JP2011202320A - ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い吸湿性を有しながら、強度低下の少ないポリエステル系繊維構造物を提供するものである。
【解決手段】繊維内部に吸尽された二重結合を有するモノマーが重合し、且つ重合性不飽和基を有する有機酸が該繊維にグラフト重合していることを特徴とするポリエステル系繊維構造物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い吸湿性を有しながら、経時的な強度低下の少ないポリエステル系繊維構造物およびその製造方法に関する。
ポリエステル系繊維は、優れた物理的および化学的特性を有しているため、衣料関係をはじめ多くの分野に使用されている。しかしながら、天然繊維に比べ吸湿性が低く衣料として着用した際に蒸れやすく快適性という観点からは好ましくないのが現状である。
このことを解決するため、従来から吸湿性能を付与する技術が多く提案されている。
糸を紡糸する際に吸湿成分を練り込む方法や、後加工として吸湿成分を繊維表面に固着させたり、親水性不飽和単量体をグラフト重合する方法などがある。
紡糸する際に練り込む方法では(特許文献1)、吸湿成分の含有量が多くなると紡糸が困難となり、結果として吸湿性能が低いものしか得られていない。
一方、後加工で吸湿性能を付与する方法で、繊維表面に固着させるという方法では(特許文献2)、洗濯などによる樹脂の脱落が大きく耐久性に欠けるのに加え、高い吸湿性能を付与するためには多量の樹脂を固着させることが必要となり、風合い硬化につながるものであった。
また、同じく後加工で吸湿性を付与する方法として親水性不飽和単量体をグラフト重合する方法では、親水性不飽和単量体と重合開始剤を混合し浴中で重合させる方法や(特許文献3)、同じく親水性不飽和単量体と重合開始剤を混合し、加工液に布帛をディップ・ニップした後、巻き取りを行い、全体をフィルム等でシールし回転させながらマイクロ波を照射と共にスチーミング処理を行うなどの方法がある(特許文献4)。前者の浴中処理では、重合効率が低い上にグラフトムラが発生しやすいという問題があった。また後者のマイクロ波スチーミング処理では、親水性不飽和単量体の揮発を押さえるために巻き取ったロール全体をシールする必要があるなど作業が繁雑なうえに、巻き取った布帛の内部まで均一にグラフト重合をさせることが難しく、加工ムラを発生しやすいという問題があった。またいずれの方法においても、繰り返しの洗濯や空気中の水分により加水分解を起こし、経時変化により繊維の強度低下が起こってしまうという実用上、非常に大きな問題があった。
特開2002−53743 特開平9−256278 特開2000−226766 特開昭62−110979
本発明は、かかる現状に鑑み、高い吸湿性を有しながら、経時的な強度低下の少ないポリエステル系繊維構造物およびその製造方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1) 繊維内部に吸尽された二重結合を有するモノマーが繊維内部で重合し、且つ重合性不飽和基を有する有機酸が該繊維にグラフト重合していることを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
(2) 該二重結合を有するモノマーがビニル基またはアリル基を有することを特徴とする上記(1)に記載の繊維構造物。
(3) 該ビニル基またはアリル基を有するモノマーが、リン酸またはフタル酸構造を有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリエステル系繊維構造物。
(4) 該重合性不飽和基を有する有機酸が有機カルボン酸であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
(5) 該有機カルボン酸がアクリル酸および/またはメタクリル酸であることを特徴とする上記(4)に記載のポリエステル系繊維構造物。
(6) 該二重結合を有するモノマーが吸尽された繊維が、該二重結合を有するモノマーを乳化分散させた液中に繊維構造物を浸漬し、加熱処理されたものであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
(7) 該繊維構造物が、吸湿率差である△MRとして2%以上の性能を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維構造物。
ΔMR(%)=MR2−MR1
MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
(7) ポリエステル系繊維構造物に二重結合を有するモノマーを吸尽後、重合性不飽和基を有する有機酸を該繊維にグラフト重合することを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(8) 該二重結合を有するモノマーがビニル基またはアリル基を有することを特徴とする上記(7)に記載の繊維構造物の製造方法。
(9) 該ビニル基またはアリル基を有するモノマーが、リン酸またはフタル酸構造を有することを特徴とする上記(7)または(8)に記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(10) 該重合性不飽和基を有する有機酸が有機カルボン酸であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(11) 該有機カルボン酸がアクリル酸および/またはメタクリル酸であることを特徴とする上記(10)に記載のポリエステル系繊維構造物。
本発明によれば、合成繊維の高機能性を有しながら、木綿などの天然繊維に近い耐久性のある吸湿性能を有し、且つ経時的な物性変化が少ないポリエステル系繊維構造物を提供することができる。
本発明の繊維構造物は、吸湿性を付与することで蒸れ感等が軽減されるため、肌着などのインナーは勿論、ドレスシャツやズボンなどの衣料や、シーツ、布団カバーなどの寝装品、およびワタとして布団ワタなどにも好適に使用できる。
本発明は、前記課題、ポリエステル系繊維に木綿並の吸湿性を付与しながら、風合いを損ねず、経時的な強度低下が少ないということについて鋭意検討した結果、繊維内部に吸尽された二重結合を有するモノマーが繊維内部で重合し、且つ重合性不飽和基を有する有機酸と該繊維がグラフト重合しているポリエステル系繊維構造物が、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
あらかじめ繊維内部に吸尽されたモノマーが、有機酸と繊維とがグラフト重合する際に繊維内部で重合することにより、低いモノマー濃度で高い吸湿性能を得ることができ、結果として経時的な強度低下を抑制することができるものである。
また、あらかじめ繊維内部にかかるモノマーが吸尽されていることで、繊維の外部重合を抑制することもでき、風合いが柔軟であり、且つ洗濯耐久性の高い吸湿性能を有する繊維構造物が得られるものである。
繊維内部にモノマーが吸尽されているとは、モノマーが繊維の非結晶領域に含有されているものであり、繊維表面に付着していない状態をいう。
二重結合を有するモノマーが吸尽した繊維を得るための方法については特に限定されるものではないが、予め二重結合を有するモノマーの乳化分散液に繊維構造物を浸漬または含浸させた後、加熱処理を行うことが好ましい。
具体的には、繊維構造物をモノマーの乳化分散液に浸漬させたまま加熱処理を行う浴中処理や、モノマーの乳化分散液でディップ・ニップした後、乾熱処理または蒸熱処理する方法である。
特に好ましくは、浴中処理であり、かかるモノマーの乳化分散液に繊維構造物を浸漬し、80〜130℃で10〜60分間処理した後、水洗するものである。
繊維内部にはかかるモノマーが繊維に対し、1〜10重量%含有されていることが好ましく、1重量%より少ないと経時的な強度低下を防止しにくく、また10重量%より多くても効果が向上するものではない。
かかる二重結合を有するモノマーは、ビニル基またはアリル基を有することが好ましく、さらにリン酸またはフタル酸構造を有するものが好ましい。
具体的には、ビニル基とリン酸とを有する化合物として、リン酸を有するアクリレートまたはメタクリレート構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、モノ(2−(メタ)アクリロイル)アシッドホスフェートなどである。またアリル基と、フタル酸構造を有する化合物として、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが好ましく用いられる。
かかるモノマーは単独で使用しても良いが、複数であっても差し支えない。
本発明では、少なくとも1個の重合性不飽和基を含有する有機酸が用いられるが、中でも親水性ビニルモノマーが好ましく用いられる。親水性ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、クロトン酸などが挙げられる。
かかる有機酸の中で特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸が用いられる。これらは単独で使用しても良いが、より高い吸湿性を得るためには両者を混合し使用することが好ましい。好ましい混合割合は、アクリル酸:メタクリル酸が1:20〜20:1が好ましく、更に好ましくは1:2〜1:19とメタクリル酸の割合が高い方が、高い吸湿性を得るために好ましい混合割合である。かかる有機酸は繊維構造物に対して40〜100重量%が好ましい。40重量%より少ないと吸湿性能が得られず、また100重量%を超えると、繊維内部の改質が大きく、強度が極端に低下してしまうものである。
かかる繊維内部に吸尽された二重結合を有するモノマーを重合させ、また有機酸を繊維にグラフト重合させるための重合開始剤としては、疎水性のラジカル重合開始剤が好ましく、ベンゾイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイド、メトキシベンゾイルパーオキサイド、ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレートなどの有機過酸化物やアゾビスイソブチルニトリルなどの有機化合物などを使用することができ、これらは、単独でもよく、複数を使用しても良い。
重合開始剤の使用量は、加工浴に対し0.1g/L〜10g/L程度が好ましい。0.1g/Lより少ないと十分に重合が起こらず、また10g/Lを超えても効果が向上するものではない。
かかる重合開始剤は、ポリエステル系繊維内部により多く吸尽拡散させるために有機溶剤により溶解されていることが好ましい。有機溶剤については、溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素の他、繊維を染色する際に染色性を向上させるために使用されるキャリヤーと言われるものに溶解させてもよい。キャリヤーとしては、フタルイミド化合物、安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、ケトン類、フェーノール誘導体、エーテル類、ハロゲン化合物、フェノールメタン誘導体、ジフェニール誘導体などである。
これらキャリヤーの中では、環境と繊維内部への残留時による染色堅牢度等への影響からフタルイミド化合物、安息香酸誘導体が好ましい。フタルイミド化合物としては、N−アルキルフタルイミドが好ましく、中でもN−ブチルフタルイミドが好ましい。安息香酸誘導体としては安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ヒドロキシエチル、安息香酸ベンジルなどが好ましく、これらは、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
ここで、有機酸を繊維とムラなくグラフト重合させるためには、かかる疎水性重合開始剤を水浴中に均一に分散させることが重要であり、均一に分散させるためには界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤の種類については特に限定されるものではなく、ノニオン型、アニオン型、カチオン型、両性型、ノニオン・アニオン型、ノニオン・カチオン型界面活性剤を単独もしくは複数使用すればよい。
界面活性剤として、特に好ましいのは高温での可溶化力が高いノニオン・アニオン型界面活性剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルが好適である。
キャリヤーを使用する場合は、キャリヤーを乳化するための乳化剤で十分であり、あえて新たに界面活性剤を使用する必要はない。
かかる疎水性ラジカル重合開始剤は、水浴中に乳化分散させた液中に二重結合を有するモノマーが吸尽された繊維構造物を浸漬し60〜90℃の浴中で加熱処理を行なうことにより使用される。次いで、かかる有機酸水溶液に繊維構造物を浸漬し100〜120℃の浴中で加熱処理を行うか、疎水性ラジカル重合開始剤、有機酸の両方を乳化分散させて水浴中に繊維構造物を浸漬し、100〜120℃の浴中で加熱処理を行う。この際、窒素ガス存在下で処理することにより、更に重合効率を向上させることができる。
このように、単に有機酸だけを繊維にグラフトするのではなく、予め繊維に二重結合を有するモノマーを吸尽させ、有機酸を用いてグラフト重合を行なう際に、二重結合を有するモノマーをも重合させることで、経時的に空気中の水分や洗濯によって起こる加水分解による影響と思われる強度低下が起こりにくくなるものである。
本発明においては、有機酸が繊維の一部にグラフト重合することにより酸性基が導入される。
、かかる酸性基の少なくとも1部が金属塩で置換されていることが好ましい。かかる金属塩はアルカリ金属塩であることが好ましく、ナトリウム、リチウム、カリウム等であるが、更にその1部が亜鉛、銅、銀などの金属塩に置換されていてもよい。
かかる酸性基を導入したポリエステル系繊維構造物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の少なくとも1種を溶解した水浴中に浸漬し、60〜80℃の温度で10〜30分間処理を行うことで金属置換することができる。更に硫酸亜鉛や硫酸銅などの少なくとも1種を溶解した水浴中に同繊維構造物を浸漬し60〜80℃の温度で10〜30分間処理を行うことで亜鉛、銅などの金属塩に置換することができる。
かかる亜鉛、銅等の金属塩に置換することで、吸湿性能の他に消臭性能をも得ることができるものである。
本発明のポリエステル系繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどであり、これらポリマーを単独であるいは複合して用いても良い。
本発明のポリエステル系繊維構造物は、二重結合を有するモノマーと重合性不飽和基を有する有機酸とを用いて処理をすることにより30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(MR2)と20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(MR1)との吸湿率差(ΔMR)が2%以上という性能を有する。
20℃×65%RHは着用する前の衣服環境であり、30℃×90%RHは運動状態における衣服内環境にほぼ相当する。通常のポリエステル系繊維構造物のΔMRは、ほとんど0であるのに対し、本発明は△MR;2以上の性能を有するものである。つまり、衣服として着用した際に体内から出る湿度を吸収する力が大きく、着用感が非常に向上するものである。
本発明の繊維構造物は、撥水剤、抗菌剤、帯電防止剤、消臭剤などの機能性薬剤が付与されていてもよい。
また、本発明の繊維構造物としては、織物、編物および不織布などの布帛状物の形態のものを使用することができまた、繊維は短繊維、長繊維のいずれであってもよく、これらに限定されるものではない。
かかるポリエステル系繊維に有機酸により酸性基が導入されていることは、アルカリ金属置換処理をした後、繊維断面をX線マイクロアナライザー(XMA)((株)堀場製作所 製)で観察することにより確認できる。単繊維内部に金属イオンを検知することで、二重結合を有するモノマーおよび有機酸が繊維外部で重合しているのではなく、繊維内部に吸尽、およびグラフト重合していると判断することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の性能は次の方法で測定した。
<重量変化率(%)>
重量変化率(%)
=((加工後重量(g)−加工前重量(g))/加工前重量(g))×100
<吸湿率差;△MR(%)>
ΔMR(%)=MR2−MR1
MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
<経時劣化試験;加速試験後の分解糸強力測定>
加速試験;
130℃の熱水中に浸漬し、240分間浴中処理を行った後、取り出し、水洗、脱水、風乾した。
分解糸強力測定;
JIS L1013(1999)に準じ、編織物から無作為に繊維を1本取り出し、オリエ
ンテック社製テンシロンUCT−100を用いて強度を測定した。また、測定は、編織物の
別の場所から同様に繊維を1本取出して測定し、これを5回繰り返して、その平均値を求め
た(n数=5)。
試供布
タテ糸に84デシテックス72フィラメントからなるポリエステル糸を用い、36ゲージで目付227g/mの編物を作成し、常法により精練した後、180℃でピンテンターを使用し熱セットを行い、試供布とした。
該試供布を次に示す方法で処理し、性能を評価した。各薬剤の使用量と得られた繊維構造物の性能評価結果を表1に示した。
(実施例1)
液流染色機を使用し、ジアリルフタレート80%、アニオン系界面活性剤13%、ノニオン系界面活性剤7%の乳化物を10g/Lになるように調液し(加工液)、試供布を加工液に浸漬し、浴比(試供布:加工浴の重量比)1:20に調整した。40℃から2℃/分の昇温速度で昇温し、130℃で30分間処理した。降温、湯洗、水洗、廃液し、次いで重合開始剤としてナイパーBMT−K40(日本油脂(株)製、ベンゾイルパーオキサイドのキシレン溶液)2g/Lを乳化分散し、同液流染色機で浴比1:20に調整した後、40℃から2℃/分の昇温速度で昇温し、85℃で15分間処理した。続いて降温、湯洗、水洗、廃液し、アクリル酸2.8g/L、メタクリル酸11.2g/Lになるように調液し、浴比1:40に調整した。窒素ガス雰囲気下で40℃から2℃/分の昇温速度で昇温し、110℃で30分間処理を行った。続いて降温、湯洗、水洗、廃液し、次いで炭酸ナトリウム5g/Lのアルカリ水溶液を作成し、浴比1:20に調整し60℃で30分間処理し金属塩化処理を行った後、引き続き、湯洗・水洗・脱水し、130℃で乾燥した後、160℃で3分間の熱処理を行った。
得られた布帛について、△MRを測定するとともに、経時加速試験後の糸強力保持率の測定を行った。
得られた繊維構造物は、高い吸湿性能を示しながら、強力低下の少ない布帛を得ることができた。
得られた繊維構造物の繊維束断面をXMAで観察した結果、単繊維内部にNaが確認された。
(実施例2)
実施例1のジアリルフタレートの代わりに2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートを使用した以外は実施例1と同様の処理を行った。
得られた布帛について、△MRを測定するとともに、経時加速試験後の糸強力保持率の測定を行った。
得られた繊維構造物は、高い吸湿性能を示しながら、強力低下の少ない布帛を得ることができた。
得られた繊維構造物の繊維束断面をXMAで観察した結果、単繊維内部にNaが確認された。
(実施例3)
実施例1のジアリルフタレートの代わりにβ−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレートを使用した以外は実施例1と同様の処理を行った。
得られた布帛について、△MRを測定するとともに、経時加速試験後の糸強力保持率の測定を行った。
得られた繊維構造物は、高い吸湿性能を示しながら、強力低下の少ない布帛を得ることができた。
得られた繊維構造物の繊維束断面をXMAで観察した結果、単繊維内部にNaが確認された。
(比較例1)
実施例1のジアリルフタレートを繊維内部に吸尽させる処理を行わない以外は、実施例1と同様に重合開始剤およびアクリル酸、メタクリル酸による処理のみを行った。ただしアクリル酸とメタクリル酸の濃度は4g/L、16g/Lとした。
得られた繊維構造物は、アクリル酸、メタクリル酸の使用濃度が高いのにも関わらず、重量変化率は低く、吸湿性能が低いものであった。さらに経時的な強度低下は大きいものであった。
(比較例2)
実施例1と同様の使用濃度でジアリルフタレート、重合開始剤およびアクリル酸、メタクリル酸の混合乳化分散液を作成し、浴比1:40に調整した。窒素ガス雰囲気下で40℃から2℃/分の昇温速度で昇温し、110℃で30分間処理を行った。続いて降温、湯洗、水洗、廃液し、次いで炭酸ナトリウム5g/Lのアルカリ水溶液を作成し、浴比1:20に調整し60℃で30分間処理し金属塩化処理を行った後、引き続き、湯洗・水洗・脱水し、130℃で乾燥した後、160℃で3分間の熱処理を行った。
得られた布帛について、△MRを測定するとともに、経時加速試験後の糸強力保持率の測定を行った。
得られた繊維構造物は、高い吸湿性能を示し、強力低下も少ないものの、繊維外部で重合が起こるため風合いは非常に粗硬なものであった。
また、得られた繊維構造物の繊維束断面をXMAで観察した結果、単繊維外部にNaが確認された。
Figure 2011202320
表1から本発明によるものは、高い吸湿性と経時劣化の少ない繊維構造物であると言える。

Claims (12)

  1. 繊維内部に吸尽された二重結合を有するモノマーが繊維内部で重合し、且つ重合性不飽和基を有する有機酸が該繊維にグラフト重合していることを特徴とするポリエステル系繊維構造物。
  2. 該二重結合を有するモノマーがビニル基またはアリル基を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物。
  3. 該ビニル基またはアリル基を有するモノマーが、リン酸またはフタル酸構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系繊維構造物。
  4. 該重合性不飽和基を有する有機酸が有機カルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  5. 該有機カルボン酸がアクリル酸および/またはメタクリル酸であることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル系繊維構造物。
  6. 該二重結合を有するモノマーが吸尽された繊維が、該二重結合を有するモノマーを乳化分散させた液中に繊維構造物を浸漬し、加熱処理されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  7. 該繊維構造物が、吸湿率差である△MRとして2%以上の性能を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造物。
    ΔMR(%)=MR2−MR1
    MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
    MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
  8. ポリエステル系繊維構造物に二重結合を有するモノマーを吸尽後、重合性不飽和基を有する有機酸を該繊維にグラフト重合することを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  9. 該二重結合を有するモノマーがビニル基またはアリル基を有することを特徴とする請求項7に記載の繊維構造物の製造方法。
  10. 該ビニル基またはアリル基を有するモノマーが、リン酸またはフタル酸構造を有することを特徴とする請求項8または9に記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  11. 該重合性不飽和基を有する有機酸が有機カルボン酸であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  12. 該有機カルボン酸がアクリル酸および/またはメタクリル酸であることを特徴とする請求項11に記載のポリエステル系繊維構造物。
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