JP2011202535A - 真空ポンプ - Google Patents

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宏樹 永野
Shinya Yamamoto
真也 山本
Takashi Ban
孝志 伴
Genki Hayashi
元気 林
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Abstract

【課題】掻き上げ体による潤滑油の掻き上げ方向を回転軸の回転数に応じて変化させて調整することができる真空ポンプの提供。
【解決手段】駆動軸28と、ハウジング内のロータ室Rに収容され、駆動軸28とともに回転する第1ロータ26と、ハウジング内のギヤ室に収容され、駆動軸28の駆動ギヤおよび従動ギヤからなるタイミングギヤと、従動ギヤを設けた従動軸29と、従動軸29とともに回転する第2ロータ27と、ロータ室Rとギヤ室との間に設けた駆動側軸受30と、従動軸29を支持する従動側軸受34と、潤滑油を掻き上げる掻き上げ体と、を備え、タイミングギヤが駆動側軸受30および従動側軸受34の少なくとも一方と掻き上げ体との間に配置される。掻き上げ体は、タイミングギヤ側に第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51とを備え、第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51の回転軸心方向Pと直角な基準面に対する傾斜角度を異ならせた。
【選択図】 図5

Description

この発明は、真空ポンプに関し、特に貯溜された潤滑油を掻き上げる掻き上げ体を備えた真空ポンプに関する。
従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示された流体機械における潤滑構造が存在する。
特許文献1において開示された流体機械では、ロータハウジングの前端にはフロントハウジングが接合され、ロータハウジングの後端にはリヤハウジングが接合されている。ロータハウジングには、ポンプ室が形成されている。
フロントハウジングとリヤハウジングとには一対の回転軸がラジアルベアリングを介して回転可能に支持されている。両回転軸は互いに平行に配置されている。
回転軸には複数のロータが一体形成され、ロータは互いに噛合した状態でポンプ室に収容されている。
リヤハウジングにはギヤハウジングが組み付けられている。
一対の回転軸は、リヤハウジングを貫通してギヤハウジング内のギヤ収容室に突出しており、各回転軸の突出端部には歯車が互いに噛合した状態で止着されている。
ギヤハウジングには電動モータが組み付けられており、電動モータの駆動力は軸継ぎ手を介して一方の回転軸に伝えられる。
他方の回転軸は、一方の回転軸及び歯車を介して電動モータから駆動力を得ており、他方の回転軸は一方の回転軸とは逆方向に回転する。一対の回転軸は、歯車からなる歯車機構によって同期して回転される。
歯車からなる歯車機構を収容するギヤ収容室内には潤滑油が貯留されており、歯車の下方を浸している。
一方の歯車の端面には複数の油掻き上げ溝あるいは油掻き上げ凸部が形成されている。
ギヤ収容室内に貯留された潤滑油は、歯車の回転動作とともに油掻き上げ溝あるいは油掻き上げ凸部によって積極的に掻き上げられ、掻き上げられた潤滑油は、歯車、ラジアルベアリングの潤滑に供される。
また、別の従来技術としては、例えば、特許文献2に開示された真空ポンプ潤滑油のシール機構を挙げることができる。
この種の真空ポンプは、軸受ケーシングと真空排気室ケーシングとの間に中間ケーシングが配設されている。軸受ケーシングの内部は軸受室となっており、中間ケーシングの内部は中間室となっている。軸受ケーシングの内部は真空排気室になっている。
軸受ケーシングの内部には回転軸の一端を支持する軸受が配設されており、軸受は軸受ケースを介して中間ケーシングに支持されている。真空排気室ケーシングの内部には回転軸に固定された排気ロータが配置されている。
回転軸の軸受室内の端部にはオイルリングが設けられ、軸受ケーシングの下部には潤滑油が収容されている。
特開2002−115685号公報 特開平3−89080号公報
しかしながら、特許文献1に開示された流体機械では、歯車に油掻き上げ溝あるいは油掻き上げ凸部を設ける必要があり、歯車の加工が複雑化するなど問題がある。
また、特許文献1の流体機械では、歯車に設けた油掻き上げ溝あるいは油掻き上げ凸部と潤滑油とが干渉するように、歯車を潤滑油内に浸す必要があるため、潤滑油による歯車の動力損失が大きくなるという問題がある。
特許文献2に開示された真空ポンプでは、円盤状のオイルリングであることから、軸受とオイルリングの距離が離れていると、潤滑油が掻き上げられても潤滑油が軸受へ届かず、軸受の潤滑に必要な潤滑油が不足するおそれがある。
また、特許文献1、2に開示された流体機械または真空ポンプでは、潤滑油の掻き上げ方向を回転軸の回転数に応じて変化させて調整することはできない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、掻き上げ体による潤滑油の掻き上げ方向を回転軸の回転数に応じて変化させて調整することができる真空ポンプの提供にある。
上記の課題を解決するために、本発明は、駆動源の駆動力を受けて回転する駆動軸と、 ハウジング内に形成されたロータ室に収容され、前記駆動軸とともに回転する第1ロータと、前記ハウジング内のギヤ室に収容され、前記駆動軸に設けた駆動ギヤおよび前記駆動ギヤと噛合する従動ギヤからなるタイミングギヤと、前記従動ギヤを設けた従動軸と、 前記ロータ室に収容され、前記従動軸とともに回転する第2ロータと、前記ロータ室とギヤ室との間に設けられ、前記駆動軸を前記ハウジングに対して水平に支持する駆動側軸受と、前記ロータ室とギヤ室との間に設けられ、前記従動軸を前記ハウジングに対して水平に支持する従動側軸受と、前記駆動軸又は前記従動軸の少なくとも一方に設けられ、前記ギヤ室に貯溜される潤滑油を回転により掻き上げる掻き上げ体と、を備え、前記タイミングギヤが前記駆動側軸受および前記従動側軸受の少なくとも一方と前記掻き上げ体との間に配置された真空ポンプであって、前記掻き上げ体は、前記タイミングギヤ側に第1掻き上げ片と第2掻き上げ片とを備え、前記第1掻き上げ片および第2掻き上げ片の回転軸心方向と直角な基準面に対する傾斜角度を異ならせたことを特徴とする。
本発明によれば、真空ポンプが運転されると駆動軸および従動軸の回転に伴って掻き上げ体が回転する。
掻き上げ体の回転時の第1掻き上げ片と第2掻き上げ片による潤滑油の掻き上げ方向は各掻き上げ片の傾斜角度に応じてそれぞれ異なる方向となり、回転数の変化に応じて潤滑油の掻き上げ方向を変化させることができる。
また、第1掻き上げ片と第2掻き上げ片による潤滑油の掻き上げ方向は回転数の変化に応じて変化する。
従って、真空ポンプの回転数に応じて潤滑油の掻き上げ方向を変化させて調整することができるから、駆動側軸受および従動側軸受と掻き上げ体とが離れていても、潤滑油が駆動側軸受や従動側軸受に向かいやすい方向に掻き上げられ、駆動側軸受や従動側軸受に潤滑油が行き渡り易くなる。
特に、駆動側軸受および従動側軸受と掻き上げ体との間にタイミングギヤが位置する構成ではその効果が大きい。
また、本発明は、上記の真空ポンプにおいて、複数の前記第1掻き上げ片と、複数の前記第2掻き上げ片が前記掻き上げ体の円周方向において交互に配設されるとしてもよい。
この場合、第1掻き上げ片と潤滑油との接触抵抗と、第2掻き上げ片と潤滑油との接触抵抗と、の抵抗差が生じるが、掻き上げ体の回転中は第1掻き上げ片と第2掻き上げ片が交互に潤滑油と接触するから、掻き上げ体の回転中における接触抵抗の差による脈動を抑制することができる。このため、掻き上げ体の変形や損傷を防止することができる。
また、本発明は、上記の真空ポンプにおいて、前記掻き上げ体における前記第1掻き上げ片と前記第2掻き上げ片の径方向の位置は、前記掻き上げ体と対向する前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤの少なくとも一方の外周縁よりも径方向外側に位置してもよい。
この場合、第1掻き上げ片と第2掻き上げ片により掻き上げられる潤滑油は、駆動ギヤおよび従動ギヤの少なくとも一方の外周縁の周囲に飛散され、この少なくとも一方のギヤの端面には潤滑油がかかり難い。
従って、少なくとも一方のギヤは掻き上げ体により掻き上げられた潤滑油を過剰に浴びることはなく、過剰に潤滑油を浴びることにより動力損失を抑制することができる。
また、掻き上げ体と軸受との間にタイミングギヤが位置する構成では、掻き上げ体と軸受との距離が離れるが、駆動ギヤおよび従動ギヤの少なくとも一方の外周縁よりも径方向外側に位置することから、タイミングギヤを越えて潤滑油が行き渡り易くなり効果的である。
また、本発明は、上記の真空ポンプにおいて、前記ハウジングは、前記ギヤ室における前記駆動側軸受の上方から前記駆動側軸受へ向けて貫通する駆動側貫通孔と、前記ギヤ室における前記従動側軸受の上方から前記従動側軸受へ向けて貫通する従動側貫通孔と、前記駆動側貫通孔および前記従動側貫通孔へ前記潤滑油を案内する潤滑油案内機構と、を有してもよい。
この場合、掻き上げ体により掻き上げられた潤滑油は、潤滑油案内機構により駆動側貫通孔および従動側貫通孔へ案内され、駆動側軸受および従動側軸受へ導入される。
掻き上げ体により掻き上げられた潤滑油を潤滑油案内機構により駆動側軸受および従動側軸受へ供給することができる。
また、本発明は、上記の真空ポンプにおいて、前記潤滑油案内機構は、前記ハウジングに形成され、前記駆動側軸受の上方の潤滑油を前記駆動側貫通孔へ案内する駆動側溝部と、前記ハウジングに形成され、前記従動側軸受の上方の潤滑油を前記従動側貫通孔へ案内する従動側溝部と、を有してもよい。
この場合、駆動側溝部はハウジングにおける駆動側軸受の上方の潤滑油を駆動側貫通孔へ案内することができる。また、従動側溝部はハウジングにおける従動側軸受の上方の潤滑油を従動側貫通孔へ案内することができる。
また、本発明は、上記の真空ポンプにおいて、前記潤滑油案内機構は、
前記ギヤ室における前記駆動側軸受および前記従動側軸受の上方の潤滑油を前記駆動側貫通孔および前記従動側貫通孔へ振り分ける潤滑油振り分け部材を有してもよい。
この場合、潤滑油がギヤ室における駆動側軸受および従動側軸受の上方にて潤滑油振り分け部材により回収された潤滑油は、駆動側貫通孔および従動側貫通孔へ振り分けされる。
その結果、潤滑油振り分け部材により回収された潤滑油を確実に駆動側軸受および従動側軸受へ供給することができる。
本発明は、掻き上げ体による潤滑油の掻き上げ方向を回転軸の回転数に応じて変化させて調整することができる真空ポンプを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る真空ポンプの平断面図である。 図1のA−A線の矢視図である。 真空ポンプのフロントギヤ室を示す縦断面図である。 真空ポンプのフロントギヤ室内の構成を示す分解斜視図である。 オイルスプラッシャの斜視図である。 第2の実施形態に係る真空ポンプのフロントハウジングの斜視図である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る真空ポンプについて図面に基づき説明する。
図1に示すように、ルーツ式の真空ポンプ10は、外殻となるハウジングを備えている。
真空ポンプ10のハウジングは、ロータハウジング11と、ロータハウジング11の前端部に接合されるフロントハウジング12と、フロントハウジング12の前端部に接合されるフロントギヤハウジング13と、ロータハウジング11の後端部に接合されるリヤハウジング14と、リヤハウジング14の後端部に接合されるリヤギヤハウジング15と、により構成されている。
ロータハウジング11内のロータ室Rを形成する空間部には、互いに噛み合う第1ロータ26及び第2ロータ27が収容されている。
図2に示すように、ロータハウジング11の上部には、ハウジング内に流体を吸入する吸入口16が形成され、ロータハウジング11の下部にはハウジング内の流体を外部へ吐出する吐出口17が形成されている。
フロントハウジング12には、図1に示すように、左右一対の軸孔18、19と、軸孔18と同軸となる駆動側筒部20と、軸孔19と同軸となる従動側筒部21が形成されている。駆動側筒部20および従動側筒部21の周囲には空間が形成されている。
リヤハウジング14は、図1に示すように、左右一対の軸孔22、23と、軸孔22と同軸となる駆動側筒部24と、軸孔23と同軸となる従動側筒部25が形成されている。駆動側筒部24および従動側筒部25の周囲には空間が形成されている。
駆動軸28は第1ロータ26内を貫通して第1ロータ26に固定されている。
従動軸29は第2ロータ27内を貫通して第2ロータ27に固定されている。
第1ロータ26の回転軸心P1と第2ロータ27の回転軸心P2は平行となるように配置される。
駆動軸28の前部は、フロントハウジング12の軸孔18に挿通され、駆動側軸受30および軸受ホルダ31を介してフロントハウジング12に支持されている。
駆動軸28の後部は、リヤハウジング14の軸孔22に挿通され、駆動側軸受32および軸受ホルダ33を介してリヤハウジング14に支持されている。
従動軸29の前部は、フロントハウジング12の軸孔19に挿通され、従動側軸受34および軸受ホルダ35を介してフロントハウジング12に水平に支持されている。
従動軸29の後部は、リヤハウジング14の軸孔23に挿通され、従動側軸受36および軸受ホルダ37を介してリヤハウジング14に水平に支持されている。
即ち、第1ロータ26は両端から突出する駆動軸28により両持式にハウジングに水平に軸支される。第2ロータ27は両端から突出する従動軸29により両持式にハウジング水平に軸支される。
フロントハウジング12の前端部にはフロントギヤハウジング13が接合されており、フロントギヤハウジング13はフロントハウジング12とともにギヤ室としてのフロントギヤ室38を形成する。
駆動軸28の前部はフロントハウジング12を貫通しており、フロントギヤハウジング13内においてフロント駆動ギヤ39が駆動軸28に固定されている。
従動軸29の前部はフロントハウジング12を貫通しており、フロントギヤハウジング13内においてフロント従動ギヤ40が従動軸29に固定されている。
フロント駆動ギヤ39およびフロント従動ギヤ40は真空ポンプ10のフロントギヤ室38側のタイミングギヤを構成している。
フロント駆動ギヤ39とフロント従動ギヤ40との噛合により、駆動軸28の回転はフロント駆動ギヤ39及びフロント従動ギヤ40を介して従動軸29に伝達され、第1ロータ26及び第2ロータ27が相対回転される。
リヤハウジング14の後端部にはリヤギヤハウジング15が接合されており、リヤギヤハウジング15はリヤハウジング14とともにギヤ室としてのリヤギヤ室41を形成する。
駆動軸28の後部はリヤハウジング14を貫通しており、リヤギヤハウジング15内においてリヤ駆動ギヤ42が駆動軸28に固定されている。
従動軸29の後部はリヤハウジング14を貫通しており、リヤギヤハウジング15内においてリヤ従動ギヤ43が従動軸29に固定されている。
リヤギヤハウジング15の後方には、駆動源としての電動モータ44が配置され、電動モータ44の出力軸45は軸継手46を介して駆動軸28の後端に連結されている。
リヤ駆動ギヤ42およびリヤ従動ギヤ43は真空ポンプ10のリヤギヤ室41側のタイミングギヤを構成している。
電動モータ44の駆動力を受けて駆動軸28は回転し、リヤ駆動ギヤ42とリヤ従動ギヤ43との噛合により、駆動軸28の回転はリヤ駆動ギヤ42及びリヤ従動ギヤ43を介して従動軸29に伝達され、第1ロータ26及び第2ロータ27が相対回転される。
なお、リヤギヤ室41のタイミングギヤが駆動軸28の回転力の殆どを従動軸29へ伝達する機能を果し、フロントギヤ室38のタイミングギヤは、駆動軸28の回転力を従動軸29へ伝達する機能を有するものの、真空ポンプ10の高負荷運転時に発生しがちな駆動軸28又は従動軸29の捩れを抑制することを主な目的としている。
次に、第1ロータ26と、第2ロータ27について説明する。
図2に示すように、第1ロータ26および第2ロータ27は回転軸心P1、P2の方向から見て繭状に形成されている。
第1ロータ26の径方向において膨出する2つの膨出部26Bが、互いに反対方向に形成され、また、径方向において陥没する2つの陥没部26Cが、互いに反対方向に形成される。
膨出部26Bと陥没部26Cとは周方向において等間隔となるように配置される。
第2ロータ27にも第1ロータ26と同様の膨出部27Bおよび陥没部27Cが形成されている。
第1ロータ26および第2ロータ27はそれぞれが回転するにつれて、一方の膨出部が、他方の陥没部と係合するように配置される。
図2では、第1ロータ26の膨出部26Bが、第2ロータ27の陥没部27Cと係合している。
この実施形態の真空ポンプ10では、フロントギヤ室38およびリヤギヤ室41に潤滑油が貯溜される。
タイミングギヤや各軸受30、32、34、36等の摺動要素は潤滑油の供給を受けて潤滑されるが、フロントギヤ室38およびリヤギヤ室41には貯溜される潤滑油を掻き上げる掻き上げ体としてのオイルスプラッシャ47が収容されている。
フロントギヤ室38およびリヤギヤ室41に設けられるオイルスプラッシャ47は互いに同一構造なので、フロントギヤ室38のオイルスプラッシャ47について説明し、リヤギヤ室41のオイルスプラッシャ47については説明を省略する。
図1、図3および、図4に示すように、フロントギヤ室38に収容されるオイルスプラッシャ47は駆動軸28の前端部に固定されている。
オイルスプラッシャ47は金属板の打ち抜き加工および折り曲げ加工により製作されている。
図5に示すように、オイルスプラッシャ47は、板状の本体部48と、潤滑油を掻き上げる複数の第1掻き上げ片50および複数の第2掻き上げ片51と、掻き上げた潤滑油の外周側への飛散を規制する複数の飛散規制片52と、を有する。
本体部48の中心には通孔49が形成されており、図4に示すように、オイルスプラッシャ47は通孔49に挿通した固定用ボルト53を介して駆動軸28の前端に固定される。
図3および図5に示すように、本体部48の板面Hは駆動軸28の回転軸心P1方向に対して直角となっており、回転軸心P1方向と直角な基準面に相当する。
第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51は、本体部48の外周縁において屈曲により本体部48の板面Hに対してタイミングギヤ側(後方側)に備えられている。
この実施形態では、それぞれ4個の第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51が本体部48の外周縁において交互に配設されている。
フロントギヤ室38のオイルスプラッシャ47における第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の径方向の位置は、オイルスプラッシャ47と対向するフロント駆動ギヤ39の外周縁よりも径方向外側に位置している。
また、第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51はタイミングギヤ側に設けられていることからオイルスプラッシャ47における軸受側(駆動側軸受30)へ備えられていると言える。
第1掻き上げ片50には本体部48の板面Hに対して45度の傾斜角度αが設定されている。
このため、第1掻き上げ片50の基部50Aは回転方向における前方に位置し、第1掻き上げ片50の先端部50Bは回転方向の後方側に位置している。
第1掻き上げ片50の傾斜角度αは、真空ポンプ10の高速運転時(例えば、ロータ回転数が毎分7000回転程度)において掻き上げられる潤滑油の掻き上げ方向が適切となるように設定されている。
第2掻き上げ片51には本体部48の板面Hに対して90度の傾斜角度βが設定されている。
このため、第2掻き上げ片51の基部51Aおよび先端部51Bは回転方向において同じ位置に存在する。
第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51の回転軸心Pの方向と直角な板面Hに対する傾斜角度α、βを異なるようにしている。
この実施形態では傾斜角度βを90度としたが、直角である90度は傾斜角度に含まれる角度としている。
第2掻き上げ片51の傾斜角度βは、真空ポンプ10の低速運転時(例えば、ロータ回転数が毎分2000回転程度)において掻き上げられる潤滑油の掻き上げ方向が適切となるように設定されている。
つまり、第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51には、真空ポンプ10の特定の運転状態(低速運転又は高速運転)に応じた適切な潤滑油の掻き上げ方向を実現するように傾斜角度α、βが夫々設定されている。
ここでいう潤滑油の適切な掻き上げ方向とは、オイルスプラッシャ47により掻き上げられた潤滑油が、駆動側軸受30や従動側軸受34への潤滑油の供給がされ易くなる潤滑油の掻き上げ方向を意味している。
第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51の外周縁側には板状の飛散規制片52が折り曲げにより形成されている。
飛散規制片52は本体部48の板面Hに対して直角な面を有し、飛散規制片52の回転軸心P1方向側の端部はタイミングギヤ側(後方側)へ向けられている。
飛散規制片52が第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51の外周縁側に形成されることにより、第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51により掻き上げられた潤滑油の遠心力による径方向外側への飛散を抑制している。
飛散規制片52において回転方向の前方と対向する端部は回転方向の後方へ向けて傾斜しており、飛散規制片52はオイルスプラッシャ47の回転時の潤滑油との抵抗を軽減する形状となっている。
また、飛散規制片52はタイミングギヤ側に傾斜していることから軸受側(駆動側軸受30)へ傾斜していると言える。
ところで、この実施形態では、オイルスプラッシャ47により掻き上げられ、フロントハウジング12の駆動側筒部20および従動側筒部21付近に達した潤滑油を駆動側軸受30や従動側軸受34へ供給し易くする工夫が凝らされている。
フロントハウジング12の駆動側筒部20は、駆動側軸受30の上方に相当する部位を含み、フロントハウジング12の従動側筒部21は従動側軸受34の上方に相当する部位を含む。
図3および図4に示すように、駆動側筒部20の上部寄り表面には、回転軸心P1方向に対して傾斜した駆動側溝部54が形成されている。
駆動側溝部54は前後の高低差を有する溝であり、フロントハウジング12の前端へ向かうにつれて高さが低くなる溝である。
駆動側溝部54の前端付近には軸孔18と連通する駆動側貫通孔55が形成されている。
駆動側溝部54は、潤滑油案内機構の一部に相当し、オイルスプラッシャ47により掻き上げられ、駆動側筒部20付近に達した潤滑油を駆動側貫通孔55へ案内する。
駆動側貫通孔55は駆動側溝部54により案内された潤滑油を軸孔18へ供給し、駆動側軸受30の潤滑を図るための孔である。
一方、軸受ホルダ31には、図4に示すように、駆動側貫通孔55と連通して貫通する連通孔56が形成されている。潤滑油は駆動側貫通孔55および連通孔56を通り駆動側軸受30に達することが可能である。
また、図4に示すように、従動側筒部21にも駆動側筒部20と同様の従動側溝部57と従動側貫通孔58が形成されており、軸受ホルダ35にも従動側貫通孔58と連通する連通孔59が形成されている。
従動側溝部57は、潤滑油案内機構の一部に相当し、オイルスプラッシャ47により掻き上げられ、従動側筒部21付近に達した潤滑油を従動側貫通孔58へ案内する。
従動側筒部21の従動側溝部57、従動側貫通孔58および軸受ホルダ35の連通孔59を通じて軸孔19へ潤滑油を供給し、従動側軸受34の潤滑を図ることが可能である。
また、この実施形態では、ロータ室Rとフロントギヤ室38との間に設けられた駆動側軸受30および従動側軸受34の上方である駆動側筒部20および従動側筒部21付近の潤滑油を駆動側貫通孔55へ案内するオイルプレート60がフロントハウジング12に取り付けられている。
オイルプレート60は、駆動側溝部54および従動側溝部57とともに潤滑油案内機構を構成する。
また、オイルプレート60は、フロントギヤ室38における駆動側軸受30および従動側軸受34の上方にて潤滑油を回収し、回収した潤滑油を駆動側貫通孔55および従動側貫通孔58へ振り分ける潤滑油振り分け部材に相当する。
オイルプレート60は、金属板の打ち抜きおよび折り曲げ加工により形成されている。
オイルプレート60は、前後に傾斜する前部傾斜部61および後部傾斜部62を備えており、後部傾斜部62には両側には傾斜側部63が形成されている。
オイルプレート60がフロントハウジング12に取り付けられた状態では、前部傾斜部61および後部傾斜部62は前後に傾斜した状態にあり、前部傾斜部61および後部傾斜部62の接続部64が一番低い位置となる。
オイルプレート60は、前部傾斜部61および後部傾斜部62の接続部64付近に潤滑油を案内し、接続部64付近から左右に振り分け下方へ流す構造となっている。
オイルプレート60は、この接続部64の一側の下方に駆動側貫通孔55が位置し、接続部64の他側の下方に駆動側貫通孔55が位置するように、フロントハウジング12に固定されている。
なお、リヤハウジング14にもフロントハウジング12と同様に、オイルスプラッシャ47により掻き上げられ、駆動側筒部24および従動側筒部25付近に達した潤滑油を駆動側軸受32や従動側軸受36へ供給し易くする工夫が凝らされている。
リヤハウジング14の駆動側筒部24には、駆動側貫通孔(図示せず)と潤滑油案内機構の一部を構成する駆動側溝部(図示せず)が形成されている。軸受ホルダ33には、駆動側筒部24の駆動側貫通孔と連通する連通孔(図示せず)が形成されている。
また、従動側筒部25には、従動側貫通孔と潤滑油案内機構の一部を構成する従動側溝部(図示せず)が形成されている。軸受ホルダ37には、従動側筒部25の駆動側貫通孔と連通する連通孔(図示せず)が形成されている。
さらに、リヤハウジング14にもオイルプレート60と同一構造のオイルプレートが設置されている。このオイルプレートは、駆動側筒部24の駆動側溝部および従動側筒部25の従動側溝部とともに潤滑油案内機構を構成し、かつ潤滑油振り分け部材に相当する。
次に、この真空ポンプ10の作用について説明する。
電動モータ44の回転により駆動軸28が回転すると、フロントギヤ室38およびリヤギヤ室41に備えられるタイミングギヤの噛み合いにより、駆動軸28の回転は従動軸29に伝達され、第1ロータ26及び第2ロータ27が相対回転される。
第1ロータ26と第2ロータ27が互いに噛み合う状態で相対回転されることにより、吸入口16から流体がロータ室R内へ導入され、ロータ室R内の流体は吐出口17から吐出される。
真空ポンプ10が運転されている状態では、フロントギヤ室38およびリヤギヤ室41に備えられているオイルスプラッシャ47が駆動軸28および従動軸29の回転に伴い回転する。
フロントギヤ室38のオイルスプラッシャ47の回転について説明すると、フロントギヤ室38に貯溜されている潤滑油が回転するオイルスプラッシャ47により掻き上げられる。
図3に示すように、貯溜されている潤滑油Lの油面はフロント駆動ギヤ39の下端と触れる程度の位置にある。
オイルスプラッシャ47の外周縁の下端は潤滑油L内にあり、オイルスプラッシャ47の第1掻き上げ片50、第2掻き上げ片51および飛散規制片52は、オイルスプラッシャ47の回転により最下位置に達したとき潤滑油Lに浸漬されている。
オイルスプラッシャ47の回転により、回転するオイルスプラッシャ47の外周縁は回転円を描くことになり、第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51がオイルスプラッシャ47の回転円の接線方向へ向かうように潤滑油Lを掻き上げる。
第1掻き上げ片50の傾斜角度αは45度であることから傾斜角度βが90度の第2掻き上げ片51と比べて潤滑油Lを掻き上げる能力は低いが、オイルスプラッシャ47の回転時の潤滑油Lとの接触抵抗は小さい。
真空ポンプ10の高速運転時(例えば、ロータ回転数が毎分7000回転程度)では、45度の傾斜角度αを有する第1掻き上げ片50により掻き上げられる潤滑油の掻き上げ方向が適切となる。
真空ポンプ10の低速運転時(例えば、ロータ回転数が毎分2000回転程度)では、90度の傾斜角度βを有する第2掻き上げ片51により掻き上げられる潤滑油の掻き上げ方向が適切となる。
また、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51とが交互に円周方向にわたって4つずつ配設されているから、第1掻き上げ片50と潤滑油との接触抵抗と、第2掻き上げ片51と潤滑油との接触抵抗と、の抵抗差によるオイルスプラッシャ47における脈動が抑制される。
掻き上げられた潤滑油は、遠心力が作用するが飛散規制片52により第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51からオイルスプラッシャ47の径方向外側への飛散は抑制され、回転軸心P1方向におけるフロントハウジング12側へ向かいやすい。
また、掻き上げられた潤滑油のうち、回転軸心P1方向へ向かわない潤滑油はフロントギヤハウジング13の内壁と衝突する。
そして、回転軸心P1方向へ向かう潤滑油の一部やフロントギヤハウジング13の内壁と衝突した潤滑油の一部はタイミングギヤを越えてフロントハウジング12の駆動側筒部20および従動側筒部21の周囲に達する。
フロントハウジング12の駆動側筒部20および従動側筒部21の周囲に達した潤滑油のうち、駆動側筒部20の駆動側溝部54により案内される潤滑油は、駆動側貫通孔55および連通孔56を通じて駆動側軸受30へ達する。
また、従動側筒部21の従動側溝部57により案内される潤滑油は、従動側筒部21の従動側貫通孔58および軸受ホルダ35の連通孔59を通じて従動側軸受34へ達する。
オイルプレート60により集められた潤滑油は、駆動側筒部20の駆動側貫通孔55と従動側筒部21の従動側貫通孔58に振り分けられる。
オイルプレート60による潤滑油の振り分けにより、潤滑油の供給を受ける駆動側軸受30および従動側軸受34は、運転中では常に潤滑油の供給を受けることができ、良好な潤滑状態が維持されるとともに、駆動側軸受30および従動側軸受34の潤滑油による冷却が行われる。
なお、リヤギヤ室41においても従動軸29に固定されたオイルスプラッシャ47による潤滑油の掻き上げと、回転軸心P2方向におけるリヤハウジング14側への潤滑油の掻き上げが行われる。
また、リヤハウジング14の駆動側筒部24の駆動側溝部と、従動側筒部25の従動側溝部と、駆動側貫通孔と、従動側貫通孔と、軸受ホルダ33、37の各連通孔と、を通じた駆動側軸受32および従動側軸受36への潤滑油の供給が行われる。
また、リヤギヤ室41に設置された図示されないオイルプレートにより集められた潤滑油の各貫通孔への振り分けが行われ、潤滑油の供給を受ける駆動側軸受32および従動側軸受36は、運転中では常に潤滑油の供給を受けることができ、良好な潤滑状態が維持されるとともに、駆動側軸受32および従動側軸受36の潤滑油による冷却が行われる。
この実施形態は以下の効果を奏する。
(1)フロントギヤ室38におけるオイルスプラッシャ47の第1掻き上げ片50および第2掻き上げ片51は駆動軸28の回転軸心P1方向と直角な板面Hに対して互いに異なる傾斜角度α・βを有することから、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51による潤滑油の掻き上げ方向はそれぞれ異なる方向となる。従って、オイルスプラッシャ47は潤滑油の掻き上げ方向を真空ポンプ10の回転数に応じて変化させて調整することができるから、駆動側軸受30や従動側軸受34に潤滑油が行き渡り易くなる。また、リヤギヤ室41におけるオイルスプラッシャ47もフロントギヤ室38におけるオイルスプラッシャ47と実質的に同一の効果を奏する。
(2)第1掻き上げ片50と潤滑油との接触抵抗と、第2掻き上げ片51と潤滑油との接触抵抗と、の抵抗差が発生するが、オイルスプラッシャ47の回転中は第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51が交互に潤滑油と接触するから、オイルスプラッシャ47の回転中における接触抵抗の差による脈動を抑制することができる。このため、オイルスプラッシャ47の変形や損傷を防止することができる。
(3)オイルスプラッシャ47による潤滑油の掻き上げにより、フロントハウジング12における駆動側軸受30および従動側軸受34の上方に移動した潤滑油は、オイルプレート60により案内されて駆動側筒部20の駆動側貫通孔55および従動側筒部21の従動側貫通孔58へ至る。駆動側貫通孔55から駆動側軸受30へ潤滑油が導入されるとともに、従動側貫通孔58から従動側軸受34へ導入される。フロントハウジング12における駆動側軸受30および従動側軸受34の上方に移動した潤滑油を駆動側軸受30および従動側軸受34へ供給することができる。また、リヤギヤ室41におけるオイルプレートもフロントギヤ室38におけるオイルプレート60と実質的に同一の効果を奏する。
(4)オイルスプラッシャ47における第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の径方向外側には飛散規制片52が形成されているので、掻き上げられた潤滑油は飛散規制片52により径方向外側へ飛散されにくく、回転軸心方向の駆動軸受側や従動軸受側へ向かいやすい。潤滑油が回転軸心方向の駆動軸受側や従動軸受側へ向かいやすくなることから、駆動側溝部、従動側溝部およびオイルプレートに潤滑油が集まり易くなり、駆動側軸受および従動側軸受への潤滑油の供給がより確実となる。
(5)フロントギヤ室38のオイルスプラッシャ47における第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の径方向の位置は、オイルスプラッシャ47と対向するフロント駆動ギヤ39の外周縁よりも径方向外側に位置するから、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51により掻き上げられる潤滑油は、フロント駆動ギヤ39の外周縁の周囲に飛散され、フロント駆動ギヤ39の前端面には潤滑油がかかり難い。従って、フロント駆動ギヤ39はオイルスプラッシャにより掻き上げられた潤滑油を過剰に浴びることはなく、過剰に潤滑油を浴びることにより動力損失を抑制することができる。また、オイルスプラッシャ47と駆動側軸受30との間にタイミングギヤが位置する構成では、オイルスプラッシャ47と駆動側軸受30との距離が離れるが、フロント駆動ギヤ39の外周縁よりも径方向外側に位置することから、タイミングギヤを越えて駆動側軸受30へ潤滑油が行き渡り易くなり効果的である。リヤギヤ室41におけるオイルスプラッシャ47もフロントギヤ室38におけるオイルスプラッシャ47と実質的に同一の効果を奏する。
(6)オイルプレート60による潤滑油の振り分けにより、潤滑油の供給を受ける駆動側軸受30および従動側軸受34は、運転中では常に潤滑油の供給を受けることができ、良好な潤滑状態を維持することができるとともに、駆動側軸受30および従動側軸受34の潤滑油による冷却を行うことができる。
(7)オイルスプラッシャ47は金属板の打ち抜き加工および折り曲げ加工により製作できるから、オイルスプラッシャ47を容易に製作することができるほか、製作コストも抑制することができる。
この実施形態では、オイルスプラッシャ47における第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の板面Hに対する傾斜角度を45度と90度の2種類としたが、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の傾斜角度は45度や90度に限定されない。例えば、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の板面Hに対する傾斜角度は、真空ポンプ10の運転条件に応じて30度と60度としてもよく、第1掻き上げ片50と第2掻き上げ片51の傾斜角度が互いに相違していればよい。
また、オイルスプラッシャの別例として、例えば、互いに異なる傾斜角度を有する3種類の掻き上げ片を設けたオイルスプラッシャとしてもよい。具体的には、第1掻き上げ片、第2掻き上げ片とは別に新たな第3掻き上げ片を設け、第1掻き上げ片〜第3掻き上げ片の各傾斜角度を、例えば、30度、60度、90度等のように互いに相違させるようにしてもよい。この場合、第1掻き上げ片〜第3掻き上げ片の数を同数として、順番に円周方向に配設することが好ましい。
第1掻き上げ片〜第3掻き上げ片を備えるオイルスプラッシャによれば、潤滑油の掻き上げ方向を真空ポンプ10の回転数(低速回転、中速回転、高速回転)に応じて変化させて適切に調整することができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る真空ポンプについて説明する。
第2の実施形態に係る真空ポンプでは、フロントハウジングおよびリヤハウジングにおける潤滑油案内機構の構成が第1の実施形態と異なる。
第2の実施形態の潤滑油案内機構は、駆動側溝部および従動側溝部と、フロントハウジングおよびリヤハウジングに一体形成されている連結部とにより構成されている。
リヤハウジングはフロントハウジングと同一構成であることから、ここではフロントハウジングの構成について説明し、リヤハウジングの説明は省略する。
また、第1の実施形態と共通する要素については第1の実施形態の説明を援用し、符号を共通して用いる。
図6に示すフロントハウジング72は、駆動側筒部20および従動側筒部21を備えている。
駆動側筒部20には、駆動側溝部54が形成され、駆動側溝部54の前端付近には駆動側貫通孔55が形成されている。
従動側筒部21には、従動側溝部57が形成され、従動側溝部57の前端付近には従動側貫通孔58が形成されている。
この実施形態のフロントハウジング72には、駆動側筒部24および従動側筒部25を繋ぐ連結部73が形成されている。
連結部73の上面は中心に前後方向に稜線Tが形成されており、稜線Tを境にして左右に傾斜面がそれぞれ形成されている。
稜線Tの駆動側筒部24の側には駆動側溝部54へ向けて傾斜する駆動側傾斜面74が備えられ、稜線Tを境に従動側筒部25の側には従動側溝部57へ向けて傾斜する従動側傾斜面75が備えられている。
この実施形態では、駆動側溝部54、従動側溝部57および連結部73が潤滑油案内機構に相当し、また、連結部73は潤滑油振り分け部材に相当する。
オイルスプラッシャ47により掻き上げられ、駆動側軸受30および従動側軸受34の上方となる駆動側筒部20および従動側筒部21付近に達した潤滑油は、駆動側溝部54、従動側溝部57および連結部73により駆動側貫通孔55および従動側貫通孔58へ案内される。
連結部73は駆動側筒部20および従動側筒部21付近の潤滑油を振り分ける。
駆動側溝部54および駆動側傾斜面74は駆動側貫通孔55へ潤滑油を案内し、従動側溝部57および従動側傾斜面75は従動側貫通孔58へ潤滑油を案内する。
駆動側貫通孔55を通る潤滑油は駆動側軸受30の潤滑を行い、従動側貫通孔58を通る潤滑油は従動側軸受34の潤滑を行う。
この実施形態によれば、フロントハウジング72における潤滑油案内機構が、駆動側溝部54、従動側溝部57および連結部73であることから、潤滑油案内機構が、駆動側溝部54、従動側溝部57のみの場合と比較するとより確実に潤滑油を駆動側軸受30および従動側軸受34へ供給することができる。
連結部73はフロントハウジング72と一体形成されているから、潤滑油案内機構の部品点数の増大を抑制することができ、真空ポンプの製作コストや組み付け工数を抑制することができる。
なお、リヤハウジング14に連結部を設ける場合もフロントハウジング12に設けた連結部73と実質的に同一の効果を奏する。
なお、上記の実施形態に係る真空ポンプは、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、掻き上げ体としてのオイルスプラッシャをギヤ室における駆動軸又は従動軸のいずれかに1個設けるようにしたが、オイルスプラッシュを駆動軸および従動軸のそれぞれに互いに干渉しないように設けるようにしてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、掻き上げ体としてのオイルスプラッシャは金属板の打ち抜き加工および折り曲げ加工より形成される単一部材としたが、例えば、第1掻き上げ片または第2掻き上げ片を別部材として着脱自在としてもよい。また、例えば、複数の金属板を貼り合わせたり連結したりするようにして掻き上げ体を形成するようにしてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、掻き上げ体としてのオイルスプラッシャに飛散規制片を設けたが、飛散規制片の機能を果すカバー等の飛散規制体をギヤハウジングに設けるようにしてもよい。この場合、飛散規制片を持たないオイルスプラッシャはギヤ室に貯溜されている潤滑油との接触抵抗を軽減することができる。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、掻き上げ体としてのオイルスプラッシャが備える第1掻き上げ片および第2掻き上げ片は平坦面を有しているが、第1掻き上げ片および第2掻き上げ片は平坦面でなくてもよく、例えば、第1掻き上げ片および第2掻き上げ片において凹凸が存在してもよく、また、第1掻き上げ片および第2掻き上げ片が曲面や屈曲面を含んでもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、潤滑油案内機構を構成する駆動側溝部および従動側溝部をハウジングに設けたが、駆動側溝部および従動側溝部をハウジングに設けず、第1実施形態のオイルプレートや第2実施形態の連結部を潤滑油案内機構として各貫通孔へ潤滑油を導入するようにしてもよい。この場合、ハウジングに溝部を形成するための加工が不要となる。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、真空ポンプとしてのルーツ型真空ポンプについて説明したが、本発明はルーツ型真空ポンプに限らず、例えば、スクリュータイプ式の真空ポンプ等、他の方式の真空ポンプに適用することも可能である。
10 真空ポンプ
11 ロータハウジング
12、72 フロントハウジング
14 リヤハウジング
26 第1ロータ
27 第2ロータ
28 駆動軸
29 従動軸
30、32 駆動側軸受
34、36 従動側軸受
38 フロントギヤ室
39 フロント駆動ギヤ
40 フロント従動ギヤ
41 リヤギヤ室
42 リヤ駆動ギヤ
43 リヤ従動ギヤ
44 電動モータ(駆動源としての)
47 オイルスプラッシャ(掻き上げ体としての)
48 本体部
50 第1掻き上げ片
51 第2掻き上げ片
52 飛散規制片
54 駆動側溝部(潤滑油案内機構の一部としての)
55 駆動側貫通孔
56、59 連通孔
57 従動側溝部(潤滑油案内機構の一部としての)
58 従動側貫通孔
60 オイルプレート(潤滑油振り分け体としての)
73 連結部(潤滑油振り分け体としての)
L 潤滑油
P1、P1 回転軸心
R ロータ室
H 板面(基準面としての)

Claims (6)

  1. 駆動源の駆動力を受けて回転する駆動軸と、
    ハウジング内に形成されたロータ室に収容され、前記駆動軸とともに回転する第1ロータと、
    前記ハウジング内のギヤ室に収容され、前記駆動軸に設けた駆動ギヤおよび前記駆動ギヤと噛合する従動ギヤからなるタイミングギヤと、
    前記従動ギヤを設けた従動軸と、
    前記ロータ室に収容され、前記従動軸とともに回転する第2ロータと、
    前記ロータ室とギヤ室との間に設けられ、前記駆動軸を前記ハウジングに対して水平に支持する駆動側軸受と、
    前記ロータ室とギヤ室との間に設けられ、前記従動軸を前記ハウジングに対して水平に支持する従動側軸受と、
    前記駆動軸又は前記従動軸の少なくとも一方に設けられ、前記ギヤ室に貯溜される潤滑油を回転により掻き上げる掻き上げ体と、を備え、
    前記タイミングギヤが前記駆動側軸受および前記従動側軸受の少なくとも一方と前記掻き上げ体との間に配置された真空ポンプであって、
    前記掻き上げ体は、
    前記タイミングギヤ側に第1掻き上げ片と第2掻き上げ片とを備え、
    前記第1掻き上げ片および第2掻き上げ片の回転軸心方向と直角な基準面に対する傾斜角度を異ならせたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 複数の前記第1掻き上げ片と、複数の前記第2掻き上げ片が前記掻き上げ体の円周方向において交互に配設されていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  3. 前記掻き上げ体における前記第1掻き上げ片と前記第2掻き上げ片の径方向の位置は、前記掻き上げ体と対向する前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤの少なくとも一方の外周縁よりも径方向外側に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の真空ポンプ。
  4. 前記ハウジングは、
    前記ギヤ室における前記駆動側軸受の上方から前記駆動側軸受へ向けて貫通する駆動側貫通孔と、
    前記ギヤ室における前記従動側軸受の上方から前記従動側軸受へ向けて貫通する従動側貫通孔と、
    前記駆動側貫通孔および前記従動側貫通孔へ前記潤滑油を案内する潤滑油案内機構と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の真空ポンプ。
  5. 前記潤滑油案内機構は、
    前記ハウジングに形成され、前記駆動側軸受の上方の潤滑油を前記駆動側貫通孔へ案内する駆動側溝部と、
    前記ハウジングに形成され、前記従動側軸受の上方の潤滑油を前記従動側貫通孔へ案内する従動側溝部と、を有することを特徴とする請求項4記載の真空ポンプ。
  6. 前記潤滑油案内機構は、
    前記ギヤ室における前記駆動側軸受および前記従動側軸受の上方の潤滑油を前記駆動側貫通孔および前記従動側貫通孔へ振り分ける潤滑油振り分け部材を有することを特徴とする請求項4又は5記載の真空ポンプ。
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