以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
本実施形態に係る電力変換装置を、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電力変換装置200を含む電力変換システムの回路図である。本実施形態に係る電力変換装置200は、電源から入力される電力を変換し、変換された電力を負荷に供給する。電力変換装置は、例えば、車両に搭載される充電システムに用いられる。なお、以下の説明では、電源を太陽電池とし、負荷を二次電池とした上で、実施形態を説明する。電源は、太陽電池に限らず他の電源であってもよい。負荷は二次電池に限らず、エアコンなどの装置であってもよい。また、電力変換装置は、必ずしも車両に搭載される必要はなく、車両以外の他の装置に搭載されてもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る電力変換システムは、複数の電源1、2、負荷3及び電力変換装置200を備えている。電源1、2は太陽電池である。電源1、2は太陽電池であるため、電源1、2の出力可能電力(発電電力)は、電池1、2に当たる光の強さ(日照量)によって異なる。電源1及び電源2は、一対の電源ラインにより、電力変換装置200の入力側にそれぞれ接続されている。すなわち、電源1と電力変換装置200の入力との間を接続する電源ラインと、電源2と電力変換装置の入力との間を接続する電源ラインは、それぞれ独立している。そのため、電源1は、電源2の出力可能電力に依存することなく、電源1の出力可能電力を出力できる。電源2は、電源1の出力可能電力に依存することなく、電源2の出力可能電力を出力できる。
ここで、本実施形態とは異なり、電源1と電源2が直列に接続されている場合について説明する。例えば、電池1の一部が陰になることで、電源1に当たる光の強さが、電源2に当たる光の強さより小さくなった場合には、電源1の出力可能電力は、電源2の出力可能電力よりも小さくなる。太陽電池の特性として、出力可能電力が小さくなるほど、電源1、2の出力電圧は低くなる。出力可能電力の高い電源2は、出力可能電力の低い電源1に直列に接続されているため、電源2の出力電流は、電源1の出力電流に抑えられてしまう。ゆえに、電源1、2全体の出力可能電力は大幅に低下する。一方、本実施形態は、電源1と電源2とを直列に接続することなく、電源1と電源2を別々の電源ラインで電力変換装置に接続しているため、電源1と電源2は、互いに依存することなく、それぞれ出力可能電力を出力できる。
負荷3は、バッテリ等の負荷である。電力変換装置200は、電源1、2を高出力電力となる動作点で動作するように電源1、2を制御しつつ、1回の昇圧機能をもったDCDC変換装置である。
電力変換装置200は、1次側回路10及び2次側回路30を備えている。1次側回路10はDCDC変換回路(DCDCコンバータ)の1次側の回路であり、2次側回路30はDCDCコンバータの2次側の回路である。1次側回路10は、電源1、2から入力される直流を交流に変換する。そして、1次側回路10と2次側回路30との間には、トランスが設けられることで、1次側回路10と2次側回路の間は絶縁されている。また、このトランスが昇圧機能を発揮する。2次側回路30は、昇圧された交流を直流に整流し、負荷3に供給する。1次側回路10のうち、DCAC変換回路が、後述する1次側変換回路11〜14に相当し、2次側回路30のうちACDC変換回路が、後述する2次側変換回路61〜64に相当する。
1次側の回路構成を説明する。1次側回路10は、1次側変換回路11〜14、1次巻線15〜18、入力ポート19、20及び平滑コンデンサ21、22を備えている。
1次側変換回路11〜14は、スイッチング素子S1〜S4をフルブリッジ状に接続したフルブリッジ回路であり、電源1、2から入力される直流の入力電圧を交流電圧に変換する。スイッチング素子S1〜S4において、トランジスタの導通方向と還流ダイオードの導通方向が互いに逆向きになるように、トランジスタと還流ダイオードは並列にそれぞれ接続されている。トランジスタには、IGBT、MOSFET等が用いられる。還流ダイオードは、整流素子又はMOSFETの寄生ダイオードである。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2は、一対の電源ライン間で直列に接続され、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4は、同じ電源ラインの間で直列に接続されている。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の直列回路は、スイッチング動作により電源1、2の直流電圧を交流電圧に変換し、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2との間の接続点O1から交流電圧を出力する。同様に、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4との間の直列回路は、スイッチング動作により電源1、2の直流電圧を交流電圧に変換し、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続点O2から交流電圧を出力する。すなわち、接続点O1は一方の交流電圧の出力端子であり、接続点O2は他方の交流電圧の出力端子である。
1次側変換回路11の入力は電源1に並列に接続されている。1次側変換回路11の出力は1次巻線15に接続されている。1次側変換回路12の入力は電源1に並列に接続されている。1次側変換回路12の出力は1次巻線16に接続されている。すなわち、複数の1次側変換回路11、12が同じ電源1に対して並列に接続されている。
1次側変換回路13の入力は電源2に並列に接続されている。1次側変換回路13の出力は1次巻線17に接続されている。1次側変換回路13の入力は電源2に並列に接続されている。1次側変換回路13の出力は1次巻線18に接続されている。すなわち、複数の1次側変換回路13、14が同じ電源2に対して並列に接続されている。また複数の1次側変換回路11、12と複数の1次側変換回路13、14の間は、直接接続されていない。
1次巻線15〜18は、変圧器の1次側のコイルである。1次巻線15、16は、電源1の出力可能電力を2次側に供給するためのコイルであって、電源1及び1次側変換回路11、12に対応している。また、1次巻線17、18は、電源2の出力可能電力を2次側に供給するためのコイルであって、電源1及び1次側変換回路13、14に対応している。1次巻線15の一端は、1次側変換回路11の出力端子(接続点Q1)に接続されており、1次巻線15の他端は、1次側変換回路11の出力端子(接続点Q2)に接続されている。1次巻線16の一端は、1次側変換回路12の出力端子(接続点Q1)に接続されており、1次巻線16の他端は、1次側変換回路12の出力端子(接続点Q2)に接続されている。
1次巻線17と1次側変換回路13との間の接続、及び、1次巻線18と1次側変換回路14との間の接続は、1次巻線15と1次側変換回路11との接続と同じあるため、説明を省略する。
入力ポート19は、電源1を1次側回路10に接続するための端子である。入力ポート20は、電源2を1次側回路10に接続するための端子である。入力ポート19は、一対の端子19а、19bを有しており、端子19а電源1の正極側に接続され、端子19b電源1の負極側に接続されている。入力ポート20は、入力ポート19と同様に、正極用の端子20аと負極用の端子20bを有している。端子19b及び端子20bは共通のグランドに接続されている。これにより、1次側変換回路11〜14の各基準電位は共通電位となり、入力ポート19、20の各基準電位も共通電位となっている。
入力ポート19に接続された一対の電源ライン(正極側ライン及び負極側ライン)は、1次側変換回路11、12の入力側で分岐し、分岐された各ラインが1次側変換回路11と1次側変換回路12にそれぞれ接続されている。入力ポート20に接続された一対の電源ラインも同様に分岐しつつ、1次側変換回路13、14に接続されている。
平滑コンデンサ21、22は、電源1、2から入力される電圧を平滑する。平滑コンデンサ21は電源1に並列に接続され、平滑コンデンサ22は電源2に並列に接続されている。
2次側の回路構成を説明する。2次側回路30は、2次巻線31〜34、整流器35〜38、LCフィルタ39〜42、バイパス回路43〜46、出力ポート47〜50及び電流遮断素子71を備えている。なお、2次側回路30のうち、整流器35及びLCフィルタ39が2次側変換回路61に相当し、整流器36及びLCフィルタ40が2次側変換回路62に相当し、整流器37及びLCフィルタ41が2次側変換回路63に相当し、整流器38及びLCフィルタ42が2次側変換回路64に相当する。また、2次側変換回路61は1次側変換回路11と対応しており、2次側変換回路62は1次側変換回路12と対応しており、2次側変換回路63は1次側変換回路13と対応しており、2次側変換回路64は1次側変換回路14と対応している。
2次巻線31〜34は、変圧器の2次側のコイルである。2次巻線31は、1次巻線15と磁気的に結合している。2次巻線31〜34の巻線比は、1次巻線15〜18の巻線比よりも多い。2次巻線31は、2つの巻線31а、31bを直列に接続した回路で形成されている。巻線31аの一端及び巻線31bの一端は、整流器35に含まれる各ダイオードのアノードにそれぞれ接続されている。巻線31аと巻線31bの他端同士が接続されており、他端同士の接続点はLCフィルタ39の負極側に接続されている。
2次巻線32は1次巻線16と磁気的に結合し、2次巻線33は1次巻線17と磁気的に結合し、2次巻線34は1次巻線18と磁気的に結合している。2次巻線32は2つの巻線32а、32bを有し、2次巻線33は2つの巻線33а、33bを有し、2次巻線34は2つの巻線34а、34bを有する。
整流器35は、2次巻線31により励磁された交流電圧を直流電圧に整流する回路であって、ダイオードブリッジで構成されている。整流器35は、センタータップ型のダイオード整流器である。整流器35は2次巻線31とLCフィルタ39との間に接続されている。整流器36は2次巻線32により励磁された交流電圧を整流し、整流器37は2次巻線33により励磁された交流電圧を整流し、整流器38は2次巻線34により励磁された交流電圧を整流する。整流器36〜38は、整流器35と同様に、ダイオードブリッジで構成されている。なお、整流器36〜38の回路構成はダイオードフルブリッジやカレントダブラ方式でもよく、ダイオードと並列に動機整流スイッチを備えていてもよい。
LCフィルタ39は、コイル39а及びコンデンサ39bを接続したフィルタ回路である。コイル39аは正極側のラインに直列に接続されている。コンデンサ39bは、端子47а、47bに接続された一対の電源ライン間に接続されている。LCフィルタ39は、整流器35とバイパス回路43との間に接続されている。LCフィルタ40はコイル40а及びコンデンサ40bを有しており、LCフィルタ41はコイル41а及びコンデンサ41bを有しており、LCフィルタ42はコイル42а及びコンデンサ42bを有している。LCフィルタ40〜42の回路構成は、LCフィルタ41と同様である。
バイパス回路43は、端子47аと端子47bとの間をバイパスする。バイパス回路43は、リレースイッチで構成されている。なお、バイパス回路43は、半導体素子を用いた双方向スイッチでもよい。バイパス回路43は、コンデンサ39bに並列に接続され、LCフィルタ39と出力ポート47との間に接続されている。リレースイッチがオフ状態になることで、バイパス回路43は遮断された状態となる。バイパス回路43は、2次側変換回路61を介して2次巻線31の両端をバイパスしているため、バイパス回路43が遮断状態になった場合には、2次側変換回路61で変換された電圧が出力ポート47から出力される。すなわち、バイパス回路43が遮断状態になっている場合に、出力ポート47から出力は、電源1の電力に寄与した電力となる。一方、リレースイッチがオン状態になることで、バイパス回路43は導通された状態となった場合には、2次側変換回路61で変換された電圧が出力ポート47から出力されない。
バイパス回路44は、端子48аと端子48bとの間をバイパスする。バイパス回路45は、端子49аと端子49bとの間をバイパスする。バイパス回路46は、端子50аと端子50bとの間をバイパスする。バイパス回路44〜46の各回路構成及び各回路動作は、バイパス回路43と同様である。
2次巻線32と2次側変換回路62とバイパス回路44と出力ポート48とを接続する回路構成、2次巻線33と2次側変換回路63とバイパス回路45と出力ポート49とを接続する回路構成、及び、2次巻線34と2次側変換回路64とバイパス回路46と出力ポート50とを接続する回路構成は、2次巻線31と2次側変換回路61とバイパス回路43と出力ポート47とを接続する回路構成と同様である。
出力ポート47、出力ポート48、出力ポート49及び出力ポート40は直列に接続されている。端子47bと端子48аが配線で接続されており、端子48bと端子49аが配線で接続されており、端子49bと端子50аが配線で接続されている。端子47аは、高電位側の電源ラインで負荷3に接続されており、端子50bは低電位側の電源ラインで負荷に接続されている。出力ポート47〜50の各端子のうち、端子47а、50b以外の端子は、負荷3に直接接続されていない。
出力ポート47は、2次巻線31、バイパス回路43及び2次側変換回路61に対応している。出力ポート48は2次巻線32、バイパス回路44及び2次側変換回路62に対応し、出力ポート49は2次巻線33、バイパス回路45及び2次側変換回路63に対応し、出力ポート50は2次巻線34、バイパス回路46及び2次側変換回路64に対応している。
電流遮断素子71は、端子50bと負荷3の負極との間に接続されている。電流遮断素子71は、電力変換装置200と負荷3との間の電気的な導通状態と遮断状態を切り換えるためのスイッチである。電流遮断素子71は、出力ポート47〜50のうち低電位側の端子に接続されており、負荷3に直列に接続されている。
コントローラ100は、1次側変換回路11〜14に含まれる各スイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を制御する。コントローラ100は、バイパス回路43〜46に含まれるスイッチのオン、オフを切り替え、電流遮断素子71のオン、オフを切り替える。
ここで、電源1、2に使用される太陽電池の特性を、図2を用いて説明する。図2は、太陽電池の電圧、電流特性を示す。点線は、出力可能電力を最大とする動作点の特性を示す。太陽電池の出力可能電力は、太陽電池に当たる光の強さによって変化し、光の強さが強いほど、出力可能電力は大きくなる。また、太陽電池の電圧が低くなるほど出力可能電流が増加し、太陽電池の電圧が高くなるほど出力可能電流は減少する。このような特性により、太陽電池には、出力電力を最大値とするための動作点が存在する。例えば、光の強さが所定値のときに、太陽電池の電流電圧特性が、図2のグラフAに示す特性になるとする。このとき、最大電力を出力する動作点(最大動作点)は点Amとなり、太陽電池の出力電圧及び出力電流が動作点Amとなるように、電源1、2の動作点を変化させることで、電源1、2の出力電力は最大となる。
本実施形態において、1次側回路10は、電源1、2から入力される電流及び電圧に応じて、電源1、2の動作点を最大電力点とする最大動作点追従機能(MPPT)を有している。1次側回路10は、MPPTで電源1、2を動作するために、交流電圧の時比率(デューティ比)を変化させている。1次側回路10は、交流電圧の時比率(デューティ比)を変化するために、スイッチング素子S1〜S4のフルブリッジのコンバータで構成された1次側変換回路11〜14を備えており、ハーフブリッジのスイッチング素子S1、S2のスイッチング動作と、ハーフブリッジのスイッチング素子S3、S4のスイッチング動作をずらしている。
次に、1次側変換回路11の回路動作を含めて、電力変換装置200の回路動作を説明する。電力変換装置200は、直列接続された出力ポート47〜50のポート数と対応するように、DCDCコンバータを有している。図1の例では、電力変換装置200は4つのDCDCコンバータを有している。図3は、4つのDCDCコンバータのうち、1段目のDCDCコンバータの回路構成を示している。なお、以下の説明において、1段目のDCDCコンバータは、入力ポート19と出力ポート47との間の電力変換回路に相当し、2段目のDCDCコンバータは、入力ポート19と出力ポート48との間の電力変換回路に相当する。また、3段目のDCDCコンバータは、入力ポート20と出力ポート49との間の電力変換回路に相当し、4段目のDCDCコンバータは、入力ポート20と出力ポート50との間の電力変換回路に相当する。
図4は、図3の回路における電流、電圧特性を示すグラフである。図4において、縦軸(V、I)は電圧及び電流の大きさを示し、横軸(t)は時間を示す。なお、2段目から4段目までのDCDCコンバータの回路動作は、以下に説明する1段目のDCDCコンバータの回路動作と同様であるため、説明を省略する。
電源1から1次側変換回路11に入力される入力電流及び入力電圧をそれぞれIin及びVinとする。一定の強さの光が電源1に当たっている場合に、入力電流Iin及び入力電圧Vinは、1次側変換回路11の回路動作によって、出力可能電力付近の動作点の電圧及び電流となるように推移する。
コントローラ100は、入力電流Iin及び入力電圧Vinを、動作点に相当する電流及び電圧とするために、スイッチング素子S1、S2のハーブリッジのスイッチング信号Sw1と、スイッチング素子S3、S4のハーブリッジのスイッチング信号Sw2を生成する。スイッチング信号Sw1は、一方のハーフブリッジ(スイッチング素子S1、S2のハーブリッジ)で方形波形の交流電圧を生成するための信号である。また、スイッチング信号Sw2は、他方のハーフブリッジ(スイッチング素子S3、S4のハーブリッジ)で方形波形の交流電圧を生成するための信号である。
図4において、Vx1は1次巻線15に入力される電圧(1次側変換回路11の出力電圧)を示し、Ix1は1次巻線15に入力される電流(1次側変換回路11の出力電流)を示す。また、電圧(Vx1)を示したグラフのうち、正側の方形波が、スイッチング素子S1、S2のハーブリッジの出力電圧を示し、負側の方形波が、スイッチング素子S3、S4のハーブリッジの出力電圧を示す。
入力電圧Vinは、スイッチング信号Sw1とスイッチング信号Sw2との間の位相差(図4に示す「フェーズシフト量」に相当)に依存する。電池1に当たる光の条件が変わると、動作点が変化するために、入力電圧(Vx1)と入力電流(Ix1)との積である入力電力が変化する。コントローラ100は、電源1の動作点が最大電力点に追従するように、位相差を演算し、位相差に応じたスイッチング信号Sw1、Sw2を生成する。例えば、入力電圧(Vx1)を高める場合には、位相差をより大きくして、スイッチング信号Sw1-Sw2がゼロとなる時間を短くする。これにより、コントローラ100は、電源1が動作点で動作するように、スイッチング素子S1、S2のハーブリッジの出力電圧(交流電圧)とスイッチング素子S3、S4のハーブリッジの出力電圧(交流電圧)との位相差を調整することで、電源1の出力電力を電源1の出力可能電力とする制御(以下、MPPT制御とも称す)を実行する。
スイッチング信号Sw1とスイッチング信号Sw2との間で位相差をもたせて、1次側変換回路11が動作すると、スイッチング素子S1、S2のハーブリッジの出力電圧とスイッチング素子S3、S4のハーブリッジの出力電圧は、位相差をもった交流電圧となり1次巻線15に印可される。1次巻線15に印可される電圧波形は、各ハーブリッジの出力電圧を合成した波形となり、図4に示すように交流電圧(Vx1)となる。
1次側変換回路11の出力電圧が1次巻線15に印可されると、1次巻線15に接続された漏れインダクタンスと1次巻線15への入力電圧により、1次巻線15の電流(Ix1)が上昇する。漏れインダクタンスは、1次巻線15と等価的に直列接続されるインダクタンスに相当する。なお、図3では漏れインダクタンスを図示していない。
1次巻線15の電流(Ix1)は、時間t1から時間t2までの期間に、漏れインダクタンスと入力電圧(Vx1)により上昇する。電流(Ix1)が1次巻線15に流れると、変圧器の2次側である2次巻線31には誘導電流が流れる。誘導電流の大きさは、電流(Ix1)の大きさと変圧器の変圧比(1:n)により決まる。
時間t2で、1次巻線15の電流(Ix1)に対応する2次側巻き線31の電流(Ix2)がコイル39аに流れる電流(Irec)に到達すると、1次側巻き線の電流(Ix1)の変化量が小さくなる。図4において、電流(Ix1)の変化量は、Ix1で示されるグラフの傾きで表される。2次巻線31に電流が流れると、電流は、整流器35に流れつつLCフィルタ39のコイル39аに流れる。LCフィルタ39のコイル39аは、整流器35の出力電圧(Vrec)とLCフィルタ39の出力電圧(Vout)との差分で励磁される。コイル39аの電流(Irec)は、時間t2から時間t3までの期間で、コイル39аの励磁により増加する。時間t2から時間t3までの電流の変化量は、電圧(Vrec)と電圧(Vout)との差分をコイル39のインダクタンス(Lrec)で割った関係式((Vrec−Vout)/Lrec)により決まる。そして、コイル39аが励磁している期間(励磁時間:図4の時間t2から時間t3までの期間)が、整流器35が電圧(Vrec)を出力している期間となる。
整流器35の出力から出力ポート47までの回路は、降圧コンバータと同様の動作をする。励磁時間中には、整流器35の電流(Irec)がコイル39аを流れ、コンデンサ39bが充電され、出力電流(Iout)が流れる。励磁時間の経過後の期間(図4の時間t3から時間t4までの期間)には、コイル39аの励磁により蓄積された磁気エネルギーが、LCフィルタ39の出力側に放出され、出力電流(Iout)が流れる。これにより、2次側変換回路61は図4に示す電流(Iout)を出力する。2次側変換回路61の出力電圧(Vout)の大きさは、励磁時間の長さに比例しており、励磁時間が長いほど出力電圧(Vout)は大きくなる。
図5を用いて、位相差、励磁時間、整流器35の出力(Vref、Iref)及び2次側変換回路61の出力電圧(Vout)について説明する。図5は、整流器35の出力(Vref、Iref)の特性を示すグラフである。コントローラ100は、電源1を所定の動作点で制御するために、各ハーフブリッジのスイッチング信号の位相差(ΔP1)を演算し、演算された位相差(ΔP1)に基づき1次側変換回路11を動作させる。
ここで、1次側変換回路11が、位相差をもつスイッチング信号に基づき動作した場合に、励磁時間は、図5に示す時間(T1)となり、整流器35の出力(Vref、Iref)は図5に示す出力(Vref1、Iref1)となったとする。そして、整流器35がVref1、Iref1を出力している状態から、電源1の動作点が変わり、電源1の出力可能電力が大きくなったとする。コントローラ100は、電源1から1次側変換回路11に入力される電圧(Vin)を高めるために、フェーズシフト量をΔP1からΔP2に大きくし、1次側変換回路11への入力電圧及び入力電流(Vx1、Ix1)を高める。フェーズシフト量が増加すると、励磁時間がT1からT2に長くなる。また、1次側変換回路11の出力(Vx1、Ix1)が大きくなるため、整流器35の出力電流はIref1からIref2に大きくなり、整流器35の出力電圧はVref1からVref2に大きくなる。そして、LCフィルタ39のコンデンサ39bは、励磁時間T2(>T1)の間、電流Iref2(>Iref1)で充電されるため、2次側変換回路61の出力電圧(Vout)は大きくなる。
これにより、本実施形態において、コントローラ100は、電源1の出力可能電力が動作点に相当する電力になるように位相差(フェーズシフト量)を制御することで、MPPT制御を実行する。
次に、負荷3に対して電圧を出力する際に、2次側変換回路61〜64に割り当てられる出力電圧について、図1及び図3を用いて説明する。
図1に示すように、電力変換装置200の入力側は、入力ポート19、20を介して、互いに独立した電源1、2にそれぞれ接続されている。そして、電源1、2の各動作点が光の当たり具合によって異なる場合もある。そのため、1次側から2次側に供給される電流は、電力変換装置200に含まれるDCDCコンバータ毎で異なっている。
電力変換装置200の出力では、出力ポート47〜50を直列に接続している。2次側回路30の出力電圧は、2次側変換回路61〜64の各出力電圧の合計電圧となり、2次側回路30の出力電流は2次側変換回路61〜64の各出力電流と共通する。そのため、例えば1段目の2次側変換回路61の出力電圧が低下した場合に、2次側回路30の出力電圧を維持するためには、2段目から4段目までの2次側変換回路62〜64の出力電圧を大きくしなければならない。
1段目の2次側変換回路61において、整流器35の出力電圧(Vref)がLCフィルタ39の出力電圧(Vout)より大きい場合を、一例に挙げた上で、2次側変換回路61〜64の出力バランスについて説明する。本実施形態とは異なり、1段目の2次側変換回路61が、他の2次側変換回路62〜64の出力に依存することなく、独立したコンバータであれば、整流器35の出力電圧(Vref)が大きくなると、LCフィルタ39の出力電流(Iout)は大きくなる。本実施形態では、1段目の2次側変換回路61の出力電流は、2段目から4段目までの2次側変換回路62〜64の出力電流と共通している。そのため、2段目から4段目までの2次側変換回路62〜64の出力電流が1段目の2次側変換回路61の出力電流に追従できなければ、1段目の2次側変換回路61の出力電圧(Vout)が大きくなる。
1段目の2次側変換回路61において、整流器35の出力電流(Iref)は、上記のとおり(Vrec−Vout)/Lrecで変化するため、LCフィルタ39のコイル39аの励磁電圧によって決まる。励磁電圧は、整流器35の出力電圧(Vrec)とLCフィルタ39の出力電圧(Vout)との差分である。すなわち、出力電圧(Vout)が大きくなると、励磁電圧(Vrec−Vout)は小さくなるため、1段目の2次側変換回路61の出力電流(Iout)は小さくなる。これにより、2段目から4段目までの2次側変換回路62〜64の出力電流が1段目の2次側変換回路61の出力電流に追従できるようになる。その結果として、コントローラ100がMPPT制御を行えば、2次側変換回路61〜64に出力電圧が、電源1、2の状態に応じて、適切な出力電圧に割り当てられる。
なお、上記の回路動作において、1段目の2次側変換回路61の出力電流が増加することで、2段目から4段目までの2次側変換回路62〜64の出力電流が不足した場合には、2次側変換回路62〜64の出力側に接続されているコンデンサ40b、41b、42bが放電することで、不足分の電流が補われ、2次側変換回路62〜64の出力電流が1段目の2次側変換回路61の出力電流に追随してもよい。このような場合に、コンデンサ40b、41b、42bの放電によって、2次側変換回路62〜64の出力電圧が低下すると、LCフィルタ40〜42のコイル40a、41a、42aの励磁電圧(Vrec−Vout)が大きくなるため、整流器35の出力電流(Irex)が増加する。そのため、2次側変換回路62〜64の出力電圧(Vout)は、コンデンサ40b、41b、42bの放電による電圧低下が抑制され、2次側変換回路62〜64の出力電圧(Vout)が大きくなる。これにより、本実施形態では、コンデンサ39b、40b、41b、42bの放電により、出力電流(Iout)の低下を抑制しつつ、整流器35〜36の出力電圧(Vrec)、コイル39a、40a、41a、42aの励磁電圧(Vrec−Vout)及び2次側変換回路61〜64の出力電圧(Vout)の電圧バランスを保つことができる。このとき、コントローラ100によるDCDCコンバータの制御は、1次側回路10に対するMPPT制御だけであり、2次側回路20に対する制御は含まれない。すなわち、コントローラ100がMPPT制御を行えば、2次側回路61〜64における各種電圧、電流のバランスが保たれる。
1段目の2次側変換回路61において、整流器35の出力電圧(Vref)がLCフィルタ39の出力電圧(Vout)より小さい場合を、一例に挙げた上で、2次側変換回路61〜64の出力バランスについて説明する。LCフィルタ39の入力電圧(Vref)が出力電圧(Vout)より小さい場合には、1次巻線15から2次巻線31に供給される電流は流れない。一方、2次側変換回路61〜64の出力電流は共通の電流であるため、2次側変換回路61に含まれるコンデンサ39bが放電し、電流を出力する。コンデンサ39bが放電すると、2次側変換回路61の出力電圧(Vout)が低くなる。出力電圧(Vref)が出力電圧(Vout)より大きくなると、LCフィルタ39のコイル39аが励磁できる状態となるため、1次巻線15から2次巻線31に電流を供給可能な状態となる。ゆえに、MPPT制御の下、1次側変換回路61を動作することができ、電源1は動作点で動作できる。
上記のように、1次側回路10の入力側の電源1、2の出力可能電力が小さい場合には、出力可能電力の小さい電源1、2に対応する2次側変換回路61〜64の出力電圧は低下する。また、1次側回路10の入力側の電源1、2の出力可能電力が大きい場合には、出力可能電力の大きい電源1、2に対応する2次側変換回路61〜64の出力電圧は上昇する。また、コントローラ100がMPPT制御を行えば、2次側変換回路61〜64に出力電圧が、電源1、2の状態に応じて、適切な出力電圧に割り当てられる。
次に、コントローラ100による動作回路の切り換え制御と、コントローラ100による導通回路の切り替え制御を説明する。コントローラ100は、電力変換回路の昇圧比に応じて、複数の1次側変換回路11〜14のうち、動作する回路と、動作しない回路を切り換える。また、コントローラ100は、電力変換回路の昇圧比に応じて、複数のバイパス回路43〜46のうち、導通する回路と遮断する回路を切り換える。
電力変換装置200は、複数の1次側変換回路11〜14のうち動作回路を切り換えることで、1次側から2次側への電圧の供給を制御する。例えば、電源1に接続された2つの1次側変換回路11、12のうち、1次側変換回路11を動作して、1次側変換回路12を動作しないように制御する。具体的には、コントローラ100は、1次側変換回路11に含まれるスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を行い、1次側変換回路12に含まれるスイッチング素子S1〜S4をオフ状態で維持する。1次側変換回路11は動作回路として動作するため、電源1の出力電圧は1段目のDCDCコンバータを介して昇圧される。一方、1次側変換回路12は動作回路として動作しないため、電源1の出力電圧は2段目のDCDCコンバータを介して昇圧されない。そして、2段目のDCDCコンバータが停止している分、全体の昇圧比は、1段目のDCDCコンバータ及び2段目のDCDCコンバータを動作させた時の全体の昇圧比よりも小さくなる。電源1を昇圧させる際の全体の昇圧比は、電源1の出力電圧と、端子47aから端子48bの間の出力電圧との比に相当する。コントローラ100は、電源2に接続された3段目のDCDCコンバータ及び4段目のDCDCコンバータも、全体の昇圧比に応じて、複数の2次側変換回路13、14の動作回路を切り換える。
また、動作させる1次側変換回路11〜14と対応して接続されているバイパス回路43〜46は遮断状態となる。動作させない1次側変換回路11〜14と対応して接続されているバイパス回路43〜46は導通状態となる。コントローラ100は、バイパス回路43〜46に含まれるスイッチをオフ状態にすることで、バイパス回路43〜46を遮断状態とする。また、コントローラ100は、バイパス回路43〜46に含まれるスイッチをオン状態にすることで、バイパス回路43〜46を導通状態とする。バイパス回路43〜46が遮断状態である場合には、出力ポート47〜50は、DCDCコンバータで昇圧された電圧を出力する。一方、バイパス回路43〜46が導通状態である場合には、出力ポート47〜50の各端子間は短絡する。
本実施形態において、電力変換装置200が負荷3に電圧を出力するためには、2次側回路30の出力電圧が負荷3の電圧よりも高くならなければならない。電源1、2の出力可能電力が低い場合には電源1、2の出力電圧は低くなり、2次側回路30の出力電圧を高めるためには、DCDCコンバータの昇圧比を高くしなければならない。
本実施形態では、出力ポート47〜50は直列に接続されており、各出力ポート47〜50に対して、複数のDCDCコンバータの出力が接続されている。電力変換装置200の全体の昇圧比を高めて、2次側回路30の出力電圧を高めるためには、電源1、2の電圧を複数のDCDCコンバータでそれぞれ昇圧し、昇圧された電圧を、2次側変換回路61〜64からそれぞれ出力すればよい。一方、電力変換装置200の全体の昇圧比が低くてもよい場合には、電源1、2の電圧を複数のDCDCコンバータでそれぞれ昇圧しなくてもよい。
DCDCコンバータの特性として昇圧比が高くなると電力変換装置200の効率は低下する。そのため、1次側変換回路11〜14を動作させる際には、昇圧比の高い状態でDCDCコンバータが動作することを避けつつ、2次側回路30の出力電圧が負荷3の電圧よりも高くなればよい。
電源1の出力可能電力が高い場合には、DCDCコンバータの全体の昇圧比は低くてもよいため、コントローラ100は、1次側変換回路11及び1次側変換回路12のいずれか一方の回路を動作させて、他方の回路を動作させない。またコントローラ100は、動作された1次側変換回路11、12に対応するバイパス回路43、44を遮断状態とし、動作されない1次側変換回路11、12に対応するバイパス回路43、44を導通状態とする。
電源1の出力可能電力が低い場合には、DCDCコンバータ全体の昇圧比を高くするために、コントローラ100は、1次側変換回路11及び1次側変換回路12を両方動作させる。またコントローラ100は、動作された1次側変換回路11、12に対応するバイパス回路43、44を遮断状態とする。
電源1の動作点と電源2の動作点は異なるため、コントローラ100は、電源1の出力可能電力に応じて、1次側変換回路11、12の動作回路の切り替え、及び、1次側変換回路13、14の動作回路の切り替えをそれぞれ制御する。
図6は、図1に示した電力変換システムの回路図に対して、電源1、2の電流電圧特性、整流器35〜38の出力電圧(Vrec)特性及び2次側変換回路の出力電流(Iout)特性を示すグラフを加えている。Vin1及びIin1は電源2から入力される入力電圧及び入力電流を示し、Vin2及びIin2は電源1から入力される入力電圧及び入力電流を示す。なお、図6において、一点鎖線で囲んだ回路は、1次側変換回路11〜14のうち動作していない回路を示している。図6の例では、1次側変換回路12が動作していない。なお、図6において、コントローラ100の図示を省略している。
例えば、電源1の出力可能電力が低く、電源2の出力可能電力が高い場合には、コントローラ100は、1次側変換回路11を動作させ、1次側変換回路12くどうさせず、1次側変換回路13及び1次側変換回路14を動作させる。すなわち、昇圧比が低くてもよい場合には、1段目及び2段目のDCDCコンバータのうち、2段目のDCDCコンバータの動作を停止することで、損失を抑制できる。また、高い昇圧比が要求される場合には、3段目及び4段目のDCDCコンバータをそれぞれ動作させて、出力電圧を高める。これにより、損失を抑制しつつ、全体の昇圧比を高めることができる。
コントローラ100は、複数のDCDCコンバータに対して要求される各昇圧比に応じて、上記のような1次側変換回路11〜14の動作回路の切り換えを行う。コントローラ100は、電源1、2の動作点に対応する出力可能電圧を演算する。コントローラ100は、負荷に対して要求される出力電圧と、演算された出力可能電圧から全体の昇圧比を演算する。コントローラ100は、2次側回路30の出力電圧が負荷の電圧よりも高くなるように、全体の昇圧比と複数のDCDCコンバータの損失に応じて、電源1の出力電圧に対する第1昇圧比、及び、電源2の出力電圧に対する第2昇圧比を演算する。コントローラ100は、第1昇圧比と所定の閾値とを比較し、第2昇圧比と所定の閾値とを比較する。所定の閾値は、DCDCコンバータの損失に応じて決まる閾値であって、各電源1、2に接続されたコンバータのうち、どれだけの数のコンバータを動作させることで効率がよくなるかを表している。そして、第1昇圧比が所定の閾値より高い場合には、コントローラ100は、1次側変換回路11及び1次側変換回路12のうち、いずれか一方の変換回路を動作回路として選択し、他方の変換回路を動作回路して選択しない。一方、第1昇圧比が所定の閾値以下である場合には、コントローラ100は、1次側変換回路11及び1次側変換回路12の両回路を動作回路として選択する。コントローラは、1次側変換回路13、14についても、第2昇圧比と所定の閾値との比較結果に応じて、動作させる変換回路と動作させない変換回路を選択する。また、コントローラ100は、動作される1次側変換回路11〜14に対応するバイパス回路43〜46を遮断状態とし、動作されない1次側変換回路11〜14に対応するバイパス回路43〜46を導通状態とする。これにより、電力変換装置200の損失を抑制しつつ、全体の昇圧比を高めることができる。
また電源1、2の出力可能電力が高く、かつ、負荷3の電圧が低い状態で、DCDCコンバータの入力と出力との間の電圧差が大きい場合には、DCDCDCコンバータの降圧比が高くなる。降圧比が高くなると、フェーズシフト量(スイッチング信号のデューティ比)が低くなり、フルブリッジを還流する電流が大きくなる。そのため、電力変換装置200の効率が低下する。本実施形態では、DCDCDCコンバータの降圧動作を行う場合にも、コントローラ100は、上記と同様に、全体の損失が低くなるように、1次側変換回路11〜14の中で、動作させる回路を切り換えつつ、バイパス回路43〜47の導通、遮断を切り換える。言い換えると、コントローラは、4段のDCDCコンバータのうち、動作させるDCDCコンバータの数、停止させるDCDCコンバータの数を制御する。これにより、DCDCコンバータを降圧動作する際も、フルブリッジを還流する電流量を抑え、損失を抑制できる。すなわち、本実施形態は、電力変換装置200の損失を抑制しつつ、入力電圧に対する出力電圧の電圧範囲を広げることができる。
次に、電流遮断素子71の制御について説明する。電源1、2の出力可能電力の合計値が、電力変換装置の全体の消費電力よりも小さい場合には、コントローラ100は、電流遮断素子71をオフ状態にする。また、コントローラ100は、電流遮断素子71をオフ状態にしつつ1次側変換回路11〜14に含まれるスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を停止することで、1次側から2次側への電力供給を禁止する。
また、電源1、2の出力可能電力の合計値が電力変換装置の全体の消費電力より大きく、かつ、電源1、2の電力に基づき2次側回路30の出力可能電圧が負荷3の電圧より低い場合には、コントローラ100は、以下のような制御で、コンデンサ39b、40b、41b、42bを充電してもよい。コントローラ100は、電流遮断素子71をオフ状態にし、1次側変換回路11〜14に含まれるスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を行う。
上記のように、本実施形態において、電力変換装置200は、入力ポート19、20を有する1次側回路と、複数の出力ポート47〜50、及び、複数の出力ポート47〜50に対応して接続された複数の2次側変換回路61〜64を有する2次側回路とを備えている。1次側回路10と2次側回路30の間は絶縁されている。1次側回路10は、電源1、2から入力される入力電流及び電源1、2から入力される入力電圧に応じて前記電源の動作点を制御することで、電源1、2の入力電力を増加させる。複数の出力ポート47〜50は直列に接続されている。電源1,2が所定の動作点で動作するときに、電源1,2の入力電力は、複数の2次側変換回路61〜64にそれぞれ出力される。これにより、損失を抑制しつつ電力変換を行うことができる。また、入力ポート19,20に接続される電源1、2の電力を高めつつ、昇圧比を高めることができる。
ところで、本実施形態に係るシステムは、太陽電池発電システムのように、出力可能な電力が変動する電源の電力を負荷供給するシステムに適用される。このようなシステムでは電源電圧を昇圧して負荷電圧に供給するが、その昇圧比が高くなると電力変換装置の効率が悪化する。
そのため、コンバータの昇圧比を抑制する方法として、複数の電源を直列接続して、複数の電源を昇圧比の低い電力変換装置に接続する方法が考えられる。例えば家庭用の太陽光発電システムでは多数の太陽光発電セルを直列に接続している。
しかしながら、複数の電源を直列接続すると、全ての電源の電流が共通となる。例えば太陽光発電システムの場合に、直列接続される太陽光発電セルの一部に影がかかり、影にあるセルが供給可能な電流が低下した場合は、他のセルに電力供給能力があったとしても、電源が直列に接続されているため、他のセルは、影のあるセルの電流しか流せないため、出力可能なエネルギーが大幅に減少するという課題がある。
このような課題を解決するための方法として、例えば特許文献(特表2011−522313)では、電力変換回路を分散させ、直列接続される電源数を削減する。そして、各々の電力変換回路に接続される電源群の発電電力を最大化するよう制御し、それらの出力を直列に接続して高い昇圧比を得ながら、発電エネルギーを増加させるというシステムが知られている。しかしながら、直列接続される電力変換回路が非絶縁型であるため、回路電位を複数生成する電源が必要であるだけでなく、電源群の基準電圧が高電圧化するという課題があった。また、制御が複雑になるという課題があった。
本実施形態では、1次側回路と2次側回路との間を絶縁しているため、1次側動作回路の基準電位の数を抑制しつつ、基準電位の低電位かを実現できる。また、複数のDCDCコンバータの回路構成がシンプルで、1次側の変換回路を制御することでDCDCコンバータの全体を制御することができる。
また本実施形態において、出力ポート47〜50は、一対の端子47a〜50a、47b〜50bを有し、一対の端子47a〜50a、47b〜50bにコンデンサ39b〜42bを接続する。これにより、電源1、2の出力が短時間低下した場合に、電力変換装置200は一定の出力を維持できる。
また本実施形態において、2次側回路30は、一対の端子47a〜50a、47b〜50b間をバイパスするバイパス回路43〜46を有する。これにより、ある電源1,2からの入力電力が小さい場合に、出力ポート47〜50を短絡させることで、電流が流れる回路素子数を減少させることができる。その結果として、DCDCコンバータのおける抵抗損失が減少するため、効率を高めることができる。
また本実施形態において、コントローラ100は、昇圧比に応じて、複数のバイパス回路43〜46の中で導通回路として導通する回路を切り換える。これにより、電源電圧と負荷電圧に適した昇圧比に調整することができ、電力変換回路の出力範囲を広げることができる。
また本実施形態において、コントローラ100は、電源1、2から入力される最大入力電力に応じて、バイパス回路43〜46の導通回路を切り換える。これにより、電源1、2の出力可能電力に適した昇圧比に調整することができ、電力変換回路の出力範囲を広げることができる。
また本実施形態において、コントローラ100は、複数の出力ポート47〜50から負荷3に出力される電圧が負荷3の出力電圧より高くなるように、バイパス回路43〜46の導通回路を切り換える。これにより、負荷電圧に適した昇圧比に調整することができ、電力変換回路の出力範囲を広げることができる。
また本実施形態において、1次側回路10は1次巻線15〜18を有し、2次側回路30は、複数の2次巻線31〜34を有し、複数の2次巻線31〜34は、複数の2次側変換回路61〜64に対応して接続されており、複数のバイパス回路43〜46は、2次巻線31〜34の両端の端子間に接続されたスイッチをそれぞれ有し、コントローラ100は、複数のバイパス回路のうち、導通回路に含まれるスイッチをオン状態にし、導通回路に含まれないスイッチをオフ状態にする。これにより、損失を抑制しつつ、昇圧比の設定範囲を広げることができる。また少ないスイッチによって、DCDCコンバータの出力を切り替えることができるため、回路を小型化できる。
また本実施形態において、1次側回路10は、電源1、2に並列に接続された複数の1次側変換回路11〜14を有する。コントローラ100は、複数の1次側変換回路11〜14の中で動作回路として動作する回路を、昇圧比に応じて切り換える。これにより、損失を抑制しつつ、昇圧比の設定範囲を広げることができる。また、1次側回路の制御のみで、動作させるDCDCコンバータを切り替えられるため、制御を容易にできる。
また本実施形態において、コントローラ100は、複数の出力ポート47〜50から負荷3に出力される電圧が負荷3の出力電圧より高くなるように、1次側変換回路11〜14を動作させる回路を切り換える。これにより、負荷電圧に適した昇圧比に調整することができ、電力変換装置200の出力範囲を広げることができる。
また本実施形態において、電源1、2から入力される最大入力電力に応じて、1次側変換回路11〜14を動作させる回路を切り換える。これにより、電源1、2の出力可能電力に適した昇圧比に調整することができ、電力変換装置200の出力範囲を広げることができる。
また本実施形態において、コントローラ100は、記複数の1次側変換回路11〜14に含まれる複数のスイッチング素子S1〜S4のうち、動作回路に含まれるスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を実行し、動作回路の含まれないスイッチング素子S1〜S4をオフ状態にする。これにより、損失を抑制しつつ、昇圧比の設定範囲を広げることができる。また、通常用いられる制御信号によって動作回路の切り替えが可能となるため、制御信号線を削減できる。
また本実施形態において、1次側変換回路11〜14は、第1交流電圧を出力する第1出力端子(スイッチング素子S1とスイッチング素子S2との接続点に相当)と第2交流電圧を出力する第2出力端子(スイッチング素子S3とスイッチング素子S4との接続点に相当)とを有し、電源1、2の入力電圧を第1交流電圧に変換し、電源1、2の入力電圧を第2交流電圧に変換し、第1出力端子と第2出力端子は同一の1次巻線15、16、17、18に接続されており、第1交流電圧の位相と第2交流電圧の位相が異なる。これにより、変圧器にかかる電圧に偏りが生じないため、変圧器の発熱を抑えることができる。その結果として、変圧器を小型化できる。
また本実施形態において、コントローラ100は、電源1、2の動作点が電源1、2から入力される最大入力電力となるように、第1交流電圧と第2交流電圧との間の位相差を制御する。これにより、位相差のみを制御することで電源1、2の入力電力を最大化できるため、コントローラ100における演算負荷が低減できる。
また本実施形態において、1次側回路10に含まれる複数の入力ポートは19,20は、複数の電源1、2に対応してそれぞれ接続されており、複数の入力ポート19、20の基準電位は共通電位である。これにより、動作回路でとなる1次側変換回路11〜14の電源電位を共通にできるため、1次側変換回路11〜14を小型化できる。
また本実施形態において、コントローラ100は、電源1,2の出力可能電力が1次側回路10の動作電力より低い場合には、1次側回路10から2次側回路30への電力供給を禁止する。これにより、電力変換装置200を含むシステムの全体の効率を向上させることができる。
また本実施形態において、2次側回路30は、整流素子及び受動素子により構成されている。これにより、2次側は動作回路で構成する必要がないため、回路の小型化を実現できる。
また本実施形態において、電力変換装置は、複数の出力ポート47〜50から負荷3に流れる電流を遮断する電流遮断素子71を備え、電流遮断素子71は複数の出力ポート47〜50に直列に接続されている。これにより、1つのスイッチのオンオフの切り換えにより、負荷3への電力伝送を停止できるため、メンテナンス性を向上できる。
複数の出力ポート47〜50から負荷3に出力される電圧が、負荷3の出力電圧より低い場合に、電流遮断素子71はオフになる。これにより、電力変換装置の出力電圧が負荷電圧より小さくなった場合に、電力の逆流を防ぐことができる。各出力ポートの電圧の分担比が均一化することを防止できる。
また本実施形態では、電流遮断素子71は、複数の出力ポート47〜50のうち最も電位の低い出力ポート50に接続されている。これにより、安全性を高めることができる。
なお、本実施形態において、出力ポート47〜50に、静電容量素子としてコンデンサを接続したが、電気二重層キャパシタ等を接続してもよい。
《第2実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置200のうち、電源1と出力ポート47、48との間の回路図を示す。本例では上述した第1実施形態に対して、1次側回路10の構成が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
図7に示すように、1次側回路の10に含まれる1次巻線15は、2つの2次巻線31、32を磁気的に結合されている。1次巻線15と2次巻線31との巻線比は1:n(nは1より大きい整数)であり、1次巻線15と2次巻線32との巻線比は1:n(nは1より大きい整数)である。2次巻線31は2次側変換回路61を介して出力ポート47に接続されており、2次巻線32は2次側変換回路62を介して出力ポート47に接続されている。
電流が1次巻線15に流れた場合に、誘導電流は、2次巻線31及び2次巻線32にそれぞれ流れる。そして、2次巻線31に流れる誘導電流によって発生する電圧、及び、2次巻線32に流れる誘導電流によって発生する電圧は、1次巻線15の電圧に対して、それぞれn倍、昇圧された電圧である。そして、2次巻線31の交流電圧は2次側変換回路61に供給され、2次巻線32の交流電圧は2次側変換回路62に供給される。そして、2次側変換回路61及び2次側変換回路62で変換された電圧が、直列接続された出力ポート47、48により合算される。
これにより、電源1が動作点で動作するときの入力電力が、複数の2次側変換回路61、62にそれぞれ出力される。これにより、損失を抑制しつつ電力変換を行うことができる。また、入力ポート19に接続される電源1の電力を高めつつ、昇圧比を高めることができる。
なお、図7に示す回路構成は、電源1に接続されるDCDCコンバータに限らず、電源2に接続されるDCDCコンバータに用いてもよい。