JP2011194508A - 研磨パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】スクラッチを抑制し平坦性精度を向上させることができる研磨パッドを提供する。
【解決手段】研磨パッド10は、樹脂シート2を備えている。樹脂シート2は、湿式凝固法により形成されており、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。樹脂シート2は、樹脂中に多数の微多孔4が略均等に分散した状態で形成されている。微多孔4間は、湿式凝固法による成膜時の溶媒置換に伴い微多孔4より小さいチャネルで網目状に連通しており、マイクロポーラス構造を有している。樹脂シート2は、SP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分で形成されており、親水性が調整されている。樹脂シート2の吸水時間が10〜60秒の範囲に調整されている。スラリが吸収されにくくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨パッドに係り、特に、湿式凝固法により作製され被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成された樹脂シートを備えた研磨パッドに関する。
従来半導体デバイス等の各種材料では、平坦性を確保するために研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスの製造では、通常、銅(Cu)配線の層や絶縁層が順次形成され多層化されるが、各層を形成した後の表面(加工面)に研磨加工が行われている。近年では、半導体回路の集積度が急激に増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進められており、加工面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。
一般に、半導体デバイスの製造では、化学的機械的研磨(以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、通常、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液または酸溶液に分散させたスラリ(研磨液)が供給される。すなわち、被研磨物(の加工面)は、スラリ中の砥粒による機械的研磨作用と、アルカリ溶液または酸溶液による化学的研磨作用とで平坦化される。
半導体デバイス用の研磨パッドでは、ポリウレタン樹脂製の発泡体で形成された樹脂シートが主として使用されている。また、研磨加工時にスラリを保持しやすくするために樹脂シートの表面(研磨面)には、開孔が形成されている。ところが、一般にポリウレタン樹脂は、撥水性を有するためにスラリに対する濡れ性が低くなるので、研磨加工前の準備工程で慣らし運転によりスラリに馴染ませる作業が必要となる。慣らし運転に要する時間は、生産時間のロスにつながるので、短縮することが望ましい。また、研磨面に形成された開孔にスラリ中の砥粒や研磨屑(スラッジ)が溜まることで凝集が形成されるため、加工面にスクラッチ(研磨キズ)を生じることがある。
これらの問題を回避するために、例えば、主鎖構造がエーテル系のポリウレタン樹脂に代えてエステル系のポリウレタン樹脂を用いること、主鎖構造にエチレングリコールを導入すること、さらには、界面活性剤を配合すること、等により親水性を付与することが知られている。このような親水性を付与することで、砥粒やスラッジの凝集が抑制されるため、スクラッチの発生も抑えることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−9026号公報
しかしながら、特許文献1の技術のように親水性が付与されると、樹脂の耐加水分解性が低下する、または、界面活性剤成分が研磨液に溶出し予期せぬ凝集を招く、という新たな問題が発生する。これに対して、湿式凝固法によりポリウレタン樹脂の発泡体を形成する技術では、比較的濡れ性に優れ柔軟性を有するスエードタイプの樹脂シートを得ることができる。濡れ性に優れることで慣らし運転を短縮することができ、柔軟性に優れることで致命的なスクラッチ発生も若干低減することができる。その反面、親水性を付与してもスクラッチ発生が改善されず、却って増加してしまうことも見られるうえ、湿式凝固法に独特の巨大気孔が形成されるために却って砥粒が取り込まれやすくなり、滞留や凝集を招くことで微細なスクラッチが発生することもある。被研磨物の更なる高精度化、微細化が求められる中では、このような微細なスクラッチも無視できなくなっている。歩留向上や効率的製造を目指すうえでは、このような欠点を抑えることができる研磨パッドが切望されている。
本発明は上記事案に鑑み、スクラッチを抑制し平坦性精度を向上させることができる研磨パッドを提供することを課題とする。
本発明者らは、研磨パッドの特性とスクラッチの発生との関係について鋭意検討した結果、樹脂シートの親水性を調整しつつ、研磨面に対する吸水時間と開孔構造、圧縮率との関係からスクラッチの低減が可能であることを見出し本発明にいたった。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式凝固法により作製され被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成された樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、溶解度係数を示すSP値の差が1〜3の範囲で異なる少なくとも2種の樹脂成分で形成されており、微多孔が連通したマイクロポーラス構造を有し前記微多孔により前記研磨面に開孔が形成されているとともに、前記研磨面に対する吸水時間が10秒〜60秒の範囲であることを特徴とする。
本発明では、樹脂シートがSP値の差が1〜3の範囲で異なる少なくとも2種の樹脂で形成されたことで不必要に膨潤することなく親水性が適正化されるとともに、マイクロポーラス構造を有する樹脂シートの研磨面に対する吸水時間が10秒〜60秒の範囲のため、研磨加工時に供給される研磨液が吸収されづらくなり砥粒の研磨面に対する付着が抑制されることで砥粒が凝集しにくくなるので、スクラッチを抑制し平坦性精度を向上させることができる。
この場合において、研磨面に形成された開孔の単位面積あたりの平均孔径を3μm〜15μmの範囲としてもよい。また、樹脂シートをポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂製としてもよい。このとき、樹脂成分を、いずれも、SP値が9〜13の範囲の極性溶媒に可溶であり、8〜13の範囲のSP値を有していてもよい。このとき、樹脂シートを、樹脂成分が混在して形成されており、全体のSP値が9〜11の範囲とすることができる。樹脂シートが、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリサルホン樹脂から選択された少なくとも2種の樹脂が混在して形成されていてもよい。樹脂シートに樹脂成分としてポリウレタン樹脂が50重量%〜98重量%の範囲で配合されていてもよい。樹脂シートの圧縮率を0.5%〜3.0%の範囲とすることができる。
本発明によれば、樹脂シートがSP値の差が1〜3の範囲で異なる少なくとも2種の樹脂で形成されたことで不必要に膨潤することなく親水性が適正化されるとともに、マイクロポーラス構造を有する樹脂シートの研磨面に対する吸水時間が10秒〜60秒の範囲のため、研磨加工時に供給される研磨液が吸収されづらくなり砥粒の研磨面に対する付着が抑制されることで砥粒が凝集しにくくなるので、スクラッチを抑制し平坦性精度を向上させることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
(構成)
本実施形態の研磨パッド10は、図1に示すように、2種の樹脂成分が混在した樹脂シート2を備えている。樹脂シート2は、湿式凝固法によりシート状に形成されており、一面側に、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。
樹脂シート2は、樹脂全体に多数の微多孔4が略均等に分散した状態で形成されている。微多孔4は、球状に形成されており、平均径が3〜15μmの範囲を有している。微多孔4間は、湿式凝固法による成膜時の溶媒置換に伴い微多孔4より小さいチャネルで網目状に連通している。すなわち、樹脂シート2はマイクロポーラス構造を有している。樹脂シート2では、湿式凝固法による成膜時に形成される緻密な微多孔状のスキン層が研削処理(バフ処理)で除去されている。
研磨面Pでは、微多孔4が開孔した開孔5が形成されている。単位面積あたりの開孔5の平均孔径は、微多孔4の平均径と同じ3〜15μmの範囲となる。開孔5が形成されていることで、樹脂シート2の内部に形成された多数の微多孔4がチャネルを通じて開孔5と連通していることとなる。このような連続状に形成されたマイクロポーラス構造を有する樹脂シート2では、従来湿式凝固法により巨大気孔が形成されたシートと比較して圧縮による変形が生じ難くなることから、圧縮率が0.5〜3.0%の範囲を示す。
樹脂シート2では、溶解度係数であるSP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分が混在して形成されており、親水性が調整されている。すなわち、樹脂シート2の研磨面Pに対する吸水時間が10〜60秒の範囲に調整されている。SP値については、J.H.Hildebrandら(J.H.Hildebrand
and R.L.Scott著、“The Solubility of Nonelectrolytes”、Reinhold Publishing Corp.出版、1950年発行)により提唱されたもので、SP値δ[単位:(cal・cm1/2]が下式(1)で表される。式(1)において、ΔEは分子凝集エネルギー(単位:cal/mol)、Vはモル容積(単位:ml/mol)を示しており、SP値は凝集エネルギー密度の平方根に相当する。2種の樹脂を混合する場合では、SP値が近い樹脂ほど凝集エネルギー密度が小さく、親和性が高くなることとなる。また、Hansenら(J.
Paint Technology、39巻505号、104〜117ページおよび511号、505〜514ページ、1967年発行)やHoy(J. Paint
Technology、42巻541号、76〜118ページ、1970年発行)によって、双極子間力や水素結合力も考慮し、分子引力定数法に基づくと、SP値を下式(2)で算出することができる。式(2)において、ΔFは分子引力定数の総和(単位:(Cal・cm1/2mol−1)である(各原子団の分子引力定数については、例えば、Hoy法 材料技術研究会編集委員会編「プラスチックの塗装・印刷便覧」41ページ(総合技術出版発行)、沖津ら 接着研究発表会講演要旨集27巻125〜126ページ(1989年6月発行)、日本接着学会年次大会講演要旨集28巻85〜86ページ(1990年6月発行)、に記載されている。)。また、複数の樹脂を混合した樹脂全体のSP値については、下式(3)により算出することができる。式(3)において、δmixは混合樹脂全体のSP値、Xnは成分nのモル分率、Vnは成分nのモル容積、δnは成分nのSP値である。以上のことから、研磨パッド10では、樹脂シート2を極性溶媒に溶解し、ゲル濾過等で各樹脂成分を分取し、それぞれの分子構造解析を行うことで各樹脂成分のSP値および混合樹脂全体のSP値を算出することができる。
Figure 2011194508
また、研磨パッド10は、樹脂シート2の研磨面Pと反対の面側に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ7が貼り合わされている。両面テープ7は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムの基材7aを有しており、基材7aの両面にアクリル系粘着剤等の粘着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面テープ7は、基材7aの一面側の粘着剤層で樹脂シート2と貼り合わされており、他面側(樹脂シート2と反対側)の粘着剤層が剥離紙7bで覆われている。なお、この両面テープ7の基材7aは、研磨パッド10の基材を兼ねている。
(製造)
研磨パッド10は、湿式凝固法によりSP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分を用い樹脂シート2を作製し、得られた樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせることで製造される。すなわち、樹脂溶液を準備する準備工程、成膜基材に樹脂溶液をシート状に塗布する塗布工程、樹脂溶液を凝固液中で凝固させ樹脂を再生させる凝固再生工程、再生されたシート状の樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程、スキン層をバフ処理で除去するバフ処理工程、得られた樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせるラミネート工程を経て研磨パッド10が製造される。以下、工程順に説明する。
準備工程では、SP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分、樹脂成分を溶解可能な水混和性の極性溶媒、添加剤および架橋剤を混合して樹脂成分を溶解させる。極性溶媒としては、SP値が9〜13の範囲のものを使用する。例えば、SP値が12.1のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、SP値が10.8のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、SP値が9.1のテトラヒドロフラン(THF)、SP値が12.0のジメチルスルホキシド(DMSO)、SP値が9.9のアセトン、SP値が11.9のアセトニトリル、SP値が11.3のN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。SP値が9より小さい、または、13より大きいと、凝固再生時の貧溶媒(水)との置換が不十分となりシート作製が難しくなるため好ましくない。本例では、SP値が12.1のDMFを用いる。
一方、SP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分としては、上述した極性溶媒に可溶なもの、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系、アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系、ポリアミド系、ポリスチレン系、等を挙げることができる。2種の樹脂成分の組み合わせとしては、樹脂全体のSP値が9〜11の範囲となるように選択することが好ましい。全体のSP値が9より小さいと、スラリに対する濡れ性が低下するため好ましくなく、反対にSP値が11より大きいと、スラリが浸透しやすくなりすぎて付着しやすくなるため好ましくない。また、樹脂成分のそれぞれのSP値としては、8〜13の範囲であることが好ましい。樹脂成分のSP値が8より小さいと、スラリに対する濡れ性が低下するため好ましくなく、反対にSP値が13より大きいと、樹脂全体のSP値を9〜11の範囲としても、スラリが付着しやすくなる場合があるため好ましくない。好適な樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂から選択された2種の組み合わせを挙げることができる。
上述した樹脂成分のうち、ポリウレタン樹脂が樹脂成分の全体に対して50〜98重量%の範囲で配合されていると、適度な弾性と所望の効果を得やすくなる。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエーテルポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエステルポリカーボネート系、ポリカプロラクトン系等のいずれであってもよい。また、アクリル樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体の1種又は2種以上の重合体を挙げることができる。ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルモノマーに種々のモノマーと共重合したものを用いることができる。共重合するモノマーとしては上述したアクリル樹脂の単量体やアルキルアリルエーテル類等が挙げられる。また、ポリサルホン樹脂としては、ポリフェニルサルホン系、ポリエーテルサルホン系等が挙げられる。
これらの樹脂成分の中から、SP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分を選択すればよい。例えば、SP値が11.0のポリエーテル系ポリウレタン樹脂とSP値が9.1のメチル(メタ)アクリレート系アクリル樹脂とを重量比1:1として樹脂全体のSP値が10.1のものを用いてもよく、SP値が12.3のポリエステル系ポリウレタン樹脂とSP値が10.5のポリエーテル系ポリウレタン樹脂とを重量比1:5として樹脂全体のSP値が10.8のものを用いてもよい。2種の樹脂成分のSP値の差が1より小さいと、スラリが浸透しやすくなり、付着や凝集を招きやすくなるため好ましくない。反対に、SP値の差が3より大きいと、樹脂成分の相溶性が悪くなり、安定した生産が難しくなるため好ましくない。本例では、SP値が11.0のポリエーテル系ポリウレタン樹脂とSP値が9.1のメチル(メタ)アクリレート系アクリル樹脂とを重量比1:1で混合し、樹脂成分が30重量%となるようにDMFに溶解させる。この場合、樹脂全体のSP値が10.1となる。添加剤としては、微多孔4の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤、樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。
また、DMFに樹脂成分を溶解させた溶液に、DMFと水との置換を遅らせるために調整溶媒を添加する。DMFと水との置換を遅らせることで上述したマイクロポーラス構造の樹脂シートを形成することができる。調整溶媒としては、水に対する溶解度がDMFより小さく、DMFに溶解させた樹脂成分を凝固(ゲル化)させることなく、樹脂成分の溶液と均一に混合、分散できるものを用いる。このような調整溶媒には、酢酸エチルやイソプロピルアルコール等を用いることができるが、本例では、酢酸エチルを用いる。調整溶媒を樹脂成分の溶液の100部に対して20〜45部の範囲となるように混合した後、減圧下で脱泡して樹脂溶液を得る。
塗布工程では、準備工程で得られた樹脂溶液を常温下でナイフコータ等の塗布装置により帯状の成膜基材にシート状に略均一に塗布する。このとき、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)を調整する。成膜基材としては、布帛や不織布等を用いることもできるが、本例では、PET製フィルムを用いる。
凝固再生工程では、成膜基材に塗布された樹脂溶液を、樹脂成分に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)に連続的に案内する。凝固液には、ポリウレタン樹脂の凝固再生速度を調整するために、DMFやDMF以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよいが、本例では、水を使用する。凝固液中で樹脂溶液が凝固し、マイクロポーラス構造を有する樹脂が再生する。
ここで、樹脂の再生に伴うマイクロポーラス構造の形成について説明する。凝固液中では、まず、樹脂溶液と凝固液との界面に皮膜が形成され、皮膜の直近の樹脂中にスキン層を構成する緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、樹脂中への水の浸入との協調現象、すなわち、溶媒置換により樹脂の再生が進行する。樹脂溶液に添加された調整溶媒の水に対する溶解度がDMFより小さいため、水(凝固液)中への調整溶媒の溶出がDMFより遅くなる。また、調整溶媒を添加した分、樹脂溶液中のDMF量が少なくなる。このため、DMFおよび調整溶媒と凝固液との置換速度が遅くなるので、巨大気孔の形成が抑制される。これにより、樹脂は、スキン層の内側に微多孔4が形成される。DMFおよび調整溶媒と凝固液との置換速度が遅いため、微多孔4の大きさが凝固液に浸漬後速やかに形成されるスキン層の微多孔より大きくなる。また、DMFが樹脂溶液から脱溶媒しDMFと凝固液とが置換することで、微多孔4間にチャネルが形成され、スキン層の微多孔および微多孔4が網目状に連通する。従って、得られるシート状の樹脂は、巨大気孔が形成されず略均一でほぼ一様なマイクロポーラス構造を有することとなる。
洗浄・乾燥工程では、凝固再生したシート状の樹脂(以下、成膜樹脂という。)を水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留するDMFを除去した後、乾燥させる。成膜樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いる。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂をロール状に巻き取る。
バフ処理工程では、洗浄・乾燥工程で乾燥させた成膜樹脂のスキン層が形成された面側にバフ処理を施す。成膜樹脂では、湿式成膜時に厚みバラツキが生じているため、スキン層と反対の面側に、表面が平坦な圧接治具を圧接することで、スキン層側の表面に凹凸が出現する。この凹凸をバフ処理で除去する。本例では、連続的に製造された成膜樹脂を、圧接ローラに圧接しながら、連続的または断続的にバフ処理を施す。成膜樹脂がバフ処理されて形成された樹脂シート2では厚みが均一化され、表面に開孔5が形成される。
ラミネート工程では、樹脂シート2と両面テープ7とが貼り合わされる。このとき、樹脂シート2の研磨面Pと反対の面側と、両面テープ7の一側の粘着剤層とが貼り合わされる。そして、円形や角形等の所望の形状、所望のサイズに裁断した後、キズや汚れ、異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
被研磨物、例えば、半導体デバイスの研磨加工を行うときは、研磨機の研磨定盤に研磨パッド10を装着する。研磨定盤に研磨パッド10を装着するときは、剥離紙7bを取り除き、露出した粘着剤層で貼着する。研磨定盤と対向配置された保持定盤に被研磨物を保持させる。研磨定盤および保持定盤間で被研磨物を加圧し、スラリを供給しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、被研磨物の加工面を研磨加工する。ここで用いたスラリは、砥粒として平均粒径が50nmのコロイダルシリカを用い、この砥粒を5重量%の割合で分散させたものである。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
本実施形態では、樹脂シート2がSP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂成分で作製されている。また、樹脂シート2では、微多孔4がチャネルを通じて開孔5と連通した連続状のマイクロポーラス構造を有している。SP値を定めることで樹脂シートが不必要に膨潤することなく親水性が適正化される。また、従来巨大気孔が形成された場合と比べて、マイクロポーラス構造を有することで樹脂シート2の研磨面Pに対する吸水時間が制限される。これにより、樹脂シート2の吸水時間が10〜60秒の範囲を示すこととなる。従って、樹脂の親水性とマイクロポーラス構造とにより吸水時間が制限されることで、研磨加工時に供給されるスラリが吸収されにくくなり、スラリに含まれる砥粒の研磨面Pや開孔5の内面に対する付着が抑制され砥粒が凝集しにくくなる。この結果、被研磨物に対するスクラッチの発生が抑制されるので、平坦性精度を向上させることができる。また、樹脂シート2の研磨液に対する濡れ性も適正化されるので、研磨加工前の慣らし運転に要する時間を短縮することができ、研磨効率を向上させることができる。
更に、本実施形態では、湿式凝固法による成膜時に形成されたスキン層がバフ処理で除去され、研磨面Pに開孔5が形成されている。この開孔5は、単位面積あたりの平均孔径が3〜15μmの範囲に調整されている。このため、研磨加工時にスラリが保持されつつ被研磨物および研磨パッド10間に略均等に分散供給されるので、被研磨物の平坦性精度を向上させることができる。
また更に、本実施形態では、樹脂シート2が連続状のマイクロポーラス構造を有している。このため、巨大気孔が形成されないことで圧縮率が0.5〜3.0%の範囲を示し、柔軟性が抑制されることとなる。巨大気孔が形成された場合は、柔軟性が大きくなることで研磨面に形成された開孔から砥粒や研磨屑を取り込みやすくなり、滞留、凝集を招き被研磨物の平坦性を損なうこととなる。従って、マイクロポーラス構造を有する樹脂シート2では、柔軟性が適正化されるとともに、開孔5の閉塞が生じ難くなるので、長期間安定的に被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、樹脂シート2としてポリウレタン樹脂とアクリル樹脂とを樹脂成分とし湿式凝固法により作製する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述したように、アクリル樹脂に代えて、SP値の異なるポリウレタン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂等を用いてもよく、SP値が上述した範囲のもので、湿式凝固法でマイクロポーラス構造が形成されるものであればよい。また、配合する樹脂成分のSP値を小さくすることで得られる樹脂シートでは、柔軟性、吸水性が抑えられるので、研磨面や開孔の内面に対する砥粒の付着を抑制することができる。さらに、本実施形態では、2種の樹脂成分を配合して形成した樹脂シート2を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した樹脂成分の3種以上を配合するようにしてもよい。
また、本実施形態では、湿式凝固法による成膜時の樹脂溶液に調整溶媒を添加しておくことで、凝固再生時の溶媒置換を遅くし、マイクロポーラス構造の樹脂シート2を形成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。マイクロポーラス構造を得るためには、凝固再生時の溶媒置換を遅くすればよく、調整溶媒を用いることに代えて、例えば、凝固液中に樹脂成分の溶解に用いた極性溶媒を混合しておくことでも実現することができる。この場合、成膜基材に塗布された樹脂溶液が凝固液中に案内される時点で、凝固液中の極性溶媒濃度が高くなっているため、樹脂溶液からの極性溶媒の溶出が抑制される。このため、凝固初期の溶媒置換が遅くなり、緻密なスキン層が形成されにくくなり、結果として、マイクロポーラス構造の樹脂シートを得ることができる。
更に、本実施形態では、凝固再生後に得られた成膜樹脂のスキン層側にバフ処理を施す例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。樹脂シートの厚みの均一化を図るためにはスキン層と反対の面側にバフ処理を施すようにしてもよく、スキン層側、スキン層と反対の面側の両方にバフ処理を施してもよい。また、バフ処理に代えて、スライス処理等を施すことも可能である。樹脂シートの厚みが均一化されることで、研磨加工時に被研磨物にかけられる押圧力が均等化され、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
また更に、本実施形態では、樹脂シート2の研磨面Pと反対の面側に基材7aを有する両面テープ7を貼り合わせ、基材7aが研磨パッド10の基材を兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、両面テープ7に代えて粘着剤のみを配しておくようにしても、研磨機への装着を行うことができる。また、両面テープ7と樹脂シート2との間に別の基材を貼り合わせるようにしてもよい。研磨パッド10の搬送時や定盤への装着時の取扱いを考慮すれば、基材を有していることが好ましい。
更にまた、本実施形態では、特に言及していないが、樹脂シート2が、少なくとも一部に、被研磨物の研磨加工状態を光学的に検出するための光透過を許容する光透過部を有するようにしてもよい。この光透過部は、樹脂シート2の厚みの全体にわたり貫通するように形成されていることが好ましい。このようにすれば、例えば、研磨機側に備えられた発光ダイオード等の発光素子、フォトトランジスタ等の受光素子により、研磨加工中に光透過部を通して被研磨物の加工面の研磨加工状態を検出することができる。これにより、研磨加工の終点を適正に検出することができ、研磨効率の向上を図ることができる。
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、樹脂シート2の作製に、SP値が11.0のポリエーテルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂と、SP値が9.1のメチル(メタ)アクリレート系アクリル樹脂とを重量比1:1で配合し樹脂全体のSP値が10.1のものを用いた。これら樹脂成分をDMFに30重量%となるように溶解し、更に、調整溶媒として酢酸エチルを添加した。得られた樹脂溶液を成膜基材に塗布する際に塗布装置のクリアランスを1.6mmに設定した。凝固再生後の成膜樹脂にバフ処理を施した後、得られた厚さ1.3mmの樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせ研磨パッド10を製造した。実施例1の研磨パッド10を構成する樹脂シート2では、ポリウレタン樹脂成分が樹脂全体の50重量%となる。
(実施例2)
実施例2では、樹脂シート2の作製に、SP値が12.3のポリエステルTDI(トリレンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂とSP値が10.5のポリエーテルTDIポリウレタン樹脂とを重量比1:5で配合し樹脂全体のSP値が10.8のものを用いる以外は実施例1と同様にして、研磨パッド10を製造した。実施例2の研磨パッド10を構成する樹脂シート2では、ポリウレタン樹脂成分が樹脂全体の100重量%となる。
(実施例3)
実施例3では、樹脂シート2の作製に、SP値が12.6のポリエーテルサルホン樹脂とSP値が10.5のポリエーテルTDIポリウレタン樹脂とを重量比1:5で配合し樹脂全体のSP値が10.9のものを用いる以外は実施例1と同様にして、研磨パッド10を製造した。実施例2の研磨パッド10を構成する樹脂シート2では、ポリウレタン樹脂成分が樹脂全体の83%となる。
(比較例1)
比較例1では、SP値が11.0のポリエーテルMDIポリウレタン樹脂のみを用いる以外は実施例1と同様にして、研磨パッドを製造した。すなわち、比較例1の研磨パッドは、1種の樹脂成分で形成された樹脂シートを有する従来の研磨パッドである。
(比較例2)
比較例2では、調整有機溶媒の酢酸エチルを加えない以外は比較例1と同様にして、研磨パッドを製造した。すなわち、比較例2の研磨パッドは、樹脂シートに巨大気孔が形成された従来の研磨パッドである。
(比較例3)
比較例3では、実施例1で用いたポリエーテルMDIポリウレタン樹脂とメチル(メタ)アクリレート系アクリル樹脂とを重量比1:2で配合し樹脂全体のSP値が9.7のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、研磨パッドを製造した。すなわち、比較例3の研磨パッドは、樹脂全体のSP値が上述した範囲より小さい樹脂シートを有する研磨パッドである。
(比較例4)
比較例4では、実施例3で用いたポリエーテルサルホン樹脂とポリエーテルTDIポリウレタン樹脂とを重量比1:2で配合し樹脂全体のSP値が11.2のものを用いたこと以外は実施例3と同様にして、研磨パッドを製造した。すなわち、比較例4の研磨パッドは、樹脂全体のSP値が上述した範囲より大きい樹脂シートを有する研磨パッドである。
(評価1)
各実施例および比較例の研磨パッドについて、平均孔径、吸水時間および圧縮率を測定した。平均孔径の測定では、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5500LV)で約1.0mm四方の範囲を5000倍に拡大し9カ所観察した。この画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し平均孔径を算出した。吸水時間の測定では、樹脂シートの試料表面に1μLの液滴(水滴)を着滴させ、着滴直後から液滴が試料中に吸収されて識別できなくなるまでの時間を測定した。圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めた。具体的には、無荷重状態から初荷重(100g/cm)を30秒間かけた後の厚さt1を測定し、次に、厚さt1の状態から最終圧力(1120g/cm)を30秒間かけた後の厚さt2を測定した。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t1−t2)/t1の式で算出した。平均孔径、吸水時間および圧縮率の測定結果を下表1に示す。
Figure 2011194508
表1に示すように、比較例2では、平均孔径が32.4μm、圧縮率が14.3%を示した。巨大気孔が形成されたことで圧縮率が大きくなったと考えられる。また、吸水時間が0.4秒を示した。このことから、巨大気孔に入り込む水の量が大きくなり、吸水時間が小さくなったと考えられる。また、研磨液に浸漬した場合は、巨大気孔に研磨液が入り込むときに、巨大気孔の内面を含む表面に砥粒が付着しやすくなると考えられる。一方、巨大気孔が形成されていない比較例1では、吸水時間が1.5秒を示した。このことから、単に巨大気孔が形成されなくても、吸水時間が小さく、研磨液が内部に浸透しやすいので、砥粒が付着しやすいものと考えられる。比較例3では、平均孔径が4.4μm、圧縮率が1.0%を示したが、吸水時間が68.5秒と長いため、スラリに対する濡れ性が低くなると考えられる。反対に、比較例4では圧縮率が0.8%を示したが、平均孔径が2.8μmと小さいにも関わらず、吸水時間が8.5秒と短かった。このため、研磨液に浸漬した場合は、気孔の内面を含む表面に砥粒が付着しやすくなると考えられる。これに対して、実施例1、実施例2、実施例3では、平均孔径がそれぞれ4.3μm、4.8μm、3.5μmを示し、吸水時間がそれぞれ55.2秒、23.1秒、13.2秒を示し、圧縮率がそれぞれ0.7%、2.7%、1.0%を示した。比較例1のものと比較して、マイクロポーラス構造を有することで圧縮率が小さくなり、平均孔径も小さくなったと考えられる。また、巨大気孔が形成されていないため、吸水時間が長くなることが判った。更に、実施例1、実施例3では、それぞれアクリル樹脂、ポリサルホン樹脂の配合により、樹脂全体に対するポリウレタン樹脂の割合を50〜98%の範囲としたことで、一層優れた効果を奏すると考えられる。
(評価2)
また、各実施例および比較例の保持パッドを用いて、以下の研磨条件で研磨加工を行い、研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの有無を測定した。被研磨物としては、ニッケル−リンメッキが施された磁気記録媒体用アルミニウムディスク基板を用いた。研磨レートは、1分間当たりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨加工前後の基板の重量減少から求めた研磨量、基板の研磨面積および比重から算出した。また、光学式非接触表面粗さ計(Zygo社製、New View 5022)で0〜80μmの短波長域、80〜500μmの中波長域でそれぞれ単位面積当たりの表面像のうねり量をオングストローム(Å)単位で求めた。また、研磨加工する前のうねり量についても同様に測定した。スクラッチの評価は、研磨後のアルミニウム基板について、高輝度ハロゲンランプによる光を照射して目視にてアルミニウム基板の表面におけるスクラッチの有無を評価した。研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの測定結果を下表2に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、DSM9B−5P−IV
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:1.5)
Figure 2011194508
表2に示すように、比較例1では、研磨レートが0.105μm/minを示した。また、うねりWaでは、いずれの波長域についても、研磨前と比較して研磨後のうねりが改善されているものの、研磨後でも2.22Å、5.28Åであった。これに対して、実施例1、実施例2、実施例3では、平均孔径が比較例1より小さくなったものの、研磨レートが若干改善しそれぞれ0.120μm/min、0.114μm/min、0.110μm/minを示した。実施例1では、うねりWaが、短波長域で研磨前の3.47Åが研磨後に1.78Åに改善され、中波長域でも研磨前の7.21Åが研磨後に4.54Åに改善された。また、実施例2では、短波長域で研磨前の3.61Åが研磨後に1.85Åに改善され、中波長域でも研磨前の7.45Åが研磨後に4.71Åに改善された。実施例3では、短波長域で研磨前の3.51Åが研磨後に1.78Åに改善され、中波長域でも研磨前の7.45Åが研磨後に4.67Åに改善された。このことから、吸水時間、圧縮率がバランスされた実施例1、実施例2、実施例3の研磨パッド10では、平坦性精度を向上させることのできることが明らかとなった。比較例3、比較例4では、各実施例に比べ、研磨レート、うねりWaがいずれも劣る結果となった。比較例3では吸水時間が長すぎるためスラリに対する濡れ性が低くなり、比較例4では平均孔径が小さくなったにも関わらず、吸水時間が短すぎるため、平坦性精度が低下したものと考えられる。とりわけ、比較例4では、スクラッチも確認されたことから、気孔の内面を含む表面に砥粒が付着しやすかったものと考えられる。
本発明はスクラッチを抑制し平坦性精度を向上させることができる研磨パッドを提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
P 研磨面
2 樹脂シート
4 微多孔
5 開孔
10 研磨パッド

Claims (7)

  1. 湿式凝固法により作製され被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成された樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、溶解度係数を示すSP値の差が1〜3の範囲で異なる少なくとも2種の樹脂成分で形成されており、微多孔が連通したマイクロポーラス構造を有し前記微多孔により前記研磨面に開孔が形成されているとともに、前記研磨面に対する吸水時間が10秒〜60秒の範囲であることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記研磨面に形成された開孔は、単位面積あたりの平均孔径が3μm〜15μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記樹脂成分は、いずれも、SP値が9〜13の範囲の極性溶媒に可溶であり、8〜13の範囲のSP値を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  4. 前記樹脂シートは、前記樹脂成分が混在して形成されており、全体のSP値が9〜11の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の研磨パッド。
  5. 前記樹脂シートは、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリサルホン樹脂から選択された少なくとも2種の樹脂が混在して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の研磨パッド。
  6. 前記樹脂シートは、前記樹脂成分としてポリウレタン樹脂が50重量%〜98重量%の範囲で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  7. 前記樹脂シートは、圧縮率が0.5%〜3.0%の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の研磨パッド。
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