(本開示の基礎となった知見等)
発明者が本開示に想到するに至った当時、再生可能エネルギーを利用した分散型電源の普及拡大が求められていた。その中で、電力会社間の高圧送電網における電力融通は補強がなされていた。一方、低圧線路については、通信およびAI技術を用いて発電および負荷電力を制御して需給バランスを図るという試みがなされていた。低圧線路については、バーチャルパワープラント(VPP)についても検討がなされていた。このように、現状の送配電インフラを継続して利活用する技術開発が想定されていた。
しかしながら、特定の低圧系統に集中して分散型電源を設置した場合、連系した分散型電源の出力によって系統混雑が発生し、系統電圧が局所的に上昇し得る。この問題は、通信およびAI技術を通じた電力融通により緩和されるとも思われる。しかしながら、そのような電力融通には限界がある。そのため、再生可能エネルギーの出力抑制機能が動作することで分散型電源の出力が抑制され、発電電力を取り出せず、エネルギーを有効活用できないという事態が生じ得る。
以上の事情に鑑み、本発明者らは、エネルギーシステムと商用電源との間の協調性およびエネルギーシステムにおける電気的な安定性を確保しつつ、エネルギーシステムの発電電力を有効活用するのに適した技術を検討した。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1から図6を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.エネルギーシステムの構成]
図1において、エネルギーシステム1は、発電装置2と、系統連系インバータ4と、水素製造装置6と、を備える。発電装置2と、系統連系インバータ4と、水素製造装置6とは、中間接続点5を介して互いに接続されている。
エネルギーシステム1は、中間接続点5の電圧を制御しながら、エネルギーシステム1が関与する電力の流れを制御できるように構成されている。具体的に、中間接続点5の電圧を制御するのに発電装置2のDCDCコンバータ2Bを利用するのか系統連系インバータ4を利用するのかを切り替えることができるようになっている。
発電装置2は、太陽電池2AおよびDCDCコンバータ2Bを含む。系統連系インバータ4は、直流電力を交流電力に変換して商用電源3へ出力する。水素製造装置6は、エネルギー媒体変換装置の一具体例である。
エネルギーシステム1は、制御装置7を備える。制御装置7は、第1制御部7Aと、第2制御部7Bと、第3制御部7Cと、を含む。
第1制御部7Aは、水素製造装置6を運転または停止させる。第2制御部7Bは、系統連系インバータ4の制御モードおよび/またはDCDCコンバータ2Bの制御モードを切り替える。第3制御部7Cは、エネルギーシステム1の状態および商用電源3の状態に応じて、系統連系インバータ4の制御モードを、第2制御部7Bよりも優先的に切り替える。
エネルギーシステム1は、中間電圧検出器10と、直流電流検出器11と、を備える。中間電圧検出器10は、中間接続点5の電圧を検出する。直流電流検出器11は、DCDCコンバータ2Bから中間接続点5への出力電流を検出する。これらの検出器10および11の検出値は、発電装置2の発電電力を検出するのに用いられる。
エネルギーシステム1は、系統電圧検出器12を備える。系統電圧検出器12は、商用電源3の電圧を検出する。系統電圧検出器12は、第3制御部7Cに接続されている。
[1-1-2.DCDCコンバータ2Bの構成]
次に、図2を用いてDCDCコンバータ2Bの構成について説明する。図に示すように、DCDCコンバータ2Bには、太陽電池2Aからの直流電力が入力される。DCDCコンバータ2Bから中間接続点5に直流電力が出力される。
DCDCコンバータ2Bは、入力コンデンサ13と、インダクタ14と、スイッチング素子15と、整流素子16と、出力コンデンサ17と、太陽電池電圧検出器19と、太陽電池電流検出器20と、を含む。太陽電池2Aから中間接続点5に向かって順に、入力コンデンサ13と、インダクタ14と、スイッチング素子15と、整流素子16と、出力コンデンサ17とが接続されている。
入力コンデンサ13は、DCDCコンバータ2Bの入力部に配置されている。出力コンデンサ17は、DCDCコンバータ2Bの出力部に配置されている。これらのコンデンサ13および17は、太陽電池2Aの正側端子に接続された接続線Aと、太陽電池2Aの負側端子に接続された接続線Bと、の線間に接続されている。接続線Aでは、入力コンデンサ13から出力コンデンサ17に向かって順に、インダクタ14および整流素子16が直列に接続されている。接続線Aにおけるインダクタ14および整流素子16の間の部分と、接続線Bと、の線間に、スイッチング素子15が接続されている。スイッチング素子15がオンとなることによって、接続線Aと接続線Bとが短絡し得る。後述の説明において、この短絡を、線間短絡と称することがある。
入力コンデンサ13は、DCDCコンバータ2Bへの入力電圧のリプルを低減する。スイッチング素子15は、スイッチングを行う。整流素子16は、中間接続点5側から太陽電池2A側へと電流が逆流するのを防止する。出力コンデンサ17は、DCDCコンバータ2Bからの出力電圧を平滑化する。太陽電池電圧検出器19は、DCDCコンバータ2Bへの入力電圧を検出する。太陽電池電流検出器20は、DCDCコンバータ2Bへの入力電流を検出する。太陽電池電圧検出器19の検出値は、実質的に、太陽電池2Aの出力電圧と同じである。太陽電池電流検出器20の検出値は、実質的に、太陽電池2Aの出力電流と同じである。そのため、太陽電池電圧検出器19および太陽電池電流検出器20は、太陽電池2Aの状態を検出できる。
厳密には、図2の例では、太陽電池電流検出器20は、インダクタ14を流れる電流を検出する。入力コンデンサ13を流れる電流を考慮すると、太陽電池2Aが出力する電流と、インダクタ14を流れる電流との間には、入力コンデンサ13を流れる電流に基づく誤差がある。しかしながら、入力コンデンサ13を流れる電流は十分に小さいため、この誤差は十分に小さく、太陽電池電流検出器20の検出値は太陽電池2Aの出力電流とみなすことができる。ただし、太陽電池電流検出器20の検出値に入力コンデンサ13を流れる電流を加算する補償を行い、この補償により得られた値を太陽電池電流検出器20の検出値と扱ってもよい。
図2の例では、スイッチング素子15は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。ただし、スイッチング素子15は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子等の他の種類のスイッチング素子であってもよい。
本実施の形態では、太陽電池2AとDCDCコンバータ2Bとの接続は、接続箱において、整流素子およびブレーカ等を介して行われている。この接続は、公知技術に倣って行うことができるため、その詳細な説明は割愛する。
[1-1-3.系統連系インバータ4の構成]
次に、図3を用いて系統連系インバータ4の構成について説明する。図に示すように、系統連系インバータ4は、コンデンサ21と、単相インバータ23と、連系リアクトル24と、交流電流検出器25と、フィルタコンデンサ26と、連系リレー27と、フィルタ回路28と、連系制御部29と、を含む。
コンデンサ21は、発電装置2から入力された直流電力を平滑化する。コンデンサ21の電圧は、図1および2に示す中間電圧検出器10により検出され得る。単相インバータ23は、直流電力を交流電力に変換する。また、単相インバータ23は、交流電力を直流電力に変換する。交流電流検出器25は、連系リアクトル24を流れる電流を検出する。
本実施の形態では、系統連系インバータ4は、単相の商用電源3に連系している。ただし、系統連系インバータは、3相インバータを構成していてもよく、3相交流電源に連系するものであってもよい。
[1-1-4.水素製造装置6の構成]
次に、図4を用いて水素製造装置6の構成について説明する。図に示すように、水素製造装置6は、水素製造制御部30と、水供給部31と、水電解部32と、水素蓄積部33と、水素供給部34と、酸素取出し部35と、を含む。
水素製造制御部30には、中間接続点5からの直流電力と、第1制御部7Aからの指令と、が入力される。この指令は、運転指令または停止指令であり得る。水素製造制御部30は、水素製造制御部30に供給された電力を、水電解部32に供給する。水供給部31は、水供給部31に供給された水を、水電解部32に供給する。水電解部32は、水電解部32に供給された電力を用いて水電解部32に供給された水を電気分解することによって、水素と酸素を生成する。水素蓄積部33は、水電解部32で生成された水素を蓄積する。水素供給部34は、水素蓄積部33に蓄積された水素を適した圧力で供給先に供給する。酸素取出し部35は、水電解部32からの酸素を取り出す。
水供給部31は、例えば、バルブまたはポンプである。水素蓄積部33は、例えば、タンクである。このタンクは、SCV(Steel Containment Vessel)であってもよい。水素供給部34は、例えば、バルブまたは圧縮機である。酸素取出し部35は、例えば、バルブである。水供給部31、水素供給部34および酸素取出し部35を構成するバルブは、導管バルブであり得る。本実施の形態では、水供給部31、水素供給部34および酸素取出し部35は、バルブである。
本実施の形態では、水素製造装置6は、水の電気分解によって水素を生成する。ただし、水素製造装置は、ガスを改質することによって水素を生成するものであってもよく、他の形態で水素を生成するものであってもよい。
[1-2.動作]
以上のように構成されたエネルギーシステム1について、その動作を以下説明する。
[1-2-1.DCDCコンバータ2Bの動作]
DCDCコンバータ2Bは、チョッパ回路を構成している。具体的には、このチョッパ回路は、昇圧チョッパ回路である。また、このチョッパ回路は、1石チョッパ回路である。ここで、1石チョッパ回路は、スイッチング素子の数が1つであるチョッパ回路を指す。
スイッチング素子15は、オン動作を行うことによって、線間短絡を行う。これに伴い、インダクタ14が充電される。スイッチング素子15は、オフ動作を行うことによって、線間短絡を解除する。これに伴い、インダクタ14から整流素子16を介して出力コンデンサ17側へと電流が流れる。このようにして、DCDCコンバータ2Bにおいて、電圧の昇圧が行われる。
この電圧の昇圧が行われているときに、チョッパ制御部18は、太陽電池電圧検出器19と太陽電池電流検出器20によって、太陽電池2Aの出力電力を演算する。具体的に、太陽電池電圧検出器19と太陽電池電流検出器20はDCDCコンバータ2Bの内部に設けられており、そのため、この電力演算は該内部の検出値を用いてなされることになる。そして、演算される電力が最大となるように、スイッチング素子15のデューティが制御される。なお、デューティは、スイッチング素子のオン期間とオフ期間の合計期間に対するオン期間の比率である。こうして、太陽電池2Aの最大電力追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御が実行される。ただし、DCDCコンバータ2Bの制御モードには、MPPT制御を行うモードの他、後述の定電圧制御を行うモードもある。
DCDCコンバータ2Bの電圧変換により得られた直流電力は、中間接続点5へと出力される。中間電圧検出器10は、中間接続点5の電圧Vpnを検出する。検出された電圧Vpnに基づいて、DCDCコンバータ2Bの制御モードが変更される。中間電圧Vpnに応じた制御モードの遷移の詳細については、後述する。以下、電圧Vpnを、中間電圧Vpnと称することがある。
[1-2-2.系統連系インバータ4の動作]
系統連系インバータ4の制御モードは、中間電圧Vpnの検出値および商用電源3の電圧Voutの検出値に基づいて切り替わる。具体的に、系統連系インバータ4の制御モードは、定電圧制御モードと、定電力制御モードと、を含む。定電圧制御モードにおいて、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。定電力制御モードにおいて、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行される。
定電圧制御では、中間電圧Vpnが一定に制御される。定電力制御では、商用電源3への出力電力Poutが一定に制御される。本実施の形態では、出力電力Poutは、系統連系インバータ4から出力される有効電力を指す。何れの制御においても、連系制御部29が単相インバータ23をPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、商用電源3に正弦波電流が出力される。ただし、この出力に反映される指令値は、制御モードによって異なる。
以下、図5の制御ブロック図を用いて連系制御部29が行う制御について説明する。図に示すように、連系制御部29は、減算器41と、比例積分制御器42と、減算器43と、比例積分制御器44と、入力選択器45と、リミット回路46と、減算器47と、比例積分制御器48と、除算器49と、搬送波生成器50と、コンパレータ51と、ノット回路52と、ドライブ回路53Aと、ドライブ回路53Bと、ドライブ回路53Cと、ドライブ回路53Dと、を含む。
以下では、比例積分制御を、PI制御と称することがある。上記のとおり、中間電圧Vpnは、中間接続点5の電圧である。出力電圧Voutは、商用電源3への出力電圧である。出力電流Ioutは、商用電源3への出力電流である。出力電力Poutは、商用電源3への出力電力である。出力電圧Vout、出力電流Ioutの検出値および指令値は、振幅である。
系統連系インバータ4の制御モードが定電圧制御モードである場合、系統連系インバータ4の各要素は、以下のように動作する。減算器41は、中間電圧Vpnの検出値Vpn_tから中間電圧Vpnの指令値Vpn_refを差し引いた差分を演算する。PI制御器42は、この差分を入力とするPI制御により、出力電流Ioutの指令値Iout_refを出力する。リミット回路46は、この指令値Iout_refに制限をかけた値を出力する。具体的には、リミット回路46は、指令値Iout_refが上限閾値Imax以下であれば、指令値Iout_refをそのまま出力する。一方、リミット回路46は、指令値Iout_refが上限閾値Imaxよりも大きい場合、上限閾値Imaxを出力する。上限閾値は、上限電流とも言える。減算器47は、リミット回路46の出力から出力電流Ioutの検出値Iout_tを差し引いた差分を演算する。PI制御器48は、この差分を入力とするPI制御により、出力電圧Voutの指令値Vout_refを出力する。除算器49は、出力電圧Voutの指令値Vout_refを中間電圧Vpnの検出値Vpn_tで除算することによって、変調率m_INVを演算する。搬送波生成器50は、搬送波を出力する。コンパレータ51は、変調率m_INVと搬送波を比較し、変調率m_INVが搬送波よりも大きい場合と小さい場合とで異なる信号を出力する。この信号は、ドライブ回路53Aおよび53Cにはそのまま入力され、ドライブ回路53Bおよび53Dにはノット回路52を介して入力される。ドライブ回路53A、53B、53Cおよび53Dは、それぞれ、スイッチング素子23A、23B、23Cおよび23Dに接続されている。ドライブ回路23A、23B、23Cおよび23Dは、それぞれ、自身に入力された信号に基づいて、自身に接続されているスイッチング素子23A、23B、23Cおよび23Dをオンオフ制御する。このように、コンパレータ51の出力信号は、単相インバータ23のオン信号またはオフ信号として機能すると言える。また、ノット回路52が存在するため、ドライブ回路53Aおよび53Cへの入力信号とドライブ回路53Bおよび53Dとへの入力信号とが互いに異なる。そのため、スイッチング素子23Aおよび23Cがオンであるときにスイッチング素子23Bおよび23Dがオフとなり、スイッチング素子23Aおよび23Cがオフであるときにスイッチング素子23Bおよび23Dがオンとなる。
スイッチング素子23A、23B、23Cおよび23Dは、例えば、IGBT素子である。ただし、スイッチング素子23A、23B、23Cおよび23Dは、MOSFET等の他の種類のスイッチング素子であってもよい。
系統連系インバータ4の制御モードが定電力制御モードである場合、系統連系インバータ4の各要素は、以下のように動作する。減算器43は、出力電力Poutの指令値Pout_refから出力電力Poutの検出値Pout_tを差し引いた差分を演算する。PI制御器44は、この差分を入力とするPI制御により、出力電流Ioutの指令値Iout_refを出力する。リミット回路46は、定電圧制御モードと同様、この指令値Iout_refに制限をかけた値を出力する。リミット回路46の後段の処理は、定電圧制御モードと同様である。
中間電圧Vpnの検出値Vpn_tは、中間電圧検出器10により得られる。出力電流Ioutの検出値Iout_tは、交流電流検出器25により得られる。出力電力Poutの検出値Pout_tは、検出値Iout_tと、系統電圧検出器12により検出された出力電圧Voutの検出値Vout_tと、を連系制御部29において乗じることによって得られる。
典型例では、中間電圧Vpnの検出値Vpn_t、出力電流Ioutの検出値Iout_tおよび出力電力Poutの検出値Pout_tが生成されるタイミングは、これらの値が連系制御部29における制御で用いられるタイミングと、実質的に同じである。これらの検出値Vpn_t、Iout_t、Vpn_tおよびPout_tは、現在値とみなすことができる。
厳密には、図3の例では、交流電流検出器25は、連系リアクトル24を流れる電流を検出する。フィルタコンデンサ26を流れる電流を考慮すると、商用電源3に出力される電流と、連系リアクトル24を流れる電流との間には、フィルタコンデンサ26を流れる電流に基づく誤差がある。この点については、交流電流検出器25の検出値からフィルタコンデンサ26を流れる電流を差し引く補償を行い、この補償により得られた値を出力電流Ioutの検出値Iout_tと扱うことでフィルタコンデンサ26を流れる電流分を考慮することができる。ただし、フィルタコンデンサ26を流れる電流が十分に小さい場合、この誤差は十分に小さく、交流電流検出器25の検出値は商用電源3への出力電流とみなすこととしてもよい。
系統連系インバータ4に関する定電圧制御モードと定電力制御モードの間の切り替えは、入力選択器45によって行われる。系統連系インバータ4の制御モードが、定電圧制御モードである場合、入力選択器45は、PI制御器42から出力された指令値Iout_refを、リミット回路46に与える。系統連系インバータ4の制御モードが、定電力制御モードである場合、入力選択器45は、PI制御器44から出力された指令値Iout_refを、リミット回路46に与える。
本実施の形態では、連系制御部29は、連系制御部29の外部からの指令に基づいて、系統連系インバータ4の制御モードを定電圧制御モードに設定するか定電力制御モードに設定するかを決定する。ただし、他の態様も採用され得る。一変形例では、入力選択器45は、PI制御器42から出力された指令値Iout_refと、PI制御器44から出力された指令値Iout_refとのうち、小さい方を、リミット回路46に与える。そのようにすれば、定電圧制御モードと定電力制御モードとの切り替え時においてリミット回路46に与えられる指令値Iout_refの連続性を確保できる。この変形例では、具体的には、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行されているときには、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が行われる。一方、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行されているときには、DCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御が実行されることにより中間電圧Vpnが一定に制御される。
本実施の形態では、系統連系インバータ4は、単独運転検出機能を有する。単独運転検出機能は、公知例と同様に構成され得る。系統連系インバータ4は、さらに他の公知の機能を有していてもよい。
[1-2-3.水素製造装置6および第1制御部7Aの動作]
水素製造装置6は、第1制御部7Aから運転指令を受信すると、水素の製造を開始する。水素製造装置6は、第1制御部7Aから停止指令を受信すると、水素の製造を終了する。具体的には、水素製造装置6の水素製造制御部30が、運転指令または停止指令を受信し得る。
本実施の形態では、水素製造制御部30が運転指令または停止指令を受信すると、水素製造制御部30により、水素製造装置6の他の要素が制御される。具体的には、水素製造制御部30により、水電解部32の発停と、水供給部31を構成するバルブの開閉と、水素供給部34を構成するバルブの開閉と、酸素取出し部35を構成するバルブの開閉と、が制御される。これにより、水素製造制御部30において水素が生成される。水電解部32の発停が制御されるとは、水電解部32が運転するのか停止するのかが制御されるということである。
本実施の形態では、第1制御部7Aは、発電装置2から中間接続点5へと出力される直流電力に基づいて、運転指令または停止指令を生成する。具体的には、この直流電力が相対的に大きいときに、運転指令が生成される。この直流電力が相対的に小さいときに、停止指令が生成される。この直流電力は、太陽電池電圧検出器19および太陽電池電流検出器20を用いて検出できる。この直流電力は、例えば、太陽電池電圧検出器19の検出値と太陽電池電流検出器20の検出値とを乗じることによって、演算できる。なお、上述のとおり、太陽電池電流検出器20の検出値に入力コンデンサ13を流れる電流を加算する補償を行い、この補償により得られた値を太陽電池電流検出器20の検出値と扱ってもよい。
[1-2-4.第2制御部7Bの動作]
第2制御部7Bは、系統連系インバータ4とDCDCコンバータ2Bの制御モードを切り替える。切り替えは、図6に示すテーブルに従って行われる。なお、図6では、水素製造制御部30が運転しているのか停止しているのかについても記載されている。
第2制御部7Bは、中間電圧Vpnの検出値Vpn_tが、予め定められた複数の区分のうち、どの区分にあるかを判定する。そして、第2制御部7Bは、判定結果に応じて、系統連系インバータ4とDCDCコンバータ2Bの制御モードを決定する。
第2制御部7Bの動作について、図6を用いて説明する。以下の説明では、エネルギーシステム1の状態を状態0から7に区別する。
状態0は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0以下であり、太陽電池2Aの電圧が低く、かつ、水素製造制御部30が運転している状態である。状態0において、中間電圧Vpnが閾値電圧V0に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。図6において、系統連系インバータ4の列における「Vpn(CV0)」は、このことを意味している。状態0において、DCDCコンバータ2Bは停止している。状態0において、中間接続点5から水素製造制御部30に入力される直流電力は、一定の直流電力Pout2に維持される。図6において、「CPout2」は、このことを意味している。本実施の形態では、直流電力Pout2は、水素製造制御部30の定格電力である。本実施の形態では、状態0において、水素製造制御部30の電力は、商用電源3から供給される。具体的には、リミット回路46の下限閾値を-Imaxとして中間接続点の電圧Vpnが一定値(=V0)となるように制御することによって、商用電源3から水素製造制御部30に電力が供給されることになる。下限閾値は、下限電流とも言える。下限閾値の符号が負であることは、商用電源3から系統連系インバータ4へと流れる電流が制限されることを意味する。下限閾値が-Imaxである場合、リミット回路46は、指令値Iout_refが下限閾値-Imax以上であれば、指令値Iout_refをそのまま出力する。一方、リミット回路46は、指令値Iout_refが下限閾値-Imaxよりも小さい場合、下限閾値-Imaxを出力する。
状態1は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0以下であり、太陽電池2Aの電圧が低く、かつ、水素製造制御部30が停止している状態である。状態1において、系統連系インバータ4は、停止している。状態1において、DCDCコンバータ2Bは停止している。
状態2は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0以下であり、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が運転している状態である。状態2において、中間電圧Vpnが閾値電圧V0に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。状態2において、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行される。状態2において、中間接続点5から水素製造制御部30に入力される直流電力は、一定の直流電力Pout2に維持される。
状態3は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0以下であり、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が停止している状態である。状態3において、中間電圧Vpnが閾値電圧V0に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。状態3において、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行される。
状態4は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0よりも大きく閾値電圧V1以下であり、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が運転している状態である。状態4において、中間電圧Vpnが閾値電圧V1に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。図6において、系統連系インバータ4の列における「Vpn(CV1)」は、このことを意味している。状態4において、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行される。状態4において、中間接続点5から水素製造制御部30に入力される直流電力は、一定の直流電力Pout2に維持される。
状態5は、検出値Vpn_tが閾値電圧V0よりも大きく閾値電圧V1以下であり、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が停止している状態である。状態5において、中間電圧Vpnが閾値電圧V1に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。状態5において、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行される。
状態6は、検出値Vpn_tが閾値電圧V2よりも大きく、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が運転している状態である。状態6において、系統連系インバータ4から商用電源3への出力電力Poutが一定の電力Pout1に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行される。図6において、系統連系インバータ4の列における「CPout1」は、このことを意味している。上述のとおり、本実施の形態では、出力電力Poutは、系統連系インバータ4から出力される有効電力を指す。状態6において、中間電圧Vpnが閾値電圧V2に維持されるように、DCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御が実行される。図6において、DCDCコンバータ2Bの列における「Vpn(CV2)」は、このことを意味している。状態6において、中間接続点5から水素製造制御部30に入力される直流電力は、一定の直流電力Pout2に維持される。
状態7は、検出値Vpn_tが閾値電圧V2よりも大きく、太陽電池2Aの電圧が高く、かつ、水素製造制御部30が停止している状態である。状態7において、系統連系インバータ4から商用電源3への出力電力Poutが一定の電力Pout1に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行される。状態7において、中間電圧Vpnが閾値電圧V2に維持されるように、DCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御が実行される。
状態0から3では、太陽電池2Aの電圧が低いか高いかにより、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行されるかDCDCコンバータ2Bが停止するかが決定されている。夜間など日射の殆ど無い場合に、太陽電池2Aの電圧が低くなり得る。一方、日射が十分にあるときに、太陽電池2Aの電圧が高くなり得る。
なお、太陽電池2Aの電圧が低いあるいは高いというのは、両者の状態を区別するための相対的な表現である。この文脈において、「太陽電池2Aの電圧」が具体的に何を指すかを限定して解釈するべきではない。例えば、「太陽電池2Aの電圧」は、太陽電池2Aの開放電圧とも動作電圧とも解釈され得る。例えば、開放電圧が100VであるときにDCDCコンバータ2Bが停止するような構成が採用され得る。
状態1の系統連系インバータ4の停止は、単相インバータ23のスイッチングを停止することによって実現され得る。本実施の形態では、状態1において、連系リレー27は並列状態にある。ただし、状態1において、連系リレー27は解列状態にあってもよい。
状態1では、中間接続点5からDCDCコンバータ2Bに出力される電力も、中間接続点5から水素製造制御部30に供給される電力も、ともにゼロである。そのため、系統連系インバータ4の制御によらず、系統連系インバータ4から商用電源3への出力電力はゼロであり得る。そのため、状態1において、中間電圧Vpnが閾値電圧V0に維持されるように系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行されてもよく、そのようにされても上記出力電力はゼロであり得る。この際、連系リレー27は並列状態にあってもよく、解列状態にあってもよい。
中間接続点5に入力される電力が中間接続点5から出力される電力に比べて大きい場合、中間接続点5の中間電圧Vpnは上昇する。具体的には、太陽電池2Aの発電電力が、水素製造制御部30の必要電力および系統連系インバータ4の出力電力の合計電力に比べて大きい場合、中間電圧Vpnは上昇する。中間電圧Vpnは、このような上昇により、状態6および7のように閾値電圧V2よりも大きくなり得る。その場合、上記のとおり、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行されることにより出力電力Poutが制限され、そのため中間接続点5から系統連系インバータ4に出力される電力が制限される。しかし、上記の場合、併せて、DCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御が実行される。これにより、太陽電池2Aの動作点がMPPT制御に基づく最大電力点からずれ、太陽電池2AからDCDCコンバータ2Bを介して中間接続点5に入力される電力が減少する。そのため、中間接続点5に入出力される電力のバランスがとれ、中間電圧Vpnは適切な範囲に制御され得る。
ここで、日射が大きくなっていく状況において、系統連系インバータ4およびDCDCコンバータ2Bの制御モードがどのように遷移するかについて、具体例を挙げて説明する。
夜間であり日射の殆ど無いとき、状態0および1のように、中間電圧Vpnが閾値電圧V0以下であり、かつ、太陽電池2Aの電圧が低い値であり得る。この場合、水素製造制御部30が運転していれば、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。水素製造制御部30が停止していれば、系統連系インバータ4は停止している。DCDCコンバータ2Bは停止している。
太陽が上がり始め、弱い日射があるとき、状態2および3のように、中間電圧Vpnが閾値電圧V0以下であり、かつ、太陽電池2Aの電圧が高い値であり得る。この場合、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。また、DCDCコンバータ2Bを用いて太陽電池2AのMPPT制御が実行される。しかし、太陽電池2Aの発電電力が不十分であるため、太陽電池2Aの動作点がMPPT制御に基づくV-Iカーブに従って移動せず、太陽電池2Aの出力電流がゼロから増加したとたんに出力電圧が急落する。そのため、太陽電池2Aの出力電圧の増加、出力電流のゼロからの増加、および出力電圧の急落というサイクルが繰り返されることになる。
太陽が高くまで上がり、十分な日射があるとき、状態4および5のように、中間電圧Vpnが閾値電圧V0よりも大きく、かつ、太陽電池2Aの電圧が高い値であり得る。この場合、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。また、DCDCコンバータ2Bを用いたMPPT制御により、太陽電池2Aの動作点が最大電力点に移動する。このため、MPPT制御に基づいて最大化された電力を、太陽電池2AからDCDCコンバータ2Bを介して中間接続点5に取り出すことが可能となる。
さらに太陽が高くまで上がり日射が強まると、MPPT制御により太陽電池2Aから中間接続点5に取り出される電力が中間接続点5から出力される電力よりも大きくなる場合がある。この状況では、中間電圧Vpnを閾値電圧V1に維持するための定電圧制御をしていても、中間電圧Vpnは閾値電圧V1には追従せず、上昇して閾値電圧V2よりも大きくなり得る。この場合、DCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御が実行される。これにより、太陽電池2Aの動作点がMPPT制御に基づく最大電力点からずれ、太陽電池2Aの発電電力が低下する。これにより、太陽電池2Aから中間接続点5に取り出される電力が低下し、中間接続点5の電圧が下がり、エネルギーシステム1は電気的に安定な方向に向かう。また、この場合、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行される。これにより、出力電力Poutが制限される。
以上の説明から理解されるように、中間電圧Vpnが属する区分に応じて、DCDCコンバータ2Bと中間接続点5との間の電力のやり取りと、中間接続点5と系統連系インバータ4との間の電力のやり取りと、がなされる。また、中間接続点5と水素製造制御部30との間の電力のやり取りもなされ得る。これらの電力のやり取りは、系統連系インバータ4およびDCDCコンバータ2Bの一方により中間電圧Vpnを調整するとともにこれらの他方によりその接続先の電気的状態に応じた制御を行いながら、行われる。こうして、需給バランスがとられる。なお、「これらの他方によりその接続先の電気的状態を制御し」は、具体的には、系統連系インバータ4により商用電源3へと出力される電力を制御することまたはDCDCコンバータ2Bにより太陽電池2Aから出力される電力を制御することを指す。
[1-2-5.第3制御部7Cの動作]
第3制御部7Cは、エネルギーシステム1の状態および/または系統連系インバータ4の出力先である商用電源3の状態に応じて、系統連系インバータ4の制御モードを切り替える。第3制御部7Cによる制御モードの切り替えは、第2制御部7Bよりも優先的になされる。具体的には、第3制御部7Cは、エネルギーシステム1および/または商用電源3に異常が発生した場合に、系統連系インバータ4の制御モードを切り替える。
商用電源3の電圧の過度な上昇は、商用電源3の異常に該当し得る。商用電源3の電圧の過度な低下は、商用電源3の異常に該当し得る。商用電源3の電圧位相の跳躍は、商用電源3の異常に該当し得る。商用電源3の停電は、商用電源3の異常に該当し得る。水素製造制御部30の異常は、エネルギーシステム1の異常に該当し得る。系統連系インバータ4の異常は、エネルギーシステム1の異常に該当し得る。なお、系統連系インバータ4の異常の程度によっては、系統連系インバータ4を用いた定電圧制御および定電力制御は実行可能である。また、異常の発生場所、重度等に応じて、出力先を限定して系統連系インバータ4から電力を出力することも可能である。エネルギーシステム1の単独運転は、エネルギーシステム1の異常に該当し得る。エネルギーシステム1の単独運転は、エネルギーシステム1が連系している電力系統が商用電源3と切り離された状態において、エネルギーシステム1から上記電力系統の線路負荷に有効電力を供給している状態である。これらの異常の検知の仕方は、特に限定されない。
エネルギーシステム1および/または商用電源3に異常が発生した場合、エネルギーシステム1の状態は、図6に示す状態6または7に遷移する。具体的には、この場合、水素製造制御部30が運転していれば状態6への遷移がなされ、水素製造制御部30が運転していなければ状態7への遷移がなされる。
[1-3.効果等]
本実施の形態では、発電装置2は、太陽電池2AおよびDCDCコンバータ2Bを含む。発電装置2で生成された直流電力は、系統連系インバータ4を介して、商用電源3へ出力され得る。また、発電装置2で生成された直流電力は、水素製造装置6へ供給され得る。
仮に、系統連系インバータ4と商用電源3の間の連系点Xから、水素製造装置6に電力を供給するとする。その場合、連系点Xと水素製造装置6との間に、AC-DCインバータが設けられることになる。そのため、発電装置2で生成された電力は、系統連系インバータ4で直流から交流に変換され、次にAC-DCインバータで交流から直流に変換され、その後水素製造装置6に供給されることになる。つまり、発電装置2で生成された電力が水素製造装置6に供給されるまでの間に、2回の電力変換が行われ、その分の変換ロスが生じることになる。これに対し、本実施の形態では、中間接続点5から水素製造装置6に電力を供給する。この構成によれば、上記の変換ロスを回避できる。このように、本実施の形態は、発電装置2で生成された電力が水素製造装置6に供給されるまでの間の電力ロスを抑制できる点で、有利である。
また、連系点Xから水素製造装置6に電力を供給する構成では、発電装置2で生成された電力を水素製造装置6に供給する機会が損なわれるおそれがある。具体的には、エネルギーシステム1および/または商用電源3の状況により、連系点Xの電圧は上昇し得る。これに関連し、系統連系規定によれば、連系点Xの電圧が過度に上昇した場合には、発電装置2の発電電力を減少させる必要がある。そのため、発電電力の余剰分を水素製造装置6に供給する機会が損なわれ得る。これに対し、本実施の形態では、中間接続点5から水素製造装置6に電力を供給する。この構成によれば、上記のように機会が損なわれるという事態は生じ難い。
このように、本実施の形態によれば、発電装置2で生成された電力が水素製造装置6に供給されるまでの間の電力ロスを抑制できる。また、発電装置2で生成された電力が水素製造装置6に供給する機会が損なわれ難い。このため、発電装置2で生成された電力を効果的に水素に変換できる。よって、本実施の形態は、エネルギーシステム1の発電電力を有効活用するのに適している。
一方、本実施の形態では、中間接続点5から水素製造装置6に電力を供給する構成を採用するに際して、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性と、エネルギーシステム1における電気的な安定性と、が確保されるように、定電力制御および定電圧制御がなされる。
具体的には、定電力制御によれば、商用電源3へと出力される交流電力の大きさを一定に維持できる。そのような定電力制御によれば、系統連系インバータ4から商用電源3へと出力される交流電力の大きさを絞ることができる。交流電力の大きさを絞ることを、商用電源3が停電しているとき、系統混雑が原因で連系点Xの電圧が高いとき、中間電圧Vpnが閾値電圧V2を超えており連系点Xの電圧が高い蓋然性が高いとき、エネルギーシステム1が単独運転を行っているとき等に行うことにより、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性を確保できる。
また、定電圧制御によれば、中間接続点5の中間電圧Vpnの大きさを一定に維持できる。定電圧制御によれば、中間接続点5に入力される直流電力と中間接続点5から出力される直流電力とのバランスをとることができるとも言える。このようにすれば、電気的な安定性が損なわれ難く、例えばコンデンサ21が破損する等の問題が生じ難い。よって、本実施の形態は、エネルギーシステム1における電気的な安定性を確保するのに適している。
定電圧制御による上記の利点は、定電力制御がともに行われている場合にも得られる。具体的には、この場合、定電力制御に基づき商用電源3への出力電力が制限されるが故に中間接続点5から系統連系インバータ4への出力電力も制限される。しかし、定電圧制御の寄与により、この出力電力と同等のレベルにまで太陽電池2AからDCDCコンバータ2Bを介して中間接続点5に出力される電力が低下するように、太陽電池2Aの動作点が調整される。こうして、エネルギーシステム1における電気的な安定性が確保される。
また、定電圧制御によれば中間電圧Vpnが一定に維持されるため、定電圧制御には水素製造制御部30に安定して電力を供給できるという利点もある。
また、本実施の形態では、系統連系インバータ4を用いて定電力制御が実行されているため系統連系インバータ4を用いて定電圧制御を行うことができない場合であっても、別の電力変換器であるDCDCコンバータ2Bを用いて定電圧制御を実行できる。定電圧制御に利用可能な機器が複数あり、定電圧制御に利用する機器が切り替わり得ることも、有利な特徴である。
本実施の形態では、系統連系インバータ4およびDCDCコンバータ2Bの制御モードは、中間接続点5の中間電圧Vpnに基づいて切り替えられる。本実施の形態では、このような切り替えを通じ、中間電圧Vpnを適切に調整しつつ、エネルギーシステム1から商用電源3への望まれない電力の出力を回避し得る。このことは、水素製造装置6に電力を適切に供給しつつ、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性およびエネルギーシステム1の電気的な安定性を確保するのに適している。本実施の形態では、中間電圧Vpnに基づく制御モードの切り替えは、第2制御部7Bによって行われる。
太陽電池2AおよびDCDCコンバータ2Bの制御モードは、エネルギーシステム1および/または商用電源3が健全か否かによっても切り替えられ得る。これにより、エネルギーシステム1および/または商用電源3において異常が発生している場合において、適切な対処が可能となる。このような切り替えは、第3制御部7Cによって行われる。
再生可能エネルギーを利用した分散型電源の普及が加速し拡大すると、系統が混雑し、系統電圧が局所的に上昇し得る。また、系統では停電が発生することもある。これらの場合、本実施の形態のエネルギーシステム1を用いて分散型電源が構成されていれば、分散型電源で発電された電力を、水素という別のエネルギー媒体に変換できる。このため、系統への出力電力を抑制することにより系統への悪影響を抑制しつつ、分散型電源で生成されたエネルギーを捨てることを避けることができる。このことは、エネルギーインフラ相互の協調性を確保と、エネルギーの有効活用および安定供給と、を実現し得る。本実施の形態によれば、併せて、分散型電源の電気的な安定性を確保できる。
中間接続点5は、発電装置2に接続されており、水素製造装置6に接続されており、かつ、系統連系インバータ4を介して商用電源3に接続され得る。そのため、発電装置2で生成された電力は、商用電源3および水素製造装置6の間で最適分配され得る。
なお、上記説明した本実施の形態では、発電装置2は、1つの太陽電池2Aと1つのDCDCコンバータ2Bとが接続されることによって構成されている。ただし、本実施の形態において、発電装置2は、1つの太陽電池2Aと1つのDCDCコンバータ2Bとが接続されたセットを複数含んでいてもよい。この複数のセットにおいて、複数のDCDCコンバータ2Bがパワーコンディショナーを構成しており、そのパワーコンディショナーはマルチストリング型であると考えることができる。
また、上記説明した本実施の形態では、エネルギー媒体変換装置は、水素製造装置6である。ただし、本実施の形態において、他のエネルギー媒体変換装置を採用してもよい。他のエネルギー媒体変換装置として、冷熱生成装置、温熱生成装置等が例示される。冷熱生成装置の例は、電力を用いて冷熱を生成するヒートポンプと、冷熱を貯蔵する貯蔵する貯蔵部と、を含む。貯蔵部は、例えば、冷熱を冷気という形で貯蔵する冷凍庫である。温生成装置の例は、電力を用いて温熱を生成するヒートポンプと、温熱を貯蔵する貯蔵する貯蔵部と、を含む。貯蔵部は、例えば、温熱を温水という形で貯蔵する貯湯タンクである。
また、中間接続点5に、蓄電装置を接続してもよい。その場合、水素製造装置6が電力を水素に変換して貯蔵できるため、蓄電装置の容量を抑えることができる。蓄電装置として、蓄電池およびコンデンサが例示される。蓄電池の具体例は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等である。コンデンサの具体例は、電気二重層コンデンサである。
以上のとおり、本実施の形態のエネルギーシステム1は、発電装置2と、連系装置4と、エネルギー媒体変換装置と、制御装置7と、を備える。発電装置2は、直流電力を中間接続点5へと出力する。連系装置4は、中間接続点5から入力された直流電力を交流電力に変換して商用電源3へと出力する。エネルギー媒体変換装置は、中間接続点5から入力された電力のエネルギー媒体変換を行う。制御装置7は、定電圧制御と、定電力制御と、を実行する。定電圧制御は、中間接続点5の直流電圧の大きさを一定に維持する制御である。定電力制御は、商用電源3へと出力される交流電力の大きさを一定に維持する制御である。制御装置7は、第1運転モードにおいて、連系装置4を制御することによって定電圧制御を実行し、かつ、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させる。制御装置7は、第2運転モードにおいて、連系装置4を制御することによって定電力制御を実行し、連系装置4とは別の電力変換器であって中間接続点5と電気的に接続された電力変換器を制御することによって定電圧制御を実行し、かつ、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させる。本実施の形態に係る技術は、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性およびエネルギーシステム1における電気的な安定性を確保しつつ、エネルギーシステム1の発電電力を有効活用するのに適している。
連系装置4は、図1等の例では、系統連系インバータ4に対応する。エネルギー媒体変換は、電力を、電力以外のエネルギー媒体に変換することを指す。図1等の例では、発電装置2の発電電力を、商用電源3を介することなく、エネルギー媒体変換できる。エネルギー媒体変換装置は、エネルギー媒体変換を実行する要素とともに、エネルギー媒体変換により得られた電力以外のエネルギー媒体を貯蔵する要素を有していてもよい。図1等の例では、エネルギー媒体変換装置は、水素製造装置6に対応する。図1等の例では、制御装置7は、エネルギーシステム1の運転モードが第1運転モードであるときに、連系装置4に入力される直流電圧の大きさを制御することによって定電圧制御を実行していると言える。図1等の例では、制御装置7は、エネルギーシステム1の運転モードが第2運転モードであるときに、連系装置4から出力される交流電力の大きさを制御することによって定電力制御を実行していると言える。第1運転モードは、図6の例では、状態4に対応し得る。第2運転モードは、図6の例では、状態6に対応し得る。上記の文脈において、交流電力の大きさは、交流電力の実効値であり得る。また、交流電力は、有効電力であり得る。
また、本実施の形態において、商用電源3における異常の発生を契機に、第1運転モードから第2運転モードに切り替わってもよい。このようにすれば、商用電源3で異常が発生した場合において、異常状態にある商用電源3への電力供給を抑制できる。そのため、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性を確保できる。また、本実施の形態によれば、併せて、エネルギーシステム1における電気的な安定性を確保でき、エネルギーシステム1の発電電力を有効活用できる。
また、本実施の形態において、エネルギーシステム1における異常の発生を契機に、第1運転モードから第2運転モードに切り替わってもよい。このようにすれば、エネルギーシステム1の異常が発生した場合において、商用電源3への電力供給を抑制でき、異常が商用電源3に波及するのを抑制できる。そのため、エネルギーシステム1と商用電源3との間の協調性を確保できる。また、本実施の形態によれば、併せて、エネルギーシステム1における電気的な安定性を確保でき、エネルギーシステム1の発電電力を有効活用できる。
また、本実施の形態において、制御装置7は、第1制御部7Aと、第2制御部7Bと、第3制御部7Cと、を含んでいてもよい。第1制御部7Aは、エネルギー媒体変換を制御してもよい。第2制御部7Bは、連系装置6の制御モードの切り替えと上記の別の電力変換器の制御モードの切り替えとを行ってもよい。第3制御部7Cは、所定の異常の発生を契機に、連系装置6が制御されることによって定電力制御が実行される制御モードへと連系装置6の制御モードを切り替えてもよい。制御部7A、7Bおよび7Cによれば、エネルギーシステム1の運転モードを適切に設定することができる。
上記の「所定の異常」は、商用電源3における異常および/またはエネルギーシステム1における異常を含み得る。
また、本実施の形態において、制御装置7は、1つのマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。このようにすれば、1つのマイクロコンピュータでエネルギーシステム1の状態を管理でき、連系装置4および上記の別の電力変換器の間の連携を取り易い。
また、本実施の形態において、発電装置2は、上記の別の電力変換器を含んでいてもよい。具体的に、図1等の例では、上記の別の電力変換器は、DCDCコンバータ2Bである。
また、本実施の形態において、発電装置2は、発電機を含んでいてもよい。制御装置7は、第1運転モードにおいて、別の電力変換器を制御することによって発電機のMPPT制御を行ってもよい。具体的に、図1等の例では、上記の発電機は、太陽電池2Aである。
また、本実施の形態において、発電装置2は、再生可能エネルギーを利用して発電を行ってもよい。
また、本実施の形態において、再生可能エネルギーは、太陽光、風力および熱からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
また、本実施の形態において、エネルギー媒体変換は、中間接続点5からエネルギー媒体変換装置に入力された電力を、水素、温熱または冷熱に変換してもよい。
また、本実施の形態において、制御装置7は、発電装置2から中間接続点5へと出力される直流電力に基づいて、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させるか否かを制御してもよい。このようにすれば、発電装置2の発電電力に応じてエネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させるか否かを制御できる。
また、本実施の形態は、エネルギーシステム1の運転方法を開示していると捉えることもできる。エネルギーシステム1は、発電装置2と、連系装置4と、エネルギー媒体変換装置と、を備える。発電装置2は、直流電力を中間接続点5へと出力する。連系装置4は、中間接続点5から入力された直流電力を交流電力に変換して商用電源3へと出力する。エネルギー媒体変換装置は、中間接続点5から入力された電力のエネルギー媒体変換を行う。ここで、中間接続点5の直流電圧の大きさを一定に維持する制御を定電圧制御と定義する。商用電源3へと出力される交流電力の大きさを一定に維持する制御を定電力制御と定義する。このとき、運転方法は、第1運転モードにおいて、連系装置4を制御することによって定電圧制御を実行し、かつ、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させることを含む。また、運転方法は、第2運転モードにおいて、連系装置4を制御することによって定電力制御を実行し、連系装置4とは別の電力変換器であって中間接続点5と電気的に接続された電力変換器を制御することによって定電圧制御を実行し、かつ、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させることを含む。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
なお、実施の形態1と同一の機能を有する構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略する。
(実施の形態2)
[2-1.構成]
実施の形態2の構成を、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、実施の形態2では、第1制御部7Aは、受信部36と、出力部37と、を備える。受信部36および出力部37は、制御装置7に含まれているとも言える。
受信部36は、エネルギーシステム101の外部からの指令を受信する。出力部37は、受信部36で受信した指令に応じて、水素製造制御部30を運転または停止させる。
[2-2.動作]
第1制御部7Aは、以下のように動作する。受信部36が運転指令を受信した場合、出力部37は水素製造制御部30に運転指令を出力する。受信部36が停止指令を受信した場合、出力部37は水素製造制御部30に停止指令を出力する。本実施の形態では、出力部37から水素製造制御部30への指令は、信号の形式で伝送される。
受信部36が受信する運転指令と、出力部37から水素製造制御部30に出力される運転指令とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。受信部36が受信する停止指令と、出力部37から水素製造制御部30に出力される停止指令とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
水素製造制御部30は、運転指令を受信した場合、運転する。水素製造制御部30は、停止指令を受信した場合、停止する。エネルギーシステム101の状態は、水素製造制御部30の運転または停止に適合するように、状態0から7のいずれかを取り得る。
[2-3.効果等]
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、実施の形態2によれば、エネルギーシステム101の外部からの指令に基づいて、水素製造装置6を制御できる。実施の形態2の技術によれば、特定地域または特定の送配電線が混雑して局所的な電圧上昇または電圧低下が発生した場合に、その地域または送配電線の電圧上昇または電圧低下を遠隔で緩和できる。
以上のとおり、本実施の形態において、制御装置7は、エネルギーシステム101の外部からの指令に基づいて、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させるか否かを制御してもよい。このようにすれば、外部の要請に基づいて、エネルギー媒体変換装置にエネルギー媒体変換を実行させるか否かを制御できる。
本実施の形態のエネルギーシステム101を用いてバーチャルパワープラントシステムを構成することも可能である。バーチャルパワープラントシステムは、複数の分散型電源システムと、リソースアグリゲータと、を備えていてもよい。複数の分散型電源システムの各々が、エネルギーシステム101を含んでいてもよい。リソースアグリゲータは、複数の分散型電源システムに上記の指令を送信してもよい。
また、本実施の形態は、バーチャルパワープラントシステムの運転方法を開示していると捉えることもできる。バーチャルパワープラントシステムは、複数の分散型電源システムと、リソースアグリゲータと、を備えていてもよい。複数の分散型電源システムの各々が、エネルギーシステム101を含んでいてもよい。運転方法は、複数の分散型電源システムに上記の指令を送信することを含む。
(実施の形態3)
[3-1.構成]
実施の形態1の実施の形態3の構成を、図8を参照しながら説明する。
実施の形態3では、エネルギーシステム201は、双方向制御部38を備える。具体的には、制御装置7は、双方向制御部38を備える。双方向制御部38は、系統連系インバータ4に双方向の電力変換を行わせることができるように構成されている。具体的には、双方向制御部38は、中間接続点5から系統連系インバータ4を介して商用電源3に電力が逆潮流するときに系統連系インバータ4に直流から交流への電力変換を行わせることが可能である。また、双方向制御部38は、商用電源3から系統連系インバータ4を介して中間接続点5に電力が順潮流するときに系統連系インバータ4に交流から直流への電力変換を行わせることが可能である。
双方向制御部38は、水素製造装置6が運転しているのか停止しているのかと、発電装置2の発電状態と、に応じて、系統連系インバータ4に電力変換を行わせる。双方向制御部38は、発電装置2から中間接続点5へと出力される直流電力と、中間接続点5から水素製造装置6に入力される直流電力と、に応じて、系統連系インバータ4に電力変換を行わせるとも言える。
第1の例では、太陽電池電圧検出器19によって検出した太陽電池2Aの電圧と、太陽電池電流検出器20によって検出した太陽電池2Aからの電流と、を乗算する。この乗算により得られた電力値に基づいて、発電状態が検出される。なお、上述のとおり、太陽電池電流検出器20の検出値に入力コンデンサ13を流れる電流を加算する補償を行い、この補償により得られた値を太陽電池電流検出器20の検出値と扱ってもよい。
第2の例では、発電状態は、中間電圧検出器10によって検出した中間接続点5の中間電圧Vpnと、エネルギーシステム201の状態が図6の状態0から7のいずれであるかと、によって判定される。具体的には、エネルギーシステム201の状態が状態0から7のいずれであるかによって、DCDCコンバータ2Bの動作状態が分かる。この動作状態および中間電圧Vpnの組み合わせから、太陽電池2Aの動作点が概ね分かる。つまり、太陽電池2Aの出力電力が概ね分かる。その出力電力から、太陽電池2Aの発電状態が概ね分かる。以上の説明から理解されるように、中間電圧検出器10によって検出した中間接続点5の中間電圧Vpnおよびエネルギーシステム201の状態の組み合わせを、発電状態と対応付けることが可能である。第2の例では、そのような対応関係が示されたテーブルデータに基づいて、発電状態が判定される。
[3-2.動作]
以下、系統連系インバータ4から商用電源3に電流が逆潮流する方向を正とし、商用電源3から系統連系インバータ4に電流が順潮流する方向を負として、説明する。
先に述べたように、第2制御部7Bは、系統連系インバータ4の制御モードを変更する機能を有している。また、系統連系インバータ4の制御モードは、定電圧制御モードを含む。定電圧制御モードにおいて、中間電圧Vpnが一定に維持されるように、系統連系インバータ4を用いて定電圧制御が実行される。
第2制御部7Bは、系統連系インバータ4の制御モードが定電圧制御モードである場合用の、正の上限値と、負の下限値と、を設定する。正の上限値は、系統連系インバータ4から商用電源3へと流れる正の電流の上限値である。正の上限値の符号は正である。負の下限値は、商用電源3から系統連系インバータ4へと流れる負の電流の下限値である。負の下限値の符号は負である。
第2制御部7Bは、正の電流が正の上限値を上回ったり負の電流が負の下限値を下回ったりしないように、系統連系インバータ4を制御する。先の説明から理解されるように、上記の正の電流および負の電流は、交流電流検出器25によって検出され得る。
双方向制御部38は、負の下限値を変更するための解除指令を、第2制御部7Bへ出力する。
一具体例では、正の上限値は、系統連系インバータ4の出力電流の定格値である。双方向制御部38から第2制御部7Bに解除指令が出力される前は、負の下限値は、内部消費電力に相当する消費電流値である。ここで、内部消費電力は、エネルギーシステム201の定格消費電力から水素製造装置6の定格消費電力を差し引いた電力を指す。双方向制御部38から第2制御部7Bに解除指令が出力されると、負の下限値は、正の上限値の符号を反転させた値に変更される。
[3-3.効果等]
実施の形態3では、発電装置2は、自然エネルギーを利活用したものである。そのため、発電装置2の発電電力は、時間変動する。
実施の形態3では、系統連系インバータ4は、商用電源3と双方向に電力を変換する。そのため、発電装置2の発電電力が低下して発電装置2の発電電力のみでは水素製造装置6の消費電力を賄えない場合において、不足分の電力を商用電源3から系統連系インバータ4を介して水素製造装置6に供給できる。実施の形態3によれば、高い冗長性を有するエネルギーインフラ相互の協調性を確保できる。
以上のとおり、本実施の形態において、制御装置7は、発電装置2から中間接続点5へと出力される直流電力と、中間接続点5からエネルギー媒体変換装置に入力される直流電力と、に基づいて、中間接続点5から連系装置4を介して商用電源3へと電力を逆潮流させるのか商用電源3から連系装置4を介して中間接続点5へと電力を順潮流させるのかを制御してもよい。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示に係るエネルギーシステムを、直流電力を中間接続点5へと出力する発電装置2と、中間接続点5から入力された直流電力を交流電力に変換して商用電源3へと出力する連系装置4と、中間接続点5から入力された電力のエネルギー媒体変換6を行うエネルギー媒体変換装置と、を備えたエネルギーシステムと捉えることも可能である。このように捉えらえたエネルギーシステムに、上述の種々の特徴を組み合わせることが可能である。
その他、本開示に係るエネルギーシステムを、「商用電源」を「交流電源」と読み替えて捉えることもできる。