aに近いため、槽本体12を浴室16の上に配置すれば、地震時にも槽本体12および配水管34は破損しにくい。そして、槽本体12内の水道水は浴室16の上にある槽本体12から下位にある浴室16の給水栓16aへ自然流下するため、非常時に給水圧が作用していなくても、槽本体12内の水道水を浴室16の給水栓16aから得られる。
この硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプは汎用性が高いため、貯水槽10を安価に設けられる。そして、パイプの径の種類も豊富であるため、パイプの径を選択し、かつパイプの長さを選択または調整すれば、槽本体12の大きさを槽本体12の配置スペースに対応させられ、設置場所の制約は少ない。その槽本体12の配置も、槽本体12を従来の給水系管路に設ければよく、新築住宅のみならず、リフォームの際にも簡単に設置することができる。
なお、槽本体12に吸気孔または吸排気孔40などを設け、吸排気孔40に吸排気弁42を取り付けたが、吸排気孔40および吸排気弁42を設けなくてもよい。この場合、非常取水栓としての浴室16の給水栓16a以外の取水栓を開けば、その取水栓は吸排気孔の役目を果たす。
また、槽本体12を傾斜させて配置することもできる。図3(A)および図3(B)に示すように、槽本体12の導入面26を槽本体12の導出面28より上側になるように槽本体12を角度θ傾ける。浴室16の給水栓16a(図1)に接続する給水口32eは槽本体12の最下部になり、吸排気弁42を取り付けた吸排気孔40は槽本体12の最上部になる。これにより、槽本体12の底部が傾き、槽本体12内の水道水は槽本体12の最下部に集まって給水口32eから浴室16の給水栓16aに供給され、空気は吸排気弁42から吸引されるため、槽本体12内の水道水を残らず全て取り出せる。
この槽本体の底部を傾斜させる別の方法として、図4に示す槽本体43を用いることができる。この槽本体43は図2に示す槽本体12とほぼ同様であるが、図4に示す槽本体43の底部自体に傾きが付けられている。つまり、図2に示す槽本体12の底部は導入面26および導出面28に対して直角であるが、図5に示す槽本体43の底部は導入面26に対して角度(90+θ)度であり、導出面28に対して角度(90−θ)度である。このため、この槽本体43を水平面に配置し、導入面26および導出面28を水平面に対し
て直角にすれば、槽本体43の底部は水平面に対して傾く。
また、図1に示すように、槽本体12を浴室16の上に配置したが、槽本体12を床下44など居住空間の下に配置することもできる。図5に示すように槽本体12の側部に取水口48を設け、この取水口48に蓋50を取り付けておく。そして、非常時に蓋50を外して、取水口48から槽本体12内の水道水を手動ポンプや電動ポンプなどにより直接汲み上げる。この場合、非常取水栓を設けなくてもよい。また、非常取水栓を導出面28の最下部に直接に取り付けておけば、この非常取水栓から水道水を供給することもできる。
この他に、槽本体12を地中46などに配置する場合、図5に示す取水口48からでなく浴室16の給水栓16a(図1)などの非常取水栓から槽本体12内の水道水を取り出すこともできる。図6に示すように、ポンプ49aを槽本体12に取り付ける。ポンプ49aは蓄電池49bに接続され、蓄電池49bは家庭用電源49cなどに接続される。蓄電池49bは通常時家庭用電源49cなどから充電される。そして、非常時に蓄電池49bによってポンプ49aを作動させると、ポンプ49aの圧力により槽本体12内の水道水はポンプ49aに接続されている非常取水栓に供給される。
さらに、槽本体12の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。オリフィス板52は平板で、複数、この実施例では2つのオリフィス孔54を有する。オリフィス板52は槽本体12の管軸に対して垂直に、槽本体12の長手方向のほぼ中央に設けられる。2つのオリフィス孔54の内の一方のオリフィス孔54aは槽本体12の上部に、他方のオリフィス孔54bは槽本体12の下部に配置される。
通常時、水道水は給水管24から槽本体12に流入し、この2つのオリフィス孔54を通る。このとき、水道水は径の大きな槽本体12から径の小さなオリフィス孔54へ導入されるため、オリフィス孔54を通過する際に水道水の流速は増加して、槽本体12内の水道水は広範囲かつ高速で攪拌される。よって、槽本体12内の水道水は槽本体12の隅まで循環し、さらに衛生的に保たれる。
非常時、給水圧が作用しなくなると槽本体12内の水道水は主に下側のオリフィス孔54bを通って槽本体12の最下部の給水口32eへ流れ、空気は吸排気弁42から吸引されて上側のオリフィス孔54aを通って供給される。
なお、図5〜図7に示す実施例の槽本体12を図3(A)に示すように傾けてもよいし、図5〜図7に示す実施例の槽本体12の代わりに図4に示す槽本体43を用いてもよい。
図8に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10の槽本体51は図2に示す槽本体12とほぼ同じであるが、配水管の接続方法が異なる。図2に示す槽本体12には複数の給水口32が設けられ、各給水口32に配水管34が直接接続されていたが、図8に示す槽本体51には、たとえば2つの給水口53、153が設けられ、一方の給水口53に配水管55が接続され、その配水管55が分岐している。これ以外の部分に関しては図2実施例の示す槽本体12と同様であるため、説明は省略する。
導入面26の導入口30に給水管24が接続される。また、導出面28に、たとえば2つの給水口53、153が設けられ、給水口153は給水口53より上側に配置される。給水口53、153にそれぞれ配水管55、155が接続され、配水管155は宅内の通常取水栓に接続される。また、配水管55は複数、この実施例では5つの配水管55a、55b、55c、55d、55eに分岐し、各配水管55は宅内の通常取水栓に接続され
る。この配水管55の内の1つの配水管55eは下側に曲がり、たとえば図1に示す浴室16の給水栓16aに連結する。この浴室16の給水栓16aは通常時に通常取水栓として使用されるが、非常時には非常取水栓として使用される。これ以外の配水管55a、55b、55c、55dは上側に曲がり槽本体51より上位に配置され、通常取水栓、たとえば洗面所の給水栓やトイレのタンクなどに接続される。
このように、非常取水栓に接続せず通常取水栓のみに接続する配水管55a、55b、55c、55dを曲げて槽本体51より上位に配置し、配水管155が接続される給水口153を給水口53より上側に配置し、かつ吸排気弁42などの吸気手段を併設してサイフォン現象を防止すれば、槽本体51内の水道水は配水管55a、55b、55c、55d、155に流れない。このため、槽本体51内の水道水は非常取水栓に接続する配水管55eのみに流れ、無駄なく槽本体51内の水道水を非常取水栓から取り出すことができる。
なお、導出面28に給水口53、153を設けたが、給水口153を設けず、給水口53のみを設けてもよい。
また、導入面28を槽本体51の外側に向かって突出する円錐形状に形成し、円錐形の頂上に給水口53を設けてもよい。
さらに、槽本体51を傾斜させて配置したり、槽本体51の代わりに図4の槽本体43を用いたりすることができる。また、槽本体51を地中46(図1)などに配置して、槽本体51に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。さらに、槽本体51の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
図9に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は槽本体56を備える。槽本体56は複数、この実施例では3つの槽本体部分58を含み、3つの槽本体部分58は導入管60および配水管34により並列に接続されて、たとえば、浴室16(図1)の上に配置される。
槽本体部分58は、図2に示す槽本体12の径より小径の硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプなどであり、その両開口は導入面26および導出面28で塞がれる。3つの槽本体部分58の内容量を合わせた全内容量はたとえば、45リットルである。
導入面26には導入口30が設けられ、導入口30に導入管60が接続される。導入管60は給水管24に接続され、たとえば3つの槽本体部分58のそれぞれに接続される。導出面28には複数、この実施例では2つの給水口32が設けられる。その内の一方の上側の給水口32fは槽本体部分58の最上部に位置し、配水管34fと接続される。配水管34fはそれぞれ宅内の通常取水栓(図1)、たとえば、洗面所36やキッチン38などの給水栓、またはトイレ18のタンクに接続される。他方の下側の給水口32hは槽本体部分58の最下部に位置し、配水管34hと接続される。そして、槽本体部分58に接続される、たとえば3つの配水管34hは1つに連結されて、非常時に非常取水栓として利用される通常取水栓、たとえば浴室16の給水栓16a(図1)に接続される。
各槽本体部分58の最上部に吸気孔または吸排気孔40などが設けられ、吸排気孔40に吸排気弁42が取り付けられる。
この貯水槽10を通常時に使用する場合、水道水は給水管24から3つに分かれて導入
管60へ流入し、各槽本体部分58に導入される。そして、その一部は最上部の給水口32fから配水管34fを通って各通常取水栓に供給される。他の一部は最下部の給水口32hから配水管34hを通って、浴室16の給水栓16a(図1)に供給される。
非常時に貯水槽10を使用する場合、非常取水栓として浴室16の給水栓16a(図1)を開けると、吸排気弁42から吸気しながら、槽本体部分58内の水道水は配水管34hを通って自然流下し、浴室16の給水栓16aから取り出される。
このように、槽本体56に小径の槽本体部分58を用いると、槽本体部分58内の水道水の流れは速くなり、水道水の循環効率が高まり、水道水の清浄度が増す。
そして、複数の小径の槽本体部分58を用いて、槽本体部分58を上下に重ねたり、横に並べたりすることにより、槽本体56の形状を貯水槽10の設置場所に合わせられる。
また、槽本体56を地中46(図1)に埋設する場合、槽本体部分58の径が小さいから、槽本体56を埋設するための掘削孔を浅くすることができ、工事規模を抑えられる。
なお、この槽本体部分58をそれぞれ傾斜させて配置することもできる。図10に示すように、各槽本体部分58を角度θ傾け、導入面26が導出面28より上になるようにする。各槽本体部分58の最上部に吸気孔や吸排気孔40などを設け、吸排気孔40に吸排気弁42を取り付ける。非常時には、各槽本体部分58の水道水は槽本体部分58の傾いた底部上を流下して、最下部に設けられる給水口32hに集められ、配水管34h内を自然流下して、非常取水栓から取り出される。
また、図9および図10の槽本体56を地中46などに配置して、槽本体部分58に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。また、槽本体部分58の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。さらに、各槽本体部分58の代わりに図4の槽本体43と同様に底部を傾けた槽本体部分を用いてもよい。
さらに、図9および図10の槽本体56において、3つの槽本体部分58のそれぞれから延びる配水管34hは1つに連結されている。このため、水道水が、導入管60から各槽本体部分58へ供給されるだけでなく、配水管34hを通じて槽本体部分58へ供給される場合もある。
そして、図9および図10において、3つの配水管34hを1つに連結したが、3つの配水管34hを連結しなくてもよい。この場合、層本体部分58から延びる配水管34hをそれぞれ非常時に非常取水栓として利用される別々の通常取水栓に接続される。
図11に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、図9に示す貯水槽10とほぼ同じであるが、給水口32および配水管34の配置が異なる。これ以外の部分に関しては図1実施例の示す貯水槽10と同様であるため、説明は省略する。
槽本体部分58は、両開口が導入面26および導出面28で塞がれた合成樹脂製パイプなどにより形成される。
導入面26には導入口30および給水口32pが設けられ、導入口30は槽本体部分58の最上部に位置し、給水口32qは槽本体部分58の最下部に位置する。導入口30に給水管24を分岐した導入管60が接続される。給水口32pに配水管34pが接続され、各槽本体部分58の給水口32pから延びる、たとえば3つの配水管34pは1つに連
結されて、非常時に非常取水栓として利用される通常取水栓、たとえば浴室16の給水栓16a(図1)に接続される。
導出面28には給水口32qが設けられ、給水口32qは槽本体部分58の最下部に位置する。給水口32qに配水管34qが接続され、配水管34qに水道水の供給を止める止水手段を設けられる。止水手段には、配水管34fを曲げて槽本体部分58より上位に配置する方法が採られる。そして、槽本体部分58から延びる、たとえば3つの配水管34qにそれぞれ宅内の通常取水栓(図1)が接続される。
このように、非常取水栓に接続せず通常取水栓のみに接続する配水管34qに止水手段を設け、かつ吸排気弁42など吸気手段を併設してサイフォン現象を防止すれば、非常時に槽本体部分58内の水道水は配水管34qに流れず、非常取水栓に接続する配水管34pに流れるため、無駄なく槽本体部分58内の水道水を非常取水栓から取り出すことができる。
なお、槽本体56を地中46などに配置して、槽本体部分58に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。また、槽本体部分58の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。さらに、槽本体部分58を傾けたり、各槽本体部分58の代わりに図4の槽本体43と同様に底部を傾けた槽本体部分を用いたりしてもよい。
また、配水管34pは1つに連結されているため、水道水が、導入管60から各槽本体部分58へ供給されるだけでなく、配水管34hを通じて槽本体部分58へ供給される場合もある。
そして、3つの配水管34pを1つに連結したが、3つの配水管34pを連結しなくてもよい。この場合、層本体部分58から延びる配水管34pをそれぞれ非常時に非常取水栓として利用される別々の通常取水栓に接続される。
さらに、導入面26に導入口30および給水口32pを設け、導入口30に導入管60を接続し、給水口32pに配水管34pを接続した。これに対して、図12に示すように、導入面26に導入口30を設けず、給水口32pのみを設ける。そして、給水口32pに配水管34pを接続し、その配水管34pに給水管24を接続することもできる。これにより、配水管34pの一部が給水管24または導入管60と兼用される。
図13に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10の槽本体57は、たとえば3つの槽本体部分59、59a、59b、59cを含み、各槽本体部分59の導入面26に導入口30が設けられる。その内の2つの槽本体部分59a、59bの各導出面28に、たとえば2つの給水口32f、32hが設けられる。残る1つの槽本体部分59cの導出面28の上部に、たとえば4つの給水口32zが設けられ、導出面28の最下部に、たとえば1つの給水口32hが設けられる。
そして、槽本体部分59aの導入口30に給水管24が接続され、槽本体部分59aの2つの給水口32の内の最上部の給水口32fに連結管61の一端が接続される。この連結管61の他端は槽本体部分59bの導入口30に接続され、槽本体部分59bの最上部の給水口32fに別の連結管61の一端が接続される。この連結管61の他端は槽本体部分59cの導入口30に接続される。槽本体部分59cの上部の給水口32zにそれぞれ配水管34zが接続され、各配水管34zは洗面所やキッチンなどの給水栓などに接続される。そして、3つの槽本体部分59a、59b、59cの最下部の給水口32hにそれぞれ配水管34hが接続され、これらの配水管34hは1つに連結されて、非常時に非常
取水栓として利用される通常取水栓、たとえば浴室16の給水栓16a(図1)に接続される。
この槽本体57を使用する場合、水道水は給水管24から槽本体部分59a内に流入し、続いて連結管61、槽本体部分59b、連結管61および槽本体部分59cの中を流れて、各槽本体部分59a、59b、59cに貯められる。そして、通常取水栓が使用されると、槽本体部分59c内の水道水は配水管34z、34hを通って通常取水栓に供給される。それに伴い、槽本体部分59aおよび59bの水道水は順に槽本体部分59cに供給され、新たな水道水が給水管24から槽本体部分59aに供給される。また、非常時には、各槽本体部分59a、59b、59cの水道水が配水管34hから非常取水栓に供給される。
なお、図13の槽本体57を地中46などに配置して、槽本体部分59に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。
また、槽本体部分59の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
さらに、槽本体部分59の代わりに図4の槽本体43と同様に底部を傾けた槽本体部分を用いてもよい。
さらに、槽本体部分59cの4つの給水口32zをそれぞれ配水管34zにより通常取水栓に接続したが、この代わりに図8に示すように導出面28に1つの給水口を設け、これに接続する配水管を分岐して各通常取水栓に接続してもよい。
そして、3つの配水管34hを1つに連結したが、3つの配水管34hを連結しなくてもよい。この場合、層本体部分59a、59b、59cから延びる配水管34hをそれぞれ非常時に非常取水栓として利用される別々の通常取水栓に接続される。
図14に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は槽本体62を備える。槽本体62は複数、この実施例では2つの槽本体部分64を含み、2つの槽本体部分64は接続管66により直列に接続されて、たとえば、浴室16(図1)の上に配置される。
槽本体部分64は、図2に示す槽本体12の径より小径の硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプなどであり、その両開口は導入面26および導出面28で塞がれる。槽本体部分64の内容量を合わせた全内容量はたとえば、45リットルである。導入面26には導入口30が設けられ、導出面28には複数、この実施例では2つの給水口32が設けられる。
2つの槽本体部分64の内、一方の第1槽本体部分64aの導入口30に給水管24が接続され、各給水口32に配水管34jおよび接続管66が接続される。接続管66は他方の第2槽本体部分64bの導入口30に接続され、第2槽本体部分64bの各給水口32に配水管34kおよび34mが接続される。
各槽本体部分64を傾け、導入面26が導出面28より上になるようにし、かつ第1槽本体部分64aを第2槽本体部分64bより上位に配置する。すなわち、各槽本体部分64の底部および接続管66は傾斜する。第1槽本体部分64aは2つの槽本体部分64の内の最上位に接続され、第2槽本体部分64bは最下位に接続される。この第1槽本体部分64aの最上部に吸気孔や吸排気孔40などを設け、吸排気孔40に吸排気弁42を取り付ける。第2槽本体部分64bの最下部に設けられる給水口32mに配水管34mを接続して、配水管34mを通常取水栓に接続する。この通常取水栓は、たとえば浴室16の
給水栓16a(図1)であり、通常時には通常取水栓として使用されるが、非常時には非常取水栓として使用される。また、各配水管34j、34kは宅内の通常取水栓(図1)、たとえば、洗面所36やキッチン38などの給水栓、トイレ18のタンクに接続される。
この貯水槽10を通常時に使用する場合、水道水は給水管24から第1槽本体部分64aに導入され、第1槽本体部分64a内を流下して、その一部は配水管34jを通って通常取水栓に供給される。他の一部は接続管66を通って第2槽本体部分64bに導入され、第2槽本体部分64b内を流下して、さらにその一部は配水管34kおよび34mを通って各通常取水栓に供給される。
非常時に貯水槽10を使用する場合、浴室16の給水栓16a(図1)を開けると、槽本体部分64内の水道水は第1槽本体部分64aおよび第2槽本体部分64bから配水管34mを通って自然流下し、浴室16の給水栓16aから取り出される。このように、槽本体部分64内の水道水は略最下部にある給水口32mへ集められ、しかも水道水を使用するに伴い、空気は第1槽本体部分64aの吸排気弁42から吸引されるため、槽本体部分64は陰圧になることなく、槽本体部分64内の水道水を無駄なく使用できる。
なお、槽本体62を地中46などに配置して、槽本体部分64に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。
また、槽本体部分64の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
さらに、各槽本体部分64自体を傾斜させずに、槽本体部分64の代わりに図4の槽本体43と同様に底部を傾けた槽本体部分を用いてもよい。
なお、各貯水槽10の共通する部分については同じ番号を付して、その番号の説明は省略している。
また、上記の全ての実施例では、1つの通常取水栓を非常取水栓と兼用にしたが、この取水栓を非常取水栓専用にしてもよい。そして、浴室16の給水栓16aを非常取水栓として使用したが、これに限定されず、キッチン38の給水栓など別の給水栓も非常取水栓として適宜使用することができる。
さらに、図11に示す水道水の給水を止める止水手段を図2〜図7の槽本体12に接続する配水管34a、34b、34c、34d、図9および図10の槽本体部分58に接続する配水管34f、図13の槽本体部分59cの配水管34zならびに図14の槽本体部分64に接続する配水管34j、34kに用いることができる。
図15〜図19に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は槽本体を備える。槽本体68は、断熱材などで形成されたケース70に横置きで収められ、家14(図1)の中の非常取水栓として利用される通常取水栓の位置より高い位置に配置される。槽本体68は、複数、この実施例では3つの槽本体部分72、つまり第3槽本体部分72a、第4槽本体部分72bおよび第5槽本体部分72cを含む。槽本体部分72は管部74および2つのキャップ部76を有し、キャップ部76は管部74の両端のそれぞれの外面にTS接合法で装着される。管部74には、図9と同様の硬質塩化ビニルやポリエチレンなど合成樹脂製パイプなどが用いられ、3つの管部74は同じ長さに設定される。
図20(A)および図20(B)に示すように、キャップ部76の底面は曲面で形成され、水圧に耐えるように設計されている。キャップ部76の側壁78は円筒状であり、そ
の内面は管部74の内面より外側に配置され、管部74の内面より外側で側壁78の内面より内側に空間が形成される。また、側壁78の円周方向に間隔を隔てて、たとえば2つの受口80が設けられる。受口80は側壁78の管軸および管部74の管軸に対して直交する方向に突き出し、2つの受口80は平行に延びる。2つの受口80が側方を向くように槽本体部分72を配置した場合、上側に位置する第1受口80aの最上部は側壁78の内面の最上部とほぼ同じ高さにあり、受口80の内面は側壁78の内面と滑らかに繋がる。下側に位置する第2受口80bの最下部は側壁78の内面の最下部とほぼ同じ高さにあり、受口80の内面は側壁78の内面と滑らかに繋がる。また、第1受口80aのほぼ上側半分は管部74の内面の最上部より上方に位置し、第1受口80aは、管部74の内面とキャップ部76の最上部との間に設けられ、キャップ部76の中で管部74の内面より高い位置に形成された空間に連通される。第2受口80bのほぼ下側半分は管部74の管底より下側に位置し、第2受口80bは、管部74の管底とキャップ部76の最下部(側壁78の内面の最下部)との間に設けられ、キャップ部76の中で管部74の管底より低い位置に形成された空間に連通される。
そして、図15に示すように、2つのキャップ部76、つまり第1キャップ部76aおよび第2キャップ部76bの受口80は、互いに反対方向を向くように、1つの槽本体部分72の対角となる位置に配置される。
図15〜図19に示すように、3つの槽本体部分72は位置をずらして平行に並べられ、3つの槽本体部分72の第1キャップ部76aの受口80はそれぞれ同じ方向を向くように配置される。
各槽本体部分72の第1キャップ部76aの第1受口80aは導入口として利用され、第1受口80aのそれぞれに導入管82が接合され、3つの導入管82は1つの給水管84に連結される。給水管84は、導入管82に対して直交方向に延びて、ケース70の側面70aを貫通し、水道管22(図1)と接続される。また、給水管84にバルブ86およびバルブ86に内蔵された逆止弁が設けられる
また、各槽本体部分72の第1キャップ部76aの第2受口80bは給水口として利用される。第2受口80bに第1配水管88aが接合され、3つの第1配水管88aは1つの第1配水本管88bに連結される。第1配水本管88bは、給水管84の下側に位置して、第1配水管88aに対して直交方向に延びる。そして、ケース70の側面70aを貫通して、非常時に非常取水栓として利用される通常取水栓に接続される。
3つの槽本体部分72の第2キャップ部76bの第1受口80aは給水口として利用される。第1受口80aにそれぞれ第2配水管88cが接合され、第2配水管88cは第1受口80aの高さと同じ高さを維持したまま、直角に曲がって、ケース70の側面70aを貫通し、通常取水栓に接続される。
第3槽本体部分72aおよび第4槽本体部分72bの第2キャップ部76bの第2受口80bは給水口として利用され、第2受口80bのそれぞれに第3配水管88dが接合される。第3配水管88dは、上側に屈曲して第1受口80aと同じ高さまで延びて、そこから直角に曲がって、この位置に吸気管90が連結される。第3配水管88dおよび吸気管90はケース70の側面70aを貫通して、吸気管90の先は吸気口90aとして開口し、第3配水管88dは通常取水栓に接続される。
第5槽本体部分72cの第2キャップ部76bの第2受口80bは給水口として利用され、第2受口80bに第4配水管88eが接合される。第4配水管88eは、第2受口80bと同じ高さのまま延びて、ケース70の側面70aを貫通して、通常取水栓と接続される。この通常取水栓には洗濯機や給湯器など無圧では給水作動しない無圧無給水の通常
取水栓が用いられる。
導入管82、給水管84、配水管88および吸気管90は合成樹脂などで形成される。
このような槽本体68に水道水を供給すると、水道水は、給水管84を通り、給水管84から分岐する3つの導入管82のそれぞれを通って、各槽本体部分72内に流入する。このとき、第2キャップ部76bの第1受口80aの第2配水管88cに接続された通常取水栓を開いておくと、ここから槽本体部分72内の空気が抜けるため、空気弁を設けなくても、水道水はスムーズに各槽本体部分72に流入して、各槽本体部分72を満たす。
水道水は、図20(C)に示すように、第1キャップ部76aの第1受口80aから管部74の管軸に直交する方向へ流入し、側壁78の内面に沿って円を描くように流れる。これにより、管軸方向への水勢圧は低減されながら、水道水は第2キャップ部76bの方向へ進む。また、各槽本体部分72の径は配水管88の径に比べて大きく、かつ1本の給水管84から複数の槽本体部分72に水道水が供給されるため、通常取水栓で生じた水勢圧は槽本体部分72内で緩和される。しかも、第2キャップ部76bの曲面状の底面により第2キャップ部76bへ到達した水道水の水勢圧はさらに低減される。このため、第2配水管88cの通常取水栓を開栓されず、槽本体部分72内の空気の圧力が上昇するような場合でも、初期の通水により槽本体部分72は破壊されず、貯水槽10に安全に貯水することができる。
そして、図15〜図19に示すように、槽本体部分72内の空気が通常取水栓から抜けながら水道水が槽本体部分72へ供給され、また、水道水には給水圧が作用するため、槽本体部分72の中に空気が残ることなく、3つの槽本体部分72のそれぞれは水道水で満たされる。このため、槽本体部分72の内部の水道水は衛生的に保たれる。
各槽本体部分72に水道水が満たされた後、通常取水栓から水道水を取り出すと、槽本体部分72の中の水道水はその通常取水栓と接続する配水管88へ流れ出し、それに伴い導入管82から新鮮な水道水が槽本体部分72へ供給される。このとき、新たな水道水は管部74の管軸と直交方向に流入し、流入する第1キャップ部76aの受口80と対角の位置にある第2キャップ部76bの受口80から槽本体部分72内の水道水は流出するため、槽本体部分72内の水道水は攪拌され、水道水の入れ替えが促進される。
非常時には、非常取水栓として利用される通常取水栓から槽本体部分72内の水道水を取り出す。水道水は、3つの槽本体部分72のそれぞれにおいて第1キャップ部76aの第2受口80bから第1配水管88aへ流れ出し、第1配水本管88bで合流し、通常取水栓へと自然流下する。これにより、1つの通常取水栓から3つの槽本体部分72内の水道水を取り出せる。また、非常取水栓と兼用される通常取水栓を通常通りに使用するだけで、特別な知識、装置あるいは器具などを必要とせず槽本体部分72内に貯水された水道水を使用することができる。
そして、槽本体部分72の水道水が流出するのに伴い、第3配水管88dに設けられた吸気口90aから槽本体部分72内へ空気が取り込まれることにより、第3槽本体部分72aおよび第4槽本体部分72bの内部は陰圧にならず、槽本体部分72内の水道水を残らず取り出せる。また、第5槽本体部分72cには吸気口90aが設けられていないが、第5槽本体部分72cは第3槽本体部分72aおよび第4槽本体部分72bと導入管82および給水管84により連結されているため、第3槽本体部分72aおよび第4槽本体部分72bの空気が導入管82および給水管84を通って第5槽本体部分72cへ取り込まれる。よって、第5槽本体部分72cも陰圧にならず、水道水はスムーズに取り出される。なお、第5槽本体部分72cの第2配水管88cに接続された通常取水栓を開くことに
よっても、この通常取水栓から第5槽本体部分72cに空気が取り入れられるため、水道水はスムーズに取り出される。
また、管部74の端の外面にキャップ部を装着して、キャップ部76内で管部74の管底より低い位置に空間を形成し、かつこの空間に連通する第1配水管88aが接続される第2受口80bに非常取水栓を接続することにより、非常時に槽本体部分72を傾けなくても、槽本体部分72内の水道水は管底より低い空間に流下して集められ、この水道水を無駄なく使用することができる。
図15〜図19に示すように、水道管22(図1)などが破損しても、逆止弁により槽本体部分72内の水道水が給水管84から流出してしまうことはない。たとえ、逆止弁が故障したとしても、給水管84は槽本体部分72の高い位置にある第1受口80aに接合されているため、槽本体部分72内の水道水は抜け出しにくい。
また、第3配水管88dは第2受口80bに接合されているが、第1受口80aの高さまで上げられていることにより、これが止水手段としての役目を果たし、槽本体部分72内の水道水は不用意に抜け出しにくい。さらに、第3配水管88dが陰圧になっても、吸気口90aから第3配水管88dへ空気が吸引されるため、槽本体部分72内の水道水が吸い出されるおそれもない。
さらに、第5槽本体部分72cの第4配水管88eのみ第1受口80aの位置より下方に設けられているが、第4配水管88eは無圧では給水作動しないものに接続されているため、非常時のような給水圧が作用しない場合に、第4配水管88eから槽本体部分72内の水道水が流出することはない。
このような槽本体部分72内の水道水の流出防止手段が設けられていることにより、非常時の水道水が供給されない場合だけでなく、非常時に配水管88の破損などが生じた場合でも、槽本体部分72内の貯水は確保される。
この実施例によれば、槽本体部分72を管部74とキャップ部76とに分け、キャップ部76に受口80を設けることにより、管部74の長さを変えて槽本体部分72の貯水量を調整したり、槽本体68の大きさを配置スペースに合わせたりすることができる。
そして、受口80を槽本体部分72の側方に配置することにより、給水管84や配水管88などを槽本体部分72より上位に配管する必要がないため、槽本体68の高さを低く抑えることができる。よって、槽本体68の薄型化が図れる。
また、キャップ部76どうしは連結されず、槽本体部分72はそれぞれ独立しているため、第2キャップ部76bに接続された通常取水栓を開栓することにより、水道水は各槽本体部分72内を一方向に流れ、水道水の入れ替えはスムーズに行われる。
さらに、配水管88に吸気口90aを設けたり、通常取水栓を開いたりすることにより、槽本体部分72内の空気の吸排気が行われるため、槽本体68に空気弁などを設ける必要がない。よって、槽本体68の小型化が図られ、しかも貯水槽10のシステムが単純化されるため、貯水槽10の信頼性が向上する。
また、槽本体部分72はそれぞれ通常取水栓に接続され、槽本体部分72内の水道水は生活用水として利用されているため、槽本体部分72内の水道水は頻繁に入れ替わり、衛生的に保たれる。このため、槽本体部分72をメンテナンスする必要がないが、仮にメンテナンスする際でも、給水管84のバルブ86を止め、槽本体部分72内を空にしてから
、バルブを開き水道水を給水管84から槽本体部分72へ最大の水圧で通水すると、その水圧の作用により槽本体部分72の内面の汚れは除去されるため、簡単に清掃することができる。
なお、3つの槽本体部分72を傾斜させることもできる。第1キャップ部76aを第2キャップ部76bより下方になるように槽本体部分72を傾斜させることにより、非常時、槽本体部分72内の水道水は第1キャップ部76aに集まるため、水道水を確実に取り出すことができる。
また、第3配水管88dを第1受口80aの高さと同じ高さに配管したが、これらを第1受口80aより下側に配置してもよい。これに対して、第4配水管88eを第1受口80aの高さより下側に配管したが、この第4配水管88eを第1受口80aの高さまで上げて配置してもよい。
さらに、3つの槽本体部分72の管部74の長さを同じにしたが、3つの槽本体部分72の管部74の長さをそれぞれ変えることもできる。
そして、槽本体68は3つの槽本体部分72を含むが、槽本体部分72の数は収納スペースや必要貯水量などに応じて適宜決められる。
また、非常取水栓を通常取水栓と兼用しているが、非常取水栓を専用に用いることもできる。
さらに、槽本体部分72の代わりに図4の槽本体43に対応する槽本体部分を用いたりすることができる。また、槽本体68を地中46(図1)などに配置して、槽本体部分72に図5に示す取水口48などを設けたり、図6のポンプ49aなどを接続したりすることもできる。さらに、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
図21に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、図15に示す貯水槽10とほぼ同じであるが、槽本体68の配置場所および非常取水栓が異なる。図15に示す貯水槽10では、槽本体68は家14の中の非常取水栓の位置より高い位置に配置され、非常取水栓と通常取水栓とは兼用されている。これに対して、図21に示す貯水槽10では、槽本体68は全ての通常取水栓より下位である床下に設置され、非常取水栓が通常取水栓と別に設けられている。これ以外の部分に関しては図15実施例の示す貯水槽10と同様であるため、説明は省略する。
第1キャップ部76aの第2受口80bに第1配水管88aが接続され、3つの第1配水管88aは1つに第1配水本管88bに連結される。第1配水本管88bは、第1配水管88aに対して直交方向に延びて、ケース70の側面70aを貫通し、第1a配水管88baと第1b配水管88bbとに分岐する。第1a配水管88baは通常取水栓に接続されて、第1b配水管88bbは非常取水栓として蛇口92などに接続される。
床下には、一般的に床94から地表面96までの高さhが40〜60cmの空間が設けられており、この空間に台座98などが配置され、その上に槽本体68が載せられる。台座98の高さは、槽本体68の最上部が床94より少し下側になるように、設定される。蛇口92は台座98の端より外側に位置し、蛇口92と地表面96との間に空間が形成される。非常時にはこの空間に容器を置くことにより、蛇口92からの水道水を容器で受けることができる。
なお、槽本体部分72を傾けたり、槽本体部分72の代わりに図4の槽本体43に対応する槽本体部分を用いたりすることができる。また、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
図22および図23に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、図15に示す貯水槽10とほぼ同じであるが、槽本体68の配置場所および非常取水栓が異なる。これ以外の部分に関しては図15実施例の示す貯水槽10と同様であるため、説明は省略する。
3つの第1配水管88aが連結した第1配水本管88bは、第1配水管88aに対して直交方向に延びて、ケース70の側面70aを貫通する。そして、上側に曲がって、第1受口80aの高さで第1a配水管88baと第1b配水管88bbとに分岐する。第1a配水管88baは第1配水本管88bから直交方向に延びて、通常取水栓に接続される。第1b配水管88bbは、第1配水本管88bを延長するように槽本体部分72より上位まで鉛直方向に延びる。第1b配水管88bbにバルブ(図示せず)などが取り付けられ、その先は開口し、蓋(図示せず)で塞がれている。蓋は開閉可能で、通常閉められているが、必要に応じて開かれて、第1b配水管88bbの開口は非常取水栓として利用される。
槽本体68は、全ての通常取水栓より下位である床下の空間の地表面96上に配置される。
非常時には、第1b配水管88bbのバルブおよび蓋を開けて、第2b配水管88の開口に手動ポンプや図6に示す蓄電池49bに接続されたポンプ49aなどを取り付けて、槽本体部分72内の水道水を汲み出す。
なお、槽本体部分72を傾けたり、槽本体部分72の代わりに図4の槽本体43に対応する槽本体部分を用いたりすることができる。また、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。
図24〜図27に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、槽本体68を備える。槽本体68は、たとえば3つの槽本体部分72、つまり第6槽本体部分72d、第7槽本体部分72eおよび第8槽本体部分72fを含む。3つの槽本体部分72はそれぞれ横置きされ、平行に並べられて地中に埋設される。なお、図15に示す貯水槽10と同様により共通する部分については同じ番号を付して説明を省略する。
第6槽本体部分72dの第1キャップ部76aの第1受口80aは導入口として利用され、第1受口80aに給水管84が接合され、給水管84には逆止弁(図示せず)やバキュームブレーカ(図示せず)などが取り付けられる。第2受口80bは給水口として利用され、第2受口80bに第5配水管88fが接合される。第5配水管88fは、上側に曲がり、第5a配水管88faと第5b配水管88fbとに分岐する。第5a配水管88faは第5配水管88fから直交方向に延びて、散水用などの第1通常取水栓に接続される。第5b配水管88fbは、第5配水管88fを延長するように延びて、バルブ(図示せず)などが取り付けられ、その先は開口し、蓋(図示せず)で塞がれている。蓋は開閉可能で、通常閉められているが、必要に応じて開かれて、第5b配水管88fbの開口は非常取水栓として利用される。
第6槽本体部分72dの第2キャップ部76bの第1受口80aは第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bの第1受口80aと接続管100で接続され、第6槽本体部分72dの第2キャップ部76bの第2受口80bは第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bの第2受口80bと接続管100で接続される。
第6槽本体部分72dおよび第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bと同様に、第7槽本体部分72eの第1キャップ部76aの第1受口80aは第8槽本体部分72fの第1キャップ部76aの第1受口80aと接続管100で接続され、第7槽本体部分72eの第1キャップ部76aの第2受口80bは第8槽本体部分72fの第1キャップ部76aの第2受口80bと接続管100で接続される。
第8槽本体部分72fの第2キャップ部76bの第1受口80aは吸気孔や吸排気孔として利用され、この第1受口80aに吸排気管102が接合され、吸排気管102の先に空気弁104が接続される。第2受口80bは給水口として利用され、第2受口80bに第6配水管88gが接合され、第6配水管88gに第2通常取水栓が接続される。
このように3つの槽本体部分72は接続管100で直列に連結されて、1つの流路が形成される。この流路は、第6槽本体部分72dの第1キャップ部76aの位置で最も低くなり、そこから徐々に高くなって、第8槽本体部分72fの第2キャップ部76bの高さが最も高くなるように形成される。つまり、第6槽本体部分72dの第1キャップ部76aの上側に第6槽本体部分72dの第2キャップ部76bが位置し、第6槽本体部分72dの第2キャップ部76bと同じ高さに第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bが位置し、第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bの上側に第7槽本体部分72eの第1キャップ部76aが位置し、第7槽本体部分72eの第1キャップ部76aと同じ高さに第8槽本体部分72fの第1キャップ部76aが位置し、第8槽本体部分72fの第1キャップ部76aの上側に第8槽本体部分72fの第2キャップ部76bが位置する。
このため、給水管84から水道水を供給すると、空気弁104から槽本体部分72内の空気が抜けながら、水道水は、第1キャップ部76aの第1受口80aから第6槽本体部分72d内に流入し、第1キャップ部76a側から第2キャップ部76b側へ水道水が溜まっていく。そして、第6槽本体部分72d内に水道水が満たされると、次に、水道水は2キャップ部76の第1受口80aおよび第2受口80bから流出して、接続管100を通って、第7槽本体部分72eの第2キャップ部76bの第1受口80aおよび第2受口80bから流入する。第7槽本体部分72eに流入した水道水は、第2キャップ部76b側から第1キャップ部76a側へ水道水が溜まっていき、第7槽本体部分72e内を満たすと、第1キャップ部76aの第1受口80aおよび第2受口80bから第8槽本体部分72fへ流出する。さらに、水道水は、第8槽本体部分72fを満たし、槽本体68全体を満たす。
通常時に第2通常取水栓を使用すると、第8槽本体部分72f内の水道水は第6配水管88gから取り出されて、それに伴い、新たな水道水が給水管84から第6槽本体部分72dへ供給される。これにより、3つの槽本体部分72内の水道水が新たな水道水に入れ替えられる。
また、第1通常取水栓を使用すると、第6槽本体部分72d内の水道水は、第5配水管88fを通り、第5a配水管88faへ流れて、第1通常取水栓から取り出される。これにより、断水工事などで濁った水が槽本体部分72内に流入した場合でも、第1通常取水栓から濁った水を取り出すことができる。
そして、第1通常取水から水道水を取り出すに伴い、新たな水道水は給水管84から第6槽本体部分72d内に供給される。よって、第5配水管88fおよび第5a配水管88faの水道水も新たな水道水へ替えられる。
非常時には、第5b配水管88fbのバルブおよび蓋を開けて、第5b配水管88fb
の開口に手動ポンプや図6に示す蓄電池49bに接続されたポンプ49aなどを取り付けて、槽本体部分72内の水道水を汲み出す。
なお、槽本体部分72の代わりに図4の槽本体43に対応する槽本体部分を用いることができる。また、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。さらに、槽本体68をケース70内に収めることもできる。
図28〜図30に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、槽本体68を備える。槽本体68は、たとえば2つの槽本体部分72、つまり第9槽本体部分72gおよび第10槽本体部分72hを含む。各槽本体部分72は、管部74の管軸が鉛直方向を向き、第1キャップ部76aが第2キャップ部76bより下側になるように配置され、2つの槽本体部分72は平行に並べられる。なお、図15に示す貯水槽10と同様により共通する部分については同じ番号を付して説明を省略する。
第9槽本体部分72gの第1キャップ部76aの第1受口80aに導入管82が接合され、導入管82は給水管84および第7a配水管88haに分岐される。給水管84には逆止弁(図示せず)やバキュームブレーカ(図示せず)などが取り付けられ、給水管84は水道管22(図1)と接続される。第7a配水管88haは鉛直方向に延びて、バルブ(図示せず)などが取り付けられ、その先は鉛直方向の上側に開口し、蓋(図示せず)で塞がれている。蓋は開閉可能で、通常閉められているが、必要に応じて開かれて、第7a配水管88haの開口は非常取水栓として利用される。このため、第1受口80aは、通常時に導入口として利用され、非常時に給水口として利用される。なお、導入管82は非常取水栓と繋がる配水管と兼用される。
第9槽本体部分72gの第1キャップ部76aの第2受口80bは給水口として利用される。第2受口80bに第8配水管88iが接合され、第8配水管88iは散水用などの第1通常取水栓に接続される。
第9槽本体部分72gの第2キャップ部76bの第1受口80aに吸排気管102が接合される
第9槽本体部分72gの第2キャップ部76bの第2受口80bは第10槽本体部分72hの第1キャップ部76aの第1受口80aと接続管100で接続される。接続管100に第7b配水管88hbが設けられ、第7b配水管88hbは鉛直方向の上側に延びて、バルブ(図示せず)などが取り付けられ、その先は開口し、蓋(図示せず)で塞がれている。蓋は開閉可能で、通常閉められているが、必要に応じて開かれて、第7b配水管88hbの開口は非常取水栓として利用される。
第10槽本体部分72hの第1キャップ部76aの第2受口80bは給水口として利用される。第2受口80bに第9配水管88jが接合され、第9配水管88jは第8配水管88iと連結されて、第1通常取水栓に接続される。
第10槽本体部分72hの第2キャップ部76bの第1受口80aに吸排気管102が接合される。第2受口80bは給水口として利用され、第2受口80bに第10配水管88kを介して第2通常取水栓が接続される。
通常時に第2通常取水栓を使用すると、第10配水管88kから第10槽本体部分72h内の水道水が取り出され、新たな水道水が給水管84を通って第9槽本体部分72gへ供給される。
また、第1通常取水栓を使用すると、第9槽本体部分72gおよび第10槽本体部分7
2hの水道水は第8配水管88iおよび第9配水管88jを流れて第1通常取水栓から取り出される。そして、第9槽本体部分72gへ新たな水道水が給水管84から供給され、第10槽本体部分72hへ第9槽本体部分72g内の水道水が連続管より供給される。よって、生活用水の使用により、2つの槽本体部分72内の水道水は、新たな水道水へ替えられ、衛生的に保たれる。
非常時には、第7a配水管88haまたは第7b配水管88hbのバルブおよび蓋を開けて、第7a配水管88haまたは第7b配水管88hbの開口に手動ポンプや図6に示す蓄電池49bに接続されたポンプ49aなどを取り付けて、第9槽本体部分72gまたは第10槽本体部分72hの水道水を取り出す。これにより、第9槽本体部分72g内の水道水は、給水管84から第7配水管88haまたは第7b配水管88hbへ流れて、取り出され、第10槽本体部分72h内の水道水は、接続管100から第7配水管88haまたは第7b配水管88hbへ流れて、取り出される。
このように、槽本体部分72のそれぞれに非常取水栓を設けることにより、各槽本体部分72内の水道水の残量を把握しやすい。
また、第8配水管88iおよび第9配水管88jは各槽本体部分72の下側に取り付けられているため、水より密度の重い異物が水道水に混入していても、異物は槽本体部分72の底に沈み、水道水とともに第8配水管88iおよび第9配水管88jを通って第1通常取水栓から取り出される。よって、この水道水を散水などに使用することにより、槽本体部分72内をさらに衛生的に保て、かつ水道水を無駄なく使用することができる。
なお、図28に示す槽本体68を屋内に配置してもよいし、土中に埋設してもよい。
また、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。さらに、槽本体68をケース70内に収めることもできる。
図31に示すこの発明の他の実施例である貯水槽10は、槽本体68を備える。槽本体68は、たとえば2つの槽本体部分72、つまり第11槽本体部分72iおよび第12槽本体部分72jを含む。各槽本体部分72は、管部74の管軸が鉛直方向を向き、第1キャップ部76aが第2キャップ部76bより上側になるように配置され、2つの槽本体部分72は平行に並べられる。なお、図15に示す貯水槽10と同様により共通する部分については同じ番号を付して説明を省略する。
第11槽本体部分72iの第1キャップ部76aの第1受口80aに吸排気管102が接合され、吸排気管102に空気弁104が接続される。第2受口80bは導入口として利用される。第2受口80bに給水管84が接合され、給水管84には逆止弁(図示せず)やバキュームブレーカ(図示せず)などが取り付けられる。
第11槽本体部分72iの第2キャップ部76bの第1受口80aは第12槽本体部分72jの第2キャップ部76bの第1受口80aと接続管100で接続される。接続管100に第11配水管88lが設けられ、第11配水管88lは鉛直方向の上側に向かって延びて、バルブ(図示せず)などが取り付けられる。第11配水管88lの先は鉛直方向の上側に開口し、蓋(図示せず)で塞がれ、蓋を開くことにより非常取水栓として利用される。
第11槽本体部分72iの第2キャップ部76bの第2受口80bおよび第12槽本体部分72jの第2キャップ部76bの第2受口80bは給水口として利用される。各第2受口80bに第12配水管88mが接合され、2つの第12配水管88mは1つに連結さ
れて、第1通常取水栓に接続される。
第12槽本体部分72jの第1キャップ部76aの第1受口80aに吸排気管102が接合され、吸排気管102に空気弁104が接続される。第2受口80bは給水口として利用される。第2受口80bに第13配水管88nが接合され、第13配水管88nに第2通常取水栓が接続される。
通常時に第2通常取水栓を使用すると、第12槽本体部分72j内の水道水が第13配水管88nから取り出され、新たな水道水が給水管84から第11槽本体部分72iへ供給される。
また、第1通常取水栓を使用すると、第12槽本体部分72jの水道水が第12配水管88mを通って第1通常取水栓から取り出されて、新たな水道水が第11槽本体部分72iへ供給される。
非常時には、第11配水管88lのバルブおよび蓋を開けて、第11配水管88lの開口に手動ポンプや図6に示す蓄電池49bに接続されたポンプ49aなどを取り付けて、第11槽本体部分72iおよび第12槽本体部分72jの水道水を取り出す。空気弁104から空気を吸引しながら、2つの槽本体部分72内の水道水は、1つの第11配水管88l内を流れて、同時に取り出される。
また、非常時に給水管84にトラブルが生じても、給水管84は槽本体部分72の最上部に配置される第1キャップ部76aに接合されているため、槽本体部分72内の水道水が不用意に流出しにくい。
なお、図31に示す槽本体68を屋内に配置してもよいし、土中に埋設してもよい。
また、槽本体部分72の内部に図7に示すオリフィス板52を設けることもできる。さらに、槽本体68をケース70内に収めることもできる。
なお、槽本体部分を配置位置などに応じて区別する場合には72に添え字a〜nを付した72a、72b、72cなどを用い、これらを包括して表現する場合には72を用いている。また、76、80および88も同様である。
そして、槽本体とは、1つの槽本体だけでなく、複数の槽本体部分を含む表現である。
また、上で挙げた角度や寸法の具体的数値はいずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
また、配水管34、55、88に浄水器などを組み込むこともできる。
さらに、槽本体(図1;12、図4:43、図8:51、図9:56、図14:62、図15、図21、図22、図24、図28。図31:68)と別にトイレ専用貯水槽を貯水槽10に設け、これを槽本体に併設することができる。この場合、水道水を給水管24から槽本体に経由させてトイレ専用貯水槽に供給してもよいし、水道水を給水管24から直接トイレ専用貯水槽に供給してもよい。そして、どちらの場合でもトイレ専用貯水槽からトイレへ配水される。このトイレの配水方式には無圧方式、圧力方式またはアキュムレータ方式などがあるが、これらに限定されない。