JP5664835B2 - プラズマシールド電縫鋼管の製造方法 - Google Patents

プラズマシールド電縫鋼管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板を管状に成形加工しその突合せ端面を溶接して鋼管とする電縫鋼管の製造方法に関するものである。
一般に、電縫鋼管は、鋼板からなる帯状コイルを連続的に多数のロール群によって管状に成形し、この管状の鋼板をワークコイルによる誘導加熱、もしくはコンタクトチップによる直接通電加熱を行い、鋼板端部を所定温度に加熱・溶融させるとともにスクイズロールによって加圧しながら溶接(電縫溶接)して製造する。
従来から酸化物を生成しやすい元素(Cr、Al、Ti、Siなど)を含有する鋼板を溶接して電縫鋼管を製造する場合、その溶接部にペネトレータと称する酸化物に起因する溶接欠陥が発生することが多い。このペネトレータが発生すると、靭性値(特に低温靭性値)、耐食性および冷間加工性を低下させる原因となっている。
この対策として、電縫溶接する際に、鋼板突合せ端面に1400℃以上の還元性高温燃焼炎または非酸化性高温プラズマを所定流速で吹付けることにより酸化物を減少させ、さらに酸化物を排出させることができることが報告されている(特許文献1)。いわゆる非酸化性プラズマにより溶接部をシールするプラズマシールド溶接について開示されている。
しかし、単にプラズマシールド溶接であっても、プラズマが乱流であると大気中の酸素を巻き込み易くなり、ペネトレータの抑制効果が著しく劣る。そのため、プラズマが層流となるよう、カスケード型のプラズマガン(プラズマトーチともいう)が提唱されている(特許文献2)。 カスケード型プラズマガンは、カソードとアノード間に電圧を印加して生成するプラズマに、さらにアノードガスを吹付けてプラズマ化させ、それを噴射するプラズマガンである。
また、プラズマ中の雰囲気を還元性雰囲気にするため、プラズマ作動ガスには水素(H)を混入させることが提唱されている(特許文献1、2)。水素(H)には、熱伝達係数の増加作用により溶接入熱増加にも効果がある(特許文献2)。
さらに、本発明者らは、層流プラズマを得やすいプラズマガンの開発を鋭意進めた。その結果、カソードとアノード間に電極間インサートであるカスケードが、段階的に拡径する内部形状とすることにより、長い層流プラズマを得ることができた(特許文献3)。
プラズマ作動ガスについては、前述したように従来のプラズマシールド溶接では、非酸化性(もしくは還元性)雰囲気を得ることと、熱伝達率が大きく入熱量を多くすることから、プラズマ作動ガスに水素(H)を含有し、この効果を得るためには2体積%以上の含有が必要と提唱している(特許文献2)。その反面、水素はプラズマの安定性を阻害する。つまり、水素含有量を増加すると、乱流になり易くなる。そのため、プラズマ作動ガス中の水素含有量は40%以下(特許文献1)や50%以下(特許文献2)とすることが提唱されている。
また、プラズマ作動ガスには、水素(H)以外に窒素(N)やヘリウム(He)を添加し、熱伝達率を向上させることも提案されている。この場合、プラズマの安定性確保のためにAr含有量を50体積%以上とし、窒素(N)やヘリウム(He)は50%未満とすることが提唱されている(特許文献1、2)。
特開2004−298961号公報 国際出願公開公報 WO2008−108450号公報 未公開国際出願 PCT/RU2011/000109号
現在、ラインパイプや油井管、自動車用鋼管用として、シームレス鋼管などの高品質鋼管が使用されているが、コスト的観点や製造し易さの観点から、その代替品として電縫鋼管の需要が高まっている。そのためには、さらにペネトレータに代表される欠陥の低減が求められている。そこで、本発明者らは、プラズマシールド溶接による電縫鋼管中の欠陥低減効果をさらに向上させるべく、プラズマ作動ガスの再評価を行った。特に、プラズマ性状への影響が強い水素に着目した。
水素は、非酸化性(還元性)効果があるだけでなく、熱伝達率が大きいためプラズマ作動ガスに水素を含有すると補助熱源作用を奏することが知られている。そのため、電縫溶接時のトータルの入熱量が低入力側にシフトすることは、水素添加の効果である。
一方、電縫鋼管製造時の操業条件の変動、例えば被溶接材がローリングなどにより、溶接部がプラズマから外れシールド効果が得られなくなることが発生する。そうなると、電縫溶接は、シールドなし(無シールド)状態となるため、溶接部の欠陥が著しく増加する。水素添加の補助熱源効果のため溶接入熱が低入熱量側にシフトしているため、入熱不足に特有な欠陥が発生し、その欠陥増加量は100倍近くになる。電縫鋼管製造における操業変動は避けることはできないため、高品質の電縫鋼管を得るには、この操業変動への適応性の高い溶接方法、つまり安定したシールド方法が求められている。
また、プラズマでシールドされていたとしても、不安定な(乱流になり易い)尾炎部でシールドすることになるので、大気中の酸素を取り込みやすく、酸化物欠陥の増加につながっていることも分かった。
一方、従来プラズマ作動ガスの主要ガス成分としていたArは、プラズマ安定性を向上させる効果があるが、希少ガスのため高価であり、プラズマ作動ガスのコスト削減の要請が強くなっている。
以上のことから、プラズマシールド溶接において、プラズマ作動ガスの成分を抜本的に見直し、欠陥数のさらなる低減を果たすためのプラズマシールド溶接方法の提供を目的とする。特にプラズマ作動ガス中の水素の添加効果を再評価し、最適なガス組成を得ることを課題とする。
本発明者らは、プラズマ安定性に対し、水素の持つ悪影響をなくすため、水素無添加もしくは微量添加領域に着目し解析を行った。従来水素2%以下は水素添加効果がないとされていたが、むしろ水素を添加しないことにより、以下の利点があることを見出した。なお、ガス中の水素等の含有量を単に%と表示するが、それは特に断りのない限り体積%を示す。
(a)水素無添加もしくは微量添加による欠陥低減
Ar−N−H系プラズマ作動ガスにおいて、水素は熱伝達率が大きいため補助熱源作用があり、欠陥数が極小となる適正電縫溶接入熱レベルが低入力側にシフトする。
一方、水素を添加しないAr−N系プラズマ作動ガスによるプラズマシールドでは、適正入熱量は水素添加した場合よりも大きくなる。その適正入熱量における欠陥数は、水素添加した場合の欠陥数とあまり相違がないことを確認した。
また、シールドのない溶接での適性入熱量は、水素添加しないAr−N系ガスのときと同じレベルであることも確認した。このため、電縫鋼管の操業上の外乱によりシールドが溶接部から外れ無シールド状態となった場合であっても、欠陥数の増加は、水素添加のAr−N−H系にくらべ少なくなることを見出した。
さらに、水素添加量を増やすと、電縫溶接の適正入熱量は低熱量側へシフトすることから、無シールドでの適正入熱量に合致させるため、水素の微量添加により調整できることも見出した。発明者らの実験から、水素を1%以下含有させることで、操業上の外来により無シールド状態になったときの欠陥数の増大を最小限に抑制することができることを見出した。
(b)水素無添加もしくは微量添加によるプラズマ安定化
前述したように、水素はプラズマ安定化を阻害する。従来は、50%以下であればプラズマにはあまり影響がないとされていた。しかし、本発明者らは、水素添加の効果を細かく分析し、水素(H)添加をしないとプラズマの安定性は著しく向上し、層流のフレームが長くなることを見出した。特に水素の微量(0〜1%)添加領域ではその効果が大きく、H含有量が1%を超えるとプラズマの縮退が著しくなりフレーム長が短くなる。近年の長フレーム化した層流プラズマでは、なおさらこの縮退は問題となる。したがって、安定したプラズマを得るためには、従来の当業者間の常識を覆し、Hを含有しないガス系にするか、含有しても1%を限度とすることを見出した。
(c)水素添加量の減少による騒音レベルの低下
Ar−N−H系プラズマ作動ガスにおいて、水素添加量を減少させると騒音レベルも低下することを見出した。特に、水素添加量が1%以下になると極端に騒音レベルが低下する(80dB以下)ことを見出した。これは作業環境の著しい改善をもたらすものである。
(d)水素添加量の減少によるプラズマガン寿命の向上
Ar−N−H系プラズマ作動ガスにおいて、前述したように水素の熱伝達率は大きいため、水素添加量の増加に応じてプラズマ作動ガスが接するプラズマガンの受ける熱負荷も増加する。それはプラズマガンの寿命低下につながっていた。逆に、水素添加量を減らせば、プラズマガンの熱負荷は減少し、プラズマガンの寿命延長につながることを見出した。
以上の知見から、本発明をなしたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)
鋼板を管状に成形加工しその突合せ端面を溶接する際に、プラズマガンのカソードとアノードの間に供給したプラズマ作動ガスに電圧を印加してプラズマ生成し、そのプラズマで溶接部近傍をシールドするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法において、
前記プラズマ作動ガスの成分が、体積%で、
が70%以上90%以下で、
残部Arおよび不可避的不純物であることを特徴とするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(2)
前記プラズマ作動ガス中に、さらに、Hが1体積%以下含まれていることを特徴とする(1)に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
即ち、鋼板を管状に成形加工しその突合せ端面を溶接する際に、プラズマガンのカソードとアノードの間に供給したプラズマ作動ガスに電圧を印加してプラズマ生成し、そのプラズマで溶接部近傍をシールドするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法において、
前記プラズマ作動ガスの成分が、体積%で、
が70%以上90%以下、
が0%超で1%以下、
残部Arおよび不可避的不純物であることを特徴とするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(3)
前記プラズマが層流であることを特徴とする(1)または(2)に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(4)
前記プラズマ作動ガスがカソード側から供給するカソードガスとアノード側から供給するアノードガスで構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(5)
前記アノードガスの成分がArおよび不可避的不純物であることを特徴とする(4)に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(6)
前記アノードガスのガス流量が、前記プラズマ作動ガスのガス流量の5〜30%であることを特徴とする(4)または(5)に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
(7)
前記カソードガスのガス流量が8L/min以上30L/min以下であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1項に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
本発明により、現状の溶接条件を大きく変更することなく、欠陥の少ない電縫溶接鋼管を得ることができる。さらに、プラズマ安定化効果により、操業中の溶接した鋼管のローリングなどへの対応性がよく、電縫鋼管の総合的品質向上(欠陥数の低減)する効果がある。
本発明の付随的効果として、騒音レベルの低減、プラズマガンをはじめとする設備寿命の延長効果を得ることができる。
電縫溶接入熱量と欠陥の面積率の関係を示す図である。(a)は従来のAr−N−H系プラズマ作動ガスと無シールドの場合の対比を示す図である。(b)は、従来のAr−N−H系ガス、本発明に係るAr−N系ガス、および無シールドの場合の対比を示す図である。 プラズマ作動ガス中の水素添加量とフレーム長の関係を示す図である。 プラズマ作動ガス中の水素添加量とプラズマガンの騒音レベルの関係を示す図である。 プラズマ作動ガス中の水素添加量とプラズマガンの寿命(Lifetime)の関係を示す図である。 電縫鋼管製造装置の概念図である。(a)は側面図を(b)は立面図を示す。 カスケード型プラズマガンの概念図である。
以下、本発明について、実施例に基づき詳細に説明する。
本発明者らは、プラズマ作動ガスについて再評価するにあたり、水素添加の効果を中心に評価した。水素には、非酸化作用(還元作用)だけでなく補助熱源作用による溶接入熱増加効果がある反面、プラズマを不安定化させる効果がある。プラズマシールドにおいては、プラズマの安定化が重要であることから、プラズマに悪影響をもたらす水素に着目した。
[電縫鋼管製造装置]
まず電縫鋼管の製造装置について、図5を用いて説明する。電縫鋼管は、鋼板を管状に成形加工しその突合せ端面を溶接することにより、連続的に製造される鋼管である。電縫鋼管の製造方法、製造装置はいろいろあるが、本発明においては特に方法、装置を限定しない。本願においては、図5の電縫鋼管の製造装置を例として説明する。
図5(a)は、電縫鋼管の溶接装置200で電縫鋼管Kを製造する工程を説明する模式的な側面図である。図5(b)は図5(a)を上から見た模式図である。電縫鋼管Kを製造する場合には、まず、例えば、厚さが1〜22mm程度の鋼板100を方向Fに向けて連続的に搬送しながら、図示略の多数の成型ロール群によって管状に成形する(未表示)。その突合せ端面101を挟んでワークコイル220から通電することにより突合せ端面を加熱し、スクイズロール201で荷重を加えて、突合せ端面101を溶融圧着による溶接し、電縫鋼管Kを連続的に製造する。210はトップロールである。
このとき、溶接部となる突合せ端面101に周囲の空気を巻き込まないように、プラズマガンTで発生させたプラズマによりプラズマシールドする。プラズマが溶接部を的確にシールするよう、プラズマガンTの配置は慎重に調整し、決定される。なお、221はエアーナイフであり、造管上流から溶接部近傍への水の流入を遮断させる効果がある。
[プラズマガン]
次に、プラズマを生成するプラズマガンについて図6を用いて説明する。
最近のプラズマシールド溶接では、プラズマ長が長く、層流プラズマによるシールドが実現されている。層流プラズマによるシールドは、溶接部において空気の巻き込みが少ないため、ペネトレータ等の欠陥を抑制する。また、プラズマ長が長いと、溶接部から離れたところにプラズマガンを設置することができ、設備スペース的に有利である。反面、長い層流プラズマを安定して得ることは簡単ではない。本発明者らは、安定してプラズマ長の長い層流プラズマを得ることができるプラズマガンを開発した(特許文献3)。図6は、特許文献3で開示されたプラズマガンの構造の模式図である。このプラズマガンによれば、安定して長いプラズマ長の層流プラズマを得ることができる。本願においては、このプラズマガンによるプラズマを例として説明する。なお、本発明はこのプラズマガンによるプラズマに限定されるものではない。プラズマの性質上、特にプラズマガンの型式は問わないからである。
また、この図6はプラズマガンTの要部(以下、単にプラズマガンとも呼ぶ。)である。このプラズマガンは、カソード1とアノード4との間にカスケード3が配設され、カスケード3の内側にカソードガスAを導入し、カソード1とアノード4との間に電圧を印加してプラズマCを形成する。形成したプラズマCにさらに、アノードガスBを吹付け、アノードガスBもプラズマ化し、所定のプラズマDを得るカスケード型のプラズマガンである。
プラズマガンTのカソード1は、水冷構造を有する銅製の本体部11と、該本体部11に挿入された棒状のタングステンの陰極12とから構成されている。また、プラズマガンTのカソード1とカスケード3(図5中の3A〜3Eをまとめてカスケード3と呼ぶ)、およびカソード1とアノード4とは電気的に絶縁されている。またカソード1とカスケード3との間には水冷構造を有するパイロット部材2が備えられている。カスケード3は、パイロット部材2とアノード4との間に配置され、アノード4側に向かうに従って多段で段階的に内径が拡大するように、互いに電気的に絶縁された複数の部材(図5中の3A〜3Eの各部材)から構成される。アノード4は、水冷構造を有する銅製部材であり、さらに、アノード4の後段には、段階的あるいは連続的に内径が拡大し(図6では段階的に内径が拡大する)、水冷構造を有する出射ノズル5が配置されている。出射ノズル5には、最終的に出射されるプラズマDへの酸素の拡散を遮断するためプラズマを囲むようにNまたはArガス(E:サイドシールドガス)を吹付けるサイドシールドモジュール6が備えられている。このサイドシールドガスの流量は、プラズマを乱さない範囲で、多いほうが拡散を抑制する効果が高くなる。
本願においては、プラズマ径18mm、N−Ar−H系プラズマ作動ガスでのプラズマ長定格200mm〜300mmのプラズマガンによる実施例を例に説明する。
なお、本発明は、プラズマの生成方法、プラズマガンの型式などは限定しない。プラズマ作動ガスの成分の違いによるプラズマの性質の相違に着目しているからである。
[電縫鋼管製造条件]
鋼板:本発明の説明に使用する鋼板成分を表1に、また電縫鋼管の製造条件を以下に示す。
鋼板板厚:11.0mm
電縫鋼管径:外径168.3mm(φ168.3)
造管速度:15m/min(Vm=9.0m/min、V角5°)
前記実施条件は、本発明者らの経験上、電縫鋼管製造における代表的な条件を選択している。なお、本発明は、鋼板の成分、板厚等の鋼板性状および電縫鋼管の径、造管速度等の電縫鋼管性状および製造方法は限定されない。鋼板や電縫鋼管に関する製造条件に関する要因とプラズマ、特にプラズマ作動ガスによる要因とは独立して評価できるからである。
Figure 0005664835
[プラズマ作動ガス]
本発明は、プラズマ作動ガスの成分について抜本的に見直し、特に水素の影響について調査し、新たな知見を得たものである。ベースとなるプラズマ作動ガスは、後で解説するが、窒素(N)成分を主体としたAr−N−Hガスを使用した。ガス成分(ガス成分(%)は、特に断りのない限り体積%にて示す。以下同じ。)はAr:20%、N:80%を標準ガスとした。Hの添加効果をみるため、この標準ガスにおいてAr20%を固定し、Hの添加量を0.5%、1%、2%、3%、4%、14%と添加したときは、その分Nを79.5%、79%、78%、77%、66%と減少させた。また、H無添加ガスとして標準ガス(Ar:N=20%:80%)のほかに、Ar:N=40%:60%、Ar:N=30%:70%、Ar:N=10%:90%、Ar:N=5%:95%、および従来ガスとしてAr:N=55%:45%を使用した。従来ガスは、特許文献1,2ともAr−N系ガスは提唱しているものの実施例がなく、最適成分比も開示させれいないので、提唱仕様内で成分比を設定した。特に断りのない限り、Ar−Nガスと記載した場合は20%Ar−80%Nの標準ガスを、Ar−N−Hガスと記載した場合は、前記した標準ガスをベースにH添加量を変化させたガスを示す。
水素、窒素、アルゴン、それぞれのガス成分の特徴は、一般に次のように言われている。
水素(H)ガスは、熱伝達率が高いので、ガス全体の熱伝達率を向上させる効果がある。また、プラズマになったときに酸素キル作用(大気から巻き込んだ酸素を不活性にする作用)があり、プラズマ中に混入した酸素と結合し、酸化物の生成抑制効果がある。そもそも、水素は還元作用、つまり酸化抑制作用があるから、酸素キル作用とあいまって酸化物の生成抑制効果がある。しかし、水素はプラズマの安定性阻害作用があり、安定したプラズマが得にくいという欠点がある。
窒素(N)ガスは、質量がArより軽いため、レイノルズ数(Re)を低くする。このため、プラズマを層流化し易くする効果がある。また、乖離した窒素には、水素と同様に、酸素キル作用があり、プラズマ中酸素と融合して酸化物の生成抑制効果がある。
アルゴン(Ar)は、プラズマ安定化効果がある。もともと、Arはプラズマ化し易い元素であり、初期着火時などには、Arを多くすると安定したプラズマが得られる。しかし、比較的重いガスであるだけでなく、稀少ガスのため高価である。
従来は、ガス成分の得失を調整し、適正な配合が提唱されている。例えば、特許文献1および2とも、Arを50%以上とし、それにHおよびNの一種または二種を混合させたものであって、Hは5〜40%、Nは20〜50%添加することを提唱している。これはArのプラズマ安定化効果に重点を置き、熱伝達率係数などを上げることを期待しているからである。しかし、従来は、そもそもプラズマ安定化阻害元素である水素に関する知見はなく、水素無添加だけでなく微量添加の効果については、未だ検証されていないのが実態である。本発明者らは、ここに着目し、水素無添加および微量添加の効果を評価した。
ガス流量は、プラズマガンの仕様にもよるが、本実施例では24L(リットル)/min(分)とで行った。また、プラズマガンは、前述したカスケード型プラズマガン(図6参照)を使用した。しかし、実験においては、サイドシールドは使用しなかった。さらに、アノードガス(図6のB)も使用せず、プラズマ作動ガスは全量カソード側からカソードガス(図6のA)として供給した。これにより、プラズマガンの種類、型による影響がでないようにした。
[水素無添加もしくは微量添加による欠陥低減]
図1に、電縫溶接時の入熱量と欠陥率(欠陥面積率)の関係をプラズマ作動ガスごとに示す。ここで欠陥面積率(Defect area ratio)とは、溶接面積に対するペネトレータ(酸化物に起因する溶接欠陥。以下、特に断りのない限り単に欠陥と呼称する。)の面積率である。電縫溶接部にノッチ底部を一致させたシャルピー試験片を全面延性破壊になる温度(150℃)で破壊して欠陥面積を測定することで欠陥面積率が測定できる。
Ar−N−H系プラズマ作動ガスによるプラズマシールドでは、水素は熱伝達率が大きいため補助熱源作用があり、適性電縫溶接入熱レベルが低入力側にシフトする。その結果、欠陥数も極小となる電縫溶接の適正入熱量は1000kW程度になる。
一方、水素を添加しないAr−N系プラズマ作動ガスによるプラズマシールドでは、入熱量は水素添加した場合よりも大きくなる。その適正入熱量は1050kW程度になり、ここにおける欠陥数が極小値は、水素添加した場合とあまり相違がないことを確認した。
また、シールドのない(無シールド)溶接での適正入熱量は、水素添加しないAr−N系ガスのときと同じレベル(1050kW程度)であることも確認した。
電縫鋼管は連続製造されるが、その最中になんらかの要因で鋼管がローリングし、プラズマが溶接部から外れることがある。このとき溶接部はシールドがない状態(無シールド状態)となり、大気中の酸素を巻き込み欠陥が多発する。図1で説明すると、Ar−N−H系プラズマ作動ガスでのプラズマシールドがなくなると、入熱量は変化しないので、その直上無シールド(No sealed)のレベルまで欠陥面積率が増加する。図1では約2桁(100倍)増加する。さらに、無シールドなので、プラズマからの補助熱源効果がなく、入熱量不足となり冷接(cold weld)等の溶接不良の原因ともなる。
一方、Ar−N系プラズマ作動ガスによるプラズマシールドでも、無シールド状態になると欠陥は増加する。しかし、欠陥の増加は1桁(10倍)程度に抑えられる。また、もともと入熱量も同程度であるので、入熱量不足による冷接等の溶接不良も生じにくい。このため、シールドが溶接部から外れ無シールド状態となった場合であっても、欠陥数の増加は、水素添加したAr−N−H系に比べ著しく少なくなることを確認した。つまり、水素無添加のAr−N系プラズマ作動ガスは操業上の変動に対し対応性が高いと言える。水素無添加のAr−N系の場合、ArとNの成分比率を変化させても、特に変化はなかった。水素の補助熱源作用が、適正入熱量の決定に影響しているためと考えられる。
なお、図示はしていないが、Ar−N−H系プラズマ作動ガスでH添加量を増やすにつれ、入熱量が減少側へシフトすることも確認した。
水素添加していないAr−N系プラズマ作動ガスで欠陥数が極小となる最適溶接入熱量は、無シールドでの欠陥数が極小となる最適溶接入熱量より若干大きくなる。したがって、僅かながらでもHを添加して適正入熱量を一致させることにより、操業上の外乱により無シールド状態となった場合に、欠陥の増加を最小限に抑えることができる。発明者らが実験により確認したところ、Hを1%添加したときの適正入熱量は、無シールドの適正入熱量とほぼ一致した。Hを1%添加することにより、無シールド時の欠陥生成抑制効果は最大となる。1%を超えて添加すると、その効果は低減されるだけでなく、以下に説明するその他の効果が得られないため、H添加は1%以下に制限するとよい。
[水素無添加によるプラズマ安定化]
プラズマの安定化は、層流プラズマ長さ(プラズマの層流フレーム長さ)で評価することができる。もちろん、プラズマ長が長いほうがプラズマの安定性がよいということである。電縫鋼管の溶接では、設備的な取り合いの関係から、できるだけ長いフレーム長であって、安定したフレーム長であることが要求される。図2に、水素ガスの添加量(体積%)とプラズマ長の関係を示す。プラズマ長は、黒色幕を背景にし、目視により測定した。
前述したように、水素はプラズマ安定化を阻害する。従来は、50%以下であればプラズマにはあまり影響がないとされていた(特許文献1,2)。しかし、本発明者らは、水素添加の効果を細かく分析した結果、水素の添加量が増えると、プラズマ長が短くなる関係を確認した。つまり、今までの通説とは異なり、水素のプラズマ安定化阻害効果は水素添加量が50%以下のときもあるということである。
さらに、水素(H)添加量を5%以下とすると、そのプラズマ長は極端に長くなることを見出した。図2からも分かるように、水素含有量が20%レベルのときはプラズマ長が100mm程度であったものが、水素含有量5%で200mm程度に、さらに水素含有量1%で500mm程度に急激に改善される。逆にいうと、H含有量が1%を超えるとプラズマの縮退が著しくなりプラズマ長が短くなる。近年の長フレーム化した層流プラズマでは、なおさらこの縮退は問題となる。
したがって、安定したプラズマを得るためには、従来の当業者間の常識を覆し、Hを含有しないガス系にするか、含有しても1%以下に制限することを見出した。望ましくは、0.5%以下に制限するとよい。さらには、0.2%以下に制限するとよい。
また、表2に水素無添加の場合、つまりAr−N系ガスにおけるArとNの比率とプラズマ長の実測値を示す。プラズマ長はAr:N=30%:70%、およびAr:N=10%:90%の間で極大値をとり、この範囲であればプラズマ長500mmを確保できることが確認された。また、Nが60%以上あるとプラズマ長も480mm以上確保できることも確認された。
一方、従来技術にて提唱されていたAr:N=55%:45%では、層流化効果があまり得られないためか、プラズマ長は465mmと短くなった。
これは、Arが減少するとプラズマ安定化効果が得られにくくなることと、Nが減少することによりレイノズル数が大きくなり層流化が阻害されるためと考えられる。層流によるプラズマ長の長大化には、窒素(N)の効果が大きいことがわかる。
Figure 0005664835
[水素添加量の減少による騒音レベルの低下]
次に騒音レベルについての評価を行った。図3に、プラズマガンの機側1mでの騒音(Noise)レベル(dB)の測定値とプラズマ作動ガス中の水素添加量の関係を示す。明らかに水素添加量と騒音との間には正の相関があることがわかる。さらに細かく分析すると、Hの添加量を5%以下にすることにより騒音レベルが著しく減少することがわかった。
騒音レベルの減少傾向は水素添加量が1%以下でサチュレートし、水素無添加の騒音レベルとほぼ同じとなることを確認した。本実施例においては、水素添加量1%以下で75dB以下となることを確認した。これは作業環境の著しい改善をもたらすものであり、産業上非常に有用な効果である。
なお、水素無添加のAr−N系ガスでは、その成分の違いによる騒音の違いは確認できなかった。
[水素添加量の減少によるプラズマガン寿命の向上]
次に、最も熱負荷のかかりやすいプラズマガン、特にアノードの寿命について検証した。寿命は、プラズマガンのアノード部品の交換周期を指標とした。
Ar−N−H系プラズマ作動ガスにおいて、前述したように水素の熱伝達率は大きいため、水素添加量の増加に応じてプラズマ作動ガスが接するプラズマガンの受ける熱負荷も増加する。それはプラズマガンの寿命低下につながっていた。逆に、水素添加量を減らせば、プラズマガンの熱負荷は減少し、プラズマガンの寿命延長につながると考えた。確かに水素添加による寿命低下傾向は明瞭であるが、水素添加量8〜15%レベルでは、アノード部品の劣化傾向は変化がなかった。しかし、着目すべきは、水素添加量5%以下となると顕著にアノード部品寿命が伸びることである。これは、水素含有量の減少とともに熱伝達率が下がり熱負荷が軽減傾向になったことと、プラズマの安定化による効果ではないかと推察する。水素添加量1%以下では、水素無添加のときと同等の寿命となっていることも確認できた。プラズマガンの装置寿命の観点からは、水素無添加とするか、水素を含有していても1%以下に制限するとよいことがわかる。
なお、水素無添加のAr−N系ガスでは、その成分の違いによるプラズマガンの寿命の違いは確認できなかった。
[プラズマシールドにおける水素含有量の総合的評価]
以上の知見から総括すると、Ar−N系ガスにおいて、水素無添加にすることにより;
(a)電縫鋼管製造上の外乱により溶接部からシールドが外れた無シールドとなった場合でも、欠陥増加を抑制することができ、生産上の尤度を確保することができる。
(b)プラズマが極端に安定化し、層流かつ長プラズマを得ることができ、安定したシールド効果を得ることができるだけでなく、設備的な尤度を確保できる。
(c)さらに、Nを60%以上にするとプラズマが層流化し易くなり、安定性が向上する。好ましくは、N含有量を70%〜90%にするとよい。
(d)プラズマガンからの騒音レベルを80dB以下と、従来比40dB程度減少させることができ、製造現場での作業環境の著しい改善に貢献できる。
(e)プラズマガン、特にアノード部品の寿命が従来の10〜100倍に延びることから、設備の安定稼動、メインテナンス負荷の軽減、稼働率の向上などの効果が得られる。
(f)また、水素を添加しても1%以下にすることにより、操業上の外乱により無シールドとなった場合でも欠陥増加の抑制効果を得ることができるだけでなく、その他の効果も水素無添加のときとほぼ同等の効果を得ることができる。このことから、水素を添加した場合でも1%以下に制限すればよい。望ましくは、0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下に制限するとよい。
[第二の実施態様]
次に、前述したカスケード型プラズマガン(図6参照)を使用し、プラズマ作動ガスをカソードガスとアノードガスに分けて供給した。また、同じカスケード型であるがプラズマ径25mmのプラズマガンも用いて実施した。表3にカソードガス、アノードガスのガス種と流量を示す。
Figure 0005664835
プラズマガンの口径の違いはプラズマ径に、プラズマ作動ガスのガス流量の違いはプラズマ長に影響することは既に知られている。それらを考慮したうえで電縫溶接のプラズマシールドとして適用した。電縫鋼管製造条件は、前記第一の実施態様と同じである。
結果として、電縫鋼管溶接への影響は、どのガス流量でも問題はなかった。第1の実施態様と同様の結果であった。また、それぞれの口径での少量ガス流量時の水素添加の影響においても1%以下の添加では、僅かに(長さ比で5%程度)プラズマ長が減少したものの、水素無添加の場合と同様、電縫鋼管の溶接性には問題がなかった。
以上のことから、プラズマガンの口径やガス流量に影響されず、プラズマ作動ガス中に水素無添加もしくは添加しても1%以下に制限することにより、前述したような電縫鋼管溶接の操業変動への高い適応性と、プラズマ安定性などの効果を得ることが確認できた。
また、アノードガスは、プラズマ安定化効果のあるArガスとするとよい。その流量は、プラズマ作動ガス流量全体の5〜30%にするとよい。5%以下であるとArのプラズマ安定化効果が得られない。また、30%以上供給すると、カソードとアノード間のプラズマ作動ガスが不足し、安定した長い層流フレームのプラズマを得ることが難しくなるからである。
繰り返しになるが、本発明は、前述した実施態様に限定されるものでなく、いかなるプラズマガンにおいても適用可能であり、そのプラズマをシールドに用いるいかなる電縫鋼管製造装置にも採用できるものである。
本発明は、プラズマシールドを用いた電縫鋼管製造において利用することができる。また、電縫鋼管製造だけでなく、プラズマシールドを用いる鋼板の溶接にも適用可能である。
1 カソード(陰極集合体)、
11 (カソード)本体部
12 (カソード)陰極、
2 パイロット部材、
3 カスケード、
3A、3B、3C、3D、3E カスケード部材、
4 アノード、
6 サイドシールドモジュール
7 プラズマガンカバー
100 鋼板(管状に成形加工された鋼板)、
101 突合せ端面、
200 電縫鋼管の溶接装置、
201 スクイズロール、
210 トップロール、
220 ワークコイル、
221 エアーナイフ、
A カソードガス(プラズマ作動ガス)、
B アノードガス(プラズマ作動ガス)、
C プラズマ
D プラズマ
E サイドシールドガス
F 鋼板の搬送方向、
K 電縫鋼管
T プラズマガン、

Claims (10)

  1. 鋼板を管状に成形加工しその突合せ端面を溶接する際に、プラズマガンのカソードとアノードの間に供給したプラズマ作動ガスに電圧を印加してプラズマを生成し、そのプラズマで溶接部近傍をシールドするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法において、
    前記プラズマ作動ガスの成分が、体積%で、Nが70%以上90%以下で、
    残部Arおよび不可避的不純物であることを特徴とするプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  2. 前記プラズマ作動ガスが、さらにHが1体積%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  3. 前記プラズマが層流であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  4. 前記プラズマが層流であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  5. 前記プラズマ作動ガスがカソード側から供給するカソードガスとアノード側から供給するアノードガスで構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  6. 前記アノードガスの成分がArおよび不可避的不純物であることを特徴とする請求項5に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  7. 前記アノードガスのガス流量が、前記プラズマ作動ガスのガス流量の5〜30%であることを特徴とする請求項5に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  8. 前記アノードガスのガス流量が、前記プラズマ作動ガスのガス流量の5〜30%であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  9. 前記カソードガスのガス流量が8L/min以上30L/min以下であることを特徴とする請求項5に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
  10. 前記カソードガスのガス流量が8L/min以上30L/min以下であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマシールド電縫鋼管の製造方法。
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