JP2011206813A - 電縫鋼管のシールボックス溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明による電縫鋼管のシールボックス溶接装置は、シールボックス(5)の入側から出側に向けて、シールボックス入口ガス供給管(30)、高周波加熱コイル(22)、スクイズロール(23)、溶接点ガス供給管(31)、シールボックス雰囲気調整用ガス供給管(32)及び酸素濃度計(33)を有し、電縫鋼管(6)内にインピーダ(8)を有し、このシールボックス(5)内の酸素濃度を100ppm以下で、シールボックス雰囲気調整ガス流量を100l/min以上とすると共に溶接点ガス供給管(31)からのガス流量が100l/min以上とした構成である。
【選択図】図1
Description
通常、マンドレルには、インピーダの性能が悪化しないよう、インピーダを冷却するための冷却配管が配設されており、インピーダを連続的に冷却することができる。このインピーダの冷却水は、溶接点付近に位置するインピーダケース先端部から噴出され、内面ビード切削装置の切削バイトを冷却する役目も果たしている。
しかし、ペネトレータが発生し易い帯鋼を用いて電縫鋼管を製造する場合は、このインピーダの冷却水が溶接点付近で噴出する構造のマンドレルを使用すると、溶接欠陥が数多く発生する。
そのため、このペネトレータの発生を極力抑えるために、溶接部を周知の非酸化性ガスでシールドするガスシールド溶接法が採用されている。
すなわち、オープンパイプ1の外径より大径の内径を有する内筒2と、高周波ワークコイル3に内接する外筒4とから主としてなるシールボックス5が用いられ、電縫鋼管6内に挿入する内面ビード切削装置7、インピーダ8を内蔵するインピーダケース9、切削装置7に接続されたマンドレル10、マンドレル10に設けられ溶接点11付近に位置するシールドガスを噴出するためのシールドガス配管12等が配設されている。
すなわち、前述の装置においては、鋼板を円筒状に成形するフォーミングロールから溶接装置への冷却水の流入の防止が困難であり、流入した冷却水が溶接点付近で蒸発すると、その蒸気によってシール性が悪化し、ペネトレータすなわち酸化物欠陥を抑制できないことがあった。
また、シールドボックスの管入側及び管出側の部分が固定の内径となっているため、種々の鋼管寸法に対応するためには、鋼管寸法毎にガスシールド装置を準備しなければならず、取替えが必要なため生産性を悪化させる。また、シールドボックスの取替えの場合には、シールドボックス自体が内筒と外筒の二重筒状であるため、あらゆる鋼管寸法に合わせて種々のシールドボックスを用意し、かつ、交換することは、経費上及び労力上からも極めて困難なことであった。
すなわち、シールボックスの内部に、高周波加熱コイルと、スクイズロールと、シールボックス入口ガス供給管及びその第1噴出口と、溶接点ガス供給管及びその第2噴出口と、シールボックス雰囲気調整用ガス供給管及びその第3噴出口と、酸素濃度計と、電縫鋼管内面に挿入される内面ビード切削装置と、前記内面ビード切削装置にマンドレルを介して接続されたインピーダと、前記インピーダと内面ビード切削装置を連続して冷却するための冷却水供給管とその冷却水を前記内面ビード切削装置の手前の位置で噴出する第4噴出口とを備え、前記シールボックス雰囲気調整用ガス供給管を介してシールボックス雰囲気調整ガスを流量100l/min以上導入すると共に、かつ、シールボックス入口ガス流量が100l/min以上、溶接点ガス供給管からのガス流量が100l/min以上で吹付けると共にシールボックス内の酸素濃度を100ppm以下となるように制御した構成したことにより、高周波加熱コイルから溶接点を経てスクイズロール後方までの全体をボックス構造とし、その内部を不活性ガス雰囲気とし、かつ酸素濃度を100ppm以下としつつ溶接を行い、シールボックス入口からの大気侵入防止と溶接点への不活性ガス吹付けにより、ペネトレータ欠陥を皆無にすることができる。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号5で示されるものはフォーミングスタンド出側20からのオープンパイプ1が挿入される全体形状が箱形のシールボックスであり、このシールボックス5内の両端には、その管入力側可変部21から下流側にかけて、高周波加熱コイル22、スクイズロール23及び管出側可変部24が設けられている。
さらに、シールボックス5内には、ボックス内の雰囲気を排出するための排気口(図示せず)を設けてもよい。
従って、前述の構成によれば、フォーミングロール及び内面ビード切削装置7の冷却水、大気、水蒸気等の侵入を防止できるため、図3で示されるような酸化物欠陥であるペネトレータ割れ50の発生を零とすることができる。
また、前記インピーダ8の冷却水の戻り配管がないため、その分、インピーダ8の充填率を向上させ、溶接効率の向上を図ることができる。
Si:1.0%、Mn:1.0%を含む外径30mm、肉厚5.0mmの電縫鋼管の製造に際し、図1に示すガスシール溶接装置40内の酸素濃度、溶接点におけるガス流量、シールボックス入口におけるガス流量、雰囲気調整ガス流量とペネトレータ割れ率の関係を調査した。なお溶接点ガス、シールボックス入口ガス、雰囲気調整ガスにはN2ガスを用いた。
酸素濃度は10ppm〜21%まで変化、溶接点におけるガス流量は10〜280l/min、シールボックス入口におけるガス流量は10〜300l/min、シールボックス雰囲気調整ガス流量は0〜300l/minまでそれぞれ変化させ、造管速度20m/min、で製造した。酸素濃度21%とは、シールボックスを開放して大気中での造管を意味する。なお、冷却水供給管に導入した冷却水の流量は、5l/minとした。
評価方法は図2に示すように溶接部分を圧縮方向に対して垂直の方向に置いて、へん平試験を行った。試験片は、それぞれの製造条件において、20本を採取し、それぞれ1mの試験片を採取して、ペネトレータ割れ率を測定した。ペネトレータ割れ率は、1mの試験片に占めるペネトレータ割れ長さを言う。図3にへん平試験による代表的なペネトレータ割れの例を示す。
前述の表1のシールボックス5内の酸素濃度によれば、酸素濃度10ppm〜80ppmの範囲であるが、さらなる実験の結果によれば、酸素濃度100ppmから20ppmまでは前述と同様の作用効果を得ることができた。
尚、表1において、ガス流量を増加させればペネトレータ割れ抑制が可能であるが、コスト上昇となるため、溶接点におけるガス流量とシールボックス入口ガス流量及びシールボックス雰囲気調整ガス流量の各々のガス流量を100l/min以上として、これらの合計であるトータルガス流量を600l/min以下とすることが最適であった。
5 シールボックス
6 電縫鋼管
7 内面ビード切削装置
8 インピーダ
9 インピーダケース
11 溶接点
20 フォーミングスタンド出側
21 管入側可変部
22 高周波加熱コイル
23 スクイズロール
24 管出側可変部
30 シールボックス入口ガス供給管
30a 第1噴出口
31 溶接点ガス供給管
31a 第2噴出口
32 シールボックス雰囲気調整用ガス供給管
32a 第3噴出口
32b 排気口
33 酸素濃度計
34 冷却水供給管
34a 第4噴出口
36 マンドレル
40 シールボックス溶接装置
Claims (1)
- シールボックス(5)の内部に、高周波加熱コイル(22)と、スクイズロール(23)と、シールボックス入口ガス供給管(30)及びその第1噴出口(30a)と、溶接点ガス供給管(31)及びその第2噴出口(31a)と、シールボックス雰囲気調整用ガス供給管(32)及びその第3噴出口(32a)と、酸素濃度計(33)と、電縫鋼管(6)内面に挿入される内面ビード切削装置(7)と、前記内面ビード切削装置(7)にマンドレル(36)を介して接続されたインピーダ(8)と、前記インピーダ(8)と内面ビード切削装置(7)を連続して冷却するための冷却水供給管(34)とその冷却水を前記内面ビード切削装置(7)の手前の位置で噴出する第4噴出口(34a)とを備え、前記シールボックス雰囲気調整用ガス供給管(32)を介してシールボックスに導入する雰囲気調整ガスの流量が100l/min以上、かつ、シールボックス入口ガス流量が100l/min以上、溶接点ガス供給管(31)からのガス流量が100l/min以上で吹付けると共にシールボックス(5)内の酸素濃度を100ppm以下となるように制御するように構成したことを特徴とする電縫鋼管のシールボックス溶接装置。
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