JP2011193685A - パワーコンディショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】発電装置が発電を停止している場合であっても、無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う交直制御部を機能させ、系統電力の品質を向上させることが可能なパワーコンディショナを提供する。
【解決手段】中央制御部102と、系統電流センサ124と、直流変換器106と、交直変換器116と、無効電力補償制御または高調波抑制制御の少なくとも一方を行う交直制御部114と、発電電力測定部112と、直流母線の電圧を維持するコンデンサ110と、直流母線上のコンデンサより発電装置(太陽光発電装置10)側に配置された解列開閉部(直流変換器106)と、を備え、中央制御部102は、発電電力測定部112が測定した電流IFDまたは電圧VFDが所定の基準値以下となったときに、直流変換器106の動作を停止して発電装置を解列させ、交直制御部114は動作を継続する。
【選択図】図1
【解決手段】中央制御部102と、系統電流センサ124と、直流変換器106と、交直変換器116と、無効電力補償制御または高調波抑制制御の少なくとも一方を行う交直制御部114と、発電電力測定部112と、直流母線の電圧を維持するコンデンサ110と、直流母線上のコンデンサより発電装置(太陽光発電装置10)側に配置された解列開閉部(直流変換器106)と、を備え、中央制御部102は、発電電力測定部112が測定した電流IFDまたは電圧VFDが所定の基準値以下となったときに、直流変換器106の動作を停止して発電装置を解列させ、交直制御部114は動作を継続する。
【選択図】図1
Description
本発明は、発電装置を電力系統に接続するパワーコンディショナに関する。
近年、化石燃料資源の有効利用およびCO2の排出抑制の観点から、再生可能エネルギーが積極的に活用されている。再生可能エネルギーとは自然現象によって発生するエネルギー源またはエネルギーのことであり、使用しても自然現象によって繰り返し再生され再度使用可能であることから、このように呼ばれている。再生可能エネルギーの例としては、自然界に存在する太陽、風、水、波、地熱、バイオマスなどが挙げられる。上記の再生可能エネルギーの中でも、特に、太陽光エネルギーおよび風力エネルギーが有望視されている。
これらの再生可能エネルギーによる発電装置は一般家庭等の需要家にも普及し始めている。近年の環境保護に対する意識の高まりから、このような発電装置は今後も加速度的に普及していくと考えられる。国家政策的にも再生可能エネルギーの利用促進が求められており、電力の総供給量の20%程度まで風力発電などの再生可能エネルギーに置き換えることが計画されている。このため、電力系統には電気事業者の原子力、火力、水力などの大容量発電機(発電所)以外にも、発電量が比較的小容量である当該発電装置も接続されるようになってきている。
ところで、電力供給はライフラインとして公益的側面を有している。例えば定格周波数(50Hzまたは60Hz)に対して1Hz程度も誤差が生じると、需要家の機器によっては誤動作などの不具合が発生してしまうおそれがある。このため電力事業者は、供給する電力の周波数や電圧の変動を抑え、安定した高品質な電力を供給する責務を負っている。
そこで、発電装置による電力は、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning Subsystem)と呼ばれる制御装置を介して系統に連系される。パワーコンディショナは、基本的には、発電装置の電力を整流し、電力系統と同じ形態(電圧、周波数、位相など)にして同期連系させるものである。また系統正常時には連系を行うが、系統異常時には連系を切って自立運転(その需要家の負荷のみに電力を供給する運転状態)も行うことができる。
発電装置が太陽光発電である場合についてパワーコンディショナの概略構成を説明すると、直流の電圧を変換する(昇圧する)直流変換器(DC/DCコンバータ)、直流を交流電力に変換する交直変換器(DC/ACインバータ)、系統連系検出装置、各種の保護回路などを備えている。
またパワーコンディショナには、電力の品質を向上させるために交直変換器(DC/ACインバータ)のPWM制御(Pulse Width Modulation)による歪みを除去するための無効電力補償回路(SVC:Static Var Compensator)や、高調波抑制回路(フィルタ)などの電力制御回路が備えられる。
特許文献1には、交流電圧の周波数が増加するときにインバータの電流位相を進ませる位相調節手段と、交流電圧の電圧変動分を抑制する方向にインバータの電流位相を制御する電圧補償手段を設ける構成が提案されている。特許文献1では、単独運転を周波数に変化によって検出できると共に、交流電圧の変動をインバータの電流位相の制御によって抑制できると述べている。
ところで、無効電力の調整を必要としたり、高調波を出力するものは、必ずしも発電装置ばかりではない。例えばインバータエアコン、エレベータやポンプ、その他の家電などの電気機器は、高調波の発生源となる。また全ての電気機器(負荷)は何らかのインダクタンスやキャパシタンスを有しているため、電圧と電流に位相差を生じ、力率低下の要因となる。また、無効電力補償制御(力率制御)は交流電力の電圧補償制御にも用いることができる。そこで、パワーコンディショナに備えられている無効電力補償制御回路や高調波抑制回路を、系統連系用の交直変換器のためだけではなく、電力系統全体に対しても作用させれば、系統全体が利益を享受することができる。
特許文献2には、負荷よりも系統側の電圧、電流をパワーコンディショナにフィードバックして力率制御(無効電力補償制御)および高調波抑制制御を行う技術が提案されている。特許文献2では、力率を低下させたり、高調波電流を出力するような負荷があったとしても、系統側にその影響が及ばないようにすることができると述べている。
しかし一般に、発電装置が発電を停止している場合には、パワーコンディショナは発電装置と共に電力系統から解列される。例えば太陽光発電装置のパワーコンディショナは、発電量が少ない雨天時や夜間には解列するように動作する。すると、パワーコンディショナに無効電力補償制御回路や高調波抑制回路が備えられていたとしても機能しなくなってしまう。
これに対し、上記特許文献2では、バッテリ(蓄電池)を設け、発電装置(太陽電池)が発電していない間にもパワーコンディショナの機能を維持する(したがって無効電力補償制御や高調波抑制制御も維持する)構成となっている。しかし大容量のバッテリは高額であり、また消耗品であるため、設備コストが大きいという問題がある。
また、パワーコンディショナとは別に、需要家の構内に無効電力補償制御回路や高調波抑制回路を設置することも考えられる。しかしこの場合は、単なる設備増加となるために、設備コストが増加して大きな負担となってしまうという問題がある。
そこで本発明は、発電装置が発電を停止している場合であっても、無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う交直制御部を機能させ、系統電力の品質を向上させることが可能なパワーコンディショナを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、発電装置を電力系統に接続するパワーコンディショナであって、当該パワーコンディショナの全体の動作を統括する中央制御部と、電力系統の電流を検出する系統電流センサと、発電装置の直流電力を他の電圧に変換する直流変換器と、直流変換器が出力した直流電力を交流電力に変換する交直変換器と、交直変換器を制御して無効電力補償制御または高調波抑制制御の少なくとも一方を行う交直制御部と、発電装置の電流または電圧を測定する発電電力測定部と、直流変換器と前記交直変換器を接続する直流母線の電圧を維持するコンデンサと、直流母線上のコンデンサより発電装置側に配置された解列開閉部と、を備え、中央制御部は、発電電力測定部が測定した電流IFDまたは電圧VFDが所定の基準値以下となったときに、直流変換器の動作を停止して発電装置を解列させ、交直制御部は発電装置が解列している状態において動作を継続することを特徴とする。
上記構成によれば、解列開閉部が交直制御部より発電装置側にあるから、発電装置を解列させた状態でも交直制御部によって無効電力補償制御や高調波抑制制御を行うことができる。したがって、発電装置が発電を停止している場合であっても、無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う交直制御部を機能させ、系統電力の品質を向上させることができる。
直流変換器は、解列開閉部を兼ねていてもよい。すなわち、直流変圧器(DC/DCコンバータ)のスイッチング動作を停止することにより、直流母線に対して発電装置を切断してもよい。これにより開閉器を追加することなく、発電装置を解列させることができる。
上記パワーコンディショナにおいて、交直変換器は直流と交流を双方向に変換可能であって、交直制御部は発電装置が解列している状態において無効電力補償制御または高調波抑制制御に必要な電荷を電力系統の交流電力から直流電力に変換してコンデンサに供給してもよい。例えば交直変換器は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)による自励変換器とすることができる。
上記パワーコンディショナにおいて、交直制御部は、無効電力補償制御または高調波抑制制御に必要な順潮流の電流Id2と、交直変換器の有効電力−直流電圧特性に応じて、交流電力から直流電力に変換する際の交直変換器の動作点を設定してもよい。これにより、交直変換器の最適な動作点を設定することができる。
上記パワーコンディショナにおいて、中央制御部に接続される記憶部をさらに備え、記憶部には、交直制御部が発電装置の出力を逆潮流させる逆潮流プログラムと、交直制御部が交流電力を直流電力に変換する順潮流プログラムとを記憶し、中央制御部は、発電装置を解列させた際にいったん交直制御部の動作を停止し、交直制御部の制御プログラムを記憶部に記憶された順潮流プログラムに書き換えてから交直制御部を再起動させてもよい。これによりパワーコンディショナは、あたかも発電装置を連系させるための専用装置か、または無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う専用装置のように動作することができる。
上記パワーコンディショナにおいて、交直制御部の制御プログラムは、交直制御部が発電装置の出力を逆潮流させる逆潮流モードと、交直制御部が交流電力を直流電力に変換する順潮流モードを切り替え可能であって、交直制御部は、発電装置が解列している状態において、系統電流センサが検知した電力系統の電流の状態に応じて、順潮流モードとして動作を開始してもよい。これにより、単に発電装置が解列している状態では無効電力補償制御や高調波抑制制御を行わず、電力の調整が必要になってから交直制御部を機能させることができる。これにより無駄な動作を省略することができ、交直制御部による不必要な電力系統への影響を排除することができる。
本発明にかかるパワーコンディショナによれば、無効電力補償装置や高調波抑制装置、あるいは蓄電池を新たに設置することなく、発電装置が発電を停止している場合であっても無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う交直制御部を機能させ、系統電力の品質を向上させることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は実施形態にかかるパワーコンディショナの構成を説明する図である。図1に示すパワーコンディショナ100は、発電装置の例としての太陽光発電装置10を電力系統20に連系させる装置である。なお、発電装置の他の例としては、風力発電装置、ガス発電装置、燃料電池、ディーゼル発電装置等であってもよい。需要家の構内に設置された電気機器30は、電力系統20と太陽光発電装置10の双方から電力が供給される。
以下、パワーコンディショナ100の各部について説明する。中央制御部102は、パワーコンディショナ100の全体の動作を統括する。中央制御部102は、後述するモードの切り替えを行う。
太陽光発電装置10で発生した直流電圧は、直流制御部104によってPWM制御される直流変換器106によって他の電圧に変換される。太陽光発電装置10と直流変換器106の間には、太陽光発電装置10の電流IFDまたは電圧VFDを測定する発電電力測定部112が備えられている。直流制御部104はチョッパ回路であって、高速にスイッチングするIGBTとリアクトルの組み合わせによって昇圧する。
直流制御部104は、太陽電池の最大電力点追従制御(MPPT制御)を行う。図2は太陽電池のI−V特性を説明する図である。日射量によって発電量が異なるが、動作電圧が低くなっても電流値は一定になる傾向にあり、動作電圧を高くするとあるところから電流値が急落する傾向にある。電力は電流と電圧の積であるから、電流値と電圧値の積が最も高くなるような点(図中m1、m2、m3で示す最大電力点)に保つことが好ましい。そこで直流制御部104は、発電電力測定部112によって検知した電流IFDまたは電圧VFDが最大電力点になるように、最大電力点追従制御を行う。
直流変換器106によって昇圧された電力は直流母線108を流れ、交直変換器116に至る。直流母線108はコンデンサ110を介して接地されており、電流の平滑化が行われる。なおコンデンサ110の負極を接地する場合を例示したが,コンデンサ110の負極を接地せずに浮かせてもよい。
交直変換器116は、交直制御部114によってPWM制御され、直流変換器106が出力した直流電力を交流電力に変換する。図3は交直変換器116の例を示す図である。図3に示すように、交直変換器116はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とGTO(ゲートターンオフサイリスタ)からなる自励変換器とすることができ、任意の周波数および位相で直流を交流電力に変換することができる。
交直制御部114は、交直変換器116のGTOのスイッチングのタイミングを調整することによって、直流電力と交流電力を双方向に変換可能であり、また有効電力、無効電力、直流電圧を制御する。なお、交直変換器116の起動停止や潮流反転の指令などの制御は、中央制御部102によって行われる。本実施形態において交直制御部114は、力率制御(有効電力制御および無効電力補償制御)、および高調波抑制制御の両方を行うものとする。ただし本発明はこれに限定するものではなく、いずれか一方のみを制御してもよい。
保護継電器120は、過電圧防止継電器(OVR)、不足電圧防止継電器(UVR)、周波数低下防止継電器(UFR)、周波数上昇防止継電器(OFR)、逆電力防止継電器(RPR)などを含んでいる。保護継電器120は、連系する系統の種類(低圧・高圧・特高など)によって設置する種類が定められている。保護継電器120は、電力系統の電流を検出する系統電流センサ124(CT)と、電力系統の電圧を検出する系統電圧センサ126(VT)によって検出した電流値および電圧値によって電力系統の状態を判断する。保護継電器120から中央制御部102に異常信号が送信されると、中央制御部102は開閉器122を制御してパワーコンディショナ100を電力系統20から強制的に解列させる。また他の保護回路としては、停電時の単独運転検出回路が設けられている(図示せず)。
なお、需要家の電気機器30は、分電盤内のNFB(No Fuse Breaker)を介して負荷側に接続されている。換言すれば、系統電圧センサ126および系統電流センサ124は、電気機器30よりも電力系統20側に接続されている。これにより、電気機器30から出力される高調波や無効電力を適切に検知し、これに基づいて交直制御部114が力率制御(有効電力制御および無効電力補償制御)、および高調波抑制制御を適切に行うことができる。
ここで本実施形態では、中央制御部102は、発電電力測定部112によって検知した太陽光発電装置10が発電した電力の電流IFDまたは電圧VFDを所定の基準値IFDrefまたはVFDrefと比較し、電流IFDまたは電圧VFDが基準値以下となったときに、有効な発電量がないとして、直流変換器106の動作を停止する。図2に、IFDrefおよびVFDrefの例を示す。ここで、電流IFDと電圧VFDの基準値との比較は、いずれか一方を行えばよい。IFDrefおよびVFDrefの値は任意に定めることができるが、図2に示すようにある程度低くなったら止めてしまってもよいし、0(ゼロ)近傍に設定してもよい。
直流変換器106の動作を停止すると、直流変換器106はPWM制御しなければ電流を通さないため、太陽光発電装置10は直流母線から切断され、電力系統20から解列する。すなわち、直流変換器106は直流母線108上のコンデンサ110より太陽光発電装置10側に配置された解列開閉部として機能する。
しかし中央制御部102は、直流変換器106の動作を停止した後も(太陽光発電装置10が解列している状態においても)、交直制御部114の動作を継続する。このように、解列開閉部(直流変換器106)が交直制御部114より太陽光発電装置10側にあるから、太陽光発電装置10を解列させた状態でも交直制御部114によって力率制御や高調波抑制制御を行うことができる。したがって、太陽光発電装置10が発電を停止している場合であっても、力率制御や高調波抑制制御を行う交直制御部114を機能させ、系統電力の品質を向上させることができる。
なお、直流変換器106の動作を停止する代わりに、またはこれに加えて、太陽光発電装置10を直流母線108から切断する開閉器を備えてもよい。具体的には、直流母線108上のコンデンサ110より太陽光発電装置10側に開閉器を設け、中央制御部102によって制御可能としてもよい(不図示)。これにより、より確実に太陽光発電装置10を切断することができる。ただし直流変換器106の動作を停止すれば開閉器としては十分であり、これにより開閉器を追加することなく、発電装置を解列させることができる。
次に、太陽光発電装置10を解列している状態における交直制御部114の動作について説明する。図4は発電装置解列時の動作を説明する図であって、図1と対比して参照されたい。
図1において交直制御部114は、力率制御として有効電力制御および無効電力補償制御を行い、また有効電力と無効電力の両方の高調波抑制制御を行っている。この場合、交直制御部114および交直変換器116は有効電力の変換制御を主目的としているのであって、力率制御や高調波抑制制御は付加機能である。
しかし図4に示す状態では、有効電力の変換を行わないで、無効電力の変換制御のみを行う。この場合において、直流母線108側には電源は不要であるが、交直変換器116の動作を行うための電圧源および電流源は必要である。ここで交直変換器116は直流と交流を双方向に変換可能であるから、交直制御部114は無効電力補償制御または高調波抑制制御に必要な電荷を電力系統20の交流電力から直流電力に変換してコンデンサ110に供給する。
すなわち交直制御部114は、太陽光発電装置10が発電している場合には、交直変換器116によって直流電力を交流電力に変換して逆潮流させると共に、有効電力および無効電力の両方について力率制御(無効電力補償制御)および高調波抑制制御を行う(逆潮流モード)。一方、太陽光発電装置10が発電していない場合には、無効電力についてのみ無効電力補償制御および高調波抑制制御を行い、IGBTのスイッチングロスなどの供給のため、若干の電力を交流電力から直流電力に変換する(順潮流モード)。
このように交直制御部114は2種類の動作を行うため、それぞれに制御プログラムが必要である。そこで中央制御部102に接続された記憶部130には、太陽光発電装置10の出力を逆潮流させる逆潮流モードを実施するための逆潮流プログラムと、交流電力を直流電力に変換する順潮流モードを実施するための順潮流プログラムが記憶されている。中央制御部102は直流変換器106によって太陽光発電装置10を解列させた際に、いったん交直制御部114の動作を停止する。そして交直制御部114のROMに記憶されている制御プログラムを、記憶部130に記憶された順潮流プログラムに書き換えてから、交直制御部114を再起動させる。また太陽光発電装置10が発電を開始した場合には、いったん交直制御部114の動作を停止し、制御プログラムを逆潮流プログラムに書き換えてから、交直制御部114を再起動させる。
これによりパワーコンディショナ100は、あたかも発電装置を連系させるための専用装置か、または無効電力補償制御や高調波抑制制御を行う専用装置のように動作することができる。特に組込みCPUは、不足の電源断や動作停止、フリーズ時などに、自動的にリセットする機能を有している。そのような場合には、単機能の制御プログラムとしていることで確実に動作することが可能となる。また制御プログラムのサイズを小さくすることができるため、小容量のROMに収容することができる。
なお、上記例に限らず、1つの制御プログラムで2つの動作モードを実施可能としてもよい。すなわち、交直制御部114の制御プログラムを逆潮流モードと順潮流モードを切り替え可能としてもよい。この場合において交直制御部114は、発電装置が解列したことを切替のトリガーとしてもよいが、系統電流センサ124が検知した電力系統の電流の状態に応じて順潮流モードを開始してもよい。すなわち、系統電流センサ124によって検知した電流の状態が無効電力補償制御を必要としない高品質なものである場合には無効電力補償制御や高調波抑制制御を行わず、電力の調整が必要になってから交直制御部を機能させることができる。これにより、単に発電装置が解列している状態での無駄な動作を省略することができ、交直制御部114による不必要な電力系統への影響を排除することができる。
ここで、交直変換器116の動作点(動作電圧および動作電流の値)について説明する。まず太陽光発電装置10が発電を行っている場合において、直流母線108には直流変換器106から有効電力が注入され(直流電力は全て有効電力である)、交直変換器116から有効電力が注出される。この入出力のバランスが取れていないと、直流母線108に接続されたコンデンサ110の電圧が変動し、過電圧や不足電圧を生じてしまう。そこで本実施形態では、電圧マージン方式を用いて協調制御を行う。
図5は交直変換器116の動作点を説明する図であって、図3に示した交直変換器116の回路図と合わせて参照されたい。図5(a)は交直変換器116の有効電力−直流電圧特性を示す。この特性は、指定された有効電力の範囲では直流定電圧特性を有し、有効電力の下限側で直流電圧が無限大に発散し、有効電力の上限側で直流電圧は無限小に発散するものと考える。そして直流変換器106から交直変換器116方向に電流を逆潮流させるとき、直流母線108の直流電圧Vdが交直変換器116の直流電圧設定値より高くなるように設定する。交直変換器116の電圧は電力系統20の電圧によって決定されるため、直流変換器106によってVdがこれよりも所定量高くなるように設定する。そして図5(a)に示すように、電圧Vdと交直変換器116の特性の下限の交点が交直変換器116の動作点となる。
次に、太陽光発電装置10が解列している状態について説明する。コンデンサ110には、無効電力補償制御および高調波抑制制御に必要な電圧を維持するために、交直変換器116から交流が直流に変換されて注入される。原則として有効電力は消費されないため、図5(b)に示すように直流母線の電圧Vd2は交直変換器116の直流電圧設定値と等しくなる。そして無効電力補償制御に必要な順潮流の電流Id2(交直変換器116によってコンデンサ110に供給すべき電流)は、無効電力の補償量によって決定される。したがって、順潮流の電流Id2と交直変換器116の直流電圧設定値とによって、交流電力から直流電力に変換する際の交直変換器116の動作点を決定することができる。このように、交直変換器116の動作点を設定することにより、最適な動作点を設定することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、発電装置を電力系統に接続するパワーコンディショナとして利用することができる。
10…太陽光発電装置、20…電力系統、30…電気機器、100…パワーコンディショナ、102…中央制御部、104…直流制御部、106…直流変換器、108…直流母線、110…コンデンサ、112…発電電力測定部、114…交直制御部、116…交直変換器、120…保護継電器、122…開閉器、124…系統電流センサ、126…系統電圧センサ、130…記憶部
Claims (6)
- 発電装置を電力系統に接続するパワーコンディショナであって、
当該パワーコンディショナの全体の動作を統括する中央制御部と、
電力系統の電流を検出する系統電流センサと、
前記発電装置の直流電力を他の電圧に変換する直流変換器と、
前記直流変換器が出力した直流電力を交流電力に変換する交直変換器と、
前記交直変換器を制御して無効電力補償制御または高調波抑制制御の少なくとも一方を行う交直制御部と、
前記発電装置の電流または電圧を測定する発電電力測定部と、
前記直流変換器と前記交直変換器を接続する直流母線の電圧を維持するコンデンサと、
前記直流母線上の前記コンデンサより前記発電装置側に配置された解列開閉部と、
を備え、
前記中央制御部は、前記発電電力測定部が測定した電流IFDまたは電圧VFDが所定の基準値以下となったときに、前記直流変換器の動作を停止して前記発電装置を解列させ、
前記交直制御部は前記発電装置が解列している状態において動作を継続することを特徴とするパワーコンディショナ。 - 前記直流変換器は、前記解列開閉部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
- 前記交直変換器は直流と交流を双方向に変換可能であって、
前記交直制御部は前記発電装置が解列している状態において無効電力補償制御または高調波抑制制御に必要な電荷を電力系統の交流電力から直流電力に変換して前記コンデンサに供給することを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。 - 前記交直制御部は、前記無効電力補償制御または高調波抑制制御に必要な順潮流の電流Id2と、交直変換器の有効電力−直流電圧特性に応じて、交流電力から直流電力に変換する際の前記交直変換器の動作点を設定することを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
- 前記中央制御部に接続される記憶部をさらに備え、
前記記憶部には、前記交直制御部が前記発電装置の出力を逆潮流させる逆潮流プログラムと、前記交直制御部が交流電力を直流電力に変換する順潮流プログラムとを記憶し、
前記中央制御部は、前記発電装置を解列させた際にいったん交直制御部の動作を停止し、交直制御部の制御プログラムを前記記憶部に記憶された順潮流プログラムに書き換えてから前記交直制御部を再起動させることを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナ。 - 前記交直制御部の制御プログラムは、該交直制御部が前記発電装置の出力を逆潮流させる逆潮流モードと、該交直制御部が交流電力を直流電力に変換する順潮流モードを切り替え可能であって、
前記交直制御部は、前記発電装置が解列している状態において、前記系統電流センサが検知した電力系統の電流の状態に応じて、順潮流モードとして動作することを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナ。
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