JP2011202423A - H形鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】後に貫通孔を設けたとしてもウェブに補強のための加工を必要としない安価な梁部材用のH形鋼を提供する。
【解決手段】本発明に係る梁部材用のH形鋼は、梁せいが400mm以上の梁部材用のH形鋼1であって、H形鋼1は圧延により一体的に成形されたものであり、ウェブ3におけるフランジ5との接続部分にウェブ3の梁せい方向中央部3aの厚みよりも厚いウェブ厚肉部3bを有し、ウェブ3の梁せい方向中央部3aの厚みtw1とウェブ厚肉部3bの最大厚みtw2が1.0<(tw2/tw1)<2.0を満たすことを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造の柱に接合される梁部材として使用されるH形鋼に関する。
H形鋼は、建物を構築する際の柱や梁材として使用される。梁材として使用される際、天井高さを抑えて空間を確保するために、例えば空調設備の配管などを通す貫通孔を梁のウェブ部分に設ける場合がある。
また、このような貫通孔は、梁材として使用するH形鋼に予め設ける場合のみならず、建設後の用途変更などの社会環境変化によって追加でH形鋼のウェブに穿設される場合も多い。
H形鋼のウェブに貫通孔を設ける場合、それが建設前であると後であるとを問わず、貫通孔の断面欠損による断面耐力の低下に対処する必要が生じる。
このような貫通孔の断面欠損による断面力の低下への対処方法として、例えば特開昭62−202154号公報(特許文献1)には、貫通孔の周囲に補強のために肉厚の鋼管を装入して溶接する方法が開示されている。また、WO94/03687号公報(特許文献2)にはウェブを二重にしたものが開示されている。
他方、H形鋼のウェブに貫通孔を設けるものではないが、H形鋼の断面性能を改善するために、H形鋼のウェブに板厚増厚部を付加する技術が、例えば特開昭56−160804号公報(特許文献3)や、特開平5−195598号公報(特許文献4)に開示されている。
特開昭62−202154号公報(第1−2頁、第1図) WO94/03687号公報(第3−4頁、第1図) 特開昭56−160804号公報(第5頁、第6図) 特開平5−195598号公報(第8頁、第1図)
特許文献1に開示された技術は、貫通孔の周囲に補強のために肉厚の鋼管を装入して溶接するものであり、補強のために材料の加工や溶接作業が必要となり、コスト上昇を招くという問題がある。
特許文献2は、梁全長にわたってウェブを二重構造にするものであり、この方法は梁全長に亘ってウェブ板厚を増大させる方法と同様に、補強を必要としない部分まで強化することになり、結果として梁重量が増し、不経済なものになるという問題がある。
また、梁全長に亘ってウェブを二重構造にすると、梁全長が強化されることになり、地震等の過大荷重をうけた際、梁側の崩壊は免れるものの、柱側が崩壊し、結果として建物全体が崩壊することになる。
通常、地震時において建物全体の崩壊を防ぐ目的で、「梁の端部を、柱より早く塑性化させて、外力のエネルギーを吸収させる設計」いわゆる「梁崩壊メカニズムを形成させる設計」がとられる。梁全長にわたってウェブを二重構造にしたりウェブ板厚を増したりした梁を使用した場合、梁崩壊メカニズムを形成させるためには、柱側の断面強度も強くしなければならなくなり、一層不経済になってしまうという問題がある。
また、梁全長にわたってウェブを二重構造にしたりウェブ板厚を増したりした梁の場合、建設前には貫通孔を予定しておらず、建設後に貫通孔を設けることになったような場合には、特許文献1と同様に補強のために材料の加工や溶接作業が必要となり、やはりコスト上昇を招くという問題がある。
一方、特許文献3に開示されたH形鋼は、主にクレーンガーダに用いられるものであり、ウェブ部の局部的な支圧耐力およびフランジ部とウェブ部の共働捩り剛性を高めるために、ウェブ部のフランジ部に接続される部分を所定幅にわたりウェブ中間部分に比して増厚するというものである。
また、特許文献4に開示されたH形鋼は建築・土木構造物等用のものであり、ウェブに板厚増厚部を付加することにより、梁材としての曲げ変形時の局部座屈特性を向上させている。
特許文献3、4に開示された発明は、ウェブ部に板厚増厚部を設ける目的が本願発明とは全く異なっており、本願発明が前提としているウェブ部に設備配管貫通用孔を設けることは想定されていない。それ故、増厚部分の仕様や、増厚部分と他の部位との関係等において、貫通孔を設けることは全く考慮されていない。
本発明は上記した特許文献1、2の有している問題点を解決するためになされたものであり、後に貫通孔を設けたとしてもウェブに補強のための加工を必要としない安価な梁部材用のH形鋼を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るH形鋼は、梁せいが400mm以上の梁部材用のH形鋼であって、該H形鋼は圧延により一体的に成形されたものであり、ウェブにおけるフランジとの接続部分に前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有し、前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みtw1と前記ウェブ厚肉部の最大厚みtw2が1.0<(tw2/tw1)<2.0を満たすことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記ウェブ厚肉部の梁せい方向の高さd2と梁せいDが(d2/D)>0.21を満たすことを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記ウェブ厚肉部の梁せい方向の高さd2と前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みtw1がd2>10・tw1を満たすことを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記ウェブ厚肉部の軸方向に垂直な断面形状が、略四角形状または略台形状に形成されていることを特徴とするものである。
本発明においては、ウェブにおけるフランジとの接続部分に前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を設けているので、H形鋼を梁材として使用してウェブに貫通孔を設けたとしても補強のための加工に要する材料や手間が不要になり、使用する鋼材重量を抑えられる。また、ウェブの梁せい方向中央部の厚みtw1と前記ウェブ厚肉部の最大厚みtw2が1.0<(tw2/tw1)<2.0を満たすようにしているので、前記のように貫通孔を設けたとしても前記補強を別途必要とせず、かつウェブ厚肉部形成に起因するH形鋼の重量増を最小限に抑えることが可能となり、別途補強を必要とする場合に比較してコスト低減の効果もある。
本発明の一実施の形態に係るH形鋼の断面形状の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るH形鋼の各部を示す符号を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係るH形鋼の各部を示す符号を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、建築構造物の設計時の荷重を説明するものである。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、設計荷重が作用したときに梁に生ずる曲げモーメント分布M(x)とせん断力分布Q(x)を示したものである。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、試算に用いた梁の形状等の説明図である。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、試算に用いた梁の形状等の説明図である。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、所定条件を満たすtw2とφとの関係を図示したものである。 本発明の一実施の形態の数値限定の根拠を説明するための説明図であって、所定条件を満たすtw2とφとの関係を図示したものである。 本発明の一実施の形態に係るH形鋼の具体例の形状の説明図である。 本発明に係るH形鋼の効果を確認するための有限要素法解析モデルの説明図である。 本発明に係るH形鋼の効果を確認するための有限要素法解析結果を示すグラフである。 本発明の一実施の形態に係るH形鋼の断面形状の他の態様の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るH形鋼の断面形状の他の態様の説明図である。
本発明の一実施の形態に係る梁部材用のH形鋼1は、図1に示すように、梁せいが400mm以上の梁部材用のH形鋼であって、該H形鋼1は圧延により一体的に成形されたものであり、ウェブ3におけるフランジ5との接続部分に梁せい方向ウェブ中央部3aの厚みよりも厚いウェブ厚肉部3bを有し(図1参照)、前記ウェブ3の梁せい方向中央部の厚みtw1と前記ウェブ厚肉部3bの最大厚みtw2が1.0<(tw2/tw1)<2.0を満たすことを特徴とするものである。
なお、本明細書において、ウェブ中央部3aとは、ウェブ中央を含むウェブ厚肉部3b以外の部分であってウェブ厚肉部3bに対して相対的に肉薄になっている部分を示している。
以下、本実施の形態に係る梁部材用のH形鋼1の詳細について説明する。
梁せいを400mm以上としているのは、本発明が中高層以上の建築物に用いる梁材を対象としているためである。よって、例えば外法一定H形鋼について考えると、梁せいDは、400mm≦D≦1000mmとなる。
本実施の形態のH形鋼1は、ウェブ中央部3aの厚みtw1とウェブ厚肉部3bの最大厚みtw2の関係が、1.0<(tw2/tw1)<2.0になるように設定している。
以下、この理由について説明する。
まず、1.0<(tw2/tw1)としているのは、ウェブ中央部3aに対してウェブ3におけるフランジ接続部の肉厚を厚く設定するのが本発明の特徴であるから当然である。
次に、(tw2/tw1)<2.0について説明する。
本実施の形態のH形鋼1は、ウェブ3に設備配管用の貫通孔7を設けることが想定されている。したがって、H形鋼1の断面形状が満たすべき条件は、ウェブ3に貫通孔7を設けたとしても設計上想定される作用応力に対して貫通孔部が破壊されないことであり、そのための条件式は次式(1)で与えられる。
oMp≧M(x) かつ oQy≧Q(x) ・・・・・・・ (1)
ここで、左辺のoMp oQyは貫通孔部での保有耐力で、それぞれ曲げ耐力、せん断耐力である。
ここで、H形鋼1の各部の長さ、厚みを示す記号を図2に示すように、以下のように定義する。
B:フランジ幅
D:梁せい
d1:ウェブにおける薄肉部の高さ
d2:ウェブにおける厚肉部の高さ(片側)
tw1:ウェブ中央部の厚み
tw2:ウェブ厚肉部の厚み
tf:フランジ部の厚み
図3に示すように、貫通孔7は、その直径φとd1との関係において、φ≦d1の場合(図3(a))とφ>d1の場合(図3(b))とがある。そこで、φ≦d1の場合とφ>d1の場合のそれぞれの場合について貫通孔部での曲げ耐力oMp、せん断耐力oQyは次式で表される。
ただし、次式でMpは非貫通孔部での全塑性モーメント(後記する曲げ耐力;(5)式、(6)式中のMpと同義)、σyは降伏応力、βはせん断耐力に対する安全率(≦1.0)と定義する。
なお、貫通孔部以外の部位での全塑性モーメントMpは次式で表される。
(1)式における右辺のM(x)、Q(x)は設計用応力(必要耐力)で、それぞれ梁に生じる曲げモーメント、せん断力である。
建築構造物の設計においては、図4に示すように、地震力を想定した水平力Hと、建築物の自重や什器、人の重さなどを考慮した積載荷重wが作用した状態を想定し、部材断面を決定する。梁部材の貫通孔部では、作用する応力に対して破壊されないことが求められ、一般的に梁部材の貫通孔部の保有耐力(曲げモーメント、せん断力)の必要値は、水平力Hと積載荷重wが作用し、梁端が全塑性モーメントMpに安全率α(≧1.0)を乗じたαMpに達した状態を想定して求められる設計用応力(曲げモーメント、せん断力)を上回るという条件から求められる((1)式)。
図5に、このときの梁に生じる曲げモーメント分布M(x)とせん断力分布Q(x)を図示する。ただし、図5中のxは図4に示すように梁端からの距離を表す。M(x)とQ(x)は図5を参照し、それぞれ次式で与えられる。
貫通孔7が梁材軸方向に複数設けられる場合、貫通孔7の位置ごとに設計用応力M(x)、Q(x)は異なるが、梁の設計ではその最大値に基づいて設計すればよい。
ここで、一例として、図6に示すようにスパンl=5.6m、l=7.2mの梁を対象とし、(1)式を満足するためのtw2とφとの関係を導出する。ただし、最も応力が厳しくなる貫通孔7は梁端よりx=max(D,0.15l)の位置にあるものとする。x=max(D,0.15l)とは、xがDと0.15lのうちの何れか大きい方であることを意味する。
ここでは、図7に示す各部の寸法は以下の寸法に設定した。なお、図7(a)は貫通孔7が設けられていない部位の断面であり、図7(b)は貫通孔7が設けられている部位の貫通孔7の中心断面である。
B=250mm、tw1=16mm、tf=28mm
また、w=90N/mm、σy=325N/mm2、α=1.1、β=0.85と設定した。そして、d1/D=1/3、1/2、2/3のそれぞれについて試算し、その結果を図8(H-900x250)、図9(H-800x250)に示す。ただし、図8、図9でグレーのハッチをかけた領域が(1)式を満足するtw2とφとなる。
図8、図9より、貫通孔径φが梁せいDの半分〜6割程度(即ちφ/D=0.5〜0.6程度)の場合、tw2はtw1の2倍程度あれば(1)式を満足し、設計用応力に対して貫通孔部で壊れないH形断面にすることが可能なことがわかる。
他方、tw2がtw1の2倍を超える場合、通常形状のH形断面部材を用いる場合に比べて鋼材重量の増加が大きく、ウェブ3に厚肉部を設けたH形鋼1を用いることによるコスト低減のメリットが出にくいと考えられる。
以上より、本発明で提案するH形鋼1ではtw2/tw1<2.0として、(1)式を満足するよう断面形状、貫通孔位置を設定するのが好適である。
参考として、図10に示す梁(スパンl=7200mm、d1=D/2、φ=d1)を対象として、梁せいD=800mm、900mm、1000mmの各断面について、(1)式を満足するH形鋼1の形状を表1(D=800mm)、表2(D=900mm)、表3(D=1000mm)に示す。
なお、他のサイズのH形鋼についても、ウェブ中央部3aの厚みtw1とウェブ厚肉部3bの厚みtw2との関係が、tw2/tw1<2.0の条件であっても、ウェブ3に貫通孔7を設けたとしても設計上想定される作用応力に対して貫通孔部が破壊されないH形鋼の形状設定が可能であることを確認している。
以上のように、本実施の形態においては、ウェブ中央部3aの厚みtw1とウェブ厚肉部3bの厚みtw2との関係が、tw2/tw1<2.0の条件を満たすようにしたので、ウェブ3に貫通孔7を設けたとしても設計上想定される作用応力に対して貫通孔部が破壊されず、かつウェブ厚肉部3bを設けているにもかかわらず鋼材重量の増加を抑制して通常のH形鋼に対して補強加工するのに比較してコスト低減のメリットを出すことができる。
また、本発明では、ウェブ厚肉部3bの高さ(片側)d2と梁せいDの関係が、(d2/D)>0.21であることが好ましいとしている。
これは、本発明では、厚肉部の厚みtw2とウェブ中央部の厚みtw1をtw2/tw1<2.0になるように規定しており、これは厚肉部がウェブ中央部3aの厚みの2倍を超えないことを意味しており、厚みの差があまり大きくならないようにしている。そのため、設備用貫通孔7を設けた場合の耐力を保証する関係から、厚肉部の高さを所定長さ確保する必要がある。この所定長さについて梁せいDとの関係で検討したところ、ウェブ厚肉部3bの高さ(片側)d2は梁せいDの0.21倍超であることが好ましいとの知見が得られ、それを数式によって表現したものが、(d2/D)>0.21である。
また、本発明では、ウェブ厚肉部3bの梁せい方向の高さd2とウェブ3の梁せい方向中央部の厚みtw1がd2>10・tw1を満たすのが好ましいとしている。
この理由についても、上記と同様に、設備用貫通孔7を設けた場合の耐力を保証する関係から、厚肉部の高さを所定長さ確保する必要があり、この所定長さについてウェブ中央部3aの厚みtw1との関係で検討したところ、ウェブ厚肉部3bの高さ(片側)d2はウェブ中央部3aの厚みtw1の10倍超であることが好ましいとの知見が得られ、それを数式によって表現したものが、d2>10・tw1である。
本発明の効果を有限要素法解析によって確認したので、これについて以下の実施例で説明する。
図11は有限要素法解析の解析モデルの説明図である。梁の一端を固定端とし、梁先端に図11に示した矢印方向に所定変位を加える。つまり、梁先端の鉛直方向に所定変位しては、次の所定変位を加えていく。
したがって、梁端部には、曲げとせん断力が作用することになる。
本実施例の梁のモデルは、H-600×200×11×17、長さ1200mm、SN490のH形鋼である。実施例1としては、ウェブの一部を増厚したH形鋼を用いたものであり、ウェブの厚肉部は片側で、長さを133mm(梁せいDに対して、0.22)とし、板厚をウェブ中央部3aより10.5mmアップ(tw2=1.95・tw1)した、矩形状である。
また、実施例2は、実施例1で用いたH形鋼に、φ300mm(梁せいの1/2)の貫通孔7(円孔)を設けたモデルである。円孔の中心は、固定端部から420mmの位置にある。
また、比較のために、比較例1として実施例1のH形鋼断面(H-600×200×11×17)で厚肉部及び貫通孔7の無い場合のモデルである。また、比較例2として比較例1と同じH形鋼(H-600×200×11×17)に実施例2と同径の貫通孔7を同位置に設けたモデルである。
図12は本実施例の解析結果を示すグラフであり、縦軸は梁に加わる荷重(部材端モーメント(kN・m))、横軸は梁の鉛直変位(部材角(rad))である。
図12における比較例1(貫通孔無し)のグラフをみると、載荷により原点から弾性変形を開始し、降伏した後、極僅かに加工硬化しながら塑性変形が進んでいることが分かる。
一方、同じく図12中に示した実施例1のグラフをみると、比較例1と比較してウェブ厚肉部3bの効果により、最大耐力が1割程度大きくなっているものの、断面形状を工夫していることから著しい耐力上昇は抑えられていることがわかる。耐力上昇を抑えているので、前述した「梁崩壊メカニズムを形成させる設計」をとることができる。
また、図12中に示した実施例2のグラフを、比較例1と比較してみると、部材角で十分な変形能力といえる1/40(=0.025)まで、比較例1と同様な挙動を示し、貫通孔補強を必要としないことがわかる。さらに、図12中に示した比較例2と比較すると、実施例2は、貫通孔7の断面欠損による断面耐力の低下を補強し、著しい改善効果が現れていることが分かる。
以上の解析結果により、本実施例によれば、別途補強をせずとも貫通孔7の断面欠損による断面耐力の低下を防止できることが実証された。
以上のように本発明は、将来貫通孔7を設けたとしてもウェブに補強のための加工を必要としない低廉な製造費用で強度上も無駄の無い経済的な建築用H形鋼梁を提供できる。
なお、上記の説明では、ウェブ厚肉部3bの形状として、ウェブ軸方向に垂直な断面形状が、略四角形状のものを示したが、図13に示すように、ウェブ中央側からフランジ側に向った厚みが増すように形成され、ウェブ軸方向に垂直な断面が略台形状になるようにしてもよい。この場合には、上記の数式等で用いたウェブ厚肉部3bの厚みtw2としては最大厚みを用いるようにすればよい。
また、ウェブ厚肉部3bの形状の他の態様として、図14(a)(b)に示すようにウェブ中心軸に対して左右非対称であってもよい。
1 H形鋼
3 ウェブ
3a ウェブ中央部
3b ウェブ厚肉部
5 フランジ
7 貫通孔

Claims (4)

  1. 梁せいが400mm以上の梁部材用のH形鋼であって、該H形鋼は圧延により一体的に成形されたものであり、ウェブにおけるフランジとの接続部分に前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有し、前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みtw1と前記ウェブ厚肉部の最大厚みtw2が1.0<(tw2/tw1)<2.0を満たすことを特徴とする梁部材用のH形鋼。
  2. 前記ウェブ厚肉部の梁せい方向の高さd2と梁せいDが(d2/D)>0.21を満たすことを特徴とする請求項1記載の梁部材用のH形鋼。
  3. 前記ウェブ厚肉部の梁せい方向の高さd2と前記ウェブの梁せい方向中央部の厚みtw1がd2>10・tw1を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の梁部材用のH形鋼。
  4. 前記ウェブ厚肉部の軸方向に垂直な断面形状が、略四角形状または略台形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の梁部材用のH形鋼。
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