JP2014189537A - 多孔性金属錯体 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素、二酸化炭素等の分子サイズの小さなガスに対する十分な吸着能を有する多孔性金属錯体の提供。
【解決手段】2価又は3価の金属イオンと下記一般式(1)で表されるボレート化合物との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体。

[式中、Rは下記一般式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]

[式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]前記金属がZn、Mn、Cr、Co、Alである。
【選択図】図1

Description

本発明は新規な多孔性金属錯体に関する。
近年、新しい多孔質材料として多孔性金属錯体が注目されている(例えば、下記非特許文献1)。多孔性金属錯体は金属錯体分子が集積することによって細孔構造が形成された構造体であり、集積型金属錯体とも呼ばれている(例えば、下記非特許文献2)。多孔性金属錯体によれば、ゼオライト、活性炭等の多孔質材料と比較して、より均一なミクロ孔を設計、制御できると考えられている。そのため、多孔性金属錯体に関する様々な研究がなされている(例えば、下記非特許文献3)。
「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」、基礎錯体工学研究会、講談社、2002年発行 「集積型金属錯体−クリスタルエンジニアリングからフロンティアオービタルエンジニアリングへ」、北川進、講談社、2001年発行 Inorg. Chem. 2008, 47, 3955
しかしながら、上記文献に開示されているような従来の多孔性金属錯体では、分子サイズが小さい気体(例えば、水素、二酸化炭素)を十分に吸着することは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、従来の多孔性金属錯体では吸着困難であった水素、二酸化炭素等のガスの吸着量を向上することができる新規な多孔性金属錯体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、2価又は3価の金属イオンと下記一般式(1)で表されるボレート化合物との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を提供するものである。

[式中、Rは下記一般式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]

[式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]
このような多孔性金属錯体であれば、従来の多孔性金属錯体では吸着困難であった水素、二酸化炭素等のガスの吸着量を向上することが可能である。
なお、本発明において、金属イオンが亜鉛イオン、マンガンイオン、クロムイオン、コバルトイオン又はアルミニウムイオンであることが好ましい。これにより、構造的及び機能的により安定した多孔性金属錯体を得ることができる。
また、上記式(1)中、複数存在するRが互いに同一の基であることが好ましい。さらに、上記式(2)中、nが0又は1であることが好ましい。これにより、ガス吸着特性をさらに向上させることができる。
本発明によれば、従来の多孔性金属錯体では吸着困難であった水素、二酸化炭素等のガスの吸着量を向上することが可能な、新規な多孔性金属錯体を提供することができる。
実施例1の多孔性金属錯体の3次元構造を示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体の亜鉛イオン周りの構造を示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体の二酸化炭素に対する吸着等温線(温度195K)を示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体及びそのカチオン交換体のXRDパターンを示す図である。 実施例1の多孔性金属錯体及びそのカチオン交換体の二酸化炭素に対する吸着等温線(温度195K)を示す図である。 実施例1及び実施例2の多孔性金属錯体のXRDパターンを示す図である。 実施例2の多孔性金属錯体の二酸化炭素に対する吸着等温線(温度195K)を示す図である。 実施例3の多孔性金属錯体のXRDパターンを示す図である。 実施例3の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 実施例3の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例3の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度87K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例3の多孔性金属錯体の水素吸蔵量と吸着熱との関係を示す図である。 実施例4の多孔性金属錯体のXRDパターンを示す図である。 実施例4の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 実施例4の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例4の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度87K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例4の多孔性金属錯体の水素吸蔵量と吸着熱との関係を示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体のXRDパターンを示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体の窒素に対する吸着等温線(温度77K)を示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体の二酸化炭素に対する吸着等温線(温度195K)を示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度77K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体の水素吸蔵量(温度87K)と平衡圧との関係を示す図である。 実施例5の多孔性金属錯体の水素吸蔵量と吸着熱との関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の多孔性金属錯体は、2価又は3価の金属イオンと上記式(1)で表されるボレート化合物との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積することによって形成された細孔構造を有するものである。
[金属イオン]
本実施形態において、金属イオンは2価又は3価の価数を有している。このような金属イオンとしては、周期表第四周期の遷移金属イオン又はアルミニウムイオンであることが好ましい。特に、金属イオンが亜鉛イオン、マンガンイオン、クロムイオン、コバルトイオン又はアルミニウムイオンであることがより好ましい。これにより、構造的及び機能的に安定した金属錯体を得やすくなる。
[ボレート化合物]
本実施形態において、ボレート化合物は下記一般式(1)で表される化合物である。
式(1)中、Rは下記一般式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよく、製造の容易さの観点からは、互いに同一であることが好ましい。
式(2)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
式(2)で表される基としては、下記一般式(3)で表される基、下記一般式(4)で表される基が好ましい。式(3)及び式(4)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
また、式(2)で表される基としては、下記一般式(5)で表される基がより好ましい。式(5)中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
式(2)で表される基としては、具体的には、例えば、下記一般式(6−1)、(6−2)、(6−3)、(6−4)、(7−1)、(7−2)、(7−3)、(8−1)、(8−2)、(8−3)、(8−4)、(8−5)、(8−6)、(8−7)、(8−8)、(8−9)で表される基が挙げられる。これらの式中、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。
本明細書中、一価のカチオンとは、一価の正電荷を帯びた原子又は原子団を意味する。一価のカチオンとしては、特に限定はなく、例えば、公知の一価のカチオンから選択することができる。
一価のカチオンとしては、例えば、プロトン(H);オキソニウムイオン(H);リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等のアルカリ金属カチオン;銅(I)カチオン、銀(I)カチオン等の遷移金属カチオン;アンモニウム(NH );アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム等の第一級アンモニウム;ジアルキルアンモニウム、ジアリールアンモニウム、アルキルアリールアンモニウム等の第二級アンモニウム;トリアルキルアンモニウム、トリアリールアンモニウム等の第三級アンモニウム;テトラアルキルアンモニウム、テトラアリールアンモニウム等の第四級アンモニウム;ホスホニウム(PH );アルキルホスホニウム、アリールホスホニウム等の第一級ホスホニウム;ジアルキルホスホニウム、ジアリールホスホニウム、アルキルアリールホスホニウム等の第二級ホスホニウム;トリアルキルホスホニウム、トリアリールホスホニウム等の第三級ホスホニウム;テトラアルキルホスホニウム、テトラアリールホスホニウム等の第四級ホスホニウム;などが挙げられる。
これらのうち、ボレート化合物の安定性が良好となるという点で、アルカリ金属カチオン、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウムが好ましく、アルカリ金属カチオン、第四級アンモニウムがより好ましい。また、製造が容易となる点からは、Y及びXが、互いに同一であることが好ましい。
次に、このようなボレート化合物の好適な製造方法について、下記一般式(10−1)で表されるボレート化合物の製造方法を例にとり、具体的に説明する。式(10−1)中、Yは水素原子又は一価のカチオンを示し、Xは一価のカチオンを示す。
式(10−1)で表されるボレート化合物は、例えば、下記スキーム1に示す反応工程により製造することができる。スキーム1に示す式中、Aは一価のカチオンを示し、Y及びX’+はアルカリ金属カチオンを示す。
すなわち、まず、三フッ化ホウ素・エーテル錯体(BF・EtO)と求核試薬との反応により、式(10−2)で表される化合物を製造する。ここで、求核試薬としては、例えば、ジヨードベンゼンをn−ブチルリチウム等によってリチオ化したものを用いることができる。
次いで、式(10−2)で表される化合物を、パラジウム化合物、一酸化炭素、メタノール及び塩基の存在下で反応させて、式(10−3)で表されるエステル化合物を製造する。ここで塩基としては、有機溶媒に溶解しやすい塩基が好ましく、このような塩基としては、例えばトリエチルアミンが挙げられる。
また、パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム、パラジウムジアセテート(Pd(OAc))、パラジウムジクロロビストリフェニルホスフィン(PdCl(PPh)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(Pd(PPh)等が挙げられる。なお、パラジウム化合物として、塩化パラジウム又はパラジウムジアセテートを用いる場合は、トリフェニルホスフィンなどの配位子を反応に供することが好ましい。
次いで、式(10−3)で表されるエステル化合物に対し、塩基を用いた加水分解反応を実施することにより、式(10−4)で表されるボレート化合物が得られる。ここで塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルキル金属の水酸化物が好適に用いられる。
なお、式(10−4)で表されるボレート化合物は、カチオン交換反応により、Y及びX’+を、任意の一価のカチオンに適宜変更することができる。
また、式(10−4)で表されるボレート化合物を、希塩酸、希硫酸等の酸で処理することにより、Yが水素原子、X’+がプロトン(H)にそれぞれ置換されたボレート化合物(式(10−5)で表されるボレート化合物)を得ることができる。
なお、このようなボレート化合物のうち、式(10−1)で表されるボレート化合物以外のボレート化合物は、例えば、三フッ化ホウ素・エーテル錯体と反応させる求核試薬を、下記一般式(11−1)で表される求核試薬に変更することにより、容易に製造することができる。
式中、nは0〜4の整数を示し、Mは、Li、Na、K又はMgZ(Zはハロゲン原子を示す。)を示す。
なお、上記求核試薬として、複数種の求核試薬を用いることにより、式(1)におけるRが互いに異なるボレート化合物を得ることができる。このとき、複数種の求核試薬は、同時に三フッ化ホウ素・エーテル錯体との反応に供してもよく、1種ずつ段階的に三フッ化ホウ素・エーテル錯体との反応に供してもよい。
また、ボレート化合物のうち、nが1〜4の整数であるボレート化合物は、例えば、下記スキーム2に示す反応工程によっても製造することができる。スキーム1に示す式中、Aは一価のカチオンを示し、mは0〜3の整数を示し、Y及びX’+はアルカリ金属カチオンを示す。
すなわち、式(10−2)で表される化合物と式(12−1)で表されるボロン酸化合物との、いわゆる鈴木カップリング反応により、式(12−2)で表されるボレート化合物が得られる。具体的には、例えば、式(10−2)で表される化合物と式(12−1)で表されるボロン酸化合物とを、パラジウム化合物及び塩基の存在下で反応させることにより、式(12−2)で表されるボレート化合物が得られる。
ここで塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;リン酸カリウム等のリン酸塩;フッ化セシウム;アルコキシド化合物等を使用することができる。また、パラジウム化合物としては、上記と同様のものが使用できる。
また、式(12−2)で表されるボレート化合物は、塩基と反応させることにより、式(12−3)で表されるボレート化合物に変換することができる。ここで塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を好適に使用することができる。
なお、式(12−3)で表されるボレート化合物は、カチオン交換反応により、Y及びX’+を、任意の一価のカチオンに適宜変更することができる。
[多孔性金属錯体の製造方法]
次に、本実施形態に係る多孔性金属錯体の製造方法について詳述するが、製造方法は以下の態様に限定されるものではない。
本実施形態の多孔性金属錯体の製造方法は、例えば、2価又は3価の金属イオンを含む金属イオン源と溶媒とを含有する第一溶液、及び上記式(1)で表されるボレート化合物と溶媒とを含有する第二溶液と、を調製する工程と、第一溶液及び第二溶液を混合して反応液を調製し、この反応液を加熱することで、2価又は3価の金属イオンと上記式(1)で表されるボレート化合物との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積することによって形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を得る工程と、を備える。第一溶液及び第二溶液は別々に調製する必要はなく、例えば、金属クラスターを形成する金属イオンを含む金属イオン源、上記一般式(1)で表されるボレート化合物、他の多座配位子となる化合物、溶媒等を1度に混合して1つの溶液を調製してもよい。
2価又は3価の金属イオンを含む金属イオン源としては、市販されている金属イオン塩の大抵を適用することができる。このような金属イオン塩としては、例えば硝酸亜鉛(II)6水和物、硝酸マンガン(II)6水和物、硝酸クロム(III)9水和物、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸アルミニウム(III)9水和物等が好適である。反応液中のこれら金属イオンの濃度は、好ましくは50〜150mol/Lである。
ボレート化合物としては、前述のとおり得られるものを用いることができる。反応液中のボレート化合物の濃度は、好ましくは20〜70mol/Lである。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジエチルホルムアミドのいずれかを単独で用いるか、あるいはN,N−ジメチルホルムアミド/水混合溶媒又はN,N−ジエチルホルムアミド/水混合溶媒を用いることが好ましい。なお、反応液に酸を加えることができる。酸としては、希塩酸、希硫酸、希硝酸等の無機酸、又は酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸のどちらも使用できる。より好ましい無機酸は希塩酸であり、より好ましい有機酸は酢酸である。酸の反応液中の濃度は、好ましくは100〜500mol/Lである。
反応液の加熱温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃〜140℃であることがより好ましい。反応温度が120℃以上であると、目的の多孔性金属錯体が生成しやすい傾向にある。また、反応温度が140℃を以下であると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の溶媒が分解しにくい。
加熱時間は加熱温度等の条件によっても異なるが、長時間であるほど好ましく、例えば12時間以上であることが好ましい。
反応液の加熱は空気雰囲気中で行うことができるが、反応容器としてはオートクレーブ等の密閉型反応容器を用いることが好ましい。なお、フラスコ等を用いて開放系で反応液の加熱を行っても多孔性金属錯体は生成するが、密閉型反応容器を用いる場合に比べて収率が低くなる傾向にある。
生成した多孔性金属錯体は、反応液からろ取し、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、これらの混合液等の溶媒で洗浄することができる。
なお、多孔性金属錯体の細孔容積は、上記式(1)及び(2)で表されるボレート化合物において、nの値を変化させることによって制御することができる。例えば、nの値を大きくすることにより、大きい細孔容積を有する多孔性金属錯体を製造することができる。
多孔性金属錯体にガスを吸蔵させるためには、細孔内に存在する溶媒分子などを除くため、前処理をすることが好ましい。通常は錯体が分解しない程度の温度(例えば80℃〜200℃)で乾燥を行えばよいが、その温度はより低温(例えば80℃〜150℃)であることが好ましい。この前処理は、超臨界COによる洗浄によっても行うことができ、より効果的である。また、本実施形態の多孔性金属錯体は、水素、二酸化炭素等のガスに対して優れたガス吸蔵能を示すため、水素、二酸化炭素等のガスを有効に貯蔵することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[金属イオン源]
2価又は3価の金属イオンを含む金属イオン源として、以下のものを準備した。
硝酸亜鉛(II)6水和物(キシダ化学(株)製)
硝酸クロム(III)9水和物(シグマアルドリッチ(株)製)
硝酸マンガン(II)6水和物(和光純薬工業(株)製)
硝酸コバルト(II)6水和物(和光純薬工業(株)製)
硝酸アルミニウム(III)9水和物(キシダ化学(株)製)
硝酸銅(II)3水和物(キシダ化学(株)製)
[ボレート化合物]
上記金属イオンに配位させるボレート化合物を準備した。具体的には、下記工程により下記式(13)で表されるホウ素アニオンNaBArを製造した。
[工程1−1:テトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
反応容器に、1,4−ジヨードベンゼン81.26g(246.32mmol、ジョンソン・マッセイ社製)、ジエチルエーテル2800mLを加え、アルゴン置換し、NaCl/氷冷媒を用いて−10℃以下まで冷却した。−10℃以下でブチルリチウム−ヘキサン溶液142ml(1.59M、225.79mmol、関東化学(株)製)を滴下し、滴下後、同温度で10分攪拌した。
これに、三フッ化ホウ素・エーテル錯体7.28g(51.32mmol、和光純薬(株)製)を−10℃以下で滴下した。滴下後、室温まで昇温し、同温度で一夜攪拌した。翌日、反応混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム:160g,水:800ml)を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、反応液をテトラヒドロフランで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄、炭酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコールを加え、晶析物をろ取し、乾燥し、白色結晶のテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムを35.31g(収率83.6%)を得た。
得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.30(d,J=8.1Hz,8H,Ar),6.90−6.85(m,8H,Ar)
なお、工程1−1で得られたテトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(13−1)で表される化合物である。
[工程1−2:テトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムの合成]
オートクレーブに、テトラキス(4−ヨードフェニル)ホウ素酸ナトリウム13g(15.37mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン3.55g(3.07mmol、ヘレウス(株)製)、脱気したN,N’−ジメチルホルムアミド52ml、メタノール52ml、トリエチルアミン26mlを入れ、一酸化炭素(CO)ガスを4MPaまで導入した。これを120℃で18時間以上加熱攪拌した。同様の操作を更に1バッチ行い、2バッチ合わせて以降の操作を行った。
2バッチ合せた反応液を濃縮し、濃縮残渣をテトラヒドロフランで溶解後(一部不溶)、飽和炭酸水素ナトリウムを300ml添加し、1時間攪拌した。攪拌後、濃縮し、テトラヒドロフランを留去後、水で洗って炭酸水素ナトリウムを除いた。この残渣を酢酸エチルに溶解し、不溶物をろ去後、母液を濃縮し、粗生成物を28.15g得た。これをシリカゲルカラム(φ:80mm,シリカゲル:780g,展開溶媒:酢酸エチル→酢酸エチル/アセトン(7/3))より精製し、褐色泡状生成物を5.08g得た。これをクロロホルムで分散洗浄し、微黄色粉末結晶のテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムを4.04g(収率22.9%)得た。
得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムのH−NMR、13C−NMR及び11B−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DMSO−d,TMS):δ=7.62(d,J=8.1Hz,8H,Ar),7.34−7.22(m,8H,Ar),3.78(s,12H,COOMe)
13C−NMR(100.4MHz,DMSO−d):169.23(q,J=48.8Hz,Ar),167.26(COOMe),135.11(Ar),126.69(q,J=2.5Hz,Ar),124.00(Ar),51.37(COOMe)
11B−NMR(128.2MHz,DMSO−d,B(OMe) external reference):δ=−24.87
なお、工程1−2で得られたテトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウムは、下記式(13−2)で表される化合物である。
[工程1−3:式(13)で表されるボレート化合物の合成]
反応容器に、テトラキス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ホウ素酸ナトリウム4.1g(7.14mmol)、水酸化ナトリウム1.43g(35.69mmol、関東化学(株)製)、メタノール40ml、水40mlを入れ、120℃で12時間攪拌した。放冷後、反応液を濃縮し、濃縮残渣に少量の水を加え、酢酸エチル、アセトンで晶析した。晶析物をろ取、乾燥し、微黄色粉末性結晶の目的物(式(13)で表されるボレート化合物)を4.23g(収率97.7%)得た。
得られたボレート化合物のH−NMR及び13C−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(300.4MHz,DO):δ=7.53(d,J=7.5Hz,8H,Ar),7.34(bs,8H,Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,DMSO internal reference):177.31(COONa),168.89(q,J=48.0Hz,Ar),136.51(Ar),132.31(Ar),128.69(Ar)
13C−NMR(100.4MHz,DO,1,4−Dioxane internal reference):177.54(COONa),168.25(q,J=48.8Hz,Ar),135.90(Ar),131.76(Ar),128.14 (Ar)
[多孔性金属錯体]
上記の金属イオン源及びボレート化合物を用いて各種の多孔性金属錯体を合成し、その特性を評価した。
(実施例1:金属イオンがZnの場合)
硝酸亜鉛6水和物(139.7mg、0.470mmol)とホウ素アニオン配位子NaBAr(115.6mg,0.188mmol)とをそれぞれスクリュー管に入れた。前者に関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(3.75mL)を、後者に純水(2.0mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、これを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これに酢酸(54μL、0.940mmol)を水(1.75mL)に薄めた水溶液を加え、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、120℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、黄色の結晶が得られた。これを回収し、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを1:1で配合した混合溶媒で洗った。その後、30分真空乾燥することで、淡黄色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:29.2mg)。
(多孔性金属錯体の構造の同定)
実施例1の多孔性金属錯体について、単結晶X線構造解析を行った。測定にはブルカー(株)製のSMART APEX II(商品名)を用いた。実施例1の多孔性金属錯体の3次元構造を図1に、亜鉛イオン周りの構造を図2に示す。このように、ホウ素アニオン配位子が亜鉛イオンに単座で配位し、3次元フレームワークを構築していることが分かった。
(ガス吸着特性1)
実施例1の多孔性金属錯体について、温度195K、圧力0.1MPaにおける二酸化炭素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分をドライアイス−エタノール冷媒に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図3に示す。二酸化炭素吸着量は8.8重量%であった。
(ガス吸着特性2)
実施例1の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける窒素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。窒素吸着量は0重量%であり、この多孔性金属錯体は窒素を吸着しなかった。
(実施例1−1:カチオン交換1)
実施例1の多孔性金属錯体(99.6mg)をフラスコに加えた。塩化リチウム(595.0mg,14.0mmol)をメタノール80mLに溶解させ、その溶液を多孔性金属錯体が入っているフラスコに加え、オイルバスにて60℃に加熱しながら6時間攪拌した。その後、この液をろ過し、生成物(多孔性金属錯体)をメタノールで洗浄して乾燥した(収量:80.3mg)。
(実施例1−2:カチオン交換2)
実施例1の多孔性金属錯体(98.2mg)をフラスコに加えた。硝酸リチウム(972.2mg,10.5mmol)をメタノール80mLに溶解させ、その溶液を多孔性金属錯体が入っているフラスコに加え、オイルバスにて60℃に加熱しながら6時間攪拌した。その後、この液をろ過し、生成物(多孔性金属錯体)をメタノールで洗浄して乾燥した(収量:79.6mg)。
(実施例1−3:カチオン交換3)
実施例1の多孔性金属錯体(89.3mg)をフラスコに加えた。硝酸リチウム(724.0mg,10.5mmol)と4,4’−ビピリジン(83.0mg,0.53mmol)とをメタノール60mLに溶解させ、その溶液を多孔性金属錯体が入っているフラスコに加え、オイルバスにて60℃に加熱しながら5時間攪拌した。その後、この液をろ過し、生成物(多孔性金属錯体)をメタノールで洗浄して乾燥した(収量:67.5mg)。
(カチオン交換体の構造と同定)
実施例1及び上記実施例1−1〜1−3(カチオン交換1〜3)の方法で得られた生成物の粉末X線回折測定(XRD)を行った。測定には(株)リガク製のRINT−2100(商品名)を用いた。得られたXRDパターンを図4に示す。カチオン交換体のXRDパターンはカチオン交換前のもの(実施例1)とよく一致した。従って、カチオン交換前後で、多孔性金属錯体の構造は維持されていると考えられる。
(ガス吸着特性3)
実施例1の多孔性金属錯体と上記実施例1−1〜1−3(カチオン交換1〜3)の方法で得られた多孔性金属錯体について、温度195K、吸着ガス圧力0.1MPaにおける二酸化炭素の吸着量を測定した。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分をドライアイス−エタノール冷媒に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図5に示す。実施例1のカチオン交換前の多孔性金属錯体に対し、カチオン交換された多孔性金属錯体の二酸化炭素の吸着量は、いずれについても上昇した。
(実施例2:金属イオンがCrの場合)
ホウ素アニオン配位子NaBAr(117.5mg、0.188mmol)と水(2.0mL)とをスクリュー管に加え、超音波洗浄機に数分浸けて溶液とした。また、硝酸クロム9水和物(125.6mg、0.314mmol)を関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(3.75mL)に溶かして溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、これを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これに酢酸(76μl、1.316mmol)を水(1.75mL)に薄めた水溶液を加え(この際、青緑色の沈殿が少量生じた)、テフロンパッキン付きの蓋をした(テフロンは登録商標)。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、120℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、緑色の沈殿が析出していた。顕微鏡で沈殿を観察し、微結晶が得られていることを確認した。この微結晶を回収し、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを1:1で配合した混合溶媒で洗った。その後、30分真空乾燥することで、緑色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:0.1336g)。
(多孔性金属錯体の構造の同定)
実施例2の多孔性金属錯体について単結晶X線構造解析を行った。測定にはブルカー(株)製のSMART APEX II(商品名)を用いた。その結果、実施例1の多孔性金属錯体と同じ構造であることが分かった。すなわち、実施例2の多孔性金属錯体においては、ホウ素アニオン配位子がクロムイオンに単座で配位し、3次元フレームワークを構築していることになる。図6に実施例1及び実施例2のXRDパターンを並べて示す。両者はほぼ同じパターンを示していた。
(ガス吸着特性1)
実施例2の多孔性金属錯体について、温度195K、圧力0.1MPaにおける二酸化炭素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分をドライアイス−エタノール冷媒に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図7に示す。二酸化炭素吸着量は24.1重量%であった。
(ガス吸着特性2)
実施例2の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける窒素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。窒素吸着量は0重量%であり、この多孔性金属錯体は窒素を吸着しなかった。
(実施例3:金属イオンがMnの場合)
硝酸マンガン6水和物(215.3mg、0.75mmol)とホウ素アニオン配位子NaBAr(155.5mg,0.25mmol)とをそれぞれスクリュー管に入れた。前者に関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)を、後者に純水(5.0mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、これを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これに酢酸(71.6μL、1.25mmol)を加え、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、120℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、薄赤色の沈殿が得られた。これを回収し、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを1:1で配合した混合溶媒で洗った。その後、30分真空乾燥することで、薄赤色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:128.4mg)。
(多孔性金属錯体の構造の同定)
実施例3の多孔性金属錯体について粉末X線回折測定(XRD)を行った。測定には(株)リガク製のRINT−2100(商品名)を用いた。得られたXRDチャートを図8に示す。X線回折チャートから、結晶性高分子が得られていることが分かった。
(ガス吸着特性1)
実施例3の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける窒素吸着量、比表面積及び細孔容積の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図9に示す。実施例3の多孔性金属錯体は1gあたり、標準状態換算で256.01mLの窒素を吸着した。また、実施例3の多孔性金属錯体1g当たりのBET法により計算した比表面積は669m/gであり、t−プロット法により計算した細孔容積は0.256cm/gであった。
(ガス吸着特性2)
実施例3の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図10に示す。実施例3の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は1.1重量%であった。
(ガス吸着特性3)
実施例3の多孔性金属錯体について、温度87K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体アルゴンに浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図11に示す。実施例3の多孔性金属錯体の場合、温度87K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は0.77重量%であった。
(吸着熱の計算)
吸着熱計算ソフト「R」を用い、温度77K及び87Kの吸着データ(圧力、吸蔵量)に対して、下記式(I)をプロットし、フィッティングを行った。最小二乗法を用い、誤差が最も少なくなる場合のパラメーターa、bを決定した。このaの値を用い、下記式(II)より、吸着熱を計算した。計算結果を図12に示す。実施例3の多孔性金属錯体は、多くの多孔性金属錯体の吸着熱が4〜6kJ/molHであるのに対し、6.9kJ/molHと高い値を示した。また、多くの多孔性金属錯体では、水素吸蔵量の増加に伴い、水素吸着熱は減少する挙動を示すが、実施例3の多孔性金属錯体は、高い水素吸蔵量においても、水素吸着熱は減少せず、高い値を示した。

式中、Pは圧力(Pa)を示し、Tは温度(K)を示し、nは水素吸蔵量(mmol/g)を示す。

式中、Qstは吸着熱(kJ/molH)を示し、nは水素吸蔵量(mmol/g)を示し、Rは気体定数を示す。
(実施例4:金属イオンがCoの場合)
硝酸コバルト6水和物(221.3mg、0.75mmol)とホウ素アニオン配位子NaBAr(155.2mg、0.25mmol)とをそれぞれスクリュー管に入れた。前者に関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(7.5mL)を、後者に純水(2.5mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、これを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これに酢酸100.2μL(1.75mmol)を加え、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、120℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、紫色の沈殿が得られた。これを回収し、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを3:1で配合した混合溶媒で洗った。その後、30分真空乾燥することで、紫色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:181.0mg)。
(多孔性金属錯体の構造の同定)
実施例4の多孔性金属錯体について粉末X線回折測定(XRD)を行った。測定には(株)リガク製のRINT−2100(商品名)を用いた。得られたXRDチャートを図13に示す。X線回折チャートから、結晶性高分子が得られていることが分かった。
(ガス吸着特性1)
実施例4の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける窒素吸着量、比表面積及び細孔容積の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図14に示す。実施例4の多孔性金属錯体は1gあたり、標準状態換算で252.75mLの窒素を吸着した。また、実施例4の多孔性金属錯体1g当たりのBET法により計算した比表面積は601m/gであり、t−プロット法により計算した細孔容積は0.219cm/gであった。
(ガス吸着特性2)
実施例4の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図15に示す。実施例4の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力100.9kPaにおける水素吸蔵量は0.90重量%であった。
(ガス吸着特性3)
実施例4の多孔性金属錯体について、温度87K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体アルゴンに浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図16に示す。実施例4の多孔性金属錯体の場合、温度87K、水素圧力100.8kPaにおける水素吸蔵量は0.60重量%であった。
(吸着熱の計算)
吸着熱計算ソフト「R」を用い、温度77K及び87Kの吸着データ(圧力、吸蔵量)に対して、上記式(I)をプロットし、フィッティングを行った。最小二乗法を用い、誤差が最も少なくなる場合のパラメーターa、bを決定した。このaの値を用い、上記式(II)より、吸着熱を計算した。計算結果を図17に示す。実施例4の多孔性金属錯体は、多くの多孔性金属錯体の吸着熱が4〜6kJ/molHであるのに対し、6.8kJ/molHと高い値を示した。また、多くの多孔性金属錯体では、水素吸蔵量の増加に伴い、水素吸着熱は減少する挙動を示すが、実施例4の多孔性金属錯体は、高い水素吸蔵量においても、水素吸着熱は減少せず、高い値を示した。
(実施例5:金属イオンがAlの場合)
硝酸アルミニウム9水和物(285.0mg、0.75mmol)とホウ素アニオン配位子NaBAr(234.7mg,0.375mmol)とをそれぞれスクリュー管に入れた。前者に関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(1.9mL)を、後者に純水(5.6mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、これを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これに酢酸107μL(1.88mmol)を加え、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、120℃で24時間水熱合成を行った。反応終了後、白色の沈殿が得られた。これを回収し、N,N−ジメチルホルムアミドで洗い、さらにN,N−ジメチルホルムアミドと純水とを1:1で配合した混合溶媒で洗った。その後、30分真空乾燥することで、白色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:278.1mg)。
(多孔性金属錯体の構造の同定)
実施例5の多孔性金属錯体について粉末X線回折測定(XRD)を行った。測定には(株)リガク製のRINT−2100(商品名)を用いた。得られたXRDチャートを図18に示す。X線回折チャートから、結晶性高分子が得られていることが分かった。
(ガス吸着特性1)
実施例5の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける窒素吸着量、比表面積及び細孔容積の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図19に示す。窒素吸着量は0重量%であり、この多孔性金属錯体は窒素をほとんど吸着しなかった。
(ガス吸着特性2)
実施例5の多孔性金属錯体について、温度195K、圧力0.1MPaにおける二酸化炭素吸着量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分をドライアイス−エタノール冷媒に浸した状態で行った。得られた吸着等温線を図20に示す。二酸化炭素吸着量は18.4重量%であった。
(ガス吸着特性3)
実施例5の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図21に示す。実施例5の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は0.66重量%であった。
(ガス吸着特性4)
実施例5の多孔性金属錯体について、温度87K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体アルゴンに浸した状態で行った。水素吸蔵量と平衡圧との関係を示したグラフを図22に示す。実施例5の多孔性金属錯体の場合、温度87K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は0.64重量%であった。
(吸着熱の計算)
吸着熱計算ソフト「R」を用い、温度77K及び87Kの吸着データ(圧力、吸蔵量)に対して、上記式(I)をプロットし、フィッティングを行った。最小二乗法を用い、誤差が最も少なくなる場合のパラメーターa、bを決定した。このaの値を用い、上記式(II)より、吸着熱を計算した。計算結果を図23に示す。実施例5の多孔性金属錯体は、多くの多孔性金属錯体の吸着熱が4〜6kJ/molHであるのに対し、6.4kJ/molHと高い値を示した。また、多くの多孔性金属錯体では、水素吸蔵量の増加に伴い、水素吸着熱は減少する挙動を示すが、実施例5の多孔性金属錯体は、高い水素吸蔵量においても、水素吸着熱は減少せず、高い値を示した。
(比較例1)
Inorg. Chem. 2008, 47, 3955.に従って多孔性金属錯体を合成し、その特性を評価した。具体的には以下のとおりである。
硝酸銅3水和物(166.7mg、0.717mmol)と2,2’−ジエトキシルビフェニル−3,3’−5,5’−テトラキス(4−安息香酸)(83.3mg、0.112mmol)とをそれぞれスクリュー管に入れた。前者に純水(1.7mL)を、後者に関東化学(株)製のN,N−ジメチルホルムアミド(8.3mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、2つの溶液を混合し、希塩酸(濃度10%、0.17mL)を加えて日電理化硝子製のガラス容器に入れ、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、80℃で12時間水熱合成を行った。反応終了後、青色の結晶が得られた。これを回収し、N,N−ジメチルホルムアミドと純水とを5:1で配合した混合溶媒で洗い、さらにジエチルエーテルで洗った。その後、30分真空乾燥することで、青色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:177.1mg)。
(ガス吸着特性1)
比較例1の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。比較例1の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は0.80重量%であった。
(比較例2)
Inorg. Chem. 2008, 47, 3955.に従って多孔性金属錯体を合成し、その特性を評価した。具体的には以下のとおりである。
硝酸亜鉛6水和物(150.0mg、0.105mmol)と2,2’−ジエトキシルビフェニル−3,3’−5,5’−テトラキス(4−安息香酸)(150.0mg,0.210mmol)とを日電理化硝子製のガラス容器に入れた。これにN,N−ジメチルホルムアミド(10.0mL)を加え、超音波洗浄器に数分浸けて溶液とした。
次に、これにピリジン(0.15mL)を加え、シリコンパッキン付きの蓋をした。この容器を耐圧硝子工業(株)製のオートクレーブに装着し、60℃で7日間水熱合成を行った。反応終了後、無色透明な結晶が得られた。これを回収し、塩化メチレンで洗った。その後、30分真空乾燥することで、白色の生成物(多孔性金属錯体)が得られた(収量:166.3mg)。
(ガス吸着特性1)
比較例2の多孔性金属錯体について、温度77K、圧力0.1MPaにおける水素吸蔵量の測定を行った。測定には日本ベル(株)製のBELSORP−max(商品名)を用いた。測定は、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で行った。比較例2の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力100.7kPaにおける水素吸蔵量は0.20重量%であった。

Claims (4)

  1. 2価又は3価の金属イオンと下記一般式(1)で表されるボレート化合物との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体。

    [式中、Rは下記一般式(2)で表される基を示し、Xは一価のカチオンを示す。複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。]

    [式中、nは0〜4の整数を示し、Yは水素原子又は一価のカチオンを示す。]
  2. 前記金属イオンが亜鉛イオン、マンガンイオン、クロムイオン、コバルトイオン又はアルミニウムイオンである、請求項1記載の多孔性金属錯体。
  3. 複数存在するRが互いに同一の基である、請求項1又は2記載の多孔性金属錯体。
  4. nが0又は1である、請求項1〜3のいずれか一項記載の多孔性金属錯体。
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