JP2011202299A - 印刷用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイズ剤由来の汚れによる抄紙機の操業性低下を起こすことなく、サイズ性、オ
フセット印刷適性、電子写真印刷適性に優れた印刷用紙を提供する。
【解決手段】再生填料の配合比率が全填料量の5質量%以上含有する原紙の少なくとも片面に、バインダーと表面サイズ剤とを含む処理液で表面処理を行った印刷用紙であり、かつ、表面サイズ剤として、融点が40℃以下の低融点アルキルケテンダイマーが0.01〜0.15g/m付着していることを特徴とする印刷用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面サイズ剤を含む処理液で表面処理を施した印刷用紙に関するものである。更に詳しくは、サイズ性、オフセット印刷適性、電子写真印刷適性に優れた再生填料を使用した印刷用紙に関するものである。
紙パルプ工場の各種工程から排出される製紙スラッジは、無機充填剤及び無機顔料粒子をかなりの割合で含み、これらの製紙スラッジは回収され、流動床炉、多段燃焼炉やストーカー炉等の焼却炉で製紙スラッジ中の有機物を燃焼して製紙スラッジの減容化を図るとともに、エネルギーとして回収されている。しかしながら、製紙スラッジには多量の無機物が含有されているため、燃焼しても多量の焼却灰(無機物)が残り、減容化にも限度がある。そこで、この焼却灰をセメント原料の助剤として活用することや、土壌改良剤として活用すること等の努力もなされている。しかし、これらセメント原料や土壌改良剤の助剤としての焼却灰の使用量はわずかなものであり、結局、大部分の焼却灰は埋立て処分されているのが実情である。
そこで、焼却によって熱エネルギーとして回収するだけでなく、製紙スラッジ中の無機物を製紙用填料、顔料、プラスチック用充填剤等として再利用することは、製紙業界において古紙利用率の向上とともに環境問題に関わる重要な改善課題である。しかしながら、製紙スラッジの焼却灰には燃焼されずに残った有機物がカーボンとして含まれるため白色度が低く、あるいは、無機物の焼結が進み、粒子径が不揃いで大きくなっており、そのままの状態では製紙用の填料や塗工用顔料、プラスチック用の充填剤等として使用するのに適さない。
これらの製紙スラッジのうち、例えば、抄紙工程でワイヤーを通過して流出したものは紙力剤等が混入しており、また、抄紙工程における抄造物の変更によって品質に変動が生じる。また、排水処理工程から回収した製紙スラッジには凝集剤が混入する他、工場全体の抄造物、生産量の変動、あるいは生産設備の工程内洗浄等により大きな変動が生じる。パルプ化工程での洗浄過程から生じる製紙スラッジにおいては、チップ水分やパルプ製造条件で変動が生じる他、さまざまな填料、顔料とすることができない物質が混入し、品質変動が生じる。従って、全ての製紙スラッジを無選別に用いようとすると、製紙用の填料や塗工用顔料としての品質が大きく低下し、しかも品質の変動が極めて大きく、不安定なものとなる。すなわち、従来公知の方法で得られる再生粒子は、製紙用の填料や塗工用顔料、プラスチック用等の充填剤として使用するには品質が適さず、品質安定性に欠けるものであった。
製紙スラッジ等から回収した無機物を、再生填料として内添させ、紙力低下を引き起こすことなく、紙の不透明度、白色度が高く、摩耗性に優れ、安定した品質を有する填料内添紙が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この填料内添紙は、填料として、有機物と白色無機粒子の混合物を酸素含有ガスの存在を制限した貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素して得たメジアン径0.5〜5μmの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオン化高分子を内添する。
古紙を離解、除塵、漂白、脱墨、洗浄の工程からなる古紙パルプを製造する方法において、流送原料中に、脱墨パルプ製造工程から発生するフロス又は排水に含まれる填料を脱水・焼成・微粉砕して得られた白色度80%以上の再生填料を添加し、灰分率8〜30%の古紙パルプを製造する。この際、前記流送原料中の含有灰分率をオンラインの灰分測定機により測定し、その測定値に基いて抄紙機が要求する灰分率を設定した上で、前記再生填料の添加を実施し、灰分率を8%〜30%とし、古紙パルプ中の灰分率を安定させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
製紙スラッジから回収した再生填料を利用して、填料の歩留まりがよく、剛度が高い塗工原紙の製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この製造方法は、(1)製紙スラッジを、断面積710mm以下、長さ30mm以下の形状に成形する成形工程、(2)成形して得た成形物を低酸素条件下で600℃未満の温度で間接加熱し炭化する工程、(3)炭化して得た炭化物を燃焼温度600〜800℃で燃焼する燃焼工程、(4)燃焼して得た燃焼灰を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように粉砕する粉砕工程、(5)粉砕工程を経て得られた再生填料を、種箱からインレットの間に絶乾パルプ原料当たり5〜30重量%添加する抄紙原料調成工程、(6)ツインワイヤー方式で紙層を形成する工程、及び(7)弾性ロールと金属ロールとからなる組み合わせを少なくとも1つ含む平坦化処理手段にて、塗工原紙表面を平坦化処理する工程、を含む塗工原紙の製造方法である。
再生顔料を利用して、白色度及び光沢度が高く、印刷適性の良好な印刷用塗工紙が開示されている(例えば、特許文献6参照)。この技術では、印刷用塗工紙であって、全顔料100重量部に対して、TAPPI白色度が90%以上であり、平均粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ2μm以下のものが98%以上の粒子径分布を有するカオリンが20〜30重量部、(1)製紙スラッジを、断面積710mm以下、長さ30mm以下の形状に成形する成形工程、(2)成形して得た成形物を低酸素条件下で600℃未満の温度で間接加熱し炭化する工程、(3)炭化して得た炭化物を燃焼温度600〜800℃で燃焼する燃焼工程、及び(4)燃焼して得た燃焼灰を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように粉砕する粉砕工程により製造された再生顔料が1〜10重量部、並びに平均粒子径が0.5〜1.5μmの中空有機顔料が1〜10重量部配合する。
脱墨フロスを主原料に、焼成を均一に行うことができ、もって均一な無機粒子を製造することができる、無機粒子の製造方法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。この技術では、脱墨フロスを主原料に、乾燥工程と焼成工程を有する無機粒子の製造方法であって、前記焼成工程において脱墨フロスを焼成するに先立ち、乾燥工程において水分率を2〜20質量%、乾燥工程出口における無機粒子の粒子径を、355〜2000μmのものが70質量%以上、焼成工程において、未燃分を5〜30%にする段階において、焼成処理温度を500〜750℃で行うことで、無機粒子を得る。
資源を再利用して低コストで製造され、紙粉刷版汚れ、印刷白抜けが少なく、高耐水性でインク吸収性にも優れ、嵩高性を有し、不透明度に優れて裏抜けが少なく、例えばオフセット印刷に好適に使用し得る塗工紙が開示されている(例えば、特許文献8参照)。原紙の少なくとも片面に、顔料とバインダーとを主成分とする塗工剤により塗工層が形成され、バインダーがアニオン性、両性又はノニオン性であり、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程に供し、該焼成工程において焼成凝集させた、塗工紙表面のX線マイクロアナライザーによる元素分析において、その再生粒子凝集体の構成成分中に、酸化物換算で、CaとSiとAlとが20〜82:9〜40:8〜40の質量割合で含まれている再生粒子凝集体が、塗工剤用の顔料として塗工されたことを特徴とする塗工紙である。
「お直し」と呼ばれる研磨加工後の研磨面に各ページ間のブロッキングが生じない、更に滑りやすい好適な作業性を有する印刷用紙が開示されている。基紙表面に、顔料及び接着剤を主成分とする塗被層を有する印刷用紙であって、JIS P 8147:1994の傾斜方法に基づく塗被面同士の滑り出し開始の角度を22〜32°とする。好ましくは、前記基紙は、原料パルプ及び填料を主構成原料とし、填料及び/又は顔料として、脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経て得られた、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有した再生粒子を含み、この用紙中のJIS P 8251に準拠した灰分は10〜25%とする。更に好ましくは、前記填料及び/又は顔料として、前記再生粒子の表面にシリカが定着した再生粒子を含む印刷用紙である。
工業的なプラント又はプロセスから排出されるスラッジ、特に製紙工場から排出されるペーパースラッジを、製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料として再利用できる無機粒子の製造方法及びその設備が開示されている(例えば、特許文献10参照)。この発明に係る無機粒子の製造方法は、スラッジ11を原料として筒型熱処理装置1の筒軸方向の端部に設置されるスラッジ供給口2から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口8から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する熱処理工程を備える無機粒子の製造方法であって、その熱処理工程の際に未燃焼物搬送用空気流Aを該筒型熱処理装置から排出することにより未燃焼物を該未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出し、スラッジから除去することを特徴とする。
脱墨フロスを主原料とする再生粒子又は再生粒子凝集体を利用して、白色度が高く、低摩耗性のシリカ被覆再生粒子を製造することが開示されている(例えば、特許文献11参照)。脱墨フロスを主原料とし、かつ平均粒子径が0.1〜10μmの再生粒子又は再生粒子凝集体を得て、この再生粒子又は再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液中に懸濁するとともに鉱酸を添加し、再生粒子又は再生粒子凝集体粒子の周囲をシリカで被覆してシリカ被覆再生粒子を得ることができる。
ペーパースラッジから得た再生無機粒子を用いた塗被紙が開示されている(例えば、特許文献12参照)。原料としてのスラッジをスラッジ供給口から供給し、スラッジ排出口から取り出す間に、過剰空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する熱処理工程を備え、スラッジ供給口側から、例えば排気ファンを用いて、熱処理装置内空気を強制的に排出することにより、スラッジ排出口側から未燃焼物搬送用空気を熱処理装置内へ吸入し、ペーパースラッジから除去して無機粒子を得る。この無機粒子を含有する顔料と接着剤を主成分とする塗被層を原紙の少なくとも片面に一層以上形成させて塗被紙を製造する。
また、近年、環境保護の観点から、紙の使用量をできるだけ減量する、あるいは古紙の利用を更に進めることが求められてきている。紙の使用量を減らすという点では、印刷用紙をできるだけ軽量化させることが求められている。また、古紙の利用という点では、古紙パルプの使用が求められている。
印刷用紙を軽量化させた場合は、用紙の不透明度が低下するため、紙中に含まれる填料を増加して不透明度を補うのが一般的な技術であるが、填料を増やすと印刷用紙のサイズ性は低下する。また、古紙の配合率を上げた場合にも、古紙パルプ由来の界面活性剤やアニオントラッシュのために内添サイズ剤の歩留まりが低下するためにサイズ性が低下する。従って、いずれのケースにおいてもサイズ性の向上が課題となる。
印刷用紙のサイズ剤に関しては、一般的に行われている中性紙の印刷用紙を製造する際には、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー(以下、AKDと略す)、中性ロジンサイズ剤等が使用されている。これらのうち、AKDはC16〜C22の直鎖の炭化水素基の部分が疎水性部分となるため、比較的少量の添加量でサイズ性を発揮することができることから広く使用されている。
しかし、前述のサイズ性向上対策としてAKDの内添量増で対応しようとした場合、抄紙機のプレスからドライヤーパートにおいてサイズ剤由来の汚れが発生しやすい。AKD由来の汚れは強固な固まりであり、汚れがひどくなった場合には、紙自身の表面に型が転写されて紙表面の外観を損なうことや、断紙を引き起こすことがある。
このような問題に対し、内添サイズ剤との定着性を向上させるための添加物を添加し、サイズ剤の歩留まり率を向上させることで、内添サイズ剤の添加量を抑えようとする試みが示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。しかし、これらの方法では内添サイズ剤の添加量を減らした際のサイズ性が十分に得られず、また、内添サイズ剤による抄紙機の汚れを解消するまでには至らなかった。
更に、製紙スラッジ、特に脱墨フロスを主原料として焼成した再生粒子又は再生粒子凝集体を紙中の填料として利用した場合、その再生粒子の比表面積の大きさ故にAKD等の内添サイズ剤成分が吸着されそのサイズ性能が有効に発揮されない悪影響もあり、内添サイズ剤の増量や定着助剤による対処が有効に機能しないケースも生ずる。
印刷用紙のサイズ性を向上させる別の方法として、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン系、オレフィン系、AKD系等の各種表面サイズ剤を使用することが挙げられる。しかしながら、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン系、オレフィン系のサイズ剤では十分なサイズ性改善効果が得られない。一方、AKD系表面サイズ剤を使用した場合は、サイズプレスでのロール表面汚れや、アフタードライヤーでのドラム表面汚れが発生することがある。また、原紙表面にAKD系表面サイズ剤の塗工量が多い印刷用紙は紙が滑りやすくなり、また、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性や、電子写真印刷で印刷された際のトナー定着性が悪化しやすい。
近年、中性紙の表面サイズ剤として適用するための低融点のAKDサイズ剤が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。従来、内添サイズ剤や表面サイズ用に使用されてきたAKDと比較して、融点が40℃以下の低融点AKD(以下、低融点AKDと称する)は、疎水性を示す炭化水素基の部分が直鎖ではなく、分岐構造を有した炭化水素基からなるAKDである。また、通常のAKDを加熱溶融した後に冷却した際には非常に硬い固化物となるが、低融点AKDの場合には比較的柔らかい固化物が形成される。このため、操業時にサイズプレスをはじめとする塗工機まわりやアフタードライヤーで汚れの発生が抑制される。低融点AKDを用いてサイズ性を発現させる試みも示されている(例えば、特許文献2参照)が、前述のような填料配合量が高い印刷用紙、あるいは古紙パルプを配合した印刷用紙等に適用する場合については、未だ検討されていない。
特許2000−27092号公報 特許平10−310993号公報 特開2003−119692号公報 特開2005−248386号公報 特開2006−138044号公報 特開2006−225815号公報 特開2007−112681号公報 特開2007−197888号公報 特開2007−211374号公報 特開2008−1591号公報 特開2008−81390号公報 特開2009−114618号公報
紙パ技協誌、第47巻第2号、p56−p60(1993) 永尾和樹、他3名、"新規なAKD系表面サイズ剤について"、紙 パルプ技術タイムス、2007年7月、第50巻、第7号、p.15−17
サイズ剤由来の汚れによる抄紙機の操業性低下を起こすことなく、サイズ性、オフセット印刷適性、電子写真印刷適性に優れた再生填料を含む印刷用紙を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の方法によって達成された。
(1)製紙スラッジを原料とした再生填料を全填料量の5質量%以上配合する填料内添紙原紙の少なくとも片面に、バインダーと表面サイズ剤とを含む処理液で表面処理を行った印刷用紙であり、かつ、表面サイズ剤として、融点が40℃以下のアルキルケテンダイマーが片面当たり0.01〜0.15g/m付着している印刷用紙である。
(2)再生填料の粒径が、0.2μm〜15μmである(1)記載の印刷用紙である。
(3)原紙の灰分が10〜25質量%である(1)記載の印刷用紙である。
(4)バインダーがカチオン基が多い両性澱粉である(1)記載の印刷用紙である。
(5)内添サイズ剤として、融点が40℃を超えるアルキルケテンダイマーを対パルプ0.05〜0.15質量%添加する(1)記載の印刷用紙である。
製造時にサイズ剤由来の汚れによる抄紙機の操業性低下を起こすことなく、サイズ性、オフセット印刷適性、電子写真印刷適性に優れた再生填料を含む印刷用紙を提供することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
抄紙機の操業性を低下させることなく、サイズ性に優れた再生填料の配合比率が全填料量の5質量%以上の印刷用紙を提供するには、融点が40℃以下のアルキルケテンダイマー(以下、低融点AKDと称する)を原紙の片面あたり0.01〜0.15g/m付着させることで達成される。低融点AKDの付着量が0.01g/mより少ない場合にはサイズ性が十分に発現しない。一方、低融点AKDの付着量が0.15g/mよりも多い場合、サイズ性向上効果は飽和するため、経済性及び過剰に添加しても工程内の汚れ発生源となる傾向がある。
本発明の印刷用紙は、灰分が10〜25質量%であることが好ましい。10質量%未満では、優れた不透明度を得られないことがある。また、25質量%を超える場合には、サイズ性が低下することがある。
紙の灰分としては、多くなりすぎると紙力維持の効果が期待できなくなることから、40質量%以下程度が好適であり、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。なお、一般に灰分は、紙に含まれる無機物の量を示すため、基本的に紙中に含まれる填料等の無機粒子の量を反映するものである。紙の灰分は、主に紙料調製時に外部から添加されるフレッシュな填料に由来するものと、DIP(古紙パルプ、脱墨パルプ)等の再生パルプ原料により持ち込まれるものとで構成される。DIPによって持ち込まれる灰分としては、一般的に炭酸カルシウムが比較的多く、炭酸カルシウム以外の無機成分も含まれるが、炭酸カルシウムと他の無機成分との割合は、再生パルプ中の新聞古紙や雑誌古紙の割合等、古紙の種類や回収状況等によって異なる。
本発明における古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。更に具体例としては、情報関連記録用紙である非塗工コンピュータ記録用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンター記録用紙、及びPPC記録用紙等のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙等の紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留まりパルプ含有紙等が使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
古紙パルプは、原料パルプ中に50質量%以上、特に60〜100質量%含まれる場合において、本発明思想がより明確になる。
本発明の印刷用紙は、坪量40〜100g/mであることが好ましい。より滲みの少ない印刷品質を得るには坪量50g/m以上、更には60g/m以上が好ましい。ここで坪量とは1平方メートル当たりの用紙の質量であって、用紙の厚さと密度によって変化する。特に、近年の印刷用紙においては、省資源と環境により優しい製品ニーズに対応して古紙パルプの高配合が進められているものの、リサイクル化の進行に伴う古紙パルプそのものの劣化により嵩が出にくい現象が生じており、従来と同等の手肉感を得るために坪量を増加させる場合が見られるようになってきている。
従って、坪量は軽量化の時流に逆行し、増加する傾向にあるものの、本発明においては、印刷用紙として公知の印刷機に好適に適合できる坪量40〜100g/mの印刷用紙において、古紙を主成分として用いても、従来のバージンパルプと見劣りしない印刷用紙を提供できる。
本発明は、幾度となく繰り返されるリサイクル処理において疲弊した古紙パルプを用いながら、印刷用紙の坪量が40〜100g/mである印刷用紙を提供することができ、古紙パルプの割合が50質量%未満、坪量が40〜100g/mを外れると、本発明が目的とする効果を遺憾なく発揮できないことがある。
本発明の印刷用紙は、全パルプのうち再生填料の配合比率が20〜100%であることが好ましい。環境保護の観点からは、再生填料の配合比率が多いほど好ましく、本発明においては填料全量が再生填料でもよい。
本発明の再生填料とは、脱墨パルプ製造工程から発生するフローテーターのフロス及び/又は他の排水等からなる製紙スラッジを脱水、焼成、粉砕して得られる填料のことを指す。
しかしながら、処理を要する製紙スラッジは最終的に1月当たり数百トン〜数千トンにもなることが予想されるが、前記従来の製紙スラッジの各種処理方法では、そのいずれにおいても多量の製紙スラッジを効率的に処理できない上、白色度が高く高品位のスラッジ焼却灰を得ることが困難であった。その理由は、次のように推測される。
まず、製紙用材料に再利用するスラッジ焼却灰は、白色の紙に配合する上で、できるだけ白色度の高いものが望ましく、そのために白色度低下の要因となる未燃焼の有機成分(所謂、煤、炭等の炭化物)を極力除去することが重要であるが、古紙利用率が高まるほど製紙スラッジに含まれる印刷インキ由来のカーボンブラックが多くなる。しかも、この印刷インキ由来のカーボンブラックは、黒色顔料として取り扱い時の発火、爆発の危険性を除くために、発火しやすい不純物質等が残留しないように入念に炭化処理されているから、元来より非常に燃焼しにくい性状になっている。
一方、一般的な有機成分は炭素分子鎖を主とする分子構造をもつが、その分子構造内にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基等の官能基があれば、この官能基部分を起点(反応開始点)として熱分解や酸素との化合(発火、酸化、燃焼)が促進される。このため、該官能基を有する有機成分は、比較的低い温度で発火し、その温度を保ったまま十分な酸素を供給することによって容易に燃焼除去できる。また、有機成分の大部分が前記官能基を有していなくても、不純物質等の少量成分として該官能基を有する有機成分が含まれる場合には、この少量の有機成分の官能基部分が熱分解や燃焼の起点になるため、やはり比較的低い温度で発火し、その温度を維持しつつ十分な酸素を供給することで容易に有機成分を燃焼除去できる。
これに対して、煤や炭に代表される炭化物は、有機成分を貧酸素雰囲気下でいぶし焼き(炭化)して得られるが、その際に炭素分子鎖のほぼ全体が炭素2重結合のグラファイト構造(=C=C=C=C=)に変化し、分子構造内の官能基を殆ど失って非常に発火しにくい状態となるため、高温でなければ発火、燃焼しなくなる。
しかるに、製紙スラッジの燃焼処理前に炭化処理を行う前記従来の方法では、古紙の印刷インキ由来のカーボンブラックに加え、製紙スラッジ中の元来は燃焼しやすい有機成分まで炭化処理でわざわざ燃焼しにくい炭化物に変化させることになるから、燃焼処理の観点からは非合理的であり、実際に燃焼効率が悪い上、白色度の高い無機粒子を得ることが困難である。
以下に、本発明の印刷用紙に用いるのに好適な再生填料について説明する。製紙スラッジは、古紙パルプ製造工程や抄紙工程において、脱水された白水と呼ばれる搾液中に含まれる有機物と白色無機粒子の混合物である。より具体的には古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、パルプ化工程での洗浄過程で発生したもの、及び抄紙時にワイヤーを通過して白水に流出した有機物と白色無機粒子を含む混合物を使用することができる。この実施形態では、古紙再生工程の脱墨工程よりも前段工程である離解工程の白水からスラッジを回収することにより、古紙再生工程における脱墨処理、漂白処理、洗浄処理の負荷が低減され、古紙処理コストの低減に加え、排水処理の負荷が低減できるため好ましい。
特に古紙再生工程では、古紙原料に由来した白色無機粒子が白水中に多量に流出するが、この白水を凝集処理して白色無機粒子を効率的に回収することができる。例えば、通常の古紙パルプの製造工程から得ることができ、離解処理であれば、従来公知の低濃度パルパー、高濃度パルパーのいずれからの搾水も利用できる。古紙の脱墨処理についても従来公知のいずれの方法でも使用でき、各工程の洗浄機からの搾水も使用できる。また、白色度の低い古紙原料から得られた白水の場合は、白水の浮選処理によって白水からインク粒子を除去しておく方が好ましい。
また、本発明に使用する再生填料の原料として、下水や工場廃水等から発生するスラッジを用いることもできる。下水や工場廃水には固形分が含まれているために、クラリファイヤーや凝集沈殿槽で沈降分離されてから放流されている。この際、廃棄物として廃水中に含まれる固形分がスラッジとして回収される。
印刷用紙への使用に関する本発明においては、製紙材料に由来したスラッジが好ましい原料であることから、製紙材料に由来する製紙スラッジを使用した例について以下に記述する。この実施形態ではスラッジを熱処理することで、塗工紙製造に適した再生顔料を有機物と分離して回収することができる。
なお、スラッジ中の鉄分含有量(Fe)は、固形分比率で5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下であることが好ましい。鉄を多量に含むスラッジは白色度が十分に高くならない問題が生じる。鉄分量を減らす方法としては、例えば、製紙工場廃水処理工程で固形分分離のために使用される凝集剤に鉄分を含まないものを使用することが好ましい。更に、分級機に磁石等を設置し、スラッジ中に混入する針金や釘等の鉄片を除去したり、混入しない工夫をすることが可能である。この他にも必要に応じて異物や粗大焼結塊の除去を行うことが好ましい。これらの異物除去処理は炭化、脱炭素による白化、粉砕等の各処理工程間において、スラッジと除去対象物の形態に合わせて、効率的に除去できるように設置することが好ましいが、できるだけ前段の工程で除去しておくことがより好ましい。
スラッジを熱処理前に造粒することも可能である。この造粒処理により、微細粒子が一体化し、微細粒子の飛散を防止でき、熱処理後の収率を向上できる。また、大きさのバラツキが小さくなり、その熱処理効率が高まり、効率よく有機物が熱分解し、設備を小型化できる。含水状態のスラッジを転動造粒法や攪拌造粒法等により造粒することもできるが、乾燥したスラッジを圧縮成形する方法は、熱処理で熱エネルギーを節約することができ、好ましい。
乾式の造粒方法として、ブリケットマシンやローラコンパクター等の圧縮成形機を用いることが好ましい。これらの圧縮成形機は、加圧された2本のロール間にスラッジを、スクリューにより強制的に押し込み、ロールを回転させることで圧縮成形することができる。
染料を抄紙に用いる場合、内添用の填料とともに原料パルプに内添するのが一般的であり、通常染料は、パルプ繊維に対する染色性は良好であるが、填料に対する染色性は低い。ところが、従来一般的に用いられるクレーや炭酸カルシウムに対する染料の染色性と、再生填料に対する染色性とは異なる。
本発明では、前記したように、塗工剤において顔料として特定の再生粒子凝集体が少なくとも配合されるが、該再生粒子凝集体に対して、染料は良好な染色性を示す。しかも、その染色性は、種々の再生粒子凝集体においても、高温で燃焼した再生粒子凝集体と比べて低温で燃焼した再生粒子凝集体の方がより優れる。更に、再生粒子凝集体を含む顔料の粒径や仕様によっても、染料の挙動が異なる。
また、紙用途の染料は、アニオン性を呈する従来一般的に用いられるクレーや炭酸カルシウムよりも、再生粒子凝集体に対する染色性の方が高く、カチオン性直接染料又は塩基性染料は、再生粒子凝集体の仕様により染色性が異なる。
そこで、これら染色性の異なる染料を塗工剤において併用すると、染料微細繊維比率及び填料比率の高いフェルト面は、カチオン性直接染料もしくは塩基性染料で着色され、パルプ比率の高いワイヤー面は、主にアニオン性直接染料で着色される。従って、同色系のアニオン性直接染料とカチオン性直接染料もしくは塩基性染料との使用比率を調整することにより、色相表裏差を小さくすることができ、調整の度合いによっては、色相表裏差をゼロにすることも可能である。
また、本発明のように染料を塗工剤に配合して原紙の表面に塗工することにより、従来のように原料パルプに染料を内添する場合と比較して、少量の染料にて着色ムラを抑制することができる。
本発明に用いる染料の種類には特に限定がなく、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料、ノニオン性染料等の中から1種又は2種以上を適宜選択し、例えば前記のごとき組み合わせにて使用することができる。
前記染料の中でもアニオン性直接染料は退色性が高いが、表面サイズ剤や紙力増強剤と同時に塗工剤中に配合する際に、表面サイズ剤との凝集が起こり難く、取り扱いが容易であるという点から紙力増強剤としてアニオン性澱粉を使用する場合が多く、カチオン性の染料を配合すると、該アニオン性澱粉との凝集物が生成される可能性がある。従って、染料としてはアニオン性直接染料を用いることがより好ましいが、前記したように、同色系のアニオン性直接染料とカチオン性直接染料もしくは塩基性染料とを併用し、両者の使用比率を調整することにより、色相表裏差を小さくすることができ、調整の度合いによっては、色相表裏差をゼロにすることも可能である。
また、本発明の印刷用紙は、内添サイズ剤としてAKDを対パルプ0.05〜0.15質量%添加し、かつ表面サイズ剤として低融点AKDが0.03〜0.12g/m付着していることが好ましい。
内添サイズ剤としてのAKDの添加量が対パルプ0.05質量%未満の場合は、原紙のサイズ性が低いため、表面サイズ剤として原紙に塗布する低融点AKDが原紙表面にとどまらず、原紙内部に浸透してしまうため、サイズ性が発現しにくくなる。逆に、内添サイズ剤としてのAKDの添加量が対パルプ0.15質量%を超える場合は、操業時の汚れの発生、オフセット印刷時のオフセット印刷インキの乾燥性悪化、電子写真印刷時のトナー定着性悪化等が生じることがある。
表面サイズ剤としての低融点AKDの付着量が0.03g/mよりも少ない場合、十分なサイズ性向上効果が得られないことがある。また、低融点AKDの付着量が0.12g/mよりも多い場合には、サイズ性は十分に確保することができるが、オフセット印刷インキの乾燥性や電子写真印刷時のトナー定着性が悪化することがある。
更に、表面サイズ剤として低融点AKD(A)とカチオン基が多い両性澱粉(B)を併用し、AとBの質量比(A/B)が2/1〜12/1に調整することが好ましい。
カチオン基の多い両性澱粉は、オフセット印刷用インキや電子写真印刷のトナーとの親和性が高く、単独あるいは両者を併用することで印刷適性を改善させる効果がある。しかし、印刷用紙に十分なサイズ性を付与するためには、低融点AKDとの併用が必要となる。この際、低融点AKD(A)と併用するカチオン基の多い両性澱粉(B)の質量比(A/B)が12/1よりも大きい時には、カチオン基が多い両性澱粉が、低融点AKDよりも相対的に少なく、印刷適性の改善効果が十分ではない。一方、質量比が2/1よりも小さい場合には、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性や電子写真印刷におけるトナー定着性の改良効果は飽和する。
本発明の印刷用紙の原紙に内添する填料は、再生填料を使用する以外は、特に限定されるものではなく、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。このような填料としては、例えばタルク、カオリン、イライト、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の無機填料、及びプラスチックピグメント等の有機填料等を挙げることができる。本発明においてはカオリン、イライト、炭酸カルシウムを単独又は2種類以上を併用して用いることが好ましい。
本発明の印刷用紙を製造する際に使用されるパルプとしては、LBKP、NBKP、LBSP、NBSP、TMP、CTMP、BCTMP、GP、RGP、CGP等の各種パルプやDIP等の各種古紙パルプ、ケナフ等の非木材繊維が挙げられ、必要に応じて、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の表面処理液に使用するバインダーとしては、酸化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン、大豆タンパク質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。
本発明においては、対紙料パルプ当たり0.10〜2.0質量%の両イオン性澱粉を使用する。本発明の製造方法で紙力向上剤として使用する両イオン性の澱粉としては、リン酸基、スルホン基、及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアニオン基と、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、スルホニウム基、及びホスホニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のカチオン基とを有する澱粉等が挙げられるが、両イオン性であればよい。ここにいう3級アミノ基の例として、澱粉に2−ジアルキルアミノエチルクロリドを反応させたものが挙げられ、4級アンモニウム基の例として、澱粉にトリメチルアミンやトリエチルアミン等のトリアルキルアミンとエピクロルヒドリンとの反応物を反応させたものが挙げられる。
本発明の両イオン性澱粉の原料となる澱粉としては、特に限定はないが、馬鈴薯澱粉や甘藷澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ又はそれらの加水分解澱粉等が挙げられる。
本発明の両イオン性澱粉の電荷密度は特に限定されないが、カチオン電荷密度の範囲として0.02meq/g以上14meq/g未満であることが好ましく、0.1meq/g以上5meq/g未満であることがより好ましく、0.15meq/g以上1meq/g未満であることが最も好ましい。0.02meq/g未満では、イオン性が少なく繊維への自己定着性が低くなる。一方、14meq/g以上では、カチオン性が強すぎて抄紙系内の電荷バランスを陽転させてしまい、かえって微細繊維や填料歩留まりを悪化させるため好ましくない。
一方、本発明の両イオン性澱粉のアニオン電荷密度としては、0.01meq/g以上7meq/g未満であることが好ましく、0.05meq/g以上1meq/g未満であることがより好ましい。0.01meq/g未満では、アニオン性が低く、アニオン基の効果が不十分となる。一方、7meq/g以上では、アニオン性が強すぎて抄紙系内に添加される他のカチオン薬品の効果を阻害するため好ましくない。
本発明の両イオン性澱粉のカチオン電荷密度とアニオン電荷密度の比は、99:1〜1:2の範囲であることが好ましく、19:1〜1:1.2の範囲であることがより好ましい。電荷密度の比が99:1よりも大きい場合は、アニオン基がカチオン基によって封鎖されてしまい両イオン性としての効果を発揮できなくなる。電荷密度の比が1:2よりも小さい場合は、系内のアニオン性が強くなりすぎて、他のカチオン薬品の効果を阻害してしまう。
本発明の表面処理液を本発明の印刷用紙の原紙に塗工する方法としては、特に制限はなく、サイズプレス、フィルムプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター等が選択できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、特に指定のない限り全て質量部及び質量%を示す。
<原紙の作製>
下記条件で印刷用紙用の原紙1〜8を作製した。
<原紙1>
濾水度450mlCSFのLBKP80質量%、濾水度400mlCSFの上質紙DIP20質量%からなるパルプ配合とし、全パルプ100質量%に対して、下記の薬品を配合し調製したパルプスラリーを用いて坪量62.8g/mの原紙を長網抄紙機において抄造した。抄造した原紙1の灰分は5%であった。
<内添薬品配合>
硫酸バンド 1.0%
軽質炭酸カルシウム(商品名:TP121、奥多摩工業社製) 5.0%
再生填料 5.0%
カチオン化澱粉(商品名:ネオタック40T、日本食品加工社製) 0.8%
AKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−903−20、荒川化学工業社製)
0.05%
歩留まり剤(商品名:ハイモロックNR11LS、ハイモ社製) 0.01%
<原紙2>
軽質炭酸カルシウムを9.5%、再生填料0.5%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙2を抄造した。原紙2の灰分は5%であった。
<原紙3>
軽質炭酸カルシウムを9.0%、再生填料1.0%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙3を抄造した。原紙3の灰分は5%であった。
<原紙4>
軽質炭酸カルシウムを7.5%、再生填料2.5%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙4を抄造した。原紙4の灰分は5%であった。
<原紙5>
軽質炭酸カルシウムを2.5%、再生填料7.5%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙6を抄造した。原紙6の灰分は5%であった。
<原紙6>
軽質炭酸カルシウムを0.0%、再生填料10.0%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙7を抄造した。原紙7の灰分は5%であった。
<原紙7>
軽質炭酸カルシウムを10.0%、再生填料0.0%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙8を抄造した。原紙8の灰分は5%であった。
<原紙8>
軽質炭酸カルシウムを9.6%、再生填料0.4%に変更した以外は、原紙1と同一の内容で原紙8を抄造した。原紙9の灰分は5%であった。
下記条件でサイズプレス液1〜12を調製した。
<サイズプレス液1の調製>
酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製) 3.0%
低融点AKD(直鎖型)(商品名:SE2410、星光PMC社製) 0.18%
<サイズプレス液2の調製>
低融点AKD(直鎖型)を低融点AKD(分岐型)(商品名:SE2395、星光PMC社製)に変更した以外は、サイズプレス液1と同一の内容でサイズプレス液2を調製した。
<サイズプレス液3の調製>
低融点AKDを0.03%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液3を調製した。
<サイズプレス液4の調製>
低融点AKDを0.08%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液4を調製した。
<サイズプレス液5の調製>
低融点AKDを0.30%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液5を調製した。
<サイズプレス液6の調製>
低融点AKDを0.38%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液6を調製した。
<サイズプレス液7の調製>
酸化澱粉をカチオン基が多い両性澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:GRC−20T)3%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液7を調製した。
<サイズプレス液8の調製>
酸化澱粉をカチオン化澱粉(王子スターチ社製、商品名:エース250)3%に変更した以外は、サイズプレス液2と同一の内容でサイズプレス液8を調製した。
<サイズプレス液9の調製>
低融点AKDを高融点AKD(星光PMC社製、商品名:SS362)に変更した以外は、サイズプレス液1と同一の内容でサイズプレス液9を調製した。
<サイズプレス液10の調製>
高融点AKDを除き、酸化澱粉だけに変更した以外は、サイズプレス液1と同一の内容でサイズプレス液10を調製した。
<サイズプレス液11の調製>
高融点AKDをスチレン−アクリル系サイズ剤(ハリマ化成社製、商品名:KN−500)に変更した以外は、サイズプレス液1と同一の内容でサイズプレス液11を調製した。
<サイズプレス液12の調製>
高融点AKDをオレフィン樹脂系サイズ剤(星光PMC社製、商品名:SS2250)に変更した以外は、サイズプレス液1と同一の内容でサイズプレス液12を調製した。
次に、原紙1〜8に、サイズプレス液1〜12を下記の通り、組み合わせて、実施例1〜13、比較例1〜6の印刷用紙を作製した。
(実施例1)
原紙1にサイズプレス液1を用いて、サイズプレス処理を行った。サイズプレス処理後はシリンダードライヤーで乾燥し、カレンダーで平滑化処理を行い、坪量64g/m、密度0.75g/cmに調整し、実施例1の印刷用紙を作製した。なお、サイズプレスでは、ウエット塗布量を40g/mとし、サイズ剤の付着量は、片面で0.07g/mであった。
(実施例2)
原紙2を用い、低融点AKD(直鎖型)を低融点AKD(分岐型)、星光PMC社製、商品名:SE2395に変更した以外は、実施例1と同様にサイズプレス処理を行い、実施例2の印刷用紙を作製した。
(実施例3、4)
原紙3、4をそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にサイズプレス処理を行い、実施例3、4の印刷用紙を作製した。
(実施例5)
低融点AKD(直鎖型)を低融点AKD(分岐型)、星光PMC社製、商品名:SE2395に変更した以外は、実施例1と同様にサイズプレス処理を行い、実施例5の印刷用紙を作製した。
(実施例6、7)
原紙5、6をそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にサイズプレス処理を行い、実施例6、7の印刷用紙を作製した。
(実施例8〜13)
サイズプレス液1を変更して、サイズプレス液3〜8を用いる以外は、それぞれ実施例1と同様にサイズプレス処理を行い、実施例8〜13の印刷用紙を作製した。なお、サイズ剤付着量(片面)は、実施例8では0.01g/mであり、実施例9では0.03g/m、実施例10では0.12g/m、実施例11では0.15g/m、実施例12〜14では0.07g/mであった。
(比較例1)
比較例1の印刷用紙は、原紙1を変更して原紙7を使用し、更に、サイズプレス液1を変更し、サイズプレス液9を用いる以外は、実施例1と同様にサイズプレス処理を行い、比較例1の印刷用紙を作製した。なお、サイズ剤付着量(片面)は、0.07g/mであった。
(比較例2)
比較例2の印刷用紙は、原紙1を変更して原紙8を使用した以外は、比較例1と同様にサイズプレス処理を行い、比較例2の印刷用紙を作製した。なお、サイズ剤付着量(片面)は、0.07g/mであった。
(比較例3)
比較例3の印刷用紙は、サイズプレス液1を変更し、サイズプレス液9を用いる以外は、比較例1と同様にサイズプレス処理を行い、比較例3の印刷用紙を作製した。なお、サイズ剤付着量(片面)は、0.07g/mであった。
(比較例4〜6)
比較例4〜6の印刷用紙は、サイズプレス液2を変更して、それぞれサイズプレス液10〜12を用いる以外は、それぞれ実施例5と同様にサイズプレス処理を行い、比較例4〜6の印刷用紙を作製した。なお、サイズ剤付着量(片面)は、それぞれ0.07g/mであった。
<評価>
実施例1〜13と比較例1〜6の印刷用紙について、製造時における操業性と作製された印刷用紙の品質を下記の項目について評価した。
<操業性(原紙)>
印刷用紙の原紙を製造した際の、プレスからドライヤーにかけての各ロールの汚れ具合を目視評価した。
3:ロール部分に汚れなし。
2:ロール部分を斜光で見た場合にわずかに曇りがある。
1:ロール部分に汚れが見られ、紙離れも不安定になる。
評価結果で「2」以上であれば問題がないと判断する。
<操業性(サイズプレス)>
印刷用紙の原紙の上にサイズプレスを行った場合、コーターまわりからドライヤーにかけての汚れ具合を目視評価した。
3:ロール部分に汚れなし。
2:ロール部分を斜光で見た場合にわずかに曇りがある。
1:ロール部分に汚れが見られ、紙離れも不安定になる。
評価結果で「2」以上であれば問題がないと判断する。
<サイズ性>
JIS P8122に従って、各印刷用紙のステキヒトサイズを測定した。印刷用紙が印刷時の湿し水で表面が濡れたりした場合の耐性や用紙の筆記性を考慮すると、64g/m換算で17秒以上であれば実用上問題ない。
<不透明度>
JIS P8149に従って、各印刷用紙の不透明度を測定した。64g/mの印刷用紙として、86%以上あれば印刷時の裏抜けが少ないものと判断した。
<インキ乾燥性>
印刷時のインキ乾燥性の指標として、「RI−1型印刷試験器」にてインキの定着性を下記の条件にて評価した。評価用インキはDIC社製「スペースカラーフュージョンG墨」0.7cc、ドラム回転数は70rpmでRI印刷を行った。印刷して60分後に印刷部分にセロハンテープを貼り、すぐに剥がした時のセロハンテープへのインキの転写の程度を目視評価した。
5:セロハンテープへのインキ転写が見られない。
4:セロハンテープのところどころにインキ転写が見られる。
3:セロハンテープへ斑状にインキ転写が見られる。
2:セロハンテープの半分以上の部分にインキ転写が見られる。
1:セロハンテープの全面にインキ転写が見られる。
評価結果で「3」以上であれば問題ないと判断する。
<トナー定着性>
コピー用紙としての使用を考慮し、トナー定着性を下記の条件にて評価した。コピー機はシャープ社製「MX−450F」で各サンプルに黒ベタを印刷し、印刷直後に黒ベタ部の半分にセロハンテープを貼った後すぐに剥がした。セロハンテープを貼っていない黒ベタ部の濃度と、剥がした後の部分の黒ベタ部の濃度を、サカタインクスエンジニアリング社製濃度計「SpectroEye」にてそれぞれ測定し、「((剥離後の濃度)/(剥離前の濃度))×100」をトナー残存率として算出した。トナー残存率80%未満を×、80%以上を△、90%以上を○、97%以上を◎とし、△が実用上必要である。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2011202299
実施例と比較例1〜3を比較することで表面サイズ剤として用いた液状AKDがサイズプレス工程での操業性に問題が生じず、かつ印刷用紙として必要なサイズ性、インキ乾燥性、トナー定着性を合わせて満足していることが分かる。また実施例と比較例1、2より、再生填料の比率が全填料量に対して、5質量%を超えることで印刷用紙としての不透明度が向上することが分かる。
表面サイズ剤に関しては、実施例1と実施例5より直鎖型の液状AKDと分岐型の液状AKDのいずれも印刷用紙に必要なサイズ性が得られ、また実施例2〜7では原紙中の再生填料の比率が高まった場合においても十分なサイズ性を示した。また実施例5と実施例8〜9より、液状AKDの場合は付着量を変化させてもサイズプレスの操業性、サイズ性、インキ乾燥性、トナー定着性を満足している。更に液状AKDと併用するバインダーに関して、実施例8〜9は液状AKDと併用するバインダーを両性澱粉あるいはカチオン化澱粉に換えたものであるが、これも同様にバインダーを変更しても印刷用紙として問題のない結果となっている。
一方、高融点AKDを表面サイズ剤に使用した比較例1〜3では、用紙の高いサイズ性は得られているものの印刷用紙として必要なインキ乾燥性とトナー定着性が実用範囲外となることに加えて、サイズプレス工程の操業性が悪化して安定的な製造状態を維持できない。またサイズプレス工程の操業性に対応し、表面サイズ剤を未使用あるいはスチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂に換えた比較例4〜6では、サイズ性やトナー定着性の点で印刷用紙として実用範囲外の特性となってしまうことが分かる。
以上より、本発明によって、製紙スラッジを原料とした再生填料を全填料量の5質量%以上配合する填料内添紙原紙の少なくとも片面に、バインダーと表面サイズ剤とを含む処理液で表面処理を行った印刷用紙であり、かつ、表面サイズ剤として、融点が40℃以下のアルキルケテンダイマーが片面当たり0.01〜0.15g/m付着している印刷用紙により、抄紙工程における操業性だけでなく、サイズ性、不透明度、インキ乾燥性、トナー定着性も含めて、バランス良く品質を満足するものを提供することができた。

Claims (5)

  1. 製紙スラッジを原料とした再生填料を全填料量の5質量%以上配合する填料内添紙原紙の少なくとも片面に、バインダーと表面サイズ剤とを含む処理液で表面処理を行った印刷用紙であり、かつ、表面サイズ剤として、融点が40℃以下のアルキルケテンダイマーが片面当たり0.01〜0.15g/m付着していることを特徴とする印刷用紙。
  2. 再生填料の粒径が、0.2μm〜15μmである請求項1記載の印刷用紙。
  3. 原紙の灰分が10〜25質量%である請求項1記載の印刷用紙。
  4. バインダーがカチオン基が多い両性澱粉である請求項1記載の印刷用紙。
  5. 内添サイズ剤として、融点が40℃を超えるアルキルケテンダイマーを対パルプ0.05〜0.15質量%添加する請求項1記載の印刷用紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2013141132A1 (ja) * 2012-03-19 2015-08-03 宇部興産株式会社 加熱硬化性溶液組成物、それを用いた硬化物、プリプレグ及び繊維強化複合材料

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