JP2011201836A - ボレート化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なボレート化合物を提供すること。
【解決手段】
下記式(1)で表されるボレート化合物。
【化1】

[式中、Rは下記式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化2】

[式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なボレート化合物に関する。
ボレート化合物は、光重合開始剤としての用途や、医薬中間体としての用途等、多様な用途が知られており、例えば、特許文献1には、ボレート化合物を光重合開始剤として用いることが記載されている。
特開2002−226487号公報
本発明は、新規なボレート化合物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記式(1)で表されるボレート化合物を提供する。

[式中、Rは下記式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]

[式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]
本発明に係るボレート化合物において、複数存在するRは、互いに同一の基とすることができる。また、本発明に係るボレート化合物において、nは、0又は1としてもよい。
本発明によれば、新規なボレート化合物が提供される。
実施例1で得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRチャートを表す図である。 実施例1で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRチャートを表す図である。 実施例1で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの13C−NMRチャートを表す図である。 実施例1で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの11B−NMRチャートを表す図である。 実施例1で得られた式(13)で表されるボレート化合物のH−NMRチャートを表す図である。 実施例1で得られた式(13)で表されるボレート化合物の13C−NMRチャート(内部標準DMSO)を表す図である。
本発明に係るボレート化合物の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係るボレート化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
式(1)中、Rは下記式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよく、製造の容易さの観点からは、互いに同一であることが好ましい。
式(2)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
式(2)で表される基としては、下記式(3)で表される基、下記式(4)で表される基が好ましい。式(3)及び式(4)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
また、式(2)で表される基としては、下記式(5)で表される基がより好ましい。式(5)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
式(2)で表される基としては、具体的には、例えば、下記式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)、(7−1)、(7−2)、(7−3)、(8−1)、(8−2)、(8−3)、(8−4)、(8−5)、(8−6)、(8−7)、(8−8)、(8−9)で表される基が挙げられる。これらの式中、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
本明細書中、一価のカチオンとは、一価の正電荷を帯びた原子又は原子団を意味する。一価のカチオンとしては、特に限定はなく、例えば、公知の一価のカチオンから選択することができる。
一価のカチオンとしては、例えば、プロトン(H);オキソニウムイオン(H);リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等のアルカリ金属カチオン;銅(I)カチオン、銀(I)カチオン等の遷移金属カチオン;アンモニウム(NH );アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム等の第一級アンモニウム;ジアルキルアンモニウム、ジアリールアンモニウム、アルキルアリールアンモニウム等の第二級アンモニウム;トリアルキルアンモニウム、トリアリールアンモニウム等の第三級アンモニウム;テトラアルキルアンモニウム、テトラアリールアンモニウム等の第四級アンモニウム;ホスホニウム(PH );アルキルホスホニウム、アリールホスホニウム等の第一級ホスホニウム;ジアルキルホスホニウム、ジアリールホスホニウム、アルキルアリールホスホニウム等の第二級ホスホニウム;トリアルキルホスホニウム、トリアリールホスホニウム等の第三級ホスホニウム;テトラアルキルホスホニウム、テトラアリールホスホニウム等の第四級ホスホニウム;などが挙げられる。
これらのうち、ボレート化合物の安定性が良好となるという点で、アルカリ金属カチオン、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウムが好ましく、アルカリ金属カチオン、第四級アンモニウムがより好ましい。また、製造が容易となる点からは、Y及びXが、互いに同一であることが好ましい。
次に、本実施形態に係るボレート化合物の好適な製造方法について、下記式(10−1)で表されるボレート化合物の製造方法を例にとり、具体的に説明する。式(10−1)中、Yは水素原子又は一価のカチオンを示し、Xは一価のカチオンを示す。
式(10−1)で表されるボレート化合物は、例えば、下記スキーム1に示す反応工程により製造することができる。スキーム1に示す式中、Aは一価のカチオンを示し、Y及びX’+はアルカリ金属カチオンを示す。
すなわち、まず、三フッ化ホウ素・エーテル錯体(BF・EtO)と求核試薬との反応により、式(10−2)で表される化合物を製造する。ここで、求核試薬としては、例えば、ジヨードベンゼンをn−ブチルリチウム等によってリチオ化したものを用いることができる。
次いで、式(10−2)で表される化合物を、パラジウム化合物、一酸化炭素、メタノール及び塩基の存在下で反応させて、式(10−3)で表されるエステル化合物を製造する。ここで塩基としては、有機溶媒に溶解しやすい塩基が好ましく、このような塩基としては、例えばトリエチルアミンが挙げられる。
また、パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム、パラジウムジアセテート(Pd(OAc))、パラジウムジクロロビストリフェニルホスフィン(PdCl(PPh)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(Pd(PPh)等が挙げられる。なお、パラジウム化合物として、塩化パラジウム又はパラジウムジアセテートを用いる場合は、トリフェニルホスフィンなどの配位子を反応に供することが好ましい。
次いで、式(10−3)で表されるエステル化合物に対し、塩基を用いた加水分解反応を実施することにより、式(10−4)で表されるボレート化合物が得られる。ここで塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルキル金属の水酸化物が好適に用いられる。
なお、式(10−4)で表されるボレート化合物は、カチオン交換反応により、Y及びX’+を、任意の一価のカチオンに適宜変更することができる。
また、式(10−4)で表されるボレート化合物を、希塩酸、希硫酸等の酸で処理することにより、Yが水素原子、X’+がプロトン(H)にそれぞれ置換されたボレート化合物(式(12−4)で表されるボレート化合物)を得ることができる。
なお、本実施形態に係るボレート化合物のうち、式(10−1)で表されるボレート化合物以外のボレート化合物は、例えば、三フッ化ホウ素・エーテル錯体と反応させる求核試薬を、下記式(11−1)で表される求核試薬に変更することにより、容易に製造することができる。
式中、nは0〜4の整数を示し、Mは、Li、Na、K又はMgZ(Zはハロゲン原子を示す。)を示す。
なお、上記求核試薬として、複数種の求核試薬を用いることにより、式(1)におけるRが互いに異なるボレート化合物を得ることができる。このとき、複数種の求核試薬は、同時に三フッ化ホウ素・エーテル錯体との反応に供してもよく、1種ずつ段階的に三フッ化ホウ素・エーテル錯体との反応に供してもよい。
また、本実施形態に係るボレート化合物のうち、nが1〜4の整数であるボレート化合物は、例えば、下記スキーム2に示す反応工程によっても製造することができる。スキーム1に示す式中、Aは一価のカチオンを示し、mは0〜3の整数を示し、Y及びX’+はアルカリ金属カチオンを示す。
すなわち、式(10−2)で表される化合物と式(12−1)で表されるボロン酸化合物との、いわゆる鈴木カップリング反応により、式(12−2)で表されるボレート化合物が得られる。具体的には、例えば、式(10−2)で表される化合物と式(12−1)で表されるボロン酸化合物とを、パラジウム化合物及び塩基の存在下で反応させることにより、式(12−2)で表されるボレート化合物が得られる。
ここで塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;リン酸カリウム等のリン酸塩;フッ化セシウム;アルコキシド化合物等を使用することができる。また、パラジウム化合物としては、上記と同様のものが使用できる。
また、式(12−2)で表されるボレート化合物は、塩基と反応させることにより、式(12−3)で表されるボレート化合物に変換することができる。ここで塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を好適に使用することができる。
なお、式(12−3)で表されるボレート化合物は、カチオン交換反応により、Y及びX’+を、任意の一価のカチオンに適宜変更することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記工程1−1〜1−3により、下記式(13)で表されるボレート化合物を製造した。
[工程1−1:テトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
反応容器に、1,4−ジヨードベンゼン81.26g(246.32mmol、ジョンソン・マッセイ社製)、ジエチルエーテル2800mLを加え、アルゴン置換し、NaCl/氷冷媒を用いて−10℃以下まで冷却した。−10℃以下でブチルリチウム−ヘキサン溶液142ml(1.59M、225.79mmol、関東化学(株)製)を滴下し、滴下後、同温度で10分攪拌した。
これに、三フッ化ホウ素・エーテル錯体7.28g(51.32mmol、和光純薬(株)製)を−10℃以下で滴下した。滴下後、室温まで昇温し、同温度で一夜攪拌した。翌日、反応混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム:160g,水:800ml)を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、反応液をテトラヒドロフランで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄、炭酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコールを加え、晶析物をろ取し、乾燥し、白色結晶のテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムを35.31g(収率83.6%)を得た。
得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.30(d,J=8.1Hz,8H,Ar),6.90−6.85(m,8H,Ar)
なお、工程1−1で得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(13−1)で表される化合物である。
また、図1は、得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRチャートを表す図である。図1中、ピーク1及びピーク2はテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム由来のピークであり、ピーク3及びピーク6は残存するテトラヒドロフラン由来のピークであり、ピーク4は水由来のピークであり、ピーク5はジメチルスルホキシド由来のピークであり、ピーク7はテトラメチルシラン由来のピークである。
[工程1−2:テトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
オートクレーブに、テトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム13g(15.37mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン3.55g(3.07mmol、ヘレウス(株)製)、脱気したN,N’−ジメチルホルムアミド52ml、メタノール52ml、トリエチルアミン26mlを入れ、一酸化炭素(CO)ガスを4MPaまで導入した。これを120℃で18時間以上加熱攪拌した。同様の操作を更に1バッチ行い、2バッチ合わせて以降の操作を行った。
2バッチ合せた反応液を濃縮し、濃縮残渣をテトラヒドロフランで溶解後(一部不溶)、飽和炭酸水素ナトリウムを300ml添加し、1時間攪拌した。攪拌後、濃縮し、テトラヒドロフランを留去後、水で洗って炭酸水素ナトリウムを除いた。この残渣を酢酸エチルに溶解し、不溶物をろ去後、母液を濃縮し、粗生成物を28.15g得た。これをシリカゲルカラム(φ:80mm,シリカゲル:780g,展開溶媒:酢酸エチル→酢酸エチル/アセトン(7/3))より精製し、褐色泡状生成物を5.08g得た。これをクロロホルムで分散洗浄し、微黄色粉末結晶のテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムを4.04g(収率22.9%)得た。
得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMR、13C−NMR及び11B−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.62(d,J=8.1Hz,8H,Ar),7.34−7.22(m,8H,Ar),3.78(s,12H,COOMe
13C−NMR(100.4MHz,DMSO−d):169.23(q,J=48.8Hz,Ar),167.26(OOMe),135.11(Ar),126.69(q,J=2.5Hz,Ar),124.00(Ar),51.37(COOMe
11B−NMR(128.2MHz,DMSO−d,B(OMe) external reference):δ=−24.87
なお、工程1−2で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(13−2)で表される化合物である。
図2は、得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRチャートを表す図である。図2中、ピーク11、ピーク12及びピーク13は、テトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム由来のピークであり、ピーク14及びピーク16はN,N’−ジメチルホルムアミド由来のピークであり、ピーク15は水由来のピークであり、ピーク17はジメチルスルホキシド(DMSO)由来のピークであり、ピーク18はアセトン由来のピークであり、ピーク19はテトラメチルシラン由来のピークである。
また、図3は、得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの13C−NMRチャートを表す図である。図3中、ピーク21、ピーク22、ピーク23、ピーク24、ピーク25及びピーク26はテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム由来のピークであり、ピーク27はジメチルスルホキシド由来のピークである。
また、図4は、実施例1で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの11B−NMRチャートを表す図である。図4中、ピーク31はテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム由来のピークである。
[工程1−3:式(13)で表されるボレート化合物の合成]
反応容器に、テトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム4.1g(7.14mmol)、水酸化ナトリウム1.43g(35.69mmol、関東化学(株)製)、メタノール40ml、水40mlを入れ、120℃で12時間攪拌した。放冷後、反応液を濃縮し、濃縮残渣に少量の水を加え、酢酸エチル、アセトンで晶析した。晶析物をろ取、乾燥し、微黄色粉末性結晶の目的物(式(13)で表されるボレート化合物)を4.23g(収率97.7%)得た。
得られたボレート化合物のH−NMR、13C−NMR及び11B−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DO):δ=7.53(d,J=7.5Hz,8H,Ar),7.34(bs,8H,Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,DMSO internal reference):177.31(OONa),168.89(q,J=48.0Hz,Ar),136.51(Ar),132.31(Ar),128.69(Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,1,4−Dioxane internal reference):177.54(OONa),168.25(q,J=48.8Hz,Ar),135.90(Ar),131.76(Ar),128.14 (Ar)
図5は、得られた式(13)で表されるボレート化合物のH−NMRチャートを表す図である。図5中、ピーク41及びピーク42は、ボレート化合物由来のピークであり、ピーク43は水由来のピークであり、ピーク44はアセトン由来のピークである。
また、図6は、得られた式(13)で表されるボレート化合物の13C−NMRチャート(内部標準DMSO)を示す図である。図6中、ピーク51、ピーク52、ピーク53、ピーク54及びピーク55は、ボレート化合物由来のピークであり、ピーク56は内部標準物質のジメチルスルホキシド(DMSO)由来のピークである。
(実施例2)
下記工程2−1〜2−3により、下記式(14)で表されるボレート化合物を製造した。
[工程2−1:テトラキス(2−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
反応容器に、1,2−ジヨードベンゼン81.09g(245.8mmol、ジョンソン・マッセイ社製)、ジエチルエーテル2800mLを加え、アルゴン置換し、NaCl/氷冷媒を用いて−10℃以下まで冷却した。−10℃以下でブチルリチウム−ヘキサン溶液140ml(1.59M、222.6mmol、関東化学(株)製)を滴下し、滴下後同温度で10分攪拌した。
これに、三フッ化ホウ素・エーテル錯体7.28g(51.32mmol、和光純薬(株)製)を−10℃以下で滴下した。滴下後、室温まで昇温し、同温度で一夜攪拌した。翌日、反応混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム:160g,水:800ml)を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、反応液をテトラヒドロフランで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄後、炭酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコールを加え、晶析物をろ取し、乾燥し、白色結晶のテトラキス(2−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムを28.20g(収率66.8%)を得た。
得られたテトラキス(2−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.25−7.20(m,8H,Ar),6.90−6.85(m,8H,Ar)
なお、工程2−1で得られたテトラキス(2−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(14−1)で表される化合物である。
[工程2−2:テトラキス(2−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
オートクレーブに、テトラキス(2−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム12g(14.19mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン3.28g(2.83mmol、ヘレウス(株)製)、脱気したN,N’−ジメチルホルムアミド50ml、メタノール50ml、トリエチルアミン25mlを入れ、一酸化炭素(CO)ガスを4MPaまで導入した。これを120℃で18時間以上加熱攪拌した。同様の操作を更に1バッチ行い、2バッチ合わせて以降の操作を行った。
2バッチ合せた反応液を濃縮し、濃縮残渣をテトラヒドロフランで溶解後(一部不溶)、飽和炭酸水素ナトリウムを300ml添加し、1時間攪拌した。攪拌後、濃縮し、テトラヒドロフランを留去後、水で洗って炭酸水素ナトリウムを除いた。この残渣を酢酸エチルに溶解し、不溶物をろ去後、母液を濃縮し、粗生成物を28.15g得た。これをシリカゲルカラム(φ:80mm,シリカゲル:780g,展開溶媒:酢酸エチル→酢酸エチル/アセトン(7/3))より精製し、褐色泡状生成物を4.86g得た。これをクロロホルムで分散洗浄し、微黄色粉末結晶のテトラキス(2−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムを4.34g(収率26.6%)得た。
得られたテトラキス(2−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMR及び11B−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.58−7.61(m,8H,Ar),7.32−7.20(m,8H,Ar),3.75(s,12H,COOMe
11B−NMR(128.2MHz,DMSO−d,B(OMe) external reference):δ=−24.7
なお、工程2−2で得られたテトラキス(2−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(14−2)で表される化合物である。
[工程1−3:式(14)で表されるボレート化合物の合成]
反応容器に、テトラキス(2−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム3.7g(6.44mmol)、水酸化ナトリウム1.29g(32.20mmol、関東化学(株)製)、メタノール40ml、水40mlを入れ、120℃で12時間攪拌した。放冷後、反応液を濃縮し、濃縮残渣に少量の水を加え、酢酸エチル、アセトンで晶析した。晶析物をろ取、乾燥し、微黄色粉末性結晶の目的物(式(14)で表されるボレート化合物)を3.52g(収率90.2%)得た。
得られたボレート化合物のH−NMR及び13C−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DO):δ=8.1(m,4H,Ar),7.62−7.50(m,12H,Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,DMSO internal reference):178.3(OONa),168.7(m,Ar),134.0−135.0(Ar),130.0−131.2(Ar),128.7(Ar)
(実施例3)
下記工程3−1〜3−3により、下記式(15)で表されるボレート化合物を製造した。
[工程3−1:テトラキス(3−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
反応容器に、1,3−ジヨードベンゼン80.8g(245.0mmol、ジョンソン・マッセイ社製)、ジエチルエーテル2800mLを加え、アルゴン置換し、NaCl/氷冷媒を用いて−10℃以下まで冷却した。−10℃以下でブチルリチウム−ヘキサン溶液140ml(1.59M、222.6mmol、関東化学(株)製)を滴下し、滴下後同温度で10分攪拌した。
これに、三フッ化ホウ素・エーテル錯体7.28g(51.32mmol、和光純薬(株)製)を−10℃以下で滴下した。滴下後、室温まで昇温し、同温度で一夜攪拌した。翌日、反応混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム:160g,水:800ml)を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、反応液をテトラヒドロフランで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄後、炭酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコールを加え、晶析物をろ取し、乾燥し白色結晶のテトラキス(3−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムを25.50g(収率60.4%)を得た。
得られたテトラキス(3−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.30−7.25(m,8H,Ar),6.93−6.86(m,8H,Ar)
なお、工程3−1で得られたテトラキス(3−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(15−1)で表される化合物である。
[工程3−2:テトラキス(3−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
オートクレーブに、テトラキス(3−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム12.5g(14.8mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン3.30g(2.84mmol、ヘレウス(株)製)、脱気したN,N’−ジメチルホルムアミド50ml、メタノール50ml、トリエチルアミン25mlを入れ、一酸化炭素(CO)ガスを4MPaまで導入した。これを120℃で18時間以上加熱攪拌した。同様の操作を更に1バッチ行い、2バッチ合わせて以降の操作を行った。
2バッチ合せた反応液を濃縮し、濃縮残渣をテトラヒドロフランで溶解後(一部不溶)、飽和炭酸水素ナトリウムを300ml添加し、1時間攪拌した。攪拌後、濃縮し、テトラヒドロフランを留去後、水で洗って炭酸水素ナトリウムを除いた。この残渣を酢酸エチルに溶解し、不溶物をろ去後、母液を濃縮し、粗生成物を25.20g得た。これをシリカゲルカラム(φ:80mm,シリカゲル:780g,展開溶媒:酢酸エチル→酢酸エチル/アセトン(7/3))より精製し、褐色泡状生成物を4.86g得た。これをクロロホルムで分散洗浄し、微黄色粉末結晶のテトラキス(3−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムを4.90g(収率28.8%)得た。
得られたテトラキス(3−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMR及び11B−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.65−7.60(m,8H,Ar),7.35−7.23(m,8H,Ar),3.78(s,12H,COOMe
11B−NMR(128.2MHz,DMSO−d,B(OMe) external reference):δ=−24.0
なお、工程3−2で得られたテトラキス(3−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(15−2)で表される化合物である。
[工程3−3:式(15)で表されるボレート化合物の合成]
反応容器に、テトラキス(3−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム2.5g(4.35mmol)、水酸化ナトリウム0.87g(21.75mmol、関東化学(株)製)、メタノール30ml、水30mlを入れ、120℃で12時間攪拌した。放冷後、反応液を濃縮し、濃縮残渣に少量の水を加え、酢酸エチル、アセトンで晶析した。晶析物をろ取、乾燥し、微黄色粉末性結晶の目的物(式(15)で表されるボレート化合物)を2.43g(収率92.2%)得た。
得られたボレート化合物のH−NMR及び13C−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DO):δ=8.1(m,4H,Ar),7.64−7.53(m,12H,Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,DMSO internal reference):178.0(OONa),168.0(m,Ar),139.8(Ar),131.0−130.0(Ar),128.6(Ar)
(実施例4)
下記の工程4−1により、下記式(16)で表されるボレート化合物を製造した。

[工程4−1]
反応容器に、テトラ(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム2.53g(3.07mmol、式(13−1)で表される化合物)、4−カルボキシフェニルボロン酸2.52g(15.2mmol)、パラジウムビストリフェニルホスフィンジクロリド0.042g(0.060mmol、エヌ・イーケムキャット(株)製)、炭酸ナトリウム3.18g(30.0mmol、ナカライテスク(株)製)、脱気したエタノール25ml、脱気した水25mlを入れ、アルゴン置換し、還流下3時間攪拌した。3時間後、室温まで冷却し、水を50ml加え、全溶した。この水溶液をクロロホルムで3回洗浄した。得られた水層を氷冷し、これに希塩酸(2M)190mlを徐々に加え、晶析物を得た。この晶析物を遠心分離により分離し、水で3回洗浄後、さらにアセトンで3回洗浄した。分離した結晶を乾燥し、微黄白色の結晶粉末の目的物(式(16)で表されるボレート化合物)を1.44g(収率51.5%)得た。
得られたボレート化合物のH−NMR、13C−NMR、MS(MALDI−TOF)測定の結果を以下に示す。
H−NMR(399.7MHz,DMSO):δ=8.10(d,J=8.2Hz,8H,Ar),7.70(dd,J=8.2Hz,2.7Hz,8H,Ar),7.49(d,J=8.4Hz,8H,Ar),7.28(dd,J=8.4Hz,4.2Hz,8H,Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DMSO):169.0(OOH),164.0(q,J=47.5Hz,Ar),141.7(Ar),133.6(Ar),130.5(Ar),130.5(Ar),129.0(Ar),127.6(m,Ar),116.77
MS:m/z=802.27
本発明に係るボレート化合物は、光重合開始剤としての用途や、医薬中間体として、有用である。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表されるボレート化合物。

    [式中、Rは下記式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]

    [式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]
  2. 複数存在するRが互いに同一の基である、請求項1に記載のボレート化合物。
  3. nが0又は1である、請求項1又は2に記載のボレート化合物。
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